添付一覧
○プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインの一部改正について
(令和5年3月31日)
(/薬生機審発0331第1号/薬生監麻発0331第4号/)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)
(公印省略)
プログラムが医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)における医療機器に該当するか否かについては、「プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて」(令和3年3月31日付け薬生機審発0331第1号・薬生監麻発第15号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長・厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長連名通知。以下「該当性通知」という。)において、医療機器への該当性の判断に当たっての基本的な考え方を示しているところです。
今般、事業者からの該当性相談事例等を踏まえ、我が国におけるプログラムの医療機器への該当性判断に係るより一層の明確化・精緻化のため、該当性通知を別添のとおり改正しましたので、御了知の上、貴管内関係業者、関係団体に周知いただくとともに、適切な指導を行い、その実施に遺漏なきよう、御配慮願います。
(別添) プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン 新旧対照表
(別紙)
プログラムの医療機器該当性に関するガイドライン
令和3年3月31日
(令和5年3月31日 一部改正)
厚生労働省医薬・生活衛生局
監視指導・麻薬対策課
医療機器審査管理課
目次
1 はじめに
2 基本的考え方
(1) 医療機器プログラムの範囲(法令上の定義)
(2) 医療機器プログラムの基本的考え方
(3) 本ガイドラインの対象範囲
3 該当性の基本的考え方
4 医療機器に該当しない典型的な事例
(1) 患者説明を目的とするプログラム
(2) 院内業務支援、メンテナンスを目的とするプログラム
(3) 使用者(患者や健康な人)が自らの医療・健康情報を閲覧等することを目的とするプログラム
(4) 生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるプログラム
5 該当性判断の手順
(1) 事前準備(使用目的、処理方法などの明確化・整理)
(2) 使用目的等の確認と一般的名称の検索
(3) 該当性判断
6 人の生命及び健康に影響を与えるリスクの程度の考え方
7 臨床研究等における取扱いについて
8 その他留意事項
(1) 医療機器に該当しないプログラムの標ぼうの留意事項
(2) 適正使用のための周知啓発について
【参考通知】
別紙1 医療機器該当性に係るフローチャート
別紙2 医療機器該当性に係るフローチャート(疾病リスクを表示するもの)
1 はじめに
近年、科学技術の発展により、様々な新しいプログラムが開発され、利用されるようになってきた。そのような新しい製品の中には、従来の医療機器と同様に、疾病の診断、治療又は予防を目的としたものも現れてきたことから、平成25年の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)の改正により、単体プログラムについても医薬品医療機器等法の規制対象としている。
医薬品医療機器等法に基づき規制される医療機器プログラム(医療機器のうちプログラムであるものをいう。以下同じ。)は、医療機器としての目的性を有しており、かつ、意図したとおりに機能しない場合に患者(又は使用者)の生命及び健康に影響を与えるおそれがあるプログラム(ソフトウェア機能)(人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの(一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するもの)を除く。)であり、その該当性に関する基本的な考え方等は、「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」(平成26年11月14日付け薬食監麻発1114第5号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)において示してきたところである(関連通知を文末に掲載)。
本ガイドラインは、プログラムの開発者に対して、医薬品医療機器等法における規制の基本的要素と判断の参考となる情報を提供することで、医療機器プログラム開発に係る事業の予見可能性を高めることを目的とするものである。
なお、本ガイドラインは、発出時点での規制及び相談事例等に基づいて作成されたものであり、随時更新される可能性がある。
2 基本的考え方
(1) 医療機器プログラムの範囲(法令上の定義)
医薬品医療機器等法第2条第4項において、医療機器は「人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるもの」と定義されている。
また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号)別表第一において、疾病診断用プログラム、疾病治療用プログラム及び疾病予防用プログラム(プログラムを記録した記録媒体も同様)が医療機器として定められている。
一方、各プログラムの定義において、「副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除く」旨、併せて規定されており、その機能等が一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するものについては、医療機器の範囲から除かれる1。
