○「予防接種法第5条第1項の規定による予防接種の実施について」の一部改正について
(令和4年12月9日)
(健発1209第9号)
(各都道府県知事・各市町村長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)
(公印省略)
予防接種法(昭和23年法律第68号)第5条第1項の規定により市町村長が行う予防接種については、「予防接種法第5条第1項の規定による予防接種の実施について」(平成25年3月30日付け健発0330第2号厚生労働省健康局長通知)の別添「定期接種実施要領」により示しているところです。今般、同要領の一部について別紙のとおり改正することとしましたので、貴職におかれましては、その実施に遺漏なきようお願いします。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言であることを申し添えます。
記
第1 改正の概要
1 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第96号)による予防接種法の改正等に伴い、関連する記述の修正を行うもの。
2 その他所要の改正を行うもの。
第2 施行期日
令和4年12月9日
別添1
(改正後全文)
定期接種実施要領
第1 総論
1 予防接種台帳
市町村長(特別区の長を含む。以下同じ。)は、予防接種法(昭和23年法律第68号。以下「法」という。)第5条第1項の規定による予防接種(以下「定期接種」という。)の対象者について、あらかじめ住民基本台帳その他の法令に基づく適法な居住の事実を証する資料等に基づき様式第一の予防接種台帳を参考に作成し、法第9条の3や予防接種法施行規則(昭和23年厚生省令第36号。以下「施行規則」という。)第3条、文書管理規程等に従い、少なくとも5年間は適正に管理・保存すること。
また、予防接種台帳を、未接種者の把握や市町村(特別区を含む。以下同じ。)間での情報連携等に有効活用するため、電子的な管理を行うことが望ましい。
2 対象者等に対する周知
(1) 定期接種を行う際は、予防接種法施行令(昭和23年政令第197号。以下「政令」という。)第5条の規定による公告を行い、政令第6条の規定により定期接種の対象者又はその保護者に対して、あらかじめ、予防接種の種類、予防接種を受ける期日又は期間及び場所、予防接種を受けるに当たって注意すべき事項、予防接種を受けることが適当でない者、接種に協力する医師その他必要な事項を十分周知すること。その周知方法については、やむを得ない事情がある場合を除き、個別通知とし、確実な周知に努めること。
B類疾病の定期接種を行う際は、接種を受ける法律上の義務はなく、かつ、自らの意思で接種を希望する者のみに接種を行うものであることを明示した上で、上記内容を十分周知すること。
(2) 予防接種の対象者又はその保護者に対する周知を行う際は、必要に応じて、母子健康手帳の持参、費用等も併せて周知すること。なお、母子健康手帳の持参は必ずしも求めるものではないが、接種を受けた記録を本人が確認できるような措置を講じること。
(3) 近年、定期接種の対象者に外国籍の者が増えていることから、多言語(日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語、インドネシア語、タガログ語、ネパール語等)による周知等に努めること。
(4) 麻しん及び風しんの定期接種については、「麻しんに関する特定感染症予防指針」(平成19年厚生労働省告示第442号)及び「風しんに関する特定感染症予防指針」(平成26年厚生労働省告示第122号)において、第1期及び第2期の接種率目標を95%以上と定めており、また、結核の定期接種についても、「結核に関する特定感染症予防指針」(平成19年厚生労働省告示第72号)において、接種率目標を95%以上と定めていることから、予防接種を受けやすい環境を整え、接種率の向上を図ること。
(5) マイナポータルを通じたプッシュ型のお知らせ機能を積極的に活用すること。
3 予防接種実施状況の把握
(1) 既接種者及び未接種者の確認
予防接種台帳等の活用により、「7 予防接種の実施計画」で設定した接種予定時期を前提として、接種時期に応じた既接種者及び未接種者の数を早期のうちに確認し、管内における予防接種の実施状況について的確に把握すること。
(2) 未接種者への再度の接種勧奨
A類疾病の定期接種の対象者について、本実施要領における標準的な実施時期を過ぎてもなお、接種を行っていない未接種者については、疾病罹患予防の重要性、当該予防接種の有効性、発生しうる副反応及び接種対象である期間について改めて周知した上で、本人及びその保護者への個別通知等を活用して、引き続き接種勧奨を行うこと。ただし、ロタウイルス感染症の定期接種について、生まれた日の翌日から起算して14週6日(以下「出生14週6日後」という。本通知においては、ロタウイルス感染症に係る週齢計算については、生まれた日を0日として計算することとし、以下「出生○週後」又は「出生○日後」とする。)を過ぎた場合はこの限りではないこと。
(3) 定期的な健診の機会を利用した接種状況の確認
母子保健法(昭和40年法律第141号)に規定する健康診査(1歳6か月児健康診査及び3歳児健康診査のほか、3~4か月児健康診査など必要に応じて実施する健康診査)及び学校保健安全法(昭和33年法律第56号)に規定する健康診断(就学時の健康診断)の機会を捉え、市町村長は、定期接種の対象となっている乳幼児の接種状況について、保健所又は教育委員会と積極的に連携することにより、その状況を把握し、未接種者に対しては、引き続き接種勧奨を行うこと。
(4) 風しんの第5期の定期接種の対象者への接種勧奨
風しんの第5期の定期接種の対象者について、風しんに係る抗体検査を受けた結果、十分な量の風しんの抗体がないことが判明した者のうち未接種者については、疾病罹患予防の重要性、当該予防接種の有効性、発生しうる副反応及び接種対象である期間について周知した上で、本人への個別通知等を活用して、接種勧奨を行うこと。
4 予防接種に関する周知
市町村長は、予防接種制度の概要、予防接種の有効性・安全性及び副反応その他接種に関する注意事項等について、十分な周知を図ること。
5 接種の場所
定期接種については、適正かつ円滑な予防接種の実施のため、市町村長の要請に応じて予防接種に協力する旨を承諾した医師が医療機関で行う個別接種を原則とすること。ただし、予防接種の実施に適した施設において集団を対象にして行うこと(集団接種)も差し支えない。
また、定期接種の対象者が寝たきり等の理由から、当該医療機関において接種を受けることが困難な場合においては、予防接種を実施する際の事故防止対策、副反応対策等の十分な準備がなされた場合に限り、当該対象者が生活の根拠を有する自宅や入院施設等において実施しても差し支えない。これらの場合においては、「13 A類疾病の定期接種を集団接種で実施する際の注意事項」及び「14 医療機関以外の場所で定期接種を実施する際の注意事項」に留意すること。
なお、市町村長は、学校等施設を利用して予防接種を行う場合は、管内の教育委員会等関係機関と緊密な連携を図り実施すること。
6 接種液
(1) 接種液の使用に当たっては、標示された接種液の種類、有効期限内であること及び異常な混濁、着色、異物の混入その他の異常がない旨を確認すること。
(2) 接種液の貯蔵は、生物学的製剤基準の定めるところによるほか、所定の温度が保たれていることを温度計によって確認できる冷蔵庫等を使用する方法によること。
また、ワクチンによって、凍結させないこと、溶解は接種直前に行い一度溶解したものは直ちに使用すること、溶解の前後にかかわらず光が当たらないよう注意することなどの留意事項があるので、それぞれ添付文書を確認の上、適切に使用すること。
7 予防接種の実施計画
(1) 予防接種の実施計画の策定については、次に掲げる事項に留意すること。
ア 実施計画の策定に当たっては、地域医師会等の医療関係団体と十分協議するものとし、個々の予防接種が時間的余裕をもって行われるよう計画を策定すること。
また、インフルエンザの定期接種については、接種希望者がインフルエンザの流行時期に入る前(通常は12月中旬頃まで)に接種を受けられるよう計画を策定すること。
イ ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種については、積極的勧奨の差控えにより接種機会を逃した方に対して、公平な接種機会を確保する観点から、時限的に、従来の定期接種の対象年齢を超えて接種(以下「キャッチアップ接種」という。)を実施するため、「HPVワクチンのキャッチアップ接種の実施等について」(令和4年3月18日健健発0318第3号厚生労働省健康局健康課長通知)を参考に計画を策定すること。
ウ 接種医療機関において、予防接種の対象者が他の患者から感染を受けることのないよう、十分配慮すること。
エ 予防接種の判断を行うに際して注意を要する者((ア)から(ク)までに掲げる者をいう。以下同じ。)について、接種を行うことができるか否か疑義がある場合は、慎重な判断を行うため、予防接種に関する相談に応じ、専門性の高い医療機関を紹介する等、一般的な対処方法等について、あらかじめ決定しておくこと。
(ア) 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者
(イ) 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者(なお、インフルエンザの定期接種に際しては、10(5)に記載したように、接種不適当者となることに注意すること)。
(ウ) 過去にけいれんの既往のある者
(エ) 過去に免疫不全の診断がされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者
