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○最適使用推進ガイドラインの取扱いについて

(令和4年9月30日)

(/薬生薬審発0930第1号/保医発0930第1号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長・各都道府県民生主管部(局)国民健康保険主管課(部)長・各都道府県後期高齢者医療主管部(局)後期高齢者医療主管課(部)長・地方厚生(支)局医療課長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省保険局医療課長通知)

(公印省略)

「経済財政運営と改革の基本方針2016」(平成28年6月2日閣議決定)において、革新的医薬品の使用の最適化推進を図ることが盛り込まれたことを受けて、革新的医薬品を真に必要な患者に提供するために最適使用推進ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)を作成することとしており、「最適使用推進ガイドラインの取扱いについて」(平成29年9月15日薬生薬審発0915第1号、保医発0915第1号。以下「旧通知」という。)を踏まえ、対象となる医薬品(以下「対象医薬品」という。)について使用する上で必要な医療機関の要件等を示すこととしています。

今般、対象医薬品のうち、一部の医薬品に関しては有効性及び安全性に関する情報が一定程度蓄積されたことを踏まえ、ガイドラインの取扱いについて、下記のとおりとすることとしましたので、貴管下関係業者に対して周知願います。

なお、本通知は令和4年10月1日から適用することとし、従前の旧通知は、本年9月30日限り廃止します。

1.ガイドライン作成の趣旨等

医薬品の有効性及び安全性の確保のためには、添付文書等に基づいた適正な使用が求められる。さらに、近年の科学技術の進歩により、抗体医薬品等の革新的な新規作用機序を有する医薬品が承認される中で、これらの医薬品を真に必要な患者に提供することが喫緊の課題となっている。また昨今、革新的かつ非常に高額な医薬品が登場しているが、こうした医薬品に対して、国民負担や医療保険財政に与える影響が懸念されており、「経済財政運営と改革の基本方針2016」においても、革新的医薬品の使用の最適化推進を図ることとされている。

革新的な新規作用機序を有する医薬品は、薬理作用や安全性プロファイルが既存の医薬品と明らかに異なることがある。このため、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、まずは、当該医薬品の恩恵を強く受けることが期待される患者に対し、副作用が発現した際に必要な対応を迅速にとることが可能な一定の要件を満たす医療機関で使用することが重要である。

このため、新規作用機序を有する革新的な医薬品については、最新の科学的見地に基づく最適な使用を推進する観点から、製造販売承認又は製造販売承認事項一部変更承認(以下「承認」という。)に係る審査と並行してガイドラインを作成し、当該医薬品の使用に係る患者及び医療機関等の要件、考え方及び留意事項を示すこととする。

2.ガイドラインの対象となる医薬品を選定する手順

(1) 事前の相談

次の①~③のいずれかに該当する医薬品の承認申請を行おうとする者は、対象医薬品への該当性について、申請に先立ち厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課(以下「医薬品審査管理課」という。)のガイドライン担当者に相談すること。相談時期は、開発の早期の段階でも可能である。

① 対象疾患において使用可能な既存の医薬品と異なる作用機序を有する医薬品

② 既にガイドラインの対象となっている医薬品と同様の作用機序を有する医薬品

③ ①又は②により既にガイドラインの対象となっている医薬品であって、効能又は効果の追加を行うもの

また、次の④又は⑤のいずれかに該当する承認申請又は添付文書の改訂に際しては、添付文書や医薬品リスク管理計画で作用機序や臨床成績の内容が確認できることを前提に、それらの説明を省略したガイドライン(以下「簡略版ガイドライン」という。)に切り替えることが可能である場合があるため、当該切替えの可否について医薬品審査管理課のガイドライン担当者に相談すること。

④ ガイドラインが既に作成されている疾患に係る承認申請(当該疾患に係る効能又は効果、用法及び用量等の変更)又は添付文書の改訂であって、当該効能・効果に係る再審査における評価の結果、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当しないと判断され、かつ当該承認申請等に伴う再審査期間の新たな付与がないと見込まれるもの。

