添付一覧
○騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について
(令和5年4月20日)
(基発0420第2号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
職場における騒音については、有害な作業環境の1つとして、健康障害防止のため、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)の規定により、所定の作業場における作業環境測定の実施、騒音を発する場所の明示、騒音の伝ぱ防止、保護具の備え付け等を義務付けるとともに、平成4年10月1日付け基発第546号「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について」において、事業者が自主的に講ずることが望ましい騒音障害防止対策を体系化した「騒音障害防止のためのガイドライン」(以下「旧ガイドライン」という。)を定め、その定着を図ってきたところである。
しかしながら、騒音障害防止対策は、その取組が進んでいる業種はあるものの、騒音障害防止対策の対象となる作業場において広く浸透しているとは言い難く、更なる対策を進める必要がある。また、旧ガイドライン策定後における技術の発展や知見の蓄積もあることから、これらも踏まえ、従来からの騒音障害防止対策を見直し、今般、別添のとおり「騒音障害防止のためのガイドライン」を改訂した。
ついては、関係事業場に対し、あらゆる機会を通じて本ガイドラインの周知を図るとともに、必要に応じて労働災害防止団体等と連携し、騒音障害防止対策の一層の推進に遺憾なきを期されたい。
また、別紙1から4までのとおり関係団体の長あて、別紙5により林野庁長官あてに要請を行ったので申し添える。
なお、平成4年10月1日付け基発第546号「騒音障害防止のためのガイドラインの策定について」は、本通達をもって廃止する。
[別紙1]
○騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について(周知依頼)
(令和5年4月20日)
(基発0420第3号)
(別記1の関係団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
労働基準行政の推進につきまして、日頃より格別の御理解、御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、職場における騒音障害の防止については、労働安全衛生法令及び「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づき、その対策を図ってきたところです。
しかしながら、騒音性難聴の発生は後を絶たない状況が続いており、更なる騒音障害防止対策を進める必要があります。
このため、これまでの技術の発展や知見の蓄積を踏まえ、今般、別添のとおり「騒音障害防止のためのガイドライン」を改訂しました。今後、関係事業場に対する周知を図り、騒音障害防止対策の徹底を求めることとしております。
つきましては、貴団体におかれましても、騒音障害防止対策の重要性を御理解いただき、傘下事業場、会員等に対して、改訂後のガイドラインについて周知いただきますとともに、騒音障害防止対策の推進に特段の御配意を賜りますようお願い申し上げます。
[別紙2]
○騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について
(令和5年4月20日)
(基発0420第4号)
(別記2の関係団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御理解、御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、職場における騒音障害の防止については、労働安全衛生法令及び「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づき、その対策を図ってきたところです。
しかしながら、騒音性難聴の発生は後を絶たない状況が続いており、更なる騒音障害防止対策を進める必要があります。
このため、これまでの技術の発展や知見の蓄積を踏まえ、今般、別添のとおり「騒音障害防止のためのガイドライン」を改訂しました。今後、関係事業場に対する周知を図り、騒音障害防止対策の徹底を求めることとしております。
騒音障害の防止に向けては、騒音源となる機械設備等について、設計及び製造段階からの低騒音化対策に努めることが大変重要であります。
つきましては、貴団体におかれましても、騒音障害防止対策の重要性に鑑み、傘下企業等に対して、改訂後のガイドラインについて周知いただきますとともに、機械設備等の低騒音化に向けて特段の御配意を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
[別紙3]
○騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について
(令和5年4月20日)
(基発0420第5号)
(別記3の関係団体の長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御理解、御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、職場における騒音障害の防止については、労働安全衛生法令及び「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づき、その対策を図ってきたところです。
