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○デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン及びデジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表を踏まえた対応等について
(令和5年2月22日)
(/基安計発0222第1号/基安安発0222第1号/基安労発0222第1号/基安化発0222第3号/)
(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部計画課長・安全課長・労働衛生課長・化学物質対策課長通知)
令和3年11月、デジタル改革、規制緩和、行政改革に係る横断的課題を一体的に検討し実行することにより、国や地方の制度・システム等の構造改革を早急に進め、個人や事業者が新たな付加価値を創出しやすい社会とすることを目的としてデジタル臨時行政調査会(会長:内閣総理大臣。以下「調査会」という。)が設置された。
令和4年6月、調査会は、「デジタル原則に照らした規制の一括見直しプラン」(以下「一括見直しプラン」とする。)を策定し、7項目のアナログ規制(目視規制、定期検査・点検規制、実地監査規制、常駐・専任規制、書面掲示規制、対面講習規制、往訪閲覧・縦覧規制)等に関する法令約1万条項について、点検・見直しを行うこととし、同年12月にはこれら規制等に係る法令の見直しに向けた工程表が策定された。
一括見直しプランでは、令和4年7月から令和6年6月までの2年間を集中改革期間と位置付けており(当初、3年間とされていたものが後に2年間に短縮。)、工程表中の各法令条項においても、当該2年間の取組を前提とした類型化された工程が示されており、必要な見直しを進めていくこととされている(参考資料1及び2)。
安全衛生行政における各種法令条項についても、工程表の策定に向けた一括見直しプランに基づく点検・見直し等を行う中で、調査会事務局等との間で様々な議論がなされたところであるが、常駐・専任規制のうち、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第14条の規定に基づく作業主任者の職務の実施について、作業主任者が職務を行う場所の考え方が明確化されていない等の指摘があったところである。
これらを受け、工程表の当該条項に係る対応という観点からも、法第14条の規定に基づき作業主任者が職務を行う場所に係る基本的考え方及び留意事項を下記のとおり整理したので、了知されたい。
記
1 基本的考え方
法第14条の規定に基づき、事業者は、労働災害を防止するための管理を必要とする一定の危険又は有害な作業について、その作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の指揮その他の事項を行わせなければならないこととされている。
作業主任者は、自ら作業を行うとともに、当該作業に従事する労働者の指揮、監視等の職務を行うため、作業主任者が職務を行う場所については、作業主任者の選任が必要となる作業に係る装置、機械の設置場所又は特定化学物質等を実際に取り扱う場所(以下「現場」という。)であることが通例であるが、今後の技術革新等により信頼性の高い技術が開発され、作業そのものが遠隔化される場合は、当該作業に従事する労働者が現場にいる必要はなく、作業主任者も現場に配置する必要はなくなるものであること(参考資料3)。
2 留意事項
(1) 作業主任者の職務を現場以外の場所で実施できる場合について【全ての作業主任者】
作業主任者の職務の中で、作業計画の策定等、現場以外の場所で実施できるものについては、作業主任者がこのような職務についてまで現場で実施する必要はないものであること。
なお、これらは現時点で現場の取扱いを変更するものではなく、従来の取扱いを明確にするものであること。
(2) 作業主任者の職務を実施する必要がない直について【ボイラー取扱作業主任者、第一種圧力容器取扱作業主任者、乾燥設備作業主任者】
昭和48年3月19日付け基発第145号「労働安全衛生法関係の疑義解釈について」の記の3において「作業主任者のうちでも、ボイラー取扱作業主任者、第一種圧力容器取扱作業主任者および乾燥設備作業主任者については、必ずしも各直ごとに選任させる必要はない。」とされているが、これは、法令上定められている作業主任者の職務を実施する必要がある直(例えば運転開始時や作業内容の変更時を含む勤務時間帯など)について作業主任者の選任を求めるものであって、法令上定められている作業主任者の職務を必ずしも実施する必要がない直についてまで作業主任者を選任する必要はないことをいうものであること。
したがって、作業主任者の選任を必要としない直においては、作業主任者を現場に配置する必要はないものであること。
(3) 労働者が現場以外の場所で作業を行う場合について【現時点ではボイラー取扱作業主任者のみ】
信頼性の高い認定適合自動制御装置を備える等一定の要件を満たすボイラーについては、その取扱いの作業に従事する労働者は現場以外の場所で当該作業を行うことが可能であり、もって、ボイラー取扱作業主任者は必ずしも現場に配置する必要はないものとしている(平成28年9月30日付け基発0930第35号「「ボイラーの遠隔制御基準等について」の改正について」)が、他の作業主任者についても、今後の技術革新等により信頼性の高い技術が開発され、当該作業に従事する労働者が現場にいる必要がなくなる場合には、作業そのものが遠隔化された当該現場においては、当該作業に係る作業主任者を現場に配置する必要はないものとする等の所要の対応を行うこととしていること。
<参考資料>
1 デジタル原則を踏まえた工程表の確定とデジタル規制改革推進のための一括法案について(第6回デジタル臨時行政調査会(令和4年12月21日)資料1)
2 デジタル原則を踏まえたアナログ規制の見直しに係る工程表(第6回デジタル臨時行政調査会(令和4年12月21日)資料8)
https://www.digital.go.jp/councils/administrative-research/c43e8643-e807-41f3-b929-94fb7054377e/
3 加藤厚生労働大臣会見概要(令和4年10月14日)
[参考資料1]
参考資料3 加藤厚生労働大臣会見概要(令和4年10月14日)
加藤大臣会見概要
(令和4年10月14日(金)10:47~11:12 省内会見室)
冒頭三件申し上げます。
(略)
三点目でありますが、10月11日(火)に河野デジタル大臣と岡田規制改革担当大臣と私で、いわゆる2プラス1大臣会合を開催いたしました。その際、労働安全衛生法令に基づく作業主任者の常駐規制の見直し、ハローワークにおける失業認定のオンライン化について議論し、合意したところであります。
まず労働安全衛生法令に基づく作業主任者の常駐規制の見直しについては、作業主任者は、自ら作業しながら他の作業者の監視・指示を行っているものであるため、作業場所から離れた場所でこれを行うことは、現時点で想定はできませんが、信頼性の高い技術により作業そのものを遠隔で行えるような状況が実現するのであれば、作業主任者の現場配置も不要となることを検討していくことでは合意をいたしました。その詳細については引き続き検討を進めることとしております。
(略)
岸田内閣が進める規制改革、デジタル改革を、厚労省としても関係大臣と連携をとりながら、しっかりと進めてまいります。以上です。