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○「疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項について」の一部改正について

(令和4年12月13日)

(/薬生機審発1213第4号/薬生安発1213第3号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)

(公印省略)

近年、様々な技術の進展を受け、疾病の兆候を検出し受診を促すことを目的とした医療機器プログラムをはじめとした家庭用医療機器の開発・実用化が進んでおり、疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項については、「疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器の承認申請に当たって留意すべき事項について」(令和2年10月26日付け薬生機審発1026第1号・薬生安発1026第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長・医薬安全対策課長連名通知)により示したところです。

今般、規制改革実施計画(令和4年6月7日閣議決定)において、①医薬品医療機器等法の承認を受けたスマートウォッチその他の家庭用医療機器(医師による使用・管理を前提としない、家庭や職場に設置され使用される医療機器)によって兆候を検出した疾病名(現在罹患している又は将来罹患する可能性がある疾病名)を表示することが可能であることを明確にすること、②各種のバイタルデータに基づいて、現在罹患している又は将来罹患する可能性がある疾病名を表示する機器について、当該製品が使用者に提供する情報の臨床的意義が確立しているか、使用者自らが結果を解釈し、受診の要否の判断を含めて適切な行動に繋げられるか等の観点からの判断等が必要であることを具体的に記載すること、③スタートアップが上記医療機器を開発し製造する可能性や不特定多数の利用が想定されること、当該機器には侵襲性がないことなどを踏まえ、開発者に過度な負担とならないよう配慮しつつ、製造販売後の情報収集の方法を明確化することとされたことから、下記のとおり改正することとし、貴管下関係団体、関係事業者等に周知方お願いします。

1.疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器(プログラム医療機器を含む。以下同じ。)の承認申請に当たって留意すべき事項

(1) 当該医療機器の解析原理、性能及び機能に限界があることを前提として、疾病の確定診断は、医師が行うものであること。

(2) 健常者を含めた当該医療機器の使用者が、適切な受診機会を逃す可能性を一つのリスクと捉え、そのリスク低減策が必要であること。特に、対象とする疾患の特性を踏まえ、家庭用医療機器としてのリスク・ベネフィット等について検討が必要であること。

(3) 健常者を含めた当該医療機器の使用者が、兆候が検出されたのにも関わらず、医療機関で疾病と診断されない場合に、使用者及び医師に不安を与える可能性を一つのリスクと捉え、そのリスク低減策が必要であること。

例えば、①健常者であるにも関わらず、当該医療機器が疾病の兆候を検出した場合、使用者に不安を与える可能性、②当該医療機器での疾病の兆候の検出の原理が、医療機関等での疾病の臨床的診断として十分に確立していない場合、当該医療機器で疾病の兆候を検出したとしても受診した医療機関でその疾病を診断できず、使用者及び医師に解消できない不安を残す可能性、等がある。

特に、これらの点も踏まえ、当該医療機器が提示する情報等について検討が必要であること。

(4) 当該医療機器の使用者が医療機関を受診した場合に、医療機関側で適切に対応するために、当該医療機器の性能、機能等の情報について、使用者だけでなく医療機関側へも提供が必要になること。

(5) 当該医療機器によって兆候を検出した疾病名(現在罹患している又は将来罹患する可能性が高い疾病名)を表示する場合には、以下の点を整理したうえで、(1)から(4)までの事項にも留意しながら、当該医療機器の出力情報等による臨床的有用性が判断されるものであること。

①当該医療機器の疾病の兆候の検出原理及び使用者に提供する出力情報等の臨床的意義が一定程度確立していること。なお、一定程度とは、医学会が定める診療ガイドラインや適正使用指針等で記載があること等を目安とする。

②当該医療機器が疾病の兆候に対して臨床的に意義のある検出性能を有すること。

③使用者自らが当該医療機器の出力情報等を正確に理解し、医療機関への受診の要否判断を含めた適切な行動に繋げられること。

2.具体的な対応策

具体的な対応策については、個々の家庭用医療機器の特性に応じて個別に検討が必要であるが、少なくとも以下の点について対応を十分に検討すること。

(1) 使用者への情報提供

製造販売業者は、家庭用医療機器の特性を踏まえ、以下の事項について添付文書等により注意喚起すること。

①当該医療機器は確定診断を目的としたものではないこと。

②当該医療機器により疾病の兆候が検出された場合は、専門の医師を受診すること。

③当該医療機器の通知結果を自己解釈し、医師の診断を受けずに服用中の薬剤の変更や服用の中止等を行わないこと。

④当該医療機器の通知結果にかかわらず、症状があれば医療機関を受診すること。

(2) 医療関係者への情報提供

製造販売業者は、関係学会・医会と調整の上、家庭用医療機器について、以下に関する情報提供を行うこと。

①当該医療機器の解析原理、性能及び機能の限界

②使用者に対する情報提供の内容

③その他必要事項

(3) 安全性情報の収集及び追加の安全対策の実施

製造販売業者は、当該医療機器の製造販売後に、受診遅延の発生等といった(1)に挙げられた内容の不遵守に伴う健康被害等の情報を、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)に基づく安全確保業務の一環として医療機関等から収集するとともに、必要に応じて使用者及び医療関係者に対する追加の情報提供等の安全対策を実施すること。

(4) その他の留意点

製造販売業者は、個々の家庭用医療機器の仕様等に応じて、サイバーリスクも一つのリスクと捉え、必要なサイバーセキュリティ対策を講じ、使用者に対する情報提供や注意喚起を含めて当該医療機器の安全性を確保及び情報セキュリティについて必要な対策を講ずること。

3.その他

(1) 疾病の兆候を検出し受診を促す家庭用医療機器のリスク低減のための具体的な対応策、臨床的意義がある検出性能等を検討するに当たっては、独立行政法人医薬品医療機器総合機構と十分に相談すること。

(2) 具体的な対応策については、個々の家庭用医療機器の特性に応じて検討する必要があり、その妥当性に関して、薬事食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会において意見聴取を行う場合があること。

(3) 具体的な対応策の実効性を担保するために、当該医療機器の承認に当たって、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第79条に基づく承認条件を付す場合があること。

(4) 本通知の内容については、今後事例の蓄積等を踏まえ、適宜見直しを行うものであること。