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○レジストリ又は医療情報データベースのデータを医薬品の承認申請、再審査等申請に利用する場合の信頼性担保に係る留意点に関する質疑応答集(Q&A)について

(令和4年9月14日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)

レジストリ又は医療情報データベース等のリアルワールドデータを承認申請、再審査等申請に活用する場合の基本的考え方については、「「レジストリデータを承認申請等に利用する場合の信頼性担保のための留意点」について」(令和3年3月23日付け薬生薬審発0323第2号・薬生機審発0323第2号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長・医療機器審査管理課長連名通知)、「医薬品の製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点について」(平成30年2月21日付け薬生薬審発0221第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)及び「医薬品の製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点に係る質疑応答集(Q&A)について」(令和元年6月19日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡。以下「データベースQA」という。)で示してきたところです。

今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)におけるレジストリ又は医療情報データベースの信頼性に関する相談事例等の蓄積に伴い、申請者等がレジストリ又は医療情報データベースのデータを医薬品の承認申請及び再審査等申請に利用する場合に、利用する予定のレジストリ又は医療情報データベースに対して行う信頼性の確認についての一般的な留意事項とデータベースQAの内容を一部見直し、別添のとおり質疑応答集(Q&A)として取りまとめましたので、貴管内関係業者に対して周知いただきますよう御配慮願います。Q&Aの内容は、PMDAにおける相談事例の蓄積状況、レジストリやデータベースの技術的な進歩及び海外の規制状況等の変化等を踏まえて、適宜見直すこととしておりますので御留意ください。

なお、データベースQAは本事務連絡の発出後より廃止するものとします。

(別添)

レジストリ又は医療情報データベースのデータを医薬品の承認申請、再審査等申請に利用する場合の信頼性担保に係る留意点に関する質疑応答集(Q&A)について

※ 本質疑応答集においては、次のとおり略語を用いるものとする。

「データベース信頼性通知」

「医薬品の製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点について」(平成30年2月21日付け薬生薬審発0221第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

「レジストリ信頼性通知」

「「レジストリデータを承認申請等に利用する場合の信頼性担保のための留意点」について」(令和3年3月23日付け薬生薬審発0323第2号・薬生機審発0323第2号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長・医療機器審査管理課長連名通知)

「RWD信頼性通知」

データベース信頼性通知及びレジストリ信頼性通知の総称

「薬機法」

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(昭和35年法律第145号)

「薬機法施行規則」

「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(昭和36年厚生省令第1号)

「GPSP省令」

「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第171号)

「PMDA」

独立行政法人医薬品医療機器総合機構

「再審査等」

中間評価、再審査及び再評価

「医療データ」

病院情報システムデータ(電子カルテデータ、診断群分類別包括評価(DPC)データ等)、診療報酬及び調剤報酬明細書(健康保険組合レセプトデータ等)、疾患登録データ等の電子的な医療情報

「製造販売後データベース調査」

GPSP省令第2条第1項第2号に規定する、医療情報データベース取扱事業者が提供する医療情報データベースを用い、医薬品の副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認のために行う調査

「医療情報データベース」

一定の期間において収集される診療録その他診療に関する記録、診療報酬請求書、疾病登録等に関する情報の集合物であって、それらの情報について電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの

「DB事業者」

「医薬品の製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点について」(平成30年2月21日付け薬生薬審発0221第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)における医療情報データベース事業者

「申請者等」

レジストリ又は医療情報データベースのデータを利用して医薬品の承認申請や再審査/中間評価/使用成績評価申請、再評価申請、条件付き承認後のデータ提出等を行おうとする医薬品の製造販売業者(外国製造医薬品等特例承認取得者を含む。)

「レジストリ」

特定の疾患、医薬品、再生医療等製品や医療機器等の曝露若しくは使用、又は特定の状態(例えば、年齢、妊婦、特定の患者の特徴)により定義される集団に関しての特定されたアウトカムを評価するため、均一化されたデータを収集するための体系的なシステム。なお、前向きにデータを取得する場合や後向きにデータを使用する場合を問わない。

「レジストリ保有者」

レジストリの管理・運営を中心となって行い、レジストリデータを保有する者

「情報源」

レジストリのデータ又は医療データをレジストリ保有者又はDB事業者に対して提供している医療機関、検査機関等

「原資料」

診療録、検査ノート等の研究の事実経過の再現と評価に必要な記録

「コンピュータシステム」

データを電子的に収集し、管理するシステム全般

「次世代医療基盤法」

「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律」(平成29年5月12日法律第28号)

「個人情報保護法」

「個人情報の保護に関する法律」(平成15年5月30日法律第57号)

