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○「事業場における労働者の健康保持増進のための指針の一部を改正する件」の周知について

(令和5年3月31日)

(基発0331第1号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

事業場における労働者の健康保持増進のための指針(昭和63年9月1日健康保持増進のための指針公示第1号。以下「指針」という。)について、別紙1のとおり指針の改正を行い、令和5年4月1日から適用することとした。改正後の指針は別紙2のとおりであり、改正の趣旨及び内容は下記のとおりである。

ついては、別添のとおり関係団体に対して周知したので、了知するとともに、事業者及び関係機関等に対する周知について遺漏なきを期されたい。

1 改正の趣旨

加齢に伴う筋力や認知機能等の低下が転倒等の労働災害リスクにつながることや「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(令和2年3月16日付け基安発0316第1号)等を踏まえ、労働者の健康状況の継続的な把握等、労働者の高齢化を見据えた取組について明確化するため、指針の改正を行ったものである。

また、40歳未満の労働者について、事業者と医療保険者が連携して健康保持増進対策をより効果的に推進できるよう、指針について所要の改正を行ったものである。

2 改正の内容

筋力や認知機能等の低下に伴う転倒等の労働災害を防止するため、体力の状況を客観的に把握し、自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、加齢による心身の衰えを確認するフレイルチェック等の健康測定の実施や保健指導への活用が考えられる旨規定するもの。

また、健康保持増進対策の考え方として、事業者は医療保険者と連携したコラボヘルスを積極的に推進すること、労働安全衛生法(昭和47法律第57号)に基づく定期健康診断の結果の記録等を積極的に医療保険者と共有すること及び当該記録等は電磁的な方法による保存・管理が適切であることを明確化したもの。

[別紙1]

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[別紙2]

事業場における労働者の健康保持増進のための指針

昭和63年 9月 1日 健康保持増進のための指針公示第 1号

改正 平成 9年 2月 3日 健康保持増進のための指針公示第 2号

改正 平成19年11月30日 健康保持増進のための指針公示第 4号

改正 平成27年11月30日 健康保持増進のための指針公示第 5号

改正 令和 2年 3月31日 健康保持増進のための指針公示第 7号

改正 令和 3年 2月 8日 健康保持増進のための指針公示第 8号

改正 令和 3年12月28日 健康保持増進のための指針公示第 9号

改正 令和 4年 3月31日 健康保持増進のための指針公示第10号

改正 令和 5年 3月31日 健康保持増進のための指針公示第11号

1 趣旨

近年の高年齢労働者の増加、急速な技術革新の進展等の社会経済情勢の変化、労働者の就業意識や働き方の変化、業務の質的変化等に伴い、定期健康診断の有所見率が増加傾向にあるとともに、心疾患及び脳血管疾患の誘因となるメタボリックシンドロームが強く疑われる者とその予備群は、男性の約2人に1人、女性の約5人に1人の割合に達している。また、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者の割合が高い水準で推移している。

このような労働者の心身の健康問題に対処するためには、早い段階から心身の両面について健康教育等の予防対策に取り組むことが重要であることから、事業場において、全ての労働者を対象として心身両面の総合的な健康の保持増進を図ることが必要である。なお、労働者の健康の保持増進を図ることは、労働生産性向上の観点からも重要である。

また、事業場において健康教育等の労働者の健康の保持増進のための措置が適切かつ有効に実施されるためには、その具体的な実施方法が、事業場において確立していることが必要である。

本指針は、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第70条の2第1項の規定に基づき、同法第69条第1項の事業場において事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の保持増進のための措置(以下「健康保持増進措置」という。)が適切かつ有効に実施されるため、当該措置の原則的な実施方法について定めたものである。事業者は、健康保持増進措置の実施に当たっては、本指針に基づき、事業場内の産業保健スタッフ等に加えて、積極的に労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ、医療保険者、地域の医師会や歯科医師会、地方公共団体又は産業保健総合支援センター等の事業場外資源を活用することで、効果的な取組を行うものとする。また、全ての措置の実施が困難な場合には、可能なものから実施する等、各事業場の実態に即した形で取り組むことが望ましい。

