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○「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドラインについて」の一部改正について
(令和5年3月31日)
(/医政地発0331第4号/医政医発0331第3号/)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局地域医療計画課長・厚生労働省医政局医事課長通知)
(公印省略)
令和6年度から開始される第8次医療計画について、各都道府県において、令和5年度にその策定が行われることから、令和3年6月より「第8次医療計画等に関する検討会」において、議論を進め、令和4年12月に意見の取りまとめが行われました。今般、当該意見の取りまとめ等を踏まえ、「医師確保計画策定ガイドライン及び外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドラインについて」(平成31年3月29日付け医政地発0329第3号厚生労働省医政局地域医療計画課長、医政医発0329第6号厚生労働省医政局医事課長連名通知)別添「医師確保計画策定ガイドライン」及び「外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン」を本日付けで別紙1及び2のとおり改正することとしました。
貴職におかれては、内容について十分御了知の上、管内市町村(特別区を含む。)をはじめ、関係者、関係団体等に周知いただくとともに、その取扱いに遺漏なきようお願いします。
別紙1
別紙2
参考1
医師確保計画策定ガイドライン
~第8次(前期)~
令和5年3月
〔目次〕
1.序文
1―1.医師確保計画を通じた医師偏在対策の必要性と方向性
1―2.医師確保計画の全体像
1―3.医師確保計画の策定に当たっての留意事項
1―4.医師確保計画の策定スケジュール
1―5.医師確保計画の策定手続のイメージ
1―6.医師確保計画における記載事項
2.医師確保計画の策定を行う体制等の整備
3.医師偏在指標
3―1.現在時点の医師偏在指標
3―2.将来時点の医師偏在指標
4.医師少数区域・医師多数区域の設定
4―1.医師少数区域・医師多数区域の設定についての考え方
4―2.医師少数スポット
5.医師確保計画
5―1.計画に基づく対策の必要性
5―2.医師確保の方針
5―2―1.方針の考え方
5―2―2.医師確保の方針の具体的な内容
5―2―3.留意事項
5―2―4.具体的な事例
5―3.目標医師数
5―3―1.目標医師数
5―3―2.将来時点における必要医師数
5―3―3.留意事項
5―4.目標医師数を達成するための施策
5―4―1.施策の考え方
5―4―2.医師の派遣調整
5―4―3.キャリア形成プログラム
5―4―4.医師の働き方改革を踏まえた医師確保対策と連携した勤務環境改善支援及び子育て医師等支援
5―4―5.地域医療介護総合確保基金の活用
5―4―6.その他の施策
6.医学部における地域枠・地元出身者枠の設定・取組等
6―1.地域枠・地元出身者枠の設定・取組の考え方
6―2.各都道府県において必要な地域枠・地元出身者枠の数について
6―3.地域枠の選抜方式等について
7.産科・小児科における医師確保計画
7―1.産科・小児科における医師偏在指標及び医師偏在対策の基本的な考え方
7―2.産科・小児科における医師偏在指標の設計
7―2―1.産科における医師偏在指標の設計
7―2―2.小児科における医師偏在指標の設計
7―2―3.指標の作成手続
7―3.相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域の設定
7―4.産科・小児科における医師確保計画の策定
7―4―1.産科・小児科における医師確保計画の考え方
7―4―2.産科・小児科における医師確保の方針
7―4―3.産科・小児科における偏在対策基準医師数
7―4―4.産科・小児科における偏在対策基準医師数を踏まえた施策
8.医師確保計画の効果の測定・評価
1.序文
1―1.医師確保計画を通じた医師偏在対策の必要性と方向性
○ 医師の偏在は、地域間、診療科間のそれぞれにおいて、長きにわたり課題として認識されながら、現時点においても解消が図られていない。平成20年度(2008年度)以降、地域枠を中心とした全国的な医師数の増加等を行ってきたが、医師偏在対策が十分図られなければ、地域や診療科といったミクロの領域での医師不足の解消にはつながらない。
○ このため、医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会において、早急に対応する必要のある実効的な医師偏在対策について、法改正が必要な事項も含め検討を行い、平成29年(2017年)12月に第2次中間取りまとめを公表した。平成30年(2018年)3月には、第2次中間取りまとめで示された具体的な医師偏在対策について、「医療法及び医師法の一部を改正する法律案」を第196回通常国会に提出し、同年7月に成立した(以下「改正法」という。)。
○ 改正法に基づき、全国ベースで三次医療圏ごと及び二次医療圏ごとの医師の多寡を統一的・客観的に比較・評価した指標(以下「医師偏在指標」という。)が算定され、都道府県において、2019年度中に医療計画の中に新たに「医師確保計画」として三次医療圏間及び二次医療圏間の偏在是正による医師確保対策等を定め、2020年度から当該計画に基づく取組が行われている。
○ 3年ごとに医師確保計画の実施・達成を積み重ね、その結果、2036年までに医師偏在是正を達成すること1を医師確保計画の長期的な目標とし、都道府県は、本ガイドラインで示す医師確保計画の考え方等を参考に、地域の実情に応じた実効性ある医師確保計画の策定に努められたい。
○ なお、2024年4月より開始する医師に対する時間外・休日労働時間の上限規制を踏まえ、医師の働き方改革と地域医療提供体制を両立させることが重要であることから、各病院又は診療所における医師の働き方改革に関する取組を推進するだけでなく、地域医療構想に関する取組及び医師確保の取組を一体的に推進するための体制整備等の必要性についても留意願いたい。
1―2.医師確保計画の全体像
○ 厚生労働省が示す医師偏在指標の計算式・計算結果に基づき、都道府県において医師偏在指標を定め、この医師偏在指標に基づき、二次医療圏のうちから医師少数区域・医師多数区域を設定する。
○ 都道府県内の医師少数区域・医師多数区域の状況によって、都道府県内の調整により医師確保を図る必要があるか、他の都道府県からの医師確保も必要となるかが異なるため、二次医療圏ごとに医師確保の方針について定めたうえで、具体的な目標医師数を設定する。
○ 目標医師数を達成するために必要な施策についても、具体的に医師確保計画に盛り込む必要がある。都道府県内の大学の状況などにより採るべき施策に地域差が生じることから、地域医療対策協議会においてよく協議されたい。なお、本ガイドラインに記載した具体的方策の例示も参考にされたい。
○ 医師偏在指標は、エビデンスに基づき、人口10万対医師数よりも医師の偏在の状況をより適切に反映するものとして、医師偏在対策の推進において活用されるものである。しかしながら、医師偏在指標の算定に当たっては、一定の仮定が必要であり、また、入手できるデータの限界などにより、指標の算定式に必ずしも全ての医師偏在の状況を表しうる要素を盛り込めているものではない。このため、医師偏在指標の活用に当たっては、医師の絶対的な充足状況を示すものではなく、あくまでも相対的な偏在の状況を表すものであるという性質を十分に理解した上で、数値を絶対的な基準として取り扱うことや機械的な運用を行うことのないよう十分に留意する必要がある。また、医師偏在指標の活用に当たっては、地域医療構想の推進や医師の働き方改革も踏まえた一体的な議論が重要であることから、地域の実情に合わせた医療提供体制の維持を十分に考慮すること。
○ なお、三次医療圏ごとの医師偏在指標に基づいて都道府県単位でも医師少数都道府県や医師多数都道府県を設定し、医師確保の方針、目標医師数及び施策を定めることとする。その策定は、医師確保計画等が都道府県による企画の下、都道府県単位で設置された医療審議会や地域医療対策協議会での協議を経て定められるものであることを踏まえ、都道府県単位で行うものとする。
○ また、医師全体の医師確保計画とは別に、産科及び小児科に限定した医師確保計画についても定めることとする。
1―3.医師確保計画の策定に当たっての留意事項
(1) 医療計画におけるその他の記載事項との関係
○ 医師確保計画は、医療計画の一部であることから、その策定に当たっては、へき地の医療、周産期医療、小児医療等を含む医療計画との整合性に留意する必要がある。
○ 医師確保計画とへき地の医療計画を連動させるため、地域医療支援センターとへき地医療支援機構の統合も視野に、へき地に所在する医療機関への派遣を含めたキャリア形成プログラムの策定など、へき地も含め地域で一体的な医師確保を実施することとする。
(2) 地域医療構想との関係
○ 2025年の地域医療構想の実現に向け、第8次医療計画(2024年度~2029年度)の策定作業と併せて、2022年度及び2023年度において、地域医療構想に係る民間医療機関も含めた各医療機関の対応方針の策定や検証・見直しが行われているところである。地域でどの程度医師確保を行うべきかについては、こうした医療機関の再編・統合等の方針によっても左右されることから、医師確保計画の策定に当たってはこの点に留意する必要がある。
○ 医師確保計画は、都道府県が、二次医療圏の医療提供体制の整備を目的として策定するものである。個別の医療機関の医師の確保については、地域医療構想調整会議等において議論された、医療機関ごとの機能分化・連携の方針等を踏まえ、地域における医療提供体制の向上に資する形で地域医療構想と整合的に行われるよう留意しなければならない。
(3) 医師の働き方改革との関係
○ 労働基準法(昭和22年法律第49号)に基づく診療に従事する医師に対する時間外・休日労働時間の上限規制が、2024年4月から適用される。医師の労働時間の短縮のためには、個別の医療機関における取組だけでなく、地域医療提供体制全体として、医師確保の取組を進めることが求められる。このため、「医師の労働時間短縮等に関する指針」(令和4年厚生労働省告示第7号)等を踏まえ、各医療機関における医師の勤務環境の改善と地域全体における医師確保対策を一体的に推進していくことが必要となる。
(4) 大学や医師会等との連携
○ 地域における医療提供体制の整備については、大学や医師会、地域の中核病院等との連携が重要であり、都道府県はこれらの関係者と、地域医療対策協議会等の場で合意を得た上で医師確保計画を策定しなければならない。また、策定された医師確保計画に沿って行われる医師確保対策について、大学や医師会、地域の中核病院等は協力して支援を行うことが医療法(昭和23年法律第205号)第30条の27に規定されている。
1―4.医師確保計画の策定スケジュール
○ 2024年度から始まる第8次医療計画における医師確保計画(以下「第8次(前期・後期)医師確保計画」という。)の策定スケジュールのイメージは次のとおりである。
時期 |
|
2022年度 |
・厚生労働省が医師偏在指標(暫定値)を算出 ※暫定値では、2022年現在の二次医療圏を前提とした医師偏在指標の計算を行い、上位及び下位33.3%の基準となる指標の閾値を確定 |
2023年 |
・都道府県が第8次医療計画策定に当たり二次医療圏、周産期医療圏及び小児医療圏の見直しを検討 |
9月まで |
・都道府県において、二次医療圏等の見直しを行う場合、見直し後の二次医療圏等間における患者の流出入を厚生労働省に報告(二次医療圏等の見直しを行わない場合は、暫定値を確定値とする) |
報告後順次 |
・都道府県の報告を踏まえ、厚生労働省において、当該見直しが行われる二次医療圏の医師偏在指標(確定値)を算定 ・都道府県は、当該確定値と2022年度に確定された閾値を比較して、医師多数区域・医師少数区域の判断を行う |
3月まで |
・都道府県が地域医療対策協議会との共有、都道府県医療審議会への意見聴取を経て、医師確保計画を策定・公表 ・厚生労働省が都道府県向けの医師確保計画策定研修会等を随時実施 |
2024年度 |
・都道府県において、第8次(前期)医師確保計画に基づく医師偏在対策開始 |
2025年度 |
・国が第8次(後期)医師確保計画策定に向けた、医師確保計画見直しについての指針を作成、公表予定 |
2026年度 |
・都道府県が第8次(後期)医師確保計画を策定・公表 |
2027年度 |
・都道府県において、第8次(後期)医師確保計画に基づく医師偏在対策開始 |
※都道府県は、第8次医療計画策定の際に先行して二次医療圏の見直しについて議論し、見直す場合は9月までに厚生労働省に報告することとしているが、この報告までの期間を短縮することで、厚生労働省が早期に医師偏在指標を算定し、都道府県に提供することが可能となる。このため、見直しの結果を可能な限り速やかに報告すること。
1―5.医師確保計画の策定手続のイメージ
1―6.医師確保計画における記載事項
○ 医師確保計画には、医療法第30条の4第2項第11号に基づき、次の事項を記載する必要がある。
・ 都道府県及び二次医療圏ごとの医師の確保の方針
・ 都道府県及び二次医療圏ごとの確保すべき医師の数の目標(目標医師数)
・ 目標医師数を達成するための施策
○ 医師確保計画に、地域枠等の設置による長期的な医師確保の施策を記載する場合は、その根拠として、将来時点(2036年)における医師数との関係を記載することが望ましい。
○ また、第7次医療計画における医師確保計画(2020~2023年度)策定時の医師確保計画策定ガイドラインを踏まえ、第8次(前期)医師確保計画(2024~2026年度)には、第7次医師確保計画に係る評価結果を記載すること。
――――――――――
1 医師確保計画においては、「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 第5次中間取りまとめ」における、将来の医師需給推計(以下「マクロ需給推計」という。)に基づき、2036年時点において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の医師偏在指標の値(全国値)を算出し、医療圏ごとに、医師偏在指標が全国値と等しい値になることを、医師偏在是正の目標とする。
2.医師確保計画の策定を行う体制等の整備
○ 医師確保計画は医療計画の一部であることから、その策定に当たっては、医師会等の診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴くとともに、都道府県医療審議会2、市町村及び保険者協議会3の意見を聴く必要がある4。
○ また、医師確保計画の策定段階から地域の医療関係者、保険者及び患者・住民の意見を聴く必要があることから、都道府県においては、パブリックコメントやヒアリング等の手法により、患者・住民の意見を反映する手続をとることが望ましい。なお、医療審議会での協議に先立ち、医師確保計画策定後を見据えて、医療従事者の確保を図るための方策について検討を行う場として都道府県ごとに設置されている地域医療対策協議会の意見を反映することも必要である。
○ 現行の医療計画の策定プロセスと同様に、医師確保計画の策定に当たっても、都道府県医療審議会の下に専門部会やワーキンググループ等を設置して集中的に検討することが考えられるが、そのメンバーについては、代表性を考慮するとともに、偏りがないようにすることが必要である。
○ 策定された医師確保計画は、遅滞なく厚生労働大臣に提出するとともに、その内容を公示することとする5。その際、住民にその内容を周知することが重要であることから、都道府県の広報誌やホームページ等による公表や、プレスリリース等によるマスコミへの周知など、幅広い世代に行き渡るよう様々な手段を用いて公表方法を工夫することが必要である。医療法上に位置づけられた医師確保対策は、公表によりその透明性が確保されることを通じて実効性が高まるものであることから、その趣旨を踏まえ積極的な公表を行っていただくとともに、住民も含めた地域全体での医療提供体制の在り方に関する議論を行っていただきたい。
○ 策定された医師確保計画に基づく施策の実施等に当たっては、「地域医療対策協議会運営指針について」(平成30年7月25日付け医政発0725第15号厚生労働省医政局長通知)別添「地域医療対策協議会運営指針」、「キャリア形成プログラム運用指針について」(平成30年7月25日付け医政発0725第17号厚生労働省医政局長通知)別添「キャリア形成プログラム運用指針」についても参照すること。
○ 医師確保計画に基づく施策の実施に向けて、大学や医療機関、地域の医療関係者間の自主的な取組や協議を促進するためには、共通認識の形成に資する情報の整備・提供が必要となる。また、こうした情報について丁寧な説明を行うことにより、患者・住民、医療機関及び行政の間の情報格差をなくすよう努めるべきである。
○ 医師確保計画策定の基礎となる情報(データ)は、厚生労働省において一元的に整備して都道府県に提供(技術的支援)することとするが、都道府県が、厚生労働省から提供するデータを補完するための独自の調査等を行うことは差し支えない。
○ また、大学や医療機関等が有効なデータを保有している場合もあり、そのようなデータも適宜活用いただきたい。
○ 以上のことを踏まえ、医師確保計画の策定及び医師確保計画に基づく施策の実施に必要な情報(データ)を別添資料に示す。例えば、医師確保の状況を把握するための基礎的な情報として、
・ 現在の医師数に関する情報
・ 現在の人口に関する情報
・ 将来の人口に関する情報
・ 医師偏在指標に関する情報
・ 目標医師数等に関する情報
・ 必要医師数に関する情報
・ 将来時点の医師供給数に関する情報
等を示すこととする。
――――――――――
2 都道府県医療審議会(医療法第72条)
都道府県知事の諮問に応じ、当該都道府県における医療を提供する体制の確保に関する重要事項を調査審議するため都道府県に置かれる審議会
3 保険者協議会(高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第157条の2第1項
医療保険の加入者の高齢期における健康の保持のために必要な事業の推進並びに高齢者医療制度の円滑な運営及び当該運営への協力のため、保険者及び後期高齢者医療広域連合が、共同して都道府県ごとに組織する協議会
4 医療法第30条の4第16項及び第17項。
5 医療法第30条の4第18項。
3.医師偏在指標
3―1.現在時点の医師偏在指標
(1) 考え方
○ 全国ベースで医師の多寡を統一的・客観的に比較・評価する指標として、次の「5要素」を考慮した医師偏在指標を設定することとしている。
・ 医療需要(ニーズ)及び人口・人口構成とその変化
・ 患者の流出入等
・ へき地等の地理的条件
・ 医師の性別・年齢分布
・ 医師偏在の種別(区域、診療科、入院/外来)
(2) 医師偏在指標の作成手続
○ 厚生労働省は、医師偏在指標の計算方法及び、患者数の流出入に基づく増減を一定程度反映した医師偏在指標を都道府県に提供する6。
○ 都道府県間及び二次医療圏間の患者の流出入の状況については、厚生労働省から現状に関するデータの提供7を行い、都道府県が、必要に応じて都道府県間、都道府県内で医師偏在指標への見込み方について調整を行うこととする。都道府県は、無床診療所における外来患者数、病院・有床診療所における入院患者数に関する調整後の都道府県間及び二次医療圏間における患者の流出入数を、厚生労働省に報告することとする。その情報を基に、再度、厚生労働省が医師偏在指標を算定し、公表することとする。
○ 都道府県間で患者数の流出入に基づく増減を調整する場合には、都道府県の企画部局(地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づく総合計画を所管する部局)や介護部局(介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく介護保険事業支援計画を所管する部局)、医療関係者の意見を踏まえ、自都道府県の考え方をまとめること。また、自都道府県内の二次医療圏間の患者数の増減を調整する場合も同様に、医療関係者や市区町村の意見を踏まえ、自都道府県の考え方をまとめることとする。