「データクリーニング」

医療データの削除・修正等により医療情報データベースを整備すること

「コード化」

医療データを電子計算機上で効率的に処理するために数値等に置き換えること

(1) レジストリを用いた試験又は調査と製造販売後データベース調査に共通する事項

Q1

申請者等が、レジストリ保有者又はDB事業者を対象に確認する内容は、レジストリ又は医療情報データベースのうち、試験又は調査に関わる部分のみでよいか。

A1

貴見のとおり。承認申請資料又は再審査等申請資料として用いる試験又は調査に関わる部分が対象範囲となる。

Q2

レジストリ又は医療情報データベースを用いた試験又は調査を実施するに当たり、申請者等はレジストリ又は医療情報データベースに対する信頼性を担保するための資料を試験又は調査実施計画書ごとに作成する必要があるか。

A2

原則として作成する必要がある。ただし、申請者等が複数の試験若しくは調査を同一のレジストリ若しくは同一の医療情報データベースを同時に利用して実施する場合又は申請者等が同じレジストリ若しくは医療情報データベースを以前に利用して試験若しくは調査を実施している場合は、初回の試験又は調査時に確認したレジストリ又は医療情報データベースの信頼性に係る作業手順等の確認内容が記録されていること及びその後レジストリ保有者、DB事業者又は情報源の事業者におけるシステムの構成、作業手順等が変更されていないこと及び新たに確認すべき懸念事項が発生していないことを示すことができれば、その内容をもって、新たに実施する試験又は調査においてレジストリ保有者又はDB事業者の信頼性を担保するための資料の作成を全て又は一部省略することができる。その場合には、省略することの妥当性を説明できるようにする必要がある。

Q3

申請者等が利用する予定のレジストリ又は医療情報データベースに対して行う信頼性の確認については、当該データを用いた試験又は調査の開始までであれば、開始直前に確認を行うことでもよいか。

A3

利用するレジストリ又は医療情報データベースのデータの信頼性が担保できないことが判明した場合には、試験又は調査の計画の立案が終了している段階であっても、立案した試験又は調査の計画を見直す必要が生じるため、申請者等は、当該確認を試験又は調査の計画の立案のできるだけ早い段階で行うこと。

なお、当該確認において不明な点が生じた場合には、必要に応じてPMDAに相談すること。

Q4

申請者等が利用する予定のレジストリ又は医療情報データベースに対して信頼性を確認した結果、必要な業務・手順の一部が規定されていない、或いは、一部の期間において必要な手順書が作成されていないことが明らかになった場合に留意すべき点はなにか。

A4

規定されていない業務・手順がレジストリ又は医療情報データベースを利用するうえで必要な業務・手順である場合には、規定することができないか、レジストリ保有者又はDB事業者と協議する必要がある。規定できる場合には、できるだけ早期に規定するよう依頼する必要がある。

なお、必要な業務・手順の一部が規定されていない期間については、運営・管理体制上の問題がないこと及び収集したデータの品質に影響が無かったことについて、レジストリ保有者又はDB事業者が確認及び記録の保存を行っていることを確認する必要がある。該当期間のレジストリ又は医療情報データベースのデータの利用の可否や確認できない場合の対応については、必要に応じてPMDAに相談すること。

Q5

レジストリ又は医療情報データベースの運営・管理に関する業務及び手順書の名称が、RWD信頼性通知に示される名称と同じでない場合がある。名称が一致していない場合は、申請者等は、RWD信頼性通知に示される必要な業務及び手順書が規定され、その手順に基づき適切に業務が実施されていることを確認するとともに、名称と実際の名称を紐づけ説明できるようにしておくことでよいか。

A5

貴見のとおり。レジストリ又は医療情報データベースの運営・管理に関する業務及び手順書の名称については、RWD信頼性通知に示される名称と同じである必要はない。ただし、申請者等は、RWD信頼性通知に示される名称と実際の名称を紐づけ規制当局の担当者等に対して説明できるようにする必要がある。

Q6

申請者等がレジストリ保有者又はDB事業者によるデータの品質管理に関する実施手順及び実施頻度を確認した結果、利活用するデータ項目に対する品質管理が十分に行われていないことが明らかになった場合、レジストリ保有者又はDB事業者が追加の品質管理等の対応を行うことで承認申請資料又は再審査等申請資料として利用可能となるか。

A6

審査上重要な位置づけとなるデータについては、原則として、解析結果が得られてから追加の品質管理等の対応を行うことは不適切であるが、解析結果が得られる前であれば、利活用する試験又は調査によって、追加の品質管理等の対応を行うことで承認申請資料又は再審査等申請資料として利用可能となる場合がある。追加の品質管理等の対応を行うことの適切性については、レジストリ保有者又はDB事業者と協議のうえ、必要に応じてPMDAに相談すること。

