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○石綿障害予防規則の解説について

(令和2年10月28日)

(基発1028第1号)

(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第134号)等の施行等については、令和2年8月4日付け基発0804第2号「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行について」により通達したところであるが、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)の施行等に関してこれまでに通達した以下(1)~(14)を含め、石綿則の施行に係る定義、解釈等について、別添「石綿障害予防規則の解説」のとおりまとめたので、石綿則の各規定については、それぞれの規定の施行日以降は別添に基づき石綿則を運用されたい。

以下(1)~(6)のうち石綿則に係る部分及び以下(7)~(14)については、それぞれ規定の施行日(石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等による改正事項ではないものについては本通達の発出日)以降は本通達をもって廃止する。

(1) 平成17年3月18日付け基発第0318003号「石綿障害予防規則の施行について」

(2) 平成18年8月11日付け基発第0811002号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等について」

(3) 平成21年2月18日付け基発第0218001号「石綿障害予防規則等の一部を改正する省令等の施行等について」

(4) 平成23年7月28日付け基発0728第6号「石綿障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」

(5) 平成26年4月23日付け基発0423第6号「石綿障害予防規則の一部を改正する省令の施行について」

(6) 平成30年5月28日付け基発0528第1号「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令及び石綿障害予防規則等の一部を改正する省令の施行等について」

(7) 平成17年10月31日付け基安化発第1031002号「建築物に吹き付けられた石綿等の損傷等による石綿ばく露防止対策について」

(8) 平成24年2月13日付け基安化発0213第1号「建築物等の解体等の作業における事前調査の徹底等について」

(9) 平成26年9月12日付け基安化発0912第1号「石綿粉じんのばく露防止のための適正な保護衣の使用について」

(10) 平成27年11月17日付け基安化発1117第2号「石綿含有成形板の除去作業における労働者の石綿ばく露防止措置について」

(11) 平成29年5月31日付け基安化発0531第1号「石綿含有建築用仕上塗材の除去等作業における大気汚染防止法令上の取扱い等について」

(12) 平成29年6月9日付け基安化発0609第1号「建築物等から除去した石綿含有廃棄物の包装等の徹底について」

(13) 平成30年1月29日付け基安化発0129第1号「石綿含有建築用仕上塗材の石綿則等の適用について」

(14) 平成30年4月20日付け基安化発0420第1号「建築物に係る石綿の事前調査における主な留意点について」

令和2年10月28日

一部改正 令和3年3月29日

厚生労働省労働基準局

石綿障害予防規則の解説

第1条(事業者の責務)

第一条 事業者は、石綿による労働者の肺がん、中皮腫その他の健康障害を予防するため、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底その他必要な措置を講じ、もって、労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで、石綿にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするよう努めなければならない。

2 事業者は、石綿を含有する製品の使用状況等を把握し、当該製品を計画的に石綿を含有しない製品に代替するよう努めなければならない。

○ 第1項は、労働者が石綿にばく露され健康障害を受けることを予防するため、石綿則に定める措置を講じることはもとより、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底等の実情に即した適切な対策を積極的に講ずべきことを規定したものであること。

○ 第1項の「その他必要な措置」には、製品中の石綿使用量を減らすこと等があること。

○ 第1項の「労働者の危険の防止の趣旨に反しない限り」とは、石綿にばく露される労働者の人数並びにばく露される期間及び程度を最小限度にすることを重視するあまり、例えば取り外した建材を保持する労働者の人数を制限したため、労働者が建材の重量に耐えられず建材を落下させ、負傷する等労働者の安全の確保に支障が生ずることのないように留意すべきことを定めたものであること。

○ 第2項は、石綿による重篤な健康障害のおそれを低減するためには、現段階で石綿を含有しない製品への代替が可能であるものはもとより、それ以外の石綿含有製品についても、早急に技術開発、実証試験等を推進し、着実に石綿を含有しない製品への代替化を図る必要があることから、施設、設備等における石綿含有製品の使用状況を把握し、当該施設、設備等の検査、修理、改造、更新等の機会を捉え、計画的に石綿を含有しない製品への代替化を図ることについて規定したものであること。

なお、石綿含有製品については、国民の安全確保の観点から代替化が困難なものを除き製造等を禁止していることを踏まえ、石綿を新たな製品に使用してはならないこと。

第2条(定義)

第二条 この省令において「石綿等」とは、労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第六条第二十三号に規定する石綿等をいう。

2 この省令において「所轄労働基準監督署長」とは、事業場の所在地を管轄する労働基準監督署長をいう。

3 この省令において「切断等」とは、切断、破砕、穿孔、研磨等をいう。

4 この省令において「石綿分析用試料等」とは、令第六条第二十三号に規定する石綿分析用試料等をいう。

○ 「石綿等」とは、令第6条第23号に規定する石綿等をいい、クリソタイル等及びこれをその重量の0.1%を超えて含有する物をいうものであること。

第3条(事前調査及び分析調査)

第三条 事業者は、建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)の解体又は改修(封じ込め又は囲い込みを含む。)の作業(以下「解体等の作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(それぞれ解体等の作業に係る部分に限る。以下「解体等対象建築物等」という。)について、石綿等の使用の有無を調査しなければならない。

○ 第1項の「建築物」とは、全ての建築物をいい、建築物に設けるガス若しくは電気の供給、給水、排水、換気、暖房、冷房、排煙又は汚水処理の設備等の建築設備を含むものであること。

○ 第1項の「工作物」とは、建築物以外のものであって、土地、建築物又は工作物に設置されているもの又は設置されていたものの全てをいい、例えば、煙突、サイロ、鉄骨架構、上下水道管等の地下埋設物、化学プラント等、建築物内に設置されたボイラー、非常用発電設備、エレベーター、エスカレーター等又は製造若しくは発電等に関連する反応槽、貯蔵設備、発電設備、焼却設備等及びこれらの間を接続する配管等の設備等があること。なお、建築物内に設置されたエレベーターについては、かご等は工作物であるが、昇降路の壁面は建築物であることに留意すること。

○ 第1項の「鋼製の船舶」とは、船体の主たる構造材が鋼製のものをいうものであること。

○ 以下に掲げる作業は、石綿等の粉じんが発散しないことが明らかであることから、石綿による健康障害を防止するという石綿障害予防規則の制定目的も踏まえて、建築物、工作物又は船舶の解体等の作業には該当せず、事前調査を行う必要はないものであること。

ア 除去等を行う材料が、木材、金属、石、ガラス等のみで構成されているもの、畳、電球等の石綿等が含まれていないことが明らかなものであって、手作業や電動ドライバー等の電動工具により容易に取り外すことが可能又はボルト、ナット等の固定具を取り外すことで除去又は取り外しが可能である等、当該材料の除去等を行う時に周囲の材料を損傷させるおそれのない作業。

イ 釘を打って固定する、又は刺さっている釘を抜く等、材料に、石綿が飛散する可能性がほとんどないと考えられる極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業。なお、電動工具等を用いて、石綿等が使用されている可能性がある壁面等に穴を開ける作業は、これには該当せず、事前調査を行う必要があること。

ウ 既存の塗装の上に新たに塗装を塗る作業等、現存する材料等の除去は行わず、新たな材料を追加するのみの作業。

エ 国土交通省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたaからkまでの工作物、経済産業省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたl及びmの工作物、農林水産省による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたf及びnの工作物並びに防衛装備庁による用途や仕様の確認、調査結果から石綿が使用されていないことが確認されたoの船舶の解体・改修の作業。

a 港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第5項第2号に規定する外郭施設及び同項第3号に規定する係留施設

b 河川法(昭和39年法律第67号)第3条第2項に規定する河川管理施設

c 砂防法(明治30年法律第29号)第1条に規定する砂防設備

d 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第2条第3項に規定する地すべり防止施設及び同法第4条第1項に規定するぼた山崩壊防止区域内において都道府県知事が施工するぼた山崩壊防止工事により整備されたぼた山崩壊防止のための施設

e 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第2条第2項に規定する急傾斜地崩壊防止施設

f 海岸法(昭和31年法律第101号)第2条第1項に規定する海岸保全施設

g 鉄道事業法施行規則(昭和62年運輸省令第6号)第9条に規定する鉄道線路(転てつ器及び遮音壁を除く)

h 軌道法施行規則(大正12年内務省令運輸省令)第9条に規定する土工(遮音壁を除く)、土留壁(遮音壁を除く)、土留擁壁(遮音壁を除く)、橋梁(遮音壁を除く)、隧道、軌道(転てつ器を除く)及び踏切(保安設備を除く)

i 道路法(昭和27年法律第180号)第2条第1項に規定する道路のうち道路土工、舗装、橋梁(塗装部分を除く。)、トンネル(内装化粧板を除く。)、交通安全施設及び駐車場(①(イ)の工作物のうち建築物に設置されているもの、特定工作物告示に掲げる工作物を除く。)

j 航空法施行規則(昭和27年運輸省令第56号)第79条に規定する滑走路、誘導路及びエプロン

k 雪崩対策事業により整備された雪崩防止施設

l ガス事業法(昭和29年法律第51号)第2条第13項に規定するガス工作物の導管のうち地下に埋設されている部分

m 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(平成9年通商産業省令第11号)第3条に規定する供給管のうち地下に埋設されている部分

n 漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)第3条に規定する漁港施設のうち基本施設(外郭施設、係留施設及び水域施設)

o 自衛隊の使用する船舶(防熱材接着剤、諸管フランジガスケット、電線貫通部充填・シール材及びパッキンを除く)

【令和3年4月1日施行】

2 前項の規定による調査(以下「事前調査」という。)は、解体等対象建築物等の全ての材料について次に掲げる方法により行わなければならない。

一 設計図書等の文書(電磁的記録を含む。以下同じ。)を確認する方法。ただし、設計図書等の文書が存在しないときは、この限りでない。

二 目視により確認する方法。ただし、解体等対象建築物等の構造上目視により確認することが困難な材料については、この限りでない。

○ 事前調査は、解体等対象建築物等の全ての材料(以下「調査対象材料」という。)について、設計図書等の文書を確認した上で、実際に調査対象材料が当該文書のとおりであるかどうかを確認するために、目視による確認も義務づけたものであること。