2 健康保持増進対策の基本的考え方

近年、生活習慣病予備群に対する生活習慣への介入効果についての科学的根拠が国際的に蓄積され、生活習慣病予備群に対する効果的な介入プログラムが開発されてきた。さらに、メタボリックシンドロームの診断基準が示され、内臓脂肪の蓄積に着目した保健指導の重要性が明らかになっている。また、健康管理やメンタルヘルスケア等心身両面にわたる健康指導技術の開発も進み、多くの労働者を対象とした健康の保持増進活動が行えるようになってきた。

また、労働者の健康の保持増進には、労働者が自主的、自発的に取り組むことが重要である。しかし、労働者の働く職場には労働者自身の力だけでは取り除くことができない疾病増悪要因、ストレス要因等が存在しているため、労働者の健康を保持増進していくためには、労働者の自助努力に加えて、事業者の行う健康管理の積極的推進が必要である。その健康管理も単に健康障害を防止するという観点のみならず、更に一歩進んで、労働生活の全期間を通じて継続的かつ計画的に心身両面にわたる積極的な健康保持増進を目指したものでなければならず、生活習慣病の発症や重症化の予防のために保健事業を実施している医療保険者と連携したコラボヘルスの推進に積極的に取り組んでいく必要がある。

労働者の健康の保持増進のための具体的措置としては、運動指導、メンタルヘルスケア、栄養指導、口腔保健指導、保健指導等があり、各事業場の実態に即して措置を実施していくことが必要である。

さらに、事業者は、健康保持増進対策を推進するに当たって、次の事項に留意することが必要である。

① 健康保持増進対策における対象の考え方

健康保持増進措置は、主に生活習慣上の課題を有する労働者の健康状態の改善を目指すために個々の労働者に対して実施するものと、事業場全体の健康状態の改善や健康保持増進に係る取組の活性化等、生活習慣上の課題の有無に関わらず労働者を集団として捉えて実施するものがある。事業者はそれぞれの措置の特徴を理解したうえで、これらの措置を効果的に組み合わせて健康保持増進対策に取り組むことが望ましい。

② 労働者の積極的な参加を促すための取組

労働者の中には健康保持増進に関心を持たない者も一定数存在すると考えられることから、これらの労働者にも抵抗なく健康保持増進に取り組んでもらえるようにすることが重要である。加えて、労働者の行動が無意識のうちに変化する環境づくりやスポーツ等の楽しみながら参加できる仕組みづくり等に取り組むことも重要である。また、これらを通じて事業者は、労働者が健康保持増進に取り組む文化や風土を醸成していくことが望ましい。

③ 労働者の高齢化を見据えた取組

労働者が高齢期を迎えても健康に働き続けるためには、心身両面の総合的な健康が維持されていることが必要であり、若年期からの運動の習慣化や、高年齢労働者を対象とした身体機能の維持向上のための取組等を通じて、加齢とともに筋力や認知機能等の心身の活力が低下するフレイルやロコモティブシンドロームの予防に取り組むことが重要である。健康保持増進措置を検討するに当たっては、このような視点を盛り込むことが望ましい。

また、加齢に伴う筋力や認知機能等の低下は転倒等の労働災害リスクにつながることから、健康状況の継続的な把握のもと、高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)(令和2年3月16日付け基安発0316第1号)に基づき対応することが重要である。

3 健康保持増進対策の推進に当たっての基本事項

事業者は、健康保持増進対策を中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行うため、以下の項目に沿って積極的に進めていく必要がある。

また、健康保持増進対策の推進に当たっては、事業者が労働者等の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うため、労使、産業医、衛生管理者等で構成される衛生委員会等を活用して以下の項目に取り組むとともに、各項目の内容について関係者に周知することが必要である。