しかしながら、騒音性難聴の発生は後を絶たない状況が続いており、更なる騒音障害防止対策を進める必要があります。
このため、これまでの技術の発展や知見の蓄積を踏まえ、今般、別添のとおり「騒音障害防止のためのガイドライン」を改訂しました。今後、関係事業場に対する周知を図り、騒音障害防止対策の徹底を求めることとしております。
改訂後のガイドラインに基づく健康管理の円滑な定着を図るためには、医師や健康診断機関等の御理解と御協力が不可欠であります。
つきましては、貴団体におかれましても、騒音障害防止対策の重要性を御理解いただき、傘下の医療機関、健康診断機関等に対して改訂後のガイドラインについて周知いただきますとともに、騒音障害防止対策の推進に特段の御配意を賜りますようお願い申し上げます。
[別紙4]
○騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について
(令和5年4月20日)
(基発0420第6号)
(公益社団法人日本作業環境測定協会会長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御理解、御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、職場における騒音障害の防止については、労働安全衛生法令及び「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づき、その対策を図ってきたところです。
しかしながら、騒音性難聴の発生は後を絶たない状況が続いており、更なる騒音障害防止対策を進める必要があります。
このため、これまでの技術の発展や知見の蓄積を踏まえ、今般、別添のとおり「騒音障害防止のためのガイドライン」を改訂しました。今後、関係事業場に対する周知を図り、騒音障害防止対策の徹底を求めることとしております。
改訂後のガイドラインに基づく騒音障害防止対策を進めるためには、作業環境測定士や作業環境測定機関等の御理解と御協力が不可欠であります。
つきましては、貴団体におかれましても、騒音障害防止対策の重要性を御理解いただき、傘下事業場等に対して、改訂後のガイドラインについて周知いただきますとともに、騒音障害防止対策の推進に特段の御配意を賜りますようお願い申し上げます。
別記1(事業者団体等)
(災防団体)
中央労働災害防止協会
建設業労働災害防止協会
陸上貨物運送事業労働災害防止協会
林業・木材製造業労働災害防止協会
港湾貨物運送事業労働災害防止協会
(関係、事業者団体)
一般社団法人日本経済団体連合会
日本商工会議所
全国中小企業団体中央会
全国商工会連合会
公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会
一般社団法人全国清涼飲料連合会
日本酒造組合中央会
ビール酒造組合
全国味噌工業協同組合連合会
日本紡績協会
一般社団法人全国木材組合連合会
全国木材チップ工業連合会
一般社団法人日本家具産業振興会
日本製紙連合会
全国段ボール工業組合連合会
一般社団法人日本印刷産業連合会
一般社団法人日本新聞協会
一般社団法人日本化学工業協会
日本プラスチック工業連盟
日本化学繊維協会
一般社団法人日本ゴム工業会
日本綿スフ織物工業連合会
一般社団法人日本絹人繊織物工業会
日本毛織物等工業組合連合会
一般社団法人セメント協会
一般社団法人日本硝子製品工業会
一般社団法人日本鉄鋼連盟
一般社団法人日本鋳造協会
一般社団法人日本アルミニウム協会
全日本板金工業組合連合会
日本製缶協会
一般社団法人日本金属プレス工業協会
一般社団法人日本電機工業会
一般社団法人日本造船工業会
一般社団法人日本中小型造船工業会
一般社団法人日本自動車工業会
一般社団法人日本鉄道車輌工業会
一般社団法人自転車協会
日本鉱業協会
一般財団法人石炭フロンティア機構
一般社団法人日本砕石協会
一般社団法人全国建設業協会
一般社団法人日本建設業連合会
一般社団法人全国中小建設業協会
一般社団法人全日本航空事業連合会
一般社団法人日本林業協会
一般社団法人日本トンネル専門工事業協会
全日本遊技事業協同組合連合会
公益社団法人日本保安用品協会
一般社団法人日本コールセンター協会
全国社会保険労務士会連合会
一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会
別記2(機械設備等製造業者団体等)
一般社団法人日本機械工業連合会
一般社団法人日本産業機械工業会
一般社団法人日本食品機械工業会
一般社団法人日本繊維機械協会
一般社団法人日本工作機械工業会
一般社団法人日本鍛圧機械工業会
一般社団法人日本建設機械工業会
一般社団法人日本建設機械施工協会
別記3(医療関係団体等)
独立行政法人労働者健康安全機構
公益社団法人日本医師会
一般社団法人日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
公益社団法人全国労働衛生団体連合会
[別紙5]
○騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について
(令和5年4月20日)
(基発0420第7号)
(林野庁長官あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
労働基準行政の推進につきましては、日頃より格別の御理解、御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、林業現場を含む職場における騒音障害の防止については、労働安全衛生法令及び「騒音障害防止のためのガイドライン」に基づき、その対策を図ってきたところです。