○ 第2項第1号の「設計図書」とは、建築物、その敷地又は工作物に関する工事用の図面及び仕様書のことであること。

○ 第2項第1号の「設計図書等」の「等」には、施工記録、維持保全記録、第8条の規定に基づく発注者からの情報が含まれるものであること。

○ 設計図書等の文書を確認する方法には、調査対象材料に直接印字されている製品番号を確認する方法も含まれること。

○ 事前調査において、調査対象材料に石綿等が使用されていないと判断する方法は、次のア又はイのいずれかの方法によること。なお、設計図書にノンアスベスト材料等、石綿等が使用されていない建材であることの記載がある場合であっても、労働安全衛生法令の適用対象となる石綿等の含有率は数次にわたり変更されているため、材料の製造当時は法令適用対象外として石綿等の使用がないと判断されていたとしても、現行の法令では適用対象となる場合もあることから、設計図書の記載のみをもって石綿等が使用されていないと判断することはできないこと。

ア 調査対象材料について、製品を特定し、その製品のメーカーによる石綿等の使用の有無に関する証明や成分情報等と照合する方法。

イ 調査対象材料について、製品を特定し、その製造年月日が平成18年9月1日以降(第3条第3項第4号から第8号までに掲げるガスケット又はグランドパッキンにあっては、それぞれ当該各号に掲げる日以降)であることを確認する方法。

【令和3年4月1日施行】

3 前項の規定にかかわらず、解体等対象建築物等が次の各号のいずれかに該当する場合は、事前調査は、それぞれ当該各号に定める方法によることができる。

一 既に前項各号に掲げる方法による調査に相当する調査が行われている解体等対象建築物等 当該解体等対象建築物等に係る当該相当する調査の結果の記録を確認する方法

二 船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成三十年法律第六十一号)第四条第一項の有害物質一覧表確認証書(同条第二項の有効期間が満了する日前のものに限る。)又は同法第八条の有害物質一覧表確認証書に相当する証書(同法附則第五条第二項に規定する相当証書を含む。)の交付を受けている船舶 当該船舶に係る同法第二条第六項の有害物質一覧表を確認する方法

三 建築物若しくは工作物の新築工事若しくは船舶(日本国内で製造されたものに限る。)の製造工事の着工日又は船舶が輸入された日(第五項第四号において「着工日等」という。)が平成十八年九月一日以降である解体等対象建築物等(次号から第八号までに該当するものを除く。) 当該着工日等を設計図書等の文書で確認する方法

四 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された非鉄金属製造業の用に供する施設の設備(配管を含む。以下この項において同じ。)であって、平成十九年十月一日以降にその接合部分にガスケットが設置されたもの 当該新築工事の着工日及び当該ガスケットの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

五 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された鉄鋼業の用に供する施設の設備であって、平成二十一年四月一日以降にその接合部分にガスケット又はグランドパッキンが設置されたもの 当該新築工事の着工日及び当該ガスケット又はグランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

六 平成十八年九月一日以降に製造工事が開始された潜水艦であって、平成二十一年四月一日以降にガスケット又はグランドパッキンが設置されたもの 当該製造工事の着工日及び当該ガスケット又はグランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

七 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された化学工業の用に供する施設(次号において「化学工業施設」という。)の設備であって、平成二十三年三月一日以降にその接合部分にグランドパッキンが設置されたもの 当該新築工事の着工日及び当該グランドパッキンの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

八 平成十八年九月一日以降に新築工事が開始された化学工業施設の設備であって、平成二十四年三月一日以降にその接合部分にガスケットが設置されたもの 当該新築工事の着工日及び当該ガスケットの設置日を設計図書等の文書で確認する方法

○ 第1号について、過去において既に建築物についての石綿等の使用の有無に関する調査が行われている場合や、プラントの定期検査等により石綿等の使用の有無に関する調査が行われている場合等であって、これらの調査方法が、第3条第2項第1号及び第2号に規定する方法に相当する場合は、これらの調査結果の記録を確認することで足り、改めて事前調査を行う必要はないことを規定したものであること。

○ 第2号について、船舶の再資源化解体の適正な実施に関する法律(平成30年法律第61号)第3条第1項に規定する有害物質一覧表は、船舶に使用されている材料について、石綿等を含む有害物質の使用の有無及び使用箇所を調査し、記録したものであること、並びにこの一覧表の内容が船舶の状態と一致するものであることを国土交通大臣が確認したものが同法第4条第1項に規定する有害物質一覧表確認証書又は同法附則第5条第2項に規定する有害物質一覧表確認証書に相当する証書であることから、これらの証書の交付を受けている船舶は、適切に事前調査が行われているものとみなすことが可能であるため、当該船舶については、有害物質一覧表を確認することで足り、改めて事前調査を行う必要はないことを規定したものであること。

○ 第3号について、石綿等は、一部のガスケット又はグランドパッキンを除き、平成18年9月1日以降は製造し、輸入し、譲渡し、提供し、又は使用することが禁止されている(法第55条並びに労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)第16条第4号及び第9号)ことから、建築物、工作物又は船舶の着工日(日本国外で製造された船舶については日本に輸入された日)が同日以降であることを設計図書等で確認することをもって事前調査を行ったものとみなすことができることとしたものであること。

○ 第4号から第8号までについて、平成18年9月1日に石綿等の製造等が禁止された後も、一定期間当該禁止措置が猶予されていた一部のガスケット又はグランドパッキンが使用されている可能性がある工作物又は潜水艦については、そのガスケット又はグランドパッキンの設置日が、禁止措置が猶予されていた期間が終了した日以降であることを設計図書等で確認することをもって事前調査を行ったものとみなすことができることとしたものであること。

【令和5年10月1日施行】

4 事業者は、事前調査のうち、建築物に係るものについては、前項各号に規定する場合を除き、適切に当該調査を実施するために必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。

○ 事前調査が不十分なまま工事が行われる事例が認められたことから、建築物については、必要な知識を有する者として厚生労働大臣が定めるもの(石綿障害予防規則第3条第4項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者(令和2年厚生労働省告示第276号。以下「事前調査者告示」という。)に規定する以下のア又はイに掲げる者)による事前調査の実施を義務付けたものであること。なお、本規定の要件を満たす者が十分な人数確保されるまでの期間を勘案して、本規定の施行は令和5年10月1日としているが、本規定の施行前であっても、事前調査は必要な知識を有する者に行わせることが望ましいこと。

ア 建築物(建築物石綿含有建材調査者講習登録規程(平成30年厚生労働省、国土交通省、環境省告示第1号。以下「登録規程」という。)に規定する一戸建ての住宅及び共同住宅(長屋を含み、店舗併用住宅は含まれない。)の住戸の内部(住戸の専有部分を指し、内部以外の部分(ベランダ、廊下等共用部分)は含まれない。)(以下「一戸建て住宅等」という。)を除く。)の事前調査については、登録規程に規定する一般建築物石綿含有建材調査者、特定建築物石綿含有建材調査者又はこれらの者と同等以上の能力を有すると認められる者(令和5年9月30日以前に日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者)

イ 一戸建て住宅等の事前調査については、アに掲げる者又は登録規程に規定する一戸建て等石綿含有建材調査者

5 事業者は、事前調査を行ったにもかかわらず、当該解体等対象建築物等について石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無について、分析による調査(以下「分析調査」という。)を行わなければならない。ただし、事業者が、当該解体等対象建築物等について石綿等が使用されているものとみなして労働安全衛生法(以下「法」という。)及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、この限りでない。

○ 第5項ただし書は、本来は石綿等の使用の有無を分析調査し、石綿等が使用されていることが明らかとなった場合に必要な措置を講ずべきものであるが、石綿等が使用されているものとみなして必要な措置を行うことにより、分析調査を行うよりも費用負担が軽減される場合があること又は工期が短縮できる場合があることから規定したものであること。

この場合、みなすか否かについては、第1項の調査を行った結果を踏まえて事業者が判断するものであること。

○ 石綿等が使用されているとみなして措置を講じるに当たっては、例えば吹き付けられた材料であれば、クロシドライトが吹き付けられているものとみなして措置を講じる等、必要となる可能性がある措置のうち最も厳しい措置を講じなければならないこと。

【令和5年10月1日施行】

6 事業者は、分析調査については、適切に分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定めるものに行わせなければならない。

○ 石綿等の分析に関する知識や技能が十分でない者によって分析が行われている事例が認められたことから、必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定めるもの(石綿障害予防規則第3条第6項の規定に基づき厚生労働大臣が定める者等(令和2年厚生労働省告示第277号。以下「分析調査者告示」という。)に規定する以下ア又はイに掲げる者)による分析調査の実施を義務付けたものであること。なお、本規定の要件を満たす者が十分な人数確保されるまでの期間を勘案して、本規定の施行日は令和5年10月1日としているが、本規定の施行前であっても、分析調査は必要な知識及び技能を有する者に行わせることが望ましいこと。

ア 分析調査講習を受講し、修了考査に合格した者

イ 上記アと同等以上の知識及び技能を有すると認められる以下(ア)から(オ)までに掲げる者

(ア) 公益社団法人日本作業環境測定協会が実施する「石綿分析技術評価事業」により認定されるAランク若しくはBランクの認定分析技術者又は定性分析に係る合格者

(イ) 一般社団法人日本環境測定分析協会が実施する「アスベスト偏光顕微鏡実技研修(建材定性分析エキスパートコース)」の修了者

(ウ) 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「建材中のアスベスト定性分析技能試験(技術者対象)合格者」

