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○「生活困窮者自立支援制度と自殺対策施策との連携について」の一部改正について(通知)

(令和5年3月20日)

(/参自発0320第1号/社援地発0320第1号/)

(各都道府県・市町村自殺対策主管部(局)長、生活困窮者自立支援制度主管部(局)長、生活福祉資金貸付制度主管部(局)長あて厚生労働省大臣官房参事官(自殺対策担当)、厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)

(公印省略)

平素より、厚生労働行政の推進につき、御理解と御協力を賜り感謝申し上げる。

令和4年10月14日に、近年の我が国の自殺の実態等を踏まえ、政府が推進すべき自殺対策の指針である自殺総合対策大綱の見直しが行われ、今後5年間で取り組むべき施策を盛り込んだ「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」(以下「新大綱」という。)が新たに閣議決定された。

生活困窮は自殺の背景ともなりうるものであることから、生活困窮者支援と自殺対策とが連携することは重要である。そのため、これまでもその連携に係る取組を推進してきた。新大綱においても、自殺対策について生活困窮者自立支援制度も含めて一体的に取り組み、効果的かつ効率的に施策を展開していくことが重要であることが記載されている。

また、新大綱においては、多重債務者に対するセーフティネット貸付の充実を図ることも記載されているところであるが、先述のセーフティネット貸付の一つである生活福祉資金貸付制度(緊急小口資金及び総合支援資金)については、新型コロナウイルス感染症の影響による収入の減少等により、当面の生活費が必要な方に対し、特例措置として、従来の低所得世帯要件等を緩和して必要な貸付を実施し、多くの方に利用された。本年1月からは順次償還が開始し、償還免除の相談等も実施されているなかで、引き続き多くの生活困窮者と接点を有する生活福祉資金貸付制度と自殺対策とが連携することも重要である。

この新大綱の内容等も踏まえ、生活困窮者自立支援制度と自殺対策施策との更なる連携に加え、セーフティネット貸付の1つとして生活困窮者に対して資金の貸付と必要な相談支援を行う生活福祉資金貸付制度との連携を推進すべく、今般、「生活困窮者自立支援制度と自殺対策施策との連携について」(平成28年7月14日付け参自発0714第1号、社援地発0714第3号。厚生労働省大臣官房参事官(自殺対策担当)、厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)の一部を別紙のとおり改正した。各自治体の関係主管部局におかれては、内容を御了知の上、積極的に連携を進めていただくとともに、各都道府県におかれては都道府県社会福祉協議会及び関係機関等に、各市町村におかれては市町村社会福祉協議会及び関係機関等に、広く周知いただくよう、よろしくお願いしたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定による技術的な助言であることを申し添える。

別紙

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参考(改正後全文)

○生活困窮者自立支援制度等と自殺対策施策との連携について

(平成28年7月14日)

(/参自発0714第1号/社援地発0714第3号/)

(各都道府県・市町村自殺対策主管部(局)長、生活困窮者自立支援制度主管部(局)長、生活福祉資金貸付制度主管部(局)長あて厚生労働省大臣官房参事官(自殺対策担当)、厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)

改正 平成30年10月 1日/参自発1001第1号/社援地発1001第4号/

令和 5年 3月20日/参自発0320第1号/社援地発0320第1号/

(公印省略)

生活保護に至る前の段階にある生活困窮者に対する自立支援策を強化するため、平成27年4月より生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号。以下「法」という。)が施行された。

生活困窮者自立支援制度は、生活困窮者に対し、その就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況など様々な状況又はそれらの複合的な状況に応じて、自立相談支援事業を中核に、住居確保給付金の支給、就労準備支援事業や家計改善支援事業の実施などにより包括的かつ早期的な支援を提供するものである(別添1参照)。そして生活困窮者に対する包括的な支援を行うためには、これらの法に基づく事業のみならず、関係制度との連携が重要であり、支援の実践においても、関係制度との連携が図られている自治体ほど効果的な支援が行われているとの調査結果が出ている。これらを踏まえ、関係部局の連携を強化する観点から、法第8条の規定において、福祉事務所設置自治体の福祉、就労、教育、税務、住宅その他の関係部局において、生活困窮者を把握したときは、生活困窮者本人に対して生活困窮者自立支援制度の利用の勧奨等を行うことが努力義務とされており、自殺対策主管部局も福祉関係部局に該当するものとして想定している。

