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○全国健康保険協会における電子化文書の取扱いについて
(令和5年3月31日)
(保保発0331第2号)
(全国健康保険協会理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)
(公印省略)
法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により保存を行うことについては、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)、関係政令及び省令において、その取扱いが規定されているところである。
今般、貴会の電磁的方法による情報処理の促進を図るとともに、書面の保存等に係る負担の軽減等のため、貴会が紙媒体により取得・作成した文書等について、スキャナ等で適切に読み取ること等により、電子化文書として管理する場合の取扱いを下記のとおり定めたので、内容について御了知の上、遺漏のないよう対応いただきたい。
記
1.目的
本通知は、紙媒体により取得・作成した文書等を電子化文書として管理することにより、取得・作成から保存までの業務を一貫して電子データで完結させ、電磁的方法による情報処理の促進を図っていくとともに、文書の所在把握、履歴管理や検索を容易にし、書面の保存等に係る負担を軽減することで、全国健康保険協会における文書管理業務の効率性を向上させていくことを目的とし、本通知の要件を満たすことにより、電子化文書を正本として管理することができるものとする。
2.定義
本通知における定義は、以下のとおりとする。
(1) 「紙媒体により取得・作成した文書等」について
全国健康保険協会が、業務上、紙媒体で取得・作成した文書や図面などをいう。
(2) 「電子化文書」について
紙媒体により取得・作成した文書等を全国健康保険協会においてスキャナ等で適切に読み取ること等により、電子計算機を用いて確認するPDF等の文書等をいう。
3.電子化文書の変換に当たっての留意点
(1) 電子化文書の変換に当たっては、これにより業務が複雑化・非効率化しないよう事務を見直すこと。
(2) 電子化文書へ変換する際は、当該電子化文書について電子計算機又はその他の機器を用いて、直ちに明瞭かつ整然とした形式で表示・出力することができるよう、以下の措置を講ずること。
① 電子化文書は、紙媒体の文書と同程度の見読性が維持されるような解像度(300dpi以上が適当)とすること。
② 紙媒体の文書が多色刷りの文書の場合は、色付けの意味、見読性等を勘案し、原則として、フルカラー(RGBカラー)で読み取り等を行うこと。ただし、多色での保存の必要性が乏しい場合は、白黒又はグレースケールで読み取り等を行うことも可能である。
③ 電子化文書へ変換する際は、ページの脱漏や自動給紙装置による損傷などを防ぐため、また、文書の順番や構成を維持するため、読み取り等を行う前に文書の状態を確認するとともに、読み取り後も媒体変換の前後でページや文字の脱漏、見読性を損ねる汚れ等がないことを確認すること。
(3) 電子化文書について、必要なときに直ちに検索をすることができる措置を講ずること。
(4) 電子化文書に記録された事項について、法令、通知及び規程等で定めた保存すべき期間(以下「保存義務期間」という。)において当該電子化文書の改変又は消去を抑止する措置を講ずること。
4.変換後の電子化文書等の管理について
(1) 電子化文書の管理について
① 電子化文書を管理するに当たっては、記録された事項について、保存義務期間中に滅失し、又はき損することを防止し復元可能な状態で保存することができる措置を講ずること。
② 電子化文書を管理する上で、不正アクセスや故意又は過失による情報の漏洩等を防ぐため、必要な範囲内で当該文書へのアクセス等を制限することによって、アクセスを認められた者だけがこれにアクセスできる状態を確保する措置を講ずること。
③ 暗号化されパスワードが設定された電子化文書は、引継ぎ漏れ等を防ぐため、担当者間でパスワードを引き継ぐか、引継ぎ時に暗号化を解除し、再度暗号化するなど、利用可能な状態を確保する措置を講ずること。
(2) 変換前の文書等(紙媒体)の管理について
変換前の文書等(紙媒体)は、全国健康保険協会において保存期間を定め管理すること。
ただし、実地指導監査等において、電子化文書を確認できる環境が整備されている場合は、処分や契約の完結又は帳簿の使用の終了等の完結の日より2年間はこれを保存すること。
5.ソフトウェアにおける取扱いについて
3(2)から(4)まで及び4(1)の措置については、要件を満たすソフトウェアを用いて行う場合も含むものとする。
6.適用開始日
本通知における取扱いの適用開始日については、令和5年4月1日とする。
7.その他
(1) 電子化文書の取扱いについては、別表の法令等により別途取扱いが示されている場合はそれに従い適切に対応すること。なお、法令等で規定する要件が本通知で求める要件を満たさない場合においても、同一の要件で管理することで全国健康保険協会における電子化文書の効率的な管理に繋がるため、本通知に合わせて管理することが望ましい。
(2) 変換前の文書等(紙媒体)の保存期間などについては、規程により定めること。
(3) 適用開始日以前から紙媒体により取得・作成した文書等を電子化文書として管理する場合は、適用開始日以降、本通知の取扱いに準じて変換を実施すること。
【別表】電子化文書に係る主な法令等
法令及び通知 |
電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律((平成10年法律第25号)(電子帳簿保存法) |
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)(e文書法) |
厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年厚生労働省令第44号) |
全国健康保険協会における診療報酬明細書及び調剤報酬明細書の紙以外の媒体による保存について(平成15年3月7日付け保保発第0307002号) |
上表に限らず電子化文書に係る取扱いを定めた法令等がある場合は、当該法令等の規定に従い適切に対応すること。