(エ) 一般社団法人日本環境測定分析協会に登録されている「アスベスト分析法委員会認定JEMCAインストラクター」

(オ) 一般社団法人日本繊維状物質研究協会が実施する「石綿の分析精度確保に係るクロスチェック事業」により認定される「建築物及び工作物等の建材中の石綿含有の有無及び程度を判定する分析技術」の合格者

○ 分析調査を実施する者は、実技講習を修了した方法による分析のみを実施することができるものであること。

【令和3年4月1日施行】

7 事業者は、事前調査又は分析調査(以下「事前調査等」という。)を行ったときは、当該事前調査等の結果に基づき、次に掲げる事項(第三項第三号から第八号までの場合においては、第一号から第四号までに掲げる事項に限る。)の記録を作成し、これを事前調査を終了した日(分析調査を行った場合にあっては、解体等の作業に係る全ての事前調査を終了した日又は分析調査を終了した日のうちいずれか遅い日)(第三号及び次項第一号において「調査終了日」という。)から三年間保存するものとする。

一 事業者の名称、住所及び電話番号

二 解体等の作業を行う作業場所の住所並びに工事の名称及び概要

三 調査終了日

四 着工日等(第三項第四号から第八号までに規定する方法により事前調査を行った場合にあっては、設計図書等の文書で確認した着工日及び設置日)

五 事前調査を行った建築物、工作物又は船舶の構造

六 事前調査を行った部分(分析調査を行った場合にあっては、分析のための試料を採取した場所を含む。)

七 事前調査の方法(分析調査を行った場合にあっては、分析調査の方法を含む。)

八 第六号の部分における材料ごとの石綿等の使用の有無(第五項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなした場合は、その旨を含む。)及び石綿等が使用されていないと判断した材料にあっては、その判断の根拠

九 事前調査のうち、建築物に係るもの(第三項第三号に掲げる方法によるものを除く。)を行った者(分析調査を行った場合にあっては、当該分析調査を行った者を含む。)の氏名及び第四項の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類(分析調査を行った場合にあっては、前項の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類を含む。)の写し

十 第二項第二号ただし書に規定する材料の有無及び場所

○ 1つの解体等の作業について事前調査又は分析調査(以下「事前調査等」という。)が複数回行われる場合も考えられることから、事前調査等の結果の記録の保存の起算日は、解体等の作業に係る全ての事前調査を終了した日又は分析調査を終了した日のいずれか遅い日としたこと。

○ 3年間の保存期間は、行政による事業者に対する指導において関係書類として活用すること、事業者が適切に石綿ばく露防止対策を講じる動機付けとすること等を目的とし、設定したものであること。

○ 第3条第3項第1号又は第2号の方法により事前調査を行ったときは、それぞれ同項第1号の相当する調査の結果の記録又は同項第2号の有害物質一覧表(以下「相当調査記録等」という。)を確認した日を調査終了日とすることとし、同条第7項各号の事前調査の結果として記録すべき事項について、相当調査記録等に記載があるものについては、当該相当調査記録等の写しを保存すれば足りること。

○ 第3条第3項第3号から第8号までに掲げる方法により事前調査を行ったときは、それぞれ当該各号の規定に基づき設計図書等の文書で確認した日を調査終了日とすること。なお、確認した方法を明確にするため、確認した文書の写しを保存しておくことが望ましい。

○ 第3条第7項各号の事前調査等の結果として記録すべき事項について、次の内容が含まれること。

ア 第2号に規定する「工事の概要」は、当該工事の内容が分かる簡潔な記載で足り、工事の名称から工事の内容が分かる場合は、工事の名称と同じ記載で差し支えないこと。

イ 第5号に規定する「建築物、工作物又は船舶の構造」には、鉄筋コンクリート造等の主要構造に関する情報、階数や延べ床面積等の規模に関する情報、建築物にあっては建築基準法に規定する耐火建築物又は準耐火建築物の該当の有無を含むこと。

ウ 第6号に規定する「事前調査を行った部分(分析調査を行った場合は、分析のための資料を採取した場所を含む。)」については、当該部分が容易に特定できる方法で記録する必要があり、図面等に表示して記録することが望ましいこと。なお、解体作業において事前調査を行った場合には、解体の対象となる建築物、工作物又は船舶の全ての部分であることを記録すれば足りること。

エ 第7号に規定する「事前調査の方法」については、第3条第2項又は同条第3項各号のうち、いずれの方法により事前調査を行ったかを記録すること。なお、同条第5項ただし書により石綿等が使用されているものとみなした場合は、その旨記録すること。

「分析調査の方法」については、分析調査者告示第2条第3号のイからニまでに掲げる方法のうち、いずれの方法により分析調査を行ったかを記録すること。

オ 第8号に規定する「事前調査において石綿が使用されていないと判断した根拠」には、いずれの方法により判断したのか及びその判断根拠として使用した書類等が含まれること。

分析調査の結果の記録には、分析調査によって明らかとなった石綿等の含有率が含まれること。なお、分析調査によって明らかとなった石綿等の種類も記録することが望ましいこと。

カ 第9号に規定する「第3条第4項又は第6項の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類」は、登録規程第10条に規定する修了証明書の写しその他事前調査者告示各号に定める者又は分析調査者告示第1条各号に定める者であることを証明する書類をいうこと。

【令和3年4月1日施行】

8 事業者は、解体等の作業を行う作業場には、次の事項を、作業に従事する労働者が見やすい箇所に掲示するとともに、次条第一項の作業を行う作業場には、前項の規定による記録の写しを備え付けなければならない。

一 調査終了日

二 前項第六号及び第八号に規定する事項の概要

○ 作業場に掲示すべき事項のうち、第3条第7項第6号に規定する事項の概要は、事前調査等を行った部分がおおよそ特定できる情報を簡潔にまとめたもので差し支えないこと。具体的には、例えば、建築物全体を調査した場合は「建築物全体」といった掲示で足りることとし、建築物の一部の部屋を調査した場合は階数及び部屋名等の当該部屋を特定できる情報を掲示することで足りること。

○ 作業場に掲示すべき事項のうち、第3条第7項第8号に規定する事項の概要は、様式第1号の裏面の記載内容のうち、「石綿使用の有無」の欄及び「石綿なしと判断した根拠」の欄の記載内容と同程度の内容を掲示することで足りること。

○ 掲示方法については、有機溶剤中毒予防規則第24条第1項の規定により掲示すべき事項の内容及び掲示方法(昭和47年労働省告示第123号)第4号を参考にすること。

○ 平成17年8月2日付け基安発第0802003号「建築物等の解体等の作業を行うに当たっての石綿ばく露防止対策等の実施内容の掲示について」に示す掲示の例に、第8項各号に掲げる事項を併せて記載の上、労働者の見やすい箇所に掲示することとしても差し支えないこと。

○ 事前調査等の結果の記録を作業場に備え付けることについては、作業を実施する労働者がいつでも記録を確認することができるようにする趣旨で規定したものであることから、解体等の作業が行われている間は、常に備え付けておく必要があるものであること。

【令和3年4月1日施行】

9 第二項第二号ただし書に規定する材料については、目視により確認することが可能となったときに、事前調査を行わなければならない。

○ 解体等対象建築物等の構造上目視による確認をすることが困難な調査対象材料については、解体等の作業を進める過程で、目視により確認することが可能となったときに、改めて事前調査を行わなければならないこと。

第4条(作業計画)

(作業計画)

第四条 事業者は、石綿等が使用されている解体等対象建築物等(前条第五項ただし書の規定により石綿等が使用されているものとみなされるものを含む。)の解体等の作業(以下「石綿使用建築物等解体等作業」という。)を行うときは、石綿による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、作業計画を定め、かつ、当該作業計画により石綿使用建築物等解体等作業を行わなければならない。

2 前項の作業計画は、次の事項が示されているものでなければならない。

一 石綿使用建築物等解体等作業の方法及び順序

二 石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法

三 石綿使用建築物等解体等作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法

3 事業者は、第一項の作業計画を定めたときは、前項各号の事項について関係労働者に周知させなければならない。

○ 事業者が解体等の作業に係る作業手順、注意事項等を記載した計画書を作成している場合において、第2項各号に掲げる事項を含むときは、別途本条に基づく作業計画を定める必要はないものであること。また、当該計画には、周辺環境への対応、解体廃棄物の適切な処理についても含めることが望ましいこと。

○ 施工中に事前調査では把握していなかった石綿を含有する建材等が発見された場合には、その都度作業計画の見直しを行うこと。

○ 解体等の作業の実施に当たっては、作業環境中の石綿の濃度の測定及び評価に基づく作業環境管理を行うことが望ましいこと。なお、作業環境管理については、別途示す屋外作業場における作業環境管理に係る手法等に基づき行うこと。

第4条の2(事前調査の結果等の報告)

【令和4年4月1日施行】

第四条の二 事業者は、次のいずれかの工事を行おうとするときは、あらかじめ、電子情報処理組織(厚生労働省の使用に係る電子計算機と、この項の規定による報告を行う者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用して、次項に掲げる事項を所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。

一 建築物の解体工事(当該工事に係る部分の床面積の合計が八十平方メートル以上であるものに限る。)

二 建築物の改修工事(当該工事の請負代金の額が百万円以上であるものに限る。)

三 工作物(石綿等が使用されているおそれが高いものとして厚生労働大臣が定めるものに限る。)の解体工事又は改修工事(当該工事の請負代金の額が百万円以上であるものに限る。)

2 前項の規定により報告しなければならない事項は、次に掲げるもの(第三条第三項第三号から第八号までの場合においては、第一号から第四号までに掲げるものに限る。)とする。

一 第三条第七項第一号から第四号までに掲げる事項及び労働保険番号

二 解体工事又は改修工事の実施期間

三 前項第一号に掲げる工事にあっては、当該工事の対象となる建築物(当該工事に係る部分に限る。)の床面積の合計

四 前項第二号又は第三号に掲げる作業にあっては、当該工事に係る請負代金の額

五 第三条第七項第五号、第八号及び第九号に掲げる事項の概要

六 前条第一項に規定する作業を行う場合にあっては、当該作業に係る石綿作業主任者の氏名

七 材料ごとの切断等の作業(石綿を含有する材料に係る作業に限る。)の有無並びに当該作業における石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法及び当該作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法