一方、自殺対策については、「自殺対策基本法の一部を改正する法律の公布について(通知)」(平成28年3月31日付け府政共生第438号)により各都道府県知事及び政令指定都市市長あて通知したとおり、平成28年4月に自殺対策基本法(平成18年法律第85号)が改正され、保健、医療、福祉、教育、労働その他の関連施策との有機的な連携が図られ、総合的に実施されなければならない旨が基本理念として明示されたほか、都道府県及び市町村に対し、自殺対策についての計画を策定することが義務づけられた(別添2参照)。

また、自殺対策基本法に基づき令和4年10月14日に閣議決定された「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」において、「自殺の背景ともなる生活困窮に対してしっかりと対応していくためには、自殺対策の相談窓口で把握した生活困窮者を自立相談支援の窓口につなぐことや、自立相談支援の窓口で把握した自殺の危険性の高い人に対して、自殺対策の相談窓口と協働して、適切な支援を行うなどの取組を引き続き進めることなど、生活困窮者自立支援制度も含めて一体的に取り組み、効果的かつ効率的に施策を展開していくことが重要である」とされている。

自殺は、倒産、失業、多重債務等の経済・生活問題、病気の悩み等の健康問題、人間関係の問題のほか、地域・職場のあり方の変化など様々な要因とその人の性格傾向、家族の状況、死生観などが複雑に関係しており、自殺を防ぐためには、精神保健の視点だけでなく本人の経済・生活面や人間関係等に係る視点を含めた包括的な生きる支援を展開することが重要である。このような包括的な取組を実施するためには、様々な分野の支援者や組織が密接に連携する必要がある。

令和4年の自殺者21,881人のうち、経済・生活が原因・動機としてあげられた者は4,697人に及ぶ。自殺の危険性が高い者は、既に生活困窮状態にあることもあれば、将来的に生活困窮に至る可能性のある者もいると考えられる。逆に、生活困窮状態にある又は生活困窮に至る可能性のある者が、生活困窮状態を理由に、又は生活困窮状態と他の要因が絡み合い、自殺に追い込まれることもあると考えられる。

したがって、法に基づく支援と自殺対策が、対象者本人の状態や意向と各々の専門性に応じて、しっかりと連携することが重要である。加えて、令和4年10月に閣議決定された先述の「自殺総合対策大綱」において、「「多重債務問題改善プログラム」に基づき、多重債務者に対するカウンセリング体制の充実、セーフティネット貸付の充実を図る。」とされており、そのセーフティネット貸付の一つとして、生活困窮者に対して資金の貸付と必要な相談支援を行う生活福祉資金貸付制度(別添3参照)が位置づけられている。そのため、生活福祉資金貸付制度についても、法に基づく支援と同様に自殺対策としっかりと連携することが重要である。

今般、各施策間の連携について下記のとおり通知するので、各自治体の関係主管部局におかれては、その趣旨や内容を御理解いただき、積極的に連携を進めていただくとともに、各都道府県におかれては都道府県社会福祉協議会及び関係機関等に、各市町村におかれては市町村社会福祉協議会及び関係機関等に周知いただくよう、よろしくお願いしたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定による技術的な助言であることを申し添える。

1 生活困窮者自立支援制度主管部局及び自立相談支援機関並びに生活福祉資金貸付制度主管部局及び社会福祉協議会における基本認識

(1) 自殺の危険性が高い者に対する支援についての基本的な考え方

自殺は、人が自ら命を絶つ瞬間的な行為としてだけでなく、人が命を絶たざるを得ない状況に追い込まれるプロセスとして捉える必要がある。自殺に至る心理としては、様々な悩みが原因で心理的に追い詰められ、自殺以外の選択肢が考えられない状態に陥ったり、社会とのつながりの減少や生きていても役に立たないという役割喪失感から、また、与えられた役割の大きさに対する過剰な負担感から、危機的な状態にまで追い込まれてしまう過程と見ることができるからである。

自殺行動に至った人の直前のこころの健康状態を見ると、大多数は、様々な悩みにより心理的に追い詰められた結果、うつ病、依存症等の精神疾患を発症しており、これらの精神疾患の影響により正常な判断を行うことができない状態となっていることが明らかになっている。このように、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」ということができる。

