添付一覧
○被保険者証の性別表記について〔国民健康保険法〕
(平成24年9月21日)
(事務連絡)
(地方厚生(支)局保険主管課・都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)・後期高齢者医療主管課(部)・都道府県後期高齢者医療広域連合事務局・全国健康保険協会・健康保険組合あて厚生労働省保険局保険課・厚生労働省保険局国民健康保険課・厚生労働省保険局高齢者医療課通知)
島根県松江市長から「国民健康保険被保険者証の性別表記について(照会)」(平成24年3月1日付け保年第1180号)により照会のあった国民健康保険被保険者証の性別表記の取扱いについて、「国民健康保険被保険者証の性別表記について(回答)」(平成24年9月21日付け保国発0921第1号厚生労働省保険局国民健康保険課長通知)により別添1のとおり回答いたしました。
国民健康保険、後期高齢者医療制度、健康保険及び船員保険の各保険者においても同様に、保険者判断により被保険者証における性別表記の記載方法を工夫しても差し支えない取扱いといたします。また、当該取扱いについて別添2のとおりQ&Aをまとめましたので、それぞれ内容を御了知いただくとともに、貴管下保険者及び関係団体へ周知いただきますようお願いいたします。
別添1
○国民健康保険被保険者証の性別表記について(回答)
(平成24年9月21日)
(保国発0921第1号)
(島根県松江市長あて厚生労働省保険局国民健康保険課長通知)
平成24年3月1日付け保年第1180号により照会のあった標記の件について、下記のとおり回答します。
記
1 被保険者証に性別を記載する必要性について
① 被保険者証は、保険医療機関等における被保険者資格の確認等、公的医療保険制度の運営のための重要な役割を担っており、被保険者証の券面には療養の給付に当たり必要な事項を記載しているところです。
男女の性別欄については、性別に由来する特有の疾患や診療行為があることから、保険医療機関等にて行われる診療等に資するものであるとともに、当該診療等に係るレセプトの審査を円滑に行うために必要であるという観点から設けているものです。
② 国民健康保険において、住所、氏名、性別等の被保険者に係る情報は、住民の居住関係の公証である住民基本台帳を基礎としており、当該住民基本台帳における性別に関しては、戸籍の記載と一致させているところです。また、戸籍上の性別は、医師等により作成される出生証明書に基づくものであることから、①の観点からも、被保険者証の性別については、戸籍上の性別が用いられているものです。
2 被保険者証における性別の表記方法の見直しについて
上述した観点から、性別は被保険者証の必要記載事項として、被保険者証の表面に性別欄を設けるとともに、戸籍上の性別を記載することとしています。
しかしながら、被保険者から被保険者証の表面に戸籍上の性別を記載してほしくない旨の申し出があり、やむを得ない理由があると保険者が判断した場合は、裏面を含む被保険者証全体として、戸籍上の性別が保険医療機関等で容易に確認できるよう配慮すれば、保険者の判断によって、被保険者証における性別の表記方法を工夫しても差し支えありません。例えば、被保険者証の表面の性別欄は「裏面参照」と記載し、裏面の備考欄に「戸籍上の性別は男(又は女)」と記載すること等が考えられます。
3 他の医療保険制度での取扱いについて
国民健康保険の他の保険者並びに後期高齢者医療制度、健康保険及び船員保険の保険者においても、上記2の取扱いができることについて、各保険者に対して別途お知らせする予定です。
(参考)
○国民健康保険被保険者証の性別表記について(照会)
(平成24年3月1日)
(保年第1180号)
(厚生労働大臣あて島根県松江市長(市民部保険年金課)通知)
本市の国民健康保険事業の運営について、日頃より種々ご指導いただき有難うございます。
さて、以前から松江市は、国民健康保険被保険者証の性別表記について、貴職に照会しているところです。
また先ごろも、性同一性障害の方からの陳情や議会質問で、国民健康保険被保険者証に性別が必要な場合における性別表記の方法について検討するよう意見をいただいております。
つきましては、以下のとおり照会申しあげますので、厚生労働省としてのご見解を、文書によってご教示いただきますようお願いいたします。
記
1.性同一性障害者に起因する被保険者証の性別記載の必要性についての検討状況
2.被保険者証に性別が必要な場合、その表記方法(記号化、数字、バーコード等や備考欄の活用)の見直しについて
3.被用者保険等すべての保険に実施することについて
別添2
平成24年9月21日
被保険者証の性別表記の変更について Q&A
【性別表記の変更について】
問1 被保険者証の性別欄に戸籍上の性別とは異なる性別を記載することができるようになるのか。 |
(答) やむを得ない理由があると保険者が判断した場合は、被保険者証の表面ではなく裏面に戸籍上の性別を記載できるようにするものであり、被保険者証には戸籍上の性別を記載するという従来からの取扱いを変更するものではない。
問2 やむを得ない理由があると保険者が判断する場合とあるが、「やむを得ない理由」とは何か。 |
(答) 自己の被保険者証の性別表記の変更を希望する被保険者又はその被扶養者(以下「本人」という。)が性同一性障害者であって、被保険者証の表面に戸籍上の性別が記載されることに対して嫌悪感を抱いている場合等が該当すると考えられる。
問3 「やむを得ない理由」の有無は何を根拠に判断すればよいか。 |