3 第一項の規定による報告は、様式第一号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出することをもって代えることができる。

4 第一項各号に掲げる工事を同一の事業者が二以上の契約に分割して請け負う場合においては、これを一の契約で請け負ったものとみなして、同項の規定を適用する。

5 第一項各号に掲げる工事の一部を請負人に請け負わせている事業者(当該仕事の一部を請け負わせる契約が二以上あるため、その者が二以上あることとなるときは、当該請負契約のうちの最も先次の請負契約における注文者とする。)があるときは、当該仕事の作業の全部について、当該事業者が同項の規定による報告を行わなければならない。

○ 事前調査を適切に行わずに解体等の作業を行った事例、吹き付けられた石綿等があるにもかかわらず法第88条第3項の規定に基づく届出を行わないまま作業を行った事例、必要な石綿ばく露防止のための措置を講じずに作業を行った事例等が認められたことから、事業者に対して、事前調査及び必要な石綿ばく露防止のための措置の適切な実施を促すとともに、行政が建築物及び工作物の解体工事及び改修工事を把握し、必要な指導を行うことができるようにすることを目的として、一戸建て住宅も含めた建築物の解体工事の大部分及びこれと同規模の改修工事並びに水回りの工事等の石綿等の発散のリスクが高い改修工事が対象となるよう、一定規模以上の建築物及び特定の工作物の解体工事及び改修工事について、石綿の使用の有無に関わらず、事前調査の結果等の報告を義務づけたものであること。

なお、船舶については、石綿等が使用されている可能性が高いものの特定になお時間を要することから、第4条の2の報告対象には含めていないこと。

○ 第1項第1号に規定する建築物の解体工事とは、建築物の壁、柱及び床を同時に撤去する工事をいうこと。第1項第2号に規定する建築物の改修工事とは、建築物に現存する材料に何らかの変更を加える工事であって、建築物の解体工事以外のものをいうこと。

○ 第1項第1号及び第2号に規定する建築物については、石綿等の製造等が禁止された平成18年9月1日以降に着工したものを除き、全ての建築物に石綿等が使用されている可能性が高いため、限定を設けずに一定規模以上の全ての建築物の解体工事又は改修工事を報告の対象としたこと。

○ 第1項第3号に規定する工作物については、これまでの各種調査の結果等から石綿等が使用されている可能性が高いものが特定されていることから、報告の対象とする工事は、石綿が使用されているおそれが高い工作物(石綿障害予防規則第4条の2第1項第3号の規定に基づき厚生労働大臣が定める物(令和2年厚生労働省告示第278号)に規定する以下アからタまでの工作物)としたこと。なお、建築物の改修工事及び工作物の解体・改修工事は、床面積に換算することが困難なものがあるため、工事の請負代金の額を基準としたこと。

ア 反応槽

イ 加熱炉

ウ ボイラー及び圧力容器

エ 配管設備(建築物に設ける給水設備、排水設備、換気設備、暖房設備、冷房設備、排煙設備等の建築設備を除く。)

オ 焼却設備

カ 煙突(建築物に設ける排煙設備等の建築設備を除く。)

キ 貯蔵設備(穀物を貯蔵するための設備を除く。)

ク 発電設備(太陽光発電設備及び風力発電設備を除く。)

ケ 変電設備

コ 配電設備

サ 送電設備(ケーブルを含む。)

シ トンネルの天井板

ス プラットホームの上家

セ 遮音壁

ソ 軽量盛土保護パネル

タ 鉄道の駅の地下式構造部分の壁及び天井板

○ 第1項第2号及び第3号に規定する請負代金の額は、材料費も含めた工事全体の請負代金の額であること。請負代金の額は、消費税も含む額であること。

建築物と工作物が混在するものの解体工事又は改修工事を一括で請け負っている場合は、次のア又はイのいずれか1つでも該当する場合には報告を行わなければならないものであること。

ア 建築物の解体工事に係る部分の床面積の合計が80m2以上である場合

イ 建築物及び工作物の両方を含めた工事全体の請負代金の額が100万円以上である場合

○ 第2項の報告事項のうち、第3条第7項第5号の建築物又は工作物の構造の概要は、鉄筋コンクリート造等の主要構造に関する情報、階数や延べ床面積等の規模に関する情報、建築物にあっては建築基準法に規定する耐火建築物又は準耐火建築物の該当の有無を簡潔に記載すること。また、第3条第7項第9号の厚生労働大臣が定める者であることを証明する書類の写しの概要は、事前調査等を実施した者の氏名及び講習実施機関の名称を記載すること。

○ 第4項は、同一の事業者が工事を分割して請け負うことで報告対象とならないようにするような行為を防止するための規定であること。

○ 第5項は、解体工事又は改修工事は、多くの請負事業者が関わることが想定されるが、同一の工事について、複数の事業者に別々に報告を行わせることは効率的でないことから、当該工事の元請事業者に対し、下請事業者に係る内容も含めて報告することを義務づけたものであること。

○ 第1項の報告の方法は以下アからエまでのとおりとすること。

ア 報告対象となる工事が非常に多いこと、報告を行う事業者の利便性を確保する必要があること等から、厚生労働省が開発・運用する簡易な電子システムを利用して所轄労働基準監督署に報告しなければならないこととしたこと。

イ 建築物と工作物が混在するものの解体工事又は改修工事を一括で請け負っている場合は、建築物及び工作物の両方を含めた工事全体についてまとめて報告を行うことで差し支えないこと。

ウ 所轄労働基準監督署に報告を行った後に、解体工事又は改修工事を進める過程で新たに事前調査を行っていない材料が見つかり、当該材料について改めて事前調査等を行った場合は、当該事前調査等の結果等を追加で所轄労働基準監督署に提出する必要があること。

エ 工作物の中には、数年毎等定期的に同一の部分について修理等の改修を行うものがあるが、平成18年9月1日以降に着工した工作物については、石綿等が使用されていないことが明らかであるにもかかわらず、定期的な改修の度に工事内容や着工日等について労働基準監督署に報告させることは合理的でないことから、平成18年9月1日以降に着工した工作物について、同一の部分を定期的に改修する場合は、改正省令施行後の改修工事について一度報告を行えば、同一部分の改修工事については、その後の報告は不要であること。

第5条(作業の届出)

第五条 事業者は、次に掲げる作業を行うときは、あらかじめ、様式第一号の二による届書に当該作業に係る解体等対象建築物等の概要を示す図面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。

一 解体等対象建築物等に吹き付けられている石綿等(石綿等が使用されている仕上げ用塗り材(第六条の三において「石綿含有仕上げ塗材」という。)を除く。)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業

二 解体等対象建築物等に張り付けられている石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材(耐火性能を有する被覆材をいう。)等(以下「石綿含有保温材等」という。)の除去、封じ込め又は囲い込みの作業(石綿等の粉じんを著しく発散するおそれがあるものに限る。)

2 前項の規定は、法第八十八条第三項の規定による届出をする場合にあっては、適用しない。

○ 第1項各号に掲げる作業については、法第88条第3項の規定に基づく届出を行う必要があるが、同項の規定に基づく届出を行うべき業種が建設業及び土石採取業に限定されており、これら以外の業種に属する事業者についても対象作業を行う場合に届出を行わせる必要があることから、本規定を設けていること。

○ 第1項第1号の「吹き付けられている石綿等」には、石綿をその重量の0.1%を超えて含有するロックウール吹付け材、バーミキュライト吹付け材及びパーライト吹付け材が含まれるものであること。

○ 第1項第2号の「保温材、耐火被覆材等」の「等」には、断熱材が含まれるものであること。

○ 第1項第2号の「石綿等の粉じんを著しく発散させるおそれのあるもの」とは、以下に掲げる保温材、耐火被覆材等が張り付けられた建築物又は工作物の解体等の作業をいうこと。

ア 「石綿等が使用されている保温材」とは、石綿保温材並びに石綿を含有するけい酸カルシウム保温材、けいそう土保温材、バーミキュライト保温材、パーライト保温材及び配管等の仕上げの最終段階で使用する石綿含有塗り材をいうものであること。

イ 「石綿等が使用されている耐火被覆材」とは、石綿を含有する耐火被覆板及びけい酸カルシウム板第二種をいうものであること。

ウ 石綿等が使用されている断熱材とは、屋根用折版石綿断熱材及び煙突石綿断熱材をいうものであること。

○ 第2項は、法第88条第3項の規定に基づく建築物又は工作物の解体等の作業と、石綿等が使用されている保温材、耐火被覆材等の除去作業を併せて行う場合には、二重に届出を行う必要がないこととするものであるが、同項の計画において当該除去作業に係る石綿ばく露防止のための措置の概要を記載しなければならないものであること。

第6条(吹き付けられた石綿等及び石綿含有保温材等の除去等に係る措置)

【第2項第6号、第7号の作業中断時の点検及び第3項の除去完了の確認の規定は令和3年4月1日施行】

第六条 事業者は、次の作業に労働者を従事させるときは、適切な石綿等の除去等に係る措置を講じなければならない。ただし、当該措置と同等以上の効果を有する措置を講じたときは、この限りでない。

一 前条第一項第一号に掲げる作業(囲い込みの作業にあっては、石綿等の切断等の作業を伴うものに限る。)

二 前条第一項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものに限る。)

2 前項本文の適切な石綿等の除去等に係る措置は、次に掲げるものとする。

一 前項各号に掲げる作業を行う作業場所(以下この項において「石綿等の除去等を行う作業場所」という。)を、それ以外の作業を行う作業場所から隔離すること。

二 石綿等の除去等を行う作業場所にろ過集じん方式の集じん・排気装置を設け、排気を行うこと。

三 石綿等の除去等を行う作業場所の出入口に前室、洗身室及び更衣室を設置すること。これらの室の設置に当たっては、石綿等の除去等を行う作業場所から労働者が退出するときに、前室、洗身室及び更衣室をこれらの順に通過するように互いに連接させること。

