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○治験及び製造販売後臨床試験における電磁的方法を用いた説明及び同意に関する留意点について

(令和5年3月30日)

(/薬生薬審発0330第6号/薬生機審発0330第1号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)

(公印省略)

医薬品、医療機器及び再生医療等製品(別添において「医薬品等」という。)の治験並びに製造販売後臨床試験の実施に当たっては、医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)、医療機器の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成17年厚生労働省令第36号)及び再生医療等製品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第89号)(別添において「GCP省令」という。)に基づき、被験者となる方が治験に参加する際、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書により適切な説明を行い、文書により同意を得ることとされています。

今般、近年の情報通信技術の進展及び当該技術を活用した治験の分散化・効率化の観点を踏まえ、電磁的方法により表示・提示される文書やビデオ通話等を用いた説明及び同意の手続きを行う場合の留意点を、別添のとおりとりまとめましたので、御了知の上、貴管下関係業者、医療機関等に周知いただきますようお願いします。

なお、本通知の写しについて、別記の関係団体宛てに発出しますので、念のため申し添えます。

(別添)

治験及び製造販売後臨床試験における電磁的方法を用いた説明及び同意に関する留意点

※本文書中、医師主導治験においては、「治験依頼者」を「自ら治験を実施する者」、製造販売後臨床試験においては、「治験」を「製造販売後臨床試験」とそれぞれ読み替えるものとする。

1.本ガイダンスの位置づけ

治験の実施に当たって、被験者に対して文書で治験の説明を行う際、紙の文書(以下「書面」という。)を用いて対面で説明を行う従来の方法に加え、電気通信回線を通じてパソコン、タブレット等の画面上に説明文書を映す等、電磁的方法により表示・提示される文書、コンピュータ上の動画等を用いるほか、リアルタイムのビデオ通話等を用いて遠隔で説明を行う方法が実際に行われつつある。これと併せて、文書での同意を得る際、書面に代えて電磁的方法により同意を確認し、記録することも想定されている。

本ガイダンスは、それらを行う場合の留意点をとりまとめたものである。本ガイダンスは現時点における考え方を示すものであり、技術の進展等を踏まえて見直しが必要になることもある。

なお、治験の実施に当たっては、本ガイダンスのほか、関連の通知、ガイドライン等を適宜参照し、個別の事例における取扱いについて不明な点がある場合には、必要に応じ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に相談されたい。

2.本ガイダンスに用いられる用語の定義

電子署名

「電子署名及び認証業務に関する法律」(平成12年法律第102号)で定義する電子署名。

デジタルサイン

タブレット端末等の画面上に署名者が手書きで電子的に署名するもの。

電子署名等

電子署名及びデジタルサイン。

電磁的方法を用いた説明・同意取得

電気通信回線を通じてパソコン、タブレット等の画面上に説明文書を映す等、電磁的方法により表示・提示される文書、コンピュータ上の動画等を用いるほか、リアルタイムの音声のみの通信手段を除くビデオ通話等(以下「ビデオ通話等」という。)を用いて遠隔で、治験の内容、その他の治験に関する事項についての説明を行い、電子署名等により同意を得ること。これらの要素のうちの1つ以上を行い、従来の方法による説明・同意取得と組み合わせて行う場合も含まれる。

動画等

動画、音声、アニメーション、ポップアップ等の動的なコンテンツ。

情報通信システム

電磁的方法により説明・同意取得を実施するために使用されるシステム。

汎用サービス

電磁的方法を用いた説明・同意取得に限らず広く用いられるサービスであって、視覚及び聴覚を用いる情報通信機器のシステムを使用するウェブ会議サービス等。

サービスプロバイダ

電磁的方法を用いた説明・同意取得で使用される情報通信システムを供給する事業者。

身元確認

電磁的方法を用いた説明・同意取得の方法を利用する者の利用者の氏名等を確認するプロセスのこと。

この確認プロセスは、一般的には、氏名、住所、生年月日、性別について、当該情報を証明する書類の提示を求める等により実施される。

当人認証

ある行為の「実行主体」と、当該主体が主張する「身元識別情報」との同一性を検証することによって、「実行主体」が身元識別情報にあらかじめ関連付けられた人物であることの信用を確立するプロセスのこと。認証情報の確認方法により、以下の二つに大別する。

(1) 単要素認証

単一の認証情報によって、利用者本人であることを確認する当人認証方法。

※例えば、IDと紐付けて、パスワード(画像1 (7KB)別ウィンドウが開きます
本人だけが記憶している情報)、所有物、指紋、虹彩といった生体情報等のいずれかを用いる方法がある。

