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○腸管出血性大腸菌による食中毒防止の徹底について

(令和4年9月16日)

(薬生食監発0916第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課長通知)

(公印省略)

標記については、平成23年4月に発生した腸管出血性大腸菌による食中毒を踏まえ、生食用食肉(牛肉)の規格基準の設定や食品等事業者への監視指導、消費者への注意喚起等を行っているところですが、今般、レアステーキと称するユッケ様の食品等を原因食品とする腸管出血性大腸菌O157による食中毒事例が発生しました(別添)。

食中毒防止の観点から、食肉等は中心部を75℃で1分間以上又はこれと同等以上の加熱効果を有する方法により加熱調理をするよう指導してきたところですが、当該事例は加熱調理が不十分であったことが一要因とされていることから、下記の点に留意し、生食用食肉(牛肉)の規格基準の遵守及び飲食店における有効な加熱調理の実施について食品事業者等への監視指導の徹底をお願いします。

なお、重症事例の発生を防止する観点から、生食用食肉であっても、子供、高齢者その他食中毒に対する抵抗力の弱い者にあっては、喫食することがないよう、引き続き関係事業者、消費者等への注意喚起をよろしくお願いします。

1 生食用食肉を取り扱えない施設において、社会通念上ユッケと呼称される生の食肉をレアステーキと称して販売することは不適切であり、消費者が生食用食肉と誤認して加熱せずに喫食する蓋然性が高い態様で販売又は提供しないこと。

なお、食肉の表面を焼いた後に冷却したもので、中心部まで十分に加熱されていないものは、生食用食肉として取り扱うこと。

2 生食用食肉として販売する際には、生食用食肉の加工基準、成分規格及び保存基準に適合したものであることを確認すること。なお、生食用食肉の加工にあたっては、「食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について」(平成23年9月12日付け食安発0912第7号)の「第4 運用上の注意」を遵守すること。

3 生食用食肉を取り扱う飲食店営業の施設には調理基準が適用されるため、加熱済みの肉塊を細切又は調味する行為(加熱部分の除去や生食用食肉の盛り付け行為も含みます。)を行うこと。なお、枝肉から切り出された肉塊に係る処理から加熱殺菌及び冷却までの工程を行う施設には加工基準が適用されること。

4 生食用食肉を取り扱う飲食店営業の施設において、生食用食肉を調理する際は、食中毒防止の観点から、速やかに提供して消費者に喫食させる必要があること。なお、持ち帰り(テイクアウト)や宅配(デリバリー)をする場合は、食肉等の中心部まで十分に加熱調理したものを提供すること。

5 加熱調理が完全に行われていない食肉等を提供して客が加熱調理を行い喫食する場合は、飲食に供するまでに必要な加熱を行うための具体的な方法を、口頭による説明のみではなく、掲示等により確実に情報提供すること。

(参考)

・「生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&Aについて」

(平成23年9月28日付け食安基発0928第1号、最終改正平成24年2月2日食安基発0202第1号)

・「飲食店における持ち帰り・宅配食品の衛生管理等について」

(令和2年5月8日付け薬生食監発0508第2号)

・「飲食店における腸管出血性大腸菌O157食中毒対策について」

(平成21年9月15日付け食安監発0915第1号)

(別添)

下記の事例は、令和4年9月15日時点における速報の概要である。

事例 京都府等で発生した腸管出血性大腸菌O157食中毒事件

(1) 京都府が府内において発生した腸管出血性大腸菌O157感染患者について調査を実施した結果、8月22日及び8月26日に、府内の食料品店において販売した「ローストビーフ」を喫食していることが判明した。

(2) 他の自治体が探知した腸管出血性大腸菌感染症の患者が8月23日及び8月25日に同一施設で購入した「レアステーキ」を喫食していることが判明した。

(3) 京都府は、共通の食事が当該施設で購入したもののみであること、有症者の発症状況が類似しており、有症者5名の便から腸管出血性大腸菌O157が検出されたこと、医師からの届出があったことから、当該食料品店における食中毒と断定し、9月6日付けで営業停止処分を行った。

