添付一覧
○食品衛生法施行規則の一部を改正する省令の公布について
(令和5年1月19日)
(生食発0119第1号)
(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官通知)
(公印省略)
食品衛生法施行規則の一部を改正する省令(令和5年厚生労働省令第7号。以下「改正省令」という。)が本日公布され、これにより食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号。以下「規則」という。)の一部が改正されたところです。
その改正の概要等については下記のとおりですので、関係者へ周知いただくとともに、その運用に遺漏がないようお取り計らい願います。
記
第1 改正の概要
食品衛生法施行令(昭和28年政令第229号)第35条第30号に規定される「密封包装食品製造業」を営もうとする者は、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第55条第1項の規定に基づき、都道府県知事の許可を受けなければならないこととされている。政令第35条第30号において、「密封包装食品製造業」とは、その保存に冷凍又は冷蔵を要しない密封包装食品を製造する営業をいうと規定されているが、冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合においてボツリヌス菌その他の耐熱性の芽胞を形成する嫌気性の細菌が増殖するおそれのないことが明らかな食品であって厚生労働省令で定めるものについては、密封包装食品製造業の対象から除かれている。これに基づき、規則第66条の10において「厚生労働省令で定める食品」が規定されており、当該食品に係る密封包装食品の製造については、法第55条第1項の規定による許可の取得が不要となっている。
改正省令は、科学的知見等を踏まえ、上記の「厚生労働省令で定める食品」に新たな食品を追加するとともに、所要の規定の整備を行うものである。
第2 改正の内容
規則第66条の10を改正し、手引書や文献等から、その特性として均一に「冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合においてボツリヌス菌その他の耐熱性の芽胞を形成する嫌気性の細菌が増殖するおそれのないこと」が明らかな以下の食品を追加した。
茶の代用品(乾燥品に限る。)、乾燥きのこ類、乾燥雑穀類、乾燥種実類、乾燥豆類、干しいも、乾燥海藻類、液糖、加工ごま類、乾燥くずきり、乾燥スープ類、乾燥スパイス類、乾燥タピオカ、乾燥ハーブ類、塩、調味ルウ類及びこれらの食品を混合した食品
また、規則第66条の10で規定されている食品のうち、乾ししいたけ及び焼きのりについては、上記の新たに追加する食品に包含されるため、削除した。
これらの食品に係る密封包装食品を製造する場合には、密封包装食品製造業の許可を要しないこととなる。
第3 運用上の注意
改正省令により新たに規則第66条の10に規定される「厚生労働省令で定める食品」の範囲については、別添に定めるとおり取り扱うこととする。なお、「厚生労働省令で定める食品」は、その食品の特性として均一に「冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合においてボツリヌス菌その他の耐熱性の芽胞を形成する嫌気性の細菌が増殖するおそれのないこと」の観点から規定しており、各食品の範囲について、他法令等における取扱いよりも広く設定しているものがある点に留意されたい。
第4 施行期日
公布の日(本日)から施行する。
第5 経過措置等
改正省令の施行に伴い、規則第66条の10に新たに追加される食品に係る密封包装食品を製造する営業(以下「対象営業」という。)が、法第57条第1項の規定による届出が必要となる営業(以下「届出営業」という。)になることから、以下の経過措置を設けている。
・ 改正省令の施行の際現に法第55条第1項の許可を受けて対象営業を行っている者は、改正省令の施行日に法第57条第1項の規定による届出をしたものとみなすこと。(附則第2項関係)
・ 改正省令の施行の際現に食品衛生法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備及び経過措置に関する政令(令和元年政令第123号。以下「改正政令」という。)第9条の規定により法第55条第1項の許可を受けないで対象営業を行っている者は、施行日から起算して6月を経過した日の属する月の末日(令和5年7月31日)までに、法第57条第1項の規定による届出をしなければならないこと。(附則第3項関係)
