添付一覧
○第十八改正日本薬局方第一追補の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて
(令和4年12月12日)
(薬生薬審発1212第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
令和4年12月12日厚生労働省告示第355号をもって「日本薬局方の一部を改正する件」(第十八改正日本薬局方第一追補、以下「第一追補」という。)が告示され、「第十八改正日本薬局方第一追補の制定等について」(令和4年12月12日薬生発1212第2号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知、以下「局長通知」という。)により、この改正の要点等が示されたところです。
今般、これに関する医薬品製造販売承認申請等の取扱いを下記のとおりとするので、御了知の上、貴管下関係業者に周知をよろしく御配慮願います。
記
1.新規収載品目の取扱い
局長通知第1の3(1)(別紙第2の1)に示す第一追補で新たに収載された品目については、令和6年6月30日までは、なお従前の例によることができる。一方、令和6年7月1日以降に第一追補で定める基準に適合しないものは、製造販売又は販売することは認められないので、次の点に留意するとともに遅滞なく手続きを行わせること。
(1) 第一追補で定める基準に適合させるため、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「法」という。)第14条第1項に基づく承認を受けている品目について、承認事項を改める場合の取扱い
① 「規格及び試験方法」欄のみを改める場合の取扱い
法第14条第16項の規定に基づく承認事項の軽微変更に係る届出(以下「軽微変更届出」という。)を行わせること。その際、軽微変更届出書の「備考」欄に「令和4年12月12日薬生薬審発1212第1号「第十八改正日本薬局方第一追補の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて」による届出」と記載すること。
また、「規格及び試験方法」欄に既に規定している純度試験等については、同等の管理が可能であるか確認した上で必要に応じて当該規格及び試験方法を第一追補で定める基準に加えて設定すること。
なお、今回、設定しないと判断した場合、法第14条第15項の規定に基づく承認事項の一部変更承認申請(以下「一変申請」という。)を別途行う機会に、その審査等の中で規格の設定を不要と判断した根拠データの提出を求めることがあるため、当該データを適切に保存しておくこと。
② 「成分及び分量又は本質」欄(有効成分は除く)の変更が伴う場合
一変申請を以下の点に留意し、行わせること。
ア.原則として当該品目に係る医薬品製造販売承認書の写しを添付し、さらに、平成26年11月21日薬食発1121第2号厚生労働省医薬食品局長通知「医薬品の承認申請について」の別表1のロの3の資料が必要となるほか、必要に応じ、同通知の別表1のハの3又はホの5の資料を添付すること。
イ.一変申請書の変更する欄及び「備考」欄の記載は、昭和55年10月9日薬審第1462号厚生省薬務局審査課長・生物製剤課長通知「日本薬局方医薬品の製造又は輸入の承認・許可申請の取扱いについて」の別記「日本薬局方医薬品に係る承認申請書の記載要領」に準拠し、「備考」欄には、「十八局第一追補新規収載品目に係る変更申請である」旨を併せて記載すること。
ウ.一変申請については、令和6年6月30日までに必要な措置を円滑に講じることができるよう迅速な処理を行うこととしている。市場流通品の調整などで迅速な処理が必要な品目については、原則として、一変承認が完了するよう必要な措置を令和5年12月31日までに行うこと。当該申請書にあっては、「備考」欄に迅速処理を希望する旨及びFD申請の場合にあっては、優先審査コードとして「19123」の記録を記載すること。また、市場流通品の調整にはある程度の時間を要することから、告示後できるだけ速やかに調整を開始すること。
エ.一変申請書の右肩に「局新規」(「局」に○(マル)を付ける)の表示を朱書きすること。
③ 「製造方法」欄の変更が伴う場合の取扱い