四 石綿等の除去等を行う作業場所及び前号の前室を負圧に保つこと。

五 第一号の規定により隔離を行った作業場所において初めて前項各号に掲げる作業を行う場合には、当該作業を開始した後速やかに、第二号のろ過集じん方式の集じん・排気装置の排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検すること。

六 第二号のろ過集じん方式の集じん・排気装置の設置場所を変更したときその他当該集じん・排気装置に変更を加えたときは、当該集じん・排気装置の排気口からの石綿等の粉じんの漏えいの有無を点検すること。

七 その日の作業を開始する前及び作業を中断したときは、第三号の前室が負圧に保たれていることを点検すること。

八 前三号の点検を行った場合において、異常を認めたときは、直ちに前項各号に掲げる作業を中止し、ろ過集じん方式の集じん・排気装置の補修又は増設その他の必要な措置を講ずること。

3 事業者は、前項第一号の規定により隔離を行ったときは、隔離を行った作業場所内の石綿等の粉じんを処理するとともに、第一項第一号に掲げる作業(石綿等の除去の作業に限る。)又は同項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の除去の作業に限る。)を行った場合にあっては、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等を除去した部分を湿潤化するとともに、石綿等に関する知識を有する者が当該石綿等又は石綿含有保温材等の除去が完了したことを確認した後でなければ、隔離を解いてはならない。

○ 吹き付けられた石綿等を除去する作業を行う場合は、石綿等の粉じんの発生量が多く、このような作業場所に隣接した場所で作業を行う労働者が当該粉じんにばく露するおそれがあるため、それ以外の作業を行う場所から隔離すべきことを規定したものであること。

○ 石綿等の切断等の作業を伴う吹付け石綿等の囲い込みの作業として、例えば、石綿が吹き付けられた天井に穴を開け、覆いを固定するためのボルトを取り付ける等の作業があること。

○ 第1項柱書きの「同等以上の効果を有する措置」としては、次の方法により石綿等を除去する方法があるほか、今後の技術の進展等により新たな石綿等の飛散防止方法が開発された場合において、当該飛散防止方法が「同等以上の効果を有する措置」に当たると認められるときにおける当該飛散防止措置も含むものであること。

ア 次の(ア)から(カ)までに掲げる措置を全て満たしたグローブバッグ工法

(ア) グローブバッグにより、吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等の除去作業を行おうとする箇所を覆い、密閉すること。

(イ) 除去作業を開始する前に、スモークテスト又はそれと同等の方法で密閉の状況を点検し、漏れがあった場合はふさぐこと。

(ウ) 吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等を除去する前に、これらの材料を湿潤な状態のものとすること。

(エ) 除去作業が終了した後、密閉を解く前に、吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等を除去した部分を湿潤化すること。

(オ) 除去作業が終了した後、グローブバッグを取り外すときは、あらかじめ内部の空気をHEPAフィルタを通して抜くこと。

(カ) グローブバッグから工具等を持ち出すときは、あらかじめ付着した物を除去し、又は梱包すること。

イ 破損等のない良好な状態の屋根折版を、湿潤な状態で手ばらし等により裏張り断熱材をつけたまま除去する方法

○ 第1項第2号の作業には、保温材、耐火被覆材等が張り付けられた建材等を当該保温材、耐火被覆材等が使用されていない部分の切断等により除去する作業は含まれず、当該作業には第7条の規定が適用されるものであること。

○ 第2項第1号の「それ以外の作業を行う作業場所から隔離する」とは、石綿等の除去等を行う作業場所をビニルシート等で覆うこと等により、石綿等の粉じんが他の作業場所に漏れないようにすることであること。

また、同条第1項各号の作業に従事する者以外の者が立ち入ることがないようにしておかなければならないものであること。

○ 天井裏に吹き付けられた石綿等の除去に伴い、あらかじめ当該石綿等の下に施工されている天井板(石綿を含有しないものを含む。)の除去作業を行う場合には、当該天井板の上面に長年にわたり堆積した石綿等の粉じんが飛散すること、又は天井裏に吹き付けられた石綿等が損傷を受けることにより石綿等の粉じんが発散することがあるので、当該作業においても本条に基づき作業場所を隔離する必要があること。

○ 第2項第2号により設置するろ過集じん方式の集じん・排気装置については、当該装置から排気される空気が清浄化されている必要があり、そのための有効な集じん方式としては、日本工業規格Z8122に定めるHEPAフィルタを付ける方法があること。また、作業の開始前その他必要なとき、装置が有効に稼働できる状態にあるか確認する必要があること。

○ 集じん・排気装置は隔離された作業場所を十分換気できる能力のものを使用する必要があり、作業場所の気積によっては複数の集じん・排気装置を設置する必要があること。

○ 第2項第3号の「前室」とは、隔離された作業場所の出入口に設けられる隔離された空間のことであること。

○ 第2項第3号の「洗身室」とは、シャワー(エアーシャワーを含む。)等の身体に付着した石綿等を洗うための設備を備えた洗身を行うための室をいうこと。

○ 第2項第3号の「更衣室」とは、更衣を行うための室をいい、汚染を拡げないため作業用の衣服等と通勤用の衣服等とを区別しておくことができるものであること。

○ 第2項第3号の「これらの室の設置に当たっては、石綿等の除去等を行う作業場所から労働者が退出するときに、前室、洗身室及び更衣室をこれらの順に通過するように互いに連接させること」とは、作業場所から労働者が退出する際に、石綿等の粉じんが作業場所の外部へ持ち出されることを防ぐため、前室を経由し、洗身室において体に付着した石綿等を洗い、更衣室において更衣を行い退出する趣旨であること。

なお、同号の趣旨を踏まえると、前室に洗身室及び更衣室を連接させた場合でも、隔離措置を行った作業場所以外の場所で石綿等を取り扱う作業を労働者が行っている場合は、当該労働者は、前室に連接した洗身室内の洗浄設備及び更衣室を使用することは適切ではないため、当該労働者に使用させるために、第31条の規定に基づく洗身設備及び更衣設備は、前室に連接した洗身室及び更衣室とは別に設ける必要があること。

○ 第2項第4号の「前号の前室を負圧に保つ」とは、石綿等の除去等を行う作業場所に設置したろ過集じん方式集じん・排気装置が適正に作動し、作業場所及び前室の空気を排出することで負圧を保つことにより、隔離された作業場所の出入口から当該作業場所内部の空気が漏えいしていない状態をいい、前室にろ過集じん方式集じん・排気装置を設置することを求めるものではないことに留意すること。

なお、当該状態の確認に当たっては、集じん・排気装置を使用している状態で、当該作業場所の出入口においてスモークテスターを使用すること等の方法があること。

○ 第2項第5号の点検に当たっては、作業開始後に排気口のダクト内部の空気を採気し、粉じんが検出されないこと、又は作業開始前に集じん・排気装置を稼働させ、排気口のダクト内部の粉じん濃度が一定濃度まで下がって安定したことを確認のうえ、作業開始後に排気口のダクト内部の粉じん濃度が作業開始前と比較して上昇していないことを確認すること。

また、集じん・排気装置の設置時及び1次フィルタ又は2次フィルタの交換の都度、フィルタ及びパッキンが適切に取り付けられていること等についても目視で確認すること。

○ 第2項第6号は、集じん・排気装置について、設置後に足場が当たって接合部が外れた等の理由により、石綿等の粉じんが隔離の外に漏れる事例が認められたことから、集じん・排気装置に変更を加えたときは、排気口からの石綿等の粉じんの漏洩の有無を点検しなければならないこととしたものであること。

○ 第2項第5号及び第6号の石綿等の粉じんの漏洩の有無の点検は、集じん・排気装置の排気口で、粉じん相対濃度計(いわゆるデジタル粉じん計をいう。)、繊維状粒子自動測定機(いわゆるリアルタイムモニターをいう。)又はこれらと同様に空気中の粉じん濃度を迅速に計測できるものを使用すること。

○ 第2項第7号の「その日の作業を開始する前」とは、一日の石綿等の除去等の作業のうち最初に行うものの前の時点をいうものであること。また、作業の中断により作業者が前室から一斉に出たときに、負圧が維持されなくなり、石綿等の粉じんが隔離の外に漏れる事例が認められたことから、作業を中断したときは、前室が負圧に保たれていることを点検しなければならないこととしたこと。作業が複数日に亘って行われる場合は、最終日を除く日の作業が終了したときも、作業を中断したときに該当すること。なお、点検のタイミングは、作業を中断して作業者の前室からの退出が完了した時点で行う必要があること。

○ 第2項第7号の負圧の点検は、集じん・排気装置を稼働させた状態で、前室への出入口で、スモークテスター若しくは微差圧計(いわゆるマノメーターをいう。)又はこれに類する方法により行うこと。

○ 第2項第8号の「ろ過集じん方式の集じん・排気装置の補修又は増設その他の必要な措置」の「その他の必要な措置」には、フィルタの装着の不具合の修繕、集じん・排気装置の交換、集じん・排気装置の機能によりその吸気量を増やすこと、前室の出入口以外の空気の漏えい箇所の密閉等、異常の原因を改善するための措置が含まれ、それらの措置により異常が解消される必要があること。

また、同号の「前項各号に掲げる作業を中止」は、集じん・排気装置が正常に稼働し、排気口からの石綿等の漏えいがなく、前室が負圧に保たれる状態に復帰するまでの間、作業を中止することを求めるものであること。

なお、集じん・排気装置の排気口から石綿等の粉じんが漏えいしていることが確認された場合には、関係労働者にその旨を知らせるとともに、当該漏えいにより石綿等にばく露した労働者については、第35条第4号の記録が必要となること。

