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○「歯科用インプラントの承認申請に関する取扱いについて」の一部改正について

(令和4年11月7日)

(薬生機審発1107第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長通知)

(公印省略)

歯科用インプラントの製造販売承認申請の取扱いについては、「歯科用インプラントの承認申請に関する取扱いについて」(平成24年7月13日付け薬食機発0713第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知。以下、「室長通知」という。)により示しているところです。

今般、「歯科用インプラント承認基準の改正について」(令和4年11月2日付け薬生発1102第10号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)により、歯科用インプラントの承認基準が改正されたことに伴い、室長通知の別添1の「歯科用インプラントの承認申請に関するQ&A」について、別紙1の新旧対照表のとおり改正しました。

引き続き、歯科用インプラントの承認申請に際して、審査手続きの明確化及び透明化を図り、資料作成の効率化及び審査の迅速化に資するため、別添1の改正後の「歯科用インプラントの承認申請に関するQ&A」と併せて、別添2の「歯科用インプラントの一品目の範囲に関するQ&A」及び別添3の「マルチピースアバットメントの取扱い」を取りまとめましたので、御了知の上、貴管内関係団体、関係事業者等への周知方お願いします。

別紙1

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別添1

歯科用インプラントの承認申請に関するQ&A

【申請区分】

Q1

「承認基準あり・臨床なし」区分に該当する品目として、既に承認・認証・届出されたクラスⅡ又はクラスⅠの品目と組み合わせたものを「承認基準あり・臨床なし」区分で承認申請してよいか。

※ 以下「承認基準」とは「医療機器の製造販売承認申請について」(平成26年11月20日付け薬食発第1120第5号厚生労働省医薬食品局長通知)の第1の2(5)に定義されるものであること。

A1

「組合せ医療機器、複数の一般的名称が該当する品目に係る質疑応答集(Q&A)(その1)」(平成21年7月1日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室事務連絡)のQ&A38に基づき、「承認基準あり・臨床なし」区分により承認申請して差し支えない。この場合の承認申請書の記載は、「組合せ医療機器に係る製造販売承認申請、製造販売認証申請及び製造販売届出に係る取扱いについて」(平成21年3月31日付け薬食機発第0331002号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)に基づく簡略記載でよい。ただし、組み合わせることによって承認基準への適合性に影響を及ぼさないこと、新たな評価が必要でないことの説明が必要であることに留意すること。

〔参考〕「組合せ医療機器、複数の一般的名称が該当する品目に係る質疑応答集(Q&A)(その1)」(平成21年7月1日付け厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室事務連絡)の別添

Q38

承認基準に適合する品目に、承認基準に規定されていない別の構成医療機器等を追加したい場合で、その追加する構成医療機器が既に承認、認証又は届出されているものであり、かつ、組み合わせることによって新たな使用目的、効能又は効果等を生じず、組み合わせることについて新たな評価が必要でない場合には「承認基準あり」区分で申請できると解してよいか。

なお、この場合の構成医療機器には、「基準なし」区分で承認を受けたものも含んでいる。

A38

貴見のとおり。

ただし、「承認基準あり」の区分で申請する際には、組み合わせることによって承認基準への適合性に影響を及ぼさないこと、新たな評価が必要でないことの説明が必要であることに留意すること。

Q2

「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律(平成14年法律第96号)」による改正前の薬事法(昭和35年法律第145号)において承認されていた品目(ただし、法第14条第1項又は第19条の2第1項の規定に基づく承認を受けているものとみなされた品目に限る。)について、各構成品の種類の追加のための承認事項一部変更承認申請を「承認基準あり・臨床なし」で行う際には、どのような承認申請を行えばよいか。

A2

構成品追加の承認事項一部変更承認申請を行う際に、構成品の変更(追加・削除)を含めた申請品目が、該当する各評価項目について承認基準に適合していることを示すことで「承認基準あり・臨床なし」区分での承認事項一部変更承認申請を行うことができる。なお、既承認の構成品を含めた全ての構成品について、該当する各評価項目について承認基準に適合していることを示す必要があることに留意すること。

