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○オンライン服薬指導の実施要領について

(令和4年9月30日)

(薬生発0930第1号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)

(公印省略)

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)による医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「薬機法」という。)の改正により、薬機法第9条の4において、薬剤を販売又は授与する際の薬剤師による服薬指導について、対面によるものに加え、「映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるもの」によるもの(以下「オンライン服薬指導」という。)が認められ、その具体的な要件については医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「施行規則」という。)第15条の13第2項において定めてきたところです。

今般、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第137号)により施行規則の一部を改正し、薬局開設者は、薬局内の他、当該薬局における調剤に従事する薬剤師と相互に連絡をとることができる場所においてもオンライン服薬指導を行わせることができることとなりました。

本改正内容を踏まえ、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則の一部を改正する省令の施行について(オンライン服薬指導関係)」(令和4年3月31日付け薬生発0331第17号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)による取扱いの一部を改め、オンライン服薬指導の実施要領を別添のとおり定めましたので、御了知の上、貴管内市町村、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その実施に遺漏なきよう、お願いいたします。

以上

[別添]

オンライン服薬指導の実施要領

第1 オンライン服薬指導について(施行規則第15条の13第2項第1号関係)

オンライン服薬指導については、映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法であって、患者の求めに応じて、その都度薬剤師の判断と責任に基づき、行うことができるものとすること。

第2 オンライン服薬指導の実施要件(施行規則第15条の13第2項第1号及び第2号関係)

(1) 薬剤師の判断(第1号関係)

薬局開設者は、オンライン服薬指導の実施に際して、その都度、当該薬局の薬剤師の判断と責任に基づき、行わせること。

当該薬局において服薬指導を実施したことがない患者及び処方内容に変更のあった患者に対してオンライン服薬指導を行う場合においては、当該患者の服薬状況等を把握した上で実施すること。患者の服薬状況の把握は、対面と同様に、例えば、以下の情報のいずれか又は組み合わせによることが考えられる。

(ア) 患者が保有するお薬手帳に基づく情報

(イ) 患者の同意の下で、当該患者が利用した他の薬局から情報提供を受けて得られる情報

(ウ) 処方箋を発行した医師の診療情報(患者から聴取した情報も含む)

(エ) 患者から聴取した併用薬、副作用歴その他参考となる情報

ただし、注射薬や吸入薬など、使用にあたり手技が必要な薬剤については、(ア)から(エ)までの情報に加え、受診時の医師による指導の状況や患者の理解度等に応じ、薬剤師がオンライン服薬指導の実施を困難とする事情がないか確認すること。

なお、当該薬剤師がオンライン服薬指導を適切に行うことが困難であると判断し、対面での服薬指導を受けるよう促すことは薬剤師法(昭和35年法律第146号)第21条に規定する調剤応需義務に違反するものではないこと。

(2) 患者に対し明らかにする事項(第2号関係)

薬局開設者は、当該薬局の薬剤師に、次の(ア)及び(イ)に掲げるオンライン服薬指導に関する必要事項を明らかにした上でオンライン服薬指導を実施させること。

なお、当該事項を明らかにするに当たっては、服薬指導に利用する情報通信機器やアプリケーション、当該薬局のホームページに表示する方法等によることも可能とすること。

(ア) オンライン服薬指導を行うことの可否についての判断の基礎となる事項

服用にあたり手技が必要な薬剤の初回処方時等、薬剤師がオンライン服薬指導を行わないと判断した場合にオンライン服薬指導を中止した上で、対面による服薬指導を促す旨(情報通信環境の障害等によりオンライン服薬指導を行うことが困難になる場合を含む。)を説明すること。

(イ) オンライン服薬指導に係る情報の漏えい等の危険に関する事項

オンライン服薬指導時の情報の漏洩等に関する責任の所在が明確にされるようにすること。

なお、オンライン服薬指導に関する必要事項を説明するに当たっては、以下について留意すべきであること。

・ 患者に重度の認知機能障害がある等により薬剤師と十分に意思疎通を図ることができない場合は、説明の際に、患者の家族等を患者の代わりに指導の対象とすることができること。