○ 第3項は、隔離を解いた後に、吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等の取り残しがある事例が認められたことから、石綿等に関する知識を有する者が、除去が完了したことを確認した後でなければ、隔離を解いてはならないこととしたこと。石綿等に関する知識を有する者とは、第3条第4項に規定する厚生労働大臣が定める者(建築物に係る除去作業の完了を確認する者に限る。)又は当該除去作業に係る石綿作業主任者であること。除去が完了したことの確認は目視によることとし、分析は必要ないこと。

○ 第3項の「除去した部分を湿潤化する」とは、表面に皮膜を形成し粉じんの飛散を防止することができるような薬液等により行う必要があるものであること。

第6条の2(石綿含有成形品の除去に係る措置)

【令和2年10月1日施行】

第六条の二 事業者は、成形された材料であって石綿等が使用されているもの(石綿含有保温材等を除く。次項において「石綿含有成形品」という。)を建築物、工作物又は船舶から除去する作業においては、切断等以外の方法により当該作業を実施しなければならない。ただし、切断等以外の方法により当該作業を実施することが技術上困難なときは、この限りでない。

2 事業者は、前項ただし書の場合において、石綿含有成形品のうち特に石綿等の粉じんが発散しやすいものとして厚生労働大臣が定めるものを切断等の方法により除去する作業を行うときは、次に掲げる措置を講じなければならない。ただし、当該措置と同等以上の効果を有する措置を講じたときは、この限りでない。

一 当該作業を行う作業場所を、当該作業以外の作業を行う作業場所からビニルシート等で隔離すること。

二 当該作業中は、当該石綿含有成形品を常時湿潤な状態に保つこと。

○ 第1項の石綿含有成形品とは、成形された材料で石綿が使用されているものをいい、石綿含有保温材等は含まないものであること。

○ 第1項は、一戸建て住宅等にも多く使用されている石綿を含有するスレートボードやけい酸カルシウム板第1種等の石綿含有成形品を、家屋の解体やリフォーム等を行う際に、十分に湿潤な状態のものとしないまま切断、破砕等の方法により除去し、石綿等の粉じんが飛散する事例が認められたことから、切断等以外の方法により除去することを原則としたこと。なお、切断等以外の方法とは、ボルトや釘等を撤去し、手作業で取り外すこと等をいうこと。

○ 第1項の切断等以外の方法により石綿含有成形品の除去作業を実施することが技術上困難なときには、当該材料が下地材等と接着材で固定されており、切断等を行わずに除去することが困難な場合や、当該材料が大きく切断等を行わずに手作業で取り外すことが困難な場合等が含まれること。

○ 第2項の特に石綿等の粉じんが発散しやすいものとして厚生労働大臣が定めるものとしては、けい酸カルシウム板第1種について、切断、破砕等を行った場合に比較的高濃度の石綿等の粉じんが飛散するが、湿潤な状態にし、隔離を行うことにより、隔離の外側への石綿等の粉じんの飛散は抑制できるとの調査結果が環境省の調査において得られていることから、石綿障害予防規則第6条の2第2項の規定に基づき厚生労働大臣が定める物(令和2年厚生労働省告示第279号)においてけい酸カルシウム板第1種を規定したものであること。

○ 第2項第1号に規定する「隔離」は、負圧に保つことを求めるものではないこと。

○ 第2項第2号に規定する「常時湿潤な状態に保つ」とは、除去作業を行う前に表面に対する散水等により湿潤な状態にするだけでは切断等に伴う石綿等の粉じんの発散抑制措置としては十分ではないことから、切断面等への散水等の措置を講じながら作業を行うことにより、湿潤な状態を保つことをいうこと。

第6条の3(石綿含有仕上げ塗材の電動工具による除去に係る措置)

【令和3年4月1日施行】

第六条の三 前条第二項の規定は、事業者が建築物、工作物又は船舶の壁、柱、天井等に用いられた石綿含有仕上げ塗材を電動工具を使用して除去する作業に労働者を従事させる場合について準用する。

○ 石綿含有仕上げ塗材とは、セメント、合成樹脂等の結合材、顔料、骨材等を主原料とし、主として建築物の内外の壁又は天井を、吹付け、ローラー塗り、こて塗り等によって立体的な造形性を持つ模様に仕上げる材料としてJIS A 6909に定められている建築用仕上塗材のうち、石綿等が使用されているものをいうこと。

○ 石綿含有仕上げ塗材は、吹付け工法により施工されているものは、吹き付けられた石綿等として、除去等の作業を行う場合は石綿障害予防規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第134号)による改正前の石綿則第6条の規定の適用対象の作業とされるが、ローラー塗り工法等の吹付け工法以外の工法で施工されたものは、同条の適用対象とはされていなかった。しかし、施工の方法によって除去等の作業を行うときの石綿等の粉じんの発散の程度に違いはないこと、特定の電動工具を用いて石綿含有仕上げ塗材を除去する場合は飛散性が高いが、吹き付けられた石綿等や石綿含有保温材等を除去する場合ほど石綿等の粉じんは発散しないことから、施工の方法によらず、電動工具を用いて石綿含有仕上げ塗材を除去するときは、ビニルシート等で隔離すること等の措置を義務づけたものであること。

○ 「電動工具を使用して除去する作業」とは、ディスクグラインダー又はディスクサンダーを用いて除去する作業をいい、高圧水洗工法、超音波ケレン工法等により除去する作業は含まれないこと。

○ 石綿含有仕上げ塗材を電動工具を使用して除去する場合に必要となる「常時湿潤な状態に保つ」措置の方法として、剥離剤を使用する方法も含まれること。

第7条(石綿等の切断等の作業を伴わない作業に係る措置)

第七条 事業者は、次に掲げる作業に労働者を従事させるときは、当該作業場所に当該作業に従事する労働者以外の者(第十四条に規定する措置が講じられた者を除く。)が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

一 第五条第一項第一号に掲げる作業(石綿等の切断等の作業を伴うものを除き、囲い込みの作業に限る。)

二 第五条第一項第二号に掲げる作業(石綿含有保温材等の切断等の作業を伴うものを除き、除去又は囲い込みの作業に限る。)

2 特定元方事業者(法第十五条第一項の特定元方事業者をいう。)は、その労働者及び関係請負人(法第十五条第一項の関係請負人をいう。以下この項において同じ。)の労働者の作業が、前項各号に掲げる作業と同一の場所で行われるときは、当該作業の開始前までに、関係請負人に当該作業の実施について通知するとともに、作業の時間帯の調整等必要な措置を講じなければならない。

○ 立入禁止の対象となる作業場所とは、作業場内において当該作業が行われている個々の作業場所をいうものであり、必ずしも壁、天井等により区画される区域までをいうものではないこと。

○ 保護具等を使用した者は立入禁止の対象としていないが、みだりに当該作業場所で他の作業を行うべきではないこと。

○ 石綿等の切断等を伴わない吹付け石綿等の囲い込みの作業として、例えば、石綿が吹き付けられた壁、天井等に覆いを設ける場合において、当該壁、天井等に穴を開けることなく当該覆いを固定する作業があること。

第8条(発注者の責務等)

【第2項の規定は令和3年4月1日施行】

第八条 解体等の作業を行う仕事の発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいう。次項及び第三十五条の二第二項において同じ。)は、当該仕事の請負人に対し、当該仕事に係る解体等対象建築物等における石綿等の使用状況等を通知するよう努めなければならない。

2 解体等の作業を行う仕事の発注者は、当該仕事の請負人による事前調査等及び第三十五条の二第一項の規定による記録の作成が適切に行われるように配慮しなければならない。

○ 「発注者」とは、建築物又は工作物の所有者、管理者等で、当該建築物又は工作物の解体等の作業を行う仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいうこと。

○ 第1項は、発注者が石綿等の使用の状況等に係る情報を有している場合に通知するよう努めなければならないものであり、情報を有していない場合まで通知を求める趣旨ではないこと。

○ 第2項は、第3条第3項各号の規定により、事前調査の方法として、過去に行われた事前調査に相当する調査の結果の記録を確認する方法、有害物質一覧表を確認する方法等、発注者が所持していると考えられる情報に基づいて事前調査を行うことが可能となったことから、これらの方法による事前調査が適切に行われるよう、発注者は所持する情報を事前調査を実施する事業者に提供すること等の配慮をしなければならないことしたこと。

また、第35条の2第1項の規定により、事業者は、作業計画に従って石綿使用建築物等解体等作業を行わせたことについて、写真等により記録を作成することが義務づけられたが、写真等の撮影を行うときは、当該石綿使用建築物等を管理する発注者の許可や協力が必要となる場合が考えられることから、写真等による記録の作成が適切に行われるよう、発注者は配慮しなければならないことしたこと。

○ 建築物の譲渡、提供等の契約において石綿則第3条第1項の作業を行わせることが前提とされている場合には、当該作業を行わせることとなる者は当該契約の態様にかかわらず「発注者」に該当し、第8条の規定が適用されること。

第9条(建築物の解体等の作業等の条件)

第九条 解体等の作業を行う仕事の注文者は、事前調査等、当該事前調査等の結果を踏まえた当該作業等の方法、費用又は工期等について、法及びこれに基づく命令の規定の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないように配慮しなければならない。

○ 解体等の作業においては、石綿等の使用の有無を調査する前に施工も含めた工事の注文がなされ、その後に工事を受注した事業者が事前調査等を行った結果石綿等の使用が明らかになった場合においても、注文者が契約金額等の変更をせず、その結果工事費用を受注金額内に収めるために工事を施工する事業者が必要な石綿ばく露防止対策を講じないといった事例が認められたことから、注文者に対して、事前調査等の結果を踏まえて作業等の方法、費用又は工期等について、法及びこれに基づく命令の規定の遵守を妨げるおそれのある条件を付さないよう配慮しなければならないことを明確化したものであること。

