○「消費生活協同組合模範定款例の取扱いについて」の一部改正について
(令和4年9月1日)
(社援地発0901第2号)
(各厚生労働大臣認可消費生活協同組合(連合会)代表理事あて厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)
(公印省略)
「消費生活協同組合模範定款例の取扱いについて」(平成12年1月7日社援地発第1号)について、別紙のとおり改正することとしたので通知する。
(別紙)
参考
[消費生活協同組合模範定款例]
<消費生活協同組合模範定款例の取扱いについて>
○○(消費)生活協同組合定款
目次
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 組合員及び出資金(第6条―第19条)
第3章 役職員(第20条―第44条)
第4章 (総代会及び)総会(第45条―第60条)
第5章 事業の執行(第61条―第62条)
第6章 会計(第63条―第75条)
第7章 解散(第76条―第77条)
第8章 雑則(第78条―第80条)
附則
第1章 総則
(目的) 第1条 この消費生活協同組合(以下「組合」という。)は、協同互助の精神に基づき、組合員の生活の文化的経済的改善向上を図ることを目的とする。 |
<第1条(目的)関係>
1 組合の定義
消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会(以下「組合」と総称する。)は、一定の地域又は職域による人と人との自由な結合体であって、協同互助の精神に基づき、組合員の生活の文化的経済的改善向上を図ることのみを目的とする、生協法に基づく法人格を与えられた非営利の組織体である。
2 組合に関する法令
組合に関する法律には、「消費生活協同組合法」(昭和23年法律第200号。以下「法」という。)がある。この法律は、「国民の自発的な生活協同組織の発達を図り、もつて国民生活の安定と生活文化の向上を期することを目的とする」(法第1条)もので、組合の組織と運営に関する基本的事項が規定されている。この法律の委任を受け、「消費生活協同組合法施行令」(平成19年政令第373号)、「消費生活協同組合法施行規則」(昭和23年大蔵省、法務庁、厚生省、農林省令第1号。以下「施行規則」という。)及び「消費生活協同組合法施行規程」(平成20年3月厚生労働省告示第139号)が定められている。
3 組合の定款
(1) 組合の定款は、組合の組織と運営に関する根本的な自治規範で、組合の権利能力及び行為能力を定めたものである。
法においては、「定款の定めるところにより」として組合の自主性を尊重してこの自治規範に委ねている事項が多く、定款は組合が組合員の自由な意思に基づき運営されるよう設定し、又は変更しなければならないものである。
(2) 定款は、設立の際にその案を発起人(組合を設立するには、その組合の組合員になろうとする者20人以上、連合会を設立するには、2以上の組合)が作成し(法第54条)、創立総会で議決しなければならないもので(法第56条第1項)、発起人は、創立総会の議決があったときは設立認可の申請に際して定款を行政庁に提出しなければならない(法第57条第1項)ものである。組合設立後の定款の変更については、第51条(解説)2を参照のこと。
(3) 定款に規定された事項は、もとより法令に違反するものであってはならず、法令に抵触する規定は無効なものであるが、法令に違反しない限り定款の規定は、組合員、組合役職員及び組合の総(代)会を全て拘束するもので、これらの者が定款に違反して行動することは許されない。
(4) 法第26条第1項において定款に記載すべき事項として、次の事項が規定されている。
ア 事業
イ 名称
ウ 地域又は職域
エ 事務所の所在地
オ 組合員たる資格に関する規定
カ 組合員の加入及び脱退に関する規定
キ 出資1口の金額及びその払込みの方法並びに1組合員の有することのできる出資口数の最高限度に関する規定
ク 第1回払込みの金額
ケ 剰余金の処分及び損失の処理に関する規定
コ 準備金の額及びその積立ての方法に関する規定
サ 組合員の権利義務に関する規定
シ 事業の執行に関する規定
ス 役員に関する規定
セ 総会に関する規定
ソ 事業年度
タ 公告方法
チ 共済事業を行うときは、その掛金及び共済金の最高限度
ツ 存立の時期又は解散の事由を定めたときは、その時期又は事由
テ 現物出資をする者を定めたときは、その者の氏名、出資の目的たる財産及びその価格並びにこれに対して与える出資口数
(5) 法第26条第2項の規定により、行政庁(地域又は職域が地方厚生局の管轄区域を越える組合については厚生労働大臣、その他の組合については主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事(法第97条)。以下同じ。)は、模範定款例を定めることができるとされており、本模範定款例はこの規定に基づいて定められたものである。
(6) 組合の自治規範としては、定款のほかに、規約及び規則等があるが、これについては、第51条(解説)3及び第33条(解説)3を参照のこと。
4 組合の基準等
法第2条第1項において、組合の具備すべき要件として、
① 一定の地域又は職域による人と人との結合であること。
② 組合員の生活の文化的経済的改善向上を図ることのみを目的とすること。
③ 組合員が任意に加入し、又は脱退することができること。
④ 組合員の議決権及び選挙権は、出資口数にかかわらず、平等であること。
⑤ 組合の剰余金を割り戻すときは、主として事業の利用分量により、これを行うこと。
⑥ 組合の剰余金を出資額に応じて割り戻す場合には、その限度が定められていること。
を掲げ、この要件を欠くに至った場合には、行政庁は報告を徴し、又は検査を行い、必要な措置をとる旨命じた後に、組合の解散を命ずることができることとされている(法第95条)。
また、法第2条第2項において、「消費生活協同組合及び消費生活協同組合連合会は、これを特定の政党のために利用してはならない。」と規定され、組合が特定の政党の党利党略に利用されることを特に禁止している。
このほか、組合運営上重要な事項は、法第8条に規定する労働組合との関係、法第9条に規定する最大奉仕の原則、法第11条に規定する事業の機会均等、法第12条に規定する事業の利用(員外利用の禁止)及び法第13条の2に規定する他の団体との関係である。
労働組合との関係については、「この法律は、労働組合法(昭和24年法律第174号)による労働組合が、自主的に第10条第1項に規定する事業を行うことを制限し、又はこれに不利益を与えるものではない。」と規定され、組合と密接な関係を有する労働組合の行う福利事業、共済事業等との関係が規定されている。
最大奉仕の原則については、「組合は、その行う事業によつて、その組合員及び会員に最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」と規定され、組合の事業運営の理念は、営利の追求ではなく、直接に組合員の生活の文化的経済的改善向上にある旨が明らかにされている。
事業の機会均等については、「組合は、前条の事業(本定款例第3条に掲げる事業)を行うにあたつて、特別の理由がない限り、同種の事業を行う他の者と同等の便益を受けることを妨げられない。」とされ、一般商業者との公正な競争のため、一般商業者との間で差別扱いをして、組合が商業者よりも不利な立場に追い込まれることを防いでいる。
事業の利用については、「組合員は、その意に反して、組合の事業を利用することを強制されない。」(法第12条第1項)として、組合事業の利用の強制を禁止し、組合事業の利用は組合員自らの意思によるべき旨を明らかにしている。また、組合員の家族による組合事業の利用については、「定款に特に定めのある場合を除くほか、組合員と同一の世帯に属する者は、組合の事業の利用については、これを組合員とみなす。」(法第12条第2項)と規定されているが、このことについては第61条(解説)参照のこと。
