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○国家戦略特区制度を活用した二国間協定に基づく外国医師の受入れについて

(令和5年3月24日)

(医政発0324第7号)

(外務省アジア大洋州局長・外務省北米局長・外務省欧州局長あて厚生労働省医政局長通知)

(公印省略)

標記について、英国、米国、フランス、シンガポール及びドイツの駐日大使館に対し、別紙の内容をご連絡いただきますよう、お願いいたします。

別紙

国家戦略特区制度を活用した二国間協定に基づく外国医師の受入れについて

現在、英国、米国、フランス、シンガポール及びドイツの各国と我が国との間においては、相互の国民に対する医療提供の環境整備を図る観点から、二国間協定に基づき、我が国で医業又は歯科医業(以下「医業等」という。)を行うことを希望する外国の医師又は歯科医師(以下「対象外国医師等」という。)に対して特例的に英語による医師国家試験又は歯科医師国家試験を行い、合格した者に医師免許又は歯科医師免許を与え、一定の条件の下、我が国で医業等を行うことを認めています。その診療対象については、原則、対象外国医師等と同一国籍の国民に限定されるところ、相手国と我が国との合意に基づき診療対象が決定されております。

先般、国家戦略特別区域(以下「国家戦略特区」という。)において、二国間協定では診療対象が制限されている国があることを前提として、国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号。以下「特区法」という。)第2条第2項に規定する特定事業として「二国間協定に基づく外国医師の業務解禁関連事業」(以下「特区特定事業」という。)が創設されました。

これにより、国家戦略特区において、特区特定事業を活用することにより、我が国で医業を行うことを希望する外国医師(以下「対象外国医師」という。)が、特例的に実施する英語による医師国家試験(以下「英語試験」という。)に合格した場合に、外国人一般を対象に医業を行うことを認めております。

今般、以上のことから変更を生じた特区特定事業の内容とともに、これまで明文化されていなかった手続を明確化するため、国家戦略特区における特区特定事業の取扱いについて下記のとおり整理しましたので、御了知ください。

1 特区特定事業に係る特例措置

特区特定事業に係る特例措置(以下「特区特例措置」という。)は、次の①~③とします。

① 二国間協定に基づき対象外国医師が外国人一般に対して診療を行うことを認めること

(※診療対象に制限があるものに限る)

※診療対象に制限があるもの(令和5年3月時点)

・英国:神戸・大阪地区においては、英国人その他の外国人居住者及び同地区の港に寄港する外国船舶の船員のみ対象(その他地区は、外国人一般)

・シンガポール:シンガポール国民、その他の外国人居住者及び同地区の港に寄港する外国船舶の船員のみ対象

② 二国間協定に基づく「外国医師人数枠」の拡大を認めること

③ 二国間協定に基づく「外国医師が診療可能な医療機関」の追加指定を認めること

2 区域計画の認定に係る手続

特区特例措置の適用にあたっては、下記①~③のとおり、その適用を受ける区域の国家戦略特別区域会議(以下「申請主体」という。)による区域計画の認定の申請及び内閣総理大臣による認定が行われます。

① 申請主体から特区特例措置の適用に関する要望があれば、特区特例措置の適用を受けて実施しようとする特区特定事業の内容(以下「事業内容」という。)について、内閣府から厚生労働省に対して事前協議が行われます。

なお、事前協議に先立ち、内閣総理大臣による認定の3ヶ月前までを目途に、内閣府から相手国政府(駐日大使館)に連絡し、必要に応じ、事業内容について説明が行われます。

事前協議を受け、厚生労働省から外務省を通じ、相手国政府に特区特例措置に関する事項について異議がないか確認します。相手国政府に異議ある場合は、申請主体からの要望を踏まえた上で、必要に応じ、申請主体及び内閣府(以下「内閣府等」という。)並びに厚生労働省から外務省を通じて相手国政府に協議を行う場合があります。

厚生労働省として事前協議に同意し、かつ相手国政府に異議がない場合は、下記3の事務手続の調整のため、必要に応じ、厚生労働省から外務省を通じて相手国政府に連絡します。

② 事前協議の後、特区法第8条第1項の規定により、申請主体から内閣総理大臣に対し、実施しようとする特区特定事業に関する事項等について定められた区域計画の認定の申請が行われます。これを受け、区域計画が同条第7項各号に掲げる基準に適合するものとして、内閣総理大臣がその認定をしようとするときは、同条第9項の規定により、区域計画に定められた特区特定事業に関する事項について、厚生労働大臣に対し協議が行われます。

③ 厚生労働大臣が②の協議に同意したときは、内閣総理大臣は、その認定を行うものとされています。

※ なお、上記③の認定を受けた区域計画(以下「認定区域計画」という。)の変更をしようとする場合についても、特区法第9条の規定により、上記①~③に記載した区域計画の認定に係る手続と同様の手続を行い、内閣総理大臣の認定を受けることとされています。