(4) 営業停止処分後、有症者が追加され、うち「レアステーキ」を喫食した90代女性1名が入院先の医療機関で死亡した。

9月6日時点:有症者5名

9月15日時点:有症者22名(死亡した患者を除く。9歳の子供から87歳の高齢者まで)

(5) 当該施設が販売した、商品名「レアステーキ」の形態は、加熱による変色がない部位の細切りであり、社会通念上「ユッケ」と呼称されるものであった。なお、商品は「レアステーキ」と表示されている。

(6) 当該施設は、生食用食肉を提供可能な施設ではなく、「レアステーキ」及び「ローストビーフ」の加熱不足が食中毒発生の原因と考えられる。

○食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件について

(平成23年9月12日)

(食安発0912第7号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成23年厚生労働省告示第321号)が本日公布され、これにより食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が改正されたところであるが、改正の概要等は下記のとおりであるので、その運用に遺憾なきよう取り計られたい。

また、当該改正の概要等につき、関係者への周知・指導について、特段の配慮をお願いする。

第1 改正の概要

生食用食肉の安全性確保については、「生食用食肉等の安全性確保について」(平成10年9月11日生衛発第1358号。以下「衛生基準通知」という。)により生食用食肉の衛生基準を示し、事業者における適切な衛生管理について貴職を通じて指導してきたところであるが、本年4月に飲食チェーン店で発生した腸管出血性大腸菌による食中毒事件の発生、及び衛生基準に強制力がなく、事業者において十分に遵守されていなかったことを受け、食品衛生法(昭和22年法律第233号。以下「法」という。)第11条第1項の規定に基づき、告示の一部を改正し、生食用食肉の規格基準を設定するものである。

第2 改正の内容

1 成分規格について

(1) 本規格基準における管理の対象として、腸管出血性大腸菌及びサルモネラ属菌とすることとし、成分規格の指標として、これらを含む腸内細菌科菌群としたこと。

(2) 成分規格に係る検査の記録を1年間保存することとしたこと。

2 加工基準について

(1) 生食用食肉の加工は、専用の設備を備えた衛生的な場所で、専用の器具を用いて行わなければならないとしたこと。

(2) 生食用食肉の加工は、腸管出血性大腸菌のリスク等について知識を有する者が行わなければならないとしたこと。

(3) 加工に使用する肉塊は、枝肉から切り出した後、速やかに加熱殺菌を行うこととしたこと。また、加熱殺菌に係る記録を1年間保存することとしたこと。

3 保存基準について

生食用食肉は冷蔵のものは4℃以下、凍結させたものにあっては、-15℃以下で保存することとしたこと。

4 調理基準について

(1) 2(3)の事項を除き、加工基準を準用することとしたこと。

(2) 調理を行った生食用食肉は、速やかに提供することとしたこと。

第3 施行・適用期日

平成23年10月1日から施行すること。このため、施行日より前に加工された生食用食肉であっても、施行日以降は、本規格基準を満たさないものの販売等を行うことはできないこと。

第4 運用上の注意

1 対象となる食品

生食用食肉とは、生食用食肉として販売される牛の食肉(内臓を除く。)と定義したので、いわゆるユッケ、タルタルステーキ、牛刺し、牛タタキが含まれること。

2 対象となる施設

本規格基準においては、加熱殺菌済みの肉塊を細切又は調味する行為のみを行う施設には調理基準が適用されること。

3 成分規格関係

腸内細菌科菌群の試験法及び検体の取扱い等については、別途通知することとしていること。

4 加工基準関係

(1) 加工に当たっては、と畜場において、と畜場法施行令(昭和28年政令第229号)第1条並びにと畜場法施行規則(昭和28年厚生省令第44号)第3条及び第7条の基準が遵守されているものであって、病原微生物による汚染が少ないものを使用するよう努めること。

(2) 加工基準(1)について、肉塊が接触する設備は専用のものとし、他の食品との間で相互汚染が生じないように設備が明確に分けられたものであること。

(3) 加工基準(3)について、都道府県知事、もしくは地域保健法(昭和22年法律第101号)第5条第1項の規定に基づく政令で定める市及び特別区の長(以下「都道府県知事等」という。)が生食用食肉を取り扱う者として適切と認める者(以下「認定生食用食肉取扱者」という。)を認める際は、以下のとおり行われたいこと。

