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○医療機器の電磁妨害(電磁両立性)に関する日本産業規格の改正の取扱いについて

(令和5年2月27日)

(薬生機審発0227第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)

(公印省略)

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第四十一条第三項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準」(平成17年厚生労働省告示第122号。以下「基本要件基準」という。)第13条第5項及び第6項において、すべての能動型医療機器は、電磁両立性を確保することが定められており、また、同条第5項及び第6項への適合性確認における日本工業規格「医用電気機器―第1―2部:基礎安全及び基本性能に関する一般的要求事項―副通則:電磁妨害―要求事項及び試験(JIS T0601―1―2:2018)」(以下「旧規格」という。)の取扱いを「医療機器の電磁両立性に関する日本工業規格の改正に伴う薬事法上の取扱いについて」(平成30年3月1日付け薬生機審発0301第1号厚生労働省医薬衛生局医療機器審査管理課長通知)により示してきたところです。

今般、旧規格が「医用電気機器―第1―2部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項―副通則:電磁妨害―要求事項及び試験(JIS T0601―1―2:2023)」(以下「新規格」という。)に改正されたことに伴い、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)における取扱いを下記のとおり定めましたので、御了知の上、貴管内関係団体、関係事業者等への周知方お願いします。

なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、一般社団法人日本医療機器産業連合会会長、一般社団法人米国医療機器・IVD工業会会長、欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会委員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付することを申し添えます。

1.基本要件基準第13条第5項及び第6項への適合性確認の基本的な考え方について

(1) 2026年(令和8年)2月24日(以下「経過措置期間終了日」という。)以前に製造販売される医療機器については、旧規格又は新規格のいずれかへの適合をもって基本要件基準第13条第5項及び第6項への適合を確認したものとすること。

(2) 経過措置期間終了日の翌日以降に製造販売される医療機器については、以下の2.又は3.に定める新規格への適合の確認をもって基本要件基準第13条第5項及び第6項への適合を確認したものとすること。

(3) 新規格の他、体内植込み型医用電気機器等のように国際的に用いられている電磁妨害(電磁両立性)に係る適切な規格等がある場合については、それらの規格への適合性を確認することをもって基本要件基準第13条第5項及び第6項への適合を確認したこととして差し支えないこと。ただし、承認申請又は認証申請(承認事項一部変更承認申請及び認証事項一部変更認証申請を含む。以下「承認申請等」という。)に際しては、それらの規格を用いることの妥当性を説明し、それらの規格への適合性を示す資料を添付すること。

2.高度管理医療機器又は管理医療機器における基本要件基準第13条第5項及び第6項への適合性確認について

(1) 経過措置期間終了日の翌日以降に、新規の承認申請等を行う製造販売業者は、当該医療機器について新規格への適合性の確認を行い、承認申請等に際してはその根拠資料を添付すること。

(2) 令和5年2月25日(以下「経過措置期間開始日」という。)より前に承認申請等を行っている製造販売業者又は経過措置期間開始日以降に承認申請等を行おうとする製造販売業者は、経過措置期間終了日までの間、なお従前の例によることができること。経過措置期間開始日以降に行う承認申請等は、経過措置期間終了日までに承認又は認証を受けることができるよう、標準的な事務処理期間を考慮して行うこと。また、旧規格へ適合するものとして承認又は認証を受けた医療機器については、経過措置期間終了日までに、2.(3)に示すとおり、必要な措置を講ずること。

(3) 旧規格への適合性を確認したものとして承認又は認証を取得している製造販売業者は、経過措置期間終了日の翌日以降も製造販売する場合、JIS T14971を用いた電磁妨害に関するリスクマネジメントを行い、基本要件基準第13条第5項及び第6項への適合を確認するために、新規格の要求事項及び試験の追加及び再評価の実施が必要であるか否か判断し、以下①~⑤のいずれかの対応を経過措置期間終了日までに完了すること。なお、リスクマネジメントについては、製造販売後に電磁妨害に係る不具合なく使用されてきた実績、当該医療機器に影響を与え得る又は当該医療機器が影響を及ぼし得る他の製品の製造販売及び当該医療機器が使用される環境における最新の電磁妨害の状況等も勘案して行うこと。ただし、リスクマネジメントの内容の妥当性については検証を行い、その記録を適切に保管すること。

① 新規格に適合させるため、設計、構造等の製品本体を変更する必要があり、承認事項又は認証事項(以下「承認事項等」という。)を変更する必要がある場合、「医療機器の製造販売承認申請書の作成に際し留意すべき事項について」(平成26年11月20日付け薬食機参発1120第1号厚生労働省大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知)、「医療機器の一部変更に伴う手続きについて」(平成20年10月23日付け薬食機発第1023001号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)及び「医療機器の一部変更に伴う軽微変更手続き等の取扱いについて」(平成29年7月31日付け薬生機審発0731第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)に基づき、適切な手続きを行うこと。なお、承認事項一部変更承認申請又は認証事項一部変更認証申請(以下「一変申請」という。)は、経過措置期間終了日までに承認又は認証を受けることができるよう、標準的な事務処理期間を考慮して行うこと。