しかしながら、騒音性難聴の発生は後を絶たない状況が続いており、チェーンソー等を用いた伐採等を行うなど、林業と関連する作業場で従事歴がある労働者についても同様の状況であることから、更なる騒音障害防止対策を進める必要があります。
このため、これまでの技術の発展や知見の蓄積を踏まえ、今般、別添のとおり「騒音障害防止のためのガイドライン」を改訂しました。今後、関係事業場に対する周知を図り、騒音障害防止対策の徹底を求めることとしております。
つきましては、貴庁におかれましても、騒音障害防止対策の重要性に鑑み、地方公共団体及び林業関係団体に対して、改訂後のガイドラインについて周知いただきますとともに、騒音障害防止対策の推進に特段の御配意を賜りますようお願い申し上げます。
別添
騒音障害防止のためのガイドライン
1 目的
本ガイドラインは、労働安全衛生法令に基づく措置を含め、騒音障害防止対策を講ずることにより、騒音作業に従事する労働者の騒音障害を防止することを目的とする。
2 騒音作業
本ガイドラインの対象とする騒音作業は、別表第1及び別表第2に掲げる作業場における業務とする。
なお、別表第1及び別表第2に掲げる作業場以外の作業場であっても、騒音レベルが高いと思われる業務を行う場合には、本ガイドラインに基づく騒音障害防止対策と同様の対策を講ずることが望ましい。
3 事業者の責務
別表第1又は別表第2に掲げる作業場を有する事業者(以下「事業者」という。)は、当該作業場について、本ガイドラインに基づき適切な措置を講ずることにより、騒音レベルの低減化等に努めるものとする。
4 機械設備等製造業者の留意事項
機械設備等製造業者は、騒音源となる機械設備等について、設計及び製造段階からの低騒音化に努めるとともに、騒音レベルに関する情報を公表することが望ましい。
5 労働衛生管理体制
(1) 騒音障害防止対策の管理者の選任
事業者は、衛生管理者、安全衛生推進者等から騒音障害防止対策の管理者(以下「管理者」という。)を選任し、本ガイドラインで定める事項に取り組ませること。
(2) 元方事業者の責務
建設工事現場等において、元方事業者は、関係請負人が本ガイドラインで定める事項を適切に実施できるよう、指導・援助を行うこと。
6 作業環境管理
(1) 別表第1に掲げる作業場
ア 事業者は、別紙1「作業環境測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、評価、措置及び記録を行うこと。
イ 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、測定すること。
(2) 別表第2に掲げる作業場
ア 屋内作業場
(ア) 事業者は、別紙1「作業環境測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、評価、措置及び記録を行うこと。
(イ) 騒音源が移動する場合等においては、(ア)に代えて、別紙3「個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うことができる。
(ウ) 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している場所又は等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所については、当該定期に行う測定を省略することができる。
(エ) (ウ)の規定に関わらず、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、測定を行うこと。
イ 坑内の作業場
(ア) 事業者は、別紙2「定点測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うこと。
(イ) 騒音源が移動する場合等においては、(ア)に代えて、別紙3「個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うことができる。
(ウ) 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所については、当該定期に行う測定を省略することができる。
(エ) (ウ)の規定に関わらず、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、測定を行うこと。
ウ 屋外作業場
(ア) 事業者は、別紙2「定点測定による等価騒音レベルの測定」又は別紙3「個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うこと。
(イ) 地面の上に騒音源があって、周辺に建物や壁等がない場所については、(ア)に代えて、別紙4「等価騒音レベルの推計」に基づき、騒音レベルを推計し、その推計値を測定値とみなして、措置及び記録を行うことができる。
(ウ) 事業者は、測定を6月以内ごとに1回、定期に行うこと。ただし、等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所については、当該定期に行う測定を省略することができる。
(エ) (ウ)の規定に関わらず、施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合は、その都度、測定を行うこと。
7 作業管理
(1) 聴覚保護具の使用
ア 事業者は、聴覚保護具については、日本産業規格(JIS)T8161―1に規定する試験方法により測定された遮音値を目安に、必要かつ十分な遮音値のものを選定すること。
なお、危険作業等において安全確保のために周囲の音を聞く必要がある場合や会話の必要がある場合は、遮音値が必要以上に大きい聴覚保護具を選定しないよう配慮すること。