なお、衛生委員会等の設置義務のない小規模事業場においても、これらの実施に当たっては、労働者等の意見が反映されるようにすることが必要である。

加えて、健康保持増進対策の推進単位については、事業場単位だけでなく、企業単位で取り組むことも考えられる。

(1) 健康保持増進方針の表明

事業者は、健康保持増進方針を表明するものとする。健康保持増進方針は、事業場における労働者の健康の保持増進を図るための基本的な考え方を示すものであり、次の事項を含むものとする。

・事業者自らが事業場における健康保持増進を積極的に支援すること。

・労働者の健康の保持増進を図ること。

・労働者の協力の下に、健康保持増進対策を実施すること。

・健康保持増進措置を適切に実施すること。

(2) 推進体制の確立

事業者は、事業場内の健康保持増進対策を推進するため、その実施体制を確立するものとする(4(1)参照)。

(3) 課題の把握

事業者は、事業場における労働者の健康の保持増進に関する課題等を把握し、健康保持増進対策を推進するスタッフ等の専門的な知見も踏まえ、健康保持増進措置を検討するものとする。なお、課題の把握に当たっては、労働者の健康状態等が把握できる客観的な数値等を活用することが望ましい。

(4) 健康保持増進目標の設定

事業者は、健康保持増進方針に基づき、把握した課題や過去の目標の達成状況を踏まえ、健康保持増進目標を設定し、当該目標において一定期間に達成すべき到達点を明らかにする。

また、健康保持増進対策は、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるようにする必要があることから、目標においても中長期的な指標を設定し、その達成のために計画を進めていくことが望ましい。

(5) 健康保持増進措置の決定

事業者は、表明した健康保持増進方針、把握した課題及び設定した健康保持増進目標を踏まえ、事業場の実情も踏まえつつ、健康保持増進措置を決定する。

(6) 健康保持増進計画の作成

事業者は、健康保持増進目標を達成するため、健康保持増進計画を作成するものとする。健康保持増進計画は各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましい。

健康保持増進計画は具体的な実施事項、日程等について定めるものであり、次の事項を含むものとする。

・健康保持増進措置の内容及び実施時期に関する事項

・健康保持増進計画の期間に関する事項

・健康保持増進計画の実施状況の評価及び計画の見直しに関する事項

(7) 健康保持増進計画の実施

事業者は、健康保持増進計画を適切かつ継続的に実施するものとする。また、健康保持増進計画を適切かつ継続的に実施するために必要な留意すべき事項を定めるものとする。

(8) 実施結果の評価

事業者は、事業場における健康保持増進対策を、継続的かつ計画的に推進していくため、当該対策の実施結果等を評価し、新たな目標や措置等に反映させることにより、今後の取組を見直すものとする。

4 健康保持増進対策の推進に当たって事業場ごとに定める事項

以下の項目は、健康保持増進対策の推進に当たって、効果的な推進体制を確立するための方法及び健康保持増進措置についての考え方を示したものである。事業者は、各事業場の実態に即した適切な体制の確立及び実施内容について、それぞれ以下の事項より選択し、実施するものとする。

(1) 体制の確立

事業者は、次に掲げるスタッフや事業場外資源等を活用し、健康保持増進対策の実施体制を整備し、確立する。

イ 事業場内の推進スタッフ

事業場における健康保持増進対策の推進に当たっては、事業場の実情に応じて、事業者が、労働衛生等の知識を有している産業医等、衛生管理者等、事業場内の保健師等の事業場内産業保健スタッフ及び人事労務管理スタッフ等を活用し、各担当における役割を定めたうえで、事業場内における体制を構築する。

また、例えば労働者に対して運動プログラムを作成し、運動実践を行うに当たっての指導を行うことができる者、労働者に対してメンタルヘルスケアを行うことができる者等の専門スタッフを養成し、活用することも有効である。なお、健康保持増進措置を効果的に実施する上で、これらのスタッフは、専門分野における十分な知識・技能と労働衛生等についての知識を有していることが必要である。このため、事業者は、これらのスタッフに研修機会を与える等の能力の向上に努める。