○ 建築物の譲渡、提供等の契約において石綿則第3条第1項の作業を行わせることが前提とされている場合には、当該作業を行わせることとなる者は当該契約の態様にかかわらず「発注者」に該当し、第9条の規定が適用されること。

第10条

第十条 事業者は、その労働者を就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(次項及び第四項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、当該吹き付けられた石綿等又は石綿含有保温材等の除去、封じ込め、囲い込み等の措置を講じなければならない。

2 事業者は、その労働者を臨時に就業させる建築物若しくは船舶又は当該建築物若しくは船舶に設置された工作物(第四項に規定するものを除く。)に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、労働者に呼吸用保護具及び作業衣又は保護衣を使用させなければならない。

3 労働者は、事業者から前項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

4 法第三十四条の建築物貸与者は、当該建築物の貸与を受けた二以上の事業者が共用する廊下の壁等に吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等が損傷、劣化等により石綿等の粉じんを発散させ、及び労働者がその粉じんにばく露するおそれがあるときは、第一項に規定する措置を講じなければならない。

○ 「吹き付けられた石綿等」には、天井裏等通常労働者が立ち入らない場所に吹き付けられた石綿等で、建材等で隔離されているものは含まないものであること。

○ 第1項の「除去」とは、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等をすべて除去して、他の石綿を含有しない建材等に代替する方法をいうこと。この方法は吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等からの粉じんの発散を防止するための方法として、もっとも効果的なものであり、損傷、劣化の程度の高いもの(脱落・繊維の垂れ下がりが多いもの等)、基層材との接着力が低下しているもの(吹付け層が浮き上がっているもの等)、振動や漏水のあるところに使われているもの等については、この方法によることが望ましいこと。

○ 第1項の「封じ込め」とは、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等の表面に固化剤を吹き付けることにより塗膜を形成すること、又は吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等の内部に固化剤を浸透させ、石綿繊維の結合力を強化することにより吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等からの発じんを防止する方法をいうこと。

○ 第1項の「囲い込み」とは、石綿等が吹き付けられている又は張り付けられた石綿含有保温材等を使用した天井、壁等を石綿を含有しない建材で覆うことにより、石綿等の粉じんを室内等に発散させないようにする方法をいうこと。

○ 損傷等によりその粉じんを発散させている石綿含有保温材等の囲い込みの作業は、石綿等の切断、穿孔、研磨等を伴わない場合であっても、石綿等の粉じんに労働者がばく露するおそれがあることから、石綿等を取り扱う作業に該当するものとして石綿則の規定の適用をうけるものであること。

○ 第2項の「その労働者を臨時に就業させる」とは、当該建築物において通常労働者が立ち入らない場所における臨時の作業に従事させることをいい、例えば、天井裏、エレベーターの昇降路等における設備の点検、補修等の作業、掃除の作業等があること。

○ 呼吸用保護具は、当該建築物の吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等の状況に応じて有効なものを選択すること。

○ 作業衣は、粉じんが付着しにくいものとすること。

○ 「除去」以外の措置を講じた場合には、その施工記録等の情報を設計図書等と合わせて保存することが望ましいこと。

○ 石綿等が吹き付けられている又は張り付けられた石綿含有保温材等を使用したことが明らかとなった場合には、吹き付けられた石綿等又は張り付けられた石綿含有保温材等の損傷、劣化等により石綿等の粉じんにばく露するおそれがある旨を労働者に対し情報提供することが望ましいこと。

第12条(作業に係る設備等)

第十二条 事業者は、石綿等の粉じんが発散する屋内作業場については、当該粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。ただし、当該粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の設置が著しく困難なとき、又は臨時の作業を行うときは、この限りでない。

2 事業者は、前項ただし書の規定により石綿等の粉じんの発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けない場合には、全体換気装置を設け、又は当該石綿等を湿潤な状態にする等労働者の健康障害を予防するため必要な措置を講じなければならない。

○ 第1項は、屋内作業場の一定した箇所から、石綿等の粉じんが発散する場合に、その粉じんによる作業場内の空気の汚染及び健康障害を防止するため、その発散源に局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設置すべきことを規定したものであり、第2項は第1項ただし書に相当する場合における全体換気装置の設置その他必要な措置を規定したものであること。

○ 第1項の「設置が著しく困難なとき」には、種々の場所に短期間ずつ出張して行う作業の場合又は発散源が一定していないために技術的に設置が困難な場合があること。

○ 第1項の「臨時の作業」とは、その事業において通常行っている作業のほかに一時的必要に応じて行う作業をいうこと。

したがって、一般的には、作業時間が短時間の場合が少なくないが、必ずしもそのような場合のみに限られる趣旨ではないこと。

○ 本規則において、「屋内作業場」には、作業場の建家の側面の半分以上にわたって壁、羽目板、その他のしゃ蔽物が設けられておらず、かつ粉じんがその内部に滞留するおそれがない作業場は含まれないこと。

○ 第2項の「湿潤な状態にする等」の「等」には、短期間出張して行う作業又は臨時の作業を行う場合における適切な保護具の使用が含まれること。

第13条(石綿等の切断等の作業等に係る措置)

第十三条 事業者は、次の各号のいずれかに掲げる作業に労働者を従事させるときは、石綿等を湿潤な状態のものとしなければならない。ただし、石綿等を湿潤な状態のものとすることが著しく困難なときは、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講ずるように努めなければならない。

一 石綿等の切断等の作業(第六条の二第二項に規定する作業を除く。)

二 石綿等を塗布し、注入し、又は張り付けた物の解体等の作業(石綿使用建築物等解体等作業を含み、第六条の三に規定する作業を除く。)

三 粉状の石綿等を容器に入れ、又は容器から取り出す作業

四 粉状の石綿等を混合する作業

五 前各号に掲げる作業、第六条の二第二項に規定する作業又は第六条の三に規定する作業(以下「石綿等の切断等の作業等」という。)において発散した石綿等の粉じんの掃除の作業

2 事業者は、石綿等の切断等の作業等を行う場所に、石綿等の切りくず等を入れるためのふたのある容器を備えなければならない。

○ 本条は、屋内、屋外の作業場を問わず第1項第1号から第5号までに規定する作業を行う場合には、石綿等の粉じんの発散を防止するため、原則として湿潤な状態にしなければならないこととしたものであること。

○ 第1項の「湿潤な状態のものとする」ための方法には、散水による方法、封じ込めの作業において固化剤を吹き付ける方法のほか、除去の作業において剥離剤を使用する方法も含まれること。なお、「湿潤な状態のものとする」とは、作業前に散水等により対象となる材料を一度湿潤な状態にすることだけではなく、切断面等への散水等の措置を講じながら作業を行うことにより、湿潤な状態を保つことをいうこと。

○ 第1項の「著しく困難なとき」には、湿潤な状態とすることによって石綿等の有用性が著しく損なわれるとき、掃除の作業において床の状況等により湿潤な状態とすることによってかえって掃除することが困難となるおそれのあるとき及び吹付け石綿等の囲い込みの作業において、吹き付けられた石綿等の状態等により湿潤な状態とすることによって、かえって石綿等の粉じんが発散するおそれがあるときが含まれるものであること。

○ 第1項ただし書の措置は、石綿等の切断等の作業において石綿等の粉じんの発散を抑制するための方法として、石綿等を湿潤な状態のものとすること以外に、除じん性能を有する電動工具を用いる方法も一定の発散抑制効果があることが確認されていることから、石綿等を湿潤な状態のものとすることが著しく困難なときは、除じん性能を有する電動工具の使用その他の石綿等の粉じんの発散を防止する措置を講ずるよう努めなければならないこととしたこと。

除じん性能を有する電動工具の使用以外の石綿等の粉じんの発散を防止する措置には、作業場所を隔離することが含まれること。

○ 第1項第3号及び第4号の「粉状の石綿等」には、繊維状の石綿等が含まれ、樹脂等で塊状、布状等に加工され発じんのおそれのないものは含まれないものであること。

○ 第2項は、石綿等の切りくず等を放置することにより、切りくず等から石綿等の粉じんが発生することを防止するため、ふたのある容器を備えなければならないこととしたものであること。

第14条

第十四条 事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に呼吸用保護具(第六条第二項第一号の規定により隔離を行った作業場所における同条第一項第一号に掲げる作業(除去の作業に限る。第三十五条の二第二項において「吹付石綿等除去作業」という。)に労働者を従事させるときは、電動ファン付き呼吸用保護具又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器、酸素呼吸器若しくは送気マスク(同項において「電動ファン付き呼吸用保護具等」という。)に限る。)を使用させなければならない。

2 事業者は、石綿等の切断等の作業等に労働者を従事させるときは、当該労働者に作業衣を使用させなければならない。ただし、当該労働者に保護衣を使用させるときは、この限りでない。

3 労働者は、事業者から前二項の保護具等の使用を命じられたときは、これを使用しなければならない。

○ 第13条第1項各号の作業はいずれも石綿等の粉じんの発生量が多いものであることから、労働者のばく露防止の徹底を図るため、同条の措置に加えて、呼吸用保護具、作業衣等の使用を義務付けるものであること。

○ 第1項の「同条第一項第一号に掲げる作業」とは、吹き付けられた石綿等を除去する作業に伴う一連の作業をいい、例えば、隔離された作業場所における、除去した石綿等を袋等に入れる作業、現場監督に係る作業等についても含まれるものであること。

なお、これらの作業を行うため事前に行う作業(足場の設置の作業等)等については含まないものであること。

○ 呼吸用保護具は作業に応じて有効なものを選択すること。

○ 「電動ファン付き呼吸用保護具」とは、電動ファン付き呼吸用保護具の規格(平成26年厚生労働省告示第455号)に適合するもののうち、規格で定める電動ファンの性能区分が大風量形であり、漏れ率が0.1%以下(規格で定める漏れ率に係る性能区分がS級)であり、かつ、ろ過材の粒子捕集効率が99.97%以上(規格で定めるろ過材の性能区分がPS3又はPL3)であるものをいうこと。