(オ) 接種しようとする接種液の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者
(カ) バイアルのゴム栓に乾燥天然ゴム(ラテックス)が含まれている製剤を使用する際の、ラテックス過敏症のある者
(キ) 結核の予防接種にあっては、過去に結核患者との長期の接触がある者その他の結核感染の疑いのある者
(ク) ロタウイルス感染症の予防接種にあっては、活動性胃腸疾患や下痢等の胃腸障害のある者
(2) 市町村長は、予防接種の実施に当たっては、あらかじめ、予防接種を行う医師に対し実施計画の概要、予防接種の種類、接種対象者等について説明すること。
(3) 接種医療機関及び接種施設には、予防接種直後の即時性全身反応等の発生に対応するために必要な薬品及び用具等を備え、又は携行すること。
8 対象者の確認
接種前に、予防接種の通知書その他本人確認書類の提示を求める等の方法により、接種の対象者であることを慎重に確認すること。
風しんの第5期の定期接種の実施に当たっては、風しんに係る抗体検査を受けた結果、十分な量の風しんの抗体があることが判明し、当該予防接種を行う必要がないと認められる者は定期接種の対象外となるため、対象者に抗体検査の結果の提示を求める等の方法により、接種の対象者を確認すること。
(注) 風しんの第5期の定期接種の対象となる抗体価の基準は、別表1に掲げるとおりである。
なお、接種回数を決定するに当たっては、次のことに留意すること。
(1) 「子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業の実施について」(平成22年11月26日厚生労働省健康局長、医薬食品局長連名通知)に基づき過去に一部接種した回数や、任意接種として過去に一部接種した回数については、既に接種した回数分の定期接種を受けたものとしてみなすこと。
(2) 海外等で受けた予防接種については、医師の判断と保護者の同意に基づき、既に接種した回数分の定期接種を受けたものとしてみなすことができること。
9 予診票
(1) 乳幼児や主に小学生が接種対象となっている定期接種(ジフテリア、百日せき、破傷風、急性灰白髄炎、麻しん、風しん、日本脳炎、結核、Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症又は水痘)については様式第二予防接種予診票(乳幼児・小学生対象)を、ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種のうち、接種を受ける者に保護者が同伴する場合及び接種を受ける者が満16歳以上の場合については様式第三ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票(保護者が同伴する場合、受ける人が満16歳以上の場合)を、満16歳未満の接種を受ける者に保護者が同伴しない場合については様式第四ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票(保護者が同伴しない場合)を、インフルエンザの定期接種については様式第五インフルエンザ予防接種予診票を、高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種については様式第六高齢者用肺炎球菌ワクチン予防接種予診票を、B型肝炎の定期接種については、様式第八B型肝炎予防接種予診票を、風しんの第5期の定期接種については、様式第九風しんの第5期の予防接種予診票を、ロタウイルス感染症の定期接種については様式第十ロタウイルス感染症予防接種予診票を、それぞれ参考にして予診票を作成すること。
なお、満16歳以上であって未成年である者に対するヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(キャッチアップ接種を含む。)及び日本脳炎の定期接種については、各市町村の判断で、本人の同意の他、保護者に対して接種の意向を確認することは差し支えない。この場合であっても、満16歳以上の者は保護者の同意は必要無く、予防接種を受けるかどうかについて満16歳以上の者が自ら判断できることから、保護者の意向により判断することなく、本人の同意の有無によって接種の実施を判断するよう留意すること。ただし、仮に予診票の自署欄に保護者の自署が記載されていた場合であっても、本人が接種を受けることを同意していることについて明示的に確認できる場合には、自署欄の修正は不要である。
なお、予診票については、予防接種の種類により異なる紙色のものを使用すること等により予防接種の実施に際して混同を来さないよう配慮すること。
(2) 作成した予診票については、風しんの第5期の定期接種、インフルエンザの定期接種及び高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種を除き、あらかじめ保護者に配布し、各項目について記入するよう求めること。
(3) 市町村長は、接種後に予診票を回収し、文書管理規程等に従い、少なくとも5年間は適正に管理・保存すること。
10 予診並びに予防接種不適当者及び予防接種要注意者
(1) 接種医療機関及び接種施設において、問診、検温、視診、聴診等の診察を接種前に行い、予防接種を受けることが適当でない者又は予防接種の判断を行うに際して注意を要する者に該当するか否かを調べること(以下「予診」という。)。
(2) 個別接種については、原則、保護者の同伴が必要であること。
ただし、政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項による日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(いずれも13歳以上の者に接種する場合に限る。)において、あらかじめ、接種することの保護者の同意を予診票上の保護者自署欄にて確認できた者については、保護者の同伴を要しないものとする。
また、接種の実施に当たっては、被接種者本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するために、予診票に記載されている質問事項に対する回答に関する本人への問診を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に連絡するなどして接種への不適当要件の事実関係等を確認するための予診に努めること。
なお、被接種者が満16歳以上である場合は、この限りではない。
(3) 乳幼児・小児に対して定期接種を行う場合は、保護者に対し、接種前に母子健康手帳の提示を求めること。
(4) B類疾病の定期接種の実施に際しては、接種を受ける法律上の義務がないことから、対象者が自らの意思で接種を希望していることを確認すること。また、B類疾病の定期接種については、法の趣旨を踏まえ、積極的な接種勧奨とならないよう特に留意すること。なお、対象者の意思の確認が容易でない場合は、家族又はかかりつけ医の協力を得て、その意思を確認することも差し支えないが、明確に対象者の意思を確認できない場合は、接種してはならないこと。
(5) 予診の結果、異常が認められ、予防接種実施規則(昭和33年厚生省令第27号。以下「実施規則」という。)第6条に規定する者(予防接種を受けることが適当でない者)に該当する疑いのある者と判断される者に対しては、当日は接種を行わず、必要があるときは、精密検査を受けるよう指示すること。なお、インフルエンザの定期接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者で、インフルエンザワクチンの接種をしようとするものは、施行規則第2条第10号(予防接種を行うことが不適当な状態にある者)に該当することに留意すること。
(6) 予防接種の判断を行うに際して注意を要する者については、被接種者の健康状態及び体質を勘案し、慎重に予防接種の適否を判断するとともに、説明に基づく同意を確実に得ること。
11 予防接種後副反応等に関する説明及び同意
予診の際は、予防接種の有効性・安全性、予防接種後の通常起こり得る副反応及びまれに生じる重い副反応並びに予防接種健康被害救済制度について、定期接種の対象者又はその保護者がその内容を理解し得るよう適切な説明を行い、予防接種の実施に関して文書により同意を得た場合に限り接種を行うものとすること。
ただし、政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項による日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(いずれも13歳以上の者に接種する場合に限る。)において、保護者が接種の場に同伴しない場合には、予防接種の有効性・安全性、予防接種後の通常起こり得る副反応及びまれに生じる重い副反応並びに予防接種健康被害救済制度についての説明を事前に理解する必要があるため、様式第四ヒトパピローマウイルス感染症予防接種予診票(保護者が同伴しない場合)を参考に、説明に関する情報を含有している予診票を作成した上で、事前に保護者に配布し、保護者がその内容に関する適切な説明を理解したこと及び予防接種の実施に同意することを当該予診票により確認できた場合に限り接種を行うものとすること。
なお、児童福祉施設等において、接種の機会ごとに保護者の文書による同意を得ることが困難であることが想定される場合には、当該施設等において、保護者の包括的な同意文書を事前に取得しておくことも差し支えなく、また、被接種者が満16歳以上である場合は、被接種者本人の同意にて足りるものとする。