⑤ ガイドラインが作成されていない新たな効能・効果の追加であるものの、当該追加に際して再審査期間が付与されないと見込まれるもの。

なお、ガイドライン又は簡略版ガイドラインの対象医薬品に係るバイオ後続品又は後発医薬品の開発にあたっては、医薬品審査管理課のガイドライン担当者に相談すること。

相談の申込みは、別紙様式に必要事項を記載の上、医薬品審査管理課に送付すること(FAX:03―3597―9535)。

なお、①~⑤に該当すると考えられる医薬品について、相談の申し出の前に医薬品審査管理課から医薬品の承認申請を行おうとする者に対し、対象医薬品への該当性について説明を求める場合がある。

(2) 対象医薬品の選定の考え方

対象医薬品は、「1.ガイドライン作成の趣旨等」を踏まえつつ、有効性及び安全性に関する情報が十分蓄積するまでの間、有効性・安全性等の観点から、投与が適切と考えられる患者の要件及び当該医薬品を使用する上で必要な医療機関の要件等を定めることが適切であると考えられる医薬品である。

(1)①に該当する医薬品については、当該医薬品の投与対象となる患者数が非常に多く、多施設で使用される可能性が高いと考えられる医薬品を対象医薬品として選定する。その際、以下に掲げる点に該当するかどうかを総合的に勘案して判断するものとする。

― 薬理作用が既存の医薬品と比較して大きく異なる

― 安全性のプロファイルが既存の医薬品と比較して大きく異なり、使用の上で特別な注意が必要

― 既存の医薬品と比較した有効性が著しく高い

― 既存の医薬品と比較した臨床的位置づけが異なり、より広い患者に使用される可能性が高い

― 他の疾患を対象とした開発(効能又は効果の追加)等による使用患者の拡大の可能性

(1)②又は③に該当する医薬品については、同様の作用機序を有する医薬品又は当該医薬品が、既にガイドラインに基づき最適な使用の推進が図られていることから、対象疾患の類似性等を踏まえ対象医薬品としての選定の要否を考慮する。

なお、特定の遺伝性疾患にのみ用いられる等、投与対象となる患者が明確に特定される疾患を対象とする医薬品であって患者数が少ないと見込まれる医薬品については、当該医薬品が使用される医療機関が限定的であり、ガイドラインにより患者や医療機関の要件等を示す意義が乏しいと考えられるため、対象医薬品とはしない。

なお、対象医薬品については、選定後直近の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会又は医薬品第二部会(以下「医薬品部会」という。)の担当部会に報告する。

(3) 情報提供依頼通知

対象医薬品とすることが適切と判断された医薬品については、原則として承認申請から独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)が申請者に対して初回面談前照会(初回面談を実施しない場合は重要事項照会)を行うまでの間に、医薬品審査管理課が対象医薬品の申請者に対して、ガイドラインの検討に資する情報(以下「参考情報」という。)の提供を依頼する通知(以下「依頼通知」という。)を行う。なお、依頼通知には、参考情報に関する次の事項を含めるものとする。

・ 様式

・ 提出期限(原則として、依頼通知の日から1か月以内とする。)

・ 提出先

・ 提出方法

3.ガイドラインの作成手続

(1) 参考情報の提出

対象医薬品の承認申請者は、依頼通知に記載された期限までに参考情報を依頼通知に記載の提出先に提出することとする。

また、参考情報には次の内容を含めること。なお、作成にあたっては、既存のガイドラインを参考とすること。

1) 対象医薬品の名称、一般名、効能又は効果、用法及び用量、対象医薬品と関連性が高い学会名(複数記載可)並びに申請に係る担当者の連絡先

2) 対象医薬品の特徴と作用機序

3) 臨床成績:

― 有効性を検証した臨床試験等主要な臨床試験の成績について、有効性及び安全性に関する成績を記載すること。

― 部分集団解析等により対象医薬品の有効性又は安全性が全体集団と異なる傾向を示す集団が認められている場合には、当該解析結果も提示すること。

4) 対象医薬品を使用する上で必要な医療機関の要件:

有効性及び安全性の観点から、以下の区分により記載すること。

― 必要な医療体制や検査機器の要件

― 対象医薬品の使用に当たって治療の責任者が有する必要のある専門性があれば、併せて記載すること。

5) 対象医薬品の投与が適切と考えられる患者:

有効性及び安全性の観点から、以下の区分により記載すること。

― 禁忌等に該当し、投与を行ってはいけない患者の要件

― 安全性の観点から慎重な投与が必要な患者又は他の治療選択肢を考慮することが適切な患者の要件

― 有効性が検証されている患者の要件

― 有効性が検証されていない等の理由により、投与対象とならない患者の要件

― 対象医薬品が真に必要な患者か否か、慎重な検討が必要な患者の要件

6) 対象医薬品の投与に際して留意すべき事項

7) ただし、簡略版ガイドラインとする場合は、1)~6)の例によらず、参考情報は次の内容とすること

① 対象医薬品の一般名、効能又は効果、用法及び用量並びに申請に係る担当者の連絡先

② 対象医薬品を使用する上で必要な医療機関の要件(上記4)参照)

③ 対象医薬品の投与が適切と考えられる患者(上記5)参照)

④ 対象医薬品の投与に際して留意すべき事項で、対象医薬品の添付文書又は医薬品リスク管理計画に記載がなく、簡略版ガイドラインには記載が必要と考えられた内容

(2) ガイドライン案の検討

2.により対象医薬品とされた医薬品については、1.の趣旨を踏まえ、医薬品審査管理課より関連学会及びPMDAに対して、科学的観点及び臨床的観点から、参考情報を元にガイドライン案を検討するよう依頼する。

関連学会等に対しては、専門家の推薦を依頼し、推薦された専門家が検討に参加することとする。なお、専門家の利益相反については、薬事・食品衛生審議会規程に準じて参加の可否を判断する。ただし、簡略版ガイドラインの作成・改定にあたっては、医薬品審査管理課が必要と判断した場合のみ関連学会等への検討依頼を行う。

関連学会等又はPMDAよりデータ等の追加の依頼や照会があった場合には、申請者は遅滞なく対応すること。また、審査の過程で参考情報に記載された事項に変更が生じた場合には、申請者は遅滞なく参考情報の提出先に申し出ること。

ガイドライン案については、対象医薬品の承認の可否等について審議又は報告を行う医薬品部会及び中央社会保険医療協議会総会において厚生労働省が説明を行い、了承を得るものとする。ただし、対象医薬品の製造販売承認事項の一部を変更することにより効能又は効果の追加がなされる場合に作成するガイドライン又は簡略版ガイドラインについては、(3)の通知後に中央社会保険医療協議会総会に報告するものとする。

なお、医薬品審査管理課は、原則として、医薬品部会の前に申請者に対してガイドライン案を提示し、申請者の意見を聴くこととする。

(3) ガイドラインの通知

ガイドラインについては、原則として、対象医薬品が薬価基準に収載されるまでに通知するものとする。

また、ガイドラインを踏まえ、ガイドラインの実効性確保、経済性及び医薬品の特性を踏まえた保険適用のあり方並びに実臨床における医師の判断に係る観点から医療保険制度上必要な事項について、保険適用上の留意事項を厚生労働省保険局医療課長が通知することとする。

なお、製造販売承認事項の一部を変更することにより効能又は効果等の追加・変更を行う対象医薬品については、原則として、当該追加・変更の承認時にガイドライン及び保険適用上の留意事項を通知するものとする。

4.ガイドラインの改訂

(1) 改訂する時期

既に通知したガイドラインについては、剤形の追加、効能、効果、用法若しくは用量の変更、添付文書の改訂、その他最適使用の観点から必要と認められる知見が得られた際には、最新の科学的知見等を踏まえ、ガイドラインの改訂を行うものとする。

(2) 手続

(1)に該当する可能性があると考える対象医薬品の製造販売業者は、ガイドラインの改訂(簡略版ガイドラインへの切替え含む)について医薬品審査管理課のガイドライン担当者に相談すること。

ガイドラインの改訂の必要が認められるときには、3.に記載された手順に準じて改訂を行うものとする。ただし、剤形追加等に伴うガイドラインの改訂であって、対象医薬品の効能又は効果、用法及び用量、対象医薬品の使用が適切と考えられる患者の要件並びに医療機関の要件に変更を生じない改訂並びに添付文書の使用上の注意の改訂に伴う改訂については、厚生労働省内において処理することとする。この場合においては、関連学会等及びPMDAへの検討依頼、薬事・食品衛生審議会及び中央社会保険医療協議会への報告は実施しない。

5.その他

令和4年10月1日以降に申請された医薬品について、本通知に基づく取扱いを行うものとする。

(別紙様式)