都道府県知事等は、生食用食肉の安全性確保に必要な知識を習得させるため、以下の項目を標準として講習会を開催し、又は適正と認める者に開催させ、講習会を修了した者に交付される修了証明書等をもって認定生食用食肉取扱者を認めること。

① 生食用食肉の規格基準(1時間)

② 生食用食肉の取扱いに係る留意事項(病原微生物の制御、加熱殺菌の条件設定等)(1時間)

③ 食肉に関する衛生管理(腸管出血性大腸菌等のリスク、交差汚染防止対策等)(1時間)

なお、加工を行う施設の食品衛生責任者の場合には、都道府県知事等において③を省略して差し支えないこと。

また、認定生食用食肉取扱者と認める際は、「食品衛生責任者の取扱いについて」(平成7年7月11日付け衛食第131号)の3及び4の取扱いを準用されたいこと。なお、認定生食用食肉取扱者に対しては、食品衛生責任者に係る実務講習会等の受講により、食品衛生に係る最新の知見等を習得させることが望ましいこと。

(4) 加工基準(6)及び(7)について、枝肉から切り出した肉塊の表面が病原微生物により汚染され、病原微生物が肉塊内部へ浸潤することを防止する観点から、切り出した肉塊は、熟成を経ずに、加熱殺菌までの処理を速やかに行わなければならないこと。このため、これらの加工は同一施設内で行うことが望ましいこと。

(5) 加工基準(7)の加熱殺菌に係る条件について、肉塊の部位、鮮度、重量及び形状、湯温の変化及び湯量並びに加熱の方法等により、加熱殺菌に必要な温度及び時間が異なる場合があることから、生食用食肉の加工を開始するに当たり、施設ごとに当該条件を満たす温度及び時間を設定する必要があること。

なお、本規格基準の検討においては、250~300gの肉塊(と殺4日以内のしんたま又はうちもも部分の直立体)を使用し、約10Lの温湯(85℃)で10分間の加熱殺菌後、氷冷を行い、この場合に、肉塊の表面から1cm以上の部分までを60℃で2分間以上加熱するという条件を満たすことが確認されている。

(6) 加工基準(7)について、肉塊を容器包装に入れて密封し、温浴による加熱処理を行う場合には、肉塊表面に熱が均一に伝わるよう、十分に脱気すること。

(7) 加工基準(7)の「同等以上の殺菌効果を有する方法」について、確認できたものから、通知する予定であること。

(8) 加工基準(8)について、加工基準(7)の加熱殺菌の要件(肉塊の表面から1cm以上の部分までを60℃で2分間以上加熱)を満たす加熱装置内の温度(例.加熱開始時及び加熱中の湯温の最低温度)及び加熱時間(例.肉塊の加熱時間)、肉塊の部位、鮮度、重量及び形状、湯温の変化及び湯量、加熱の方法等の記録を残すことで差し支えない。ただし、これらの項目の管理により加熱殺菌の要件が満たされていることについて、その根拠となるデータ等を(5)の加熱条件の設定等の際に各施設の事業者において作成しておく必要があること。

(9) 加熱殺菌を行う施設の事業者にあっては、微生物検査により以下の確認が必要であること。

① 生食用食肉の加工を開始する前に、(5)の加熱条件の設定を含め、加工基準を満たすことができる条件を設定する必要があるが、加工工程全体の妥当性を確認するため、1検体を25gとして、25検体以上の検査を実施し、その結果が成分規格に適合すること。

② 生食用食肉の加工を開始した後に、加工工程全体の妥当性を確認するため、1検体を25gとして、25検体以上の検査を定期的に実施し、その結果が成分規格に適合すること。また、その頻度は年1回以上とし、危害の発生を防止するのに十分なものであること。

③ 上記の検査を行った記録は、1年間保存すること。

(10) 各施設の事業者は、加熱殺菌等が確実に実施されるよう、あらかじめ手順書を作成しておくことが望ましいこと。

5 調理基準関係

(1) 調理基準(1)における加工基準(1)の準用に当たっては、4(2)に示したとおりであること。

また、加工基準(3)の準用については、4(3)に示したとおりであること。なお、調理基準のみが適用される施設の食品衛生責任者の場合には、講習会を修了していない者であっても都道府県知事等において認定生食用食肉取扱者として認めて差し支えないこと。