(2) 多要素認証

記憶、所有物、生体情報の各要素のうち、複数の認証情報を組み合わせることで、利用者本人であることを確認する当人認証方法。

※例えば、パスワード(画像2 (7KB)別ウィンドウが開きます
本人だけが記憶している情報)とワンタイムパスワード(ワンタイムパスワードを発行できるスマートフォンを所有していることを確認する。)を組み合わせる方法がある。

3.基本的な考え方

(1) 従来の対面の場合と同等の説明・質疑応答等が、治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)の責任のもとで行われることを前提として、電磁的方法を用いた説明・同意取得は可能である。

具体的には、従来の方法による説明・同意取得と同様に、被験者の治験への参加又は治験への参加継続の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者及び代諾者(以下「被験者等」という。)がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加又は継続に同意し、文書によってそのことを確認できることが必要である。電磁的方法を用いることにより、被験者等の自由な意思決定に影響が及ばないようにすること。

なお、従来の方法による説明・同意取得と電磁的方法を用いた説明・同意取得を組み合わせて行うことも差し支えない(例えば、電磁的方法による説明を行った上で、書面で同意を得ること等。)。

従来の方法による説明・同意取得と同様に、治験責任医師等は、GCP省令の被験者等の同意に係る規定(医薬品GCP省令の場合、第50条から第55条)を遵守して実施する必要があり、当該治験の内容、想定される被験者等を考慮した上で、電磁的方法を用いた説明・同意取得を実施することの適切性を評価し、あらかじめ手順を定めた上で治験審査委員会(以下「IRB」という。)の審査を受け、その内容を遵守して実施すること。また、IRBや規制当局から、電磁的方法を用いた説明・同意取得の手順の詳細について質問された際は適切に説明できるようにしておくこと。

(2) 電磁的方法を用いた説明・同意取得では、以下の点を踏まえて、必要な情報通信システム、運用手順等を構築したうえで実施する必要がある。

(ア) 情報通信機器やデジタル技術に不慣れな者に配慮した対応を行うこと。パソコン、タブレット等の情報通信機器の操作やそれを用いたコミュニケーションに対する理解や慣れは個々人によって大きく異なることが想定されるため、治験責任医師等(及び補足的な説明を行う場合の治験協力者)、被験者等の双方が適切に機器の操作を行えるよう、機器の操作等の事前説明・研修、通信トラブル等への対応等を検討し、必要に応じて手順を定めておくこと。

(イ) 視覚や運動機能の障害等を有する被験者等が組み入れられることが想定される場合は、公正な立会人(以下「立会人」という。)、代諾者又は代筆者の関与の方法を含め、電磁的方法を用いた説明・同意取得の実施に支障がないかを確認の上、対応を検討し、必要に応じて手順を定めておくこと。

(ウ) 個々の被験者等の事情やシステムトラブル等により、電磁的方法を用いた説明・同意取得を行うことが困難な場合や電磁的方法を希望しない場合に、書面の使用や対面での説明等の別の手法に切り替えることも可能にしておくこと。

4.留意事項等

治験責任医師等は、電磁的方法を用いた説明・同意取得を行う場合、少なくとも以下の点に留意した上で、あらかじめ手順を定め、それを遵守して実施すること。また、治験依頼者が電磁的方法を用いた説明・同意取得を行う情報通信システムを提供する場合には、治験依頼者においても同様に以下の点に留意し、必要に応じ、実施医療機関における電磁的方法を用いた説明・同意取得の実施に係る準備を支援すること。

なお、治験に継続して参加するかどうかについて被験者等の意思に影響を与える可能性がある情報が得られ、治験責任医師等が被験者等に対して治験に継続して参加するかどうかを確認する場合(医薬品GCP省令の場合、第54条第1項)も同様である。

(1) 本人確認(身元確認、当人認証)の方法

(ア) 説明・同意取得の相手が被験者等本人であることを確実に確認可能な手順を定めた上で、それを適切に実施する必要がある。特に、治験責任医師等が被験者等と面識が無い場合においては、慎重な対応が必要になる。

(イ) 遠隔での電磁的方法を用いた説明・同意取得を行う場合において、被験者等本人であることの確認(身元確認)の方法として、例えば、身分確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、健康保険証等)の提示を行うことが考えられる。原則として治験責任医師等(及び補足的な説明を行う場合の治験協力者)と被験者等(及び必要な場合には立会人、代筆者。以下、(ウ)において同じ。)の双方が身分確認書類を用いてお互いに本人であることの確認を実施する必要がある。治験責任医師等及び治験協力者の身分確認書類としては、所属医療機関が発行する職員証等も考えられる。必要に応じ、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月(令和4年1月一部改訂)、厚生労働省)(以下「オンライン診療指針」という。)等を参照すること。