○ これらの考え方を踏まえ、都道府県は、関係する都道府県や都道府県内の医療関係者との間で患者数の増減を調整することとする。なお、調整に当たっては、丁寧かつ十分な協議を行い、特に都道府県間の調整においては、通常の議事録の作成に加え、合意を確認できる書面を作成するなどして、取りまとめておくことが適当である。
○ 患者数の増減の調整についての協議において、合意が得られない場合については、患者の流出入の状況を全て見込むこと8を基本とする。
(3) 医師偏在指標の設計
○ 医師偏在指標を、次のように設計する。
(※1) 標準化医師数=Σ性年齢階級別医師数9×性年齢階級別平均労働時間/全医師の平均労働時間
(※2) 地域の標準化受療率比=地域の期待受療率(※3)/全国の期待受療率
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(※6) 画像76 (26KB)
○ さらに、患者の流出入に基づく増減を反映するために、(※4)全国の性年齢階級別調整受療率を、次のように修正を加えて計算を行うこととする。都道府県においては、この無床診療所及び入院患者における流入数及び流出数について、患者流出入のある都道府県間及び都道府県内の二次医療圏間で調整の上、厚生労働省に報告することとする。
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(※8) 画像79 (22KB)
○ また、医師偏在指標とあわせて、地域の実情に応じた施策を検討する際に活用することができるよう、二次医療圏ごとの病院医師偏在指標及び診療所医師偏在指標を算定し、参考資料として都道府県に提示することとする。これらの指標も医師偏在指標と同様に一定の仮定をもとに、入手可能なデータを用いて算定したものであり、これらの指標の活用に当たっては、あくまでも相対的な偏在の状況を表すものであるという性質を十分理解した上で、数値を絶対的な充足状況として参考とすることのないように十分に留意することとする。
○ なお、三師統計については、オンライン提出の仕組みを導入することで、結果を早期に公表できるよう検討を進める。また、国は、既存の他統計との連携も含め、三師統計の更なる充実化を図ることとする。
3―2.将来時点の医師偏在指標
○ 3―1で述べた現在時点の医師偏在指標とは別に、新たな地域枠の設置等の追加的な医師確保対策を講じなかった場合を仮定した医師の供給推計を用いて、将来時点の医師の偏在を示す指標を算定することとする。
○ 将来時点の医師偏在指標については、現在時点の医師偏在指標と同様の手続により都道府県による調整を行うものとする。
――――――――――
6 厚生労働省が提供する、患者の流出入を一定程度反映した医師偏在指標は、外来患者の流出入数については、昼間人口と夜間人口の比を用いて推計したものを、入院患者の流出入数については、患者調査における病院の入院における患者住所地に基づいた患者数と医療機関所在地に基づいた患者数から推計したものを用いている。
7 無床診療所の外来患者の流出入数に関しては、NDBのデータのうち、国民健康保険の被保険者の受療動向から、全人口の受療動向を推測したものである。入院患者の流出入数に関しては、患者調査における病院の入院患者の流出入数の情報を用いている。それぞれにデータ上の制限があることに留意が必要である。
8 患者の流出入の状況を全て見込むとは、医療施設所在地に基づく患者数を用いて検討を行うことを意味する。すなわち、実際に他の圏域へ流出している患者数、他の圏域から流入している患者数を全て流出・流入しているものと見込むことを意味する。
9 性年齢階級別の医師数は、医師届出票に記載されている主たる従事先と従たる従事先が所在する二次医療圏が異なる場合は、主たる従事先では0.8人、従たる従事先では0.2人として算定する。
10 性年齢階級別の受療率を算出する際に、入院受療率と外来受療率を同一の基準で比較するために、マクロ需給推計に基づいて無床診療所における外来患者と、病院及び有床診療所における入院患者それぞれの一人当たりに発生する需要の比を、無床診療所医療医師需要度として用いることとした。この無床診療所医療医師需要度を乗じた無床診療所受療率と入院受療率の合計を、性年齢階級別調整受療率として、性年齢階級ごとの医療需要を表す指標として用いることとする。
11 マクロ需給推計における外来医師需要は、無床診療所における外来医療需要の推計を行っている。
12 マクロ需給推計における入院医師需要は、病院及び有床診療所における入院医療需要の推計を行っているものであるが、病院及び有床診療所における外来医療需要においては、入院需要の一部として推計している。
4.医師少数区域・医師多数区域の設定
4―1.医師少数区域・医師多数区域の設定についての考え方
○ 各都道府県において、医師偏在の状況等に応じた実効的な医師確保対策を進められるよう、医師偏在指標を用いて医師少数区域及び医師多数区域を設定し、これらの区域分類に応じて具体的な医師確保対策を実施することとする。
○ 医師少数区域及び医師多数区域は二次医療圏単位における分類を指すものであるが、都道府県間の医師偏在の是正に向け、これらの区域に加えて、厚生労働省は、医師少数都道府県及び医師多数都道府県も同時に設定することとする。
○ 医師少数区域及び医師少数都道府県は、医師偏在指標の下位一定割合に属する医療圏及び都道府県として定義することとし、その具体的な割合は、2036年度に医師偏在是正が達成されるよう定めるべきである。
○ 医師偏在是正の進め方としては、医師確保計画の1計画期間(医師確保計画の見直しまでの期間(3年間)をいう。以下同じ。)ごとに、医師少数区域に属する二次医療圏又は医師少数都道府県に属する都道府県がこれを脱することを繰り返すことを基本とすることとする。
○ 医師偏在指標の下位一定割合を各計画期間で一定とすれば、2020年度からの5計画期間で全ての都道府県が2036年度に医療ニーズを満たすためには、医師偏在指標の下位3分の1程度を医師少数区域及び医師少数都道府県とすることが必要であると導出される。このため、医師偏在指標の下位33.3%を医師少数区域及び医師少数都道府県の設定の基準とする。
○ また、医師多数区域及び医師多数都道府県の設定の基準は、医師確保対策の遂行上の需給バランスの観点から、医師偏在指標の上位33.3%とする。
○ ただし、医師偏在指標上は医師少数区域に該当する二次医療圏であっても、近隣の二次医療圏の医療機関において当該二次医療圏の住民の医療を提供することと企図しているような場合が想定される。そのような二次医療圏において、限られた医療資源を効率的に活用するためには、近隣の二次医療圏に医療資源を集約することが望ましいと考えられる。本来、そのような二次医療圏は二次医療圏として設定するべきではなく、二次医療圏の設定を見直すことが適切と考えられるが、二次医療圏の見直しが困難な場合については、そのような二次医療圏を医師少数区域として設定せず、重点的な医師確保対策の対象としないことも可能である。
○ なお、医師偏在指標上、医師少数区域に該当しない二次医療圏を医師少数区域として設定すること等は認められない。
4―2.医師少数スポット
○ 医師確保計画は、二次医療圏ごとに設定された医師少数区域及び医師少数都道府県の医師の確保を重点的に推進するものであるが、実際の医師偏在対策の実施に当たっては、より細かい地域の医療ニーズに応じた対策も必要となる場合がある。このため、都道府県においては、必要に応じて二次医療圏よりも小さい単位の地域での施策を検討することができるものとし、局所的に医師が少ない地域を「医師少数スポット」として定め、医師少数区域と同様に取り扱うことができるものとする。
○ 医師少数スポットは、原則として市区町村単位で設定し、へき地や離島等においては、必要に応じて市区町村よりも小さい地区単位の設定も可能であるものとする。なお、医師少数スポットを設定した場合は、その設定の理由を医師確保計画に明記することとする。
○ ただし、医師少数スポットを設定するに当たり、多くの地域が医師少数スポットとして設定され、真に医師の確保が必要な地域において十分な医師が確保できないという状況は改正法の趣旨を没却するものであるため、医師少数スポットの設定は慎重に行う必要がある。そのため、既に巡回診療の取組が行われており、地域の医療ニーズに対して安定して医療が提供されている地域や、病院が存在しない地域などで明らかに必要な医療を他の区域の医療機関でカバーしている場合等、既に当該地域で提供すべき医療に対して必要な数の医師を確保できている地域を医師少数スポットとして設定することは適切ではない。
○ また、現在、無医地区・準無医地区として設定されている地域等を無条件に医師少数スポットとして設定することも、同様の理由から適切ではないと考えられ、医師少数スポットはあくまで当該地域の実情に基づいて設定しなければならないものである。一方で、へき地診療所を設置することで無医地区・準無医地区に該当していない地域でも、当該へき地診療所における継続的な医師の確保が困難である場合であって他の地域の医療機関へのアクセスが制限されている地域などについては、必要に応じて医師少数スポットとして設定することが適切であると考えられる。
○ なお、医師少数スポットは、局所的に医師が少ない地域を設定するものであるため、二次医療圏全体や医療機関を設定することは適切ではない。
○ 第8次(前期)医師確保計画を策定する際は、これまで設定していた医師少数スポットについて、医師確保の状況等を踏まえ、設定の見直しを行うこと。
5.医師確保計画
5―1.計画に基づく対策の必要性
○ 改正法の成立前まで、都道府県は医療計画において医師の確保に関する事項については「医療従事者の確保に関する事項」の一部として定めてきたところではあるが、医師の確保に関する事項の有無や内容の充実の度合いに都道府県間で差異があり、PDCAサイクルに基づく医師確保対策の検証が十分になされていないなど、都道府県によっては実効的に医師確保対策が講じられているとは言いがたい状況であった。改正法により、地域ごとの医師の多寡について全国ベースで統一的・客観的に比較・評価可能な医師偏在指標を導入し、各都道府県が医師の確保に関する事項を特出しして医療計画に定めることで、PDCAサイクルに基づく目標設定・取組・取組の評価・改善が可能になると考えられる。このため、都道府県は、医師偏在指標に基づく医師確保の方針、確保すべき目標医師数、目標の達成に向けた施策内容、という一連の内容を、医療計画の中で「医師確保計画」として定めることとする。
○ 医師確保計画においては、計画期間の終期まで(2023年度中に都道府県が策定することとされている医師確保計画であれば2026年度末まで)に取り組むべき医師の確保に関する内容及び「医療従事者の需給に関する検討会医師需給分科会 第4次中間取りまとめ」において医師偏在是正の目標年とされた2036年までに取り組むべき医師の確保に関する内容を定める必要がある。
○ 医師確保計画において定められる都道府県が行う対策は、地域枠医師等のキャリア形成プログラムの適用を受ける医師に関する事項が中心になるものと考えられる。しかし、キャリア形成プログラムの適用を受ける医師以外についても、医師確保計画が都道府県内の関係者の合意の上で策定されていることを勘案し、都道府県内の大学や医師会、医療機関等が可能な限り医師確保計画に沿った対応を行うことが望まれることから、都道府県は、適切な関与を行うこと。
○ また、都道府県は、医師確保計画の策定及び施策の実施に当たっては、医師確保計画が二次医療圏単位での医療提供体制の確保を目的としており、個別の医療機関の求めのみに応じて医師を充足させることを目的としているわけではないことに留意しなければならない。
○ 個別の医療機関については、引き続き、各地域医療構想調整会議において、地域医療構想に係る医療機関の対応方針の策定や検証・見直しを協議する中で、医療機関の機能と役割について議論が行われているところであるが、その議論の結果に沿って地域において必要とされる医療が過不足なく提供されるよう医師の確保がなされなければならない。地域医療構想調整会議においては、各医療機関について現在の機能を所与のものとせず、医療機関が地域の実情に応じて良質かつ効率的な医療提供体制に資する機能と役割を担うこととなるよう十分な議論を行うとともに、都道府県においては当該議論に基づく地域の医療機関の機能等を踏まえた医師の確保策を講じる必要がある。
○ 医師の労働時間短縮等に関する指針において示されているとおり、医師の勤務環境の改善は、医師の偏在の解消を含む医療提供体制の改革と一体的に進めなければ本質的な解消を図ることはできない。医師の長時間労働解消のためにも、地域医療構想調整会議等の場で議論を踏まえた医療機関ごとの担うべき機能に即して医師の確保を行い、地域における医療資源の効率的な配置を進めていく必要がある。
○ このように、都道府県においては、地域医療構想、医師の働き方改革と医師偏在対策を一体的に捉えた上で、統合的に議論を進めることが重要となる。
○ 地域医療介護総合確保基金については、これまでも医療従事者の確保のために活用されてきたが、限りある財源を有効に活用するためにも、医師少数都道府県や医師少数区域における医師の確保に重点的に用いるべきである。そのため、特に医師多数都道府県に該当する都道府県は、地域医療介護総合確保基金を用いた医師確保の取組に関して大幅な見直しを行うべきである。
5―2.医師確保の方針
5―2―1.方針の考え方
○ 医師偏在指標の値を用いて全国の医療圏を一律に比較することで医師多数都道府県、医師多数区域、医師少数都道府県、医師少数区域を設定し、全ての都道府県、二次医療圏について目標医師数を定めることとする。
○ さらに都道府県、二次医療圏ごとに医師確保の方針を定めることとする。例えば、医師多数都道府県、医師多数区域において現時点以上の医師確保対策を行う方針が定められることがないよう、医療圏の状況に応じて医師確保の方針を定める必要がある。医療圏ごとの医師確保の方針については、一定の類型化の下、後述のように定めることとする。
5―2―2.医師確保の方針の具体的な内容
○ 医師確保の方針についての基本的な考え方は次のとおり。
・ 医師少数都道府県及び医師少数区域については、医師の増加を医師確保の方針の基本とする。
・ 偏在是正の観点から、医師の少ない地域は、医師の多い地域から医師の確保を図ることが望ましく、医師の多寡の状況について二次医療圏及び都道府県のそれぞれについて場合分けをした上で医師確保の方針を定めることとする。例えば、医師多数都道府県内の医師少数区域に、当該医師多数都道府県外から医師の派遣を募るような方針とならないようにする必要がある。
・ 現時点で医師確保が必要であるのか、現時点では医師が確保できているが、2036年時点には医師の確保が必要となるのかなどの時間軸による状況の差異によって、採るべき医師確保の対策に係る方針が異なる場合があることから、時間軸によっても場合分けした上で医師確保の方針を定めることとする。
○ 現在時点と2036年時点のそれぞれにおける医師確保の方針は次のとおりとする。
・ 現在時点の医師の不足に対しては、短期的な施策による対応を行うこととし、長期的な施策では対応しないこととする。
・ 2036年時点の医師の不足に対しては、短期的な施策と長期的な施策を組み合わせて対応することとする。
○ これらの基本的な考え方に沿って、次のとおり医師確保の方針を定めることとする。
i) 都道府県
○ 都道府県における基本的な医師確保の方針は次のとおりとする。
・ 医師少数都道府県については、医師の増加を医師確保の方針の基本とする。
・ さらに、医師少数都道府県は、医師多数都道府県からの医師の確保ができることとする。
・ 医師少数でも多数でもない都道府県は、都道府県内に医師少数区域が存在する場合には、必要に応じて医師多数都道府県からの医師の確保ができることとする。
・ 医師多数都道府県は、当該都道府県以外からの医師の確保は行わないこととする。ただし、これまでの既存の施策による医師の確保の速やかな是正を求めるものではない。また、都道府県内の医師の充足状況や他の都道府県からの医師の流入状況等を勘案し、医師少数都道府県への医師派遣についても検討を行うこととする。特に、医師多数都道府県であり、かつ、医師少数区域を有さない都道府県であって、継続的に医師の数が増加している都道府県については、他の医師少数都道府県からの求めに応じた医師派遣等について、地域医療対策協議会の議題として必ず取り扱うなど全国的な医師偏在是正に対する協力をお願いしたい。なお、例えば、医師多数都道府県であっても、当該都道府県内における産科医師又は小児科医師がその勤務環境等を鑑みて不足していると考えられる場合に産科医師又は小児科医師に特化して確保する方針とすることや、外来医師多数区域が多く存在するような都道府県においては特に、診療所が地域で不足する医療機能を担うことができるよう、環境の整備を行う方針とする等、様々な形の医師の偏在に対して適切な医療提供体制を構築するために、医師確保方針を決定することが可能である。
ii) 二次医療圏
○ 基本的な医師確保の方針は次のとおりとする。
・ 医師少数区域については、医師の増加を医師確保の方針の基本とする。
・ さらに、医師少数区域は、医師少数区域以外の二次医療圏からの医師の確保ができることとする。
・ 医師少数でも多数でもない二次医療圏は、必要に応じて、医師多数区域の水準に至るまでは、医師多数区域からの医師の確保を行えることとする。
・ 医師多数区域は、他の二次医療圏からの医師の確保は行わないこととする。これまでの既存の施策による医師の確保の速やかな是正を求めるものではないが、医師少数区域への医師派遣を行うことは求められる。なお、例えば、医師多数区域であっても、圏内における産科医師又は小児科医師が、その勤務環境等を鑑みて不足している場合、産科医師又は小児科医師に特化して確保する方針とすることや、外来医師多数区域においては特に、診療所が地域で不足する医療機能を担うことができるよう、環境の整備を行う方針とする等、様々な形の医師の偏在に対して、適切な医療提供体制を構築するための方針は採択可能である。
・ ただし、医師多数都道府県内に存在する医師少数区域については、当該都道府県以外からの医師の確保を行わないこととする。
iii) 医師少数スポット
○ 都道府県が設定した医師少数スポットについても、医師確保の方針を定めることとする。
○ 医師少数都道府県以外の都道府県に存在する医師少数スポットについては、医師少数区域と同様に、他の都道府県からではなく、都道府県内の医師多数区域から医師の確保を行うこととする。医師少数都道府県内に存在する医師少数スポットについては自都道府県外からも医師を確保することを可能とする。
5―2―3.留意事項
○ 医師多数都道府県において、これまで他の都道府県に対し医師の派遣を要請してきた経緯があり、その医師派遣が廃止されることで、地域医療への影響が大きい場合等について、他の都道府県に対する医師の派遣の要請をただちに廃止することまでを求めることはしないが、これまで以上に重点的に都道府県外からの医師の確保のための取組を行うことは適当ではなく、将来的には、都道府県外からの医師の確保のための取組の在り方について、関係都道府県における医療提供体制の状況も踏まえ、見直しに向けた検討を行う必要がある。
○ なお、より高度又は専門的な医療の提供を担う特定機能病院や、地域における医療の確保のために必要な支援をする役割を担う地域医療支援病院等については、地域で必要な医療を提供するための医師を確保する必要があることから、これらの病院が存在する医療圏は、医師偏在指標が大きい傾向があるが、医師偏在対策を実施するに当たっては、当該地域全体の医療機関毎の医師の配置状況を考慮した検討が必要である。
5―2―4.具体的な事例
○ 現在時点では医師少数都道府県に該当するが、人口減少に伴い将来時点には医師少数でも多数でもない都道府県となることが想定される都道府県については、医師を確保するための短期的な施策のみ策定し、長期的な施策は用いない。
