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○新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株PCR検査について(要請)

(令和3年2月5日)

(健感発0205第4号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

(公印省略)

平素より、新型コロナウイルス感染症対策に御尽力・御協力を賜り、誠にありがとうございます。

これまで、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「法」という。)第15条の規定による積極的疫学調査の一環として、多くの自治体の御協力の下、提出いただいた情報並びに検体のゲノム情報による全国発生状況の把握等の対策を推進してまいりました。また、懸念される変異株(Variant of Concern。以下「VOC」という。)の症例についても、同条第16項の規定により、管内の地方衛生研究所等に保管されているSARS―CoV―2陽性と判定された方の情報及び検体を御提出いただいてきました。さらに、これまで、VOCについては、発生した場合の早期探知を強化するため、自治体では、地方衛生研究所・民間検査機関・医療機関・大学等と連携し、変異株PCR検査を実施していただくとともに、自治体主体のゲノム解析の体制整備及び実施を進めていただいてきたところ、この度、全ての都道府県で自治体主体のゲノム解析が実施できる状況となりました。

南アフリカ等で確認された新たな変異株であるB.1.1.529系統(オミクロン株)については、国立感染症研究所によるリスク評価「SARS―CoV―2の変異株B.1.1.529系統(オミクロン株)について(第2報)」1が令和3年11月28日付けで公表され、VOCに指定されました。オミクロン株は、過去に確認された他のVOCに比べて、再感染のリスクが高いこと等が懸念されています。現在、全国的にオミクロン株の亜系統であるBA.2系統からBA.5系統に置き換わったところ、引き続き、全国の変異株の発生動向を監視するため、ゲノム解析に関して、都道府県ごとに、実施率を5―10%程度又は300―400件/週程度を目安に、自治体主体で実施していただくようお願いします。

また、国全体の新型コロナウイルス感染症の変異株の発生動向を把握するため、ゲノム解析を行う全ての自治体は、ゲノム解析結果について、国立感染症研究所のCOG―JPシステムへの速やかな登録の徹底をお願いします。

なお、当面、変異株PCR検査の実施は必須としませんが、重症度等の知見を集積・監視するために、重症例及び死亡例につきましては、可能な限り全例に対して、ゲノム解析又は変異株PCR検査を実施するようお願いします。

つきましては、下記を御確認の上、御協力いただきますようお願い申し上げます。

[様式ダウンロード]

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[別紙]

ゲノム解析結果の週報(要請)について

5.1 報告機関

地方衛生研究所及び保健所(保健所が設置・運営する「地域外来・検査センター」及び「診療・検査医療機関」を含む。)。

5.2 報告内容及び報告方法

(1) 検査実績等の入力期間

ゲノム検査の実施件数に関する事項は、月曜日から日曜日までの実績を翌火曜日中に、下記(2)の報告先から御入力ください(入力は各保健所又は地方衛生研究所等で行うことも可)。

(2) 検査実施件数等の報告先

以下のURL(2022年7月4日以降は報告先URLが変更されておりますので御注意ください。)において、報告をお願いします。なお、URLからの報告が難しい場合、One One Publicの公開アンケートをご活用ください。

https://mhlwpp.microsoftcrmportals.com/survey/survey_answerdata/?surveyid=962354e7-da00-ed11-b5cf-0003ffeca33c

(3) 報告内容

●ゲノム解析(調査)実施件数 入力フォーム

・入力日

・報告分類

・都道府県名・指定都市名

・保健所設置市・特別区

・電話番号

・調査期間

1.ゲノム解析の実施可能数

・大学、大学院、大学共同利用機関法人(国立遺伝学研究所等)、国立研究開発法人(理化学研究所等)

・地方衛生研究所

・医療機関

・民間検査会社

2.ゲノム解析の実績

・大学、大学院、大学共同利用機関法人(国立遺伝学研究所等)、国立研究開発法人(理化学研究所等)

・地方衛生研究所

・医療機関

・民間検査会社

3.修正報告欄

※同一人について複数回検体を採取した場合であっても1として計上します。

[別添]