・ 必要事項に変更が生じた場合には、改めて患者に明らかにすること。

第3 オンライン服薬指導を実施する際の留意事項

薬剤師は、オンライン服薬指導等を行うに当たり、患者の服薬アドヒアランスの低下等を回避して薬剤の適正使用を確保するため、調剤する薬剤の性質や患者の状態等を踏まえ、必要に応じ、

ア 事前に薬剤情報提供文書等を患者に送付してから服薬指導等を実施する(画面に表示しながらの実施も含む)

イ 対面による服薬指導と同様に、患者の求めに応じて、改めて、薬剤の使用方法の説明等を行う

ウ 対面による服薬指導と同様に、薬剤交付後の服用期間中に、服薬状況の把握や副作用の確認などを実施する

エ 対面による服薬指導と同様に、上記で得られた患者の服薬状況等の必要な情報を処方した医師にフィードバックする

等の対応を行うこと。

第4 オンライン服薬指導に関するその他の留意事項

(1) オンライン服薬指導の体制

薬歴管理が適切に行われるために、オンライン服薬指導は、患者の意向の範囲内で、かかりつけ薬剤師・薬局により行われることが望ましいこと。

(2) 訪問診療を受ける患者への対応

複数の患者が居住する介護施設等においては、患者ごとにオンライン服薬指導の実施可否を判断すること。複数人が入居する居室の場合においても、第4(7)に留意しつつ、患者のプライバシーについて、対面による服薬指導と同程度配慮したうえで患者ごとにオンライン服薬指導を行うこと。

(3) 本人の状況の確認

原則として、薬剤師と患者双方が、身分確認書類(例えば、薬剤師は顔写真付きの身分証明書、HPKIカードや薬剤師免許等、患者は保険証やマイナンバーカード等。)を用いて、薬剤師は薬剤師であること、患者は患者本人であることの確認を行うこと。ただし、社会通念上、当然に薬剤師、患者本人であると認識できる状況である場合には、服薬指導の都度本人確認を行う必要はないこと。

(4) 通信環境(情報セキュリティ・プライバシー・利用端末)

オンライン服薬指導の実施における情報セキュリティ及びプライバシー保護等の観点から、「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の策定について」(平成30年3月30日付け医政発0330第46号厚生労働省医政局長通知。以下「オンライン診療指針」という。)に示された内容を参考に、必要な通信環境を確保すること。なお、医療情報システムに影響を及ぼす可能性があるシステムを用いる場合、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に沿った対策を行うこと。特に「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」では、個人所有端末の業務利用については、一定の要件が求められていることに留意すること。患者側の通信環境については、患者の希望に応じたデバイスやネットワークに対応できるよう配慮すること。

(5) 薬剤師に必要な知識及び技能の確保

オンライン服薬指導の実施に当たっては、薬学的知識のみならず、情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となるため、薬局開設者は、オンライン服薬指導を実施する薬剤師に対しオンライン服薬指導に特有の知識等を習得させるための研修材料等を充実させること。その際、厚生労働省HPに掲載予定のオンライン服薬指導に関するe―learning等が教材として活用可能であるので、参考にすること。

(6) 薬剤の交付

薬局開設者は、オンライン服薬指導後、当該薬局において当該薬局の薬剤師が調剤した薬剤を、品質を確保した状態で速やかに患者に届けさせること。

調剤済みの薬剤の郵送又は配送を行う場合には、薬剤師による患者への直接の授与と同視しうる程度に、当該薬剤の品質の保持や、患者本人への授与等がなされることを確保するため、薬局開設者は、あらかじめ配送のための手順を定め、配送の際に必要な措置を講ずること。なお、薬局は、薬剤の配送後、当該薬剤が確実に患者に授与されたことを電話等により確認すること(配達業者の配達記録やアプリケーション等での受領確認、配達記録が記載されたメール等による確認も含む)。

また、品質の保持(温度管理を含む。)に特別の注意を要する薬剤や、早急に授与する必要のある薬剤、麻薬・向精神薬や覚醒剤原料、放射性医薬品、毒薬・劇薬等流通上厳格な管理を要する薬剤等については、適切な配送方法を利用する、薬局の従事者が届ける、患者又はその家族等に来局を求める等、工夫して対応すること。