② 新規格に適合させるため、設計、構造等の製品本体を変更する必要があるが、承認事項等のうち、性能及び安全性に関する規格欄における規格の名称又は発行年のみを変更する場合、新規格への適合性を確認した後に行う初回の一変申請の際に、記載事項の変更を併せて行うこと。

③ 新規格に適合させるため、設計、構造等の製品本体を変更する必要がなく、承認事項等のうち、性能及び安全性に関する規格欄における規格の名称又は発行年を変更する場合などは、新規格への適合性を確認した後に行う初回の一変申請の際に、記載事項の変更を併せて行うこと。

④ 新たな要求事項及び試験を実施した結果、新規格への適合性が確認され、承認事項等の変更がない場合、特段の手続きは不要であること。

⑤ リスクマネジメントの結果から新たな要求事項及び試験及び評価の実施は不要と判断した場合、1.(2)に関わらず、旧規格への適合をもって基本要件基準第13条第5項及び第6項に適合すると見なして差し支えなく、特段の手続きは不要であること。ただし、リスクマネジメントの内容の妥当性については検証を行い、その記録を適切に保管すること。

3.一般医療機器における基本要件基準第13条第5項及び第6項への適合性確認について

(1) 経過措置期間終了日の翌日以降に製造販売の届出を行う製造販売業者は、当該医療機器について新規格への適合性を確認すること。

(2) 経過措置期間開始日以降に製造販売の届出を行う製造販売業者は、経過措置期間終了日までの間、なお従前の例によることができること。また、旧規格へ適合するものとして届出を行った医療機器については、経過措置期間終了日までに、3.(3)に示すとおり、必要な措置を講ずること。

(3) 経過措置期間終了日より前に製造販売を行っている医療機器について、経過措置期間終了日の翌日以降も製造販売する場合、製造販売業者は、JIS T14971を用いて電磁妨害に関するリスクマネジメントを行い、基本要件基準への適合性を確認するために、新規格の要求事項及び試験の追加及び再評価の実施が必要であるか否か判断し、以下①~⑤のいずれかの対応を経過措置期間終了日までに完了すること。なお、リスクマネジメントについては、製造販売後に電磁妨害に係る不具合なく使用されてきた実績、当該医療機器に影響を与え得る又は当該医療機器が影響を及ぼし得る他の製品の製造販売及び当該医療機器の使用環境における最新の電磁妨害の状況等も勘案して行うこと。ただし、リスクマネジメントの内容の妥当性については検証を行い、その記録を適切に保管すること。

① 新規格に適合させるため、設計、構造等の製品本体を変更する必要があり、届出事項を変更する必要がある場合、製造販売届出事項変更届書を提出すること。なお、製造販売業者自らが当該変更に係る確認を行った時点から、新規格に準拠した製品の出荷を行ってよいが、届出事項を変更した30日以内に上記届書を提出すること。

② 新規格に適合させるため、設計、構造等の製品本体を変更する必要があるが、届出事項のうち、性能及び安全性に関する規格欄における規格の名称又は発行年のみを変更する場合、新規格への適合性を確認した後に行う初回の製造販売届出事項変更届書の提出の際に、記載事項の変更を併せて行うこと。

③ 新規格に適合させるため、設計、構造等の製品本体を変更する必要がなく、届出事項のうち、性能及び安全性に関する規格欄における規格の名称又は発行年を変更する場合などは、新規格への適合性を確認した後に行う初回の製造販売届出事項変更届書の提出の際に、記載事項の変更を併せて行うこと。

④ 新たな要求事項及び試験を実施した結果、新規格への適合性が確認され、届出事項の変更がない場合、特段の手続きは不要であること。

⑤ リスクマネジメントの結果から新たな要求事項及び試験及び評価の新たな実施は不要と判断した場合、1.(2)に関わらず、旧規格への適合をもって基本要件基準第13条第5項及び第6項に適合すると見なして差し支えなく、特段の手続きは不要であること。ただし、リスクマネジメントの内容の妥当性については検証を行い、その記録を適切に保管すること。

4.業務内容の記録と保管

製造販売業者は、本通知への対応に係る業務内容について適切に記録及び保管し、法第23条の2の5第6項又は法第23条の2の23第3項の規定による調査の調査実施者の求め等に応じて直ちに資料を提示し、適切な説明を行わなければならないこと。

5.国際的に用いられている電磁妨害(電磁両立性)に係る適切な規格の事例

規格は最新版を用いることとする。なお、その場合は当該規格を用いた妥当性説明は省略してもよい。

○体内植込み機器

・ISO 14117:2019, Active implantable medical devices‐Electromagnetic compatibility‐EMC test protocols for implantable cardiac pacemakers, implantable cardioverter defibrillators and cardiac resynchronization devices

○検体検査装置

・JIS C61326―2―6:2023,計測用,制御用及び試験室用の電気装置―電磁両立性(EMC)要求事項―第2―6部:個別要求事項―体外診断用医療機器

・IEC 61326‐2‐6:2020, Electrical equipment for measurement, control and laboratory use‐EMC requirements‐Part 2‐6:Particular requirements‐In vitro diagnostic (IVD) medical equipment