3 二国間協定の締結

(1) 特区特例措置に係る二国間協定の締結

2の手続により区域計画の認定又は認定区域計画の変更の認定が行われた場合は、特区特定事業に関する事項(拡大する外国医師人数枠及び当該外国医師が診療可能な医療機関)について、通常の二国間協定の手続と同様に口上書を取り交わします。(ただし、区域計画の認定又は認定区域計画の変更の認定の段階で対象外国医師は確定していることから、原則として、(2)の手続に係る口上書と1つにまとめて取り交わすこととします。)

(2) 受験資格認定の特例措置等に係る二国間協定の締結

(1)の後、対象外国医師が確定した時点で、対象外国医師が医師法(昭和23年法律第201号)第11条第1項第3号の規定に基づく受験資格認定の特例措置及び免許交付の特例措置を受けるための条件について、外交当局間で確認を行い口上書を取り交わします。当該条件は、通常の二国間協定に基づくものと同様であり、原則として次の①から⑧までとなります。

なお、本手続に先立ち、必要に応じ、対象外国医師の受入れに関する事項について内閣府等と相手国政府との間で協議が行われる場合があります。

① 特例により実施する英語試験に合格すること

② 診療の対象は外国人に限ること

③ 医業を行う場所は日本国政府が承認する医療機関(※)内に限ること

④ 日本の医療保険制度を利用しないこと

⑤ 帰国する際には、日本の医師免許証の返還を確実に行うこと

⑥ 医師法等の日本の法令を遵守すること

⑦ 活動状況について、相手国から外務省を通じ、厚生労働省に少なくとも年1回は報告を行うこと

⑧ 上記に加え、相手国と我が国とで協議の上、個別医師ごとに定める条件その他の必要な事項

※「日本国政府が承認する医療機関」は、口上書において具体的に特定されます。

(3) (1)及び(2)は、通常の二国間協定の手続と同様に、下記①から④までにより口上書を取り交わすことにより行います。

① 大使館から外務省に対して口上書による要請

② 外務省から厚生労働省に対して通知

③ 厚生労働省から外務省に対して回答

④ 外務省から大使館に対して口上書による回答

(4) 対象外国医師が当該年度の試験を受験するためには、遅くとも前年度の3月末までに二国間協定の締結に係る事前調整について相手国政府から外務省を経由して厚生労働省に依頼する必要があります。依頼があった場合、厚生労働省は、当該年度の4月末を目途に、相手国政府及び外務省と相手国政府との口上書の内容や事務手続のスケジュール等を調整します。その後、2及び(1)の手続を経た上で、6月末までに(2)の手続に係る口上書を取り交わします。

4 受験資格認定

英語試験を受験するためには、医師法第11条第1項第3号の規定に基づく厚生労働大臣による受験資格認定を受ける必要があることから、対象外国医師は、3の手続の後、厚生労働省医政局医事課試験免許室(以下「免許室」という。)に受験資格認定の申請を行う必要があります。

厚生労働大臣は、別に定める認定基準及び二国間で確認された条件に基づく審査を行い、適当と認められるときは、当該医師の受験資格を認定します。

なお、当該年度の受験資格認定の審査は、原則として6月~7月に実施します。(実際のスケジュールは、免許室にお問い合わせください。)

5 英語試験の実施

英語試験は、原則として東京都で年1回実施します。ただし、対象者がいない場合は実施しません。

なお、英語試験は、原則として下記スケジュールにより実施します。(実際のスケジュールは、免許室にお問い合わせください。)

出願 9月中旬から10月上旬まで

受験票の交付 10月下旬

筆記試験及び実地試験 11月中旬

合格発表 12月下旬

6 医師免許証の交付

対象外国医師が試験に合格したときは、当該医師は、医師法施行規則(昭和23年厚令第47号)第1条の3の規定により、医師免許の申請手続を行う必要があります。

医師免許証の交付にあたり、二国間協定で定められた条件に基づき必要な事項が裏書きとして記載され、対象外国医師は、我が国で医業を行うことを認められます。

なお、申請から医師免許証の交付までは、通常2~3ヶ月程度を要します。

7 活動状況の報告

対象外国医師の活動状況について、相手国政府は外務省を通じて厚生労働省に少なくとも年1回、二国間協定に基づく報告をする必要があります。

なお、対象外国医師が勤務する医療機関からの報告に基づき、毎年12月末現在の状況を翌年1月末までに報告することとします。

8 医師免許証の返還

対象外国医師が帰国する場合、相手国は、大使館から外務省を通じ、厚生労働省に遅滞なく連絡するとともに、二国間協定に基づき、当該医師の医師免許証が確実に返還されるよう必要な措置を講じることとします。

問い合わせ先

記中1、2及び国家戦略特区特区制度全般について

(担当) 内閣府地方創生推進事務局

(TEL) 03(5510)2159(直通)

記中3について

(担当) 厚生労働省医政局医事課企画法令係

(TEL) 03―3595―2196(直通)

記中4、5について

(担当) 厚生労働省医政局医事課試験免許室国家試験係

(TEL) 03―3595―2204(直通)

記中6~8について

(担当) 厚生労働省医政局医事課試験免許室免許登録係

(TEL) 03―3595―2204(直通)