一方、現在時点では医師少数都道府県に該当し、かつ、将来時点でも医師少数都道府県になることが想定される都道府県については、短期的な施策に加えて長期的な施策を策定可能である。
5―3.目標医師数
5―3―1.目標医師数
(i) 考え方
○ 3年間の計画期間中に医師少数区域及び医師少数都道府県が計画期間開始時の下位33.3%の基準を脱する(すなわち、その基準に達する)ために要する具体的な医師の数を、目標医師数として設定する。
○ 目標医師数は、計画期間終了時点において、各医療圏で確保しておくべき医師の総数を表すものであり、当該医療圏の計画終了時点の医師偏在指標が計画開始時点の下位33.3%に相当する医師偏在指標に達するために必要な医師の総数と定義する。したがって、医師確保対策により追加で確保が必要な医師数は、目標医師数と現在の医師数との差分として表されることとなる。
○ また、追加で確保が必要な医師数の算出に当たっては、既に実施されている医師派遣等の実績を織り込んだものとなるよう、都道府県において適切に医師派遣等の実態把握をする必要がある。例えば、A医療圏にある大学に籍を置いたまま、B医療圏にある病院に週に一回派遣されて診療を行っている医師が7名いる場合、派遣された医師が医師届出票に従たる従事先を明記していれば医師偏在指標に反映されるものの、三師統計による把握には限界があり、また記載がない場合は、医師偏在指標上はA医療圏に常に7人の医師がいるものとされるため、B医療圏の医師偏在指標には反映されていないが実態としては1人分B医療圏において医師が確保されていることになる。このような場合、医師偏在指標の修正を行う必要はないが、医師偏在指標を補う形で、医師1名分の医師偏在対策が既に行われているとみなし、都道府県は、B医療圏において追加で確保すべき医師数の数を1人分減じた上で、医師確保対策の検討を行うこととする。
○ なお、目標医師数の設定に当たっては、地域で必要とされる医療が提供される必要があることから、医療提供体制の維持を考慮することとする。
(ii) 都道府県
○ 医師少数都道府県の目標医師数は、計画期間終了時の医師偏在指標が、計画期間開始時の全都道府県の医師偏在指標について下位33.3%に相当する医師偏在指標に達するために必要な医師の総数と定義する。
○ 医師少数都道府県以外は、目標医師数を既に達成しているものとして取り扱うが、前述のとおり、これは既存の医師確保の施策を速やかに廃止することを求める趣旨ではなく、新たに医師確保対策を立案することを抑制する趣旨であることを踏まえ、以下に記載する自県の二次医療圏の設定上限数の合計が都道府県の計画開始時の医師数を上回る場合は、二次医療圏の目標医師数の合計が都道府県の計画開始時の医師数を上回らない範囲で、二次医療圏の目標医師数を設定する。
(iii) 二次医療圏
○ 医師少数区域の目標医師数は、計画期間終了時の医師偏在指標の値が、計画期間開始時の全二次医療圏の医師偏在指標について下位33.3%に相当する医師偏在指標に達するために必要な医師の総数と定義する。ただし、計画期間開始時に既に下位33.3%に相当する医師偏在指標に達するために必要な医師数を達成している場合は、医師の地域偏在の解消を図る観点から、原則として、目標医師数は計画開始時の医師数を設定上限数とする。
○ 医師少数区域以外の二次医療圏における目標医師数は、原則として、計画開始時の医師数を設定上限数とする。ただし、今後の医療需要の増加が見込まれる地域では、厚生労働省が参考として提示する「計画終了時に計画開始時の医師偏在指標を維持するための医師数」を踏まえ、その数を設定上限数とする。
5―3―2.将来時点における必要医師数と医師供給推計
○ 各都道府県において、今後の地域枠や地元出身者枠を設定するに当たり、その根拠として必要となる将来時点において確保が必要な医師数を、必要医師数として定義する。
○ 必要医師数の具体的な算出方法は、マクロ需給推計に基づき、将来時点(2036年)において全国の医師数が全国の医師需要に一致する場合の医師偏在指標の値(全国値)を算出し、厚生労働省において、医療圏ごとに、医師偏在指標がこの全国値と等しい値になる医師数を必要医師数として示すこととする。
○ 将来時点の医師供給数を推計するに当たっては、各医療圏の性・医籍登録後年数別の就業者の増減が、将来も継続するものとして推計することとしつつ、都道府県別の供給推計が、マクロの供給推計と整合するよう必要な調整を行うことを基本的な考え方とする。
その際、都道府県別の就業者の増減は、医師の流出入の変化により大きな影響を受けると考えられ、不確実性が存在することから、複数回の調査の実績を用いて幅を持った推計を行うこととする。
○ 必要医師数と将来時点の医師供給数との差分は、短期施策と、地域枠等の設定による長期施策によって追加で確保が必要となる。
5―3―3.留意事項
○ 都道府県によっては、医師確保計画の計画期間中に目標医師数を達成することが非常に困難となる二次医療圏又は都道府県が存在することが想定される。そのような二次医療圏又は都道府県については、2036年までに医師需要を満たすだけの医師数(必要医師数)を確保することに主眼を置くことはやむを得ない。ただし、2036年よりも早期の段階で医療需要がピークを迎えるような二次医療圏又は都道府県においては、そのピークに向けて確保すべき医師数について必要医師数に加味できていないことになるため、必要医師数は足下の目標としては過小評価となっている可能性がある。そのような二次医療圏又は都道府県においては、直近の医療需要に基づいて算出される医師数である目標医師数の達成に努めることが重要である。
5―4.目標医師数を達成するための施策
5―4―1.施策の考え方
○ 医師確保対策としては、
・ 都道府県内における医師の派遣調整
・ キャリア形成プログラムの策定・運用
などの短期的に効果が得られる施策と、
・ 医学部における地域枠・地元出身者枠の設定
などの医師確保の効果が得られるまでに時間のかかる、長期的な施策が存在する。
○ 都道府県は、都道府県ごと、二次医療圏ごとに定めた医師確保の方針に基づき、これらの施策のうちから適切な施策を組み合わせて行うこととなる。例えば、医師確保の方針を短期的な施策により医師を増加させることと設定した場合は、目標医師数を達成するための施策として医師少数区域への医師の派遣調整や、医師少数区域等での勤務を含むキャリア形成プログラムの策定及び運営等の短期的に効果が得られる施策を定めることとなる。一方で、2036年時点における必要医師数と医師供給推計の医師数のギャップのうち、短期的な対策では埋まらない必要医師数については長期的な対策が必要であり、具体的には大学医学部に対する地域枠・地元出身者枠の設置の要請等の施策を定めることとなる。
○ 都道府県ごとの医師確保対策については、一定程度共通の項目に基づき定めることで、施策の効果の測定や好事例の共有等を容易に実施することができるようになるため、次に掲げる項目については医師確保計画に定めることが望ましい。ただし、都道府県ごとの医師確保の方針と合致しない項目については、その旨を記載の上で、施策として必ずしも定める必要はない。
○ まず、二次医療圏単位の医師確保対策について検討する際には、現在の二次医療圏が適切に設定されているかについて確認することが必要である。二次医療圏は、本来一般病床及び療養病床の入院医療を提供する一体の区域として設定されるべきものであるため、「既設の二次医療圏が、入院に係る医療を提供する一体の圏域として成り立っていない場合は、その見直しについて検討すること。その際には、圏域内の人口規模が患者の受療動向に大きな影響を与えていることから、人口規模や、当該圏域への患者の流入及び当該圏域からの患者の流出の実態等を踏まえて検討すること」が必要であり、具体的には「人口規模が20万人未満であり、かつ、二次医療圏内の病院の療養病床及び一般病床の推計流入入院患者割合(以下「流入患者割合」という。)が20%未満、推計流出入院患者割合(以下「流出患者割合」という。)が20%以上となっている既設の二次医療圏については、入院に係る医療を提供する一体の区域として成り立っていないと考えられるため、設定の見直しについて検討すること」が必要である13。現在設定されている全国の二次医療圏については、人口規模、面積や基幹病院へのアクセスに大きな差があり、大幅な入院患者の流出入がみられる二次医療圏など、一体の圏域として成立していないと考えられるものも依然として存在している。そのような二次医療圏については、他の二次医療圏で受診している患者が相当数いる実情を踏まえ、二次医療圏の再編・統合を検討することが適当である。
○ なお、医師確保の観点から二次医療圏の見直しが必要であると認められる場合には、地域医療対策協議会から、都道府県医療審議会に対しその旨意見を述べることができる。
○ 都道府県は、第8次医療計画策定の際に二次医療圏の見直しについて先行して議論し、二次医療圏を見直す場合は先んじて国へ報告することとする。
○ また、診療科間の医師偏在は、地域間の医師偏在と併せて引き続き対応が必要である。都道府県においては、必要な施策を検討するに当たっては、既に公表されている三師統計の診療科別医師数を参考にすることが考えられる。
※ 三師統計のデータは、政府統計ポータルサイトである「e―Stat」より入手可能。
5―4―2.医師の派遣調整
○ 医師の派遣調整の対象となる医師は、基本的には地域医療対策協議会において医師の派遣調整を行う対象となる医師、すなわち「地域枠等医師を中心とした、キャリア形成プログラムの適用を受ける医師」14とする。しかし、都道府県は、地域医療対策協議会における派遣調整の対象とならない医師の派遣についても各都道府県や二次医療圏の医師確保の方針に沿ったものとなるよう、多くの医師を派遣している大学や、大学病院等の医療機関に対して医師確保における現状の課題と対策を共有しなければならない。
○ 医師派遣については、都道府県が、医師派遣を必要としている医師少数区域等の医療機関と、医師派遣が可能な県内の医療機関を十分把握していない場合もあることから、例えば、地域医療支援センターは医師確保が必要な診療科・医師数や、派遣元医療機関の候補を調査し、医師派遣に必要な情報を正確に把握すること。
○ 特に医師多数都道府県や医師多数区域の医療機関においては、医師の地域偏在の解消という医師確保計画の趣旨を踏まえ、医師少数都道府県や医師少数区域への医師の派遣等の支援に努めること。また、医師多数都道府県や医師多数区域を含む都道府県については、そのような取組を推進する環境の整備を進めること。
○ 派遣調整を行う医師の派遣先となる医療機関(以下「派遣先医療機関」という。)は、キャリア形成プログラムと整合的なものとなるよう選定するとする。選定に当たっては、二次医療圏単位の地域医療の確保のために必要最低限の医療機関に限ること。また、地域の医療ニーズに合わせて、巡回診療による医療の提供等、常勤医の派遣以外の取組による医師の確保も検討を行うこと。
○ 派遣先医療機関は地域医療対策協議会において決定する。また、地域医療対策協議会における医師の派遣のみでは医師少数区域等において十分な医師の確保ができない場合等には、多くの医師を派遣している大学病院等の医療機関に対して、地域医療対策協議会における医師の派遣調整の対象とならない医師も医師少数区域等へ派遣するよう促す必要がある。
○ 派遣先医療機関を円滑に決定するために、地域医療対策協議会の構成員である大学の代表者は、事前に各教室の医師の派遣の方針に関する意見を集約した上で地域医療対策協議会における議論に臨む必要がある。また、大学の各教室やその他の医師の派遣を行っている医療機関等は、これまでの派遣先医療機関にとらわれることなく、地域医療対策協議会で定められた医師の派遣の方針に沿って医師の派遣調整を行うことが求められる。
○ 厚生労働省としても、都道府県が、適切に都道府県を超えて医師少数区域や医師少数都道府県への医師の派遣が調整できるよう、地域医療介護総合確保基金等による必要な支援を行う。
5―4―3.キャリア形成プログラム
○ 都道府県は、「医師少数区域等における医師の確保」と「医師不足地域に派遣される医師の能力開発・向上の機会の確保」の両立を目的としてキャリア形成プログラムを策定すること。
なお、キャリア形成プログラムの運用に係る詳細については、キャリア形成プログラム運用指針によること。
キャリア形成プログラムにおいて、医師少数区域等の医療機関における就業期間を定めること。ただし、都道府県の実情に合わせて、キャリア形成プログラムの内容を都道府県内で不足している診療領域に限る等、不足している分野の解消に資するプログラムを設計すること。
○ キャリア形成プログラムが、「医師少数区域等における医師の確保」と「医師不足地域に派遣される医師の能力開発・向上の機会の確保」という効果を十分に発揮するためには、
・ 一定期間、確実に医師少数区域等に派遣されること
・ 医師少数区域等においても十分な指導体制が構築されること
が必要となる。これらの点を満たすためには、大学医学部や専門研修プログラムを作成する医療機関等との十分な合意形成が必要である。また、医師少数区域等での診療義務を果たす以上、事実上、一定の範囲の診療領域に従事することが求められる場合がある。そのため、各都道府県においては、大学医学部や各地域の医療機関等と連携して、必要な診療領域とその医師数、指導体制等について十分に把握した上で、地域枠の学生が卒業後、当該地域において不足する一定の診療領域に従事できるよう、地域の実情に合わせてキャリア形成プログラムを検討することが必要である。
○ プログラムの対象となる者(以下「対象者」という。)の地域定着支援のためには、対象者の納得感の向上と主体的なキャリア形成のための支援及びプログラム終了前の離脱の防止策が重要と考えられる。
対象者の納得感の向上と主体的なキャリア形成の支援のためには次の方策が必要である。
・ 都道府県は、医学部生段階から地域医療や職業選択について考える機会として、キャリア形成卒前支援プラン15を対象者に提供し、適切なコース選択を支援する。
・ 都道府県は、対象者の希望に対応したプログラムとなるよう努め、診療科や就業先の異なる複数のコースを設定する。
・ 都道府県は、コースの設定・見直しに当たって、対象者からの意見を聴き、その内容を公表し反映するよう努める。
・ 出産、育児等のライフイベントや、海外留学等の希望に配慮するため、プログラムの一時中断を可能とする(中断可能事由は都道府県が設定)。
・ キャリア形成プログラムは都道府県と対象者との契約関係であり、対象者は満了するよう真摯に努力しなければならないことを通知で明示する。
・ 一時中断中は、中断事由が継続していることを定期的な面談等により確認する(中断事由が虚偽の場合は契約違反となる。)。
・ 都道府県は、キャリア形成プログラムを満了することを、修学資金の返還免除要件とする(家族の介護等やむを得ない事情がある場合を除く。)。
・ 都道府県は、修学資金について適切な金利を設定する。
○ また、都道府県は、キャリア形成プログラムの策定に当たっては、臨床研修修了後の医師が、医療法第5条の2第1項に規定する認定を受けることを希望して医師少数区域等において勤務する場合に、本人の希望に応じた臨床能力の向上や医師少数区域等の環境への早期からの適応が可能となるよう、当該認定を希望する若手医師が医師少数区域等で勤務する環境整備に資するコースを設定すること。(※なお、2019年3月31日までに医師少数区域等で勤務した経験は、当該認定の判断の基礎となる勤務経験には算入しない点、誤解を生じることのないよう留意すること。)
○ 医師確保計画においては、必ずしも全てのキャリア形成プログラムの詳細な内容を記載する必要はないが、キャリア形成プログラムの「医師少数区域等における医師の確保」と「医師不足地域に派遣される医師の能力開発・向上の機会の確保」という目的を踏まえ、都道府県としてキャリア形成プログラムを運用するに当たっての方針について定めること。具体的には、義務年限中の医師少数区域等における勤務期間、医師少数区域等における勤務期間以外の期間における勤務先に関する方針やキャリア形成に資する具体的な方策について記載することが望ましい。
○ 厚生労働省では、2023年度より、都道府県におけるキャリア形成プログラムの円滑な運用のため、キャリア形成プログラムの効果的な運用方法に係る調査や各都道府県のキャリアコーディネーターを対象とした統一的な対応マニュアルの作成を実施するとともに、全国のキャリアコーディネーター等からの相談受付や研修の実施等を通じて、地域枠医師等のキャリア形成プログラムへの定着を促進する取組に対して支援を行うこととしている。都道府県においては、こうした事業も活用しながら、キャリア形成プログラムを効果的に運用すること。
5―4―4.医師の働き方改革を踏まえた医師確保対策と連携した勤務環境改善支援及び子育て医師等支援
○ 医師少数区域等における勤務を促進するに当たっては、医師少数区域等の医療機関における勤務環境の改善が必須である。都道府県は、医師の労働時間短縮等に関する指針も踏まえ、医師少数区域の医療機関において、医師事務作業補助者の確保やタスク・シフト/シェアの推進等による医師に対する負担の集中の軽減等、勤務医が健康を確保しながら働くことができる勤務環境の整備に向けた取組が進むよう、都道府県は、環境整備に努めること。
○ 各医療機関は都道府県と連携の上、医師少数区域等において勤務する医師の休養や、勤務する医師が研修等へ参加するための交代医師の確保に努めること。具体的には、円滑な交代医師の確保のために、医師少数区域以外の区域で勤務する地域枠等医師や地域枠等医師が勤務する医療機関等に対して、交代医師が必要となった際の協力が得られるよう事前に同意を得ておくことが望ましい。
○ 医学部入学者に占める女性の割合が増加する中、女性医師就業率は子育て世代において低下が見られており、地域において医師確保を進めていく上では、子育て世代の医師に対する取組は性別問わず重要であると考えられる。妊娠・子育て中に、医師が必要とする支援策は、個々の医師により異なり、時短勤務等の柔軟な勤務体制の整備、院内保育・病児保育施設・放課後児童クラブやベビーシッターの活用等のニーズに応じたきめ細やかな取組を行うことが求められる。これらの支援については、単一の医療機関の取組だけではなく、地域の医療関係者、都道府県、市区町村等の地域の関係者が連携し、地域の実情に応じて取り組むとともに、医師が利用しやすい環境整備とその周知が重要である。なお、これらの取組については、妊娠中の医師や子育てを行う医師に限らず、介護を行う医師に対しても同様の配慮や環境整備が必要である。
○ 子育て等の様々な理由で臨床業務を離れ、臨床業務への再就業に不安を抱える医師のための復職研修や就労環境改善等の取組を通じ、再就業を促進することとする。
○ 上記の内容を踏まえて、医師確保計画においては、勤務環境改善に向けた具体的な取組内容と、費用負担の在り方について記載することが望ましい。
5―4―5.地域医療介護総合確保基金の活用
○ 地域医療介護総合確保基金については、これまでも地域医療対策協議会・地域医療支援センターの運営、修学資金の貸与、大学への寄附講座の設置による医師派遣及び派遣元の医療機関の逸失利益の補填など医療従事者の確保のために活用されてきたが、限りある財源を有効に活用するためにも、医師少数都道府県や医師少数区域等における医師の確保に重点的に用いられるべきである。
○ 今後、医師多数都道府県においては、例えば、全国的に不足していると考えられる産科医師や小児科医師の確保の目的を除いて新規に地域医療介護総合確保基金を活用した修学資金貸与等の取組を行うことは適切ではない。したがって、医師多数都道府県においては、今後入学予定の医学生に対する修学資金の貸与については地域医療介護総合確保基金以外の財源を用いることが望ましい。
○ 医師多数都道府県における地域医療介護総合確保基金を活用した既存の取組については、今後も地域医療介護総合確保基金を活用可能ではあるが、その取組の規模や内容の見直しが必要となる。
○ 地域医療介護総合確保基金を活用した取組について、医師少数区域等における医師の確保に重点的に基金が活用されるよう、例えば医師少数区域等における医師の確保に関して別に事業を検討するなど、地域医療介護総合確保基金の活用事業を工夫すること。