なお員外利用については、次の5を参照のこと。
他の団体との関係については、「組合は、組合に関係がある事業を行うため必要であるときは、組合の目的及び他の法律の規定に反しない限り、他の法人又は団体に加入することができる。」と規定され、組合事業の円滑な発展のための他の団体等への加入が認められている。
5 員外利用の禁止
組合事業の組合員以外の者への利用については、消費者の相互扶助組織であるという生協制度の本旨を踏まえ、員外利用は原則禁止されており、員外利用させることができる場合を法令上限定列挙するとともに、その場合の利用限度を定めたものである。法第12条第3項に「組合は、組合員以外の者にその事業を利用させることができない。ただし、次に掲げる場合に該当する場合は、この限りでない。」と規定され、同項各号において、利用限度がない場合として、
ア 自動車損害賠償責任共済契約(契約締結者の相続等の場合)
イ 災害時の緊急物資の提供
ウ 行政からの委託事業
エ 特定の物品を供給する事業
オ 体育施設、教養文化施設の利用
を規定し、また、同条第4項において、利用限度がある場合として、
カ 医療事業
キ 福祉事業
ク 当該職域に係る者(職域生協の母体企業や大学)による購買事業の利用
ケ 山間僻地における物品の提供
コ 組合員以外の者に利用させることが適当であると認められる事業として厚生労働省令に定めるもの
を規定している。
コの「厚生労働省令に定めるもの」としては、
① 保育所等への食材等への提供
② 職域組合における職務等の理由による来訪者への物品の提供
③ 生協間の物資提供
④ イベントを開催した場合の物品の提供
⑤ 災害時に避難した者への物品の提供
⑥ 配送により、一月以内の試行的利用を希望する者への物品の提供
⑦ 地域の課題の解決を図る取組を行う組織への物品の提供
⑧ 職域組合における職務等の理由による来訪者等の利用事業の利用
⑨ 山間僻地における利用事業の利用(その地域における他の事業者の事業活動に影響を及ぼす場合を除く。)
⑩ 納骨堂の利用
を規定している。
また、利用限度がある場合については、以下の区分に応じ、組合員及び非組合員の利用分量を把握することが必要である。
・医療事業(カ) 組合員利用の100/100を上限
・福祉事業(キ) 組合員利用の100/100を上限
・供給事業(ク、ケ、コ①~⑦) 組合員利用の20/100を上限
・利用事業(コ⑧、⑨) 利用事業の種類ごとに、組合員利用の20/100を上限
・利用事業(コ⑩) 組合員利用の100/100を上限
なお、ケ及びコについては、行政庁の許可が必要であり、当該許可については、個々のケースに応じ、生協の本旨やその公共性、公益性、利用分量の把握方法の適切性等の観点から許可をするものである。また、ケ並びにコ①、②、③、④、⑤、⑥及び⑦の供給事業については、同条第5項において、「行政庁は、前項第2号又は第3号の許可の申請があつた場合において、組合がその組合員以外の者に物品の供給事業(物品を加工し、又は修理する事業を含む。以下次項において同じ。)を利用させることによつて中小小売商の事業活動に影響を及ぼし、その利益を著しく害するおそれがあると認めるときは、前項第2号又は第3号の許可をしてはならない。」と規定されている。
また、法第12条第6項において、行政庁は、必要があると認めるときは、物品の供給事業を行う組合に対し、
ア 同条第3項ただし書又は同条第4項の規定により組合員以外の者に物品の供給事業を利用させる場合を除き組合員以外の者には当該事業を利用させない旨を、物品の供給事業を行う場所に明示すること
イ 同条第3項ただし書又は同条第4項の規定により組合員以外の者に物品の供給事業を利用させる場合を除き、組合員であることが不明瞭である者に対しては組合員である旨を示す証明書を提示しなければ、物品の供給事業を利用させないこと
という措置をとるべきことを命ずることができる旨が規定され、組合の供給事業の適正化、円滑化を図ることとしているのである。なお、組合が行政庁の許可なく組合員以外の者への事業の利用を行った場合には、行政庁は、検査を行い、必要な措置をとる旨命じた後にその組合の解散を命ずることができる(法第95条)とともに、組合の理事は、20万円以下の過料に処せられる(法第100条第1項第2号)。さらに、組合の理事であって前述のア又はイの措置を採るべき行政庁の命令に違反した者も20万円以下の過料に処せられることとされている(法第100条の2)。
6 組合に対する監督等
組合は、国民の自発的な生活協同組織であるから、その活動にあたっては自主性が尊重されなければならないものであるが、一方、組合は、法に基づいて設立され、法の保護を受けるものである以上、法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は組合の自治規範である定款若しくは規約に違反した活動を行ってはならないことも当然である。
この意味から、法においては、法令による規制とは別に行政庁による監督を組合の自主性と活動の自由を阻害しない範囲で定め、組合事業の適正化とその円滑な発達を期することとしている。
法第93条において、「行政庁は、組合に法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款若しくは規約を守らせるために必要があると認めるとき、又は組合の会計経理が著しく適正でないと認めるときは、組合からその業務又は会計の状況に関し報告を徴することができる。」と規定され、行政庁に報告徴収権を与え、この規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者は30万円以下の罰金(共済事業を行う組合若しくはその子会社等又は共済代理店にあっては、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金)に処することとしている(法第99条第2項)。
なお、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して上記の違反行為をしたときは、行為者が罰せられるほか、その法人に対しても30万円以下の罰金刑(共済事業を行う組合若しくはその子会社等又は共済代理店にあっては、2億円以下の罰金刑)が科せられる(法第99条の3第1項第3号)。
次に、「行政庁は、組合に関する行政を適正に処理するために、組合から、毎年1回を限り、その組合員、役員、使用人、事業の分量その他組合の一般的状況に関して必要な報告を徴することができる。」(法第93条の2)とされ、行政庁に対しては組合の全般について毎年状況報告を徴する権利が与えられている。
また、共済事業を行う組合に対しては、特に法第93条の3第1項において、「行政庁は、共済事業を行う組合の業務の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、当該組合に対し、その業務又は会計の状況に関し報告又は資料の提出を求めることができる。」と規定され、さらに第2項において、「行政庁は、共済事業を行う組合の業務の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者等の保護を図るため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該組合の子会社等又は当該組合から業務の委託を受けた者に対し、当該組合の業務又は会計の状況に関し参考となるべき報告又は資料の提出を求めることができる。」とされ、組合の子会社等や組合から業務の委託を受けた者に対する報告徴収権が与えられている。