Q3

アバットメントスクリュ単体で申請する場合、原材料が既承認品と同一で、表面処理が同等であることを示すことができれば、承認基準に適合すると判断してよいか。

A3

差し支えない。なお、アバットメントスクリュは、承認基準の定義3.4より、一般的名称の「歯科用インプラントアバットメント」に含まれるため、歯科用インプラントアバットメントに該当する評価項目が基準に適合している場合は、基準適合と判断して差し支えない。ただし、フィクスチャとアバットメントとをつなぐ機能や使用される状況を想定した評価(例:疲労試験)をした上で、基準への適合性を評価する必要があることに留意すること。

【評価項目】

Q4

ボールアバットメント、ロケーターアバットメント、キャスタブルアバットメント(いわゆるUCLAアバットメント)について、申請時の留意事項はあるか。

A4

ボールアバットメント、ロケーターアバットメント、キャスタブルアバットメントについては、承認基準に規定する評価項目に加えて、次の評価項目を追加して評価する必要がある。

(1) ボールアバットメント、ロケーターアバットメント

ボールアバットメント、ロケーターアバットメントの申請に当たっては、「承認基準あり」及び「承認基準なし」いずれの区分の場合であっても、下記の①、②及び[参考]に留意すること。

①寸法

ボールアバットメントについては、アタッチメントを指定し、形状欄でアバットメントのボール径とネック径を規定する。

ロケーターアバットメントについては、アタッチメントを指定し、形状欄でアバットメントの頭部(アタッチメントと嵌合する部分)の形状と寸法を規定する。

②アタッチメントとの維持力

アバットメントと指定のアタッチメントとの維持力が、既承認品と同程度であること。

[参考]疲労試験の留意事項

疲労試験の実施に当たっては、最もリスクが高いと想定されるアバットメントとフィクスチャとの組合せにより、ISO 14801又はJIS T 6005によって行う。その際、ボールアバットメントについては、ボール部にアタッチメントを介して半球荷重部(hemispherical loading member)を装着し、荷重を負荷するか、アタッチメントを使用せず、ボール部に半球荷重部を装着し、荷重を負荷する。ロケーターアバットメントについては、頭部にアタッチメントを介して半球荷重部を装着し、荷重を負荷するか、アタッチメントを使用せず、頭部に半球荷重部を装着し、荷重を負荷する。なお、既承認品との比較に当たっては、類似のボールアバットメント、ロケーターアバットメントで同じ荷重負荷方式であることが必要である。

(2) キャスタブルアバットメント

キャスタブルアバットメントの申請に当たっては、「承認基準あり」及び「承認基準なし」いずれの区分の場合であっても、下記の①及び[参考]に留意すること。

①嵌合部の寸法安定性

指定された歯科用合金を鋳接し、これに当該合金の指定陶材の焼付け操作に伴う熱履歴を加えたアバットメントに対して、嵌合部の寸法(例えば、六角対辺と接合部の直径)を測定する。各測定値が、図面で指示された公差の範囲内でなければならない。

[参考]疲労試験の留意事項

疲労試験については、「歯科用インプラント承認基準の改正について」(令和4年11月2日付け薬生発1102第10号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)の別紙1「歯科用インプラント承認基準における技術基準」(以下「技術基準」という。)の5.1 b)疲労試験のとおり各最終製品を用いて規定の条件で組み立てて実施するとあることから、鋳接の範囲内で最もリスクが高いと想定されるアバットメントとフィクスチャとの組合せにより行う。上部構造一体型のアバットメントについては、そのリスクに鑑み考察することでセメント固定用カスタムアバットメントとして鋳造される範囲における評価を行うことで差し支えない。

【参考:キャスタブルアバットメントとは】

キャスタブルアバットメントとは、金属製の嵌合部をもつアバットメント形状の既製の構成品であり、ワックス等を築盛し、ロストワックス法で金合金等を用いて鋳造し、金属製の嵌合部と鋳接することにより形態を自由に付与することができるアバットメント(いわゆるUCLAアバットメント)である。使用方法としては、直接、歯冠形態を付与した上部構造一体型のアバットメントとしてフィクスチャにスクリュ固定する方法と、セメント固定用カスタムアバットメントとしてフィクスチャにスクリュ固定し、その上に上部構造をセメント固定する2種類の使用方法が可能である。