このような追い込まれた状態にあり自殺の危険性が高いと考えられる者が、自立相談支援機関(自立相談支援事業を実施する者。生活困窮者自立支援制度主管部局が直営で実施する場合と民間事業者に委託して実施する場合がある。なお、自立相談支援事業は、全ての福祉事務所設置自治体が実施主体となり実施されている。(福祉事務所を設置していない町村に関しては都道府県が実施主体となる。))又は社会福祉協議会等(生活福祉資金の貸付に係る業務を実施する都道府県社会福祉協議会及び貸付業務の一部の委託を受けた市町村社会福祉協議会をいう。)(以下「自立相談支援機関等」という。)に相談した場合、自立相談支援機関等は、保健所や精神保健福祉センター、自殺対策主管部局、精神保健担当部局等が運営するこころの健康相談窓口や、必要に応じて精神科医療機関等に早期につなぐ必要がある。このため、自立相談支援機関等は、悩んでいる人の自殺の危険性を示すサインに気づき、話を聞き、必要な支援につなげていくゲートキーパーの役割が期待されていることから、下記の関係資料を活用し、自殺の危険を示すサインやその対応方法等の基礎知識を習得しておくことが重要である。

○厚生労働省ホームページ「ゲートキーパーになろう!」

※ゲートキーパー手帳、研修テキスト、動画等を紹介

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/gatekeeper.html

(「ゲートキーパー養成研修用動画」URL(YouTube))

https://www.youtube.com/playlist?list=PLMG33RKISnWjI0JFBIe6i4eyYatP33rq0

(2) 自殺の危険性の高い者への具体的な対応方法

うつ病を診断する目安としては、「眠れない」、「食欲がない」、「一日中気分が落ち込んでいる」、「何をしても楽しくない」といったことが2週間以上ずっと続く、というものがある。一つ一つの症状は誰もが感じるような気分であるが、一日中ほぼ絶え間なく感じられ、長期間続くようであれば、うつ病のサインである可能性があるため、相談等を通じてこれらのサインに気付いた際は、精神科医療機関等への受診を促す等して、専門医の相談につなげていくことが大切である。本人を精神科医療機関につなぐ際に、本人がその必要性を理解しないために受診拒否をする場合がある。このような場合、「病気かもしれないから」と受診を勧めても本人には必要性は分からないが、「心の問題が体に関係することもあるので、専門家の診察を受けてみましょう」と本人が苦しんでいることに焦点をあてて受診を促すことで、受診への抵抗感を減じさせる可能性もある。

精神科医療機関を含め、他の相談機関等を紹介する場合には、当該機関に確実につながることができるように、相談者の同意を得た上で可能な限り連携先に直接連絡を取り、相談の場所、日時等を具体的に設定して相談者に伝えることが望ましい。また、連携先への地図やパンフレットを渡したり、アクセス(交通手段、経費等)等の情報を提供するなどの支援を行うことも効果的と考えられる。

2 生活困窮者自立支援制度主管部局及び自立相談支援機関等と自殺対策主管部局等との連携

(1) 連携に当たっての基本的考え方

現在、各地方公共団体の自殺対策主管部局、保健所及び精神保健福祉センター等(以下「自殺対策主管部局等」という。)を中心として、電話相談、来所相談、心の健康等の健康要因と生活面の相談を併せて行う総合支援相談会の実施、相談員等自殺対策に係る人材の養成、普及啓発等の自殺対策事業が展開されている。

生活困窮者や自殺の危険性が高い者を早期に発見し、早期に支援につなげるに当たっては、生活困窮者自立支援制度主管部局及び自殺対策主管部局がそれぞれ有する関係機関とのネットワークを活用することが効果的である。このため、両機関が日頃から関係を持ち、それぞれのネットワークに相互に参画することなどに努めるようお願いしたい。

なお、生活困窮者自立支援制度においては、自立相談支援機関と関係機関との連携体制を構築する取組として、関係機関により構成される会議(支援会議)を組織することができる。これは、生活困窮者に対する自立の支援を図るために必要な情報の交換を行い、支援につながっていない生活困窮者の早期発見や迅速な支援の開始等につなげることが期待されているものである。また、自殺対策に関しては、地方公共団体ごとに実施体制は様々であるが、多くの都道府県・政令指定都市において庁内連絡会議等の庁内横断的な推進体制や庁外の関係者との連携を図るための連絡協議会が設置されていることから、連携に当たってはこのような既存の会議体を活用することが考えられる。このとき、福祉事務所設置自治体ごとに設置されている生活困窮者自立支援制度所管部局や自立相談支援機関が、都道府県の自殺対策所管部局や都道府県の設置する自殺予防に関する相談窓口との連携体制を構築する場合は、都道府県の生活困窮者自立支援制度主管部局が適宜間に入って調整を行う等工夫して実施するようお願いしたい。