さらに、児童福祉施設等において、被接種者の保護者と連絡をとることができないため保護者の同意の有無を確認することができない場合の取扱については、「予防接種実施規則第5条の2第2項に基づき行われる児童相談所長等の予防接種に係る同意について」(平成28年3月31日健発0331第24号・雇児発0331第7号・障発0331第14号厚生労働省健康局長・雇用均等・児童家庭局長・社会・援護局障害保健福祉部長通知)を参照すること。
また、被接種者が次に掲げるいずれかに該当する場合であって、それぞれに定める者が、被接種者の保護者の住所又は居所を確認できるものの当該被接種者の保護者と連絡をとることができない等の事由により、保護者の同意の有無を確認することができないときは、当該被接種者の保護者に代わって、それぞれに定める者から予防接種に係る同意を得ることができる。
ア 小規模住居型児童養育事業を行う者又は里親(以下「里親等」という。)に委託されている場合 当該里親等
イ 児童福祉施設に入所している場合 当該児童福祉施設の長
ウ 児童相談所に一時保護されている場合 当該児童相談所長
12 接種時の注意
(1) 予防接種を行うに当たっては、次に掲げる事項を遵守すること。
ア 予防接種に従事する者は、手指を消毒すること。
イ ワクチンによって、凍結させないこと、溶解は接種直前に行い一度溶解したものは直ちに使用すること、溶解の前後にかかわらず光が当たらないよう注意することなどの留意事項があるので、それぞれ添付文書を確認の上、適切に使用すること。
ウ 接種液の使用に当たっては、有効期限内のものを均質にして使用すること。
エ バイアル入りの接種液は、栓及びその周囲をアルコール消毒した後、栓を取り外さないで吸引すること。
オ 接種液が入っているアンプルを開口するときは、開口する部分をあらかじめアルコール消毒すること。
カ 結核、ヒトパピローマウイルス感染症、ロタウイルス感染症及び高齢者の肺炎球菌感染症以外の予防接種にあっては、原則として上腕伸側に皮下接種により行う。接種前には接種部位をアルコール消毒し、接種に際しては注射針の先端が血管内に入っていないことを確認すること。同一部位への反復しての接種は避けること。
キ 結核の予防接種にあっては、接種前に接種部位をアルコール消毒し、接種に際しては接種部位の皮膚を緊張させ、ワクチンの懸濁液を上腕外側のほぼ中央部に滴下塗布し、9本針植付けの経皮用接種針(管針)を接種皮膚面に対してほぼ垂直に保ちこれを強く圧して行うこと。接種数は2箇とし、管針の円跡は相互に接するものとすること。
ク ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種にあっては、ワクチンの添付文書の記載に従って、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合は原則として上腕の三角筋部に、組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合は原則として上腕の三角筋部又は大腿四頭筋部に筋肉内注射する。接種前に接種部位をアルコール消毒し、接種に際しては注射針の先端が血管内に入っていないことを確認すること。同一部位への反復しての接種は避けること。
ケ ロタウイルス感染症の予防接種にあっては、母子健康手帳等により接種記録を確認の上、原則として同一ワクチンを複数回(経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンは2回、五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンは3回)接種する。接種に際しては接種液が封入されている容器より直接、全量をゆっくりと経口投与する。他の薬剤や溶液と混合してはならない。
コ 高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種にあっては、原則として上腕伸側に皮下接種又は筋肉内注射により行う。接種前には接種部位をアルコール消毒し、接種に際しては注射針の先端が血管内に入っていないことを確認すること。
サ 接種用具等の消毒は、適切に行うこと。
(2) 被接種者及び保護者に対して、次に掲げる事項を要請すること。
ア 接種後は、接種部位を清潔に保ち、接種当日は過激な運動を避けるよう注意し、又は注意させること。
イ 接種後、接種局所の異常反応や体調の変化を訴える場合は、速やかに医師の診察を受け、又は受けさせること。
ウ 被接種者又は保護者は、イの場合において、被接種者が医師の診察を受けたときは、速やかに当該予防接種を行った市町村(特別区を含む。以下同じ。)の担当部局に連絡すること。
13 A類疾病の定期接種を集団接種で実施する際の注意事項
(1) 実施計画の策定
予防接種の実施計画の策定に当たっては、予防接種を受けることが適当でない者を確実に把握するため、特に十分な予診の時間を確保できるよう留意すること。
(2) 接種会場
ア 冷蔵庫等の接種液の貯蔵設備を有するか、又は接種液の貯蔵場所から短時間で搬入できる位置にあること。
イ 2種類以上の予防接種を同時に行う場合は、それぞれの予防接種の場所が明確に区別され、適正な実施が確保されるよう配慮すること。
(3) 接種用具等の整備
ア 接種用具等、特に注射針、体温計等多数必要とするものは、市町村が準備しておくこと。
イ 注射器は、2ミリリットル以下のものを使用すること。
ウ 接種用具等を滅菌する場合は、煮沸以外の方法によること。
(4) 予防接種の実施に従事する者
ア 予防接種を行う際は、予診を行う医師1名及び接種を行う医師1名を中心とし、これに看護師、保健師等の補助者2名以上及び事務従事者若干名を配して班を編制し、各班員が行う業務の範囲をあらかじめ明確に定めておくこと。
イ 班の中心となる医師は、あらかじめ班員の分担する業務について必要な指示及び注意を行い、各班員はこれを遵守すること。
(5) 保護者の同伴要件
集団接種については、原則、保護者の同伴が必要であること。
ただし、政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項による日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種(いずれも13歳以上の者に接種する場合に限る。)において、あらかじめ、接種することの保護者の同意を予診票上の保護者自署欄にて確認できた者については、保護者の同伴を要しないものとする。
また、接種の実施に当たっては、被接種者本人が予防接種不適当者又は予防接種要注意者か否かを確認するために、予診票に記載されている質問事項に対する回答内容に関する本人への問診を通じ、診察等を実施した上で、必要に応じて保護者に連絡するなどして接種への不適当要件の事実関係等を確認するための予診に努めること。
なお、被接種者が満16歳以上である場合は、この限りではない。
(6) 予防接種を受けることが適当でない状態の者への注意事項
予診を行う際は、接種場所に予防接種を受けることが適当でない状態等の注意事項の掲示、印刷物の配布又は厚生労働省ホームページに掲載されている予防接種を受けることが適当でない状態等の注意事項の活用により、保護者等から予防接種の対象者の健康状態、既往症等の申出をさせる等の措置をとり、接種を受けることが不適当な者の発見を確実にすること。
(7) 女性に対する接種の注意事項
政令第3条第2項の規定による対象者に対して行う予防接種、政令附則第2項で定める日本脳炎の定期接種及びヒトパピローマウイルス感染症の定期接種対象者のうち、13歳以上の女性への接種に当たっては、妊娠中若しくは妊娠している可能性がある場合には原則接種しないこととし、予防接種の有益性が危険性を上回ると判断した場合のみ接種できる。このため、接種医は、入念な予診が尽くされるよう、予診票に記載された内容だけで判断せず、必ず被接種者本人に、口頭で記載事実の確認を行うこと。また、その際、被接種者本人が事実を話しやすいような環境づくりに努めるとともに、本人のプライバシーに十分配慮すること。
14 医療機関以外の場所で定期接種を実施する際の注意事項
(1) 安全基準の遵守
市町村長は、医療機関以外の場所での予防接種の実施においては、被接種者に副反応が起こった際に応急対応が可能なように下記における安全基準を確実に遵守すること。
ア 経過観察措置
市町村長は、予防接種が終了した後に、短時間のうちに、被接種者の体調に異変が起きても、その場で応急治療等の迅速な対応ができるよう、接種を受けた者の身体を落ち着かせ、接種した医師、接種に関わった医療従事者又は実施市町村の職員等が接種を受けた者の身体の症状を観察できるように、接種後ある程度の時間は接種会場に止まらせること。また、被接種者の体調に異変が起きた場合に臥床することが可能なベッド等を準備するよう努めること。
イ 応急治療措置
市町村長は、医療機関以外の場所においても、予防接種後、被接種者にアナフィラキシーやけいれん等の重篤な副反応がみられたとしても、応急治療ができるよう救急処置物品(血圧計、静脈路確保用品、輸液、エピネフリン・抗ヒスタミン剤・抗けいれん剤・副腎皮質ステロイド剤等の薬液、喉頭鏡、気管内チューブ、蘇生バッグ等)を準備すること。
ウ 救急搬送措置
市町村長は、被接種者に重篤な副反応がみられた場合、速やかに医療機関における適切な治療が受けられるよう、医療機関への搬送手段を確保するため、市町村にて保有する車両を活用すること又は、事前に緊急車両を保有する消防署、近隣医療機関等と接種実施日等に関して、情報共有し、連携を図ること。
(2) 次回以降の接種時期及び接種方法の説明
市町村長は、医療機関以外の場所で行った予防接種について、次回以降の接種が必要な場合は、被接種者本人又はその保護者に対して、次回以降の接種時期及び接種方法について十分に説明すること。
(3) 副反応が発生した場合の連絡先