イ 事業者は、管理者に、労働者に対し聴覚保護具の正しい使用方法を指導させた上で、目視等により正しく使用されていることを確認すること。
(2) 作業時間の管理
事業者は、作業環境を改善するための措置を講じた結果、第Ⅰ管理区分とならない場合又は等価騒音レベルが85dB未満とならない場合は、次の表を参考に、労働者が騒音作業に従事する時間の短縮を検討すること。
表 等価騒音レベル(A特性音圧レベル)による許容基準 |
||||||||
等価騒音レベル(dB) |
85 |
86 |
87 |
88 |
89 |
90 |
91 |
92 |
1日のばく露時間 |
8時間00分 |
6時間20分 |
5時間02分 |
4時間00分 |
3時間10分 |
2時間30分 |
2時間00分 |
1時間35分 |
等価騒音レベル(dB) |
93 |
94 |
95 |
96 |
97 |
98 |
99 |
100 |
1日のばく露時間 |
1時間15分 |
1時間00分 |
0時間47分 |
0時間37分 |
0時間30分 |
0時間23分 |
0時間18分 |
0時間15分 |
※ 日本産業衛生学会の「許容濃度等の勧告(2022年度)」の中の、Ⅵ.騒音の許容基準にある、「表Ⅵ―2.騒音レベル(A特性音圧レベル)による許容基準」の一部抜粋
8 健康管理
(1) 騒音健康診断
ア 雇入時等健康診断
事業者は、騒音作業に常時従事する労働者に対し、その雇入れの際又は当該業務への配置替えの際に、次の項目について、医師による健康診断を行うこと。
① 既往歴の調査
② 業務歴の調査
③ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
④ オージオメータによる250ヘルツ、500ヘルツ、1,000ヘルツ、2,000ヘルツ、4,000ヘルツ、6,000ヘルツ及び8,000ヘルツにおける聴力の検査
⑤ その他医師が必要と認める検査
イ 定期健康診断
事業者は、騒音作業に常時従事する労働者に対し、6月以内ごとに1回、定期に、次の項目について、医師による健康診断を行うこと。ただし、第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している場所又は等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所において業務に従事する労働者については、省略することができる。
① 既往歴の調査
② 業務歴の調査
③ 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
④ オージオメータによる1,000ヘルツ及び4,000ヘルツにおける選別聴力検査(1,000ヘルツについては30dB、4,000ヘルツについては25dB及び30dBの音圧での検査)
事業者は、上記の定期健康診断の結果、30dBの音圧での検査で異常が認められる者その他医師が必要と認める者については、次の項目について、医師による二次検査を行うこと。なお、雇入時等健康診断又は過去の二次検査の結果、前駆期の症状が認められる者及び聴力低下が認められる者については、上記④の選別聴力検査を省略して、二次検査を行うこととして差し支えない。
① オージオメータによる250ヘルツ、500ヘルツ、1,000ヘルツ、2,000ヘルツ、4,000ヘルツ、6,000ヘルツ及び8,000ヘルツにおける聴力の検査
② その他医師が必要と認める検査
(2) 騒音健康診断結果に基づく事後措置
事業者は、健康診断の結果の評価に基づき、次に掲げる措置を講ずること。
ア 前駆期の症状が認められる者及び軽度の聴力低下が認められる者に対しては、第Ⅱ管理区分に区分された場所又は等価騒音レベルが85dB以上90dB未満である場所においても、聴覚保護具を使用させるほか、必要な措置
イ 中等度以上の聴力低下が認められる者に対しては、聴覚保護具を使用させるほか、騒音作業に従事する時間の短縮、配置転換その他必要な措置
(3) 騒音健康診断結果の記録及び報告
事業者は、健康診断を実施したときは、その結果を記録し、5年間保存すること。
また、定期健康診断については、実施後遅滞なく、その結果を所轄労働基準監督署長に報告すること。
9 労働衛生教育
(1) 管理者に対する労働衛生教育
事業者は、管理者を選任しようとするときは、当該者に対し、次の科目について労働衛生教育を行うこと。
① 騒音の人体に及ぼす影響
② 適正な作業環境の確保と維持管理
③ 聴覚保護具の使用及び作業方法の改善
④ 関係法令等
(2) 騒音作業に従事する労働者に対する労働衛生教育
事業者は、騒音作業に労働者を常時従事させようとするときは、当該労働者に対し、次の科目について労働衛生教育を行うこと。ただし、第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している場所又は等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場所において業務に従事する労働者については、当該教育を省略することができる。
① 騒音の人体に及ぼす影響
② 聴覚保護具の使用
10 計画の届出
事業者は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第88条の規定に基づく計画の届出を行う場合において、当該計画が別表第1又は別表第2に掲げる作業場に係るものであるときは、届出に騒音障害防止対策の概要を示す書面又は図面を添付すること。
(別表第1)
(1) 鋲打ち機、はつり機、鋳物の型込機等圧縮空気により駆動される機械又は器具を取り扱う業務を行う屋内作業場