○ 空気呼吸器とは日本産業規格T8155に定める規格に適合する空気呼吸器又はこれと同等以上の性能を有する空気呼吸器をいい、酸素呼吸器とは日本産業規格M7601若しくは日本産業規格T8156に定める規格に適合する酸素呼吸器又はこれらと同等以上の性能を有する酸素呼吸器、送気マスクとは日本産業規格T8153に定める規格に適合する送気マスク又はこれと同等以上の性能を有する送気マスクをいい、これらのうち、電動ファン付き呼吸用保護具と同等以上の性能を有するものとして、例えば、プレッシャデマンド形や一定流量形のエアラインマスク等があること。

○ 作業衣は粉じんの付着しにくいものとすること。

○ 第6条により措置される隔離空間の内部など石綿粉じんの発生量が多い作業場所で使用すべき保護衣は、日本産業規格JIS T8115の浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5)同等品以上のものであること。

第15条(立入禁止措置)

第十五条 事業者は、石綿等を取り扱い(試験研究のため使用する場合を含む。以下同じ。)、若しくは試験研究のため製造する作業場又は石綿分析用試料等を製造する作業場には、関係者以外の者が立ち入ることを禁止し、かつ、その旨を見やすい箇所に表示しなければならない。

○ 本条は、石綿等の製造又は取扱いを行う作業場について、関係者以外の者がみだりに立ち入らないよう措置し、その旨を表示すべきことを規定したものであること。

第16条(局所排気装置等の要件)

第十六条 事業者は、第十二条第一項の規定により設ける局所排気装置については、次に定めるところに適合するものとしなければならない。

一 フードは、石綿等の粉じんの発散源ごとに設けられ、かつ、外付け式又はレシーバー式のフードにあっては、当該発散源にできるだけ近い位置に設けられていること。

二 ダクトは、長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少なく、かつ、適当な箇所に掃除口が設けられている等掃除しやすい構造のものであること。

三 排気口は、屋外に設けられていること。ただし、石綿の分析の作業に労働者を従事させる場合において、排気口からの石綿等の粉じんの排出を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。

四 厚生労働大臣が定める性能を有するものであること。

2 事業者は、第十二条第一項の規定により設けるプッシュプル型換気装置については、次に定めるところに適合するものとしなければならない。

一 ダクトは、長さができるだけ短く、ベンドの数ができるだけ少なく、かつ、適当な箇所に掃除口が設けられている等掃除しやすい構造のものであること。

二 排気口は、屋外に設けられていること。ただし、石綿の分析の作業に労働者を従事させる場合において、排気口からの石綿等の粉じんの排出を防止するための措置を講じたときは、この限りでない。

三 厚生労働大臣が定める要件を具備するものであること。

○ 本条は、第12条第1項の規定により設ける局所排気装置又はプッシュプル型換気装置に関し、有効な稼働効果を確保するための構造上の要件及び能力について規定したものであること。

○ 第1項第1号は、局所排気装置のフードが適切な位置に設けられていないためにその効果がしばしば減少することがあるので、その効果を期するために必要なフードの設置位置について規定したものであること。

○ 第1項第1号の「発散源にできるだけ近い位置に設ける」とは、局所排気装置の吸引効果は、フード開口面と発散源との間の距離の二乗に比例して低下することから、フードが十分に機能するようフード開口面を発散源に近づけることをいうこと。

○ 第1項第1号の「外付け式フード」とは、フード開口部が発散源から離れている方式のフードをいうこと。

○ 第1項第1号の「レシーバー式フード」とは、外付け式フードと類似しているが、発散源からの熱上昇気流等による一定方向への気流に対して開口部がその気流を受ける方向にあるものをいうこと。

○ 第1項第2号及び第2項第1号は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置のダクトの配置が不良のために、ダクトが長くなりすぎたり、ベンドが多くなったりして圧力損失(抵抗)が増大し、その結果、より大きな能力のファンが必要となること、又は稼働中に粉じんが堆積して著しく局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置の能力が低下することがしばしばあるので、装置の効果を期するために必要なダクトの構造について規定したものであること。

○ 第1項第2号及び第2項第1号の「適当な箇所」としては、ベンドの部分又は粉じんが堆積しやすい箇所があること。

○ 第1項第2号及び第2項第1号の「掃除口が設けられている等」の「等」には、ダクトを差込み式にして容易に取り外しすることができる構造にすることが含まれること。

○ 第1項第3号及び第2項第2号は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置からの汚染空気が作業場内に排出されることを防ぐために規定したものであること。

○ 第1項第3号及び第2項第2号の「石綿の分析の作業」とは、石綿の分析に際して行う、秤量、顕微鏡観察、試料調整や粉砕の作業が挙げられること。なお、石綿小体に係る病理検査やプレパラートを顕微鏡観察する作業など石綿粉じんの発散しない作業については第12条の適用がないこと。

○ 第1項第3号及び第2項第2号の「排気口」には、第18条により除じんした後の排気を排出する排気口が含まれること。

○ 第1項第3号及び第2項第2号の「排気口からの石綿等の粉じんの排出を防止するための措置」とは、国が専門家を参集して行った「化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会」における検討結果を受け、次のア及びイのいずれも満たすものとして取り扱うこと。

ア 除じん装置は、ろ過方式とし、HEPAフィルタなど捕集効率が99.97%以上のろ過材を使用すること。

イ 正常に除じんできていることを確認するため次のすべての措置を講じること。

・ 局所排気装置等の設置時・移転時やフィルタの交換時には、除じん装置が適切に粉じんを捕集することを確認すること。確認の方法としては、例えば、①微粒子計測器(いわゆるパーティクルカウンター)により排気の粒子濃度を室内のバックグラウンドと比較すること、又は②スモークテスターをたいて排気口で粉じんが検出されないことを粉じん相対濃度計(いわゆるデジタル粉じん計)若しくは微粒子計測器により確認することが挙げられること。

・ 除じん装置を1月以内ごとに1回点検すること。点検の主な内容としては、除じん装置の主要部分の損傷、脱落、異常音等の異常の有無、除じん効果の確認等があること。除じん効果の確認方法については、上記の設置時等における粉じんの捕集の確認方法があること。

・ 石綿分析作業中に、除じん装置の排気口において、半年以内ごとに1回、総繊維数濃度の測定を行い、排気口において総繊維数濃度が管理濃度の10分の1を上回らないことを確認すること。その際、測定は、ろ過捕集方式及び計数方法によること。なお、繊維数の計数は技術等を要するため、十分な経験及び必要な能力を有する者が行うことが望ましいこと。

・ これらの確認・点検で問題が認められた場合は、直ちに補修・フィルタの交換等の必要な改善措置を講じること。

○ 第1項第4号は、局所排気装置の具備すべき能力について定めたものであるが、局所排気装置が、そのフードの周囲の所定位置において石綿等の粉じんの濃度を一作業直の時間中に平均して、常態として、それぞれ厚生労働大臣が定める値(抑制濃度)を超えないようにすることのできる能力のものであるべきことを規定したものであること。

なお、この厚生労働大臣が定める値は、石綿障害予防規則第十六条第一項第四号の厚生労働大臣が定める性能(平成17年厚生労働省告示第129号)で定めたものであること。

○ 第2項第3号は、石綿障害予防規則第十六条第二項第三号の厚生労働大臣が定める要件(平成17年厚生労働省告示第130号)により、プッシュプル型換気装置の具備すべき能力について定めたものであること。

第17条(局所排気装置等の稼働)

第十七条 事業者は、第十二条第一項の規定により設ける局所排気装置又はプッシュプル型換気装置については、石綿等に係る作業が行われている間、厚生労働大臣が定める要件を満たすように稼働させなければならない。

2 事業者は、前項の局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を稼働させるときは、バッフルを設けて換気を妨害する気流を排除する等当該装置を有効に稼働させるため必要な措置を講じなければならない。

○ 第1項は、第12条第1項の規定により設置した局所排気装置又はプッシュプル型換気装置について、石綿等の製造又は取扱いの作業に労働者が従事している間稼働させるべきことを規定したものであること。

また、第2項は、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置の構造及び能力が適切であっても、例えば窓を開放したり、換気扇を近接させたりすることによる気流の乱れによりフードの吸い込みを悪くし、その結果、装置の効果を低下させることがあるので、このような周囲の環境変化による悪影響を防止するための必要な措置を規定したものであること。

○ 第2項の「バッフル」とは、邪魔板ともいい、発散源付近の吸込み気流を外部の気流等からの影響から遮断するため設ける衝立等をいうこと。

○ 第2項の「換気を妨害する気流を排除する等」の「等」には、風向板を設けて気流の方向を変えること又は開放された窓を閉じることが含まれること。

○ 第2項の「有効に稼働させる」とは、別途示される告示に規定する稼働要件を満たしていることをいうこと。

第18条(除じん)

第十八条 事業者は、石綿等の粉じんを含有する気体を排出する製造設備の排気筒又は第十二条第一項の規定により設ける局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置には、次の表の上欄に掲げる粉じんの粒径に応じ、同表の下欄に掲げるいずれかの除じん方式による除じん装置又はこれらと同等以上の性能を有する除じん装置を設けなければならない。






粉じんの粒径

(単位 マイクロメートル)

除じん方式


五未満

ろ過除じん方式

電気除じん方式

五以上二十未満

スクラバによる除じん方式

ろ過除じん方式

電気除じん方式

二十以上

マルチサイクロン(処理風量が毎分二十立方メートル以内ごとに一つのサイクロンを設けたものをいう。)による除じん方式

スクラバによる除じん方式

ろ過除じん方式

電気除じん方式

備考 この表における粉じんの粒径は、重量法で測定した粒径分布において最大頻度を示す粒径をいう。

2 事業者は、前項の除じん装置には、必要に応じ、粒径の大きい粉じんを除去するための前置き除じん装置を設けなければならない。

3 事業者は、前二項の除じん装置を有効に稼働させなければならない。