市町村長は、接種後に接種局所の異常反応や体調の変化が生じた際の連絡先として、接種医師の氏名及び接種医療機関の連絡先を接種施設に掲示し、又は印刷物を配布することにより、被接種者本人等に対して確実に周知すること。
(4) 実施体制等
(1)から(3)までに定めるもののほか、医療機関以外の場所で定期接種を実施する場合は、「13 A類疾病の定期接種を集団接種で実施する際の注意事項」の(1)から(3)まで、(6)及び(7)と同様とすること。
15 実費の徴収
法第28条の規定による実費の徴収について、同条ただし書に規定する経済的理由には、市町村民税の課税状況や生活保護又は中国残留邦人等支援給付の受給の有無が含まれるため、予防接種を受けた者又はその保護者のこれらの状況を勘案し、実費を徴収することができるかどうかを判断すること。
16 予防接種に関する記録及び予防接種済証の交付
(1) 予防接種を行った際は、施行規則に定める様式による予防接種済証を交付すること。
(2) 予防接種を行った際、乳幼児・小児については、(1)に代えて、母子健康手帳に予防接種及びワクチンの種類、接種年月日その他の証明すべき事項を記載すること。
(3) 平成24年に改正された母子健康手帳では、乳幼児のみならず、学童、中学校、高等学校相当の年齢の者に接種する予防接種についても記載欄が設けられていることから、母子健康手帳に予防接種及びワクチンの種類、接種年月日その他の証明すべき事項を記載することにより、(1)に代えることができること。
17 都道府県の麻しん及び風しん対策の会議への報告
「麻しんに関する特定感染症予防指針」及び「風しんに関する特定感染症予防指針」に基づき、都道府県知事は、管内市町村長と連携し、管内における麻しん及び風しんの予防接種実施状況等を適宜把握し、都道府県を単位として設置される麻しん及び風しん対策の会議に速やかに報告すること。
18 他の予防接種との関係
(1) 乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経皮接種用乾燥BCGワクチン又は乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した日から、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経皮接種用乾燥BCGワクチン又は乾燥弱毒生水痘ワクチンの予防接種(同一種類のワクチンを接種する場合において、接種の間隔に関する定めがある場合は、その定めるところによる。)を行うまでの間隔は、27日以上おくこと。
(2) 2種類以上の予防接種を同時に同一の接種対象者に対して行う同時接種(混合ワクチン・混合トキソイドを使用する場合は、1つのワクチンと数え、同時接種としては扱わない。)は、医師が特に必要と認めた場合に行うことができること。
19 長期にわたり療養を必要とする疾病にかかった者等の定期接種の機会の確保
(1) ロタウイルス感染症及びインフルエンザを除く法の対象疾病(以下「特定疾病」という。)について、それぞれ政令で定める予防接種の対象者であった者(当該特定疾病にかかっている者又はかかったことのある者その他施行規則第2条各号に規定する者を除く。)であって、当該予防接種の対象者であった間に、(2)の特別の事情があることにより予防接種を受けることができなかったと認められる者については、当該特別の事情がなくなった日から起算して2年(高齢者の肺炎球菌感染症に係る定期接種を受けることができなかったと認められるものについては、当該特別の事情がなくなった日から起算して1年)を経過する日までの間((3)に掲げる疾病については、それぞれ、(3)に掲げるまでの間である場合に限る。)、当該特定疾病の定期接種の対象者とすること。
(2) 特別の事情
ア 次の(ア)から(ウ)までに掲げる疾病にかかったこと(やむを得ず定期接種を受けることができなかった場合に限る。)
(ア) 重症複合免疫不全症、無ガンマグロブリン血症その他免疫の機能に支障を生じさせる重篤な疾病
(イ) 白血病、再生不良性貧血、重症筋無力症、若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、潰瘍性大腸炎、ネフローゼ症候群その他免疫の機能を抑制する治療を必要とする重篤な疾病
(ウ) (ア)又は(イ)の疾病に準ずると認められるもの
(注) 上記に該当する疾病の例は、別表2に掲げるとおりである。ただし、これは、別表2に掲げる疾病にかかったことのある者又はかかっている者が一律に予防接種不適当者であるということを意味するものではなく、予防接種実施の可否の判断は、あくまで予診を行う医師の診断の下、行われるべきものである。
イ 臓器の移植を受けた後、免疫の機能を抑制する治療を受けたこと(やむを得ず定期接種を受けることができなかった場合に限る。)
ウ 医学的知見に基づきア又はイに準ずると認められるもの
エ 災害、ワクチンの大幅な供給不足その他これに類する事由が発生したこと(やむを得ず定期接種を受けることができなかった場合に限る。)
(3) 対象期間の特例
ア ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎及び破傷風については、15歳(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチンを使用する場合に限る。)に達するまでの間
イ 結核については、4歳に達するまでの間
ウ Hib感染症については、10歳に達するまでの間
エ 小児の肺炎球菌感染症については、6歳に達するまでの間
(4) 留意事項
市町村は、(2)の「特別の事情」があることにより定期接種を受けることができなかったかどうかについては、被接種者が疾病にかかっていたことや、やむを得ず定期接種を受けることができなかったと判断した理由等を記載した医師の診断書や当該者の接種歴等により総合的に判断すること。
(5) 厚生労働省への報告
上記に基づき予防接種を行った市町村長は、被接種者の接種時の年齢、当該者がかかっていた疾病の名称等特別の事情の内容、予防接種を行った疾病、接種回数等を、任意の様式により速やかに厚生労働省健康局予防接種担当参事官室に報告すること。
20 他の市町村等での予防接種
保護者が里帰りをしている場合、定期接種の対象者が医療機関等に長期入院している場合等の理由により、通常の方法により定期接種を受けることが困難な者等が定期接種を受けることを希望する場合には、予防接種を受ける機会を確保する観点から、居住地以外の医療機関と委託契約を行う、居住地の市町村長から里帰り先の市町村長へ予防接種の実施を依頼する、又は居住地の市町村長が定期接種の対象者から事前に申請を受け付けた上で償還払いを行う等の配慮をすること。
21 予防接種の間違い
(1) 市町村長は、定期接種を実施する際、予防接種に係る間違いの発生防止に努めるとともに、間違いの発生を迅速に把握できる体制をとり、万が一、誤った用法用量でワクチンを接種した場合や、有効期限の切れたワクチンを接種した場合、血液感染を起こしうる場合等の重大な健康被害につながるおそれのある間違いを把握した場合には、以下の①から⑨までの内容を任意の様式に記載し、都道府県を経由して、厚生労働省健康局予防接種担当参事官室に速やかに報告すること。
①予防接種を実施した機関
②ワクチンの種類、メーカー、ロット番号
③予防接種を実施した年月日(間違い発生日)
④間違いに係る被接種者数
⑤間違いの概要と原因
⑥市町村長の講じた間違いへの対応(公表の有無を含む。)
⑦健康被害発生の有無(健康被害が発生した場合は、その内容)
⑧今後の再発防止策
⑨市町村担当者の連絡先(電話番号、メールアドレス等)
(2) 接種間隔の誤りなど、直ちに重大な健康被害につながる可能性が低い間違いについては、(1)で報告した間違いを含めて、都道府県において、管内の市町村で当該年度(毎年4月1日から翌年3月31日までの間)に発生した間違いを取りまとめの上、その間違いの態様ごとに平成29年3月30日付事務連絡の別添様式を用いて、翌年度4月30日までに厚生労働省健康局予防接種担当参事官室に報告すること。
(3) 予防接種の間違いが発生した場合は、市町村において、直ちに適切な対応を講じるとともに、再発防止に万全を期すこと。
22 副反応疑い報告
法の規定による副反応疑い報告については、「定期の予防接種等による副反応疑いの報告等の取扱いについて」(平成25年3月30日健発0330第3号、薬食発0330第1号厚生労働省健康局長、医薬食品局長連名通知)を参照すること。
23 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」における予防接種分野の対応
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」に基づく情報連携については、「「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」の改正に伴う予防接種分野の対応について」(平成27年11月11日付事務連絡)、「医療費・医療手当請求書等の様式変更について」(平成27年12月21日健発1221第4号厚生労働省健康局長通知)、「子育てワンストップサービスの導入に向けた検討について」(平成28年12月14日付事務連絡)及び「情報提供ネットワークシステムを使用して地方税関係情報の提供を行う場合に本人の同意が必要となる事務における所要の措置について」(平成29年6月27日付事務連絡)等の関係通知等に留意して、適切に運用すること。
第2 各論
1 ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎及び破傷風の定期接種