5―4―6.その他の施策
○ 医療法第30条の23に基づき地域医療対策協議会において協議を行う事項、及び医療法第30条の25に基づき都道府県(地域医療支援センター)が行う地域医療支援事務は、医師確保計画に記載された事項の実施に必要な事項とされていることを踏まえ、医師確保計画には、過不足ない内容を記載する必要がある。
○ 具体的には、地域医療の確保に関する調査分析や、医療関係者、医師等に対する必要な情報の提供、助言等の援助等の、都道府県が医療機関における医師の確保のために行う必要な支援に関する事項や、6.で詳述する医学部における地域枠・地元出身者枠の設定に関する事項、医師法(昭和23年法律第201号)において地域医療対策協議会で協議することとされた事項についても、記載する必要がある。
○ 医師派遣については、医師派遣を必要としている医師少数区域等の医療機関や、医師派遣が可能な県内の医療機関を都道府県が十分把握していない場合もあることから、例えば、地域医療支援センターは医療勤務環境改善支援センターと連携を図りつつ、医師確保が必要な診療科・医師数や、派遣元医療機関の候補を調査し、医師派遣に必要な情報を正確に把握することとする。
○ さらに、地域に定着する医師の確保の観点から、地元出身の医師の養成を目的とした中高生を対象とする医療セミナーの開催や、地域医療を担う医師を増やすことを目的とした医学部生を対象とする地域医療実習の拡充及び支援等の施策の検討を行うこと。また、地域枠を中心とした、都道府県における就業に一定の関心を持つ医学部生や若手医師が大学、所属医療機関を超えて情報共有や意見交換を行うことのできるプラットフォームを整備することも有用であると考えられる。
○ 各都道府県内の基幹型臨床研修病院と協力型臨床研修病院は、地域重点型プログラムなどを用いてより多くの研修医が医師少数区域における地域医療研修を行えるようにするのが望ましい。ただし、臨床研修病院の定員を増加する場合は、当該病院の指導体制の増強も併せて行わなければならない。
○ 各医療圏において、医療計画に定める医療提供体制を構築するために必要な医師を確保する上で、都道府県内外の大学医学部に対して、寄附講座を設置することも有用な施策である。寄附講座の設置に当たっては、若手医師等にとって魅力ある講師の選定や、医師の具体的な派遣人数、派遣期間等についても事前に取り決めておくことが必要であるとともに、専門研修における連携プログラム等の取組と組み合わせて実施することが有効であると考えられる。なお、都道府県外の大学医学部に対して寄附講座を設置するにあたっては、事前に都道府県内の医師派遣等の調整を実施することや、当該寄附講座の情報について、必要に応じ、都道府県内の大学医学部とも共有することが重要である。
○ これまで、休日・夜間の宿日直を担うために地域の医療機関に医師が派遣されてきたが、医師の働き方改革を踏まえ、大学病院だけでなく大学病院以外の医療機関の医師も、これまで以上に地域の医療を支えるためにこれらの業務に従事することも想定される。都道府県は、そのような状況も考慮しながら、各都道府県は、自都道府県内に所在する大学への寄附講座の設置や、基金による派遣元の医療機関の逸失利益の補填等のこれまで一部の都道府県において行われてきた取組を参考にしつつ、医師少数区域等の医師確保を促進することとする。特に医師少数都道府県において、それらの取組を行ってもなお、自都道府県内で十分な医師の確保ができない場合には、自都道府県外に所在する大学に寄附講座を設置するなど、県外からの医師の派遣調整を行うこととする。
○ 都道府県は、派遣医師が医師少数区域経験認定医師の認定を受けられるよう配慮することや、専門医制度の連携プログラム、寄附講座等による医師派遣といった既存の施策を組み合わせることを通じて、医師派遣を促進することとする。
○ 都道府県を越えて医師を確保するために、若手医師向けのイベントや先進的な研修プログラム等の、大学医学部と連携して医師少数区域等に勤務する意欲ある医師にアプローチできる仕組みの構築に努めること。また、そのような取組についてソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)を活用して周知することも有効であると考えられる。
○ その他、地域の実情に合わせて必要な施策を定めていくことが望ましい。
――――――――――
13 「医療計画について」(令和5年3月31日付け医政発0331第16号厚生労働省医政局長通知)
14 地域医療対策協議会運営指針
15 各大学で実施している医学部の教育カリキュラムを基盤としつつ、地域医療へ貢献する意思を有する学生に対し、地域医療や将来の職業選択に対する意識の涵養を図り、対象学生が学生の期間を通じて、地域医療に貢献するキャリアを描けるように支援をすることを目的として、都道府県が大学の協力も得つつ策定した計画案により地域医療対策協議会において協議の調った事項に基づき策定する計画。
6.医学部における地域枠・地元出身者枠の設定・取組等
6―1.地域枠・地元出身者枠の設定・取組の考え方
○ 安定した医師確保を行うため、都道府県は、積極的に恒久定員内への地域枠や地元出身者枠の設置について大学と調整を行うとともに、医師の育成や配置方法について、大学と連携してキャリア形成を支援しつつ、地域枠等の医師が地域医療に従事する仕組みを構築することが重要である。
○ 医学部定員の減員に向け、医師養成数の方針について検討が求められてきた中、安定した医師確保を行うため、都道府県は、大学の恒久定員内に、地域枠に加え、柔軟に運用できる地元出身者枠を設置することについて、積極的に大学と調整を行うこととする。特に医師少数都道府県においては、自都道府県内に所在する大学への積極的な地域枠の設置に加えて、地元出身者を対象として他県に所在する大学にも地域枠を設置し、卒前からキャリア形成に関する支援を行うことで医師確保を促進する。
○ 医学部における地域枠・地元出身者枠の設置・増員については、医療法上、都道府県知事から大学に対して、地域医療対策協議会の協議を経た上で、要請できることとされている。
○ 地域枠及び地元出身者枠については、別途、文部科学省及び厚生労働省から示す通知に基づき、地域医療対策協議会における協議を行い、大学医学部に要請を行い、設置・増員等を進めていくことが必要である。なお、当該通知に基づく対策とは別に、各都道府県内において、独自の医師偏在対策として、地域枠及び地元出身者枠の設置・増員等を進めることについて妨げるものではないことに留意が必要である。
○ 地域枠については、都道府県内の特定の地域における診療義務を課すものであり、都道府県内における二次医療圏間の偏在を調整する機能があるとともに、特定の診療科における診療義務がある場合には、診療科間の偏在を調整する機能もある。また、臨時定員の増員等と組み合わせた地域枠については、医師の少ない都道府県において医師を充足させ、都道府県間の偏在を是正する機能がある。
○ 一方、地元出身者枠については、これを設置する大学の所在地である都道府県内に、長期間にわたり8割程度の定着が見込まれるものの、特定の地域等での診療義務があるものではないため、都道府県内における二次医療圏間の偏在調整の機能はなく、都道府県間の偏在を是正する機能がある。
○ 地域枠と地元出身者枠のこうした機能の違いを踏まえ、都道府県知事から大学に対する地域枠又は地元出身者枠の創設又は増員の要請を進めていくことが重要である。
○ また、地域ごとの医師の需給推計から算出された、都道府県ごとの地域枠等の必要数等を踏まえて、今後大学医学部に対し、地域枠・地元出身者枠の要請を行うこと。なお、都道府県ごとの地域枠等の必要数について、暫定的に厚生労働省において算出をしたものを提示することとしており、医師確保計画全体の策定に先立って、特に地域枠等の設置・増員等について、大学医学部との協議を開始することが必要である。
○ 特に地域枠医師に関しては、都道府県内の診療科間・地域間偏在の両方の解消に資するキャリア形成プログラムを適用すること。また、都道府県内の状況に合わせて、地域枠医師が、不足する一定の診療領域に従事する仕組みについて、具体的に検討していくことが適切である。その際には、「都道府県ごとの診療科別の将来必要な医師数の見通し」等を活用することが適当であるが、総合的な診療の領域(総合診療、救急、ICU・病棟管理等)を担う医師の役割については、別途検討を行うことが必要である。
○ 都道府県、大学、関係機関が連携して、キャリアコーディネーター等を活用しながら、キャリア形成卒前支援プランを通して学生時代から地域医療に従事・貢献する医師としての姿勢等を涵養し、各都道府県・大学等における地域医療を担う医師養成の観点から有効な取組について、情報共有を行う機会を定期的に設けることとする。
○ 都道府県は、大学及び地域の医療機関等と連携し、医師少数区域等における医師確保が必要な診療科や医師数に加え、医師のキャリア形成の視点から医療機関の指導体制等についても十分に把握した上で、地域医療対策協議会で協議を行い地域枠の医師の配置を検討することで、地域枠の医師がキャリア形成をしつつ地域医療に従事しやすい仕組みを構築することとする。
○ なお、令和7年度以降の医学部臨時定員については、「第8次医療計画等に関する検討会」等における議論の状況を踏まえ、改めて検討するとされていることに留意が必要である。
6―2.各都道府県において必要な地域枠・地元出身者枠の数について
○ 都道府県知事から大学に対して、地域枠の創設又は増員を要請できる場合については、当該都道府県内に将来時点における推計医師数が必要医師数に満たない二次医療圏等がある場合とし、当該都道府県における二次医療圏ごとの将来時点における医師不足数の合計数を満たすために必要な年間不足養成数を上限として、必要な地域枠数を地域医療対策協議会の協議を経た上で、要請できることとする。
○ 都道府県知事から大学に対して、地元出身者枠の創設又は増員を要請できる場合については、当該都道府県が、将来時点における推計医師数が必要医師数に満たない都道府県である場合とし、当該都道府県における医師不足数分を満たすために必要な年間不足養成数を上限として、必要な地元出身者枠数を地域医療対策協議会の協議を経た上で、当該都道府県内の大学に要請できることとする。
○ なお、地域枠は、都道府県内において二次医療圏間の偏在を調整する機能のみならず、地元出身者枠と同様に、都道府県間の偏在を是正する機能があることから、地元出身者枠の増員等は地域枠の増員等に代替される。その際、都道府県別の養成必要数(不足養成数)については、都道府県内への定着率を、一般枠0.5、地元出身者枠0.8、地域枠1とし、不足養成数の3.3倍が地元出身者枠換算の必要数、2倍が恒久定員内の地域枠換算の必要数、1倍が地域枠設置を要件とする臨時定員換算の必要数となる。
○ また、今後、将来の必要医師数に応じて都道府県内の大学医学部における恒久定員の枠内において、地域枠等の設置・増員等を進めていくことが必要であるが、仮に恒久定員の5割程度の地域枠等を設置しても必要な地域枠等の確保が不十分である場合について、都道府県は、地域医療対策協議会の協議を経た上で、地域枠の設置を要件とする臨時定員の設置等を要請できることとする。
○ その際には、特に医師少数都道府県は、将来の医師多数都道府県に所在する大学医学部における都道府県をまたいだ地域枠の創設又は増員を要請することもできる。本取組を行う場合には、医学部卒業後の勤務を円滑に行うために、卒前段階から、当該医師多数都道府県の大学医学部とも連携しながら、地域枠学生に対するキャリア形成支援を行う等の取組が重要である。
○ なお、将来の必要医師数を達成するために地域枠等が必要であるにも関わらず、大学の状況等により、恒久定員の5割程度の地域枠の設置を要請しない場合については、地域において不足する医師を確保するために大学等からの医師派遣等、これに代替する実効的な医師偏在対策の実施等について、地域医療対策協議会等の場で検討する必要がある。
○ また、地域医療対策協議会の協議等に基づき、例えば、すべての恒久定員を地域枠とする等、恒久定員の5割程度を超える地域枠の設置を要請することも可能である。
○ なお、将来時点の地域枠等の必要数については、2036年時点の医師供給推計(上位実績ベース)数が需要推計(必要医師数)を下回っている場合について、その差を医師不足数として、地域枠等の必要数を算出するものである。そのため、供給推計(上位実績ベース)が実現するよう、都道府県においては、医師派遣や定着促進策などの施策を継続して行う必要があることに留意が必要である。
○ また、二次医療圏における必要医師数については、目標医師数と同様、都道府県における医師確保の方針を踏まえて、合計が都道府県の必要医師数を超えないように、二次医療圏の必要医師数を設定することが前提となるものであり、それに応じた地域枠の設置等の要請を行うことが必要である。
6―3.地域枠の選抜方式等について
○ 都道府県知事は、地域枠の学生・医師を確実に確保することができるよう、地域医療対策協議会の協議を経た上で、原則、大学に対して、特定の地域における診療義務のある別枠方式による地域枠を要請することとする。
○ また、各都道府県・各二次医療圏における特定の地域における診療義務を果たす以上、事実上、一定の範囲の診療領域に派遣されることが求められる。このため、各都道府県においては、地域枠の学生が卒業後、当該地域において不足する一定の診療領域に従事する仕組みについて、具体的に検討していくことが適切である。
○ 要請を受けて設置された地域枠について、実際に特定の地域等において診療義務を果たす際には、医学部生と都道府県等との認識のギャップを避けるため、診療領域についても、都道府県別診療科別の必要医師数の見通し等を踏まえた一定の制限が課されることについて、地域枠の選抜の際に明示しておくべきである。
○ なお、できるだけ医師の柔軟なキャリア形成を認める観点から、当該制限については、地域の実情も踏まえ、可能な限り限定的なものとするべきである。
7.産科・小児科における医師確保計画
7―1.産科・小児科における医師偏在指標及び医師偏在対策の基本的な考え方
○ 産科・小児科については、政策医療の観点、医師の長時間労働となる傾向、診療科と診療行為の対応も明らかにしやすいことから、産科・小児科における医師偏在指標を示し、産科・小児科における地域偏在対策に関する検討を行う。ただし、当該指標は、診療科間の医師偏在を是正するものではないこと、また、偏在指標の値が大きい医療圏においても、実態としては医師が多施設に分散して一施設毎の医師数が少ない場合もあること等に留意する必要がある。
○ 産科・小児科については、産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏においても、その労働環境を踏まえれば、医師が不足している可能性があり、引き続き産科医師及び小児科医師の総数を確保するための施策を行うとともに、医師派遣以外の施策についても検討する必要がある。また、産科医師及び小児科医師の配置等を検討するに当たって産科・小児科における医師偏在指標を用いる際には、前述した留意点に十分な配慮を行うとともに、産科・小児科の全国における医師養成数の検討には用いないことが適当である。加えて、医師の労働時間短縮等に関する指針を踏まえ、医師の労務管理、時間外労働の短縮に向けた取組等についても考慮する必要がある。
○ なお、この「7.産科・小児科における医師確保計画」においては、二次医療圏と同一である場合も含め周産期医療の提供体制に係る圏域を「周産期医療圏」、小児医療の提供体制に係る圏域を「小児医療圏」と呼称することとする。
7―2.産科・小児科における医師偏在指標の設計
7―2―1.産科における医師偏在指標の設計
(1) 考え方
○ 医療需要については、「里帰り出産」等の妊婦の流出入の実態を踏まえた「医療施設調査」における「分娩数」を用いることとする。
○ 患者の流出入については、妊婦の場合「里帰り出産」等の医療提供体制とは直接関係しない流出入があるが、現時点で妊婦の住所地と分娩が実際に行われた医療機関の所在地の両方を把握できる調査はない。このため、医療需要として、分娩が実際に行われた医療機関の所在地が把握可能な「医療施設調査」における「分娩数」を用いており、都道府県間調整は不要である。
○ 医師供給については、「医師・歯科医師・薬剤師統計」における「過去2年以内に分娩の取扱いあり」と回答した医師のうち、日常的に分娩を取り扱っていると考えられる産婦人科・産科・婦人科を主たる診療科と回答した医師数(分娩取扱医師数)を用いることとする。また、算定方法を変更したことから、指標の名称を「産科医師偏在指標」から「分娩取扱医師偏在指標」に変更する。
○ 医師の性別・年齢別分布については、医師全体の性・年齢階級別労働時間を用いて調整することとする。
○ 医師偏在指標については、三次医療圏ごと、周産期医療圏ごとに算定することとする。ただし、三次医療圏については、医師確保計画等が都道府県により作成されること及び都道府県単位で設置された医療審議会や地域医療対策協議会での協議を経て定められるものであることを踏まえ、運用上は都道府県単位で算定することとする。
(2) 指標の設計
(1)の考え方に基づく算定式は次のとおり。
(※) 標準化分娩取扱医師数=Σ性年齢階級別医師数16×性年齢階級別平均労働時間/全医師の平均労働時間
7―2―2.小児科における医師偏在指標の設計
(1) 考え方
○ 医療需要については、15歳未満の人口を「年少人口」と定義し、医療圏ごとの小児の人口構成の違いを踏まえ、性・年齢階級別受療率を用いて年少人口を調整したものを用いる。
○ 患者の流出入については、既存の調査の結果により把握可能な小児患者の流出入の実態を踏まえ、都道府県間調整を行う。
○ 医師供給については、「医師・歯科医師・薬剤師統計」における「小児科医師数」を用いる。
○ 医師の性別・年齢別分布については、医師全体の性・年齢階級別労働時間を用いて調整する。
○ 医師偏在指標については、三次医療圏ごと、小児医療圏ごとに算定する。ただし、三次医療圏については、医師確保計画等が都道府県により作成され、都道府県単位で設置された医療審議会や地域医療対策協議会での協議を経て定められるものであることを踏まえ、運用上は都道府県単位で算定することとする。
(2) 指標の設計
(1)の考え方に基づく算定式は次のとおり。
(※1) 標準化小児科医師数=Σ性年齢階級別医師数17×性年齢階級別平均労働時間/全医師の平均労働時間
(※2) 地域の標準化受療率比=地域の期待受療率(※3)/全国の期待受療率
(※3) 画像82 (30KB)
(※4) 画像83 (29KB)
(※5) 画像84 (37KB)
(※6) 画像85 (36KB)
○ さらに、患者の流出入に基づく増減を反映するために(※4)、全国の性年齢階級別調整受療率を、次のように修正を加えて計算を行うこととする。都道府県においては、この無床診療所及び入院年少患者における流入数及び流出数について、年少者の患者流出入のある都道府県間及び都道府県内の二次医療圏間で調整の上、厚生労働省に報告することとする。
(※7) 画像87 (40KB)
(※8) 画像88 (36KB)
(3) 小児科医師偏在指標における留意点
小児については、小児科医師に限らず、内科医師や耳鼻咽喉科医師等により医療が提供されることもあるが、小児科医師以外の医師による小児医療の提供割合について、現時点では医療圏間で差があるか否かについて把握することが困難である。そのため、当該割合について医療圏間で差はないと仮定している。
7―2―3.指標の作成手続
○ 厚生労働省は、都道府県に対し、産科及び小児科の医師偏在指標の計算方法に加え、分娩取扱医師偏在指標と患者数の流出入に基づく増減を一定程度反映した小児科医師偏在指標を提供する。
都道府県においては、都道府県間及び都道府県内における小児科の患者の流出入数を、外来及び入院に関して都道府県間及び都道府県内において協議の上で決定する。
※ 協議のプロセスについては、「3.医師偏在指標」の「3―1(2)指標の作成手続」と同様とする。
7―3.相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域の設定