(2) 具体的な連携のあり方

(1)のとおり、様々な自殺対策事業が展開されている中、生活困窮者自立支援制度等との連携に当たっては以下の機関間における連携が考えられる。

① 自立相談支援機関等と、自殺予防に関する相談窓口との連携(自殺予防に関する相談窓口が持つ専門的なノウハウを生かした、一人ひとりの相談者、支援ケースレベルでの連携)

② 生活困窮者自立支援制度所管部局・自立相談支援機関等と地域自殺対策推進センターとの連携(当該センターが専門的な知見を持つ広域の機関であることを生かした、関係機関ネットワークづくりや技術的助言・研修の実施等)

③ 地域自殺対策推進センターが設置されていない自治体においては、生活困窮者自立支援制度所管部局・自立相談支援機関等と自殺対策主管部局との連携(関係機関ネットワークづくりや研修の実施等)

①から③までの機関間における具体的な連携のあり方については、以下のとおりである。

① 自立相談支援機関等と自殺予防に関する相談窓口との連携

自殺予防に関する相談窓口は、各地方公共団体の実情に応じ、例えば、「こころの健康相談窓口」といった名称で、保健所や精神保健福祉センター、自殺対策主管部局、精神保健担当部局等において設置・運営されている。自殺予防に関する相談窓口及び自立相談支援機関等が把握した生活困窮者・自殺の危険性の高い者を適切に両者の支援につないでいくことが重要であることから、具体的には以下の取組により連携を図るようお願いしたい。なお、以下の取組に当たっては、小規模な地方公共団体では自殺予防に関する相談窓口が設置されていない場合は、当該自治体の自立相談支援機関等と当該地方公共団体が属する都道府県の設置する窓口とが連携を図るようお願いしたい。特に、精神状態に関する問題から自殺の危険性が高いと考えられる場合には、当該地方公共団体の精神保健担当部局又は精神保健を担当する保健師と連携を図るようお願いしたい。

・ 自殺予防に関する相談窓口への相談者のうち、複合的な課題を抱えた生活困窮者(世帯全体でみてそのような状況にある事案を含む)について、本人の意向を踏まえつつ、当該窓口から自立相談支援機関につなぐこと(自立相談支援機関につないだ後の対応については以下の(ウ)を参照)。生活困窮者を把握したときは、3で後述する内容を参照の上、法第8条の規定に基づき、自立相談支援事業等の利用の勧奨を行うよう留意すること。

・ 自立相談支援機関で把握した生活困窮者のうち自殺の危険性の高い者については、自殺予防に関する相談窓口と連携し、早期に適切な支援を行うこと。(例えば、うつ病等の精神疾患を抱えている可能性がある場合には、迅速に精神科医療機関にかかるように支援を行う等。)また、その際、以下の(ア)から(ウ)までの取組を行われたい。

(ア) 早期の段階から自殺予防に関する相談窓口と連携し、アセスメントを共に実施することで、スクリーニングの判断を適切に行うこと。

(イ) スクリーニングにおいてプラン作成による継続的支援をしないと判断する場合は、本人の意向を踏まえつつ、自立相談支援機関から自殺予防に関する相談窓口につなぐこと。

(ウ) スクリーニングにおいてプラン作成により継続的に支援していくと判断する場合は、必要に応じて自殺予防に関する相談窓口と連携して支援していくことをプラン内容に盛り込み、支援調整会議に自殺予防に関する相談窓口の担当者が参加する等、必要な連携を図ること。

・ 社会福祉協議会における生活福祉資金の貸付業務のなかで自殺の危険性の高い者を把握した場合には、自殺予防に関する相談窓口と連携し、早期に適切な支援を行うこと。(例えば、うつ病等の精神疾患を抱えている可能性がある場合には、迅速に精神科医療機関にかかるように支援を行う等。)

なお、自立相談支援機関等及び自殺予防に関する相談窓口の両者がともに支援する場合は、本人の意向も踏まえ、両者において支援方針の摺り合わせを十分に行った上で、例えば、経済的困窮に対応するための支援は自立相談支援機関等が担い、日常における見守りや傾聴等の支援は自殺予防に関する相談窓口が担うなど、適切な役割分担を図りつつ、その自立に向け、十分に連携して必要な支援を行うこと、また、自立相談支援機関においてプランの評価を行う際には自殺予防に関する相談窓口の相談員も出席し、適切に終結・再プラン・中断の判断を行うことをお願いしたい。