(2) 医療機器プログラムの基本的考え方
医薬品医療機器等法に基づき規制される医療機器プログラムは、(1)に記載のとおり、疾病の診断、治療又は予防に寄与するなど、医療機器の定義に該当する使用目的を有しているプログラムであって、それをインストール等2することによってデスクトップパソコン等の汎用コンピュータ又はスマートフォン等の携帯情報端末(以下「汎用コンピュータ等」という。)に医療機器としての機能を与えるもの、あるいは既存の医療機器にインストール等することで医療機器たる更なる機能を付与するものである。したがって、医療機器プログラムが意図したとおりに機能しない場合(適切な情報提供がなされない場合や不適切な広告に基づいて使用者が誤った理解に基づき使用した場合等を含む。)には、患者(又は使用者)の生命及び健康に影響を与えるおそれがあり、有体物(本ガイドラインにおいて、医療機器プログラムの記録媒体3は「有体物」に含まないものとする。)である医療機器と同様の潜在的リスクを公衆衛生に及ぼす可能性がある。
なお、汎用コンピュータ等を利用して医療機器を操作するプログラムは、原則、操作対象の医療機器に含めたものとして取り扱われる必要がある4,5。
医療機器プログラムを含むプログラムは、汎用コンピュータ等及び各種の外部接続機器等の多様化、高度化等とも相まって、様々な仕様、使用目的のものが日々開発されている。そのため、本ガイドラインで対象とするプログラムの考え方や規制範囲等については、今後変更が生じる可能性がある。
(3) 本ガイドラインの対象範囲
本ガイドラインは、プログラム単体又はプログラムを記録した記録媒体として流通するプログラムの医療機器該当性を対象としている。有体物と一体として流通するプログラムは、有体物部分も含めて、一体の製品として医療機器該当性を判断することとなる。
3 該当性の基本的考え方
特定のプログラムが、医薬品医療機器等法の医療機器に該当するか否かは、製造販売業者等による当該製品の表示、説明資料、広告等に基づき、当該プログラムの使用目的及びリスクの程度が医療機器の定義に該当するかにより判断される。同じ機能を有するプログラムであっても、使用目的が異なれば、医療機器該当性の判断は異なる可能性がある。このため、開発の初期、企画段階においても、どのような表示等を行うかを含め、プログラムの使用目的を十分に検討することが望ましい。
複数の機能を有するプログラムの医療機器該当性の判断にあたっては、少なくとも1つの機能が医療機器プログラムの定義を満たす場合、全体6として医療機器としての流通規制を受けることになる。この場合、医療機器ではない機能が医療機器としての承認又は認証範囲に含まれるような誤認を利用者に与えないように表示、広告等を行うなど、医療機器の定義を満たす機能と医療機器ではない機能との適切な区別に留意すること。
汎用コンピュータ等のWebカメラ等の内部又は外部センサ(以下「汎用センサ等」という。)と連動して、医療機器としての機能を発揮するプログラムは、汎用センサ等を含めた一体の製品として見たときに、医療機器の定義を満たすか否かにより判断される。
なお、プログラムの医療機器該当性の判断にあたっては、副作用又は機能の障害が生じた場合でも人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないプログラム(一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するもの)は、医療機器の範囲から除かれる。
4 医療機器に該当しない典型的な事例
以下を使用目的とする単一のプログラムは、医療機器の定義を満たさないため、医薬品医療機器等法の規制対象とはならない。
(1) 患者説明を目的とするプログラム
①医療関係者が患者や家族に治療方法等を理解してもらうための患者説明用プログラム
(2) 院内業務支援、メンテナンスを目的とするプログラム
①医療関係者が患者の健康記録等を閲覧等するプログラム
過去に実施した患者への処置、治療内容、健康情報等を記録、閲覧又は転送するもの
②診療予約や受付、会計業務等医療機関における一般事務作業の負担軽減等を目的とした院内業務支援プログラム
③医療機関に医療機器の保守点検や消耗品の交換の時期等を伝達するメンテナンス用プログラム
(3) 使用者(患者や健康な人)が自らの医療・健康情報を閲覧等することを目的とするプログラム
①個人の健康記録を保存、管理、表示するプログラム
医療機器等から取得したデータ7(血糖値、血圧、心拍数、体重等)を使用者が記録(収集及びログ作成)し、そのデータを医療関係者、介助者、家族等と共有したり、オンラインのデータベースに登録、記録したりすることを可能にするもの(経時的表示や統計処理をした数値の表示を含む。)
②スポーツのトレーニング管理等の医療・健康以外を目的とするプログラム
使用目的が競技力の向上、体力の向上等を目的として個人の適切な運動強度の設定や運動量の管理等のために用いられ、疾病の診断や病態の把握、疾病の兆候の検出を目的としていないもの(診断等に用いることが可能な情報を用いる場合を含む。)
(4) 生命及び健康に影響を与えるリスクが低いと考えられるプログラム
①有体物の一般医療機器(クラスⅠ医療機器)と同等の処理を行うプログラム
プログラムに不具合が生じることなどにより副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないもの
留意点として、複数の機能を有するプログラムの場合は、機能ごとに分類して確認を行い、いずれの機能も医療機器プログラムの定義を満たさない場合は医薬品医療機器等法の規制対象外となる。
