添付一覧
○ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)製剤の使用に当たっての留意事項について
(令和5年3月27日)
(/薬生薬審発0327第4号/薬生安発0327第6号/)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)
(公印省略)
ペグバリアーゼ(遺伝子組換え)製剤(販売名:パリンジック皮下注2.5mg、同皮下注10mg、同皮下注20mg)(以下「本剤」という。)については、本日「フェニルケトン尿症」を効能又は効果として、製造販売承認したところです。本剤投与により、アナフィラキシー等の重篤な過敏症反応が発現するおそれがあることから、その使用に当たっては、特に下記の点につきご留意いただくよう貴管下の医療機関及び薬局に対するご周知方よろしくお願いします。
なお、本通知の写しについて、別記の独立行政法人医薬品医療機器総合機構、公益社団法人 日本医師会及び各地方厚生局宛てに連絡するので、念のため申し添えます。
記
1.本剤の適正使用について
(1) 本剤については、本承認に際し、製造販売業者による全症例を対象とした使用成績調査をその条件として付しております。
【承認条件】
1.医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
2.国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、再審査期間中の全投与症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
(2) 本剤の使用上の注意における「警告」、「用法及び用量に関連する注意」及び「重要な基本的注意」の記載はそれぞれ以下のとおりです。アナフィラキシーの発現(治験でのアナフィラキシーの頻度は5.4%、過敏症の頻度は維持用量に達するまでの期間:65%、維持用量に達した後の期間:61%)には特段の留意をいただき、本剤投与開始前にアナフィラキシーの徴候・症状、それらの症状が発現した場合の対処方法等に加え、「本剤による治療中の自己注射可能なアドレナリン注射剤の携行及び使用方法の習得」について、患者への適切な指導をお願いいたします。また、過敏症反応の症状を軽減させるため、過敏症反応の発現頻度が高いと考えられる時期については、抗ヒスタミン剤等の前投与を行い、その後も患者の状態に応じて行うようお願いいたします。また、自己注射可能なアドレナリン注射剤について最新の添付文書及び本剤のその他の使用上の注意について参照いただき、本剤を適正に使用していただくようお願いします。
【1.警告】
1.1 アナフィラキシーが発現することがあるので、緊急時に十分な対応をとれる体制を整えた上で、本剤の投与を開始すること。[7.3、7.4、8.1、11.1.1参照]
1.2 本剤投与開始前にアナフィラキシーの徴候・症状、それらの症状が発現した場合の対処方法等を患者に指導し、患者が理解したことを確認した上で本剤の投与を開始すること。また、本剤による治療中は自己注射可能なアドレナリン注射剤を常時携帯するよう、患者に指導すること。[8.1、11.1.1参照]
【7.用法及び用量に関連する注意】
(略)
7.3 本剤の投与によりアナフィラキシーを含む過敏症反応が発現することがある。症状を軽減させるため、抗ヒスタミン剤及び必要に応じて解熱鎮痛剤を本剤投与開始2~3時間前を目安に前投与すること。前投与は、少なくとも維持用量に達するまでの間は行い、維持用量での投与においても患者の状態に応じて行うこと。[1.1、8.1参照]
7.4 投与開始に際しては緊急時に十分な対応をとれる医師の監督のもとで本剤を投与すること。投与後少なくとも1時間は患者を十分に観察すること。[1.1、8.1参照]
【8.重要な基本的注意】
8.1 アナフィラキシーを含む過敏症反応が発現することがあるため、以下の点に注意すること。[1.1、1.2、2、7.1、7.3、7.4、11.1.1、15.1参照]
・ 緊急時に十分な対応をとれる体制を整えた上で、本剤の投与を開始すること。
・ 本剤投与開始前にアナフィラキシーの徴候・症状、それらの症状が発現した場合の対処方法等を患者に指導し、患者が理解したことを確認した上で本剤の投与を開始すること。
・ 本剤による治療中は自己注射可能なアドレナリン注射剤を常時携帯するよう、患者に指導すること。
・ 投与後少なくとも1時間はアナフィラキシー等の発現に特に注意すること。
・ 過敏症反応の発現は維持用量に達するまでの間で特に多い傾向がみられるが、その後もアナフィラキシーを含む過敏症反応が発現することがあるので、注意すること。
・ 過敏症反応が発現した場合は、本剤の減量又は中止を含め、重症度に応じた適切な処置を行うこと。アナフィラキシーが発現した場合は、適切な薬物治療や緊急処置を行うこと。
・ 重度の過敏症反応(重度のアナフィラキシー等)が発現した場合は、本剤を再投与しないこと。過敏症反応(重度の事象を除く)により本剤の投与を中止した場合の本剤の再投与については、有益性と危険性を考慮し決定すること。
・ 過敏症反応の回復後、本剤を再投与する場合は、緊急時に十分な対応をとれる医師の監督のもとで抗ヒスタミン剤及び必要に応じて解熱鎮痛剤の前投与を行った上で本剤を投与すること。また、投与後少なくとも1時間は患者を十分に観察すること。
8.5 本剤の自己注射にあたっては、以下の点に留意すること。
・ 投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
・ すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
・ 本剤の注射方法に関する説明書を必ず読むよう指導すること。
・ アナフィラキシーの徴候・症状、それらの症状が発現した場合の対処方法等を理解した家族等が、投与後少なくとも1時間は患者の傍らで観察するよう指導すること。少なくとも維持用量に達するまでの間は当該観察を行い、維持用量での投与においても当該観察を行うことが望ましい。再投与後の一定期間等の特に慎重な観察が必要と考えられる期間においては、当該観察を行うこと。
2.医療機関における適正使用に関する周知事項について
本剤については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第79条に基づき、承認取得者である製造販売業者に対し、「製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施する」よう義務付けたので、その調査の実施にご協力お願いいたします。
別記
各地方厚生局
独立行政法人医薬品医療機器総合機構
公益社団法人 日本医師会担当理事及び各地方厚生局