(2) 調理基準(3)について、細切した食肉は、適切に保存し、消費期限・賞味期限内に速やかに提供すること。ただし、細切した食肉を調味した場合は、直ちに消費者に提供すること。

第5 営業施設基準

加工基準(1)、(2)及び(7)について、生食用食肉を取り扱う食肉処理業、食肉販売業、飲食店営業等の施設の要件を追加することとされたことにより、実効性を確保するため、貴職においては、法第51条に基づき、営業施設基準の改正を平成24年10月1日までに行うよう配慮されたい。

営業施設基準の改正に当たっては、別添「飲食店営業、食肉販売業及び食肉処理業の営業許可を得ている施設において生食用食肉を加工調理する場合の施設基準準則」を参照されたい。

営業施設基準の改正を行った後は、各施設が改正後の要件に適合している旨の確認及び許可の条件の付与を必要に応じて行われたい。

第6 監視指導

本年8月1日付け食安発0801第2号にて、あらかじめ関係者に対し、加熱条件の検討等の準備を進めるよう通知したところであるが、10月1日以降には本規格基準が遵守されるよう、本年5月の緊急監視の結果等も踏まえ、生食用食肉を取り扱っているすべての営業施設を巡回し、引き続き周知・指導を徹底されたい。

なお、生食用食肉の監視指導の状況等について、本年12月末までに別途送付する様式に基づき報告すること。

第7 その他

1 子ども、高齢者などの抵抗力の弱い方は、本規格基準に適合する生食用食肉であっても、生肉を食べないよう、また、食べさせないよう周知すること。

2 生食用食肉を取り扱う施設としての営業許可を受け、かつ加工基準(3)に規定する者を置いている施設にあっては、その旨が消費者に容易にわかるよう、店舗等において掲示を行うなどの情報提供に努めること。

3 生食用食肉の高度な衛生管理を推進するため、今後、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point;危害分析・重要管理点)システムを用いた法第13条第1項に基づく総合衛生管理製造過程の承認の対象となるよう必要な検討を行うこととしていること。

4 本規格基準の設定に併せ、消費者庁において生食用食肉の表示に関する基準が設定される予定であること。

5 本規格基準の設定等に伴い、衛生基準通知の対象から牛の肝臓及び肉を削除すること。

(別添)

「飲食店営業、食肉販売業及び食肉処理業の営業許可を得ている施設において生食用食肉を加工調理する場合の施設基準準則」

1.他の設備と明確に区分された衛生的な場所であること。

2.器具及び手指の洗浄及び消毒に必要な設備であって、生食用食肉のための専用のものを有していること。

3.生食用食肉が接触する設備、器具は専用のものを備えること。

4.加熱殺菌を行うために十分な能力を有する専用の設備を有していること。また、温度を正確に測定することができる装置を有していること。

5.加熱殺菌後の冷却を行うために十分な能力を有する専用の設備を有していること。なお、大型冷蔵庫等を原料肉及び加熱殺菌後の肉の双方に用いる場合は、両者が区分されたものであること。

調理基準のみが適用される施設については、4.及び5.は省略して差し支えない。

なお、飲食店営業、食肉販売業及び食肉処理業以外の業種にあっては、都道府県知事等が公衆衛生上支障がないと認めた場合には、必要に応じて施設基準を定められたい。

○生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&Aについて

(平成23年9月28日)

(食安基発0928第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長通知)

生食用食肉の規格基準に係る取扱いについては、平成23年9月12日付け食安発第0912第7号(以下、「施行通知」という。)により通知され、その詳細について別添の「生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&A」を作成しましたので業務の参考とされますようお願いします。

○生食用食肉(牛肉)の規格基準設定に関するQ&Aの改訂について

(平成24年2月2日)

(食安基発0202第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長通知)