・ 対象営業を行おうとする者が、施行日前に行った法第55条第1項の許可の申請であって、改正省令の施行の際、許可又は不許可の処分がされていないもの(対象営業に係るものに限る。)は、施行日に法第57条第1項の規定によりされた届出とみなすこと。(附則第4項関係)
なお、改正政令附則第2条第1項の規定に基づき、改正省令の施行の際現に食品衛生法等の一部を改正する法律(平成30年法律第46号)による改正前の法第52条第1項の許可を受けて対象営業を行っている者(以下「旧許可者」という。)については、当該許可の有効期間の満了日までは法第57条第1項の規定による届出を要しないが、同日後も対象営業を行う場合には、同日までにあらかじめ当該届出を行う必要がある。
また、旧許可者に対する監視指導については、改正省令の施行に伴い、対象営業が現行法令において届出営業になったことを踏まえて行われたい。
第6 その他
引き続き、事業者の要望等を踏まえ、「厚生労働省令で定める食品」として新たな食品を規定することを検討しているところ、その際に事業者等が要する手続については別途通知する。
別添
改正省令により食品衛生法施行規則第66条の10に新たに追加された「厚生労働省令で定める食品」の範囲について
水分活性0.85以下であること等の理由から、「冷凍又は冷蔵によらない方法により保存した場合においてボツリヌス菌その他の耐熱性の芽胞を形成する嫌気性の細菌が増殖するおそれのない」食品として、改正省令により食品衛生法施行規則(昭和23年厚生省令第23号)第66条の10に新たに追加された「厚生労働省令で定める食品」の範囲については、以下に掲げるものとする。
(1) 茶の代用品(乾燥品に限る)
マテ、ルイボス等の茶の代用を目的として使用するものをいう。ただし、乾燥果実はこれに含まれない。
(2) 乾燥きのこ類
乾燥させたきのこ類をいう(従前に規定されていた「乾ししいたけ」も含む。)。
(3) 乾燥雑穀類
アワ、キヌア、キビ等の穀類(イネ科、タデ科、アカザ科、ヒユ科の一年生草木の種子をいう。)を乾燥させたものをいう。
(4) 乾燥種実類
アーモンド、ヘーゼルナッツ等のナッツ類(子房壁が堅い殻となる木本の種子をいう。)や種実類(草本の種子で採油用のもの及び木本の種子で食用に供するものをいう。)を乾燥させたものをいう。
(5) 乾燥豆類
いんげん、大豆等の豆類(マメ科の一年生草本の種実をいう。)を乾燥させたものをいう。
(6) 干しいも
サツマイモを蒸し、皮を剥き、乾燥したものをいう。
(7) 乾燥海藻類
乾燥させた昆布、わかめ、ひじき、のり等の海藻類をいう(従前に規定されていた「焼きのり」も含む。)。とろろ昆布、おぼろ昆布、湯通し塩蔵わかめ、寒天もこれに含む。
(8) 液糖
ショ糖を主成分とする液状の製品又は穀類(麦芽、米、サツマイモ等)に含まれるデンプンを酵素分解して製造される液状の製品をいう。
(9) 加工ごま類
ごまの種実を精選、加熱処理(乾燥・焙煎)、粉砕、磨砕等したもの及びその加工品をいう。洗いごま、ねりごま、すりごま等もこれに含む。
(10) 乾燥くずきり
乾燥させたくずきりをいう。
(11) 乾燥スープ類
食肉、魚介、野菜、海藻等の煮出汁やこれらを煮たものを破砕して濾したもの・タンパク加水分解物・つなぎ・具又はうきみに、調味料、砂糖類、食用油脂、香辛料等を加えて調整し、粉末状、顆粒状又は固形状に乾燥したもので、水や牛乳等で調理又は還元してスープになるものをいう。
(12) 乾燥スパイス類
食品に風味付け目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実又は果皮を乾燥させたものをいう。
(13) 乾燥タピオカ
乾燥させたタピオカをいう。
(14) 乾燥ハーブ類
食品に風味付けの目的で薬味として比較的少量使用される種々の主に草本植物の葉、茎、根又は花を乾燥させたものをいう。
(15) 塩
塩をいう。岩塩を含む。
(16) 調理ルウ類
小麦粉等を食用油脂で炒めたルウに、食塩、砂糖、調味料、乳製品、乾燥野菜粉末、肉エキスなどの原材料を配合して加熱混合し、冷却することによって製造されるものをいう。固形又はフレークのカレールウ、シチュールウ、ハヤシルウ等もこれに含む。