(2) ロール機、圧延機等による金属の圧延、伸線、ひずみ取り又は板曲げの業務(液体プレスによるひずみ取り及び板曲げ並びにダイスによる線引きの業務を除く。)を行う屋内作業場
(3) 動力により駆動されるハンマーを用いる金属の鍜造又は成型の業務を行う屋内作業場
(4) タンブラーによる金属製品の研磨又は砂落としの業務を行う屋内作業場
(5) 動力によりチェーン等を用いてドラム缶を洗浄する業務を行う屋内作業場
(6) ドラムバーカーにより、木材を削皮する業務を行う屋内作業場
(7) チッパーによりチップする業務を行う屋内作業場
(8) 多筒抄紙機により紙をすく業務を行う屋内作業場
(別表第2)
(1) インパクトレンチ、ナットランナー、電動ドライバー等を用い、ボルト、ナット等の締め付け、取り外しの業務を行う作業場
(2) ショットブラストにより金属の研磨の業務を行う作業場
(3) 携帯用研削盤、ベルトグラインダー、チッピングハンマー等を用いて金属の表面の研削又は研磨の業務を行う作業場
(4) 動力プレス(油圧プレス及びプレスブレーキを除く。)により、鋼板の曲げ、絞り、せん断等の業務を行う作業場
(5) シャーにより、鋼板を連続的に切断する業務を行う作業場
(6) 動力により鋼線を切断し、くぎ、ボルト等の連続的な製造の業務を行う作業場
(7) 金属を溶融し、鋳鉄製品、合金製品等の成型の業務を行う作業場
(8) 高圧酸素ガスにより、鋼材の溶断の業務を行う作業場
(9) 鋼材、金属製品等のロール搬送等の業務を行う作業場
(10) 乾燥したガラス原料を振動フィーダーで搬送する業務を行う作業場
(11) 鋼管をスキッド上で検査する業務を行う作業場
(12) 動力巻取機により、鋼板又は線材を巻き取る業務を行う作業場
(13) ハンマーを用いて金属の打撃又は成型の業務を行う作業場
(14) 圧縮空気を用いて溶融金属を吹き付ける業務を行う作業場
(15) ガスバーナーにより金属表面のキズを取る業務を行う作業場
(16) 丸のこ盤を用いて金属を切断する業務を行う作業場
(17) 内燃機関の製造工場又は修理工場で、内燃機関の試運転の業務を行う作業場
(18) 動力により駆動する回転砥石を用いて、のこ歯を目立てする業務を行う作業場
(19) 衝撃式造形機を用いて砂型を造形する業務を行う作業場
(20) バイブレーター又はランマーにより締め固めの業務を行う作業場
(21) 振動式型ばらし機を用いて砂型より鋳物を取り出す業務を行う作業場
(22) 動力によりガスケットをはく離する業務を行う作業場
(23) 瓶、ブリキ缶等の製造、充てん、冷却、ラベル表示、洗浄等の業務を行う作業場
(24) 射出成型機を用いてプラスチックの押し出し又は切断の業務を行う作業場
(25) プラスチック原料等を動力により混合する業務を行う作業場
(26) みそ製造工程において動力機械により大豆の選別の業務を行う作業場
(27) ロール機を用いてゴムを練る業務を行う作業場
(28) ゴムホースを製造する工程において、ホース内の内糸を編上機により編み上げる業務を行う作業場
(29) 織機を用いてガラス繊維等原糸を織布する業務を行う作業場
(30) ダブルツイスター等高速回転の機械を用いて、ねん糸又は加工糸の製造の業務を行う作業場
(31) カップ成型機により、紙カップを成型する業務を行う作業場
(32) モノタイプ、キャスター等を用いて、活字の鋳造の業務を行う作業場
(33) コルゲータマシンによりダンボール製造の業務を行う作業場
(34) 動力により、原紙、ダンボール紙等の連続的な折り曲げ又は切断の業務を行う作業場
(35) 高速輪転機により印刷の業務を行う作業場
(36) 高圧水により鋼管の検査の業務を行う作業場
(37) 高圧リムーバを用いてICパッケージのバリ取りの業務を行う作業場
(38) 圧縮空気を吹き付けることにより、物の選別、取り出し、はく離、乾燥等の業務を行う作業場
(39) 乾燥設備を使用する業務を行う作業場
(40) 電気炉、ボイラー又はエアコンプレッサーの運転業務を行う作業場
(41) ディーゼルエンジンにより発電の業務を行う作業場
(42) 多数の機械を集中して使用することにより製造、加工又は搬送の業務を行う作業場
(43) 岩石又は鉱物を動力により破砕し、又は粉砕する業務を行う作業場
(44) 振動式スクリーンを用いて、土石をふるい分ける業務を行う作業場
(45) 裁断機により石材を裁断する業務を行う作業場
(46) 車両系建設機械を用いて掘削又は積込みの業務を行う坑内の作業場
(47) バイブレーター、さく岩機、ブレーカ等手持動力工具を取り扱う業務を行う作業場
(48) コンクリートカッタを用いて道路舗装のアスファルト等を切断する業務を行う作業場
(49) チェーンソー又は刈払機を用いて立木の伐採、草木の刈払い等の業務を行う作業場
(50) 丸のこ盤、帯のこ盤等木材加工用機械を用いて木材を切断する業務を行う作業場
(51) 水圧バーカー又はヘッドバーカーにより、木材を削皮する業務を行う作業場
(52) 空港の駐機場所において、航空機への指示誘導、給油、荷物の積込み等の業務を行う作業場
別紙1
作業環境測定による等価騒音レベルの測定
1 作業環境測定の方法
(1) 作業環境測定基準(昭和51年労働省告示第46号)第4条第1号及び第2号に定める方法による等価騒音レベルの測定(以下「A測定」という。)を行い、騒音源に近接する場所において作業が行われる単位作業場所にあっては、加えて作業環境測定基準第4条第3号に定める方法による等価騒音レベルの測定(以下別紙1において「B測定」という。)を行うこと。
(2) 測定は、作業が定常的に行われている時間帯に、1測定点について10分間以上継続して行うこと。