(答) 例えば、本人からの申出に加えて、性同一性障害の治療に関して精神科等へ通院していることがレセプト等により確認できた場合や精神科等に通院していなくても問2の状態にあると判断できた場合等が考えられる。
問4 何故医師の診断書は必要ないのか。 |
(答) 問1のとおり、被保険者証に戸籍上の性別を記載するという取扱いを変更するものではないことから、原則、診断書は必要としないこととしている。
問5 「やむを得ない理由」の有無を保険者で判断できない場合に、本人に対して診断書の提示を求めることは可能か。 |
(答) 問4のとおり、被保険者証に戸籍上の性別を記載するという取扱いを変更するものではないことから、申出時に診断書の提示は求めないことを原則とするが、やむを得ない理由の有無を保険者で判断できない場合は、保険者判断により診断書の提示を求めることは差し支えない。
問6 この取扱いは、全国の保険医療機関等に周知されるのか。 |
(答) 各保険者に対しては、被保険者証全体として、戸籍上の性別が保険医療機関等で容易に確認できるよう配慮することをお願いするとともに、保険医療機関等で適切な取扱いがなされるよう地方厚生局等を通じて保険医療機関等に対して周知を行っている。
【表記方法について】
問7 被保険者証の表面の性別欄に、本人が希望する性別(戸籍上の性別とは異なる性別)を記載した上で、裏面に戸籍上の性別を記載することは可能か。 |
(答) 被保険者証の表面に性別欄を設けている理由は、保険医療機関等が容易に患者の性別を確認することができるよう配慮したものである。仮に、被保険者証の表面に戸籍上の性別とは異なる性別を記載した上で裏面に戸籍上の性別を記載した場合、保険医療機関等で被保険者証の裏面を確認することなく、被保険者証の表面の性別をそのままレセプトやカルテ等に記載してしまう可能性があるため適切ではない。
問8 被保険者証の表面の性別欄を「裏面参照」と記載せずに、空欄とすることは可能か。 |
(答) 保険医療機関等で被保険者証の裏面を確認することなく、本人の外見で性別を判断してしまう可能性があるため、適切ではない。
問9 被保険者証の表面の性別欄に「裏面参照」と記載し、裏面の備考欄に「戸籍上の性別は男(又は女)」と記載すること等が考えられるとあるが、他の表記方法としてどのようなものが考えられるか。 |
(答) 例えば、被保険者証の表面の性別欄には「裏面記載」又は「備考欄参照」と記載し、被保険者証の裏面の備考欄には「男(又は女)」又は「性別:男(又は女)」と記載するなど、細かな記載ぶりが各保険者で異なることが考えられるが、いずれにしても被保険者証全体として、保険医療機関等で容易に戸籍上の性別が判断できるようにすることが必要である。
問10 被保険者証の性別表記の取扱いについては、システムで対応する必要があるか。 |
(答) 必ずしもシステム改修を行う必要はなく各保険者が対応できる方法で対応いただきたい。ただし、被保険者証の材質によって、手書き等により性別表記の変更が可能な場合には、保険者の印を押す(割印)等により、保険者が性別表記を変更したものであることが保険医療機関等で容易に確認できるようにすることが必要である。
問11 被保険者証の表面の性別欄の「裏面参照」等の記載や裏面の備考欄の性別記載について、それぞれシールを貼ることで対応してもよいか。 |
(答) 被保険者証の性別欄にシールを貼付する対応は、偽造防止の観点から望ましくない。ただし、被保険者証の材質によって、シールの上から保険者の印を押す(割印)等の対応が可能である場合であって、保険者が性別表記を変更したものであることが保険医療機関等で容易に確認できるときは、保険者判断でシールによる対応をしても差し支えない。
問12 カードではなく紙の被保険者証(1世帯1枚)を使っている保険者の場合、どのように対応すべきか。 |
(答) 第一面の性別欄に「男・女」が既に記載されている様式である場合には、「男・女」を二重線等で消し、第一面の性別欄が空欄となっている様式である場合には空欄のままとした上で、性別欄にそれぞれ「第○面の備考欄(又は余白)参照」と記載し、第○面の備考欄(又は余白)に「戸籍上の性別は男(又は女)」と記載すること等が考えられる。
問13 被保険者証の他に、高齢受給者証、限度額適用認定証等についても本人からの申出があれば、同様に取扱っても差し支えないか。 |
(答) 差し支えない。
【申出方法等について】
問14 性別表記の変更の希望の申出や性別表記を変更した被保険者証の交付は、どのように行うこととなるのか。 |
(答) 性別表記の変更を希望することを事業主や世帯主に知られたくない者もいると考えられることなどから、本人が直接各保険者に申出をすることや、性別表記を変更した被保険者証を保険者から直接本人に送付すること又は本人に取りに来てもらうこと等の取扱いとすることが望ましい。
問15 性別表記の変更の申出を資格取得時に行う場合と被保険者証交付後に行う場合とで、申出方法、申出先、申出用紙等の取扱いの違いはあるか。また、申出用紙は各保険者で作成することとなるのか。 |
(答) 国民健康保険及び後期高齢者医療制度においては、性別表記の変更の申出を資格取得時に行う場合と被保険者証交付後に行う場合とで、申出方法、申出先、申出用紙等の取扱いに違いはないと考えている。
被用者保険においては、事業主を経由して被保険者証が交付されることから、事務処理の混乱を避けるため、性別表記の変更の申出は、被保険者証の交付後に行う取扱いとすることが望ましい。
また、性別表記の変更に係る申出用紙等が必要であると保険者が判断した場合には、各保険者で申出用紙等を作成いただくこととなる。