さらに、法第94条において、「組合員が、総組合員の10分の1以上の同意を得て、組合の業務又は会計が法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款又は規約に違反する疑いがあることを理由として、検査を請求したときは、行政庁は、その組合の業務又は会計の状況を検査しなければならない。」(同条第1項)、「行政庁は、組合に法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款若しくは規約を守らせるために必要があると認めるとき、又は組合の会計経理が著しく適正でないと認めるときは、いつでも、その組合の業務又は会計の状況を検査することができる。」(同条第2項)、「行政庁は、共済事業を行う組合の業務の健全かつ適切な運営を確保し、共済契約者等の保護を図るため必要があると認めるときは、いつでも、当該組合の業務又は会計の状況を検査することができる。」(同条第3項)、「行政庁は、責任共済等の事業を行う組合の業務又は会計の状況につき、毎年1回を常例として検査をしなければならない。」(同条第4項)、「行政庁は、前各項の規定により共済事業を行う組合の業務又は会計の状況を検査する場合において特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該組合の子会社等又は当該組合から業務の委託を受けた者の業務又は会計の状況を検査することができる。」(同条第5項)と規定され、行政庁に検査権が与えられている。なお、同条第2項及び第3項の「必要があると認めるとき」に行う検査とは、法令の不遵守等を疑うに相当の理由があるときに行う検査に限らず、実際の事業実施の状況等を確認するために定期的に行う検査等、具体的な問題の把握を前提としない検査も含むものである。
検査とは、金銭その他の物品、帳簿書類の検査をしたり、役職員に対して質問をしたりする等をいうのであって、この検査を拒み、妨げ、又は忌避した者は30万円以下の罰金(共済事業を行う組合若しくはその子会社等又は共済代理店にあっては、1年以下の懲役又は300万円以下の罰金)に処せられることとされている(法第99条第2項)。なお、法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して上記の違反行為をしたときは、行為者が罰せられるほか、その法人に対しても30万円以下(共済事業を行う組合若しくはその子会社等又は共済代理店にあっては、2億円以下)の罰金刑が科せられる(法第99条の3第1項第3号)。
また、行政庁は法第93条の規定により報告を徴し、又は上記の検査を行った場合において、その組合が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、その組合に対し、期間を定めて、必要な措置をとるべき旨を命ずることができ、その命令に従わないときは、組合に対し、役員の解任を命じ、又は期間を定めて、その事業の停止を命ずることができるとともに、組合の業務又は会計が法令又は法令に基づいてする行政庁の処分に違反し、又は次のイに掲げる事由に該当する場合において、必要な措置の命令に従わないときは、その組合の解散を命ずることができることとされている(法第95条)。
ア その業務又は会計が法令、法令に基づいてする行政庁の処分又は定款若しくは規約に違反していること。
イ 正当な理由がなくて1年以上その事業を休止し、又は正当な理由がなくてその成立後1年以内にその事業を開始しないこと。
ウ アに掲げるもののほか、その会計経理が著しく適正でないこと。
なお、組合が上記の事業の停止命令に違反して事業を行ったときは、その組合及び理事は、50万円以下の罰金に処せられる(法第99条第1項)。
このほか、共済事業の監督については、「共済事業向けの総合的な監督指針」(平成20年3月31日付け厚生労働省社会・援護局長通知)が定められており、一方、貸付事業の監督については、「貸付事業向けの総合的な監督指針」(平成19年12月18日付け厚生労働省社会・援護局長通知)が定められている。
7 生活の文化的改善向上とは、生活の合理化及び改善のための組合員の教養及び人格の向上等、生活に即した文化の向上をいい、生活の経済的改善向上とは、組合員の日常の消費生活の合理化及び改善、生活水準の向上をいうものである。
(名称) 第2条 この組合は、○○(消費)(注)生活協同組合という。 (注) 組合の名称として「消費生活」という文字を使用する組合にあっては「消費生活協同組合」と、「消費生活」という文字でなく「生活」という文字を使用する組合にあっては「生活協同組合」と規定するものである。 |
<第2条(名称)関係>
1 組合の「名称」は、法第26条第1項第2号の規定により、定款の法定記載事項である。
2 組合の「名称」は、設立登記及び変更登記事項とされている(法第74条第2項第1号、第75条第1項)。
(1) 組合の設立の登記
組合の設立をした場合には、出資第1回の払込みがあった日から2週間以内に主たる事務所の所在地において次の事項を登記しなければならない(法第74条)。
ア 事業
イ 名称
ウ 地域又は職域
エ 事務所の所在地
オ 出資1口の金額及びその払込みの方法並びに出資の総口数及び払い込んだ出資の総額
カ 存立時期を定めたときは、その時期
キ 代表権を有する者の氏名、住所及び資格
ク 公告方法
ケ 公告方法として、電子公告を定款に定めた場合は、法令で定める事項
なお、組合の設立登記の申請書には、定款並びに出資の総口数及び出資第1回の払込みのあったことを証する書面及び代表権を有する者の資格を証する書面を添付しなければならず、新設合併による組合の設立の登記の申請書には、上記の書面のほか、新設合併契約の承認があったことを証する書面、債権者に対する公告及び催告をしたこと、もし異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、又は信託をしたことを証する書面並びに新設合併消滅組合(当該登記所の管轄区域内に事務所があるものを除く。)の登記事項証明書を添付しなければならないこととされている(法第85条、第88条)。
(2) 組合の変更の登記
(1)の事項中オを除く事項に変更を生じたときは、主たる事務所の所在地において2週間以内に変更の登記をしなければならず、オの事項に変更を生じたときは、毎事業年度末現在により事業年度終了後、主たる事務所の所在地において4週間以内に変更の登記をすることができることとされている(法第75条)。
なお、(1)に掲げる設立登記事項の変更の登記の申請書には、当該事項の変更を証する書面を添付しなければならず、出資1口の金額の減少又は組合の吸収合併による変更の登記の申請書には、上記の書面のほか、債権者に対する公告及び催告をしたこと、もし異議を述べた債権者があるときは、これに対し、弁済し、若しくは担保を供し、若しくは信託をしたこと又は出資1口の金額の減少若しくは吸収合併をしてもその債権者を害するおそれがないことを証する書面を添付し、さらに組合の合併による変更登記の申請書には、合併によって消滅する組合(当該登記所の管轄区域内に事務所があるものを除く。)の登記事項証明書も添付しなければならないこととされている(法第86条、第87条)。
(3) 組合は、法の規定により登記しなければならない事項については、その登記をした後でなければこれをもって第三者に対抗することはできず(法第7条)、また、法の規定による登記を怠ったときは、組合の理事若しくは監事又は清算人は、20万円以下の過料に処せられる(法第100条第1項第45号)。
なお、組合の登記には、商業登記法(昭和38年法律第125号)が準用されているので注意する必要がある。
3 「○○(消費)生活協同組合」
(1) 組合は、法第3条第1項の規定により、その名称中に「消費生活協同組合(連合会)又は生活協同組合(連合会)」という文字を用いなければならない。一方、同条第2項の規定により組合(連合会)でないものはその名称中に消費生活協同組合(連合会)であることを示す文字又はこれらと紛らわしい文字を用いてはならず、この規定に違反した者は、10万円以下の過料に処せられる(法第101条)。