【承認基準における技術基準】

Q5

技術基準の4.3 形状、構造における歯科用インプラントアバットメントについては、角度のみが規定されている。既承認品と比較する場合に、角度以外について同等性に関する評価を行わなくてよいか。

A5

技術基準の4.3 形状、構造には、角度のみ規定されているが、承認申請書の「形状、構造及び原理」欄には、少なくとも製品を特定する形状及び寸法を記載し、これらの部分についての同等性評価が必要である。

Q6

技術基準の5.物理的・化学的要求事項について、「試験方法等を変更した場合には、試験方法及び試験選択の妥当性を示す。」と記載されているが、原材料製造業者が行っている試験方法を使用してもよいか。

A6

技術基準の5.1 物理的要求事項及び5.2 化学的要求事項においては、最終製品に関する試験又は情報を求められているが、原材料を用いた試験により最終製品に関する評価を行うことができる場合であって、かつ、本基準で求められる試験の代わりに評価に用いることの科学的妥当性を示すことができる場合には、原材料製造業者が行っている試験方法を使用することができる。

Q7

技術基準の5.1 物理的要求事項 a)表面処理の3)最終処理品の写真において、「ただし、2)―7及び2)―8の粗面化以外の表面処理については、最終製品全体の鮮明なカラー写真のみを提示する。」と記載されているが、具体的にどのような写真を提示すればよいのか。また、無処理の場合は、どのような写真を提示すればよいのか。

A7

2)―7及び2)―8の粗面化以外の表面処理とは、着色のみを目的とした場合であることから、それぞれ次の写真を提示すること。なお、電子顕微鏡写真の提示は不要である。

2)―7 窒化チタンによる着色処理:処理部分の着色状態が分かる最終製品全体の写真

2)―8 干渉色を発現させるための陽極酸化処理:処理部分の着色状態が分かる最終製品全体の写真

また、2)―1の無処理の場合は、承認申請書及び添付資料に添付する最終製品全体の写真を提示すること。

Q8

技術基準の5.1 b)疲労試験は、「原則として実施し」とされているが、本試験の実施の省略が可能な事例とはどのような場合か。

A8

既承認品との同等性により疲労強度が適切に評価できる場合は、その科学的妥当性を示すことにより既承認品のデータを本品の試験データに代えることで差し支えない。

なお、技術基準の5.1 b)疲労試験は、製造販売業者が使用方法の中で指定する歯科用インプラントフィクスチャ(又は歯科用骨内インプラント材)、歯科用インプラントアバットメント及び専用のアバットメントスクリュの各最終製品の組合せについて9.リスク評価を行い、最もリスクが高いと分析された形状・寸法等の組合せで試験を行うこと。

リスク評価に当たっては、製品の設計・デザインに加えて、製品を使用する部位からみて想定される荷重の大きさ、方向及び種類も考慮する必要がある。また、インプラントフィクスチャの径のみならず、インプラントフィクスチャ並びにインプラントアバットメントの長さ及び嵌合部の設計・構造等に関するリスク評価も必要となることに留意されたい。その際、有限要素解析(Finite Element Analysis:FEA)又はその他の方法によりリスク評価を行う場合は、解析結果に係る資料提出の上で、解析の設定条件を含む解析方法の妥当性を示すこと。

【解説】

1.システムの構成品が多くある場合の試験検体の選択について

ストレートタイプとアングルタイプがある場合は、各タイプの中での最もリスクの高いもので評価を行うこと。ただし、ストレートタイプとアングルタイプの設計検証において、臨床的な使用環境の差異も考慮の上で、同等の疲労強度を有する仕様である場合は、両者を代表する構成品を選択することで差し支えない。

2.試験検体数の設定について

試験検体数は、ISO 14801又はJIS T 6005に規定する試験検体数とすること。なお、試験検体数がこれとは異なる場合には、設定理由及びその妥当性を承認申請資料で説明すること。

3.荷重条件の設定について

ISO 14801又はJIS T 6005に規定する荷重条件の設定が基本となること。なお、これとは異なる前試験を実施し、その試験結果から疲労試験の荷重条件を設定する場合は、荷重条件の設定方法及びその妥当性を承認申請資料で説明すること。また、類似医療機器の規格値等を用いて設定する場合には、その妥当性を承認申請資料で説明すること。

