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○「被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者の取扱い等について」の一部改正について

(令和5年3月30日)

(保保発0330第3号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

(公印省略)

被保険者等からの暴力等を受けた者に係る被扶養者認定の取扱い等については、「被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者の取扱い等について」(令和3年3月29日付け保保発0329第1号厚生労働省保険局保険課長通知。令和3年5月6日一部改正。以下「令和3年通知」という。)を発出したところであるが、今般、内閣府男女共同参画局において、「配偶者からの暴力による被害者に係る生活再建支援の強化について」(令和4年12月26日DV対策抜本強化局長級会議決定)が取りまとめられたことを踏まえ、令和3年通知を別紙のとおり改めるため、その取扱いに遺憾のないよう取り計らい願いたい。

なお、当該取扱いに関しては、当省子ども家庭局家庭福祉課長から都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市民生主管部(局)長を通じ、児童相談所及び婦人相談所等に対し、当省老健局高齢者支援課から都道府県高齢者保健福祉主管課を通じ、高齢者虐待に関する相談・通報窓口に対し、当省社会・援護局障害保健福祉部地域生活支援推進室から都道府県障害保健福祉主管部(局)長を通じ、障害者虐待に関する相談・通報窓口に対し、当省保険局国民健康保険課長より都道府県民生主管部(局)長を通じ、国民健康保険組合及び市町村に対し、並びに内閣府男女共同参画局から都道府県配偶者暴力相談支援センター主管部(局)長を通じ、配偶者暴力相談支援センター等に対し協力を依頼していることを申し添える。

※傍線部分が変更箇所

○被保険者等からの暴力等を受けた被扶養者の取扱い等について

(令和3年3月29日)

(保保発0329第1号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局保険課長通知)

最終改正 令和5年3月30日保保発0330第3号

今般、被保険者等からの暴力等を受けた者(以下「被害者」という。)に係る被扶養者認定の取扱い、第三者行為による傷病についての保険診療による受診の取扱い及び被害者等に係る医療費通知の取扱いについて、これまでの「配偶者からの暴力を受けた被扶養者の取扱い等について」(平成20年2月5日付け保保発第0205003号厚生労働省保険局保険課長通知。以下「平成20年通知」という。)の取扱いを踏まえつつ、「令和2年の地方からの提案等に関する対応方針」(令和2年12月18日閣議決定)に基づき、下記のとおりとし、令和3年4月1日より施行することとしたので遺漏のないよう取り計らい願いたい。

なお、下記の取扱いに関しては、当省子ども家庭局家庭福祉課長から都道府県・指定都市・中核市・児童相談所設置市民生主管部(局)長を通じ、児童相談所及び婦人相談所等に対し、当省老健局高齢者支援課から都道府県高齢者保健福祉主管課を通じ、高齢者虐待に関する相談・通報窓口に対し、当省社会・援護局障害保健福祉部地域生活支援推進室から都道府県障害保健福祉主管部(局)長を通じ、障害者虐待に関する相談・通報窓口に対し、当省保険局国民健康保険課長より都道府県民生主管部(局)長を通じ、国民健康保険組合及び市町村に対し、並びに内閣府男女共同参画局から都道府県配偶者暴力相談支援センター主管部(局)長を通じ、配偶者暴力相談支援センター等に対し協力を依頼していることを申し添える。

また、本通知の施行をもって、平成20年通知は廃止する。

1 被害者に係る被扶養者認定の取扱いについて

健康保険の被扶養者から外れる手続については、被保険者からの届出に基づいて行われているところであるが、被扶養者認定を受けている被害者が被扶養者から外れるに当たっては、当該届出は期待できない。このため、被保険者から当該届出がなされなくとも、当該被害者から、被保険者と当該被害者が生計維持関係にないことを申し立てた申出書とともに、児童相談所及び婦人相談所、高齢者虐待に関する相談・通報窓口、障害者虐待に関する相談・通報窓口、配偶者暴力相談支援センター、自治体等の公的機関から発行された被保険者等からの暴力等を理由として保護(来所相談を含む。以下同じ。)した旨の証明書又は地方公共団体と連携して被害者への支援を行っている民間支援団体(一時保護委託を受けている民間シェルター、配偶者暴力に関する協議会参加団体、補助金等交付団体)(以下「民間支援団体」という。)から発行された確認書(以下「証明書等」という。別添1参照)を添付して、当該被害者が被扶養者から外れる旨の申出がなされた場合には、保険者において、以下に定める手続を行い当該被害者を被扶養者から外すことが可能である。なお、公的機関又は民間支援団体以外の民間の保護施設において保護されていることを公的機関や民間支援団体が証明又は確認することも可能であるが、その場合は、保護施設名を記載することとする。また、証明書等において、当該被害者の同伴者についても同様の証明がなされている場合においては、当該同伴者についても被扶養者から外れることが可能である。

なお、この証明書等は、被保険者等からの暴力等を理由として当該被害者を保護したことを証明するものであって、当該被害者に対し被保険者等からの暴力等があった事実を証明するものではないことに留意されたい。

