添付一覧
○医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について
(令和5年3月31日)
(薬生発0331第14号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
(公印省略)
本日、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第61号。以下「改正省令」という。)が公布され、令和5年4月1日に施行されます。改正内容等は下記のとおりですので、御了知の上、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その実施に遺漏なきよう、お願いいたします。
記
第1 登録販売者の管理者要件の一部見直し等
1 改正内容
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「施行規則」という。)第140条第1項及び第149条の2第1項の規定により、登録販売者は、過去5年間のうち薬局、店舗販売業又は配置販売業において一般従事者(その薬局、店舗又は区域(以下「店舗等」という。)において実務に従事する薬剤師又は登録販売者以外の者をいう。以下同じ。)として薬剤師又は登録販売者の管理及び指導の下に実務に従事した期間並びに登録販売者として業務(店舗管理者又は区域管理者(以下「店舗管理者等」という。)としての業務を含む。以下同じ。)に従事した期間(以下「従事期間」という。)が通算して2年以上の場合(従事期間が通算して2年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある場合を除く。)に、店舗管理者等になることができることとしている。
今般の見直しにおいては、当該要件に加えて、過去5年間のうち従事期間が通算して1年以上であり、施行規則第15条の11の3第1項、第147条の11の3第1項又は第149条の16第1項に定める継続的研修並びに店舗又は区域の管理及び法令遵守に関する追加的な研修を修了した場合には、店舗管理者等になることができることとした。また、従事期間が通算して1年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある場合には、店舗管理者等になることができることとした。
このほか、店舗販売業者等は、その店舗等において業務に従事する登録販売者に、研修を毎年度受講させなければならないことを店舗販売業者等の遵守事項として、施行規則において明確化した。
2 留意事項
(1) 従事期間の取扱い
改正省令により、過去5年間のうち通算して1年以上2年未満の従事期間で店舗管理者等となることを希望する登録販売者の従事期間は、月単位で計算することとし、1か月に160時間以上従事した場合に、店舗管理者等になるにあたり必要な実務又は業務に従事したものと認められることとした。
ただし、従事すべき就業時間に関しては、過去5年間において、月当たりの時間数にかかわらず月単位で従事した期間が通算して1年以上あり、かつ、合計1,920時間以上従事した場合は、1年以上の従事期間を満たした登録販売者とみなして差し支えない。なお、季節による疾病の変化等を踏まえた業務を経験する観点から、特定の時期に従事期間が集中する一方で特定の時期の従事期間が不足するといった偏りのある状況は望ましくなく、1年間を通じて均等に従事することが望ましい。
(2) 追加的研修の取扱い
ア 追加的研修の受講対象者について
過去5年間のうち通算して1年以上2年未満の従事期間で店舗管理者等となることを希望する登録販売者を主な対象とする。ただし、それ以外の登録販売者が受講することを妨げない。なお、過去5年間のうち従事期間が通算して2年以上の登録販売者における店舗管理者等の要件については従前のとおりであり、店舗管理者等となるために追加的研修の修了は必要としないものの、店舗管理者等の資質向上の観点から受講させることが望ましい。
イ 追加的研修の内容等
店舗等の管理及び法令遵守に関する追加的研修は、次に掲げる事項について講義・演習により行うこと。
① ガバナンス、法規、コンプライアンス等の基本的知識に関する講義
② 販売現場、店舗等の管理に即したコミュニケーションに関する演習
③ ①及び②を踏まえた、店舗管理者等に求められる対応についてのケーススタディ
追加的研修の時間については、①、②及び③で合計6時間以上行うこと。
なお、実施方法については対面、オンラインのいずれの方法でも差し支えないが、オンラインで実施する場合は、映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法により行うこと。
また、研修の内容等については、令和4年度厚生労働科学研究費補助金医薬品・医療機器等レギュラトリ―サイエンス政策研究事業「店舗販売業者等の管理者に求められる資質の研究」において検討を行ったものであり、当該研究においてとりまとめた、別添「店舗販売業等の管理者となる登録販売者の要件の見直しに関する提言」も参考にすること。
ウ 追加的研修の修了の確認等
追加的研修の研修実施機関は、研修参加者の追加的研修の修了に当たり、試験、レポートその他の方法により、研修参加者の追加的研修内容の習得を確認し、修了証等を研修参加者に対し交付することで、修了認定を適切に行うこと。
また、店舗販売業者等は、受講対象者が追加的研修を受講したことを修了証等で確認し、その旨を適切に記録・保存すること。