ロ 事業場外資源

健康保持増進対策の推進体制を確立するため、事業場内のスタッフを活用することに加え、事業場が取り組む内容や求めるサービスに応じて、健康保持増進に関し専門的な知識を有する各種の事業場外資源を活用する。事業場外資源を活用する場合は、健康保持増進対策に関するサービスが適切に実施できる体制や、情報管理が適切に行われる体制が整備されているか等について、事前に確認する。事業場外資源として考えられる機関等は以下のとおり。

・労働衛生機関、中央労働災害防止協会、スポーツクラブ等の健康保持増進に関する支援を行う機関

・医療保険者

・地域の医師会や歯科医師会、地方公共団体等の地域資源

・産業保健総合支援センター

(2) 健康保持増進措置の内容

事業者は、次に掲げる健康保持増進措置の具体的項目を実施する。

イ 健康指導

(イ) 労働者の健康状態の把握

健康指導の実施に当たっては、健康診断や必要に応じて行う健康測定等により労働者の健康状態を把握し、その結果に基づいて実施する必要がある。

健康測定とは、健康指導を行うために実施される調査、測定等のことをいい、疾病の早期発見に重点をおいた健康診断を活用しつつ、追加で生活状況調査や医学的検査等を実施するものである。

筋力や認知機能等の低下に伴う転倒等の労働災害を防止するため、体力の状況を客観的に把握し、自らの身体機能の維持向上に取り組めるよう、具体的には以下の健康測定等を実施することが考えられる。

・転倒等のリスクを確認する身体機能セルフチェック

・加齢による心身の衰えを確認するフレイルチェック

・移動機能を確認するロコモ度テスト

なお、健康測定は、産業医等が中心となって行い、その結果に基づき各労働者の健康状態に応じた必要な指導を決定する。それに基づき、事業場内の推進スタッフ等が労働者に対して労働者自身の健康状況について理解を促すとともに、必要な健康指導を実施することが効果的である。

また、データヘルスやコラボヘルス等の労働者の健康保持増進対策を推進するため、労働安全衛生法に基づく定期健康診断の結果の記録等、労働者の健康状態等が把握できる客観的な数値等を医療保険者に共有することが必要であり、そのデータを医療保険者と連携して、事業場内外の複数の集団間のデータと比較し、事業場における労働者の健康状態の改善や健康保持増進に係る取組の決定等に積極的に活用することが重要である。

(ロ) 健康指導の実施

労働者の健康状態の把握を踏まえ実施される労働者に対する健康指導については、以下の項目を含むもの又は関係するものとする。また、事業者は、希望する労働者に対して個別に健康相談等を行うように努めることが必要である。

・労働者の生活状況、希望等が十分に考慮され、運動の種類及び内容が安全に楽しくかつ効果的に実践できるよう配慮された運動指導

・ストレスに対する気付きへの援助、リラクセーションの指導等のメンタルヘルスケア

・食習慣や食行動の改善に向けた栄養指導

・歯と口の健康づくりに向けた口腔保健指導

・勤務形態や生活習慣による健康上の問題を解決するために職場生活を通して行う、睡眠、喫煙、飲酒等に関する健康的な生活に向けた保健指導

併せて、高年齢労働者に対しては、フレイルやロコモティブシンドロームの予防を意識した健康づくり活動を実施することが重要である。なお、(イ)に掲げるフレイルチェックの結果も踏まえ、市町村が提供する一般介護予防事業等を利用できる可能性があるため、当該高年齢労働者の居住する市町村や地域包括支援センターに相談することも可能である。

ロ その他の健康保持増進措置

イに掲げるもののほか、健康教育、健康相談又は、健康保持増進に関する啓発活動や環境づくり等の内容も含むものとする。なお、その他の健康保持増進措置を実施するに当たっても労働者の健康状態を事前に把握し、取り組むことが有用である。