○ 産科・小児科については都道府県ごと及び周産期医療圏又は小児医療圏ごとの医師偏在指標の値を全国で比較し、医師偏在指標が下位一定割合に該当する医療圏を相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域と設定することとし、相対的な医師の多寡を表す分類であることを理解しやすくするため、呼称を「相対的医師少数都道府県」及び「相対的医師少数区域」とする。
○ また、産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏等においても、産科医師又は小児科医師が不足している可能性があることに加え、これまでに医療圏を越えた地域間の連携が進められてきた状況に鑑み、仮に産科医師又は小児科医師が多いと認められる医療圏を設定すると当該医療圏は産科医師又は小児科医師の追加的な確保ができない医療圏であるとの誤解を招くおそれがあるため、産科・小児科においては医師多数都道府県や医師多数区域は設けないこととする。
○ 相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域を設定するための基準(下位一定割合)は、医師全体の医師偏在指標を参考に、下位33.3%とする。
○ なお、相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域については、画一的に医師の確保を図るべき医療圏と考えるのではなく、当該医療圏内において産科医師又は小児科医師が少ないことを踏まえ、周産期医療又は小児医療の提供体制の整備について特に配慮が必要な医療圏として考えるものとする。
7―4.産科・小児科における医師確保計画の策定
7―4―1.産科・小児科における医師確保計画の考え方
○ 産科・小児科の医師確保計画については、産科・小児科のそれぞれについて都道府県ごと及び周産期医療圏又は小児医療圏ごとに定めることとする。
○ まずは、7―3に記したとおり産科・小児科の医師偏在指標の値を全国一律に比較した上で相対的医師少数区域を設定することで医師の偏在の状況を把握する。さらに、医療圏ごとに、産科・小児科における医師偏在指標の大小、将来推計等を踏まえ、7―4―4の施策を基本とし、具体的な取組例(表1)も参考としつつ、医師確保計画と同様に見直しまでの期間(以下「計画期間」という。)においてどのように産科・小児科における医師偏在対策に取り組むかについて方針を定めることとする。また、必要に応じて確保する産科・小児科医師数についても定めることができる。
○ 産科・小児科における医師確保計画については、産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏(相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域以外の医療圏)においても医師が不足している可能性があることから、相対的医師少数区域に限らず、全ての都道府県ごと及び周産期医療圏又は小児医療圏ごとに具体的な対応を盛り込んだ上で作成することとする。
○ 産科・小児科における医師確保計画は、3年ごとに見直すこととし、見直しに当たっては産科・小児科における医師確保の方針と施策の妥当性を都道府県において吟味し、課題を抽出した上で次回の産科・小児科における医師確保計画を作成する。
○ 産科・小児科における医師確保計画を策定する際は、大学、医師会等との連携が重要である。また、周産期医療及び小児医療に係る課題に対する対応について、適切に産科・小児科における医師確保計画へ反映することができるよう、地域医療対策協議会の意見とともに、周産期医療又は小児医療に係る協議会等の意見も聴取するなど各医療圏における周産期医療又は小児医療の提供体制についての検討の機会に併せて協議を行うことが適当である。
○ なお、産科・小児科の医師偏在指標を用いた一層の取り組みを検討するに当たり、都道府県の参考となる情報として、医療機関の種別ごとの現在の医師の配置状況や分娩数等の実績についても、産科・小児科の医師偏在指標と併せて厚生労働省から提供するので、参考とされたい。
7―4―2.産科・小児科における医師確保の方針
(1) 考え方
i) 相対的医師少数区域等
ア 産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏においても、その労働環境を鑑みれば産科医師又は小児科医師が不足している可能性があることを踏まえ、相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域について相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域以外の医療圏からの医師派遣のみにより産科・小児科医師の地域偏在の解消を目指すことは適当ではないと考えられる。また、産科・小児科においては、医療圏の見直し、医療圏を超えた連携、医療機関の再編統合を含む集約化等を行ってきたことから、相対的医師少数区域においては、外来医療と入院医療の機能分化・連携に留意しつつ、必要に応じて、医療圏の見直しや医療圏を越えた連携によって、産科・小児科医師の地域偏在の解消を図ることを検討することとする。
イ アの対応によってもなお相対的医師少数であり、産科・小児科の医師偏在が解消されない場合は、医師を増やす(確保する)ことによって医師の地域偏在の解消を図ることとする。具体的な短期的な施策としては、医師の派遣調整や専攻医の確保等を行う。この際、医師の勤務環境やキャリアパスについて留意が必要である。なお、産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏においても、その労働環境を鑑みれば産科医師又は小児科医師が不足している可能性があることから、このような施策のみでは医師偏在は完全には解消されないことが想定される。したがって、医療機関の再編統合を含む集約化等の医療提供体制を効率化する施策等を適宜組み合わせて実施することとする。
ウ 産科医師又は小児科医師の養成数を増加させること等の長期的な施策についても適宜組み合わせて実施することとする。
ii) 相対的医師少数区域等以外の区域
産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏においても、その労働環境に鑑みれば、産科医師又は小児科医師が不足している可能性があることを踏まえ、当該医療圏における医療提供体制の状況を鑑みた上で、医師を増やす方針を定めることも可能とする。その際は、併せてi)のイ、ウと同様の対応を行うこととする。
(2) その他個別に検討すべき事項
○ 患者の重症度、新生児医療について
・ 周産期母子医療センター、小児中核病院、小児地域医療センター、特定機能病院等は、より高度又は専門的な医療の提供を担っており、そのような医療機関が存在する医療圏は、産科・小児科における医師偏在指標による医師数よりも実際に必要な医師数が多い可能性がある。
・ なお、総合周産期母子医療センター等において、産婦人科医師は産科医師偏在指標の需要には含まれていない分娩以外の産婦人科医療にも従事していることに留意する必要がある。さらに、それらの産婦人科医療を受ける患者の重症度は概ね高いことにも留意し、実際に必要な医師数を検討する必要がある。
・ また、新生児に対する医療については、主に小児科医師が担っており、小児科医師は小児医療提供体制の観点だけではなく、周産期医療提供体制の観点からも機能することが期待されている。新生児に対して高度・専門的な医療を提供する体制については、地域の実情に応じて重点化・機能分化が進められており、三次医療圏(都道府県)単位で整備されている場合があるため、小児医療圏又は周産期医療圏ごとの小児科医師偏在指標のみに基づく施策を実施していては必ずしも新生児医療を担う医師の確保ができない。
・ このため、医師派遣等の医師偏在対策を実施するに当たり、個々の周産期母子医療センター、小児中核病院、小児地域医療センター、特定機能病院等における医師の配置状況等を踏まえた検討を行うとともに、新生児医療を担う医師の配置の方向性等について、各都道府県における周産期医療又は小児医療に係る協議会等の意見を聴取した上で検討することとする。
(3) 将来推計について
周産期医療・小児科医療ともに、少子高齢化が進む中で急速に医療需要の変化が予想される分野であり、将来の見通しについて検討することも必要である。厚生労働省が提供する第8次(前期)医師確保計画の計画終了時点である、2026年の医療需要の推計も参考としながら、産科・小児科における医師偏在対策を講じることとする。
i) 産科
産科については、現時点で医療圏ごとの分娩数の将来推計は存在しない。そのため、代替指標として、医療圏ごとの0―4歳人口の将来推計と現在時点の0―4歳人口との比を用いて、2026年における医療圏ごとの分娩数の推計を行うこととする。
ii) 小児科
小児科については、医療圏ごとの将来人口推計から、2026年の年少人口を算出し、性・年齢階級別の受療率を用いて調整した上で、医療圏ごとの医療需要の推計を行うこととする。
7―4―3.産科・小児科における偏在対策基準医師数
○ 計画期間終了時の産科・小児科における医師偏在指標が、計画期間開始時の相対的医師少数区域等の基準値(下位33.3%)に達することとなる医師数を産科・小児科における偏在対策基準医師数として設定する。
○ ただし、これまで医療圏を越えた地域間の連携や医療圏の見直し等が進められている中で、医療圏間の患者等の流出入が発生している現状を踏まえた産科・小児科における偏在対策基準医師数を設定することとする。産科医師については、医療需要として「里帰り出産」等の流出入の実態を踏まえた「分娩数」を用いているため、妊婦の流出入に基づく増減の調整は不要である。小児科医師については、7―2―3の記載の通り、都道府県間及び都道府県内における小児科の患者の流出入に基づく増減を調整する。
○ なお、産科・小児科における偏在対策基準医師数は、医療需要に応じて機械的に算出される数値であり、確保すべき医師数の目標ではないことに留意が必要である。
7―4―4.産科・小児科における偏在対策基準医師数を踏まえた施策
(1) 基本的考え方
○ 産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏においても、その労働環境に鑑みれば、産科医師又は小児科医師が不足している可能性があることや産科・小児科における医師確保の方針を踏まえて、産科・小児科における医師確保のための施策を定めることとする。具体的には、周産期医療・小児医療の提供体制の見直しに関する施策、産科医師・小児科医師を増やすための施策等を組み合わせて定めることとする。また、各都道府県における地域医療構想に係る協議の際には、周産期医療提供体制及び小児医療提供体制に関する議論も行われることが適当である。
○ 周産期医療・小児医療の提供体制の見直しに関する施策として、医療圏の見直し、医療圏を超えた地域間の連携の推進、医療機関の集約化・重点化について検討することが望ましい。
○ 産科医師及び小児科医師を増やすための施策として、産科医師及び小児科医師の派遣調整、産科医師及び小児科医師の養成数の増加、産科医師及び小児科医師の勤務環境改善等について検討することが望ましい。
○ なお、産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏においても、その労働環境を鑑みれば産科医師又は小児科医師が不足している可能性があることを踏まえ、相対的医師少数都道府県や相対的医師少数区域ではない医療圏においても、産科・小児科における医師確保計画を通じた医師偏在対策に地域医療介護総合確保基金を活用することは引き続き可能とする。
(2) 施策の内容
① 周産期医療・小児医療の提供体制等の見直しのための施策
ア 医療圏の統合を含む周産期医療圏又は小児医療圏の見直し
産科医師又は小児科医師が相対的に少なくない医療圏においても、その労働環境を鑑みれば産科医師又は小児科医師が不足している可能性があることを踏まえ、相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域について相対的医師少数都道府県・相対的医師少数区域以外の医療圏からの医師派遣のみで医師の地域偏在の解消を目指すことは適当ではない。
したがって、都道府県(特に相対的医師少数都道府県である都道府県)においては、まずは、医療圏の見直しや医療圏を越えた地域間の連携により産科・小児科における医師の地域偏在の解消を図ることを検討することとする。検討に当たっては、外来医療と入院医療の機能分化・連携に留意する。
なお、第8次医療計画策定の際は、都道府県は周産期医療圏・小児医療圏の見直しについて先行して議論し、当該医療圏を見直す場合は先んじて国へ報告することとする。
イ 集約化・重点化
○ 産科・小児科については、これまで「公立病院を中心とし、地域の実情に応じて他の公的な病院等も対象」として、「医療資源の集約化・重点化を推進することが、住民への適切な医療の提供を確保するためには、当面の最も有効な方策と考えられる」20とされているように、医療資源の集約化・重点化を推進してきた。特に相対的医師少数区域においては、今後も、周産期医療・小児医療の提供体制を効率化するための再編統合を含む集約化・重点化について、関係者の協力の下で実施していくことが望ましい。なお、集約化に当たって、廃止される医療機関に対しても必要に応じて支援を行うべきである。
○ 医療資源の集約化・重点化に伴い、各医療機関における機能分化・連携が重要となる。病診連携や、重点化された医療機関等から居住地に近い医療機関への外来患者の逆紹介等による適切な役割分担を推進し、産科医師及び小児科医師の負担を軽減することとする。例えば、小児在宅医療等に係る連携の推進や診療所の活用を一層進めるための逆紹介の推進等が挙げられる。
○ また、集約化・重点化を検討するに当たっては、医師の労働時間短縮等に関する指針を踏まえ、医師の時間外労働の短縮を見据えたものとし、特に重点化の対象となった医療機関においては、勤務環境の改善に一層取り組むことが求められる。
○ 周産期及び小児医療に携わる医師の働き方改革を進めつつ、地域において必要な周産期及び小児医療を維持・確保するため、周産期医療及び小児医療の医療計画や地域医療構想との整合性にも留意しながら、基幹施設を中心として医療機関・機能の集約化・重点化や産科及び小児科の医師偏在対策を検討する必要がある。
ウ 医療機関までのアクセスに時間がかかる地域への支援
○ 医療機関の集約化・重点化等に伴い、医療機関までのアクセス時間が増大する住民に対しては、受診可能な医療機関の案内及び地域の実情に関する適切な周知を行うとともに、オンライン診療等、その他必要な支援を検討するべきである。オンライン診療について検討する際には、対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められることに留意する。また、容態の急変等に備えて医療機関間の情報共有を推進する必要がある。
② 産科・小児科における医師の派遣調整
○ ①に掲げる対策を行った上で、なお十分な医療提供がなされない場合には、産科・小児科における医師の派遣調整を行う。産科・小児科における医師の派遣調整に当たっては、「(1)基本的な考え方」を踏まえて実施するととともに、地域医療対策協議会において、都道府県と大学、医師会等が連携することが重要である。
○ 派遣先の医療機関の選定に当たっては、当該医療機関における分娩数の実績や当該医療機関の医療圏における年少人口を踏まえて、分娩数と見合った数の産科医師数及び年少人口と見合った数の小児科医師数が確保されるように派遣を行うこと。また、少人数で昼夜問わず分娩の取扱いや小児医療の提供を行うような過酷な労働環境とならないよう、派遣先の医療機関は重点化するとともに、産科・小児科における医師の派遣を重点的に行うこととされた医療機関においては、特に産科・小児科における医師の時間外労働の短縮のための対策を行うこと。
③ 産科医師及び小児科医師の勤務環境を改善するための施策
○ 産科医師及び小児科医師が研修やリフレッシュ等のために十分な休暇を取ることができるよう、代診医の確保や女性医師にも対応した勤務環境改善等の支援を行う。
○ 産科医師又は小児科医師でなくても担うことのできる業務については、タスク・シフト/シェアを一層進める。例えば、院内助産等、他の医療従事者を活用することが挙げられる。タスク・シフト/シェアを進めるために、タスク・シフト/シェアを受けることができる医療従事者の確保、医療従事者に対する研修の充実等に努める。
④ 産科医師及び小児科医師の養成数を増やすための施策
ア 専攻医等の確保
○ 専攻医の確保や離職防止を含む産科医師及び小児科医師の確保・保持のための施策を行う。特に、医学生に対する必要な情報提供や円滑な情報交換等を行うとともに、専攻医の確保に必要な情報提供、指導体制を含む環境整備等を行う。
○ また、当該都道府県における小児科専攻医の研修において、新生児科(NICU)研修等を実施するなど、小児科医師の中でもその確保に特に留意が必要な新生児医療を担う医師の養成について、研修プログラムを作成する基幹施設等の関係者と協議する。
イ 産科医師及び小児科医師におけるキャリア形成プログラムの充実化
○ 地域で勤務する産科医師及び小児科医師が専門的な技術・知識を獲得し、適切な臨床経験を積むことができるよう、キャリア形成プログラムの充実化を行う。その際、専らへき地等の診療が求められるなどの偏ったローテーションが行われないように配慮する等、キャリア形成と地域における診療従事のバランスが考慮されるべきである。また、キャリア形成のために必要なその他の支援を行う。
(3) 産科・小児科における医師偏在対策の具体的な取組例
具体的な取組例を表1に示しているので、産科・小児科における医師確保計画を作成する際の参考とされたい。
また、今後、厚生労働省は、都道府県担当者、各大学における産科・小児科の責任者等を対象とする研修会等において、全国の先進事例を整理し、有効な事例の共有等を行う機会を提供する。
表1.産科・小児科における医師偏在対策の具体的な取組例
① 医療提供体制等の見直しのための施策 |
○ 医療提供体制の見直しや医師確保に関して議論する場の設置。(周産期医療に関する協議会や小児医療に関する協議会等。構成員として、地域の自治体の長や職員、地域の医師会の代表、関係する病院の病院長、関係する科の部長、看護部長等を含む。) ○ 集約化・重点化等によって、施設又は設備の整備、改修、解体等を要する医療機関に対する配慮。(例えば、重点化された医療機関における、新たな設備の拡充に伴う費用負担の軽減や、分娩の取扱いを中止し、セミオープンシステム等により妊婦健康診査や産後ケアを提供する施設に変更する際の、建物の改修や病床のダウンサイジングの支援等。) ○ 集約化・重点化等によって、医療機関までのアクセスに課題が生じた場合の移動手段の確保、滞在等についての支援。 ○ 医療機関までのアクセスに時間がかかる地域への配慮。(例えば、小児への巡回診療などを医師全体のへき地保健医療対策とともに実施。また、ICTやIoTの活用、遠隔診療の活用等も併せて実施。) ○ 小児科医師以外の小児の休日・夜間診療への参画に対する支援。(例えば、地域の救急科医師、内科医師、総合診療科医師等を対象とした、家族への配慮を含む小児の診療に関する研修による、小児科以外の医師の小児の休日・夜間診療への参画の支援等。) ○ 小児の在宅医療に係る病診連携体制の運営支援。(例えば、医師に対する研修、患者の退院前調整や急変時の入院調整等を含む医療機関間の連携体制(会議等)の運営支援、小児を対象とする訪問看護ステーションと医療機関の医師との連携構築等に対する支援等。) |
② 医師の派遣調整 |
○ 相対的医師少数区域へ勤務することに対するインセンティブ等の付与。(派遣元医療機関へ復帰後の職位等の保証、待遇改善等を含む。) ○ 地域での短期間勤務(例えば、1年程度。)による頻繁な移動や転居等に対する配慮。(宿舎整備や移動に対する支援等。) ○ 寄附講座の設置。 ○ 医師を派遣する側の医療機関に対する支援。(医師が少なくなることに対する配慮。) ○ 専攻医が相対的医師少数区域をローテーションすることに対する支援。(なお、全ての診療科において、医師少数区域での勤務を求めていくことも重要である。) |