また、組合は、同条第3項の規定により、その名称を使用することを他人に許諾してはならないものである。
(2) 組合の名称は、「(消費)生活○○協同組合」というように「(消費)生活」と「協同組合」との間に、組合固有の地域又は職域を表す文字をおくべきではなく、その固有の文字は、例えば「東京(消費)生活協同組合」や「(消費)生活協同組合東京」とすべきである。
(事業) 第3条 この組合は、第1条の目的を達成するため、次の事業を行う。(注)1 (1) 組合員の生活に必要な物資を購入し(、これに加工し又は生産し)て組合員に供給する事業 (2) 組合員の生活に有用な協同施設(第5号及び第6号に掲げるものを除く。)を設置し、組合員に利用させる事業 (3) 組合員の生活の改善及び文化の向上を図る事業 (4) 組合員の生活の共済を図る事業(注)2 (5) 組合員に対する医療に関する事業(注)3 (6) 高齢者、障害者等の福祉に関する事業であって組合員に利用させるもの(注)3 (7) 組合員及び組合従業員の組合事業に関する知識の向上を図る事業(注)4 (8) 前各号の事業に附帯する事業(注)3(注)5 (注)1 本条中第1号から第6号までは、現に組合が行っているもの及び行おうとしている事業を規定するものである。 (注)2 共済事業の受託事業のみを行う組合においても本号を規定し、第62条に「第3条第4号に規定する組合員の生活の共済を図る事業は、○○生活協同組合連合会が行う○○共済事業の受託共済事業とする。」というように規定するものである。また、本号の事業のうち、共済事業(法第10条第2項に規定するものをいう。以下同じ。)又は受託共済事業(法第10条第2項に規定するものをいう。以下同じ。)を行う組合で保険代理に関する事業を行う場合には別号として「保険代理に関する事業」と規定する必要がある。 (注)3 本号に規定する事業のうち、事業の実施に当たり行政庁の指定、委託又は許可を受ける必要がある等行政庁の関与する側面が強い事業については、行政庁関係部局と十分打ち合わせを行うことが必要とされるものである。 (注)4 本事業は、法第51条の4第4項に規定するように、毎事業年度における剰余金の一部を翌事業年度のこのための費用として支出するために繰り越さなければならないものとされていることから、組合として必ず行わなければならない事業であるので、必ず規定する必要がある。 (注)5 本事業は、組合の事業執行の円滑化のため、できる限り規定すべきものである。 |
<第3条(事業)関係>
1 組合の「事業」は、法第26条第1項第1号の規定により、定款の法定記載事項である。
2 組合の「事業」は、設立登記及び変更登記事項とされている(法第74条第2項第1号、第75条第1項)が、これについては、第2条(解説)2を参照のこと。
3 組合の行い得る事業は、法第10条第1項の規定により、本条に掲げてある事業に限られ、これ以外の事業を組合が営んだ場合には、行政庁は、検査を行い、必要な措置をとる旨命じた後に、その組合の解散を命ずることができる(法第95条)とともに、組合の理事は20万円以下の過料に処せられる(法第100条第1項第1号)。
4 組合員に供給する物資の品目及び組合員に利用させる協同施設の種類については定款において明確に規定すべきであるが、特に本条においては規定せず、第62条において規定することとしたのは、本条において物資の品目及び協同施設の種類を規定した場合には、それらの事項の変更については、そのつど変更登記をしなければならない(法第75条第1項)が、第62条において規定すれば、このような変更について総(代)会の議決及び行政庁の認可は必要としても、事業の変更登記までは必要なく、そのための煩雑な事務処理が省略できるからである。
5 「協同施設」とは、土地、建物(住宅)、器具、機械等の物的施設、食堂、喫茶、美容院等の人的及び物的施設、さらには家屋の修繕員、庭師等の人的施設を含むものであり、このような施設を、組合が自ら施設し若しくはサービスを提供する場合、又は他人の施設を有償若しくは無償で借受け(組合が管理権を有している場合に限る。)、それを組合員に利用させる場合等多くのサービス事業が利用事業に含まれるものである。
6 「利用させる」とは、組合の管理下にある施設を使用若しくは収益させ、又は直接間接にサービスを提供することである。
7 「組合員の生活の共済を図る事業」についても、供給事業及び利用事業に関する規定との均衡上、具体的な事業種目は第62条において規定することとした。共済事業については、その性質上法令等において、他の事業と異なる規制が定められており、また法第26条の3の規定により、規約で、共済事業の実施方法、共済契約並びに共済掛金及び責任準備金の額の算出方法に関して厚生労働省令で定める事項を定めなければならない。一方、貸付事業については、法第26条の4の規定により、規約で、その実施方法及び貸付けの契約に関して厚生労働省令で定める事項を定めなければならない。
8 第5号は法第10条第1項第6号に規定する医療事業を、第6号は法第10条第1項第7号に規定する福祉事業を定めるものであり、「供給事業」「利用事業」及び「組合員の生活の共済を図る事業」に関する規定との均衡上、具体的な事業品目は第62条において規定することとする。(第62条第4項及び第5項を参照のこと。)
(区域) 第4条 この組合の区域は、○○の地(職)(注)域とする。 (注) 地域により組合の区域を規定する場合は、「この組合の区域は、東京都千代田区の地域とする。」又は「この組合の区域は、神奈川県小田原市及び足柄下郡箱根町の地域とする。」というように規定し、職域により組合の区域を規定する場合は、「この組合の区域は、日本産業株式会社、日本産業労働組合、日本産業健康保険組合及び日本産業生活協同組合の職域とする。」又は「日生工業株式会社、日生サービス株式会社及び日生商事株式会社の職域とする。」というように規定するものである。 |
<第4条(区域)関係>
1 組合の「区域」(地域または職域)は、法第26条第1項第3号の規定により、定款の法定記載事項である。
2 組合の「区域」は、設立登記及び変更登記事項とされている(法第74条第2項第1号、第75条第1項)が、これについては、第2条(解説)2を参照のこと。
3 組合は、一定の地域または職域による人と人との結合体である。すなわち、組合の組織は、地域による組織(地域組合)と職域による組織(職域組合)との2種の組織があるので、本条は、組合の区域として、地域・職域の別及びその範囲を規定するものである。
4 地域組合は、原則として、都道府県の区域を越えて設立することができないが、同一の生活圏内に存在する他県組合の店舗等が利用できないという「県境問題」を解消するため、法第10条第1項第1号の事業の実施のために必要がある場合には、主たる事務所の所在地の都府県及び当該都府県に隣接する都府県を区域として、これを設立することができるものである(法第5条第2項)。なお、共済事業を行っている組合については、法第10条第1項第1号の事業の実施のために必要がある場合であっても都道府県の区域を越えて設立することができない。
(事務所の所在地) 第5条 この組合は、事務所を○○都(道府県)○○市(区町村)に置く。 ((事務所の所在地) 第5条 この組合は、主たる事務所を○○都(道府県)○○市(区町村)に、従たる事務所を○○都(道府県)○○市(区町村)に置く。(注)) (注) 従たる事務所を設ける組合にあっては、括弧書の例により本条を規定するものである。 |
<第5条(事務所の所在地)関係>
1 組合の「事務所の所在地」は、主たる事務所、従たる事務所を問わず法第26条第1項第4号の規定により、定款の法定記載事項である。
2 組合の「事務所の所在地」は、設立登記及び変更登記事項とされている(法第74条第2項第2号、第75条第1項)が、これについては、第2条(解説)2を参照のこと。
3 組合は、主たる事務所の所在地をその住所とするものである(法第6条)。