標記については、平成23年9月28日付け食安基発第0928第1号により「生食用食肉(牛肉)のQ&A」(以下、「Q&A」という。)を通知したところです。

生食用食肉(牛肉)の規格基準の施行後、いわゆる牛タタキをレアステーキと称して販売する事例などの取扱いについて、多数の照会をいただいていることから、今般、本件に係るQ&Aを別添のとおり改訂しましたので、業務の参考とするとともに関係事業者への周知をお願いします。

(別添)

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○飲食店における持ち帰り・宅配食品の衛生管理等について

(令和2年5月8日)

(薬生食監発0508第2号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課長通知)

(公印省略)

今般の新型コロナウイルス感染症の流行拡大を受け、平時には客席を設けて客に飲食させている一般的な飲食店が、新たに持ち帰り(テイクアウト)や宅配(出前)等のサービスを開始する事例が増えている状況が見受けられます。

持ち帰りや宅配については、店内での喫食に比較して調理してから喫食までの時間が延長することに加えて、これからの季節の気温や湿度の上昇により食中毒のリスクがさらに高まります。

つきましては、各都道府県等におかれては、新たに持ち帰りや宅配等を始める飲食店営業者に対して、一般衛生管理の徹底に加え、下記の事項に留意して実施するよう指導するとともに、消費者に対しても、これら食品は速やかに喫食するよう、注意喚起方よろしくお願いします。

なお、仕出しについては、施設基準に、放冷のための室又は設備の設置を規定している都道府県等もありますが、一般的な飲食店営業者から新たに仕出しを行いたい旨の相談があった際は、緊急事態宣言発令下という今般の特殊事情に鑑み、食品衛生上支障がない範囲において、既存施設を工夫して活用することで施設基準に合致しているものとみなす等、施設の状況に応じた弾力的な運用の検討をお願いします。

・ 持ち帰りや宅配等に適したメニューを選定すること(鮮魚介類等の生ものの提供は避けるなど)

・ 施設設備の規模に応じた提供食数とすること

・ 加熱が必要な食品は、中心部まで十分に加熱すること

・ 調理済みの食品は、食中毒菌の発育至適温度帯(約20℃~50℃)に置かれる時間が極力短くなるよう、適切な温度管理(10℃以下又は65℃以上での保存)を行うこと

(例) 小分けによる速やかな放冷、持ち帰り時の保冷剤の使用、保冷・保温ボックスによる配達など

・ 消費者に対して速やかに喫食するよう口頭やシールの貼付等により情報提供すること

○飲食店における腸管出血性大腸菌O157食中毒対策について

(平成21年9月15日)

(食安監発0915第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課長通知)

腸管出血性大腸菌O157による食中毒の発生防止対策については、「腸管出血性大腸菌による食中毒の発生防止について(平成12年3月8日付け衛食第39号、衛乳第46号)」及び「腸管出血性大腸菌による食中毒対策について(平成13年4月27日付け食監発第78号)」等により、従来より監視指導の徹底を図っていただいているところですが、今般、結着等の加工処理を行った食肉が原因食品とされる腸管出血性大腸菌O157食中毒事件が、広域に発生しました。

これまでに行われた食中毒調査の結果によると、別添のとおり、結着等の加工処理を行った食肉の飲食店における加熱調理が不十分であったことも一要因と推定されています。

つきましては、下記の点に留意し、結着等の加工処理を行った食肉等を提供する飲食店における有効な加熱調理の実施等について、再度、監視指導方よろしくお願いします。

なお、本通知を踏まえ、外食産業関係団体において、飲食店における調理方法や客への情報提供方法等に関するガイドラインが、策定される予定であることを申し添えます。

1 対象となる食肉等

食肉であって、テンダライズ処理(刃を用いてその原型を保ったまま筋及び繊維を短く切断する処理)、タンブリング処理(調味料に浸潤させる処理)、他の食肉の断片を結着させ成形する処理、漬け込み(内部に浸透させることを目的として、調味液に小肉塊を浸漬すること。)等その他病原微生物による汚染が内部に拡大するおそれのある処理(以下、「特定の加工処理」という。)を行ったもの及び挽肉調理品。

2 対象となる飲食店

上記1に掲げる食肉等を調理して提供する客席にコンロ等加熱設備がない飲食店。

3 指導の内容

(1) 客が喫食する段階において、中心部を75℃で1分間以上又はこれと同等の加熱効果を有する方法により加熱調理がなされていること。また、注文が集中する時間帯においても、予め設定された条件により確実に加熱調理を行うこと。