③ 産科医師及び小児科医師の勤務環境を改善するための施策 |
○ 病院ごとの勤務環境を把握するため、病院ごとの産科医師数、小児科医師数等を把握。 ○ 余裕のあるシフト等を確保するための1医療機関につき複数医師の配置、チーム医療の推進、交代勤務制(日夜勤制)の導入、連続勤務の制限等。 ○ 産科及び小児科において比較的多い女性医師への支援。(例えば、時短勤務等の柔軟な勤務体制の整備、院内保育・病児保育施設・学童施設やベビーシッターの充実等。なお、女性医師に限らず、子育てや介護を行う医師へも同様の配慮が必要である。) ○ 院内助産の推進。(院内助産を活用し、助産師へのタスク・シフト/シェアを推進することで、分娩取り扱い医療機関における産科医師の負担を軽減することができるものと考えられる。) ○ 医師の業務のタスク・シフト/シェアを進めるために必要な、看護師、助産師、臨床心理士、事務補助等の人員の確保に対する支援。 |
④ 産科医師及び小児科医師の養成数を増やすための施策 |
○ 医学生や臨床研修医に対する積極的な情報提供、関係構築を実施し、診療科選択への動機付けを実施。 ○ 当該都道府県における小児科専攻医の研修において、新生児科(NICU)研修等を実施するなど、小児科医師の中でもその確保に特に留意が必要な新生児医療を担う医師の養成について、研修プログラムを作成する基幹施設等の関係者と協議。 ○ 産科・小児科を選択した専攻医の研修実施に対するインセンティブ(研修奨励金の支給等)、診療科枠の制限をかけた医学生に対する修学資金貸与、指導医に対する支援、勤務環境改善等。 ○ 修学資金を貸与された医師が産科・小児科を専攻する場合、地域の中核となる医療機関における長期研修の機会を特例的に提供。 |
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16 性年齢階級別の医師数は、医師届出票に記載されている主たる従事先と従たる従事先が所在する周産期医療圏が異なる場合は、主たる従事先では0.8人、従たる従事先では0.2人として算出する。
17 性年齢階級別の医師数は、医師届出票に記載されている主たる従事先と従たる従事先が所在する小児医療圏が異なる場合は、主たる従事先では0.8人、従たる従事先では0.2人として算出する。
18 マクロ需給推計における外来医師需要は、無床診療所における外来医療需要の推計を行っている。
19 マクロ需給推計における入院医師需要は、病院及び有床診療所における入院医療需要の推計を行っているものであるが、病院及び有床診療所における外来医療需要においては、入院需要の一部として推計されている。
20 「小児科・産科における医療資源の集約化・重点化の推進について」(平成17年12月22日付け医政発第1222007号・雇児発第1222007号・総財経第422号・17文科高第642号厚生労働省医政局長、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長、総務省自治財政局長及び文部科学省高等教育局長連名通知)
8.医師確保計画の効果の測定・評価
○ 医師確保計画のサイクルの中で、次期の医師確保計画に定める目標医師数は、医師確保計画の計画期間終了時における医師偏在指標の値を基に設定されるものである。このため、医師確保計画の効果については、計画終了時点で活用可能な最新データから医師偏在指標の値の見込みを算出し、これに基づいて測定・評価することが望ましいが、医師偏在指標を算出するための三師統計が2年ごとであるなど計画終了時の医師偏在指標の値の見込みの算出は困難であることから、医師偏在指標ではなく、病床機能報告21等の都道府県が活用可能なデータを参考として医師確保計画の効果を測定・評価することとする。
※ 病床機能報告のデータは、厚生労働省ホームページより入手可能。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html
○ 医師確保計画の効果測定・評価の結果については、地域医療対策協議会において協議を行い、次期医師確保計画の策定・見直しに反映させるとともに、評価結果を次期医師確保計画に記載することとする。
○ 都道府県は、非常勤医師の派遣等の取組に関して医療機関等から聞き取り調査を行う等、既存の統計調査では把握が困難な事項について可能な限り把握を行い、医師少数区域等における医師の確保の状況をできるだけ正確に評価できる体制を整備すること。
○ 都道府県は計画終了時に、都道府県外からの医師の受入状況及び都道府県外への医師の派遣状況も把握を行い、計画作成時点と計画見直し時点での状況の変化を把握すること。
○ 都道府県は計画終了時に、地域枠医師の定着率及び派遣先を把握し、義務履行率、定着率の改善が見られるか否か、医師少数区域等に定められた期間勤務しているか否か等について把握を行うこと。
○ 医師確保計画の効果の測定結果を踏まえ、都道府県ごと、二次医療圏ごとに医師確保の状況等について比較を行い、課題を抽出すること。その上で、他の都道府県の取組等を参考にしながら適切な対策を行うこと。
○ 医師確保計画が医療計画の一部であることを鑑み、次期医療計画の見直しの際には医療計画の指標として上記の項目を使用することを厚生労働省として今後検討する。
○ 医療計画においては、その実効性を上げるために、その評価を行い、評価結果に基づき計画の内容を見直すことが重要であるとしている。特に、産科及び小児科における医師確保計画の内容については、医師全体における医師確保計画と同様に、その評価を行い、評価結果に基づき医療計画における周産期医療及び小児医療の確保に必要な事業に関する事項等と一体的に見直すことが望ましい。
○ なお、本ガイドラインにおいて示した医師偏在指標等については、現時点で入手可能なデータに基づき検討することとなったが、今後、医師偏在対策に資するデータの整備状況等を踏まえて、厚生労働省は、医師偏在指標や医師偏在対策の指針の見直しを行う。
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21 病床機能報告は一般病床又は療養病床を有する病院及び診療所におけるデータであるため、三師統計とは異なる点に留意が必要である。
参考2
外来医療に係る医療提供体制の確保に関するガイドライン
~第8次(前期)~
令和5年3月
目次
1 はじめに
1―1 外来医療に係る医療提供体制の確保に関する考え方
1―2 外来医療計画の全体像
1―3 ガイドラインの位置づけ
2 外来医療計画の策定を行う体制等の整備
2―1 都道府県の体制
2―2 外来医療に係る医療提供体制に関する協議の場
2―3 外来医療計画策定のプロセス
2―4 外来医療計画の策定スケジュール
3 外来医療計画の策定及び実施に必要なデータの収集、分析及び共有
4 外来医師偏在指標と外来医師多数区域の設定
4―1 区域単位
4―2 外来医師偏在指標
4―3 外来医師多数区域の設定
5 外来医療提供体制の協議及び協議を踏まえた取組
5―1 新規開業者等に対する情報提供
5―2 外来医師多数区域における新規開業者の届出の際に求める事項
5―3 現時点で不足している外来医療機能に関する検討
5―4 合意の方法及び実効性の確保
5―5 患者や住民に対する公表
5―6 各医療機関での取組
6 医療機器の効率的な活用に係る計画
6―1 医療機器の効率的な活用に関する考え方
6―2 協議の場と区域単位
6―3 医療機器の効率的な活用のための検討
7 外来機能報告
8 外来医療計画の実行に関するPDCAサイクル
9 留意点
別紙1 外来医療の医療計画の策定及び実現に必要と考えられるデータ
別紙2 医療機器稼働状況報告書
1 はじめに
1―1 外来医療に係る医療提供体制の確保に関する考え方
○ 外来医療については、
・ 地域で中心的に外来医療を担う無床診療所の開設状況が都市部に偏っている
・ 診療所における診療科の専門分化が進んでいる
・ 救急医療提供体制の構築、グループ診療の実施、放射線装置の共同利用等の医療機関の連携の取組が、地域で個々の医療機関の自主的な取組に委ねられている
等の状況にある。
○ 医師偏在の度合いが指標により示されることに伴い、地域ごとの外来医療機能の偏在等の客観的な把握も可能となる。この情報を、新たに開業しようとしている医療関係者等が自主的な経営判断に当たって有益な情報として参照できるよう、可視化して提供することで、個々の医師の行動変容を促し、偏在是正につなげていくことを基本的な考え方としている。
○ その際、地域ごとの疾病の構造や患者の受療行動などの地域の特性を示すより詳細な付加情報等を加えることや患者のプライバシーや経営情報等の機微に触れる情報を除くことなどを行うため、可視化する情報の内容について地域の医療関係者等と事前に協議等を行うことが必要である。
○ 加えて、地域における救急医療提供体制の構築、グループ診療の推進、医療設備・機器等の共同利用等の外来医療機関間での機能分化・連携の方針等についても、協議を行い、地域ごとに方針決定を行うことが有益である。
1―2 外来医療計画の全体像
○ 第7次医療計画より、医療需要及び人口・人口構成とその変化や患者の流出入等を反映するなど、現時点で入手可能なデータを最大限活用し、医師の偏在の状況を全国ベースで客観的に示す指標として、医師偏在指標を定めることとした。医師偏在指標は、これまでよりも医師の偏在の状況をより適切に反映する指標として、医師偏在対策の推進において活用されるものである。
○ しかしながら、外来医師偏在指標(地域ごとの外来医療機能の偏在・不足等の客観的な把握が可能となる指標をいう。以下同じ。)の算定に当たっては一定の仮定が必要であり、また、入手できるデータの限界などにより指標の算定式に必ずしも全ての医師偏在の状況を表しうる要素を盛り込めているものではない。このため、外来医師偏在指標の活用においては、医師の絶対的な充足状況を示すものではなく、あくまでも相対的な偏在の状況を表すものであるという性質を十分に踏まえた上で、外来医師偏在指標の数値を絶対的な基準として取り扱うことや外来医師偏在指標のみに基づく機械的な運用を行うことの無いよう十分に留意する必要がある。
○ また、外来医療に係る医療提供体制の構築においては、地域包括ケアシステムの構築に資するような取組を行っていくことが重要である。例えば、高齢化に伴い慢性疾患を抱えながらも住み慣れた場所での療養を希望する患者が増えることが見込まれるため、外来医療と在宅医療が切れ目なく提供されることや、高齢者の軽症患者の救急搬送の増加に対し、初期救急を充実させることによって重症化等を防ぎ、適切な救急医療体制を維持していくことが求められる。これに当たっては、在宅医療の24時間体制を支えるためにグループ診療に関する取組を行うことや、夜間・休日外来の体制構築のために在宅当番医制への参加や夜間休日診療センターの設置・参加を進めることなど、地域の実情に応じて面で外来医療に係る医療提供体制を構築していく視点が重要である。
○ さらに、患者・住民の視点に立てば、日頃から身近で相談に乗ってもらえる「かかりつけ医1 2」を持つことが重要であり、「かかりつけ医」はその機能を地域で十分に発揮することが期待される。
○ このような状況を踏まえ、都道府県は、医療法(昭和23年法律第205号)第30条の4第2項第10号の規定に基づき、医療計画において外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項(以下「外来医療計画」という。)を追加し、同法第30条の18の4の規定に基づき外来医療に係る医療提供体制の確保に関する協議の場(以下「協議の場」という。)を設け、関係者と協議を行う必要がある。
○ 外来医療計画においては、まず、厚生労働省が示す外来医師偏在指標の計算式に基づき、都道府県において二次医療圏単位で外来医師偏在指標を定め、この外来医師偏在指標に基づき二次医療圏ごとに外来医師多数区域を定義する。都道府県は、外来医師多数区域において新規開業を希望する者に対しては、当該外来医師多数区域において不足する医療機能を担うよう求め、新規開業を希望する者が求めに応じない場合には協議の場への出席を求めるとともに、協議結果等を住民等に対して公表することとする。外来医師偏在指標の値及び協議の場における協議プロセス、公表の方法等については、外来医療計画に盛り込み、あらかじめ公表しておくこととする。
○ さらに、外来医師多数区域以外の区域において、又は新規開業者以外の者に対しても、地域の実情に応じて、地域で不足する医療機能を担うよう求めることができることとする。なお、外来医療の体制整備に当たっては、医師確保の観点も必要であり、特に外来医師多数区域以外の区域においては医師確保計画とも整合性をとりながら進めることとする。
○ 令和3年5月に「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第49号)により、地域の医療機関の外来機能の明確化・連携に向けて、データに基づく議論を地域で進めるため、医療機関の管理者が外来医療の実施状況等を都道府県知事に報告する外来機能報告等が医療法(昭和23年法律第205号)に位置づけられた(令和4年4月1日施行)。
○ 患者が医療機関を選択するに当たり、外来機能の情報が十分得られず、また、患者にいわゆる大病院志向がある中で、一部の医療機関に外来患者が集中し、患者の待ち時間の増加や勤務医の外来負担等の課題が生じていることから、患者の流れの円滑化を図るため、医療資源を重点的に活用する外来(紹介受診重点外来)の機能に着目し、当該外来医療を提供する基幹的な役割を担う意向を有する病院又は診療所として、紹介受診重点医療機関を明確化することとしたものである。
○ また、二次医療圏単位における外来医療機能について、全ての区域においてどのような機能が不足しているのか可能な限り分析を行い、その分析結果についても外来医療計画において明示することとする。さらに、地域に不足する医療機能について具体的な目標を定め、達成に向けた取組の進捗評価に努めることとする。
○ その他、医療機関のマッピング(地図情報として可視化)に関する情報等、開業に当たって参考となる情報についても把握・整理・分析し、外来医療計画において明示することとする。
○ なお、外来医療に係る医療提供体制は比較的短期間に変化しうることから、2024年度以降は都道府県において外来医療計画を3年ごとに見直すこととする。
1―3 ガイドラインの位置づけ
○ 協議の場における協議の内容、進め方等に関しては、本ガイドラインを参考にされたい。また、外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項については、医療計画に盛り込むべき事項とされていることから、本ガイドラインを参考に、協議結果を踏まえ、医療計画に位置づけられたい。
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1 かかりつけ医とは、なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要なときには専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師をいう。「日本医師会・四病院団体協議会合同提言」(平成25年8月8日)
2 なお、「かかりつけ医機能」については、「経済財政運営と改革の基本方針2022(令和4年6月7日閣議決定)や「全世代型社会保障構築会議 報告書」(令和4年12月16日)等において、今後の高齢者人口の更なる増加と人口減少を見据え、かかりつけ医機能が発揮されるための制度整備を進めるべきとされており、現在、関係法案を令和5年通常国会に提出しているところである。今後、国会での審議及び具体的な方策検討を踏まえ、必要に応じて同ガイドラインにおける取扱いについて検討を行う。
2 外来医療計画の策定を行う体制等の整備
2―1 都道府県の体制
○ 外来医療に係る医療提供体制に関する事項は、医師の確保のみならず地域医療構想等の入院医療及び在宅医療等に関する事項とも関係するものであり、都道府県においては、これらの事項に横断的に対応できるよう必要な体制を整えられたい。
2―2 外来医療に係る医療提供体制に関する協議の場
○ 都道府県は、二次医療圏その他の当該都道府県の知事が適当と認める区域(以下「対象区域」という。)ごとに、診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者、医療保険者その他の関係者との協議の場を設け、関係者との連携を図りつつ、外来医療機能の偏在・不足等への対応に関する事項等について協議を行い、その結果を取りまとめ、公表するものとされている3。なお、協議の場については、地域医療構想調整会議を活用することが可能である4。
○ 対象区域内の医療機関の規模や数等は多様であり、地域によっては二次医療圏単位の協議の場の運営が困難な場合も想定されることから、都道府県知事が適当と認める二次医療圏とは異なる対象区域単位で設置することも可能であるが5、外来医師偏在指標(後述)の区域単位との関係から、当面は二次医療圏単位での協議の場の運営を行うよう努められたい。
○ 外来医療に係る医療提供体制の確保については、幅広く関係者の理解を得て推進する必要があるため、協議の場の構成員については、郡市区医師会等の地域における学識経験者や、病院・診療所の管理者、医療保険者、市区町村等の幅広いものとすることが望ましい。なお、医療保険者については、必要に応じ、都道府県ごとに設置された保険者協議会に照会の上、選定することとする。
○ また、協議の場における協議をより効果的・効率的に進める観点から、都道府県は、議事等に応じて、参加を求める関係者(病院・診療所の管理者、地域における主な疾病等に関する学識経験者を含む。)を柔軟に選定することとし、参加を求める関係者の選定に当たっては公平性・公正性に留意することとする。
○ 外来医療機能について、市区町村等のより細かい単位での協議を行う場合や、在宅当番医制度や夜間・休日急患センターへの参加等の特定の議題を継続的に協議する場合等については、協議の場の下にワーキング・チームや専門部会等を設置し、当該議題の関係者との間でより具体的な協議を進めていく方法も考えられる。
○ この場合、特定の議題に応じた関係者の参加を求める場合には、当該地域における代表性を考慮して選定した病院・診療所の管理者等の医療関係者、郡市区医師会等の地域における学識経験者、市区町村等に加え、例えば、医療を受ける立場の参加が求められる場合には住民を加えるなど、柔軟に選定することが望ましい。
2―3 外来医療計画策定のプロセス
○ 外来医療計画は医療計画の一部であることから、その策定に当たっては、医師会等の診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴くとともに、都道府県医療審議会、市区町村及び保険者協議会の意見を聴く必要がある6。
○ また、外来医療計画に定められた施策の実効性を確保するため、都道府県は、外来医療計画の立案・策定の段階から、協議の場の構成員から意見を聴取すること。さらに、地域の医療関係者、保険者及び患者・住民の意見を聴く必要もあることから、都道府県においては、パブリックコメントやヒアリングなど患者・住民の意見を反映するための手続を取るとともに、既存の圏域連携会議等の場も活用して地域の医療関係者の意見を反映する手続を取ることが望ましい。
○ また、策定された外来医療計画については、協議の場における議論の状況等について、医療審議会に対し必要に応じ報告を行うこと。
○ 現行の医療計画の策定プロセスと同様に、外来医療計画の策定に当たっても、都道府県医療審議会の下に専門部会やワーキング・グループ等を設置して集中的に検討することが考えられるが、その構成員については、代表性を考慮の上偏りがないようにすることが必要である。
○ 策定された外来医療計画は、遅滞なく厚生労働大臣に提出するとともに、その内容を公示することとする7。その際、住民の認知が重要であることから、都道府県報やホームページによる公表、プレスリリース等によるマスコミへの周知など、幅広い世代の住民に行き渡るよう公表手段を工夫することが必要である。外来医師多数区域における施策は、施策の透明性が確保されることにより実効性が高まるものであることから、その趣旨を踏まえて積極的な公表を行っていただきたい。
