アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○複数の卸売販売業者が共同で設置する発送センターの営業所における他の卸売販売業者の営業所の場所からの区別について

(令和4年10月6日)

(薬生総発1006第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長通知)

(公印省略)

卸売販売業の営業所の構造設備については、薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号)第3条第1項第2号において、卸売販売業の営業所は「当該卸売販売業以外の卸売販売業の営業所の場所」から明確に区別されていることが求められています。

また、複数の卸売販売業者が共同で設置する発送センター(以下、「共同発送センター」という。)において、当該複数の卸売販売業者の営業所に係る管理者を同一人が兼務することは、「医薬品に関する規制緩和について」(平成7年12月28日付け薬発第1177号厚生省薬務局長通知)において、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号、以下「医薬品医療機器等法」という。)第35条第4項に規定する「その営業所以外の場所」で業として営業所の管理その他薬事に関する実務に従事する場合には当たらないものと解して差し支えないものとしているところです。

今般、共同発送センターにおける、それぞれの卸売販売業者の営業所の場所の区別について、コンピュータ化システムを用いて各卸売販売業者の所有する医薬品を電子的に区別可能である場合にそれぞれの営業所の場所が明確に区別されているものとして取り扱うことができるよう要望があったこと等を踏まえ、別添のとおり整理しましたので、その趣旨を十分に御了知の上、貴管下関係団体、関係機関等への周知をお願いします。

1.各卸売販売業者の営業所の場所の区別

・ 共同発送センターにおいて、以下の全ての項目を満たし、卸売販売業者が所有する医薬品と他の卸売販売業者が所有する医薬品を、コンピュータ化システムを用いて電子的に区別することが可能である場合には、その貯蔵場所が物理的に連続していない又は貯蔵場所の区別が一時的な場合であっても、卸売販売業者の営業所は、他の卸売販売業者の営業所の場所から明確に区別されていることとして取り扱って差し支えないこと。

(1) 適切な管理

・ 適切にバリデートされたコンピュータ化システムにより、当該卸売販売業者に係る全ての流通業務において、同一設備内の各卸売販売業者の所有する医薬品を確実に区別できること。

・ 製造販売業者、製造ロット等が同一の医薬品であっても、各卸売販売業者の所有する医薬品を確実に区別できる必要があること。

・ コンピュータ化システムのバリデーションにあたっては、正確性、一貫性及び再現性をもって各卸売販売業者の所有する医薬品を確実に区別できることを示すこと。また、「医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインについて」(平成30年12月28日付け厚生労働省医薬・生活衛生局総務課・監視指導・麻薬対策課事務連絡)別添「医薬品の適正流通(GDP)ガイドライン」(以下、「GDPガイドライン」という。)を参照すること。

・ 全ての流通業務には返品・回収・廃棄(処分)業務も含み、返品・回収・廃棄(処分)された医薬品であっても各卸売販売業者の区別ができること。

(2) リスクマネジメント

・ 卸売販売業者は、他の卸売販売業者と連携して、コンピュータ化システムによる管理を行うことを踏まえたリスク評価を行い、運用を開始する前にリスク管理の手順(例えば、システム障害発生時の対応)を定めること。

・ 事故、事件等の発生時に各卸売販売業者間で連絡が取れる体制を構築すること。

(3) 責任の所在の明確化

・ 予期しうる事故、事件等に対して、同一の貯蔵設備を用いる全ての卸売販売業者が医薬品の管理における責任を負うこと(ただし、特定の卸売販売業者による責任が明らかであるものを除く。)。また、責任の所在については同一の貯蔵設備を用いる全ての卸売販売業者の合意を得た上で文書化すること。

・ この際、各卸売販売業者は、責任の所在が不明となる可能性の高い事故等(例えば、鍵の閉め忘れによる盗難)に対する対応についても整理し、文書で明確化すること。

(4) 許可権者への資料の提示

・ 卸売販売業者は、他の卸売販売業者の保管する医薬品と電子的に区別した上で同一の貯蔵設備を共用しようとする場合の営業所の許可(更新を含む。)申請時及び構造設備を変更した際に提出する変更届時(以下「許可申請等時」という。)、調査・監視時に、許可権者の求めに応じて2.に示す資料を提示すること。

(5) その他

・ コンピュータ化システムは、許可権者により一部の卸売販売業者に対して業務停止命令等が発せられた場合に、他の卸売販売業者の医薬品の管理も含めて、当該命令等に対応可能な仕様とすること。

・ 特に、温度管理に注意を要するなど品質管理が困難な医薬品の保管について、他の卸売販売業者と同一の冷暗貯蔵のための設備を共用する場合には、他の卸売販売業者の医薬品の品質に影響を与えないよう、共用する全ての卸売販売業者とあらかじめ協議の上、当該設備の管理手順を定めること。品質に懸念がある事象が発生した場合、他の医薬品への影響範囲を特定し、影響する卸売販売業者に報告すること。

2.許可権者への提示資料

・ 1.(1)において実施したコンピュータ化システムのバリデーションについて、営業所の方針がわかる簡潔な資料(例えば、「コンピュータ化システム管理規定」の要約、その内容がわかる資料であって、準拠しているガイドラインが分かり、手順書が整備されていることが分かる資料等)及びバリデーション実施結果報告書

・ 1.(2)において策定したリスク管理手順に関する資料

・ 1.(3)において明確化した医薬品の管理における責任の所在に関する資料

3.その他留意事項等

・ 1.(1)~(3)は、医薬品の販売又は授与の業務(医薬品の貯蔵に関する業務を含む。)に係る適正な管理を確保するために必要な事項であるが、1.(1)~(3)以外の方法で各事項の内容を達成することは妨げないこと。

・ 許可申請等時に提出する営業所の平面図(立体倉庫を使用する場合、立体倉庫の概要が分かる展開図等も含む。)においては、使用している又は使用し得る場所を示すこと。この際、他の卸売販売業者の使用している又は使用し得る場所と重複することは差し支えないが、当該重複部分についてその旨及びその面積について併せて記載すること。

・ 各営業所の面積は、各卸売販売業者間の取決め等を踏まえて定められた重複部分の面積(特段の定めがない場合には、重複部分の面積を、共同で使用する卸売販売業者数で割ったものとする。)も含めて、薬局等構造設備規則等に基づいて卸売販売業の業務を適切に行うことができる必要があること。

・ 当該重複部分を含む貯蔵設備の面積に変更があった場合には、30日以内に構造設備に関する変更届を許可権者に提出すること。

・ 麻薬、向精神薬、覚醒剤、覚醒剤原料、放射性医薬品及び毒薬等については、それぞれ関連する法令の規定に基づいて適切に保管すること。

・ 保管時に品質不良(液漏れ等)が発生した場合、速やかに他の医薬品への影響範囲を特定し、影響する卸売販売業者に報告すること。

・ 適正な医薬品の流通のため、GDPガイドライン及び「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の施行について」(平成29年10月5日付け薬生発1005第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)を参考にすること。