(2) (1)に掲げる加熱調理が完全に行われていない特定の加工処理を行った食肉等を客に提供する場合には、飲食に供するまでに必要な加熱を行うための具体的な方法を口頭による説明のみではなく、掲示等により確実に情報提供すること。

(別添)

※下記の事例は、いずれも9月14日現在の調査段階での概要である。

事例1 山口県等で発生した腸管出血性大腸菌O157食中毒事件

(1) 山口県が県内及び他県において発生した腸管出血性大腸菌O157(以下「EHEC O157」という。)患者4名の調査を実施した結果、いずれの患者も8月23日から24日にかけて、県内の同一飲食店において「角切りステーキ」を喫食していることが判明し、4名の患者から検出された菌株の遺伝子パターンが一致したことから、山口県は、9月5日に当該飲食店における食中毒と断定した。

(2) その後、奈良県、京都府等の他の地方自治体においても、山口県の食中毒事例と同一の飲食チェーン店を利用したEHEC O157患者が複数いることが判明し、各地方自治体が疫学調査及び遺伝子解析等を進めた結果、当該飲食チェーン店に起因する散発的かつ集団的なEHEC O157食中毒が発生していることが判明した。

(3) 9月14日現在の食中毒患者数は、15自治体(16店舗)26名で、うち25名が「角切りステーキ」を喫食していた。

(4) 食中毒患者の喫食日は8月14日から8月28日、発症日は8月16日から9月2日の範囲で、潜伏期間は平均4日(範囲:1~7日)、HUSを発症した者はない。

(5) これらの飲食チェーン店で提供された「角切りステーキ」の原料の遡り調査を実施した結果、すべて岐阜県内の食肉加工施設において結着加工された牛肉であることが判明し、当該施設が保管していた食中毒患者の喫食日から推定されたロット(8月3日製造日)の保存サンプルを検査したところ、EHEC O157が検出され、食中毒患者から検出された菌株とも遺伝子パターンが一致した。

(6) また、当該飲食チェーン店における「角切りステーキ」の提供方法は、260℃に加熱した鉄板に生肉を載せた状態で提供し、客自らが加熱して喫食するというものであった。

(7) 本食中毒については、現在も調査を継続しているところであるが、肉塊の内部にEHEC O157の存在する結着肉の加熱調理が不十分であったことが一要因であると推定される。

事例2 埼玉県等で発生した腸管出血性大腸菌O157食中毒事件

(1) 埼玉県が県内において発生したEHEC O157感染患者4名の調査を実施した結果、8月13日から16日に県内の同一飲食チェーン店2店舗において「角切りステーキ」を喫食していることが判明し、うち2名の患者から検出された菌株の遺伝子パターンが一致したことから、埼玉県は、当該飲食店(2店舗)における食中毒と断定した。

(2) その後、群馬県、前橋市等の他の地方自治体においても、埼玉県の食中毒事例と同一の飲食チェーン店を利用したEHEC O157患者が複数いることが判明し、各地方自治体が疫学調査及び遺伝子解析等を進めた結果、当該飲食チェーン店に起因する散発的かつ集団的なEHEC O157食中毒が発生していることが判明した。

(3) 9月14日現在の食中毒患者数は、5自治体(11店舗)15名で、いずれもハンギングテンダーを原料とする「角切りステーキ」等を喫食していた。

(4) 食中毒患者の喫食日は8月13日から8月30日、発症日は8月17日から9月4日の範囲で、潜伏期間は平均4日(範囲:2~7日)、HUSを発症した者はない。

(5) これらの飲食チェーン店で提供された「角切りステーキ」等の原料の遡り調査を実施した結果、すべて埼玉県内の食肉加工施設においてハンギングテンダーをカット後に、軟化剤調味液を加えて真空包装したものであることが判明した。

(6) 本食中毒については、汚染源等について現在も調査を継続しているところであるが、加工段階における漬け込みにより肉塊の内部に入ったEHEC O157が、調理時の不手際により加熱不十分な状態で、提供されたことが一要因であると推定される。