一変申請又は軽微変更届出を行わせること。一変申請に当たっては1.(1)②ア.~エ.に準ずることとし、軽微変更届出に当たっては軽微変更届出書の「備考」欄に「令和4年12月12日薬生薬審発1212第1号「第十八改正日本薬局方第一追補の制定に伴う医薬品製造販売承認申請等の取扱いについて」による届出」と記載すること。
2.削除品目の取扱い
局長通知第1の3(1)(別紙第2の2)に示す削除品目については、令和4年12月12日以降は、日本薬局方医薬品として製造販売又は販売することは認められないこと。ただし、改正前の日本薬局方に収められていた医薬品であって、令和4年12月12日において法第14条第1項による承認を受けているものについては、令和6年6月30日までは日本薬局方医薬品として製造販売又は販売することは認められること。
3.改正品目の取扱い
局長通知第1の3(2)(別紙第2の3及び4)に示す品目について第一追補により、その基準が改正前の日本薬局方(以下「旧薬局方」という。)と異なるものとなった医薬品については、令和6年6月30日までは、第一追補で定めるものとみなすことができるものとする。一方、同年7月1日以降は旧薬局方の基準により製造販売又は販売することは認められないので、次の点に留意するとともに遅滞なく手続きを行わせること。
(1) 第一追補で定める基準に適合させるため、製剤に係る承認事項を改める場合の取扱い
① 「成分及び分量又は本質」欄(有効成分は除く)又は「製造方法」欄の変更が伴う場合の取扱い
上記1.(1)②及び③に準ずることとすること。
② 第一追補における医薬品各条において「別に規定する」とされた規格項目の取扱い
基本的には下記5.に準ずることとすること。
なお、アムホテリシンB錠、注射用アムホテリシンB、注射用アンピシリンナトリウム・スルバクタムナトリウム、注射用イミペネム・シラスタチンナトリウム、注射用スペクチノマイシン塩酸塩、注射用セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウムについては旧薬局方の医薬品各条(化学薬品等)の錠・カプセル等の製剤の製剤均一性試験で規定していたT値をそのまま承認書に記載する場合は軽微変更届出を行う事で差し支えない。
③ 一変申請を行う際の手続き
「備考」欄には、「十八局第一追補継続収載品目に係る変更申請である」旨を併せて記載すること。また、一変申請書の右肩に「局改正」(「局」に○(マル)を付ける)の表示を朱書きすること。
(2) 改正品目のうち、医薬品(成分)に係る取扱い
① 当該医薬品(成分)の規格を第一追補で定める基準に適合させるに伴い、製剤の承認内容を変更する場合
一変申請又は軽微変更届出を行わせること。なお、一変申請の際は、「備考」欄には、「十八局第一追補継続収載品目に係る変更申請である」旨を併せて記載すること。また、一変申請書の右肩に「局改正」(「局」に○(マル)を付ける)の表示を朱書きすること。
② 「黄色ワセリン」及び「白色ワセリン」について
当該品目については、医薬品各条において、抗酸化剤としてジブチルヒドロキシトルエン又は適切な型のトコフェロールを加えることができるとしたところである。法第十四条第一項の規定に基づき製造販売の承認を要しないものとして厚生労働大臣の指定する医薬品等(平成六年厚生省告示第百四号)で指定している「黄色ワセリン」及び「白色ワセリン」のうち、抗酸化剤を加えている製剤及び新たに抗酸化剤を加える製剤にあっては、「成分及び分量又は本質」欄に添加している抗酸化剤の名称及び配合量を記載する医薬品製造販売届出事項変更届を行うこと。添付文書又は容器若しくは被包にも同様に表示すること。
抗酸化剤を加えた「黄色ワセリン」又は「白色ワセリン」を添加剤として含有する製剤においては、「成分及び分量又は本質」のテキスト欄に加えた抗酸化剤の名称及び配合量を記載する変更を行うための軽微変更届出を行わせること。なお、抗酸化剤の添加の有無又は配合量、種類を変更する場合には、軽微変更届出を行うこと。
4.新規収載医薬品(成分)を含有する既承認の医薬品、医薬部外品及び化粧品(以下「医薬品等」という。)(製剤(ただし、第一追補に収載されている製剤は除く))の取扱いについて(下記5.を除く。)
(1) 「成分及び分量又は本質」欄の規格を日本薬局方に改めるのみの場合