4.インプラントフィクスチャの長さについて

ISO 14801又はJIS T 6005による歯科用インプラントの疲労試験では、インプラントフィクスチャの長さが疲労強度に及ぼす影響を評価できないため、この影響を技術基準の9.リスク評価により考察することが必要である。

Q9

技術基準の5.1 b)疲労試験について、中間サイズを試験検体とした場合、どのような評価を行う必要があるか。また、承認基準への適合性はどのように考えるべきか。

A9

中間サイズを試験検体として試験する場合は、中間サイズの試験検体のリスクが最も高いことを科学的に実証できる場合においては、基準適合と判断されうる。

なお、試験開始前にリスク評価を適切に行い、最もリスクが高いと分析されたもので試験を行うことに留意されたい。

疲労試験を行った中間サイズ等と他の類似するバリエーションとのリスクを比較するに当たって、例えば、FEAによる評価を行う場合には、解析の妥当性を示す必要がある(Q8を参照すること)。具体的には、FEAの応力集中部位と疲労試験結果との相関からFEAの妥当性を根拠資料とともに示した上で(FEAにおいては応力集中部のわかるコンター図、疲労試験においてはクラック発生箇所のわかる写真等を合わせて示す。)、形状や寸法の類似するその他の構成品と比較し、疲労試験を行った組合せ検体がワーストケースに該当することを示すことができる。

また、組合せ検体におけるワーストケースの選択については、申請品には含まない他品目も含めた全ての組合せを考慮した上で評価を行う必要がある。例えば、フィクスチャのみの申請であっても組み合わせるアバットメントも含めたワーストケースの評価を行う必要があることに留意されたい。

Q10

承認基準への適合性を判断するに当たって、表面処理に関する同等性は、技術基準の表9―1~表9―3に記載された組合せを満足することでよいか。

A10

表面処理の製造条件は、申請書に記載するが、表面処理に関する同等性については、歯科用インプラントフィクスチャにあっては、技術基準の表9―1に記載された組合せ、又は、原材料及び表2の表面処理の組合せが既承認品と同一のものであること、歯科用インプラントアバットメントにあっては、技術基準の表9―2及び表9―3の組合せを参考として、原材料が既承認品と同一であって、かつ、表2に示された表面処理であること、及び表面粗さが基準の範囲又は既承認品と同等であることによって判断する。

技術基準1.適用範囲に「既承認品と同等の表面処理が施され、既承認品と同等の表面又は同等の表面処理の状態をもつ」と記載されているように、適切な既承認品との比較により表面処理に関する同等性を評価する。なお、技術基準の表2に記載した表面処理以外の表面処理をしたものについては、承認基準に適合しない。

Q11

口腔内で使用される前に切削加工されて用いる仕様のアバットメント(ミリング又はプレパブルアバットメント)について、技術基準の5.1 b)の疲労試験を行う場合、どのような評価を行えばよいか。

A11

疲労試験は、技術基準の5.1 b)のとおり、各最終製品を用いて規定の条件で組み立てて実施するものであることから、切削加工の範囲内で最もリスクが高いと想定されるアバットメントとフィクスチャとの組合せにより疲労試験を実施する必要がある。

ただし、切削加工されて用いる仕様のアバットメントとは、技工操作にて軸面形成を要するものであり、通常、軸面に回転防止機構のないものや、テーパがないもの又はごく僅かなものを指し、長さの調整、歯肉貫通部のマージンの微調整以外の技工操作を伴うものである。

また、切削加工の範囲については、操作方法又は使用方法欄、添付文書に反映すること。

なお、一般に切削加工して用いられるものと類似の形状で、切削加工を意図しない製品に関しては、現場での誤使用を避けるため、切削加工用ではない旨を、操作方法又は使用方法欄、添付文書に明記すること。