(ウ) 情報通信システムを用いて電子署名等を行う場合において、被験者等本人であることの確認(当人認証)の方法として、例えば、ユーザーIDや電話番号、メールアドレス等と紐付けて、パスワード等の単要素認証を行うことや、被験者等のみが持つパスワード、秘密の質問等の「知識」、スマートフォン等の「所持」、顔や指紋等の「生体」等の複数の要素を組み合わせた多要素認証を行うことが考えられる。現在、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5.2版」(令和4年3月、厚生労働省)(以下「医療情報システムガイドライン」という。)において二要素認証が求められていることを踏まえ、同意取得に際しては多要素認証により当人認証が行われることが望ましい。

なお、電磁的方法を用いた説明・同意取得において、身元確認との一連の流れの中でデジタルサインを行うことで、署名者が被験者等本人であることを確認することも許容されるが、その場合であっても、可能な限り、情報通信システムにおいて、デジタルサインを行う者の当人認証の仕組みが構築されていることが望ましい。

(2) 説明・同意取得を行う場所等

(ア) 遠隔での電磁的方法を用いた説明・同意取得を行う場合は、治験責任医師等(及び補足的な説明を行う場合の治験協力者)及び被験者等(及び必要な場合には立会人、代筆者)の双方が、被験者等のプライバシーや治験実施に係る機密性が適切に確保されるような場所、方法で対応すること。

具体的には、治験責任医師等は機密性が担保された空間から参加し、治験責任医師等が参加する空間に治験や診療に関与していない者がいないことを被験者等に示すとともに、被験者等がプライバシーの確保された空間から参加していることを確認すること。また、治験責任医師等は治験責任医師等及び被験者等が録音・録画・撮影を承諾なしに行うことがないよう確認すること。

(イ) 遠隔での電磁的方法を用いた説明・同意取得に、治験責任医師等、治験協力者、被験者、代諾者、立会人又は代筆者が、必ずしも同一の場所にいる必要はない。ただし、別々の場所にいる場合であっても、説明・同意文書を読むことのできない被験者等に対して、説明・同意文書の必要な情報が適切に提供されていることを立会人が十分確認できるようにすること。

(3) 説明・同意取得の手続き

(ア) 説明・同意文書の一部又は全部、及びその補足説明等を、パソコン、タブレット等の画面上に示される文書や動画等として表示・提示して、対面若しくはビデオ通話等を用いて遠隔で説明を行うことが考えられる。当該説明に、動画等やスライドの視聴等を含めることは差し支えないが、被験者等に対して単なる自己学習・eラーニングの形式を実施するのみでは、被験者等ごとの理解の差が大きくなる可能性があることや内容が十分に理解されないまま判断を行われる懸念があることから、それらを活用しつつも、対面と組み合わせて、又はビデオ通話等を用いることにより、被験者等の理解の度合いに応じた説明を行うことを基本とする。

(イ) 説明の際は、被験者等が説明内容に関する質問を行う機会を設け、その質問に適切に回答すること。回答の手法としては、対面又はビデオ通話等での治験責任医師等との対話に加えて、その補足として電子メール、チャットでのやりとり等も想定される。

また、後日、被験者等より追加的な質問がある場合にも、それに対して治験責任医師等が十分に答えることができるよう、被験者等に実施医療機関の担当者への問い合わせ方法を知らせておくこと。

(ウ) 遠隔での電磁的方法を用いた説明・同意取得において、説明を行う治験責任医師等が被験者等と面識がない場合は、被験者等が治験責任医師等に対して治験に関する質問を十分にできる関係性を構築すること等、検討・留意すべき事項がより多くなることが想定される。必要に応じて、適切な説明、同意が行われるように配慮すること。

(4) 電子署名等に求められる要件

(ア) 書面への署名に代えて、電磁的方法による署名として、電子署名等を用いる場合、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」(平成17年4月1日付け薬食発第0401022号厚生労働省医薬食品局長通知)の別添(以下「ER/ES指針」という。)、「「治験関連文書における電磁的記録の活用に関する基本的考え方」の一部改正について」(平成26年7月1日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課事務連絡)(以下「電磁的記録活用の基本的考え方」という。)等に記載された要件、留意事項等を参照すること。

(イ) 被験者等が電子署名等に対応することが困難な場合は、説明・同意文書を印刷・郵送し、署名後に返送してもらう対応等についても可能にしておくこと。また、署名者が被験者等であることを確認すること。