Q7

申請者等が利用する予定のレジストリ又は医療情報データベースの信頼性の確認については、レジストリ保有者又はDB事業者が保有する各種業務の手順書及び根拠資料を閲覧することなく、聴取のみで対応することでもよいか。

A7

申請者等による信頼性の確認については、レジストリ保有者又はDB事業者が保有する各業務の手順書や根拠資料等を閲覧することで行うことが重要であり、聴取のみで対応することは適切ではない。申請者等は、レジストリ保有者又はDB事業者から提示された根拠資料を閲覧し、レジストリ保有者又はDB事業者が運営・管理に必要な業務手順を規定し、その手順に基づき記録を残しながら作業を行っていることについて確認することが重要である。根拠資料の閲覧に関する規程が定められていない場合には、規程を定めるようレジストリ保有者又はDB事業者と協議することが必要である。

なお、当該確認については、適切な秘密保持の取り決めに基づき行われることが前提である。そのため、レジストリ保有者又はDB事業者の業務運営上重大な支障が生じるおそれのある資料を除き、申請者等が閲覧できない根拠資料は想定されていない。しかし、レジストリ保有者又はDB事業者から提示されない根拠資料があった場合には、申請者等は、レジストリ保有者又はDB事業者から提示されない理由、記載内容の概略及び他の根拠資料から当該記載内容を確認できる可能性等を把握したうえで、必要に応じてPMDAに相談すること。ただし、申請者等においてレジストリ保有者又はDB事業者から提示されない根拠資料に対して懸念等が生じた場合や、適合性調査において規制当局の担当者等が確認する場合には、閲覧する必要があるため、閲覧できるような方策をレジストリ保有者又はDB事業者と協議しておく必要がある。

Q8

RWD信頼性通知において、申請者等はレジストリ保有者又はDB事業者と適切に契約することが求められている。当該契約書には、契約を締結した日、契約期間、契約締結者、秘密保持の取決めに関する事項や提供を受けるデータに関する事項等のレジストリ又は医療情報データベースのデータを利用するうえで必要となる基本的な事項以外に、記載すべき項目があるか。

A8

契約書には、レジストリ又は医療情報データベースのデータを利用するうえで必要となる基本的な事項に加え、次の事項も記載する必要がある。

・ レジストリ又は医療情報データベースにおける品質管理、品質保証等の業務に係る文書(データを含む。)を薬機法施行規則第43条第3号又は第61条に定める期間まで保存すること

・ 申請者等に提供されたレジストリ又は医療情報データベースのデータを活用して承認申請、再審査等申請を行う場合には、規制当局の資料の閲覧等、薬機法に基づいて実施される適合性調査に協力すること

・ 申請者等が承認申請、再審査等申請に利用するレジストリ又は医療情報データベースのデータの信頼性が担保されているか否かを確認するため、レジストリ保有者又はDB事業者は保有する資料の閲覧に協力すること

・ システムの不具合等により申請者等に提供されたレジストリ又は医療情報データベースのデータの信頼性に影響を及ぼす可能性が生じた場合は、レジストリ保有者又はDB事業者が速やかに申請者等に連絡し、措置を講じた結果を報告すること

これらの項目以外の事項であっても、レジストリ又は医療情報データベースのデータを利用するうえで必要な事項があれば申請者等の責任において適切に契約を締結する必要がある。なお、その他の文書(研究計画書等)に記載することで対応されるのであれば、契約書本文に記載しないことで差し支えない。

Q9

利用する予定のレジストリ又は医療情報データベースの信頼性の確認を行ったところ、レジストリ保有者又はDB事業者が情報源から入手したデータを修正又は削除を行っていた。申請者等は、データの品質担保の観点からどのような点を確認すべきか。

A9

申請者等は、レジストリ保有者又はDB事業者において、あらかじめデータの修正又は削除の条件及び手順が規定され、その手順に従って記録を残しながら作業が実施されているか、また、実際にどのようなデータがどの程度の頻度で修正又は削除されているのかを実施記録より確認し、その記録を残す必要がある。

なお、申請者等は、レジストリ保有者又はDB事業者が定めたデータの修正又は削除の条件が根拠に基づき設定されているのか、また、必要に応じて情報源にその妥当性を確認しているか等を確認するとともに、修正又は削除されたデータの内容及び頻度等から、試験又は調査への影響を検討する必要がある。不明点がある場合には、必要に応じてPMDAに相談すること。