【Q&A】新型コロナウイルス感染症の積極的疫学調査におけるゲノム解析及び変異株PCR検査等

目次

Q.1 ゲノム解析の結果について、入力主体はどこか。

Q.2 本通知「5.ゲノム解析結果の報告(要請)」の報告機関は、地方衛生研究所または保健所に限られるか。

Q.3 本通知において検体の提出時は検査結果判明後2週間以内と示されているが、即時の提出でも良いか。

Q.4 ゲノム解析は、部分解析のみでもよいか。

Q.5 Ct値によってゲノム解析の実施の有無を判断するとされているが、SARS―CoV―2陽性でCt値がない検体の場合はどうしたらよいか。

Q.6 自治体でゲノム解析ができない。国立感染症研究所にゲノム解析のために、検体の提出をする場合の留意事項はあるのか。

Q.7 自治体主体のゲノムサーベイランス体制を目指すことについて、国立感染症研究所の国委託分の民間検査機関との契約は終了するのか。

Q.8 国立感染症研究所において、民間検査機関分の検体を用いた変異株PCR検査やゲノム解析を実施するのか。

Q.9 ゲノム解析の未実施の過去検体を保管しているが、ゲノム解析を実施すべきか。

Q.10 国立感染症研究所におけるオミクロン株の判定基準はどのように行っているのか。

Q.11 自治体(地方衛生研究所、医療機関、大学等、民間検査会社)で実施したオミクロン株のゲノム解析結果はどのように判定するのか。

Q.1 ゲノム解析の結果について、入力主体はどこか。

(答)

○ 都道府県、保健所設置市及び特別区が当該入力内容を把握できるよう関係機関と連携のうえ、ゲノム解析の結果について、保健所以外においてHER―SYSに入力いただいて差し支えありません。

Q.2 本通知「5.ゲノム解析結果の報告(要請)」の報告機関は、地方衛生研究所または保健所に限られるか。

(答)

○ 都道府県、保健所設置市及び特別区が当該入力内容を把握できるよう関係機関と連携のうえ、検査結果等について、地方衛生研究所及び保健所(保健所が設置・運営する「地域外来・検査センター」及び「診療・検査医療機関」を含む。)以外においてシステム上に入力いただいて差し支えありません。

Q.3 本通知において検体の提出時は検査結果判明後2週間以内と示されているが、即時の提出でも良いか。

(答)

○ 原則、自治体主体のゲノム解析の実施をお願いしています。自治体におけるゲノム解析が困難な場合であり、公衆衛生上必要と認められる場合については、早期のゲノム解析の実施のために、国立感染症研究所において検体の提出を受け付けておりますが、その際、できる限り検体をまとめて提出するようお願いします。また、その場合、あらかじめ国立感染症研究所に御相談いただくようお願いします。

Q.4 ゲノム解析は、部分解析のみでもよいか。

(答)

○ 原則、全ゲノム解析を推奨しています。全ゲノム解析により、新しい変異株の発生の探知や、既知の変異の確認のみならず、症例間のリンクを追うことが可能であるためです。

Q.5 Ct値によってゲノム解析の実施の有無を判断するとされているが、SARS―CoV―2陽性でCt値がない検体の場合はどうしたらよいか。

(答)

○ Ct値はコロナウイルス量を示す定量値であり、ゲノム解析の成否に係る重要な基準値となります。陽性検体の全数をゲノム解析した際、これまでの実績ではおよそ半数がウイルス量不足による判定不能を示し、十分な費用対効果が得られにくいと考えます。地域に偏りがないよう5―10%分程度のゲノム解析が実施されるためにも、国立感染症研究所のPCR法のCt値30以下相当の検体がゲノム解析に回るよう調整ください。その際、PCR検査におけるCt値を出来得る限り判定していただくか、それぞれの検査に応じて、メーカーに、ウイルス量の評価を相談頂くようお願いします。

Q.6 自治体でゲノム解析ができない。国立感染症研究所にゲノム解析のために、検体の提出をする場合の留意事項はあるのか。

(答)

○ 国立感染症研究所と相談の上、検体を送付することとなった場合は、「2019―nCoV(新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル」(2021/03/19更新版)を参考にしてください。