(5) 説明・同意文書の交付等

(ア) 説明・同意文書の写しの交付は、説明・同意文書の電磁的記録を出力したものの手交・郵送のほか、被験者等の承諾を得た上で、電子メール、DVD―R等による交付や、クラウド等システムを通じて、被験者等が説明・同意文書の電磁的記録をダウンロードすることにより行っても差し支えない。動画等が説明文書に含まれる場合は、動画等を閲覧可能な形で交付をする、又はその内容が把握できる文書(スクリーンショットやスクリプト(台本)等。以下「スクリーンショット等」という。)を交付すること。電磁的記録を交付する場合の具体的な対応は、「電磁的記録活用の基本的考え方」等を参照すること。

なお、実際にダウンロードが行われたことが確認できた場合は、交付が行われたものと見なすことができるが、単にクラウド等システムに説明・同意文書の電磁的記録をアップロードするだけでは交付が成立したとは言えないことに留意すること。

また、説明・同意文書の電磁的記録を出力したものを郵送する場合や、被験者等が説明・同意文書の電磁的記録をダウンロードする場合において、説明・同意取得と説明・同意文書の写しの交付が同日とならないことが考えられる。そのような場合において、説明・同意取得後に速やかに治験の手順を開始することは差し支えないが、速やかに説明・同意文書の写しを交付し、被験者等が受領したことを確認すること。

(イ) 署名と日付が別の電磁的記録として存在する場合であっても、署名と日付の両方が紐づく形で被験者等に交付されるようにすること。

(ウ) 被験者等の求めがあった場合は、書面で説明・同意文書の写しを説明・同意文書と各自の署名及び日付が紐づく形で交付すること。

(6) 文書の取扱い

(ア) 電磁的方法により表示・提示されるものを含め、被験者等への説明に用いる文書、動画等が、GCP省令に規定する説明文書に含まれるかどうかを事前に明確にしておくこと。電磁的方法により表示等される説明文書に、動画等が含まれている場合、それら(又はスクリーンショット等、その内容が把握できる文書)を含め、説明・同意文書の保管、交付、IRBでの審議等の対象になることに留意すること。

なお、説明文書を電磁的方法により表示等した時に、当該文書と併せて表示等される動画等は、それらが被験者等の理解の向上につなげるための、説明文書の参考資料と見なすことができる場合は、説明文書には含まれないものとして取り扱って差し支えない。この場合、動画等を除いても、GCP省令で規定する説明文書の記載事項が充足されていることを確認しておくこと。

(イ) 電磁的方法により表示等される説明・同意文書については、動画等が説明文書に含まれるか、参考資料とみなし説明文書に含まれないかの取扱いを明確にした上で、あらかじめIRBの承認を得ておくこと。動画等が説明文書に含まれる場合には、被験者に交付する説明・同意文書の写しの内容(動画又はスクリーンショット等のその内容が把握できる文書)についても、IRBの承認を得ておくこと。

また、IRB又は規制当局から要請があった場合は、被験者等に対する説明の際に用いた、電磁的方法により表示・提示される文書、動画等の電磁的記録(説明・同意文書の改訂等が行われた場合は、それぞれの版及びそれらの参考資料と位置づけられたものを含む。)を提示できるようにしておくこと。

(ウ) 治験計画届及び治験計画変更届(該当する場合)の提出時には、説明・同意文書を添付資料に含める必要がある。説明文書に、動画等が含まれている場合は、それらのスクリーンショット等、その内容が把握できる文書をPDF形式で添付すること。なお、必要に応じて、閲覧可能なフォーマット・ファイル形式による電子媒体の提出を求めることがある。動画等を説明文書の参考資料と見なすことができる場合は添付を要しない。

(エ) GCP実地調査への対応も鑑みて、実施医療機関における文書等の保管に当たっては以下の点に留意すること。

① 従来の書面及び対面での説明・同意取得を行う場合と同様、電磁的方法を用いた説明・同意取得を行う場合も、治験実施中、治験終了後のどの時点で実施医療機関の調査が実施されたとしても、調査時に、署名済み同意文書及び使用した説明文書(説明・同意文書の改訂等が行われた場合は、それぞれの版及びそれらの参考資料と位置づけられたものを含む。)の確認が可能となるように必要な措置を講じておくこと。