(1) ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎及び破傷風について同時に行う第1期の予防接種は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチンを使用し、初回接種については生後3月に達した時から生後12月に達するまでの期間を標準的な接種期間として20日以上、標準的には20日から56日までの間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後6月以上、標準的には12月から18月までの間隔をおいて1回行うこと。
(2) ジフテリア、百日せき及び急性灰白髄炎について、ジフテリア、急性灰白髄炎及び破傷風について又は百日せき、急性灰白髄炎及び破傷風について同時に行う第1期の予防接種は、(1)と同様とすること。
(3) ジフテリア、百日せき及び破傷風について同時に行う第1期の予防接種は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン又は沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンを使用し、初回接種については生後3月に達した時から生後12月に達するまでの期間を標準的な接種期間として20日以上、標準的には20日から56日までの間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後6月以上、標準的には12月から18月までの間隔をおいて1回行うこと。
(4) ジフテリア及び百日せきについて又は百日せき及び破傷風について同時に行う第1期の予防接種は、(3)と同様とすること。
(5) ジフテリア及び急性灰白髄炎について、百日せき及び急性灰白髄炎について又は急性灰白髄炎及び破傷風について同時に行う第1期の予防接種は、(1)と同様とすること。
(6) ジフテリア及び破傷風について同時に行う第1期の予防接種は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン又は沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンを使用した時は、初回接種については生後3月に達した時から生後12月に達するまでの期間を標準的な接種期間として20日以上、標準的には20日から56日までの間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後6月以上、標準的には12月から18月までの間隔をおいて1回行うこと。
また、沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドを使用した時は、初回接種については生後3月に達した時から生後12月に達するまでの期間を標準的な接種期間として20日以上、標準的には20日から56日までの間隔をおいて2回、追加接種については初回接種終了後6月以上、標準的には12月から18月までの間隔をおいて1回行うこと。
(7) ジフテリア又は破傷風の第1期の予防接種は、(6)と同様とすること。
(8) 百日せきの第1期の予防接種は、(3)と同様とすること。
(9) 急性灰白髄炎の予防接種は、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチンを使用した時は、初回接種については生後3月に達した時から生後12月に達するまでの期間を標準的な接種期間として20日以上、標準的には20日から56日までの間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後6月以上、標準的には12月から18月までの間隔をおいて1回行うこと。
また、不活化ポリオワクチンを使用したときは、初回接種については、生後3月に達した時から生後12月に達するまでの期間を標準的な接種期間として、20日以上の間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後6月以上、標準的には12月から18月までの間隔をおいて1回行うこと。
(10) 第1期の予防接種の初回接種においては、沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン又は沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドのうちから、使用するワクチンを選択することが可能な場合であっても、原則として、同一種類のワクチンを必要回数接種すること。
(11) ジフテリア及び破傷風について同時に行う第2期の予防接種は、沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドを使用し、11歳に達した時から12歳に達するまでの期間を標準的な接種期間として1回行うこと。
(12) ジフテリア又は破傷風の第2期の予防接種は、(11)と同様とすること。
(13) ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎又は破傷風のいずれかの既罹患者においては、既罹患疾病以外の疾病に係る予防接種のために既罹患疾病に対応するワクチン成分を含有する混合ワクチンを使用することを可能とする。
ただし、第2期の予防接種に使用するワクチンは沈降ジフテリア破傷風混合トキソイドのみとする。
(14) 急性灰白髄炎の予防接種については、次のことに留意すること。
ア 急性灰白髄炎の予防接種の対象者については、原則として、平成24年9月1日より前の接種歴に応じた接種回数とすることから、予防接種台帳による確認や保護者からの聞き取り等を十分に行い、接種歴の把握に努める必要があること。
イ 平成24年9月1日より前に経口生ポリオワクチンを1回接種した者については、平成24年9月1日以降は、急性灰白髄炎の初回接種を1回受けたものとみなす。なお、平成24年9月1日より前に経口生ポリオワクチンを2回接種した者は、定期接種として受けることはできないこと。
(15) ジフテリア、百日せき、急性灰白髄炎及び破傷風の予防接種について、平成26年4月1日より前に、予防接種実施規則の一部を改正する省令(平成26年厚生労働省令第22号。以下「改正省令」という。)による改正前の実施規則(以下「旧規則」という。)に規定する接種の間隔を超えて行った接種であって、改正省令による改正後の実施規則に規定する予防接種に相当する接種を受けた者は、医師の判断と保護者の同意に基づき、既に接種した回数分の定期接種を受けたものとしてみなすことができること。
2 麻しん又は風しんの定期接種
(1) 対象者
ア 麻しん又は風しんの第1期の予防接種は、乾燥弱毒生麻しんワクチン又は乾燥弱毒生風しんワクチン若しくは乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンにより、生後12月から生後24月に至るまでの間にある者に対し、1回行うこと。この場合においては、早期の接種機会を確保すること。
イ 麻しん又は風しんの第2期の予防接種は、乾燥弱毒生麻しんワクチン又は乾燥弱毒生風しんワクチン若しくは乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンにより、5歳以上7歳未満の者であって、小学校就学の始期に達する日の1年前の日から当該始期に達する日の前日までの間にあるもの(小学校就学前の1年間にある者)に対し、1回行うこと。なお、麻しん及び風しんの第1期又は第2期の予防接種において、麻しん及び風しんの予防接種を同時に行う場合は、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンを使用すること。
ウ 風しんの第5期の予防接種は、原則、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンにより、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日の間に生まれた男性(風しんに係る抗体検査を受けた結果、十分な量の風しんの抗体があることが判明し、当該予防接種を行う必要がないと認められる者を除く)に対し、1回行うこと。
(2) 接種液の用法
乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン及び乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンは、溶解後にウイルス力価が低下することから、溶解後速やかに接種すること。
(3) 麻しん又は風しんに既罹患である場合の混合ワクチンの使用
麻しん又は風しんに既に罹患した者については、既罹患疾病以外の疾病に係る予防接種を行う際、混合ワクチンを使用することが可能である。
(4) 風しんの第5期の予防接種における休日・夜間における接種機会の確保
風しんの第5期の予防接種については、被接種者の利便性向上の観点から、休日・夜間における接種機会を確保するよう努めること。
3 日本脳炎の定期接種
(1) 日本脳炎の第1期の予防接種は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、初回接種については3歳に達した時から4歳に達するまでの期間を標準的な接種期間として6日以上、標準的には6日から28日までの間隔をおいて2回、追加接種については、初回接種終了後6月以上、標準的にはおおむね1年を経過した時期に、4歳に達した時から5歳に達するまでの期間を標準的な接種期間として1回行うこと。
(2) 第2期の予防接種は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、9歳に達した時から10歳に達するまでの期間を標準的な接種期間として1回行うこと。
(3) 予防接種の特例