2 測定結果の評価
事業者は、1による作業環境測定を行った後、単位作業場所ごとに、次の表により、結果の評価を行うこと。
B測定 |
||||
85dB未満 |
85dB以上 90dB未満 |
90dB以上 |
||
A測定平均値 |
85dB未満 |
第Ⅰ管理区分 |
第Ⅱ管理区分 |
第Ⅲ管理区分 |
85dB以上 90dB未満 |
第Ⅱ管理区分 |
第Ⅱ管理区分 |
第Ⅲ管理区分 |
|
90dB以上 |
第Ⅲ管理区分 |
第Ⅲ管理区分 |
第Ⅲ管理区分 |
備考
1 「A測定平均値」は、測定値を算術平均して求めること。
2 「A測定平均値」の算定には、80dB未満の測定値は含めないこと。
3 A測定のみを実施した場合は、表中のB測定の欄は85dB未満の欄を用いて評価を行うこと。
3 評価結果に基づく措置
事業者は、2による評価の結果に基づき、管理区分ごとに、それぞれ次の措置を講ずること。なお、手持動力工具を使用する業務については、第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している場所である場合を除き、当該業務に従事する労働者に対し、聴覚保護具を使用させること。
(1) 第Ⅰ管理区分の場合
当該場所における作業環境の継続的維持に努めること。
(2) 第Ⅱ管理区分の場合
ア 標識によって、当該場所が第Ⅱ管理区分であることを明示する等の措置を講ずること。
イ 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、管理区分が第Ⅰ管理区分となるよう努めること。
ウ 騒音作業に従事する労働者に対し、必要に応じ、聴覚保護具を使用させること。
(3) 第Ⅲ管理区分の場合
ア 標識によって、当該場所が第Ⅲ管理区分であることを明示する等の措置を講ずること。
イ 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、管理区分が第Ⅰ管理区分又は第Ⅱ管理区分となるよう努めること。
なお、作業環境を改善するための措置を講じたときは、その効果を確認するため、当該場所について、当該措置を講ずる直前に行った作業環境測定と同様の方法で作業環境測定を行い、その結果の評価を行うこと。
ウ 騒音作業に従事する労働者に聴覚保護具を使用させた上で、その使用状況を管理者に確認させるとともに、聴覚保護具の使用について、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、見やすい場所に掲示すること。
4 測定結果等の記録
事業者は、作業環境測定を実施し、測定結果の評価を行ったときは、その都度、次の事項を記録して、これを3年間保存すること。
① 測定日時
② 測定方法
③ 測定箇所
④ 測定条件
⑤ 測定結果
⑥ 評価日時
⑦ 評価箇所
⑧ 評価結果
⑨ 測定及び評価を実施した者の氏名
⑩ 測定及び評価の結果に基づいて措置を講じたときは、当該措置の概要
別紙2
定点測定による等価騒音レベルの測定
1 定点測定の方法
(1) 騒音源に近接する場所において作業が行われている時間のうち、騒音レベルが最も大きくなると思われる時間に、当該作業が行われる位置において、作業環境測定基準第4条第3号に定める方法による等価騒音レベルの測定(以下別紙2及び4において「定点測定」という。)を行うこと。
(2) 測定は、作業が定常的に行われている時間帯に、1測定点について10分間以上継続して行うこと。
2 測定結果に基づく措置
事業者は、1による定点測定の結果に基づき、次の措置を講ずること。なお、手持動力工具を使用する業務については、等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場合を除き、当該業務に従事する労働者に対し、聴覚保護具を使用させること。
(1) 85dB未満の場合
当該場所における作業環境の継続的維持に努めること。
(2) 85dB以上90dB未満の場合
ア 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、等価騒音レベルが85dB未満となるよう努めること。
イ 騒音作業に従事する労働者に対し、必要に応じ、聴覚保護具を使用させること。
(3) 90dB以上の場合
ア 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、等価騒音レベルが85dB未満となるよう努めること。
なお、作業環境を改善するための措置を講じたときは、その効果を確認するため、当該場所について、当該措置を講ずる直前に行った定点測定と同様の方法で定点測定を行うこと。
イ 騒音作業に従事する労働者に聴覚保護具を使用させた上で、その使用状況を管理者に確認させるとともに、聴覚保護具の使用について、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、当該作業場の見やすい場所に掲示すること。
3 測定結果等の記録
事業者は、定点測定を実施したときは、その都度、次の事項を記録して、これを3年間保存すること。
① 測定日時
② 測定方法
③ 測定対象となる騒音作業
④ 測定箇所
⑤ 測定条件
⑥ 測定結果
⑦ 測定を実施した者の氏名
⑧ 測定結果に基づいて措置を講じたときは、当該措置の概要
別紙3
個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定
1 個人ばく露測定の方法
(1) 使用する機器
ア 測定に使用するばく露計は等価騒音レベルを測定できる必要があることから、JIS C1509―1又はIEC 61252に規定する精度を満たすものとすること。