Q12

当該インプラントが技術基準の3.9 表面処理に該当する加工を施している場合、5.2 化学的要求事項 c)耐食性の評価における留意点は何か。

A12

歯科用インプラント承認基準において、耐食性については、最終製品又は最終製品と同一の条件で作製された試験片に対し、JIS T 6002の4.1 静的浸せき試験又はISO 10271の4.1に準じて溶出量の測定を行うことで評価することとしている。金属材料からの溶出は、原材料のみならず、表面の性状にも影響を受けるため、JIS T 6002の4.1.5 試料 a)作製 2)既製品、及び4.1.5 d)調製 3)既製の部品又は機器によって、試験片の作製、調製を行うこと。この際、試験片を4.1.5 d) 2)の条件によって1200番の耐水研磨紙で研磨した場合、当該本品の表面処理層が除去されるため、母材そのものの溶出量を測定したことになり、最終製品の耐食性評価が困難となることから、最終製品と同一の表面処理を施した状態で耐食性の評価を行うことが必要であることに留意されたい。

Q13

ISO 1567が廃止されISO 20795―1に移行された例のように、承認基準に引用されている規格が移行された場合、旧規格に基づいて実施した試験結果を使用することは可能か。

A13

規格が改正又は移行された場合、承認基準の改正版が通知されるまで、承認基準に引用されている規格は、自動的にその改正又は移行された規格に読み替えるものであることから、速やかな対応が望ましい。なお、規格改正後おおむね3年間は、旧規格に基づいて実施した試験結果を用いて承認申請することで差し支えないが、承認申請を行う前に独立行政法人医薬品医療機器総合機構に相談すること。

別添2

歯科用インプラントの一品目の範囲に関するQ&A

【一品目の範囲】

Q1

フィクスチャ及びアバットメントが滅菌品の場合や、フィクスチャが滅菌品でアバットメントが非滅菌品の場合、いずれも1品目として承認申請してよいか。

A1

いずれの場合も、1品目として承認申請して差し支えない。ただし、同じ構成品で滅菌品と非滅菌品とが混在する場合にあっては、誤って使用される恐れがあるため、別品目として承認申請する必要がある。なお、当該考え方は「承認基準あり」、「承認基準なし」のいずれの申請においても共通である。

Q2

1品目で申請できるフィクスチャ、アバットメントの範囲はどこまでか。

A2

「承認基準あり」、「承認基準なし」のいずれの申請においても、歯科用インプラントにおいて1品目として申請できる範囲は原則以下の考えによる。

歯科用インプラントのシステムについては、同一の設計コンセプト(骨との接合のための原材料、形状、表面処理、術式)の下で設計され、一つの臨床症例に対して一つの組合せ(フィクスチャ、アバットメント、アバットメントスクリュ等の組合せ)が確定するものについては、1品目として承認申請して差し支えない。この場合、適用、使用方法が異なっても複数の組合せにならないことに留意すること。

フィクスチャについては、①原材料が異なるごと、②形状・構造が大きく異なるごとに、1品目として承認申請することが必要である。

アバットメントについては、1品目として承認申請できるフィクスチャに締結される同一シリーズのアバットメントであって、同一の開発コンセプトの下で開発され、臨床におけるそれぞれの使い分けが明確であるものについては、形状・構造や、原材料が異なっていても、1品目として承認申請して差し支えない。

なお、フィクスチャの種類数とアバットメントの種類数を掛け合わせた数の組合せについて、疲労強度の評価が必要である。

別紙にフィクスチャ、アバットメントに関する1品目の範囲を例示したので参照されたい。この例示から判断が難しい場合は、申請前に独立行政法人医薬品医療機器総合機構に相談されたい。

別紙

1.歯科用インプラントフィクスチャの1品目の範囲(事例)