当欄の当該医薬品(成分)の規格を日本薬局方に改めるのみの一変申請又は軽微変更届出を行う必要はなく、他の理由により、一変申請又は軽微変更届出を行う機会があるときに併せて変更することで差し支えないこと。
なお、「規格及び試験方法」欄に既に規定している純度試験等の取扱いは、上記1.(1)①に準ずることとする。
(2) 当該医薬品(成分)の日本薬局方収載に伴い、製剤の承認内容を変更する必要のある場合(ただし、上記(1)に該当する部分は除く。)
当該医薬品(成分)の規格を日本薬局方で定める基準に適合させるに伴い、製剤の承認内容を変更する場合は、一変申請又は軽微変更届出を行うこと。
(3) 漢方処方エキスを含有する医薬品について
第一追補においては、「柴胡桂枝乾姜湯エキス」及び「抑肝散加陳皮半夏エキス」の漢方処方エキスを収載したところであるが、これらの漢方処方エキスを含有する医薬品等の取扱いについては、上記4.(1)、(2)に準ずる他、以下のとおりとすること。
① 添付文書又は容器若しくは被包に配合生薬の1日量当たりの配合量を表示すること。
② 一般用医薬品の取扱いについて
ア.第一追補の製法に規定されている生薬の種類及び配合量の範囲であり、かつ、満量処方の場合
医療用医薬品と同様の取扱いとする。
イ.第一追補の製法に規定されている生薬の種類及び配合量の範囲であり、かつ、満量処方でない場合
「成分及び分量又は本質」欄の漢方処方エキス成分名は、漢方処方エキス名の後に処方量を( )を付して記載する変更を行うための軽微変更届出を行わせること。この場合、規格は日局とせず、別紙規格とすること。なお、販売名については変更する必要はないこと。また、満量処方に変更する場合については、新規承認申請を行わせること。
ウ.第一追補の製法に規定されている生薬の種類及び配合量の範囲外である場合
「成分及び分量又は本質」欄の漢方処方エキス成分名は、漢方処方エキス名の後に出典名及び満量処方でない場合はその処方量を( )を付して記載する変更を行うための軽微変更届出を行わせること。この場合、規格は日局とせず、別紙規格とすること。なお、販売名については変更する必要はないこと。
また、第一追補に規定されている生薬の種類及び配合量に変更する場合については、新規承認申請を行わせること。
5.新規収載医薬品(成分)を含有する医薬品等又は新規収載された医薬品(製剤)のうち、第一追補において、当該医薬品各条に「別に規定する」と規定した品目等に係る取扱い
現承認書上、当該規格項目が設定されている場合には、軽微変更届出にて日本薬局方による旨の記載へ変更する際に、既に設定されている内容もそのまま併せて記載すること。
一方、承認書上、当該規格項目が設定されていない場合には、設定について適切に検討し、新たに設定を要する場合には、日本薬局方による旨の記載への変更及び当該規格項目の設定をするための一変申請を行うこと。なお、設定しないと判断した場合、次の一変申請の審査等の際に規格の設定を不要と判断した根拠データの提出を求めることがあるため、当該データを適切に保存しておくこと。
また、日本薬局方外医薬品規格によるものとしていた場合も同様とすること。
6.承認事項の一部において日本薬局方による旨を記載して承認された医薬品等の取扱い
(1) 「成分及び分量又は本質」欄で、配合成分の規格(の一部)を日本薬局方による旨を記載して承認された医薬品等及び「製造方法」欄、「規格及び試験方法」欄又は「貯法及び有効期間」欄で「日本薬局方による」旨を記載の上、承認された医薬品等
令和6年6月30日まではなお従前の例によることができるが、令和6年7月1日以降は改正後の基準によるものであること。
(2) 「規格及び試験方法」欄で試験法の一部について日本薬局方の一般試験法又は製剤総則で定める試験法による旨を記載して承認された医薬品等であって、日本薬局方に収められていないもの
試験方法については、承認当時の日本薬局方に定める試験法によって行うものとする。一方承認当時の日本薬局方で定める試験法と第一追補で定める同規定との相違性を十分確認した上であれば、日常の試験検査業務に第一追補で定める規定による試験をすることは差し支えない。ただし、承認当時が一般試験法「液体クロマトグラフィー〈2.01〉」又は「ガスクロマトグラフィー〈2.02〉」によるものであったところを一般試験法「クロマトグラフィー総論〈2.00〉」によるものへ変更する場合(日常の試験業務も含む)については、下記8.(2)①を参照のこと。