ア 実施規則附則第2条の対象者(平成19年4月2日から平成21年10月1日に生まれた者で、平成22年3月31日までに日本脳炎の第1期の予防接種が終了していない者で、生後6月から90月又は9歳以上13歳未満にある者)
(ア) 実施規則附則第2条第1項により、残り2回の日本脳炎の予防接種を行う場合は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、6日以上の間隔をおいて2回接種すること。なお、既に接種済みの1回と今回の接種間隔については、6日以上の間隔をおくこと。
(イ) 実施規則附則第2条第1項により、残り1回の日本脳炎の予防接種を行う場合は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、1回接種すること。なお、既に接種済みの2回と今回の接種間隔については、6日以上の間隔をおくこと。
(ウ) 実施規則附則第2条第2項による日本脳炎の予防接種は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、6日以上、標準的には6日から28日までの間隔をおいて2回、追加接種については2回接種後6月以上、標準的にはおおむね1年を経過した時期に1回接種すること。
(エ) 実施規則附則第2条第3項による日本脳炎の予防接種は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、実施規則附則第4条第1項又は第2項により、9歳以上13歳未満の者が第1期の接種を受け終え、第2期の接種を受ける場合、6日以上の間隔をおいて、1回接種すること。
イ 実施規則附則第3条の対象者(平成7年4月2日から平成19年4月1日に生まれた者で、20歳未満にある者:平成17年5月30日の積極的勧奨の差し控えによって第1期、第2期の接種が行われていない可能性がある者)
(ア) 実施規則附則第3条第1項により、残り3回の日本脳炎の予防接種を行う場合(第1期の初回接種を1回受けた者(第1回目の接種を受けた者))は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、6日以上の間隔をおいて残り2回の接種を行うこととし、第4回目の接種は、9歳以上の者に対して、第3回目の接種終了後6日以上の間隔をおいて行うこと。
(イ) 実施規則附則第3条第1項により、残り2回の日本脳炎の予防接種を行う場合(第1期の初回接種を2回受けた者(第2回目の接種を受けた者))は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、6日以上の間隔をおいて第3回目の接種を行うこととし、第4回目の接種は、9歳以上の者に対して、第3回目の接種終了後6日以上の間隔をおいて行うこと。
(ウ) 実施規則附則第3条第1項により、残り1回の日本脳炎の予防接種を行う場合(第1期の接種が終了した者(第3回目の接種を受けた者))は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、第4回目の接種として、9歳以上の者に対して、第3回目の接種終了後6日以上の間隔をおいて行うこと。
(エ) 実施規則附則第3条第2項から第5項による日本脳炎の予防接種は、乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンにより、第1回目及び第2回目の接種として6日以上、標準的には6日から28日までの間隔をおいて2回、第3回目の接種については第2回目の接種後6月以上、標準的にはおおむね1年を経過した時期に1回接種すること。第4回目の接種は、9歳以上の者に対して第3回目の接種終了後、6日以上の間隔をおいて1回接種すること。
(4) 平成29~令和6年度における予防接種の特例に係る積極的な勧奨
ア 対象者
平成29~令和6年度に18歳となる者(平成11年4月2日から平成19年4月1日までに生まれた者)については、平成17年5月30日から平成22年3月31日までの積極的な勧奨の差し控えにより、第2期の接種勧奨が十分に行われていないことから、(3)の接種方法に沿って、年度毎に18歳となる者に対して予防接種の積極的な勧奨を行うこと。
イ 積極的な勧奨に当たって、個別通知を行う際には、予防接種台帳を確認して予防接種を完了していない者にのみ通知を行う方法又は対象年齢の全員に通知した上で、接種時に母子健康手帳等により残りの接種すべき回数を確認する方法のいずれの方法でも差し支えない。
ウ 積極的勧奨の差し控えが行われていた期間に、定期接種の対象者であった者のうち、第1期接種(初回接種及び追加接種)を完了していた者に対しては、市町村長等が実施可能な範囲で、第2期接種の積極的勧奨を行って差し支えない。
(5) 日本脳炎の予防接種について、平成26年4月1日より前に、旧規則に規定する接種の間隔を超えて行った接種であって、実施規則に規定する予防接種に相当する接種を受けた者は、医師の判断と保護者の同意に基づき、既に接種した回数分の定期接種を受けたものとしてみなすことができること。
4 結核の定期接種
(1) 結核の予防接種は、経皮接種用乾燥BCGワクチン(以下「BCG」という。)を使用し、生後5月に達した時から生後8月に達するまでの期間を標準的な接種期間として1回行うこと。
ただし、結核の発生状況等市町村の実情に応じて、上記の標準的な接種期間以外の期間に行うことも差し支えない。
(2) コッホ現象について
健常者がBCGを初めて接種した場合は、接種後10日頃に針痕部位に発赤が生じ、接種後1月から2月までの頃に化膿巣が出現する。
一方、結核菌の既感染者にあっては、接種後10日以内に接種局所の発赤・腫脹及び針痕部位の化膿等を来たし、通常2週間から4週間後に消炎、瘢痕化し、治癒する一連の反応が起こることがあり、これをコッホ現象という。これは、BCG再接種においてみられる反応と同一の性質のものが結核菌感染後の接種において比較的強く出現したものである。
(3) コッホ現象出現時の対応
ア 保護者に対する周知
市町村は、予防接種の実施に当たって、コッホ現象に関する情報提供及び説明を行い、次の事項を保護者に周知しておくこと。
(ア) コッホ現象と思われる反応が被接種者にみられた場合は、速やかに接種医療機関を受診させること。
(イ) コッホ現象が出現した場合は、接種局所を清潔に保つ以外の特別の処置は不要である。反応が起こってから、びらんや潰瘍が消退するまでの経過がおおむね4週間を超える等治癒が遷延する場合は、混合感染の可能性もあることから、接種医療機関を受診させること。
イ 市町村長におけるコッホ現象事例報告書の取扱い
市町村長は、あらかじめ様式第七のコッホ現象事例報告書を管内の医療機関に配布し、医師がコッホ現象を診断した場合に、保護者の同意を得て、直ちに当該被接種者が予防接種を受けた際の居住区域を管轄する市町村長へ報告するよう協力を求めること。
また、市町村長は、医師からコッホ現象の報告を受けた場合は、保護者の同意を得て、コッホ現象事例報告書を都道府県知事に提出すること。
ウ 都道府県知事のコッホ現象事例報告書の取扱い
都道府県知事は、市町村長からコッホ現象の報告を受けた場合は、厚生労働大臣宛てにコッホ現象事例報告書の写し(個人情報に係る部分を除く。)を提出すること。
エ コッホ現象事例報告書等における個人情報の取扱い
イにおいて、保護者の同意が得られない場合は、個人情報を除く事項をそれぞれ報告及び提出すること。
5 Hib感染症の定期接種
Hib感染症の予防接種は、初回接種の開始時の月齢ごとに以下の方法により行うこととし、(1)の方法を標準的な接種方法とすること。
(1) 初回接種開始時に生後2月から生後7月に至るまでの間にある者
乾燥ヘモフィルスb型ワクチンを使用し、初回接種については27日(医師が必要と認めた場合には20日)以上、標準的には27日(医師が必要と認めた場合には20日)から56日までの間隔をおいて3回、追加接種については初回接種終了後7月以上、標準的には7月から13月までの間隔をおいて1回行うこと。ただし、初回接種のうち2回目及び3回目の注射は、生後12月に至るまでに行うこととし、それを超えた場合は行わないこと。この場合、追加接種は実施可能であるが、初回接種に係る最後の注射終了後、27日(医師が必要と認めた場合には20日)以上の間隔をおいて1回行うこと。
(2) 初回接種開始時に生後7月に至った日の翌日から生後12月に至るまでの間にある者
乾燥ヘモフィルスb型ワクチンを使用し、初回接種については27日(医師が必要と認めた場合には20日)以上、標準的には27日(医師が必要と認めた場合には20日)から56日までの間隔をおいて2回、追加接種については初回接種終了後7月以上、標準的には7月から13月までの間隔をおいて1回行うこと。ただし、初回接種のうち2回目の注射は、生後12月に至るまでに行うこととし、それを超えた場合は行わないこと。この場合、追加接種は実施可能であるが、初回接種に係る最後の注射終了後、27日(医師が必要と認めた場合には20日)以上の間隔をおいて1回行うこと。
(3) 初回接種開始時に生後12月に至った日の翌日から生後60月に至るまでの間にある者
乾燥ヘモフィルスb型ワクチンを使用し、1回行うこと。なお、政令第3条第2項の規定による対象者に対しても同様とすること。
(4) Hib感染症の予防接種について、平成26年4月1日より前に、旧規則に規定する接種の間隔を超えて行った接種であって、実施規則に規定する予防接種に相当する接種を受けた者は、医師の判断と保護者の同意に基づき、既に接種した回数分の定期接種を受けたものとしてみなすことができること。
6 小児の肺炎球菌感染症の定期接種
小児の肺炎球菌感染症の予防接種は、初回接種の開始時の月齢ごとに以下の方法により行うこととし、(1)の方法を標準的な接種方法とすること。
(1) 初回接種開始時に生後2月から生後7月に至るまでの間にある者
沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを使用し、初回接種については、標準的には生後12月までに27日以上の間隔をおいて3回、追加接種については生後12月から生後15月に至るまでの間を標準的な接種期間として、初回接種終了後60日以上の間隔をおいた後であって、生後12月に至った日以降において1回行うこと。ただし、初回接種のうち2回目及び3回目の注射は、生後24月に至るまでに行うこととし、それを超えた場合は行わないこと(追加接種は実施可能)。また、初回接種のうち2回目の注射は生後12月に至るまでに行うこととし、それを超えた場合は、初回接種のうち3回目の注射は行わないこと(追加接種は実施可能)。
(2) 初回接種開始時に生後7月に至った日の翌日から生後12月に至るまでの間にある者
沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを使用し、初回接種については標準的には生後12月までに、27日以上の間隔をおいて2回、追加接種については生後12月以降に、初回接種終了後60日以上の間隔をおいて1回行うこと。ただし、初回接種のうち2回目の注射は、生後24月に至るまでに行うこととし、それを超えた場合は行わないこと(追加接種は実施可能)。
(3) 初回接種開始時に生後12月に至った日の翌日から生後24月に至るまでの間にある者
沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを使用し、60日以上の間隔をおいて2回行うこと。
(4) 初回接種開始時に生後24月に至った日の翌日から生後60月に至るまでの間にある者
沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンを使用し、1回行うこと。なお、政令第3条第2項の規定による対象者に対しても同様とすること。
7 ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種
(1) 次に掲げる者については、ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に広範な疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状が発生する場合があるため、予診に当たっては、これらの者の接種について慎重な判断が行われるよう留意すること。
ア 外傷等を契機として、原因不明の疼痛が続いたことがある者
イ 他のワクチンを含めて以前にワクチンを接種した際に激しい疼痛や四肢のしびれが生じたことのある者
(2) ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に当たっては、ワクチンを接種する目的、副反応等について、十分な説明を行った上で、かかりつけ医など被接種者が安心して予防接種を受けられる医療機関で行うこと。
(3) キャッチアップ接種の実施に当たっては、次のことに留意すること。
ア 令和4年4月1日から令和7年3月31日までの3年間の期間中に実施し、平成9年4月2日から平成18年4月1日までの間に生まれた女子を対象者とすること。
また、期間中に定期接種の対象から新たに外れる世代(平成18年4月2日から平成19年4月1日までの間に生まれた女子及び平成19年4月2日から平成20年4月1日までの間に生まれた女子)についても、順次、対象者とすること。
なお、過去に1回又は2回のワクチン接種歴があり、長期にわたり接種を中断していた者についても、接種間隔にかかわらず、対象者とすること。その際、接種を初回からやり直すことなく、残りの回数の接種(2、3回目又は3回目)を行うこと。
イ 従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を実施するため、次に掲げるワクチンの安全性、免疫原性及び有効性に関する事項についても、十分な説明を行うこと。
(ア) ヒトパピローマウイルス感染症の子宮病変に対するワクチンの有効性は、概ね16歳以下の接種で最も有効性が高いものの、20歳頃の初回接種までは一定程度の有効性が保たれること。さらに、性交経験がない場合はそれ以上の年齢についても一定程度の有効性があることが示されていること。
(イ) 従来の定期接種の対象年齢を超えて接種を実施した場合においても、明らかな安全性の懸念は示されていないこと。
(4) ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に、組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合には、13歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間を標準的な接種期間とし、標準的な接種方法として、1月の間隔をおいて2回行った後、1回目の注射から6月の間隔をおいて1回行うこと。ただし、当該方法をとることができない場合は、1月以上の間隔をおいて2回行った後、1回目の注射から5月以上、かつ2回目の注射から2月半以上の間隔をおいて1回行うこと。
キャッチアップ接種においては、1回目の注射から行う場合は、前段の方法により接種を行うこと。2回目の注射から行い、当該方法をとることができない場合は、1回目の注射から1月以上の間隔をおいて2回目を行った後、1回目の注射から5月以上、かつ2回目の注射から2月半以上の間隔をおいて3回目を行うこと。3回目の注射から行う場合は、上記の間隔を全て満たすことを確認のうえ、可能な限り速やかに行うこと。
(5) ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種に、組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンを使用する場合には、13歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間を標準的な接種期間とし、標準的な接種方法として、2月の間隔をおいて2回行った後、1回目の注射から6月の間隔をおいて1回行うこと。ただし、当該方法をとることができない場合は、1月以上の間隔をおいて2回行った後、2回目の注射から3月以上の間隔をおいて1回行うこと。
キャッチアップ接種においては、1回目の注射から行う場合は、前段の方法により接種を行うこと。2回目の注射から行い、当該方法をとることができない場合は、1回目の注射から1月以上の間隔をおいて2回目を行った後、2回目の注射から3月以上の間隔をおいて3回目を行うこと。3回目の注射から行う場合は、上記の間隔を全て満たすことを確認のうえ、可能な限り速やかに行うこと。
(6) 組換え沈降2価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンと組換え沈降4価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンの互換性に関する安全性、免疫原性及び有効性に関するデータは限定的であることから、同一の者には、原則、過去に接種歴のあるワクチンと同一の種類のワクチンを使用すること。
ただし、キャッチアップ接種において、過去に接種したヒトパピローマウイルス様粒子ワクチンの種類が不明である場合、接種を実施する医療機関の医師と被接種者とで十分に相談した上で、接種するワクチンの種類を選択すること。この場合、結果として、異なる種類のワクチンが接種される可能性があるため、ワクチンの互換性に関する安全性、免疫原性及び有効性についても、十分な説明を行うこと。さらに、過去に接種したワクチンの種類が不明である旨が予診票に記載されていることを確認すること。
(7) ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に血管迷走神経反射として失神があらわれることがあるので、失神による転倒等を防止するため、注射後の移動の際には、保護者又は医療従事者が腕を持つなどして付き添うようにし、接種後30分程度、体重を預けられるような場所で座らせるなどした上で、なるべく立ち上がらないように指導し、被接種者の状態を観察する必要があること。
(8) ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に広範な疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状が発生した場合、次に掲げる事項について適切に対応すること。
ア 法の規定による副反応疑い報告の必要性の検討
イ 当該予防接種以降のヒトパピローマウイルス感染症の予防接種を行わないことの検討
ウ 神経学的・免疫学的な鑑別診断及び適切な治療が可能な医療機関の紹介
(9) ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種について、平成26年4月1日より前に、旧規則に規定する接種の間隔を超えて行った接種であって、実施規則に規定する予防接種に相当する接種を受けた者は、医師の判断と保護者の同意に基づき、既に接種した回数分の定期接種を受けたものとしてみなすことができること。
(10) ヒトパピローマウイルス感染症は性感染症であること等から、感染予防や、がん検診を受診することの必要性について、併せて説明することが望ましい。
8 水痘の定期接種
(1) 対象者
水痘の予防接種は、生後12月から生後36月に至るまでの間にある者に対し、乾燥弱毒生水痘ワクチンを使用し、生後12月から生後15月に達するまでの期間を標準的な接種期間として1回目の注射を行い、3月以上、標準的には6月から12月までの間隔をおいて2回目の注射を行うこと。