② 生活困窮者自立支援制度主管部局・自立相談支援機関等と地域自殺対策推進センターとの連携

地域自殺対策推進センター(以下「センター」という。)は、都道府県及び政令指定都市において、保健・福祉・医療・労働・教育・警察等関係機関と連携を図りながら、市町村等に対し適切な助言や情報提供等を行うとともに、地域における自殺対策関係者等に対し研修等を行うことを目的に設置されるものであり、現在、47都道府県及び20政令指定都市において運営されている。

センターにおいては、

・ 管内の関係機関(自殺対策主管部局等のほか、自殺対策を行う民間事業者や警察、消防等も含む)の連絡調整、ネットワークの強化

・ 市町村及び民間団体が行う自殺対策事業に対する相談支援、技術的助言・関係機関において、自殺を考えている者の支援に携わる者等に対する適切な支援方法等に関する研修

・ 地域における自殺の実態把握(原因・動機別内訳の傾向分析を含む)

等を行うこととしている。

こうしたセンターの機能を踏まえ、生活困窮者自立支援制度主管部局・センターの間では、両者が持つ関係機関ネットワークへの相互の参画や、両者が実施する研修を相互に参加・活用する等により、お互いの支援内容について理解を深め、①の連携の基盤づくりを行うようお願いしたい。

また、自立相談支援機関等においては、自殺の危険性の高い者からの相談事例のうち、自立相談支援機関等のみでの対応が困難なものについての支援方法等について、技術的助言を求めることが考えられる。

③ 生活困窮者自立支援制度主管部局・自立相談支援機関等と自殺対策主管部局との連携

地方公共団体の自殺対策主管部局においては、②のセンターは設置していない場合であっても、研修等の人材養成や自殺予防のための連携体制構築などを行う自殺対策事業を、当該地方公共団体の実情に応じて実施している場合がある。

このような場合、当該地方公共団体においては、②において生活困窮者自立支援制度所管部局・自立相談支援機関等とセンターとの間で想定する連携について、当該地方公共団体の自殺対策主管部局との間で連携を図ること。なお、管轄するセンターがない地方公共団体のうち、小規模な地方公共団体では自殺対策事業を実施していないこともあるが、この場合は当該自治体の自立相談支援機関等と当該自治体が属する都道府県の自殺対策所管部局とが連携を図るようお願いしたい。

(3) 留意事項

(2)に掲げたとおり相談者をつなぐ場合や、ともに支援する場合は、相談の時点で聞き取った相談者の状況や希望、必要と考えられる支援の内容等の個人情報の第三者提供に当たって本人に同意を得ることが基本となる。いずれにしても、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)等に則った対応が必要であることに留意するようお願いしたい。

3 自立相談支援事業等の利用勧奨

生活困窮者自立支援制度においては、平成27年4月の施行後、着実に支援の効果が現れてきている一方で、適切な支援を受けることができていない生活困窮者が依然として数多く存在するとの指摘がある。生活困窮者の中には、日々の生活に追われ、また、自尊感情の低下等により、自ら自立相談支援機関の相談窓口に相談をすることが困難な者も少なくない。

このため、支援を必要とする生活困窮者が相談に訪れるのを待つのではなく、その者に対し相談支援が届くようにするアウトリーチの観点が重要である。また、自ら支援を求めることが困難な者に対して支援を行うためには、自立相談支援機関の主導による把握のみならず、様々な関係機関が生活困窮の端緒となる事象を把握した場合に、自立相談支援機関の相談窓口に確実につなげていくことが必要である。実際に、施行後の状況の中でも、自立相談支援事業につながった庁内関係機関が多い自治体ほど、自立相談支援事業における新規相談件数が多いとの調査結果もある。

これらを踏まえ、法第8条の規定により、福祉事務所設置自治体の福祉、就労、教育、税務、住宅その他の関係部局において、生活困窮者を把握したときは、生活困窮者本人に対して自立相談支援事業等の利用の勧奨等を行うことが努力義務とされている。

自殺対策主管部局におかれては、この努力義務の規定を踏まえ、業務の遂行に当たって生活困窮者を把握したときは、生活困窮者本人に対して自立相談支援事業等の利用の勧奨を行うよう努めていただきたい。

(別添1) 生活困窮者自立支援制度の概要

(別添2) 自殺総合対策の概要

(別添3) 生活福祉資金貸付制度の概要

(別添4) 生活困窮者自立支援制度等と自殺対策施策との連携のイメージ

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(別添4)