Q10

レジストリ保有者やDB事業者において収集されたデータについては、データ品質管理が継続的に実施された場合であっても、レジストリ又は医療情報データベースの特性上、収集したデータにおいて、データの欠損やデータ分布の偏り等の制限となる事項が一定程度発生することが考えられる。申請者等は、このような制限となる事項をどのように取り扱うべきか。

A10

申請者等は、レジストリや医療情報データベースのデータを利用するにあたっては、あらかじめ利用上の制限となる事項が存在するか否かを確認した上で、試験又は調査への影響を検討し、記録に残す必要がある。また、承認申請又は再審査等申請において評価を行う規制当局の担当者等にもその内容を説明することが必要である。例えば、制限となる事項については、実施する試験又は調査の実施計画書や報告書等において明確にしておくという方法も想定される。なお、懸念事項がある場合には、必要に応じて承認申請又は再審査等申請前にPMDAに相談することが望ましい。

Q11

レジストリ又は医療情報データベースのデータを用いた承認申請及び再審査等申請における適合性調査はどのように実施されるのか。

A11

適合性調査では、承認申請資料又は再審査等申請資料の信頼性が担保されているかを確認するために、申請者等がレジストリ保有者又はDB事業者の保有する資料を確認した結果について確認する。当該確認の結果、レジストリ保有者又はDB事業者が保有する資料を確認する必要があると規制当局が判断した場合には、当該資料についても確認することになる。その場合、レジストリ保有者又はDB事業者が保管する全ての資料を網羅的に確認するのではなく、リスクに応じて懸念がある部分について確認する。レジストリ保有者又はDB事業者が保管する資料のうち、承認申請資料又は再審査等申請資料の信頼性を担保する上で必要な根拠資料は、適合性調査で開示不可とすることは受け入れられないため、申請者等は、レジストリ保有者又はDB事業者と契約を締結するにあたっては、本通知Q&A8に記載のとおり契約書に適合性調査に協力することを記載すること。また、申請者等は適合性調査を円滑に実施できるように、レジストリ保有者又はDB事業者等に対し、規制当局が根拠資料等を閲覧できるように依頼すること。また、承認申請又は再審査等申請までに規制当局が根拠資料やデータを閲覧する方法、閲覧範囲等を協議するとともに、規制当局の担当者に対して閲覧権限の付与が必要な場合にはその対応を依頼しておくこと。なお、規制当局が行う適合性調査は、法律に基づき行われることから、個人情報保護法に定められる利用目的による制限及び第三者提供の制限は適用されない。

Q12

申請者等は、レジストリ保有者又はDB事業者がコンピュータシステムを用いてデータを収集する場合のデータのバックアップ及びリカバリーについては、その実施手順を確認するとともに、リスク回避の観点から、バックアップについてはあらかじめ規定された実施頻度で実際にバックアップされていること、また、リカバリーについてはシステムトラブル等が生じた場合にバックアップからリカバリーできるようになっていることを確認することでよいか。

A12

貴見のとおり。バックアップ及びリカバリーについては、リスク回避の観点から、確認することで差し支えない。なお、システムトラブル等が生じた際にバックアップからリカバリーできなかった場合には、当該データが承認申請及び再審査等申請に利用できなくなる可能性があるので留意すること。

(2) レジストリを用いた試験又は調査に関する事項

Q13

レジストリで収集していない又はレジストリの研究計画書等で収集することが規定されていないデータが承認申請及び再審査等申請目的で必要となった。レジストリ保有者に確認したところ、レジストリ保有者において当該データの追加取得が可能であると回答があった。この場合には、どのような手続きが行われたかを確認する必要があるか。

A13

申請者等は、レジストリ保有者が当該レジストリ内でデータを追加取得することについてレジストリのデータ収集内容に関する規定文書(研究計画書又は適切な文書)に明記されている範囲であるか、また、レジストリ保有者を通じて、情報源における規程に基づき、当該変更に係る必要な手続き(必要に応じて研究計画書等の改訂、同意説明文書の改訂及び改訂された同意説明文書に基づく再同意取得を含む。)が行われているか、どのように追加取得を行うのか等を確認し、記録に残す必要がある。

Q14

レジストリ信頼性通知では、データの記載・入力について、手順、実施者の明確化、教育訓練が求められている。申請者等は、利用する予定のレジストリの信頼性を確認する際、医師以外の医療従事者等が記載した症例報告書又は入力したElectronic Data Capture(EDC)上のデータがあった場合に、留意すべき点はなにか。