医薬品医療機器等法の規制対象とならないプログラムの例については、別途事例集に掲載するが、これらの例示は全てのプログラムを網羅しているわけではなく、今後、事例が追加される場合がある。
なお、治験の対象とされるプログラム(被験機器たるプログラム)については、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号)等に基づき適切に管理・提供すること。また、臨床研究等で有効性又は安全性の評価の対象となるプログラムについては、医療機器の定義に当てはまるものであっても、医薬品医療機器等法が適用されない場合がある(「7臨床研究等における取扱いについて」参照)。
5 該当性判断の手順
(1) 事前準備(使用目的、処理方法などの明確化・整理)
プログラムの医療機器該当性の判断にあたっては、以下を参考に、開発予定又は開発中のプログラム(以下「開発プログラム」という。)において事業者(開発者)が想定している使用者、使用目的、処理方法などを確認、整理、精査等すること。
【判断のために明確にすべき項目の例示】
○ プログラムの構成、提供方法
・ プログラムは単体で流通(電気通信回線を通じて提供(ダウンロードして提供される、オンラインで運用されるなど)、記録媒体により提供)するか
・ プログラムは有体物と一体の製品として流通するか
・ 併用する機器、併用するプログラムの有無
○ プログラムの使用者
・ 医療関係者の管理下ではない利用者(患者・健康な人・患者家族等)
・ 医療関係者の管理下の利用者(患者・健康な人・患者家族等)
・ 医療関係者
○ プログラムの使用目的又は効果
・ 健康情報の管理
・ 運動管理
・ 医学的判断に使用しない情報提供
・ 院内業務支援、メンテナンス
・ 疾病の診断・治療・予防
・ 治療方針、治療計画等の策定又は支援
・ 他の医療機器の制御
○ プログラムが行う処理方法
・ データの表示、保管、転送
・ 診断以外を目的としたデータの加工・処理
・ (入力情報を基に)疾病候補、罹患リスクの表示
・ (入力情報を基に)推奨治療方法を提示
○ 処理のアルゴリズム
・ 診断・治療ガイドライン等の公知8の情報に従った処理を行うもの
・ 独自のアルゴリズムで処理を行うもの
・ 一般人が容易に検算できる四則演算程度の計算を行うもの
・ アルゴリズムが何を根拠としているかを使用者が認識することができ、使用者がその妥当性を検証可能な状態にあるかどうか
○ 同一の機能を有する医療機器の有無
(2) 使用目的等の確認と一般的名称の検索
開発プログラムについて、その仕様(想定される使用者、入力情報、出力情報等)、使用目的(治療支援、診断支援等)等に応じ、そのクラス分類や定義から見て適切と思われる一般的名称を、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第五項から第七項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器(告示)及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第八項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器(告示)の施行について」(平成16年7月20日付け薬食発第0720022号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「一般的名称通知」という。)から検索すること。なお、類別がプログラムであるもの(一般的名称に「○○プログラム」と掲載されているもの)については、186種類(令和5年1月16日現在)存在する。
開発プログラムについて、相当するプログラム名称が一般的名称欄に存在する場合は、当該開発プログラムは、原則として、相当する一般的名称の医療機器に該当する。
また、開発プログラムの使用目的が、有体物たる一般医療機器(クラスⅠ医療機器)の一般的名称定義欄に該当するプログラムである場合、当該プログラムは医療機器としての規制対象とはならない。
(3) 該当性判断
(2)により、開発プログラムの一般的名称及びクラス分類について相当するものが存在しない、又は、わからない場合は、別紙1「医療機器該当性に係るフローチャート」に従い、医療機器該当性について判定する。また、別紙1による該当性の判断になじまない場合は、別紙1の代わりに別紙2「医療機器該当性に係るフローチャート(疾病リスクを表示するもの)」を参照できる。
個々の具体的な事例における医薬品医療機器等法の適用につき判然としない場合には、監視指導・麻薬対策課において相談・助言等を行っていることから、これを活用すること9。
6 人の生命及び健康に影響を与えるリスクの程度の考え方
本邦において、医療機器は患者へのリスクの高さに応じてクラスⅠからクラスⅣに分類される。クラス分類の判定はGHTFクラス分類ルールに則って行われる。医療機器プログラムのクラス分類についても、有体物にインストールされて使用可能な状態としたものを想定した上で、プログラム部分が製品の有効性・安全性に与える影響を考慮して、原則、同様の考え方でリスクの程度を判定する。判定にあたっては「高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器に係るクラス分類ルールの改正について」(平成25年5月10日付け薬食発0510第8号厚生労働省医薬食品局長通知)を参考にすること。なお、医療機器プログラムについては、原則として能動型機器に関するクラス分類ルールを適用する10。例えば、疾病の早期発見、疾病のスクリーニング、医師の診断補助、追加検査の推奨等に用いることを目的とするプログラムは、「診断」を意図するものとして、GHTFクラス分類ルール10に該当する。なお、上記3に記載のとおり、一般医療機器(クラスⅠ医療機器)に相当するプログラムは、医療機器の範囲から除かれる。