4 組合が主たる事務所を他の登記所の管轄区域内に移転したときは、2週間以内に旧所在地においては移転の登記をし、新所在地においては設立登記事項(第2条(解説)2(1)を参照のこと。)を登記しなければならないものである(法第76条)。
5 組合の「事務所の所在地」は定款上は市区町村名まで規定すればよく、番地まで規定する必要はない。
6 「従たる事務所」とは、主たる事務所と所在地を異にし、主たる事務所の統括のもとではあるが、ある程度独立して組合の事業を管理運営する場所をいい、いわゆる物資の供給のみを行う供給所(店舗)及び供給所支所(出張所)のようなものは事務所には含まれない。
第2章 組合員及び出資金
本章は、「組合員たる資格に関する規定」、「組合員の加入及び脱退に関する規定」、「出資1口の金額及びその払込みの方法並びに1組合員の有することのできる出資口数の最高限度に関する規定」、「第1回払込みの金額」及び「組合員の権利義務に関する規定」を内容とするものであるから、法第26条第1項の規定により、定款の法定記載事項である。
(組合員の資格) 第6条 この組合の区域内に住所を有する(区域内に勤務する)(注)1者は、この組合の組合員となることができる。 2 この組合の区域内に勤務地を有する(区域の付近に住所を有する者又は当該区域内に勤務していた)(注)1者でこの組合の事業(施設)(注)2を利用することを適当とするものは、この組合の承認を受けて、この組合の組合員となることができる。 (注)1 地域組合にあっては、本条第1項を「住所を有する者」、第2項を「区域内に勤務地を有する者」と、職域組合にあっては、本条第1項を「区域内に勤務する者」、第2項を「区域の付近に住所を有する者又は当該区域内に勤務していた者」と規定するものである。なお、職域組合のうち、法令で定める学校を職域とするもので当該学校の学生を組合員とする場合には、第1項を「区域内に勤務又は通学する者」と規定するものである。 (注)2 ここに規定する「施設」は、利用事業における協同施設という意味でなく、組合の事業全般を含めた意味であるが、「施設」という文字が適当でないと認められる場合は、「事業」と規定するものである。 |
<第6条(組合員の資格)関係>
1 「住所」とは、各人の生活の本拠、すなわち生活の事実上の中心点となっている場所をいう(民法(明治29年法律第89号)第22条)。どの場所がその人の生活の中心点であるかは、客観的にその人の生活の実態に着目して決定されるべきであって、定住の意思に存することは必ずしも住所であるための必要条件ではない。住所は通常1人につき1個であるが、その人の生活関係のどの面を重く見るかにより、各種の生活関係についてそれぞれの生活の中心点、すなわち数個の住所を認めることも考えられる。
2 生協は、「一定の地域又は職域による人と人との結合」であり、この生協の本旨を踏まえた上で、なお、組合の事業(施設)を利用することによって、より日常の生活の便益と生活文化の向上を期することができる者を「適当とするもの」とする。
例えば地域組合の場合は、組合の区域内の勤務先に常勤している者や、職域組合の場合は、一般の店舗等を利用するよりも組合の店舗を利用することによって生活物資の購入のために非常な便益を得られる付近の住民等や一定期間当該区域内の勤務先に勤務しており、在職時に共済事業を利用していた定年退職者等である。
なお、職域組合において退職者を組合員とすることは、職域組合が実施する共済事業を利用する組合員は、在職時に長年にわたり利用していた共済事業を退職と同時に利用できなくなること、退職後に新たに保険に加入することは難しい等共済事業の利用が制約されると支障が生じる場合があることから、退職者が、その居住範囲に関係なく、引き続き職域生協の組合員となることができるよう措置されているものであり(法第14条第3項第2号)、例えば職域組合において当該区域内に数年間勤務していた者を、それだけをもって組合員とすることは好ましくない。
3 この「承認」は、その者の承認した当時の状態が続くことを条件としているもので、その者が承認した当時と異なった状態になった場合には、承認の効果が喪失するいわゆる解除条件付きの承認と解すべきものである。この承認は理事会で行うものであるが(第8条第2項)、理事会においては、あらかじめこの承認の基準を定め、この基準に適合する者からの加入申請の承認については、申請があったときに承認されたものとみなし、理事会に事後報告することにより承認する方法を採っても差しつかえない。
(加入の申込み) 第7条 前条第1項に規定する者は、組合員となろうとするときは、この組合の定める加入申込書に引き受けようとする出資口数に相当する出資金額(出資第1回の払込み金額)(注1)を添え、これをこの組合に提出しなければならない(注2)。 2 この組合は、前項の申込みを拒んではならない。ただし、前項の申込みを拒むことにつき、理事会において正当な理由があると議決した場合は、この限りでない。 3 この組合は、前条第1項に規定する者の加入について、現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付さないものとする。 4 第1項の申込みをした者は、第2項ただし書の規定により、その申込みを拒まれた場合を除き、この組合が第1項の申込みを受理したときに組合員となる。 5 この組合は、組合員となった者について組合員証を作成し、その組合員に交付するものとする。 (注)1 組合加入者の組合に対する出資を第16条の規定により、全額一時払込みとしている組合にあっては、「出資金額」とし、分割払込みとしている組合にあっては、「出資第1回の払込み金額」と規定するものである。 (注)2 出資金の払込みを職域の給与控除によることとしている職域組合にあっては、本条第1項を「前条第1項に規定する者は、組合員となろうとするときは、引き受けようとする出資口数を明らかにして、この組合の定める加入申込書をこの組合に提出し、当該出資口数に相当する出資金額を給与控除の方法により速やかに払い込まなければならない。」と規定するものである。 |
<第7条(加入の申込み)関係>
1 「加入申込書」の様式については、申込者の氏名、住所(職域組合の場合は勤務先及び勤務地)、引き受けようとする出資口数及び申込年月日等を記載事項として組合で適宜定めておくことが望ましい。
2 組合は、組合員たる資格を有する者が任意に加入し、又は脱退することができるものであることをその存立要件(法第2条第1項第3号)としているものであって、法第15条第1項の規定により、組合はその組合員の数を制限することができず、また同条第2項の規定により、組合は組合員たる資格を有する者が組合に加入しようとするときは、正当な理由がないのに、その加入を拒み、又はその加入につき現在の組合員が加入の際に付されたよりも困難な条件を付してはならないものである。
この法第15条の規定に違反したときは、理事は20万円以下の過料に処せられる(法第100条第1項第3号)。
3 「正当な理由」によって加入を拒むことができる者とは、組合員たる資格を有する者であっても、例えば加入申込前に組合の事業活動を妨害したことがある者や、組合内部の攪乱の意図を持って加入しようとしていることが明らかである者等で、拒否理由はあくまで客観的かつ具体的なものでなければならない。
4 「困難な条件」とは、新たに加入する者についてだけ加入金を徴収する、その加入金の支払いを条件として加入を認めるというような条件である。