2―4 外来医療計画の策定スケジュール
○ 2024年度から始まる第8次医療計画における外来医療計画(以下「第8次(前期・後期)外来医療計画」という。)の策定スケジュールのイメージは以下のとおりである。
時期 |
|
2022年度 |
・厚生労働省が外来医師偏在指標(暫定値)を算出 ※暫定値では、2022年現在の二次医療圏を前提とした医師偏在指標の計算を行い、上位及び下位33.3%の基準となる指標の閾値を確定 |
2023年度内 |
・都道府県が第8次医療計画策定に当たり二次医療圏の見直しを検討 |
9月まで |
・都道府県において、二次医療圏の見直しを行う場合、見直し後の二次医療圏間における患者の流出入を厚生労働省に報告(二次医療圏の見直しを行わない場合は、暫定値を確定値とする) |
報告後順次 |
・都道府県の報告を踏まえ、厚生労働省において、当該見直しが行われる二次医療圏の外来医師偏在指標(確定値)を算定 ・都道府県は、当該確定値と2022年度に確定された閾値を比較して、外来医師多数区域の判断を行う |
3月まで |
・都道府県が協議の場との共有、都道府県医療審議会への意見聴取を経て、外来医療計画を策定・公表 ・厚生労働省が都道府県向けの外来医療計画策定研修会等を随時実施 |
2024年度 |
・都道府県において、第8次(前期)外来医療計画に基づく取組を開始 |
2025年度 |
・厚生労働省が第8次(後期)外来医療計画策定に向けた、計画見直しについての指針を作成、公表予定 |
2026年度 |
・都道府県が第8次(後期)外来医療計画を策定・公表 |
2027年度 |
・都道府県において、第8次(後期)外来医療計画に基づく取組を開始 |
※ 都道府県は、第8次医療計画策定の際に先行して二次医療圏の見直しについて議論し、見直す場合は9月までに厚生労働省に報告することとしているが、この報告までの期間を短縮することで、厚生労働省が早期に外来医師偏在指標を算定し、都道府県に提供することが可能となる。このため、見直しの結果を可能な限り速やかに報告すること。
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3 医療法第30条の18の4第1項
4 医療法第30条の18の4第3項
5 医療法第30条の18の4第1項
6 医療法第30条の4第16項及び第17項
7 医療法第30条の4第18項
3 外来医療計画の策定及び実施に必要なデータの収集、分析及び共有
○ 今後、地域医療構想の達成に向けて病床の機能分化・連携のための医療機関の再編・統合が進むことで、入院からの移行により外来医療がさらに医療サービスの受け皿となっていくことが見込まれ、外来医療に係る医療提供体制も地域包括ケアシステムの構築のための取組の一環として位置づけられる。したがって、外来医療に係る医療提供体制の確保に当たっては、外来医療が入院医療や在宅医療等と切れ目なく提供されるよう、医療機関の自主的な取組や医療機関相互・地域の医療関係者間の協議等による連携が不可欠となる。
○ こうした取組及び連携を促進するためには、関係者間の共通認識の形成とそのための情報の整備が必要となる。当該情報は、厚生労働省において、技術的支援として、一元的に整備し、都道府県に提供することとするが、都道府県においては、当該情報を関係者や患者・住民と共有することが必要である。また、当該情報は、患者・住民のより適切な医療機関の選択や医療のかかり方に資することから、情報を公表する際は、丁寧な説明を行い、患者・住民、医療機関及び行政の情報格差をなくすよう努める必要がある。
○ 都道府県において情報を整備するに当たっては、厚生労働省からの情報に限らず、地区医師会等の医療関係者等の協力を得て、独自に調査するなど、地域特性に応じた有用なデータを入手し、分析・活用も検討されたい。
○ また、外来機能報告により入手可能な、重点外来や紹介・逆紹介等に係るデータを活用し、地域の外来医療の提供状況について把握するとともに、紹介受診重点医療機関の機能・役割も踏まえ、地域における外来医療提供体制の在り方について、検討を行うこととする。
○ なお、厚生労働省から提供する外来医療計画の策定及び施策の実施に必要と考えられるデータは別紙に示す。
4 外来医師偏在指標と外来医師多数区域の設定
4―1 区域単位
○ 外来医療計画の策定に当たり、外来医療が一定程度完結する区域単位で外来医療に係る医療提供体制の確保に関する取組を具体化するため、対象区域の設定を行う必要がある。
○ 対象区域は、原則として二次医療圏とするが、人口規模、患者の受療動向、医療機関の設置状況等を勘案して二次医療圏を細分化した都道府県独自の単位で検討を行っても差し支えない。
○ 特に、今後、地域包括ケアシステムの構築に当たり、地域における基幹病院及び中小病院、一般診療所の外来医療機能の役割を整理し、生活習慣病などのプライマリ・ケアについては一般診療所等が担う等の機能分化が進められていくことが必要であるため、診療所の外来医療に係る医療提供について検討するに当たって、地域の特性を踏まえ市区町村や中学校区等の生活圏域で検討を行うことも差し支えない。ただし、外来医師偏在指標により統一的な基準に基づく外来医療提供体制の確保策を講じる必要があることから、二次医療圏とは異なる区域で検討を行う場合についても、二次医療圏単位の外来医療に係る医療提供体制の確保に関する検討は必ず行い、医療計画に記載すること。
4―2 外来医師偏在指標
○ 都道府県は、厚生労働省から提供される暫定的な外来医師偏在指標を基に、対象区域間の外来患者数の流出入について、以下に示す考え方を踏まえ、必要に応じて都道府県間で調整の上設定することとする。
(1) 外来医師偏在指標の考え方
○ 医師確保計画における医師偏在指標により、医師全体の偏在の度合いが示されており、外来医療についても外来医療の実態を反映する指標が必要である。
○ 外来医療機能の偏在等の可視化に当たっては、外来医療のサービスの提供主体は医師であることから、外来医療に関する指標として医師数に基づく指標を算出することとする。具体的には、医師確保計画における医師偏在指標と同様に5つの要素(医療需要(ニーズ)及び人口構成とその変化、患者の流出入等、へき地等の地理的条件、医師の性別・年齢分布、医師偏在の種別(区域、入院/外来))を勘案した人口10万人対診療所医師数を外来医師偏在指標として用いることとする。
○ なお、大半の診療所が1人の医師によって運営されており、診療所数と診療所の医師数は1:1に近い傾向にあることから、外来医師偏在指標は診療所の偏在状況を示す指標としても使用可能であると考えられる。
i) 医療ニーズ及び人口構成とその変化
○ 地域によって、人口の年齢構成や男女比率が異なるが、年齢や性別によって外来受療率は異なる。したがって、外来医師偏在指標の算出に当たっては、地域ごとの医療ニーズを、地域ごとの人口構成の違いを踏まえ、性・年齢階級別の外来受療率を用いて調整することとする。
(参考) 外来医療の偏在指標における性・年齢階級別受療率を用いた各地域の外来医療需要の計算方法 地域ごとの外来医療需要=地域ごとの人口/10万人×地域ごとの標準化外来受療率比(※1) (※1) 地域ごとの標準化外来受療率比=地域ごとの期待外来受療率(※2)/全国の外来受療率 (※2) 画像89 (35KB) |
ii) 患者の流出入
○ 外来医療については、時間内受診(日中)が多くを占めることから、患者の流出入は昼間人口を基本とすることとする。
○ ただし、医師確保計画における医師偏在指標と同様、都道府県が独自に調整した患者の流出入を使用することも可能とする。その際、都道府県間等の調整を簡素化するため、医師偏在指標における都道府県間調整の結果などを参考に用いることが望ましい。
iii) へき地等の地理的条件について
○ へき地の医療提供体制の確保については、医師確保計画とへき地の医療計画を連携させ整合性をとることとされており、へき地等における外来医療に係る医療提供体制の確保についても、医師確保計画等の関連する施策と整合性をとり対応することとする。
iv) 医師の性別・年齢分布について
○ 医師確保計画における医師偏在指標と同様に、地域ごとの性・年齢階級別医師数を、性・年齢階級別の平均労働時間によって重み付けすることとする。
v) 医師偏在の単位(区域、病院/診療所)
ア 区域
○ 外来医療における医療需要の多くは二次医療圏よりも小さい地域で完結していると考えられるものの、
・ これまでの医療計画の基本的な単位は二次医療圏であり、医療提供体制に関する検討も二次医療圏単位で行われており、こうした状況との整合性を確保する必要があること
・ 外来医療機能の偏在等を可視化する指標を算出するに当たって、市町村単位では必要なデータを必ずしも把握することができず、外来医療機能の偏在状況を正確に評価することができないことも踏まえ、市町村単位等で算出することはせず、二次医療圏単位で算出することとする。
○ ただし、協議の場において診療所や病院の所在地等についても協議の参考にできるよう、市町村単位ごとにマッピングを行ったデータ等を厚生労働省から都道府県に提供し、市町村単位の情報も活用できるようにすることとする。
イ 病院/診療所
○ 外来医療機能の多くは診療所で提供されていることから、外来医師偏在指標は診療所の医師数をベースとする。ただし、地域ごとに地域の外来医療機能全体に占める病院と診療所が提供する外来医療機能の割合が異なることから、病院の状況も協議の材料として活用できるよう、病院と診療所の外来医療に関する対応割合も厚生労働省から情報提供することとする。
○ 外来医師偏在指標を図式化すると、以下のとおり。
(※1) 画像91 (36KB)
(※2) 地域の標準化外来受療率比=地域の外来期待受療率(※3)/全国の外来期待受療率
(※3) 画像92 (30KB)
(※4) 画像93 (31KB)
○ 都道府県間の外来患者の流出入については、厚生労働省からデータの提供を行い、必要に応じて都道府県間で調整を行うこととする。調整を終えたデータについては、都道府県から厚生労働省に報告し、最終的な外来医師多数区域が決定されることになる。
(2) 都道府県間の外来患者の流出入の調整
○ 都道府県間で外来患者数の流出入を調整する場合には、都道府県の企画部局(地方自治法(昭和22年法律第67号)に基づく総合計画を担当する部局等)や介護部局(介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく介護保険事業支援計画を担当する部局等)、医療関係者の意見を踏まえた上でまず自都道府県の考え方をまとめることとする。また、都道府県内の対象区域間の供給数の増減を調整する場合についても同様に、医療関係者や市町村の意見を踏まえ、自都道府県の考え方をまとめることとする。
○ 都道府県において考え方をまとめた後、都道府県は、関係する都道府県や都道府県内の医療関係者との間で外来患者の流出入を調整し、外来医師偏在指標を設定することとする。なお、調整に当たっては、丁寧かつ十分な協議を行い、特に都道府県間の調整においては、議事録の作成に加え、協議後には合意を確認できる書面を作成するなどして、協議結果を取りまとめておくことが適当である。
4―3 外来医師多数区域の設定
○ 医師確保計画における医師偏在指標の活用方法を参考に、外来医師偏在指標の値が全二次医療圏の中で上位33.3%に該当する二次医療圏を外来医師多数区域と設定することとする。設定した区域については、その他開業に当たって参考となる情報と併せて、都道府県のホームページ等に掲載するほか、様々な機会を捉えて周知するなど、新規開業希望者等が容易にアクセスできる工夫を行うこととする。また、医療機関のマッピング等のデータについては、新規開業希望者等の判断の参考として用いられるよう可能な限り頻繁に更新を行うなどデータの質の担保に努めることとする。なお厚生労働省から提供するデータについても、更新時に都道府県に対して速やかに情報提供することとする。
○ なお、開業の意思決定については医師だけでなく、資金調達を担う金融機関等も参画することから、金融機関等に対しても上記の情報を伝えることは重要であり、金融機関等に対して必要な通知等を行われたい。さらに、新規開業に間接的に関わる機会があると考えられる管下の医薬品卸売販売業者、医療機器販売業者、薬局等に対する情報提供を行うことも重要である。
5 外来医療提供体制の協議及び協議を踏まえた取組
○ 外来医療の提供体制の確保に当たっては、
① 外来医師偏在指標を用いた外来医師多数区域の設定(可視化)
② 新規開業者等への①等に関する情報提供
③ 外来医療に関する協議の場の設置
を行うこととされており、外来医療計画には、これらの事項を盛り込む必要がある。
5―1 新規開業者等に対する情報提供
○ 都道府県においては、二次医療圏ごとの外来医師偏在指標及び外来医師多数区域である二次医療圏の情報や医療機関のマッピングに関する情報、別添1に示した厚生労働省から提供する情報等について整理を行い、整理した情報を外来医療計画に盛り込むこととする。
○ これらの情報については、新規開業希望者等が知ることができるよう、様々な周知の機会を捉えて周知に努められたい。その際、新規開業に間接的に関わる機会があると考えられる管下の金融機関、医薬品卸売販売業者、医療機器販売業者、薬局等に対する情報提供を行うことも重要である。
5―2 外来医師多数区域における新規開業者の届出の際に求める事項
○ 今後、全ての二次医療圏で必要な外来医療提供体制が確保されるよう、新規開業希望者の自主的な行動変容が求められる。特に、既に診療所医師数が一定程度充足していると考えられる外来医師多数区域での新規開業については、新規開業希望者に対して当該地域の外来医師の偏在の状況を十分に踏まえた判断を促す必要がある。
○ そのため、外来医師多数区域においては、新規開業者に対して、地域で不足する外来医療機能を担うことを求めることとする。新規開業者に対し求める事項については、外来医療計画に明示的に盛り込むこととする。
○ 個別の開業希望者に対する対応としては、開業に当たっての事前相談の機会や新規開業者が医療機関の開設のための届出様式を入手する機会に、開業する場所が外来医師多数区域に属することや、外来医療計画に定められている当該区域の方針に関する事項を情報提供すること。したがって、届出様式を掲載するサイトや窓口等においては当該情報を明示的に掲げること。
○ 新規開業者の届出様式には、地域で不足する外来医療機能を担うこと(地域ごとに具体的に記載)に合意する旨の記載欄を設け、協議の場において合意の状況を確認することとする。
○ 合意がない場合等の新規開業者が地域で不足する外来医療機能を担うことを拒否する場合等には、臨時に協議の場を開催し出席要請を行うこととする。臨時の協議の場において、協議の場の構成員と出席要請を受けた当該新規開業者等の間で協議を行い、その協議結果を公表することとする8。ただし、協議の簡素化のため、協議の形態については適宜持ち回り開催とし、新規開業者からは合意事項に合意をしない理由等の文書の提出を求める等の柔軟な対応を可能とする。
5―3 現時点で不足している外来医療機能に関する検討
○ 新規開業者に求める事項である地域で不足する外来医療機能について協議の場で検討する必要がある。こうした検討は、限られた医療資源を有効に活用する観点も踏まえ行っていくべきであるが、地域ごとに課題等も異なるため、実情及びその必要性に応じて適宜検討を進められたい。
○ 検討すべき外来医療機能として、例えば、夜間や休日等における地域の初期救急医療(主に救急車等によらず自力で来院する軽度の救急患者への夜間及び休日における外来医療)の提供状況(在宅当番医制度への病院・診療所の参加状況、夜間休日急患センターの設置状況)、在宅医療の提供状況、産業医・学校医・予防接種等の公衆衛生に係る医療の提供状況等が考えられるが、外来医療機能の協議の場における地域の医療関係者等の意見を適切に集約するとともに、把握可能なデータを可能な限り用いて定量的な議論を行うよう努めること。具体的には、以下のような事項について議論を行うことが想定される。
ア 夜間や休日等における地域の初期救急医療の提供体制
○ 都道府県は、初期救急医療の体制について、対象区域ごとに各医療機関により提供されている医療の状況を把握する。特に、曜日ごと、時間帯ごとに対応している医療機関数については、必要に応じて定量的な把握に努め、夜間や休日の初期救急医療の提供体制が十分確保されているか検討することが望ましい。その際、在宅当番医制や休日・夜間急患センターに参加している医療機関に関する情報を把握することも有用である。それらの結果を踏まえ、対象区域ごとにどのような初期救急医療の提供体制が求められるか検討を行うこと9。
○ なお、初期救急医療の提供体制が十分に構築できないため、二次・三次救急医療機関に患者が集中している場合については、地域全体の医療需要が満たされていると外形上判断されたとしても、初期救急機能については不足していると判断するなど、実態を踏まえた適切な初期救急医療の提供体制の構築について検討を行うこと。
イ 在宅医療の提供体制
○ 都道府県は、医療計画の他の事項との整合性を確保しつつ、グループ診療による在宅医療の推進等に資するような外来医療を実施する医療機関が柔軟に在宅医療に参加できるような対策の検討を行うこと10。
ウ 産業医、学校医、予防接種等の公衆衛生に係る医療提供体制
○ 都道府県は、地域医療を支える観点から、公衆衛生に係る医療提供体制の現状を把握すること。その際、郡市区医師会等が重要な役割を担っている場合が多いことから、綿密な連携を図ること。
エ その他の地域医療として対策が必要と考えられる外来医療機能
○ 都道府県は、その他、地域の実情に応じて対策が必要と考えられる外来医療機能について検討を行うこと11。
○ 上記の事項について検討を行うに当たっては、例えば以下のようなプロセスで行うことが考えられる。
i 外来医療に係る医療提供体制の現状と将来目指すべき姿の認識共有
○ 厚生労働省が提供する二次医療圏毎の人口推計や外来患者数推計のデータ集等で明らかとなる地域の外来医療の提供体制の現状や、今後の外来医療需要の動向等を踏まえ、外来医療機能のあるべき姿について、協議の場に参加する構成員間で認識を共有すること。
ii 外来医療に係る医療提供体制に関する対策を実施する上での課題の抽出
○ 地域の外来医療に係る医療提供体制の現状を踏まえ、不足する外来医療機能など外来医療機能に関する対策を実施していく上での課題について議論を行うこと。
iii 具体的な医療機能への参加、連携等の在り方について議論
○ 対象区域において、初期救急医療を担う医療機関が不足している場合、別の医療機関が在宅当番医制や休日・夜間急患センターに参加することや、現在の医療機関の連携を通じて初期救急医療の提供体制を充足させることが考えられる。こうした充足に向けた方策について議論を行うこと。
○ そのため、救急医療や在宅医療の施策との連携のほか、学校医の確保については都道府県等の教育委員会、医師会等との連携も重要である。
○ また、今後の高齢化の進展を踏まえると、外来医療から在宅医療に移行する患者も一定程度増加することが見込まれることから、患者の移行に当たり切れ目のない医療機関間の連携についても検討を加えることが重要となる。このため、在宅医療の提供に当たって各医療機関等がどのような役割分担を行うか等についても議論を行うこと。
○ なお、外来医師多数区域における新規開業者は、既存の医療機関による外来医療における役割分担や連携等の体制を踏まえた上で、対象区域において必要な外来医療機能を担うことが求められることになる。
iv 地域医療介護総合確保基金を活用した具体的な事業の議論
○ iiiにおける議論により合意した施策を実現するために、どのような事業を具体的に実施するのかについても議論を行うこと。予算事業の実施に当たり地域医療介護総合確保基金を活用する場合には、当該事業を地域医療介護総合確保基金の都道府県計画にどのように盛り込むかについても議論の上、都道府県において事業を実施すること。
5―4 合意の方法及び実効性の確保
(1) 合意の方法