A14

レジストリデータの利用目的により異なるが、原則として、治験(製造販売後臨床試験)又は使用成績調査と同様に、症例報告書又はEDC上のデータが医師により確認されていることが必要である。また、EDCを利用する場合には、当該医療従事者に対して教育訓練が行われていること、アカウントの適切な管理が行われていることとともに、監査証跡により入力者が識別できるようになっていることも必要である。さらに、情報源が保有するシステムからEDCに対してデータを移行させる仕組みを活用することも可能であるが、その場合、システム導入時又は更新時に適切なシステムバリデーションが行われ、正確かつ完全に移行できることが保証されていることも確認する必要がある。

なお、医師により確認されていない場合であっても、健康保険に利用するデータ等を収集する場合のように、情報源におけるレジストリへの入力が適切に管理されており、かつ、レジストリ保有者による品質管理が十分に行われている場合がある。そのようなデータの利用可能性については、利用目的ごとに判断することになるので、必要に応じてPMDAに相談すること。

Q15

レジストリ信頼性通知では、「レジストリデータが承認申請に用いられる場合、レジストリ保有者から申請者等へレジストリデータが提供されることになるため、患者の個人情報の保護に関する配慮が必要である。」ことが説明されている。申請者等は、利用する予定のレジストリの信頼性を確認する際、当該データが規制当局に提供され承認申請に利用される可能性があることについて情報源で同意が取得されているかの確認が必要か。

A15

レジストリで得られたデータを利用して承認申請を行う場合には、法令で定められている場合を除き、情報源において当該データが規制当局に提供され承認申請に利用される可能性があることについて、文書あるいは適切な方法による本人の同意が取得されていることが必要である。申請者等は、レジストリ保有者を通じて情報源における同意取得状況を確認し、記録に残すこと。

Q16

レジストリ信頼性通知では、「第三者(モニタリングを実施するモニター、監査を実施する監査担当者、規制当局等)が情報源に保管されている原資料等の閲覧をする可能性がある場合は、必要に応じて当該説明文書にその旨を記載すること」が求められている。同意説明文書に規制当局が情報源に保管されている原資料等を閲覧する可能性がある旨の記載がない場合には、規制当局が調査を実施できないため、承認申請資料及び再審査等申請資料に当該レジストリのデータを活用できないことになるのか。

A16

規制当局が行う適合性調査については、法令に基づき実施するものであることから、当該記載が無くても、個人情報保護法上は問題なく、必要な場合に調査を実施することは可能である。当該記載がないことによって、当該レジストリのデータを承認申請資料及び再審査等申請資料に活用できないことにはならないが、データ提供者に対し丁寧に説明する観点からできるだけ早期に同意説明文書に規制当局による原資料等の閲覧の可能性を追記することを推奨する。

なお、規制当局が情報源の資料を閲覧する必要があると判断したにも関わらず、情報源の協力が得られない等の理由で、規制当局が情報源の資料を閲覧できない場合には、疑義が生じているデータを承認申請及び再審査等申請に使用できなくなる可能性がある点には留意すること。

(3) 製造販売後データベース調査に関する事項

Q17

データベース信頼性通知は、申請者等がGPSP省令第2条第2項に定める製造販売後データベース調査を実施する際に留意する必要がある事項を示しているということでよいか。

A17

貴見のとおり。したがって、GPSP省令第2条第1項に定める使用成績調査(改正前のGPSP省令に基づき使用成績調査を実施するために構築した疾患登録データベースを用いて使用成績調査を実施する場合等)においては、データベース信頼性通知の対象外である。

ただし、使用成績調査として、申請者等と医療機関が直接契約を行い構築されたデータベースを利用する場合においても、申請資料の信頼性を担保する観点から、必要に応じてデータベース信頼性通知を参考にすることは差し支えない。

Q18

データベース信頼性通知3.(2)アにおいて、申請者等は、DB事業者が医療データを情報源から収集する際に医療データが正しく取り込まれたことを確認する方法を確認することとされているが、医療情報データベースが、情報源の事業者又はDB事業者がデータの二次利用を目的として情報源の医療情報を伝送等により収集し構築したものである場合に留意すべき点はなにか。

A18

情報源において電子カルテ等に入力された医療データ(元データ)と、医療情報データベースに取り込まれた医療データについて、内容や件数の整合性の観点から、DB事業者によって適切に検証作業が行われていることを確認すること。なお、情報源の事業者によって適切に検証作業が行われている場合には、その検証をもってDB事業者自らの検証の代替とすることも可能であるが、その場合には、申請者等はDB事業者が情報源の事業者による検証の方法、結果等を確認していることを確認し、その記録を残す必要がある。