(2) 平成26年10月1日より前の接種の取扱い
ア 平成26年10月1日より前に、生後12月以降に3月以上の間隔をおいて、乾燥弱毒生水痘ワクチンを2回接種した(1)の対象者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできないこと。
イ 平成26年10月1日より前に、生後12月以降に乾燥弱毒生水痘ワクチンを1回接種した者は、既に当該定期接種を1回受けたものとみなすこと。
ウ 平成26年10月1日より前に、生後12月以降に3月未満の期間内に2回以上乾燥弱毒生水痘ワクチンを接種した者は、既に当該定期接種を1回受けたものとみなすこと。この場合においては、生後12月以降の初めての接種から3月以上の間隔をおいて1回の接種を行うこと。
(3) 接種液の用法
乾燥弱毒生水痘ワクチンは、溶解後にウイルス力価が低下することから、溶解後速やかに接種すること。
9 B型肝炎の定期接種
(1) 対象者
平成28年4月1日以後に生まれた、生後1歳に至るまでの間にある者とすること。
(2) 対象者から除外される者
HBs抗原陽性の者の胎内又は産道においてB型肝炎ウイルスに感染したおそれのある者であって、抗HBs人免疫グロブリンの投与に併せて組換え沈降B型肝炎ワクチンの投与を受けたことのある者については、定期接種の対象者から除くこと。
(3) 接種方法
B型肝炎の定期接種は、組換え沈降B型肝炎ワクチンを使用し、生後2月に至った時から生後9月に至るまでの期間を標準的な接種期間として、27日以上の間隔をおいて2回接種した後、第1回目の注射から139日以上の間隔をおいて1回接種すること。
(4) 平成28年10月1日より前の接種の取扱い
平成28年10月1日より前(定期の予防接種が開始される前)の注射であって、定期の予防接種のB型肝炎の注射に相当するものについては、当該注射を定期の予防接種のB型肝炎の注射とみなし、また、当該注射を受けた者については、定期の予防接種のB型肝炎の注射を受けた者とみなして、以降の接種を行うこと。
10 ロタウイルス感染症の定期接種
(1) 対象者
令和2年8月1日以後に生まれた、次に掲げる者とすること。
ア 経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンを使用する場合は、出生6週0日後から24週0日後までの間にある者
イ 五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンを使用する場合は、出生6週0日後から32週0日後までの間にある者
(2) 対象者から除外される者
次に掲げる者については、定期接種の対象者から除くこと。
ア 腸重積症の既往歴のあることが明らかな者
イ 先天性消化管障害を有する者(その治療が完了した者を除く。)
ウ 重症複合免疫不全症の所見が認められる者
(3) 留意事項
ア 出生15週0日後以降の初回接種については安全性が確立されておらず、出生14週6日後までに初回接種を完了させることが望ましい。このため、定期接種の周知に当たっては、その旨を伝えること。
イ 出生15週0日後以降に初回接種を行う場合、上記について十分に説明を行い、同意を得られた場合に接種すること。
ウ ワクチン接種後に間欠的な啼泣や不機嫌、血便、嘔吐等腸重積症を疑う症状が被接種者にみられる場合は、速やかに医師の診察を受けさせるよう、接種時に保護者に対して説明すること。
(4) 接種歴の確認
2回目以降の接種に当たっては、保護者が持参した予防接種済証又は母子健康手帳等により、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン又は五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンのいずれの接種歴があるか確認すること。
(5) 接種方法
ロタウイルス感染症の定期の予防接種は、接種歴を確認した上で、原則として、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンを27日以上の間隔をおいて2回経口投与、又は五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンを27日以上の間隔をおいて3回経口投与することとし、初回接種については、生後2月に至った日から出生14週6日後までの間を標準的な接種期間として実施すること。
ただし、1回又は2回投与した後に転居した際、転居後の定期接種を実施する市町村において、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン又は五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンのいずれか一方の接種しか実施していない等の理由により、原則によることができないやむを得ない事情があると当該市町村長が認める場合には、次に掲げる方法で接種することできる。
ア 経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンを1回経口投与した後、第1回目の経口投与から27日以上の間隔をおいて、五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンを27日以上の間隔をおいて2回経口投与する。
イ 五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンを1回経口投与した後、第1回目の経口投与から27日以上の間隔をおいて、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンを27日以上の間隔をおいて2回経口投与する。
ウ 五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンを2回経口投与した後、第2回目の経口投与から27日以上の間隔をおいて、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチンを1回経口投与する。
(6) 吐き出した場合の対応
経口投与後に接種液を吐き出したとしても追加の投与は必要ない。
(7) 令和2年10月1日より前の接種の取扱い
令和2年10月1日より前(定期接種が開始される前)の経口投与であって、定期接種の経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン又は五価経口弱毒生ロタウイルスワクチンの経口投与に相当するものについては、当該経口投与をロタウイルス感染症の定期接種とみなし、また、当該経口投与を受けた者については、定期接種のロタウイルス感染症の経口投与を受けた者とみなして、以降の経口投与を行うこと。
11 高齢者の肺炎球菌感染症の定期接種
(1) 対象者
高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種は、次に掲げる者に対し、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンを使用し、1回行うこと。ただし、イに該当する者として既に当該予防接種を受けた者は、アの対象者から除くこと。
ア 65歳の者
イ 60歳以上65歳未満の者であって、心臓、腎臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害を有する者及びヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者
(2) 対象者から除外される者
これまでに、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンを1回以上接種した者は、当該予防接種を定期接種として受けることはできないこと。
また、平成26年度から平成30年度の間に既に定期接種として高齢者肺炎球菌感染症の予防接種を受けた者についても、同様に当該予防接種を定期接種として受けることはできないことから、政令第6条の規定による周知を行うにあっては、予防接種台帳等を活用し、既に高齢者肺炎球菌感染症に係る予防接種を受けたことのある者を除いて送付する方法で周知を行うこと。そのため、予防接種記録について5年間を超えて管理・保存するよう努めること。
(3) 接種歴の確認
高齢者の肺炎球菌感染症の予防接種を行うに当たっては、予診票により、当該予防接種の接種歴について確認を行うこと。
(4) 予防接種の特例
平成31年4月1日から令和2年3月31日までの間、(1)アの対象者については、平成31年3月31日において100歳以上の者及び65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳又は100歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者とすること。
また、令和2年4月1日から令和6年3月31日までの間、(1)アの対象者については、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳又は100歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者とすること。
12 インフルエンザの定期接種
インフルエンザの予防接種は、次に掲げる者に対し、インフルエンザHAワクチンを使用し、毎年度1回行うこと。
ア 65歳以上の者
イ 60歳以上65歳未満の者であって、心臓、腎臓又は呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害を有する者及びヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者
別添2