(1) 1品目として承認申請が可能な例


構成品

同一点

相違点

例1

・インターナル/テーパ

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・原材料

・形状・嵌合部

・表面処理

・術式

・径

・長さ

例2

・エクスターナル/テーパ

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・原材料

・形状・嵌合部

・表面処理

・術式

・径

・長さ

例3

・インターナル/ストレート

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・原材料

・形状・嵌合部

・表面処理

・術式

・径

・長さ

例4

・エクスターナル/ストレート

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・原材料

・形状・嵌合部

・表面処理

・術式

・径

・長さ

(2) 1品目として承認申請が可能な組合せ例


構成品の組合せ

理由

使い分け

例5

・テーパ

・ストレート

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骨接触部分の形状・構造の違いが軽微。

・テーパ:すう粗な骨質の症例や隣在歯が近接する症例に適する。

・ストレート:上記以外の症例に適する。

例6

・インターナル

・エクスターナル

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骨接触部分の形状・構造が同じ。

・インターナル:少数歯の欠損症例又は側方力が大きくかかることが予想される症例に適する。

・エクスターナル:上記以外の症例に適する。

例7

・上部でピッチが変わるもの

・スレッドのピッチが一定

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骨接触部分の形状・構造の違いが軽微。

・上部でピッチが変わるもの:経時的な骨吸収が多いと予想される症例又は骨質が軟質で初期固定が得られにくい症例に適する。

・ピッチが一定:上記以外の症例に適する。

例8

・表面処理の範囲が異なるもの(一部・全体)承認基準の表面処理方法に限る

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承認基準に記載の表面処理のものは、骨に対する影響度に大きな差がない。

・一部:骨吸収が危惧される症例に適する。

・全体:上記以外の症例に適する。

疲労強度の評価は、フィクスチャとアバットメントとを組み合わせて行われるので、例6のように嵌合部の形状又は構造が異なる場合は、それぞれのフィクスチャに対応する全てのアバットメントとの組合せでの評価が必要であり、評価対象が非常に多くなることに留意されたい。

(3) 別品目として承認申請が必要な例


構成品の組合せ

理由

例9

・チタン

・チタン 6―アルミニウム 4―バナジウム合金

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原材料が異なる。

例10

・1ピース

・2ピース

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形状又は構造が大きく異なる。

例11

・スレッド

・シリンダ

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形状又は構造が大きく異なる。

例12

・無処理

・表面処理

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開発コンセプトが異なる(骨接触部分の構造が異なる)。

例13

・インターナル/ストレート

・エクスターナル/テーパ

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開発コンセプトが異なる(骨接触部分の形状・構造が異なる上に、嵌合部形状も異なる)。

2.歯科用インプラントアバットメントの1品目の範囲(事例)

(1) 1品目として承認申請が可能な組合せ例


暫間アバットメント(ヒーリング用)

暫間アバットメント(暫間ブリッジ用)

既製アバットメント(アングル、ストレート共)

ボールアバットメント

ミリング又はプレパブルアバットメント

キャスタブルアバットメント

スクリュ


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臨床における使い分け

歯肉治癒期間の暫間使用

最終補綴物作製までの暫間補綴用

単独歯~多数歯ブリッジ用

無歯顎オーバーデンチャー用

審美補綴用(歯肉の立ち上がりを自然の形態にできる)

顎間距離のとれない患者用

アバットメントをフィクスチャに締結する

原材料

例1

(嵌合部形状は同じ)

チタン

チタン(強度が必要な箇所)

PEEK又はアクリル樹脂(強度の要求されない箇所)

チタン

チタン

チタン

金合金(加工による補綴物作製用)

アルミナ又はジルコニア(補綴物の色合い)

金合金(鋳接用)

チタン合金

例2

(嵌合部形状は同じ)

チタン合金

チタン(強度が必要な箇所)

PEEK又はアクリル樹脂(強度の要求されない箇所)

チタン合金

チタン合金

チタン合金

金合金(加工による補綴物作製用)

アルミナ又はジルコニア(補綴物の色合い)

金合金(鋳接用)

チタン合金

Q&A2に該当する場合を除く。

(2) 別品目として承認申請が必要な例


構成品の組合せ

理由

例3

・チタン(ASTM F 67 Grade 2)

・チタン(ASTM F 67 Grade 4)

Grade 2

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Grade 4

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同一の構成品においては、強度規格の異なる原材料ごとに一品目となる。

例4

既製のアバットメント

・滅菌

・非滅菌

滅菌品

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非滅菌品

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同一の構成品においては、滅菌品と非滅菌品ごとに一品目となる。

例5

アバットメントスクリュ

・滅菌

・非滅菌

滅菌品

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非滅菌品

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同一のアバットメントスクリュの場合には、滅菌品と非滅菌品ごとに一品目となる。ただし、一方のスクリュが、同時に使用される構成品とともに全体が包装されていて誤使用の恐れがない場合には、滅菌品と非滅菌品とを一品目として申請することができる。

別添3

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