初診からオンライン診療を実施する医療機関に関して、オンライン診療指針に規定する以下の要件について、これまでの来局の記録等から判断して疑義がある場合には、対面による服薬指導と同様に、処方した医師に遵守しているかどうか確認すること。

初診の場合には以下の処方は行わないこと。

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 麻薬及び向精神薬の処方

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 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方

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 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方

(7) 服薬指導を受ける場所

患者がオンライン服薬指導を受ける場所は、適切な服薬指導を行うために必要な患者の心身の状態を確認する観点から、プライバシーが保たれるよう配慮すること。ただし、患者の同意があればその限りではない。

(8) 服薬指導を行う場所

薬剤師がオンライン服薬指導を行う場所は、患者の求めがある場合又は患者の異議がない場合には、薬局以外の場所でも可能であること。この場合において、当該場所は、調剤を行う薬剤師と連絡をとることが可能であるとともに、対面による服薬指導が行われる場合と同程度に患者のプライバシーに配慮がなされていること。また、オンライン服薬指導を開始した後に、患者から対面での服薬指導への移行の求めがあった場合に、オンライン服薬指導を行った薬剤師又は他の薬剤師によって当該求めに対応可能であること。

薬剤師は、騒音により音声が聞き取れないその他の事情によって、オンライン服薬指導を行う薬剤師による適切な判断が困難となるおそれがある場所でオンライン服薬指導を行わないこと。

オンライン服薬指導は患者の心身の状態に関する情報が含まれるものであることを踏まえ、当該情報を適切に保護する観点から、オンライン服薬指導を行う薬局に所属する者以外の第三者が容易に立ち入ることができない空間その他当該情報の全部又は一部が当該第三者に認知されない措置が講じられている場所でオンライン服薬指導を行うこと。

また、薬局以外の場所からオンライン服薬指導を行う場合について、オンライン服薬指導を行う薬剤師は、調剤が行われる薬局に所属し労務を提供している薬剤師とすること。

なお、薬局開設者は、その所属する薬剤師に薬局以外の場所からオンライン服薬指導を行わせるにあたり、当該薬剤師が服薬指導を行うために必要な情報を得られるよう、対象患者の調剤録の内容の共有を可能とする措置その他必要な措置を講じること。

(9) 処方箋

薬局は患者が持参または郵送等した処方箋に基づき調剤等を行う必要があるが、処方医等が処方箋を発行した際に、患者から、薬局に送付して欲しい旨の申出があった場合は、当該医療機関は、当該処方箋を患者に対して交付する代わりに当該薬局に直接送付することができること。

「オンライン服薬指導における処方箋の取扱いについて」(令和4年3月31日付け厚生労働省医薬・生活衛生局総務課、医政局医事課事務連絡)により医療機関から処方箋情報の送付を受けた薬局は、医療機関から処方箋原本を入手するまでの間は、ファクシミリ、メール等により送付された処方箋を薬剤師法第23条から第27条まで及び薬機法第49条における処方箋とみなして調剤等を行うこと。

薬局は、医療機関から処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ、メール等で送付された処方箋情報とともに保管すること。

なお、対面診療やオンライン診療の実施後、薬剤師の判断若しくは患者の希望によりオンライン服薬指導から対面での服薬指導に切り替えた場合又はオンライン診療のために患者に対し処方箋を即時に手交できず、その後対面の服薬指導を受ける場合も、ファクシミリ、メール等により送付された処方箋を薬剤師法第23条から第27条まで及び薬機法第49条における処方箋とみなして調剤等を行うことは可能であること。その際も、薬局は、医療機関から処方箋原本を入手し、以前にファクシミリ、メール等で送付された処方箋情報とともに保管すること。

(10) その他

患者が支払う配送料及び薬剤費等については、配送業者による代金引換の他、銀行振込、クレジットカード決済、その他電子決済等の支払方法により実施して差し支えないこと。

また、薬局は、オンライン服薬指導等を行う場合の以下の点について、薬局内の掲示やホームページへの掲載等を通じて、あらかじめ患者等に周知すること。

ア オンライン服薬指導の時間に関する事項(予約制等)

イ オンライン服薬指導の方法(使用可能なソフトウェア、アプリケーション等)

ウ 薬剤の配送方法

エ 費用の支払方法(代金引換サービス、クレジットカード決済等)

[別紙]

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