また、裁判所が発行する「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」(平成13年法律第31号)第10条に基づく保護命令に係る書類についても、証明書等と同様の取扱いとする。

保険者が当該被害者を被扶養者から外す際の具体的な手続は、次のとおりである。

(1) 保険者は、被扶養者認定を受けている被害者から上記の申出がなされた場合には、被保険者と当該被害者との間の生計維持関係について、別添2の申出書に記載された内容に基づき、「収入がある者についての被扶養者の認定について」(昭和52年4月6日付け保発第9号・庁保発第9号厚生省保険局長及び社会保険庁医療保険部長連名通知)の2及び3の内容を参照し、確認すること。

(2) (1)を踏まえ、当該被保険者と当該被害者との間に生計維持関係がないと判断した場合は、提出期限を設けた上で、当該被害者を被扶養者から外す届出を事業主を経由して提出する、又は生計維持関係がないという申出への反証を示す書類がある場合は当該被保険者から保険者へ直接提出するよう、連絡すること。

なお、保険者から当該被保険者に対する上記の連絡については、個人情報保護の観点から、事業主を経由することなく、当該被保険者に対して直接連絡すること(当該連絡の参考様式として、別添3を参照すること。)。また、提出までの期限については、文書発出から10日程度とすること。

提出期限内に当該届出又は反証を示す書類が提出されない場合には、当該被害者を被扶養者から外した上で、その旨事業主及び当該被保険者に対し通知すること(当該通知の参考様式については、別添4及び5を参照すること。)。

当該被害者からの申出内容及び当該被保険者から提出された反証を示す書類を確認した結果、引き続き当該被害者を被扶養者として認定する場合は、その旨を当該被害者に対し通知すること(当該通知の参考様式については、別添6を参照すること。)。

(3) 当該被害者が被扶養者から外れた後に国民健康保険等に加入するためには、被扶養者から外れたことの証明が必要となることから、保険者は、被扶養者から外した旨を当該被害者に対し文書をもって通知すること。

(4) 上記の取扱いに当たっては、当該被害者の居所などが当該被保険者等に伝わることのないよう厳重に管理すること。

なお、当該被保険者から当該被害者に係る被扶養者(異動)届が再び提出された場合には、当該被害者本人の意向を確認するなど、被扶養者認定について慎重に判断すること。

2 第三者行為による傷病についての保険診療による受診の取扱いについて

保険者は、給付事由が第三者の行為によって生じた場合において、保険給付を受ける権利を有する者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときには、その価額の限度において、保険給付を行う責めを免れる(健康保険法(大正11年法律第70号)第57条第2項)ものであることから、被扶養者認定を受けている被害者は、第三者から損害賠償を受けるまでは、保険医療機関において被保険者証を提示すれば、一般の加入者と同様、保険診療による受診が可能である。

他方、健康保険法においては、被保険者が自己の故意の犯罪行為等により給付事由を生じさせたときは、当該給付事由に係る保険給付は、行わない旨の定めがなされており(同法第116条)、被保険者の故意の犯罪行為等により被扶養者が療養を受けたときは、当該療養に係る家族療養費は、当該被保険者に支給されるものであることから同条の規定が適用され、保険給付は制限されると解されているところである。

しかしながら、当該被害者は、1の申出により被扶養者から外れるまでの間において、被扶養者の資格のまま緊急的に受診し、金銭的負担を負わざるを得ない場合があるところ、このような場合についてまで健康保険法第116条の規定を適用し、保険診療による受診を制限することは、故意の犯罪行為等により給付事由を生じさせた被保険者への懲罰的意味において保険給付を行わないこととした同条の規定の趣旨に沿わないものであるとともに、被扶養者から外れるまでの間、実質的に保険給付が受けられない結果となるものである。

したがって、当該被害者が被扶養者から外れるまでの間の受診については、加害者である被保険者を健康保険法第57条に規定する第三者と解して同条の規定を適用し、当該被害者は、保険診療による受診が可能であると取り扱うことが同法の趣旨等に沿うものである。

なお、事業主又は保険者は、当該被害者が緊急的に受診せざるを得ない場合において、被保険者証を現に所持しない場合については、証明書等の提示を受けることにより、当該被害者に対し、「健康保険被保険者資格証明書について」(昭和56年10月1日保険発第76号・庁保険発第15号厚生省保険局保険課長及び社会保険庁医療保険部健康保険課長連名通知)に基づき「健康保険被保険者資格証明書」を交付することができるものとする。

3 被扶養者認定を受けている被害者等に係る医療費通知の取扱いについて

保険者は、被扶養者認定を受けている被害者及びその同伴者(以下「被害者等」という。)の受診に係る医療費通知の取扱いについて、受診した医療機関から当該被害者等の居所が加害者である被保険者等に知られることのないよう、当該被保険者宛の医療費通知には当該被害者等に係る情報を記載せず、当該被害者等に係る医療費通知は当該被害者等から申し出のあった送付先に送付するなど、適切に対応願いたい。

別添1

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別添2

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別添3

別添4

別添5

別添6