リスクの程度の判断にあたり、GHTFクラス分類ルールにより判断し難い場合は、次の2点を考慮して判断を行う11。
①医療機器プログラムにより得られた結果の重要性に鑑みて疾病の治療、診断等にどの程度寄与するのか。
②医療機器プログラムの機能の障害等が生じた場合において人の生命及び健康に影響を与えるおそれ(不具合があった場合のリスク)を含めた総合的なリスクの蓋然性がどの程度あるか。
また、認知行動療法等に基づき疾病の治療等を行うプログラムについては、上記①②を考慮するにあたり、以下の点を踏まえること。
ア 特定の疾病と診断された患者を対象としたものかどうか。
イ 医師の責任で実施すべき治療等の行為の一部又は全部を代替するものかどうか。
ウ 個々の患者の情報を分析し、その患者に適した助言等を提示するものかどうか。
エ 独自のアルゴリズムの有無。
オ 不具合があった場合に患者の健康に及ぼす影響等があるかどうか。
入力情報を基に疾病候補、個人又は集団における疾病発症リスクを表示するプログラムについても、同様に上記の点を踏まえること。
疾病の早期発見・早期診断につなげることなどを目的に、個人を特定して、具体的な疾病名を表示し、当該個人について当該疾病の罹患の有無、罹患している可能性又は将来罹患する可能性を表示するプログラムは、使用者によらず、診断に用いられるものとしてリスクを判定すること。
7 臨床研究等における取扱いについて
医師又は歯科医師が主体的に実施する妥当な臨床研究において用いられる医療機器の提供については、医薬品医療機器等法が適用されない場合があるので、その取扱いについては「臨床研究において使用される未承認の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の提供等に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の適用について」(平成30年4月6日付け薬生発0406第3号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)を参照されたい。
なお、個々の具体的な事例における医薬品医療機器等法の適用につき判然としない場合には、監視指導・麻薬対策課において相談・助言等を行っていることから、これを活用すること。
8 その他留意事項
(1) 医療機器に該当しないプログラムの標ぼうの留意事項
医療機器ではないものについて、医療機器と誤認させるような製品が流通することは、保健衛生上の観点から好ましくない。事業者(開発者)は、医療機器ではないプログラム(一般医療機器(クラスⅠ医療機器)相当のプログラムを含む。)については、利用者による誤解を防ぐために、「当該プログラムは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としていない」又は「当該プログラムは医療機器ではない」旨の記載、表示を行うことが望ましい12。
また、一般医療機器(クラスⅠ医療機器)相当のプログラムのうち、
①有体物として一般医療機器が存在する医療機器と同等のプログラムは、当該有体物と同等の性能等を、
②有体物の一般医療機器が存在しないものについては、個別の判断により、一般医療機器相当の性能等を、
標ぼうすることができる13が、医療機器であるという誤解が生じないよう留意すること。併せて医療機器でないことを明記することが望ましい。なお、どちらの場合も管理医療機器又は高度管理医療機器に相当する使用目的又は効果、性能等は標ぼうできない14。
(2) 適正使用のための周知啓発について
プログラムの利用者が事業者(開発者)の想定外の目的で使用しないよう、事業者は、使用対象者や適切な使用目的について、十分な周知啓発を行うことが重要である。周知啓発の方法(自己学習、オンライントレーニング、対面研修等)はプログラムのリスクに応じて決定することが望ましい。
【参考通知】
・ 「高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器に係るクラス分類ルールの改正について」(平成25年5月10日付け薬食発第0510第8号厚生労働省医薬食品局長通知))
・ 「医療機器プログラムの取扱いについて」(平成26年11月21日付け薬食機参発1121第33号・薬食安発1121第1号・薬食監麻発1121第29号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)・医薬食品局安全対策課長・医薬食品局監視指導・麻薬対策課長連名通知)
・ 「一般的名称のいずれにも該当しない医療機器及び体外診断用医薬品の一般的名称の取扱いについて」(平成26年11月25日付け薬食機参発1125第26号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知
・ 「医療機器プログラムの取扱いに関するQ&Aについて」(平成26年11月25日付け厚生労働省大臣官房医療機器・再生医療等製品審査管理担当参事官室・医薬食品局安全対策課・医薬食品局監視指導・麻薬対策課事務連絡)
・ 「医療機器プログラムの取扱いに関するQ&Aについて(その2)」(平成27年9月30日付け厚生労働省大臣官房医療機器・再生医療等製品審査管理担当参事官室・医薬食品局安全対策課・医薬食品局監視指導・麻薬対策課事務連絡)
・ 「臨床研究において使用される未承認の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の提供等に係る医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の適用について」(平成30年4月6日付け薬生発0406第3号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