検証作業は、必ずしも元データとデータベースに取り込まれた医療データの完全な一致を確認することを求めているものではない。しかし、元データがデータベースに正しく取り込まれたことが確認されている範囲や、正しく取り込まれたことが確認されていない場合の原因や影響範囲が情報源の事業者又はDB事業者によって評価されている必要があり、申請者等はその適切性を確認する必要がある。

なお、申請者等は、元データがデータベースに正しく取り込まれたことの検証について、以下のような点に留意しながら、その作業手順及び記録を確認すること。

・ 手順書等でプロセスが明確化され、そのプロセスにより得られた検証結果が適切に記録され、保存されていること

・ 仮想的に作成したサンプルデータではなく、情報源の各事業者が保有する一定期間の実データ(情報源において実際の診療等の目的で入力・取得された元データ)に基づき一致性が検証されていること

・ 情報源における電子カルテ等の運用方法や部門システム等(例えば、病院情報システム内で接続される医事会計システム、臨床検査部門の業務システム)が変更される場合があるので、構築初期の段階だけでなく定期的に継続性をもって実施されていること(データベース信頼性通知3.(2)ウ及び本通知Q&A24を参照)

Q19

本通知Q&A18では、医療情報データベースが、情報源の事業者又はDB事業者がデータの二次利用を目的として情報源の医療情報を伝送等により収集し構築したものである場合に留意すべき点が説明されているが、レジストリにおいてEDCを用いてデータ収集している場合には適用されないとのことでよいか。

A19

貴見のとおり。レジストリにおいてEDCを用いてデータ収集している場合にはデータの品質管理の方法が異なるため、本通知Q&A18の内容は適用されない。

Q20

本通知Q&A18では、診療録その他の診療に関する記録のデータを収集する医療情報データベースについて、DB事業者によって医療データ(元データ)とデータベースのデータに係る検証作業が行われていることを確認する必要があることが説明されているが、診療報酬請求書を収集する医療情報データベースについては、内容や件数の整合性の観点から、どのような範囲で検証作業が行われていることを確認する必要があるか。

A20

診療報酬請求書を収集する医療情報データベースについては、以下のような範囲で検証作業が行われていることを確認すること。

・ 健康保険組合、審査支払機関等に蓄積されたデータベースのデータを用いる場合には、医療データ(元データ)から健康保険組合、審査支払機関等のデータベースまでのプロセスについては公的に正確性が保証されているため確認する必要がなく、当該データベースのデータがDB事業者のデータベースに格納されるプロセス、DB事業者のデータベースから利用するデータが抽出されるまでのプロセス等の手順や作業記録を確認する

・ 医療機関が健康保険組合、審査支払機関等に提出するファイル又はその加工したファイルをDB事業者に提供し、DB事業者がそのファイルに基づきデータベースを構築している場合には、医療データ(元データ)から当該ファイルの出力プロセスについては公的に正確性が保証されているため確認する必要がなく、当該ファイル又は加工したファイルを準備・提供するプロセス及び当該ファイル又は加工したファイルのデータがDB事業者のデータベースに格納されるプロセス、DB事業者のデータベースから利用するデータが抽出されるまでのプロセス等の手順や作業記録を確認する

・ 医療機関が電子カルテ等から、電子カルテに付帯される信頼性が確保された機能を用いて、医療データファイル又はその加工したファイルを手作業で準備しDB事業者に提供し、DB事業者がそのファイルに基づきデータベースを構築している場合には、手作業で当該ファイルを準備・提供するプロセス、当該ファイル又は加工したファイルのデータがDB事業者のデータベースに格納されるプロセス、DB事業者のデータベースから利用するデータが出力されるまでのプロセス等の手順や作業記録を確認する

なお、当該データ収集については、複数の経路で行われる場合があるため、判断に迷う場合には、必要に応じてPMDAに相談すること。

Q21

本通知Q&A20で示される医療データ(元データ)とは、電子カルテ等に入力されたデータを指していることでよいか。

A21

貴見のとおり。

Q22

本通知Q&A18では、申請者等が内容や件数の整合性の観点から、DB事業者によって適切に検証作業が行われていることを確認することとされているが、具体的にはどのように確認すべきか。

A22

申請者等は、DB事業者が医療データ(元データ)及びDB事業者の医療情報データベースから、一定期間の実データをそれぞれ抽出し、比較した結果を作業記録等(手順書及び作業記録、必要に応じて、比較作業実施者へのトレーニング記録)により確認すること。なお、当該比較については、それぞれから抽出されたデータを直接比較できない場合には、データフローにおけるプロセスを明確にし、プロセスごとに比較した結果を作業記録により確認することでもよい。また、当該比較に用いる医療データ(元データ)については、医療データ(元データ)を保有するシステムから医療情報データベースに出力するために開発されたデータ抽出機能とは異なる信頼性が確保された方法により抽出されているデータであることを確認すること。