5 健康保持増進対策の推進における留意事項

(1) 客観的な数値の活用

事業場における健康保持増進の問題点についての正確な把握や達成すべき目標の明確化等が可能となることから、課題の把握や目標の設定等においては、労働者の健康状態等を客観的に把握できる数値を活用することが望ましい。数値については、例えば、定期健康診断結果や医療保険者から提供される事業場内外の複数の集団間の健康状態を比較したデータ等を活用することが考えられる。

(2) 「労働者の心の健康の保持増進のための指針」との関係

本指針のメンタルヘルスケアとは、積極的な健康づくりを目指す人を対象にしたものであって、その内容は、ストレスに対する気付きへの援助、リラクセーションの指導等であり、その実施に当たっては、労働者の心の健康の保持増進のための指針(平成18年3月31日健康保持増進のための指針公示第3号)を踏まえて、集団や労働者の状況に応じて適切に行われる必要がある。また、健康保持増進措置として、メンタルヘルスケアとともに、運動指導、保健指導等を含めた取組を実施する必要がある。

(3) 個人情報の保護への配慮

健康保持増進対策を進めるに当たっては、健康情報を含む労働者の個人情報の保護に配慮することが極めて重要である。

健康情報を含む労働者の個人情報の保護に関しては、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱いのために事業者が講ずべき措置に関する指針(平成30年9月7日労働者の心身の状態に関する情報の適正な取扱い指針公示第1号)等の関連する指針等が定められており、個人情報を事業の用に供する個人情報取扱事業者に対して、個人情報の利用目的の公表や通知、目的外の取扱いの制限、安全管理措置、第三者提供の制限等を義務づけている。また、個人情報取扱事業者以外の事業者であって健康情報を取り扱う者は、健康情報が特に適正な取扱いの厳格な実施を確保すべきものであることに十分留意し、その適正な取扱いの確保に努めることとされている。事業者は、これらの法令等を遵守し、労働者の健康情報の適正な取扱いを図るものとする。

また、健康測定等健康保持増進の取組において、その実施の事務に従事した者が、労働者から取得した健康情報を利用するに当たっては、当該労働者の健康保持増進のために必要な範囲を超えて利用してはならないことに留意すること。事業者を含む第三者が、労働者本人の同意を得て健康情報を取得した場合であっても、これと同様であること。

なお、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)第27条第3項及び第4項、健康保険法(大正11年法律第70号)第150条第2項及び第3項等の規定に基づき、医療保険者から定期健康診断に関する記録の写しの提供の求めがあった場合に、事業者は当該記録の写しを医療保険者に提供しなければならないこととされていることに留意が必要であり、当該規定に基づく提供は個人情報の保護に関する法律第27条第1項第1号に規定する「法令に基づく場合」に該当するため、第三者提供に係る本人の同意は不要である。

(4) 記録の保存

事業者は、健康保持増進措置の実施の事務に従事した者の中から、担当者を指名し、当該担当者に健康測定の結果、運動指導の内容等健康保持増進措置に関する記録を電磁的な方法で保存及び管理させることが適切である。

6 定義

本指針において、以下に掲げる用語の意味は、それぞれ次に定めるところによる。

① 健康保持増進対策

労働安全衛生法第69条第1項の規定に基づく事業場において事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の保持増進のための措置を継続的かつ計画的に講ずるための、方針の表明から計画の策定、実施、評価等の一連の取組全体をいう。

② 産業医等

産業医その他労働者の健康保持増進等を行うのに必要な知識を有する医師をいう。

③ 衛生管理者等

衛生管理者、衛生推進者及び安全衛生推進者をいう。

④ 事業場内産業保健スタッフ

産業医等、衛生管理者等及び事業場内の保健師等をいう。

⑤ 事業場外資源

事業場外で健康保持増進に関する支援を行う外部機関や地域資源及び専門家をいう。

⑥ 健康保持増進措置

労働安全衛生法第69条第1項の規定に基づく事業場において事業者が講ずるよう努めるべき労働者の健康の保持増進のための措置をいう。