イ 場所によっては、防爆性能を有するばく露計を選定して使用する必要があること。
(2) 測定方法
ア 同種の業務を行うグループごとに1台以上のばく露計による測定を行うこと。
イ ばく露計のマイクロホン部分を測定対象者の頭部、首又は肩の近くに装着すること。
ウ 測定者は、測定対象者に、終日又は半日、ばく露計を装着させたままで騒音作業を行わせることにより、騒音作業に従事する時間の等価騒音レベルを測定すること。ただし、2時間ごとに反復継続する作業を行うことが明らかな場合等、一定時間の測定を行うことで作業時間全体の等価騒音レベルを算定することが可能な場合は、測定の開始から終了までの時間が1時間以上であれば、測定時間を短縮して差し支えない。
エ 測定者は、測定を開始する前に、測定対象者にばく露計が正しく装着されていることを確認すること。測定対象者は、測定中にばく露計が落下したり、マイクロホン部分が作業着等で覆われたりすることがないよう、注意すること。なお、測定をしている間、測定者の立会いは不要であること。
2 測定結果に基づく措置
事業者は、1による測定の結果に基づき、次の措置を講ずること。なお、手持動力工具を使用する業務については、等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場合を除き、当該業務に従事する労働者に対し、聴覚保護具を使用させること。
(1) 85dB未満の場合
当該場所における作業環境の継続的維持に努めること。
(2) 85dB以上90dB未満の場合
ア 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、等価騒音レベルが85dB未満となるよう努めること。
イ 騒音作業に従事する労働者に対し、必要に応じ、聴覚保護具を使用させること。
(3) 90dB以上の場合
ア 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、等価騒音レベルが85dB未満となるよう努めること。
なお、作業環境を改善するための措置を講じたときは、その効果を確認するため、当該場所について、当該措置を講ずる直前に行った個人ばく露測定と同様の方法で個人ばく露測定を行うこと。
イ 騒音作業に従事する労働者に聴覚保護具を使用させた上で、その使用状況を管理者に確認させるとともに、聴覚保護具の使用について、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、当該作業場の見やすい場所に掲示すること。
3 測定結果等の記録
事業者は、個人ばく露測定を実施したときは、その都度、次の事項を記録して、これを3年間保存すること。
① 測定日時
② 測定方法
③ 測定対象となる騒音作業及び対象者
④ 測定箇所
⑤ 測定条件
⑥ 測定結果
⑦ 測定を実施した者の氏名
⑧ 測定結果に基づいて措置を講じたときは、当該措置の概要
別紙4
等価騒音レベルの推計
1 推計の方法
等価騒音レベルの推計は、対象となる騒音作業ごとに、次の式により行うこと。
音響パワーレベルは、機械等の騒音源が放射する音のエネルギーをレベル表示したものであり、機械等に騒音値として表示されているものを参考にすること。
なお、周囲に建物や壁等がある場合、音の反響の影響から、当該推計値と比較して、騒音レベルが高くなる可能性が大きいことから、等価騒音レベルの把握方法として推計を用いることは適切でないことに留意すること。
Lp=Lw-20log10r-8
Lp(dB):推計値
Lw(dB):音響パワーレベル
r(m):騒音源からの距離
2 推計結果に基づく措置
事業者は、1による推計の結果に基づき、次の措置を講ずること。なお、手持動力工具を使用する業務については、等価騒音レベルが継続的に85dB未満である場合を除き、当該業務に従事する労働者に対し、聴覚保護具を使用させること。
(1) 85dB未満の場合
当該場所における作業環境の継続的維持に努めること。
(2) 85dB以上90dB未満の場合
ア 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、等価騒音レベルが85dB未満となるよう努めること。
イ 騒音作業に従事する労働者に対し、必要に応じ、聴覚保護具を使用させること。
(3) 90dB以上の場合
ア 施設、設備、作業工程又は作業方法の点検を行い、その結果に基づき、施設又は設備の設置又は整備、作業工程又は作業方法の改善その他の作業環境を改善するため必要な措置を講じ、等価騒音レベルが85dB未満となるよう努めること。
なお、作業環境を改善するための措置を講じたときは、その効果を確認するため、当該場所について改めて推計又は定点測定若しくは個人ばく露測定を行うこと。
イ 騒音作業に従事する労働者に聴覚保護具を使用させた上で、その使用状況を管理者に確認させるとともに、聴覚保護具の使用について、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、当該作業場の見やすい場所に掲示すること。
3 推計結果等の記録
事業者は、推計を実施したときは、その都度、次の事項を記録して、これを3年間保存すること。
① 推計日時
② 推計方法
③ 推計対象となる騒音作業
④ 推計箇所
⑤ 推計条件
⑥ 推計結果
⑦ 推計を実施した者の氏名
⑧ 推計結果に基づいて措置を講じたときは、当該措置の概要
騒音障害防止のためのガイドラインの解説
本解説は、「騒音障害防止のためのガイドライン」の趣旨、運用上の留意点及び内容の説明を記したものである。
1 「2 騒音作業」について
「騒音作業」とは、別表第1及び別表第2に掲げる作業場における業務をいい、騒音を発する機械、工具等を操作する業務に限らず、当該作業場において行われるその他の業務を含むものである。