システム等の更新がない場合の定期的な確認については、DB事業者によるデータの格納状況等の記録を確認することで代替できる場合もある。

Q23

本通知Q&A18では、「医療情報データベースが、情報源の事業者又はDB事業者がデータの二次利用を目的として情報源の医療情報を伝送等により収集し構築したものである場合に留意すべき点」が示されている。申請者等は、DB事業者が、情報源において電子カルテシステムの構築及び更新時、並びに健康保険組合レセプトデータ及び診断群分類別包括評価(DPC)の出力機能等の導入及び更新時に実施されたコンピュータシステムバリデーションの記録を確認した記録まで確認する必要があるか。

A23

本通知Q&A18は、医療機関における電子カルテシステム構築時や健康保険組合レセプトデータ及び診断群分類別包括評価(DPC)の出力機能等の導入及び更新時に実施されたコンピュータシステムバリデーションの記録まで確認することは求めない。

Q24

データベース信頼性通知3.(2)アに「医療情報データベースの選定時以外にも必要に応じてこれらの事項(情報源から収集した医療データの品質管理に関すること)を確認すること。」とあるが、「選定時以外」とはどのような時に確認する必要があるか。

A24

情報源における電子カルテ等の運用方法、部門システム等が変更された場合、医療情報データベースの構築に関する規程や手順が変更された場合や、DB事業者の手順の適切性に疑義が生じた場合等が想定される。

Q25

データベース信頼性通知3.(2)アにおいて、データクリーニング及びコード化の実施に関する基準・手順を確認し、適切に当該業務が実施されていることを確認することとされているが、申請者等が特に留意すべき点があるか。

A25

データクリーニングやコード化を行う際には、事前に定められた実施の基準・手順に基づき、医療現場における実際の運用を適切に反映しなければ、意図しない元データとの乖離が生じ、誤った解析結果を導くおそれがある。

データクリーニング及びコード化の基準・手順や実施内容については、DB事業者において適切に記録され、申請者等がその記録を確認できるようにしておく必要がある。特に、申請者等が確認すべきものとして、データクリーニングに関してDB事業者がデータ加工を行う際の基準・手順、作業の記録、コード化に関して情報源となる各医療機関における実際の運用をDB事業者が確認する際の基準・手順、情報源に確認を行った記録等がある。

例えば、データのコード化について、検体検査のデータに対して必要な標準コードを適切に付与するためには、分析物の情報だけでなく、検体検査の材料、測定法の情報も把握する必要があると考えられる。各医療機関において独自に付与される検査名称又はコード等の情報のみをもとに標準コードが付与された場合、材料の由来組織や測定法が全く異なる検査のデータに対して、同一の標準コードが付与されてしまう等、標準コードを適切に付与できないおそれがある。

Q26

データベース信頼性通知3.(2)ウに「品質管理記録を定期的に受領すること」とあるが、「定期的に」とはどの程度の頻度を想定しているのか。

A26

申請者等は、DB事業者が情報源から医療データを収集する頻度、情報源における電子カルテ等の運用方法、部門システム等の変更頻度や医療情報データベースの構築に関する規程等を変更する頻度等を踏まえて、製造販売後データベース調査に用いる医療情報データベースの信頼性を継続的に担保するために必要な頻度を設定すること。

Q27

データベース信頼性通知3.(2)ウにおいて、申請者等は、「DB事業者が継続して医療情報データベースの品質を管理していることを確認すること。」とされているが、DB事業者の継続的な品質管理として留意すべき点はなにか。

A27

継続的な品質管理が必要となる事項としては、医療データの取り込み時等のデータの送受信時のエラー、データ抽出や解析システムにおけるエラー等が想定される。DB事業者がこれらのエラー等の発生に対して適切に対応できることを確認するため、申請者等は、具体的には以下のような点に留意すること。

・ 品質管理の規程等において、エラー等の発生を速やかに検出し、対処するための手順が確立されていること

・ エラー等の発生時に速やかに解決するための体制が構築されていること

・ エラー等の発生日(又は発見日)、その内容、対応した事項等について適切に記録され、その記録を申請者等が確認できること

Q28

製造販売後データベース調査を実施するに当たり、申請者等がDB事業者と契約する際に留意すべき点はなにか。

A28

申請者等がDB事業者と契約することが想定される業務は、解析用データセットの作成、解析結果の作成、及びそれらが適切に作成されていることを示す資料の作成等に係る業務である。解析用データセットの作成に関しては、申請者等とDB事業者との間でGPSP省令第6条の2において読み替えて準用する第6条に基づく契約を締結する必要がある。申請者等がDB事業者から解析用データセットを入手せずに、引き続き解析結果の作成に係る業務についても当該DB事業者と契約する場合、上記の解析用データセットの作成に係る業務の契約に加えて、解析結果の作成に係る業務についてGPSP省令第6条の2において読み替えて準用する第6条又は第10条第2項のいずれかに基づく契約を締結する必要があるが、いずれに基づく契約にするかは申請者等が判断して差し支えない。