エ 追加的研修の研修実施機関
追加的研修の研修実施機関は、追加的研修の実施に当たり、施行規則第15条の11の3第1項、第147条の11の3第1項又は第149条の16第1項に定める継続的研修に準じて厚生労働大臣にあらかじめ届出を行う必要があること。また、届出及び追加的研修の実施に当たっての留意事項等については、「登録販売者に対する研修の実施要領について」(令和5年3月31日付け薬生総発0331第6号厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知)を参照すること。
(3) 従業者の区別等
店舗販売業者等は、施行規則第15条、第147条の2又は第149条の6に基づいて、過去5年間のうち従事期間が通算して2年未満の登録販売者(従事期間が通算して2年以上であり、かつ、過去に店舗管理者等として業務に従事した経験がある場合を除く。以下「研修中の登録販売者」という。)については、その旨が容易に判別できるよう必要な表記をするとともに、薬剤師又は研修中の登録販売者以外の登録販売者の管理及び指導の下実務に従事させなければならないこととしていたところ、1の登録販売者の管理者要件の見直しを踏まえ、新たに店舗管理者等の要件を満たす登録販売者については、当該取扱いを不要とした。
(4) その他
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第28条第3項及び第31条の2第3項の規定により、店舗管理者等は必要な能力及び経験を有する者でなければならないこととしており、「「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」について」(令和3年6月25日付け薬生発0625第13号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)のガイドラインの第4の1に規定する事項を踏まえ、店舗販売業者及び配置販売業者は適切に管理者を選任する必要がある。
そのため、店舗販売業者及び配置販売業者は、改正省令により新たに店舗管理者等の要件を満たすこととなった、従事期間が1年以上2年未満の登録販売者について、新たに店舗管理者等となるとき及び従前の要件である従事期間が2年となったときに当該者の資質を適切に確認することが望ましい。
また、店舗管理者等として従事させるに当たっては、当該店舗等に勤務する登録販売者その他従業者に対する業務の指示及び監督等の店舗等の管理に係る業務を適切に行うため、直近において一定の実務又は業務経験及び外部研修の受講実績があることが望ましい。
3 関連通知
改正省令を踏まえ、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成26年8月19日付け薬食発0819第1号厚生労働省医薬食品局長通知)を廃止し、当該通知における取扱いを一部改めた上で、「登録販売者制度の取扱い等について」(令和5年3月31日付け薬生発0331第16号)を定め、令和5年4月1日から適用する。
第2 サイバーセキュリティの確保
1 改正内容
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「施行規則」という。)第11条第2項第1号において、薬局の管理者が遵守すべき事項として、保健衛生上支障を生ずるおそれのないよう、その薬局の構造設備及び医薬品その他の物品を管理し、その他その薬局の業務につき必要な注意をすることが規定されている。
昨今、医療機関に対するサイバー攻撃が増加しており、サイバー攻撃により診療が停止する事案が発生したこと、また、サイバー攻撃により医療に関する患者の個人情報が窃取されるなどの甚大な被害がもたらされる可能性があること等を踏まえ、医療機関におけるサイバーセキュリティ対策に関する取組の実効性を高める必要が生じている。
これに関して、第12回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ(令和4年9月5日開催)でとりまとめられた「医療機関のサイバーセキュリティ対策の更なる強化策」において、医療機関の管理者が遵守すべき事項として、サイバーセキュリティ対策を位置付けるための省令改正を令和4年度中に行うこととされたところである。
当該状況を踏まえ、薬局においても同様にサイバーセキュリティ対策に関する取組の実効性を高めることが適切であるため、施行規則第11条第2項に基づく薬局の管理者の遵守事項として、サイバーセキュリティの確保について必要な措置を講じることを明確化することとした。
2 薬局におけるサイバーセキュリティの確保を講じる措置の遵守
薬局におけるサイバーセキュリティの確保に必要な措置については、最新の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下「安全管理ガイドライン」という。)を参照の上、サイバー攻撃に対する対策を含めセキュリティ全般について適切な対応を行うこと。
なお、安全管理ガイドラインに記載されている内容のうち、優先的に取り組むべき事項については、厚生労働省において別途チェックリストを作成し、後日通知する。
[別添]
店舗販売業等の管理者となる登録販売者の要件の見直しに関する提言
1 はじめに
本研究班では、店舗販売業及び配置販売業(以下「店舗販売業等」という。)の管理者である登録販売者が、法令を遵守して業務を遂行するために必要な能力・経験等が確保できるよう、登録販売者に係る研修のあり方の検討を行っている。