なお、承認事項の一部(有効成分以外の成分の種類又は分量、製造方法等)を改めないと第一追補で定める試験法に適合しない製品であって、第一追補で定める試験法に適合させることが製剤の改良等になると判断されるものには、第一追補で定める試験法に適合させるため、一変申請又は軽微変更届出を行うよう指導すること。
7.原薬等登録原簿(以下「MF」という。)に係る取扱いについて
法第80条の6第1項の規定に基づき、医薬品原薬等についてはMFに、その原薬等の名称等について登録を受けることができるとしているところである。第一追補において新規に収載された品目及び、基準の改められた品目に係る取扱いについては、上記1.~6.と同様の取扱いとすること。ただし、「一変申請」は「変更登録申請」に読み替えること。
8.通則及び一般試験法に係る取扱いについて
(1) 要指導・一般用医薬品に係る通則34及び一般試験法〈2.66〉元素不純物の取扱いについて
要指導・一般用医薬品の元素不純物の管理等の基本的な考え方については、「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いについて」(令和4年12月12日付け薬生審査発1212第5号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)及び「要指導・一般用医薬品に係る元素不純物の取扱いに係る質疑応答集(Q&A)について」(令和4年12月12日付け事務連絡)によること。
令和6年6月30日までは通則34の規定にかかわらず、なお従前の例によることができるが、令和6年7月1日以降は改正後の基準によるものであること。
(2) 一般試験法〈2.00〉クロマトグラフィー総論の取扱いについて
第一追補では、新たに一般試験法「クロマトグラフィー総論〈2.00〉」の新規収載に伴い、一般試験法「液体クロマトグラフィー〈2.01〉」及び「ガスクロマトグラフィー〈2.02〉」も改正したところであるため、以下に関連事項の取扱いを示す。
① 承認申請書又はMFにおける「液体クロマトグラフィー」又は「ガスクロマトグラフィー」の記載について、第一追補に収載された一般試験法「クロマトグラフィー総論〈2.00〉」に従う試験法で規定する場合には、「クロマトグラフィー総論の液体クロマトグラフィー」又は「クロマトグラフィー総論のガスクロマトグラフィー」と記載すること。なお、「液体クロマトグラフィー」又は「ガスクロマトグラフィー」と記載されている場合は、一般試験法「液体クロマトグラフィー〈2.01〉」又は「ガスクロマトグラフィー〈2.02〉」をそれぞれ示すことに留意すること。また、一般試験法「液体クロマトグラフィー〈2.01〉」又は「ガスクロマトグラフィー〈2.02〉」に従う試験法を一般試験法「クロマトグラフィー総論〈2.00〉」に従う試験法に変更する場合は、一変申請を行うこと。
② 第一追補で改正された一般試験法「液体クロマトグラフィー〈2.01〉」及び「ガスクロマトグラフィー〈2.02〉」の「8.用語」にて「クロマトグラフィー総論〈2.00〉の定義に従う.」とされていることを踏まえ、令和6年6月30日以前に承認された日本薬局方に収められていない医薬品等において、一般試験法「液体クロマトグラフィー〈2.01〉」又は「ガスクロマトグラフィー〈2.02〉」を適用し、システム適合性にSN比を規定している場合、従前の「8.用語」におけるSN比の定義を適用し続けることで差し支えないものの、必要であればクロマトグラフィー総論〈2.00〉の定義に従った変更が期待される。なお、SN比の定義を新たに規定又は変更を行う場合は一変申請を行うこと。また、その他の用語に関しては、他の理由により、一変申請又は軽微変更届出を行う機会があるときに併せて変更すること。
9.その他留意事項等
(1) 医薬品各条に規定する製剤の試験方法について
係る記載は、標準的な試験方法を示したものである。添加剤が測定結果に影響を与え、係る試験の実施が科学的に困難である場合には、その妥当性を示せることを前提として、規定法に代わる試験法を承認書に規定することは許容される。なお、既に同内容にて承認を取得している場合には当該試験方法を申請書に記載しておくことで差し支えない。