(加入承認の申請) 第8条 第6条第2項に規定する者は、組合員となろうとするときは、引き受けようとする出資口数を明らかにして、この組合の定める加入承認申請書をこの組合に提出しなければならない。 2 この組合は、理事会において前項の申請を承認(注)1したときは、その旨を同項の申請をした者に通知するものとする。 3 前項の通知を受けた者は、速やかに出資金(出資第1回の払込み金)(注)2の払込みをしなければならない。 4 第1項の申請をした者は、前項の規定により出資金(出資第1回の払込み金)(注)2の払込みをしたときに組合員となる。 5 この組合は、組合員となった者について組合員証を作成し、その組合員に交付するものとする。 (注)1 理事会で個別に承認するという方法ではなく、あらかじめ理事会等で組合加入の承認に関する基準を作成し、その基準に適合する者については、承認されたものとして取り扱い、理事会に事後報告する等の適切と認められる方法を採っても差し支えない。 (注)2 第7条(注)を参照のこと。 |
<第8条(加入承認の申請)関係>
1 「第6条第2項に規定する者」とは、「組合の区域内に勤務地を有する(区域の付近に住所を有する者又は当該区域内に勤務していた)者で、組合の事業(施設)を利用することを適当とするもの」である。
2 「加入承認申請書」の様式については、申請者の氏名、住所、引き受けようとする出資口数及び申請年月日のほか、第6条第2項に規定する者が組合員となることの組合の承認基準の確認に足りる事項等を記載事項として組合で適宜定めておくことが望ましい。
3 「承認」については、第6条(解説)3を参照のこと。
4 「通知」については、第79条を参照のこと。
(届出の義務) 第9条 組合員は、組合員たる資格を喪失したとき、又はその氏名若しくは住所を変更したときは、速やかにその旨をこの組合に届け出なければならない。 |
<第9条(届出の義務)関係>
「資格を喪失したとき」とは、第6条第1項に規定する者については、同項に規定する組合員資格を喪失したときのことをいう。
例えば、地域組合の組合員については組合の区域外に転住したとき等、職域組合の組合員についてはその職域を退職又は転任したとき等である。なお、第6条第1項に規定する者が同条第2項に規定する要件に該当する者になったときであっても、その者は一旦資格を喪失し、別に組合の承認を受けることによって改めて組合に加入できるものであるから、「資格を喪失したとき」に該当するものというべきである。なお、第6条第2項の規定により組合員となった者については、組合から加入申請の承認を受けたときと異なった状態になったときには、承認の効果が喪失する(第6条(解説)3を参照のこと。)ものであって、このようなときはここにいう「資格を喪失したとき」に該当するものである。
本条による資格の喪失は、法定脱退であるから、自由脱退の場合のように予告期間をおく必要はない。
(自由脱退) 第10条 組合員は、事業年度の末日の90日(注)前までにこの組合に予告し、当該事業年度の終わりにおいて脱退することができる。 (注) 法第19条第2項の規定により、90日以上1年以内の日数ならば任意に定めて差し支えないが、あまり長期間にわたることは脱退の自由の原則からみて望ましくなく、一般的には90日位が適当であろう。 |
<第10条(自由脱退)関係>
1 組合員の自由意思による脱退は、あくまで自由であり、脱退の禁止又は脱退に組合の承認を要する等脱退制限の規定はいかなるものにしろ定款上これを設けてはならない。
2 「事業年度の末日の90日前までに」というのは、民法第140条の規定により、事業年度の末日から90日をおいた以前の日、例えば事業年度の末日が3月31日である組合については、前年の12月31日までにということである。
なお、事業年度の末日の属する年がうるう年の場合は、日数が1日ずれその年の1月1日までということになる。
3 上記のように、加入及び脱退はあくまで各人の自由であるべきであるが、組合は一つの事業体であることを考えると、組合員が何らの予告もなく突然に脱退することは、組合事業の遂行を阻害し、組合債権者の利益を害するおそれもあり、また事務処理上も不便が多いので、技術的制限として脱退の予告期間を規定するものである。
4 「事業年度の終わりにおいて」とは、「事業年度の末日の終了をもって」ということである。このように自由脱退の場合、事業年度の終わりに脱退するとしたのは、事業年度の途中で脱退することを認め、かつ、その脱退のときに直ちに第13条に規定する払込済出資額の払戻しをすることとすると、組合のその年度における事業遂行に支障を生じ、払戻額算定の手続きが煩雑となり、かつ、組合債権者の利益を害するおそれがあるからである。事業年度の終わり以外の時期に脱退し、その脱退者が払込済出資額の払戻しを請求できるようなことは、組合とその組合員との間に合意があったとしても許されないものである。
なお、脱退は事業年度の終わりの到来によって効果が生ずるものであるから脱退の予告をした組合員も、予告以降事業年度の終わりまでは、なお組合員としての権利及び義務を有していることは当然である。
5 住所変更等により所在不明となり、又は長期にわたり組合事業を利用しない等のいわゆる睡眠組合員については、総じて組合事業を長期間利用していないと思われる者が少なくないと推定されるため、これらの者については、除名を行うことになっている。
しかしながら、住所変更届出を長期にわたり行わない所在不明組合員に対して、除名を行うことが困難な組合については、本条に第2項、第3項及び第4項として次の規定を設け、自由脱退による手続きを行って差し支えない。
「2 この組合は、組合員が第9条に定める住所の変更届を2年間行わなかったときは、脱退の予告があったものとみなし、理事会において脱退処理を行い、当該事業年度の終わりにおいて当該組合員は脱退するものとする。
3 前項の規定により脱退の予告があったものとみなそうとするときは、この組合は事前に組合員に対する年一回以上の所在確認を定期的に行うとともに、公告等による住所の変更届出の催告をしなければならない。
4 第2項の規定により理事会が脱退処理を行ったときは、その結果について総(代)会に報告するものとする。」
なお、第2項に規定する「2年間」は、最低限の年数であり、これより長い期間を定めることは差し支えないが、組合員管理上2~3年が望ましい。
(法定脱退) 第11条 組合員は、次の事由によって脱退する。 (1) 組合員たる資格の喪失 (2) 死亡 (3) 除名 |
<第11条(法定脱退)関係>
1 「組合員たる資格の喪失について」は、第9条を参照のこと。
2 「除名」については、第12条を参照のこと。
(除名) 第12条 この組合は、組合員が次の各号のいずれかに該当するときは、総(代)(注)1会の議決によって、除名することができる。 (1) 1年間(注)2この組合の事業(施設)を利用しないとき。 (2) 出資の払込み(過怠金の納付、供給物資の代金又は利用料の支払)を怠り(注)3、催告を受けてもその義務を履行しないとき。 (3) この組合の事業を妨げ、又は信用を失わせる行為をしたとき。 2 前項の場合において、この組合は、総(代)(注)1会の会日の5日前までに、除名しようとする組合員にその旨を通知し、かつ、総(代)(注)1会において弁明する機会を与えなければならない。 3 この組合は、除名の議決があったときは、除名された組合員に除名の理由を明らかにして、その旨を通知するものとする。 (注)1 総代を置いている組合にあっては「総代会」と、総代を置いていない組合にあっては「総会」と規定するものである。 (注)2 「1年間」は、組合の実情に応じて適当な年数を規定すればよいが、物資の供給事業を主とする組合ではおおむね1年とするのが適当であろう。なお、医療事業、共済事業又は住宅事業等を行う組合についても、組合の事業を長期間利用しないいわゆる睡眠組合員を無期限に放置しておくことは組合の事務処理上からも望ましくないので、このような場合を予想し、この規定は置くべきである。 (注)3 「出資の払込み(過怠金の納付、供給物資の代金又は利用料の支払)を怠り」は、組合員としての組合に対する義務の懈怠を掲げたものであって、それぞれの組合が組合員に負わせている具体的な義務の懈怠を、組合の実情によって規定すればよい。例えば、出資金を全額一時払込みにしている組合については、出資金を払い込まなければ、第7条又は第8条の規定により組合員になれないことから、「出資の払込み、過怠金の納付を怠り」は必要でなく、出資金を分割払込みとしている組合であっても第2回以降の出資金の払込みの過怠について過怠金を課す規定を定款上設けていない組合については、「過怠金の納付を怠り」は必要なく、また、生活物資の供給事業を行っていない組合については「供給物資の代金の支払いを怠り」は必要でない等である。 |