今般、規制改革実施計画(令和4年6月7日閣議決定)において、店舗販売業の管理者となる登録販売者の要件を「過去5年以内のうち「2年以上」かつ「1,920時間以上」の実務経験が必要とされる登録販売者に係る店舗管理者要件について、一定の追加的なオンライン研修などを条件としつつ、「2年以上」の要件を「1年以上」へと見直す」こととされた。
そこで、登録販売者に係る関係団体からのヒアリングを行い、ヒアリング内容を踏まえて、店舗販売業等の管理者となる登録販売者の要件の見直しについて提言を行う。
2 要件の見直しにより生じる制度の変更点
見直しによる管理者要件を満たせば、
(1) 研修中の名札を外すことができる
(2) 店舗販売業者等から選任されれば管理者になることができる
(3) 実務経験及び業務経験が2年未満でも研修中の登録販売者の管理及び指導を行うことができる
(4) 上記の変更点は、店舗管理者のみならず区域管理者にも適用される
3 要件の見直しに伴う課題
管理者となる登録販売者に求められる実務経験(一般従事者としての経験)又は業務経験(登録販売者としての経験)(以下「実務・業務経験」という。)が「2年以上」から「1年以上」に見直されることにより、現行制度に比べ短期間の実務・業務経験で管理者となった場合に、以下の事項が懸念される。
(1) 管理者又は管理代行者の管理・指導の下に従事する期間が短縮され、且つ年12時間以上受講する研修の受講の機会が減少することから、具体的な店舗等の管理方法等の管理者に求められる知識が不足すること。
(2) 一般用医薬品の販売においては、季節ごとに異なる医薬品を取り扱うことから、医薬品販売における季節性に関する経験が不足すること。
(3) 店舗等におけるアクシデントや医薬品等に関する苦情への対応など、生活者や他の従業員等とのコミュニケーション等の経験が不足すること。
4 要件の見直しの条件
○ 規制改革実施計画においては、店舗販売業の店舗管理者となる登録販売者の要件を見直すこととされているが、現状、配置販売業の区域管理者となる登録販売者についても同じ要件が課されていることから、同様に見直すべきであると考えられる。
○ その上で、上記3で挙げた不足事項を補うために、追加的な研修を行うことが適当であると考えられる。
5 追加的研修
○ 追加的研修のあり方について、次のとおり提言する。
実施主体 |
店舗販売業者又は配置販売業者(以下「店舗販売業者等」という。)以外の第三者が実施する研修(令和4年4月から義務化された登録販売者に対する研修を実施することとして厚生労働大臣に届け出ている機関) |
時間数 |
6時間以上 |
実施方法 |
対面又はオンライン(講師と受講者、受講者同士がリアルタイムでやりとりできる双方向性が確保できる方法に限る) |
研修内容 |
①ガバナンス、法規、コンプライアンス等の基本的知識に関する講義 ・店舗・区域管理において求められるガバナンス、法令遵守の具体的内容と対応 等 ②販売現場、店舗・区域管理に即したコミュニケーションに関する演習 ・アクシデント・クレームへの対応や店舗・区域マネジメントに関する演習 等 ③ケーススタディ ・①及び②を踏まえて、店舗・区域管理者に求められる医薬品の販売マネジメント(例:店舗・区域の管理、不適切な医薬品使用への管理者としての対応、店舗販売業者等への意見申述が必要な事例等)に具体的に対応するレポート作成及び検討 等による受講者参加型の能動的学習 |
受講対象 |
1年以上2年未満の実務・業務経験で店舗・区域管理者になろうとする者(2年以上の実務・業務経験を有する者も受講可) |
6 登録販売者の資質向上及び制度の適正な運用のために
○ 従前のとおり2年以上の実務・業務経験を有している登録販売者については、店舗販売業等の管理者となる場合に本研修を受講する義務はないが、資質向上に資するものであることから、受講することが望ましい。
○ 店舗販売業者等は、管理者の選任責任があることから、管理者の資質を継続的に評価し、担保する必要があることに変わりはないが、2年未満の実務・業務経験で管理者となる要件を満たした登録販売者の資質については、追加的研修の内容を踏まえて、以下の時期に確認を行うことが適切である。
・新たに管理者となるとき
・見直し前の要件である2年の実務・業務経験を満たしたとき
○ また、管理者要件を満たしていない者に対して店舗販売業者等が行う実務・業務経験の証明は、管理及び指導に携わった薬剤師又は管理者要件を満たした登録販売者に確認した上で、適切に行われる必要がある。
○ 管理者は、その店舗等に勤務する従業者を監督し、店舗等の医薬品及びその他の物品を管理し、その業務について必要な注意をすること等の責務があることから、要件の見直し後も追加的研修のみならず継続的な実務・業務経験の獲得が必要である。
○ 登録販売者は、十分な知識経験をもとに一般用医薬品の販売と適正使用に携わる薬剤師以外の専門家であることから、管理者要件を満たすことにとどまらず、引き続き資質向上に向けた研鑽を継続することが求められる。
○ 追加的研修は1年の従事経験で現場の責任者になることを予定した研修である。店舗販売業等の管理者は、店舗販売業者等に対して必要な意見を述べる立場にあることから、自発的に意見を述べることができるように、同研修の受講者は、内外から広く意見を取り入れ、柔軟性をもった考え方を身に付けることが望まれる。