・ 「人工知能(AI)を用いた診断、治療等の支援を行うプログラムの利用と医師法第17条の規定との関係について」(平成30年12月19日付け医政医発1219第1号厚生労働省医政局医事課長通知)
・ 「「プログラムの医療機器への該当性に関する基本的な考え方について」の一部改正について」(平成30年12月28日付け薬生監麻発1228第2号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)
・ 「歯科用プログラムの医療機器該当性について」(平成30年12月28日付け薬生機審発1228第4号・薬生監麻発1128第6号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長・厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長連名通知)
・ 「プログラムの医療機器該当性に関するガイドラインについて」(令和3年3月31日付け薬生機審発0331第1号・薬生監麻発0331第15号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長・厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長連名通知)
・ 「血中酸素飽和度を測定する機械器具の取扱いについて」(令和4年2月3日付け薬生監麻発0203第1号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)
・ 「「疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項について」の一部改正について」(令和4年12月13日付け薬生機審発1213第4号薬生安発1213第3号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長・厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長連名通知)
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1 クラスⅠ医療機器相当のプログラムであっても、クラスⅡ以上の医療機器との認識を与える標ぼうなどを行った場合、医薬品医療機器等法第68条等の広告規制に抵触するおそれがある。
2 プログラムには、電気通信回線を通じて提供されるもの(ダウンロード販売、オンライン上での提供(使用者にアクセス権を付与し、オンライン上で運用するものも含む)等)と記録媒体により提供されるものがある。
3 磁気ディスク、光学ディスク、フラッシュメモリなどのデータを記録するものをいう。
4 「医療機器プログラムの取扱いに関するQ&Aについて」(平成26年11月25日付け事務連絡)QA5
5 医療機器を操作するプログラムであっても、「電気刺激治療装置用パラメータ選択プログラム」「植込み能動型機器管理用プログラム」等の一般的名称の定義に既に規定があるものに該当するものは、プログラムで医療機器に該当する。一般的名称の新設については、医療機器審査管理課に相談することができる。
6 同時に流通する不可分なプログラムをいい、別々に流通可能なものは全体に含まれない。
7 テキストデータのみではなく、それ以外の全てのデータも含み、医家向け及び家庭向けに販売される医療機器の別を問わない。
8 本ガイドラインにおいて、「公知」の情報とは、日本国内において、医学薬学栄養学上、科学的な根拠が十分あるものとして一般的に認知されている情報を指す。よって、単に公表されていることのみをもって、「公知」とは判断されない。
(公知情報の例)医学教科書や、国内の医学会により作成された診療ガイドライン等において標準的な治療と認められているもの。国外の医学会により作成された診療ガイドライン等に記載されているものであって、国内の医学会において国内における標準的な治療と認められているもの。
9 「プログラムの医療機器該当性の相談について」(令和3年3月31日付け事務連絡)
10 「医療機器プログラムの取扱いについて」(平成26年11月21日付け薬食機参発1121第33号・薬食安発1121第1号・薬食監麻発1121第29号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)・医薬食品局安全対策課長・医薬食品局監視指導・麻薬対策課長連名通知)
11 なお、IMDRFカテゴリ分類の判断因子である「医療場面や病態の状況」、「医療上の決定に対するSaMDが提供する情報の重要性」は参考にできるが、GHTFのクラス分類とIMDRFのカテゴリ分類とは同一ではなく、一対一対応するものではない。
12 「当該プログラムは、疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としていない」又は「当該プログラムは医療機器ではない」旨の記載、表示があることをもって、当該プログラムが医療機器ではないことの根拠とはならない。そのような記載があっても、疾病の疑いを判断できるなどと医療機器との認識を与える広告・標ぼうをする製品は医療機器に該当する。
13 例えば、事実の範囲内で、「視力表(クラスⅠ医療機器)相当のプログラムです」、「**機能の評価を目的とするプログラム(クラスⅠ医療機器相当)です」と標ぼうすることは差し支えない。
14 「医療機器プログラムの取扱いに関するQ&Aについて」(平成26年11月25日付け事務連絡)QA14
別紙1
別紙2