② 説明・同意文書等の閲覧・保管にクラウド等システムを利用している場合、実施医療機関が当該電磁的記録を確認できない期間がないようにすること。当該クラウド等システムの閉鎖等が予定されている場合は、説明・同意文書と各自の署名及び日付が紐づく形で、別のクラウド等システムへの電磁的記録の移行や記録メディアへの保存等を行うこと。また、当該電磁的記録を閲覧するためのソフトウェアの保管についても検討しておくこと。

(オ) 電磁的方法を用いた説明・同意取得に係る電磁的記録については、「ER/ES指針」、「電磁的記録活用の基本的考え方」、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を参照し、真正性・見読性・保存性を確保するとともに、暗号化や閲覧者制限等の必要なセキュリティ対策、安全管理措置等を講じることで、被験者の個人情報等に関する機密性を確保した状態で適切に保管すること。なお、保存された電磁的記録を他の電磁的記録媒体や方式に移行する場合には、移行された後の電磁的記録についても真正性、見読性及び保存性が確保されているようにするとともに、電子署名等が行われた電磁的記録については、当該電磁的記録に対して署名及び日付が紐づく形で移行すること。

(7) 情報通信システム、汎用サービスの利用や研修の実施

(ア) 電磁的方法を用いた説明・同意取得に当たっては、「ER/ES指針」へ準拠した説明・同意取得プロセスを実施するため、使用する情報通信システム、汎用サービスを適切に選択・使用するために、使用するシステム等に伴うリスクを踏まえた対策を講じた上で、説明・同意取得を実施することが重要である。

(イ) 治験責任医師等は、情報通信システム、汎用サービスの適切な利用のため、「オンライン診療指針」のⅤ.2.(5).1)を参照し、必要なセキュリティリスク対策等を講じること。

また、治験責任医師等は、使用するシステム等の使用方法、セキュリティ上安全な取扱い等について被験者等に説明し、合意を得た上で、システム等を使用すること。また、以下の点についても被験者等に対する説明や確認を行うこと。

① 被験者等が使用する情報通信機器等が必要なスペック、要求事項を満たし、OSやソフトウェアが適切なバージョンとなっていること。

② 被験者等を対象に発行されたログイン情報を、被験者等が第三者へ開示しないこと。

(ウ) 治験依頼者は、使用する情報通信システム、汎用サービスを実施医療機関に提供する場合(外部のサービスプロバイダが開発した情報通信システムを使用する場合を含む)、「オンライン診療指針」のⅤ.2.(5).2)を参照し、必要なセキュリティリスク対策等を講じること。

また、情報通信システムについては、コンピュータ化システムバリデーション(CSV)が実施され機能保証されたものを使用すること。

(エ) 治験依頼者は、使用する情報通信システム、汎用サービスを実施医療機関に提供する場合(外部のサービスプロバイダが開発した情報通信システムを使用する場合を含む)、情報通信システムの利用方法等に関して、治験責任医師等が適切に当該情報通信システムを用いた説明・同意取得を実施できるよう、実施医療機関に対し説明資料を交付する等、必要な情報を提供すること。

治験責任医師等は研修の受講等により、当該情報通信システムを用いた説明・同意取得の適切な実施のために必要となる知識の習得に努めること。

(オ) 実施医療機関が自ら準備した情報通信システムを使用する場合(外部のサービスプロバイダが開発した情報通信システムを使用する場合を含む)、実施医療機関の責任のもとで、(ウ)(エ)の場合と同様にセキュリティリスク対策等を講じ、必要な研修環境を整備すること。

別記

日本製薬団体連合会

日本製薬工業協会

米国研究製薬工業協会在日執行委員会

一般社団法人欧州製薬団体連合会

公益社団法人日本医師会

公益社団法人日本歯科医師会

一般社団法人日本病院薬剤師会

公益社団法人日本看護協会

一般社団法人日本CRO協会

日本SMO協会

一般社団法人日本医療機器産業連合会

一般社団法人再生医療イノベーションフォーラム

一般社団法人米国医療機器・IVD工業会

欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会

医薬品医療機器等法登録認証機関協議会

公益社団法人全国自治体病院協議会

一般社団法人日本病院会

公益社団法人全日本病院協会

一般社団法人日本医療法人協会

公益社団法人日本精神科病院協会

総務省自治行政局公務員部福利課

文部科学省高等教育局医学教育課

防衛省人事教育局衛生官付

日本郵政株式会社事業部門病院管理部

健康保険組合連合会

国家公務員共済組合連合会

一般財団法人船員保険会

公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会

全国厚生農業協同組合連合会

日本赤十字社

独立行政法人労働者健康安全機構

独立行政法人国立病院機構

独立行政法人地域医療機能推進機構

独立行政法人医薬品医療機器総合機構

各地方厚生局