その際は、国が、「感染症予防事業費国庫負担(補助)金交付要綱」(平成20年12月19日付け厚生労働省発健第1219002号厚生労働事務次官通知の別添)における「感染症発生動向調査事業」により、本調査に係る経費(梱包資材等)を負担します。なお、検体輸送は着払いが可能です。

Q.7 自治体主体のゲノムサーベイランス体制を目指すことについて、国立感染症研究所の国委託分の民間検査機関との契約は終了するのか。

(答)

○ 自治体主体のゲノムサーベイランスの体制を更に進めるため、自治体においては、地方衛生研究所と調整いただき、また、必要に応じて民間検査機関等との契約への順次、移行を御検討ください。国立感染症研究所では、必要に応じて、一部の民間検査機関との契約を継続し、全国の変異株の発生動向の監視を継続します。

Q.8 国立感染症研究所において、民間検査機関分の検体を用いた変異株PCR検査やゲノム解析を実施するのか。

(答)

○ これまでもお願いしている通り、自治体主体で、変異株PCR検査及びゲノム解析を実施するようお願いします。その際、県庁や政令市と連携、民間検査機関、大学等及び医療機関と調整を進めてください。

国立感染症研究所では、現時点では、民間検査機関分の検体を用いた変異株PCR検査は実施しません。ゲノム解析については、一部の民間検査機関分の検体を用いて実施しております。

Q.9 ゲノム解析の未実施の過去検体を保管しているが、ゲノム解析を実施すべきか。

(答)

○ 可能な範囲で遡って実施ください。その場合、検査キャパシティに応じて、ウイルス量が十分にあるもの(Ct値30以下)や孤発例を優先的に実施し、直近検体の検査の実施が遅延することがないようお願いします。また、週報におけるゲノム解析の可能数/実施数報告は各自治体のキャパシティ把握のため実施しておりますので、遡って検査した場合にも、過去検体と直近の検体の実施数を検査実施週の週報件数に合算していただいてかまいません。

Q10 国立感染症研究所におけるオミクロン株の判定基準はどのように行っているのか。

(答)

○ WHOの指定するオミクロン株(B.1.1.529系統の変異株)と確定するためには全ゲノム情報による塩基変異の全体像を知ることが不可欠です。全ゲノム解析によりゲノム全長を解読し、得られた配列(contig配列)を用いてNextcladeおよびPANGOLINプログラムにて解析し、クレード(clade)及びPANGO系統(lineage)の両方が適正に判定された場合に最終判定に資する対象としております。ごく稀に、大きな欠失が生じ、PANGO系統の結果が得られてもクレードが検出できない場合があり、正確な判定ができないことをご留意ください。GISAID等のデータベース登録の際、解読リード深度(read depth)が300倍以上かつゲノム被覆率(coverage)が98%以上である、または、denovoアセンブリにて完全(complete)なcontig配列が得られていることを基本にしています。

Q.11 自治体(地方衛生研究所、医療機関、大学等、民間検査会社)で実施したオミクロン株のゲノム解析結果はどのように判定するのか。

(答)

○ Q10で示した判定基準を参考に、各自治体で判定をしてください。なお、判定が困難な場合や国立感染症研究所に確認を仰ぐことを希望される場合は、各自治体から国立感染症研究所に確認依頼をすることが可能です。その際は、検体番号とともにゲノム解析データを共有してください。

また、国立感染症研究所及び厚生労働省では、国内の変異株の発生動向を監視し、対策の判断等に役立てております。貴自治体が委託して、医療機関、大学等、民間検査会社でゲノム解析を実施された場合は、従前よりGISAIDへの登録をお願いしているところ、平行して、地方衛生研究所で結果を集約し、以下の手順で国立感染症研究所に情報共有を徹底するよう、御協力をお願いいたします。

① 大学や医療機関等で解読したデータは事前にGISAIDに登録。

② 地方衛生研究所で結果を集約し、ゲノム情報とGISAID Accession ID等のメタデータを、国立感染症研究所COG―JPに保管。

(※)同一ゲノム情報を二重でGISAID登録をしないよう、十分に御注意ください。