<第12条(除名)関係>
1 「除名」は、多数者の専制による乱用を防止しようという趣旨から、第2項及び第3項において諸種の制限を設けているのであるが、除名が総(代)会の議決を要し、さらにその総(代)会の議決は法第42条の規定により、半数出席を成立要件とし、3分の2以上の多数決を議決要件とする特別議決でなければならないとされている(第56条を参照のこと。)ことも、この制限の一つである。
2 「利用しないとき」とは、組合の事業(施設)との関係を全く絶っている状態をいうべきで、事業(施設)の直接の利用はなくとも、総(代)会に出席する、組合の主催する講習会等や組合員の自主的な福祉活動等に参加する、組合機関誌を購読する等何らかの意味で組合の事業に関係しているときは、これに含まれないと解すべきである。
3 「催告」及び「通知」については、第79条を参照のこと。
4 第1項第1号及び第2号は組合員として義務を履行しない場合の事由で、組合の人格及び事業の面より見れば消極的妨害事由であり、第3号は組合の人格及び事業面より組合の組織及び事業の発展を積極的に妨害する行為を除名事由として掲げたものである。
5 「5日前までに」というのは、民法第140条の規定により、総(代)会の会日から5日おいた以前の日、例えば5月1日に総代会を開催するときは4月26日までにということである。
6 組合は、除名される旨のみでなく、本人が除名の議決をされようとする総(代)会で弁明する機会が与えられることを併せて通知しなければならず、この要件を欠いた総(代)会の議決は取り消し得るものというべきである。しかし、除名される組合員が総(代)会において、現実に弁明したかどうかは問わない。
なお、組合員の除名を所定の通知なしに、又は弁明の機会を与えずに行ったときは、理事は20万円以下の過料に処せられる(法第100条第1項第4号)。
7 法第20条第3項の規定により、「除名は、除名した組合員にその旨を通知しなければ、これをもってその組合員に対抗することができない」ので、組合が除名の通知をしない限り、その組合員は組合員としての事業の利用及び権利の行使をすることができる。なお、通知については、第79条を参照のこと。
(脱退組合員の払戻し請求権) 第13条 脱退した組合員は、次の各号に定める(注)ところにより、その払込済出資額の払戻しをこの組合に請求することができる。 (1) 第10条の規定による脱退又は第11条第1号若しくは第2号の事由による脱退の場合は、その払込済出資額に相当する額 (2) 第11条第3号の事由による脱退の場合は、その払込済出資額の2分の1に相当する額 2 この組合は、脱退した組合員がこの組合に対する債務を完済するまでは、前項の規定による払戻しを停止することができる。 3 この組合は、事業年度の終わりに当たり、この組合の財産をもってその債務を完済するに足らないときは、第1項の払戻しを行わない。 (注) 払戻請求権の範囲及び払戻請求方法等は、組合の実情により、払込済出資額に相当する額の範囲内において適宜定めて差し支えない。 |
<第13条(脱退組合員の払戻し請求権)関係>
1 脱退した組合員が請求権を取得するのはその者が組合を脱退したとき、すなわち第10条の規定による自由脱退の場合は事業年度の終わりのとき、第11条の規定による法定脱退のうち、資格の喪失または死亡による脱退の場合はそれらの事由が発生したとき、除名による脱退の場合は総(代)会において除名の議決がなされたときである。
本条は、組合員に対し、払込済出資額の払戻請求権を与えた規定であって、この組合員の請求権の行使に対して組合は請求されたとおりの払戻しをしなければならない債務を負うものである。
2 本請求権の時効については、次条に規定する組合の組合員に対する未払込出資額の払込請求権の時効と併せ、法第23条の規定により、「脱退の時から2年間これを行わないときは、時効によって消滅する。」とされている。
この「脱退の時から2年間」というのは、民法第140条及び第143条の規定により、脱退の日(自由脱退の場合は、事業年度の末日)の翌日を起算日とし、その起算日に応当する2年目の日の前日までの間ということである。例えば、平成20年3月27日が脱退の日とすれば、この場合の時効期間は、平成20年3月28日を起算日とし、その日に応当する2年目の日、すなわち平成22年3月28日の前日の3月27日で満了することとなる。なお、うるう年の2月28日に脱退した場合は、2月29日が起算日となり、それに応当する2年目の日はないが、この場合は、2年目の2月末日が時効期間の満了日とされる。
なお、民法第166条の規定によれば、消滅時効は、権利の行使し得る時から進行し、具体的に権利を行使し得るに至らない間は進行しないものとされている。
組合員の組合に対する払込済出資額の払戻請求権は第1項の規定に従い、脱退のときから権利を行使し得るものであるから、時効の起算日は前述したとおりであるが、組合の組合員に対する未払込出資額の払込請求権は、次条第1項の規定に従い、事業年度の終わりにおける組合の財産の状況によって請求権の有無が確定することとなるので、脱退のときから事業年度の終わりまでは権利を行使し得る状態にないというべきであり、したがって、この場合の時効は脱退の日の属する事業年度の末日の翌日を起算日として進行するものと解すべきである。
また、消滅時効の進行は、一定の事実によって中断されて無に帰し、又は一時その進行を停止されるものであり、さらに時効の効果の発生は当事者の援用を必要とするものであるが、このような時効の中断、停止及び援用等については、民法の時効に関する諸規定(民法第144条から161条まで)が適用される。
3 組合においては、組合の財産についての出資口数に応ずる持分の払戻しは認められず、脱退した組合員に対しては、払込済出資額の範囲内でのみの払戻しが認められている。持分払戻しの場合は組合の財産について決算の結果、赤字である場合には赤字の額に応じ、黒字である場合には黒字の額に応じ、払戻しの額は増減されるものであるが、このように組合財産を個々の組合員に財産として分割することは、技術的にも多大の労力と困難さを伴うのみならず、組合自身の資産充実の面からも望ましい方法ではないので、そのような払戻制度は採られなかったものである(法第21条)。
なお、出資以外の持分の払戻しが禁止されているのは、脱退の場合のみで、組合の解散の場合における残余財産の配分については、第77条に規定するとおり持分払戻しも考えられる。
4 除名による脱退の場合は、組合員が何らかの意味で組合の事業遂行を阻害したものということができるので、その払戻額も他の事由による脱退の場合と異なり、払込済出資額の半額に止めることとした。
5 「債務」とは、その内容がどのようなものであるかを問わず、組合に対する債務の一切をいうものである。
(脱退組合員の払込み義務)(注) 第14条 この組合は、前条第3項の場合において、他の組合員に対するのと同一の条件をもって、その年度内に脱退した組合員にその未払込出資額の全部又は一部の払込みを請求することができる。 (注) 出資の払込みを全額一時払込みとしている組合にあっては、本条は必要ない条文である。 |
<第14条(脱退組合員の払込み義務)関係>
1 「他の組合員に対するのと同一の条件」とは、組合員が脱退した場合に未払込出資額の払込みを請求する場合におけるその請求内容に関する条件が、現存の組合員のものと同一でなければならないということで、例えば現存の組合員の未払込出資額については払込請求をせず、脱退した組合員の未払込出資額についてのみ請求したり、脱退した組合員には未払込出資額の全額の請求をしたのに現存の組合員にはその一部しか請求しないというようなことがあってはならないものである。