○ 協議の場において合意された事項には医療機関の経営を左右する事項が含まれている場合が想定されることから、合意に当たっては、都道府県と関係者との間で丁寧かつ十分な協議が行われることが求められる。
(2) 実効性の確保
○ 外来医療の偏在対策の実効性を確保するため、対象区域における協議の場において結論を得た方針に沿わない医療機関等については、医療計画の見直し時に合わせて都道府県医療審議会に報告し、意見を聴取するなどの一定の確認を必要とする。
○ 外来医師多数区域における新規開業者に対しては、地域で不足する医療機能を担うことに合意が得られた事項に関して、地域の医師会や市町村と情報共有する等、フォローアップを行うこととする。
○ また、協議の場における協議の状況については、必要に応じて厚生労働省から報告を求めることがあることに留意されたい。
5―5 患者や住民に対する公表
○ 厚生労働省から提供されるデータブック等における情報の中には、レセプト情報を活用して収集した具体的な医療の内容に関する項目が含まれていることから、患者・住民に対して広く情報を公表する際には、医療機関を受診した患者や医療機関に係る個人情報保護のための配慮が必要である。
○ このため、個人情報の保護に配慮の下、患者・住民への必要な情報の公表に支障がない範囲として、都道府県が公表しなければならない情報の範囲を別表のとおり設定したため参考にされたい。特に具体的な医療の内容に関する項目については、1以上10未満の値を「*」等の記号で秘匿することとしている。
○ これらを踏まえた上で、患者・住民に公表する情報は患者・住民にとって分かりやすく加工することが求められるため、都道府県において公表時のフォーマットを共通化することを原則としつつ、用語解説を追加する等の加工を加えることが望ましい。また、都道府県において、これ以外の加工等の自主的な工夫についても差し支えない。
5―6 各医療機関での取組
○ 各医療機関は、対象区域において求められる外来医療機能を真に担っているか、自医療機関において提供している医療の内容や医療機関内における体制について検討することが必要である。
○ なお、都道府県から提供される情報等により、各医療機関も同じ対象区域における他の医療機関の担っている外来医療機能の状況等を把握することが可能になるため、それらの情報も踏まえて検討いただきたい
○ あわせて、自主的な取組を踏まえ、地域医療構想調整会議における医療機関相互の協議により、地域における外来医療の提供体制に必要な連携等に応じた自医療機関に求められる外来医療機能を確認することが重要である。
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8 医療法第30条の18の4第1項第1号及び第2項
9 医療法第30条の18の4第1項第3号
10 医療法第30条の18の4第1項第4号
11 医療法第30条の18の4第1項第6号
6 医療機器の効率的な活用に係る計画
6―1 医療機器の効率的な活用に関する考え方
○ 人口当たりの医療機器の台数には地域差があり、また、医療機器ごとに地域差の状況は異なっている。今後、人口減少が見込まれ、効率的な医療提供体制を構築する必要がある中、医療機器についても効率的に活用できるよう対応を行う必要がある。
○ したがって、医療機器の効率的な活用に資する施策として、地域の医療ニーズを踏まえた地域ごとの医療機器の配置状況を可視化する指標を作成し、医療機器を有する医療機関をマッピングした上で、新規購入希望者に対してこれらの情報を提供しつつ、外来医療に関する協議の場等を活用し、医療機器の共同利用(対象となる医療機器について連携先の病院又は診療所から紹介された患者のために利用される場合を含む。)等について協議することとする。
6―2 協議の場と区域単位
○ 地域における外来医療に係る医療提供体制の確保に関する事項の1つとして、医療提供施設の建物の全部又は一部、設備、器械及び器具の効率的な活用に関する事項が規定され、当該事項については協議を行い、その結果を取りまとめ、公表するものとしている12。このため、医療機器の効果的な活用に係る計画についても、外来医療計画に盛り込むものとする。
○ 医療機器の効果的な活用に係る協議の場としては、外来医療に係る医療提供体制に関する協議の場を活用することとするが、医療機器に関する協議についてはその特殊性から、必要に応じて当該機器を保有する病院又は診療所の管理者、放射線診療の専門家等で構成されたワーキング・グループ等を設置することも可能とする。
○ 医療機器の効果的な活用に係る協議を行う区域については、外来医療計画と同様に二次医療圏単位を基本とするが、先進的な技術、特に専門性の高い救急医療等に関連する医療機器についてはその医療提供体制の整備を図るべき地域的単位として設定されている三次医療圏、がんの診療に関係する医療機器についてはがん対策推進基本計画13に基づき都道府県が策定する都道府県がん対策推進計画14におけるがんの診療に係る医療機関等の配置を踏まえて設定した区域等、医療機器の性質に応じた区域を別途設定することを妨げるものではない。
6―3 医療機器の効率的な活用のための検討
○ 人口当たりの医療機器台数には地域差があり、医療機器ごとに地域差の状況は異なっている。今後、人口減少が見込まれる中、医療機器についても共同利用の推進等によって効率的に活用していくべきであり、情報の可視化や新規購入者への情報提供を有効に活用しながら、都道府県において必要な協議を行っていく必要がある。
○ 医療機器の効率的な活用に係る計画として外来医療計画に盛り込む事項としては、
① 医療機器の配置状況に関する情報(医療機器の配置状況に関する指標)
② 医療機器の保有状況等に関する情報
③ 区域ごとの共同利用の方針(画像診断情報の提供の有無等の方針を含む。)
④ 共同利用計画の記載事項とチェックのためのプロセス
が考えられ、以下に掲げる事項を参考に策定されたい。
(1) 医療機器の配置状況に関する情報の可視化
○ 地域の医療機器のニーズを踏まえて地域ごとの医療機器の配置状況を医療機器の項目15ごとに可視化する指標を作成することとする。
○ その際、医療機器のニーズは、医療機器の項目ごと、性・年齢別ごとに大きな差があることから、医療機器の項目ごと及び地域ごとに性・年齢構成を調整した人口当たり機器数を用いて指標を作成する。なお、当該指標は、厚生労働省において算出し、都道府県に対して情報提供を行うこととする。具体的な算定式は以下のとおり。
(参考) 医療機器の効率的活用における性・年齢階級別検査率を用いた各地域の医療機器の配置状況に関する指標の計算方法 (※1) 地域の標準化検査率比=地域の性年齢調整人口当たり期待検査数(外来(※2))/全国の人口当たり期待検査数(外来) (※2) 画像95 (31KB) |
(2) 医療機器の保有状況等に関する情報提供
○ 既に存在する医療機器の共同利用による効率的な活用を進めるためには、医療機器の購入を検討している医療機関が、近隣の医療機関で保有している共同利用可能な医療機器の配置状況及び利用状況を把握できる環境を整えるとともに、協議の場において当該配置状況や利用状況に基づいた適切な共同利用の方針が示されることが重要であることから、厚生労働省において病床機能報告に基づき医療機器を有する病院及び有床診療所のマッピングを行い、その情報を提供することとする。
○ また、医療機器は減価償却性資産であり、その新規導入や経年に伴う更新のタイミングは、医療機関の経営判断等に資するのみならず医療機器の効率的な配置をより一層進める機会でもあることから、医療機器の効率的な活用に係る計画の策定に当たり、必要に応じて医療機器を有する医療機関に対して医療機器の耐用年数や老朽化の状況等の把握のための情報の提供を求めることとする16。
○ さらに、政策医療の観点から医療機器を有する医療機関の当該地域における5疾病・5事業及び在宅医療に対して果たすべき役割についても、付加的情報として必要に応じて把握することとする。
○ 医療設備・機器等の情報としては、病床機能報告、外来機能報告、医療機能情報提供制度等を適宜活用しながら、配置状況、保有状況等に加え、必要に応じて稼働状況、医療機器を有する医療機関の政策医療の観点における役割、放射線診療機器による医療被ばく、診断の精度、有効性の観点から医療機器の管理状況等も合わせて可視化することにより、高水準の医療の提供を維持しつつ、医療機器の効率的活用を進める。
(3) 協議内容
○ 人口減少が見込まれる中で、既存の医療機器の効率的な活用を推進するため、医療設備・機器等の情報の可視化を行い可視化された情報を新規購入希望者へ提供するのみならず、医療機器の協議の場において、医療設備・機器等の共同利用の方針及び具体的な計画(共同利用については、画像診断が必要な患者を、医療機器を有する医療機関に対して患者情報とともに紹介する場合を含む。以下「共同利用計画」という。)について協議を行い、結果を取りまとめ、公表する。
○ 共同利用の方針としては、医療機器の項目ごと及び区域ごとに定めることとするが、原則として対象とする医療機器について、医療機関が医療機器を購入する場合は、当該医療機器の共同利用計画を作成し、医療機器の協議の場において確認を行うことを求めることとする。
○ 共同利用計画の策定に当たっては、次に掲げる内容が盛り込まれていることを確認すること。
・ 共同利用の対象とする医療機器
・ 共同利用の相手方となる医療機関
・ 保守、整備等の実施に関する方針
・ 画像撮影等の検査機器については画像情報及び画像診断情報の提供に関する方針
○ なお、共同利用を行わない場合については、共同利用を行わない理由について、協議の場で確認すること。
(4) 実効性を高めるための取組
○ 各医療機関における自主的な取組を踏まえ、地域医療構想調整会議を活用した医療機関相互の協議により、地域における医療機器の共同利用等における自医療機関の位置付けを確認することが重要である。
○ 都道府県においては、医療機器の配置・稼働状況に加え、共同利用計画から入手可能な、医療機器の共同利用の有無や画像診断情報の提供の有無等の方針についても可視化を進め、医療機関がその地域において活用可能な医療機器について把握できるよう、周知をすすめること。
○ また、医療機器のうち、生命維持管理装置等、放射線関連機器等については医療機器の安全管理に係る体制の確保の一環として保守点検計画を策定することとされており17、放射線診断機器については診療用放射線の安全管理に係る体制の確保の一環として被ばく線量の管理及び記録を行うこととされているので18、こうした契機を捉えて共同利用の検討を促すことも検討されたい。なお、医療機関においては、当該医療機器を共同利用するに際しては、これらの遵守についても改めて徹底する必要がある。
(5) 都道府県の取組
○ 医療機関の自主的な取組及び医療機関相互の協議により、地域の外来医療において担う役割の分化及び連携等により、必要な外来医療の提供体制を実現するためには、地域の医療提供体制の確保に責任を有する都道府県が、区域単位ごとの協議の場における議論の状況を適切に把握し、協議が円滑に実施されるよう努める等、適切な役割を発揮する必要がある。
○ 医療機器の共同利用の実効性を確保するため、都道府県の医療計画担当部署等は、外来医療計画の立案・策定の段階から、各区域の協議の場の構成員から各医療機器の共同利用についての意見を聴取すること。
○ また、策定された共同利用計画については、都道府県医療審議会とも共有することとし、協議の場での議論の状況等の報告と合わせ確認すること。
○ 医療機器の共同利用に際しては、共同利用を引き受ける医療機関が共同利用を依頼する医療機関における医療機器の安全管理等を担うことから、共同利用を引き受ける医療機関の医療機器の安全管理に係る体制の確保並びに診療用放射線の安全管理に係る体制の確保の遵守状況についても確認すること。
○ 地域の医療資源を可視化する観点から、令和5年4月1日以降に医療機器を新規購入した医療機関に対して、医療機器の稼働状況(別紙2に記載のある項目)について、都道府県への報告を求めることとする。なお、外来機能報告対象医療機関は、外来機能報告による報告を以て当該利用件数の報告に替えることができるものとする。
○ 都道府県に報告された医療機器の利用件数や共同利用の有無等の情報については、医療機関における医療機器の購入の判断や共同利用の推進に資する情報であることから、協議の場において報告するとともに管下の医療機関や金融機関等の関係者に情報提供することも重要である。
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12 医療法第30条の18の4第1項第5号
13 がん対策基本法(平成18年法律第98号)第10条
14 がん対策基本法第12条
15 CT(全てのマルチスライスCT及びマルチスライスCT以外のCT)、MRI(1.5テスラ未満、1.5テスラ以上3.0テスラ未満及び3.0テスラ以上のMRI)、PET(PET及びPET―CT)、放射線治療(リニアック及びガンマナイフ)並びにマンモグラフィに項目化してそれぞれ可視化。
16 医療法第30条の5
17 「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」(令和3年7月8日付け医政総発0708第1号・医政地発0708第1号・医政経発0708第2号厚生労働省医政局総務課長,地域医療計画課長及び経済課長連名通知)
18 「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成31年3月12日付け医政発0312第7号厚生労働省医政局長通知)
7 外来機能報告
○ 都道府県においては、外来機能報告により入手可能な紹介受診重点外来や紹介・逆紹介等のデータを活用し、地域の外来医療の提供状況について把握するとともに、紹介受診重点医療機関の機能・役割も踏まえた、地域における外来医療提供体制の在り方について、検討を行うこととする。
○ また、地域の医療機関の外来機能の明確化や連携状況を可視化し、患者による医療機関の適切な選択を支援することを目的に、外来医療計画に紹介受診重点医療機関となる医療機関の名称に加え、外来機能報告で把握可能な、紹介受診重点外来の実施状況等の情報を新たに盛り込むこととする。
○ なお、外来機能報告の詳細については、「外来機能報告等に関するガイドライン」(令和5年3月31日付け医政地発0331第7号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知「外来機能報告等に関するガイドラインの改正について」別添)を参照すること。
8 外来医療計画の実行に関するPDCAサイクル
(1) PDCAサイクル
○ 現行の医療計画においては、PDCAサイクルを機能させることを都道府県に求めているところであり、平成24年(2012年)3月に医療計画策定指針において考え方を示すとともに、平成26年(2014年)3月には、厚生労働省が設置した具体的な進め方に関する「PDCAサイクルを通じた医療計画の実効性の向上のための研究会」において報告が示されているところである。
○ したがって、外来医療計画についても地域に必要な外来医療提供体制の構築に必要な施策の進捗評価を定期的に実施し、必要に応じて施策の見直しを図るなど、PDCAサイクルを効果的に機能させることが必要である。
○ 外来医療に係る医療提供体制については、比較的短期間に変化しうることから、3年ごとに中間見直しを行うこととする。
(2) 指標等を用いた評価
○ 地域に必要な外来医療提供体制の構築を進める観点から、都道府県は、地域で不足する医療機能(夜間・休日の診療、在宅医療、公衆衛生等)について、具体的な目標を定め、達成に向けた取組の進捗評価に努めることとする。進捗状況が芳しくない場合には、その原因について考察を行う。目標・指標の設定が適切でない場合には、必要に応じてその修正を検討する。
(3) 評価に基づく都道府県医療計画等への反映
○ 課題ごとの進捗状況を踏まえ、計画期間の中で、どのように目標を達成していくかを確認する。必要に応じて、外来医療計画の追記や削除、修正を行い、より実効性のある外来医療計画への発展を目指すことが望ましい。
(4) 住民への公表
○ 医療を受ける当事者である患者・住民が、地域の外来医療に係る医療提供体制を理解し、適切な受療行動をとるためには、外来医療計画の評価や見直しに係る客観性及び透明性を高める必要があることから、都道府県はこれらの情報をホームページ等で患者・住民に分かりやすく公表することとする。公表に当たっては、ホームページの情報を閲覧するよう患者・住民に働きかけを多方面から行うとともに、インターネットにアクセスできない患者・住民向けに紙媒体での配布も検討することが望ましい。
○ 医療・医学用語は、専門性が高く難解であるため、住民に向けた分かりやすい解説が必須であるが、患者・住民や医療関係者以外の者と医療関係者との間で誤解が生じないよう、正確性に留意することが必要である。
9 留意点
○ 外来医療機能として例示した在宅医療に係る内容については、医療計画における在宅医療に関する事項に係る内容と整合性をとること。
○ 同様に、その他の疾病・事業における外来医療の提供体制に関する事項を協議する場合においても、医療計画の記載事項との整合性を確保すること。
○ 外来医療機能の偏在の項目の1つとして、診療科別の医師の偏在の課題がある。地域の診療科目別医師数や専門医数等については都道府県に提供しているところであり、地域で必要な診療科等について議論することを妨げるものではないが、新規開業への誘発需要が生じることで結果として地域に必要な医療全体の提供体制に支障が生じることのないよう、医師確保計画と整合性をとり、協議の場等における十分な議論を行った上で、外来医療計画に盛り込むこと。
別紙1
外来医療の医療計画の策定及び実現に必要と考えられるデータ
○ 厚生労働省から情報提供を行う予定のもの(外来医師偏在指標を除く)
1.外来診療(初・再診)に関する情報(小児の加算等含む)
2.初期救急体制(夜間・休日外来、深夜外来)に関する情報(時間外加算等を含む)
3.在宅医療(訪問診療、往診)に関する情報
4.放射線診療及び治療に関する情報
5.1~4における診療所及び病院の実施割合
6.地域の病院・診療所ごとの主たる診療科目別医師数及び取得している広告可能な医師の専門性に関する資格名及び麻酔科の標榜資格医師数に関する情報
7.地域の病院・診療所ごとの開設、廃止、休止、再開別の医療機関数
8.地域の病院・診療所の所在に関するマッピング
9.地域の病院及び有床診療所の医療機器に関するマッピング
○ その他、既に公表されていて参考となり得ると考えられるもの
1.内閣府「経済・財政と暮らしの指標「見える化」ポータルサイト;SCR(外来):https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/reform/mieruka/index.html (公表確認:平成31年3月26日現在)
2.各都道府県が医療法第6条の3に定める「医療機能情報提供制度」に基づき公表している医療機関に関する情報
○ 都道府県による独自調査の検討に資すると考えられる事項
以下の情報に関しては、各種統計情報からは取得が困難であるものの、地域の外来医療提供体制を議論するために有用であると考えられるため、地域の関係者との協議の上、調査・収集し、議論に活用することが重要であると考えられる。
1.初期救急医療の提供として、在宅当番医制に参加している医療機関名及びその所在
2.休日夜間急患センターの名称及びその所在及び参加している医療機関名
3.1,2を除く軽度の救急患者(独歩で来院する患者等)への夜間及び休日における外来診療を行う病院名及びその所在
4.公衆衛生業務(産業医や予防接種等)を担っている医療機関名及びその所在
5.公衆衛生業務のうち、学校医については、教育委員会等からの情報をもとにした地域における需要
6.その他、地域で議論が必要と考えられる外来医療機能に関して担っている医療機関名及びその所在
7.地域で議論した外来医療機能について、現時点で担っている医療機関における今後の継続意向等
8.地域で議論した外来医療機能について、現時点で担っていない医療機関における今後の実施意向等
別紙2