一方、申請者等がDB事業者から解析用データセットを入手し、それを用いて解析結果の作成に係る業務を引き続き当該DB事業者に実施させる場合は、解析結果の作成に係る業務についてGPSP省令第10条第2項に基づく委託の契約を締結する必要がある。ここでいう入手とは、文書等の物理的な授受に限らず申請者等が資料にアクセス可能である場合も含まれる。

なお、GPSP省令第6条の2において読み替えて準用する第6条と第10条第2項のいずれに基づく契約であるかに関わらず、DB事業者が実施する業務について、申請者等は、解析用データセット及び解析結果が適切に作成されていることを示す資料等を確認して、製造販売後データベース調査実施計画書又は統計解析計画書に基づき、適切な解析用データセットの作成及び解析が実施されていることを確認する必要がある。それらの資料は適合性調査時の確認対象となり、申請者等は必ずDB事業者から入手する必要があることに十分留意すること(入手できなかった場合、当該製造販売後データベース調査の結果は再審査等申請資料としての信頼性が担保されていないと判断される)。

Q29

製造販売後データベース調査の実施に当たって、個人情報保護の観点から申請者等が留意すべき点はあるか。

A29

製造販売後データベース調査は、申請者等が薬機法第68条の2の5の規定に基づき医療機関等の医薬関係者から直接情報を収集するのではなく、DB事業者が収集した医療データを利用するものである(同条の規定により、医療機関や学術団体等の協力により得られた医療データを利用する場合を除く。)。製造販売後データベース調査の実施に当たっては、DB事業者による適切な個人情報の取扱いが求められる。その上で、DB事業者による医療データの収集及び提供等の具体的な手続き(例えば、同意取得、匿名化、次世代医療基盤法に基づく対応等)が、個人情報保護法をはじめとする関連法令及びガイドラインを遵守した対応が行われている必要があることに留意すること。

Q30

データベース信頼性通知では、申請者等が医療情報データベースの取扱いに関する事業計画書を確認することが求められている。事業計画書には、医療情報データベースの運営・管理に関する事項以外の事項も記載されているが、利用する医療情報データベースの位置付けや事業の継続性等があるか否かを判断できれば、事業計画書の全てではなく、該当する記載のみを確認することでよいか。また、同様な内容が確認できれば事業計画書以外の書類で確認することでよいか。

A30

貴見のとおり。事業計画書の一部又はその他の書類において、利用する医療情報データベースの位置付けや事業の継続性等を把握できればよい。

Q31

統計解析計画書に記載する内容を、製造販売後データベース調査実施計画書に記載する場合には、統計解析計画書の作成を省略してもよいか。

A31

省略しても差し支えない。なお、開発受託機関等に解析業務を依頼する場合等、統計解析計画書に記載する内容が製造販売後データベース調査実施計画書中に記載されていない場合には、統計解析計画書を別途適切に作成すること。

(4) その他

Q32

国外のレジストリ保有者又はDB事業者が提供する日本国内の医療データを含んでいるレジストリ又は医療情報データベースを用いて、試験又は調査を実施することはできるか。

A32

可能である。国内外いずれのレジストリ保有者又はDB事業者であっても、レジストリ保有者又はDB事業者が提供するレジストリ又は医療情報データベースを利用する場合にはRWD信頼性通知及び本通知Q&Aに基づいた対応が求められる。

Q33

申請者等は、医療情報データベースのデータを承認申請に利用する場合にも、利用する予定の医療情報データベースの信頼性を確認する必要がある。データベース信頼性通知及び本通知Q&A(3)は、医薬品の製造販売後データベース調査における信頼性担保に関する留意点がまとめられているが、医薬品の承認申請に利用する際にもこれらの通知を参考に、利用する予定の医療情報データベースの信頼性を確認することでよいか。

A33

貴見のとおり。医療情報データベースのデータを承認申請に利用する場合には、データベース信頼性通知及び本通知Q&Aを参考に利用する予定の医療情報データベースの信頼性を確認すること。

なお、不明な点がある場合には、必要に応じてPMDAに相談すること。