別表第1は、労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第588条及び第590条の規定に基づき、6月以内ごとに1回、定期に、等価騒音レベルを測定することが義務付けられている屋内作業場を掲げたものであり、別表第2は、労働安全衛生規則上の義務付けはなされていないが、等価騒音レベルが85dB以上になる可能性が大きい作業場を掲げたものである。
2 「5 労働衛生管理体制」について
(1) 騒音障害防止対策の管理者
騒音障害防止対策の管理者として選任できる者には、衛生管理者、安全衛生推進者のほか、ライン管理者、職長等が含まれる。
(2) 元方事業者が行う指導・援助
元方事業者が行う「指導・援助」とは、例えば、関係請負人が使用する機械・工具は低騒音なものを選定するよう促す、工事現場において関係請負人へ支給・貸与する設備等の騒音によるばく露を低減するための措置を講ずる、聴覚保護具の使用が求められる関係請負人の労働者に対してその着用を促す、関係請負人に対する教育や健康診断に関する情報提供や受講・受診機会を提供するよう配慮すること等がある。
3 「6 作業環境管理」について
(1) 用語
ア 騒音レベル
音は音圧で表すことができ、騒音レベルは、特定の時間tにおける、A特性音圧の実効値の2乗を基準の音圧の2乗で除した値の常用対数の10倍で、次の式による(JIS Z8731:2019)。
騒音レベルは、デシベル(dB)で表す。
PA(t):A特性音圧の実効値(Pa)
PO:基準の音圧(20μPa)
イ 等価騒音レベル
等価騒音レベルは、ある時間T(t1~t2)について、変動する騒音の騒音レベルをエネルギー的な平均値として表した量で、次の式による(JIS Z8731:2019)。
等価騒音レベルは、デシベル(dB)で表す。
PA(t):A特性音圧の瞬時値(Pa)
PO:基準の音圧(20μPa)
等価騒音レベルの物理的意味は、図1に示すように、時間とともに変動する騒音(LA(t))がある場合、そのレベルを、ある時間(T=t2-t1)の範囲内でこれと等しいエネルギーをもつ定常騒音の騒音レベルで表現する(図1の斜線部)ということである。
等価騒音レベルは、一般環境や作業環境における騒音の大きさを表す代表値として広く用いられている。
図1 等価騒音レベルの意味
(2) 等価騒音レベルの測定
ア 等価騒音レベルの測定については、特に測定の実施者を定めていないが、測定結果が対策の基礎となることから、適正に行う必要がある。このため、当該測定は、作業環境測定士や衛生管理者等、事業場における労働衛生管理の実務に直接携わる者に実施させるか、又は作業環境測定機関に委託して実施することが望ましい。
イ 等価騒音レベルは、積分型騒音計を用いれば直接求めることができるが、普通騒音計を用いて、実測時間全体にわたって一定時間間隔画像4 (7KB)
tごとに騒音レベルを測定し、その結果から次の式により求めることもできる。
、・・・画像9 (8KB)
:騒音レベルの測定値
n:測定値の総数
ウ 作業環境測定について、A測定は、単位作業場所の平均的な作業環境を調べるのが目的であるので、作業が定常的に行われている時間に行う必要がある。また、時間の経過に伴う作業環境の状態の変化も同時に調べるために、測定点ごとに測定時刻をずらして行うのが望ましい。
しかし、単位作業場所によっては、平均的な作業環境状態からは予測しにくい大きい騒音にさらされる危険がある。B測定は、このような場合を想定し、音源に近接する場所において作業が行われる単位作業場所にあっては、その作業が行われる時間のうち、騒音レベルが最も大きくなると思われる時間に、当該作業が行われる位置における等価騒音レベルを測定するものである。
エ 等価騒音レベルの推計で用いる音響パワーレベルは、機械等に貼付されたシールや銘板、カタログ、取扱説明書、ウェブサイト等で表示されていることがある。
また、音響パワーレベルではなく、特定位置における音圧レベルが表示されている場合もある。この場合は、式Lp=Lw-20log10r-8のLpに音圧レベルを、rに特定位置までの距離を代入することにより、音響パワーレベル(Lw)の概算値を求めることができる。
オ 「騒音源が移動する場合等」とは、例えば、手持動力工具を使用する場合等が想定される。手持動力工具を使用する業務を行う作業場については、別紙3「個人ばく露測定による等価騒音レベルの測定」に基づき、測定、措置及び記録を行うことが望ましい。
カ 屋外作業場においては、日々作業内容が変わることが考えられるが、「施設、設備、作業工程又は作業方法を変更した場合」とは、例えば、基礎工事から仮設工事に作業工程が移行する場合等、大きな工程の変更があった場合が想定される。また、関係請負人が騒音源となる機器を作業場に持ち込む度に測定を行う必要はなく、騒音源となる機器に着目し、6月以内に他の工事現場等で実施した測定結果又は推計結果がある場合は、当該結果を準用できるものとする。
キ 別表第2に掲げる作業場であって、「第Ⅰ管理区分に区分されることが継続している」及び「等価騒音レベルが継続的に85dB未満である」とは、測定の結果、単に第Ⅰ管理区分に区分される又は等価騒音レベルが85dBを下回るだけでなく、毎日の機械等の運転状況や様々な作業状況に照らして、継続して第Ⅰ管理区分に区分される又は等価騒音レベルが85dB未満である可能性が非常に高い場合に限られるものである。
(3) 結果に基づく措置
ア 施設、設備、作業工程等における騒音発生源対策及び伝ぱ経路対策並びに騒音作業に従事する労働者に対する受音者対策の代表的な方法は表1のとおりである。