2 本条は、組合に対し、未払込出資額の払込請求権を与えた規定であって、この組合の請求権の行使に対して組合員は、請求されたとおりに払込みをしなければならない債務を負うものである。
3 本条に規定する請求権の時効については、第13条(解説)2を参照のこと。
(出資) 第15条 組合員は、出資1口以上を有しなければならない。 2 1組合員の有することのできる出資口数の限度は、組合員の総出資口数の4分の1(注)1とする。(注)2 3 組合員は、出資金額の払込みについて、相殺をもってこの組合に対抗することができない。 4 組合員の責任は、その出資金額を限度とする。 (注)1 「4分の1」は、法第16条第3項の規定による最高限度であることから、さらにこれを組合の実情により、例えば、「5分の1」あるいは「6分の1」というように制限することは差し支えない。また、組合の実情に合わせて、1組合員の有することのできる出資口数を具体的に○○口と規定しても差し支えない。 (注)2 連合会の会員にあっては、出資口数の限度の制限はないが、実情に応じて定めるものである。また、貸付事業実施組合については、4分の1からさらに制限することが望ましい。 |
<第15条(出資)関係>
1 組合は、その行う事業のためには相応の資金を必要とする。この資金は、組合が組合員による人と人との結合体である以上、寄付や借入金をできうる限り排し、組合員自らの資金によるべきであるといえるのであって、そのため、第7条及び第8条において、組合は全ての組合員から1口以上の出資を求め、それを組合加入の条件にしているのである。
なお、全組合員の出資の総口数及び払い込んだ出資の総額は、設立登記事項及び変更登記事項とされている(法第74条第2項第3号、第75条第1項)が、これについては、第2条(解説)2を参照のこと。
2 組合の事業活動のための資金は、前述したとおり、組合員の拠出した資金に負うべきであるとはいっても、組合員の中のある特定の者のみが多大な資金を提供し、それらの者が組合事業の執行上多大の発言力を有することになることは、組合が人と人との結合体であって、組合員全体に奉仕するものでなければならない点及び組合運営の民主化の点から見て問題であるといわざるを得ない。法第17条第1項の規定により、組合員の議決権及び選挙権をその出資口数の多少にかかわらず平等にそれぞれ1個として組合運営の民主化を期しているが、事業運営上の実際問題としては、ある特定の組合員の出資口数があまりにも多いと組合員毎の出資に対する関心を異ならしめるばかりでなく、多額の出資をした組合員の脱退に際しては、払込済出資額の払戻しにより組合の経営が非常に困難になることも予想され、さらに、大出資者の意思がどうしても偏重されるおそれがあるといわざるを得ず、このため定款で出資口数に限度を設けなければならないこととされている(法第16条第3項)のである。
なお、組合員の有する出資口数が本条に規定する出資口数の限度を超えた場合、その組合員の出資口数をその限度以下に達するまで減少しなければならない(第19条第2項を参照のこと。)。
3 「相殺をもってこの組合に対抗することができない」のは組合員の組合に対する関係であって、組合が組合員に対する関係で相殺することは差しつかえない。組合は、法第53条の規定により、出資の払込みを終わらない組合員に対し、割り戻すべき剰余金をその未払込出資額の払込みに充て、出資額の払込みと剰余金の割戻しを相殺することができる。
(出資1口の金額及びその払込み方法) 第16条 出資1口の金額は、○○円(注)1とし、全額一時払込みとする。 ((出資1口の金額及びその払込み方法) 第16条 出資1口の金額は、○○円(注)1とし、○回分割払込みとする。ただし、全額を一時に払い込むことを妨げない。 2 出資第1回の払込み金額は、1口につき○○円(注)3とする。 3 出資第2回以降の払込みは、出資第1回の払込みの日の属する月から○箇月経過する月(注)4の末日までに、1口につき○○円(注)5を払い込むものとする。(注)2) (注)1 出資1口の金額は、組合の経営的基礎の確立及び組合員の負担可能程度を勘案し、適切な額を定めるべきである。なお、組合に対する出資は、通常の場合は金銭に限られているが、法第26条第1項第19号に規定するように、現物出資することも認めている。この場合には、法第26条第1項第19号の規定により、定款において現物出資者の氏名、その目的たる財産及びその価格並びにこれに対して与える出資口数を記載しておくことが必要である。この現物出資は、組合の事業の基礎ともなるので、出資第1回の払込期日に出資の目的たる財産の全部を組合に給付しなければならない(法第60条第3項)。 (注)2 出資金について分割払込制度を採っている組合にあっては、この括弧書の例により規定するものである。 (注)3 分割払込みの場合の出資第1回の払込金額は、組合が事業を行うに必要な経営的基礎をできるだけ早く確立するという点からみて、第2回以降の払込金額より多くすべきである。なお、その額は、定額としてもよいし、余裕のある組合員からはできれば定額以上に払い込んでもらうということで「○○円以上」としてもよい。 (注)4 何箇月毎に第2回以降の出資金を払い込ませるかは、組合の実情により、適宜定めればよいが、あまり長期にわたることは望ましくない。 (注)5 第2回以降の払込金額の最低限度額は、出資1口の金額から出資第1回払込みの最低限度額を控除した残額を第2回以降何回で払い込ませるかによって均等に分割した額とすべきであろう。なお、(注)3なお書を参照のこと。 |
<第16条(出資1口の金額及びその払込み方法)関係>
1 「出資1口の金額及びその払込み方法」並びに出資の総口数及び払い込んだ出資の総額は、設立登記事項及び変更登記事項とされている(法第74条第2項第3号、第75条第1項)が、これについては第2条(解説)2を参照のこと。
2 「出資1口の金額」は、組合員たる資格を有する者が通常の状態において負担可能な程度でしかも均一のものでなければならない(法第16条第2項)。この額は、組合の自己資本を充実させていくという面から見ればできるだけ高い方が望ましいともいえるが、広く組合員の加入促進を図るためには、組合員の負担は軽い方が望ましいともいえるのであって、組合の経営基礎の確立に支障をきたさない限りはなるべく低く定め、余裕のある組合員については、出資口数を多くしてもらうべきであろう。
3 出資1口の金額の増加については、通常の定款変更と同様、総(代)会の特別議決(法第42条)があれば足りるか総組合員の同意を必要とするかが問題となるが、組合員の責任が有限責任とされている趣旨から考えて、出資1口の金額が増額されても組合員がその出資額を超えて出資しなければならないこととならない特別の場合(例えば出資1口の金額が2倍に増額されるに応じて、組合員が出資口数を同時に2分の1に相当する整数の口数まで減少することの可能性が存する場合)を除いては、総組合員の同意が取れない限り、その定款を変更して出資1口の金額を増額することができないと解されている。
4 出資1口の金額の減少については、第51条(解説)5を参照のこと。
(過怠金)(注)1 第17条 この組合は、組合員が出資の払込みを怠ったときは、その組合員に対して、払込みを怠った出資金額の1,000分の1(注)2に相当する額に、払込み期日の翌日から払込みの完了する日の前日までの日数を乗じて得た額に相当する額の過怠金を課することができる。 2 この組合は、組合員が出資の払込みを怠ったことにつき、理事会においてやむを得ない事情があると認めるときは、その組合員に対する過怠金の全部又は一部を免除することができる。 (注)1 本条は、出資の払込みを怠った組合員に対して過怠金を課することとしている組合にあっては必ず設けなければならない規定で、定款の規定なくして組合員に過怠金を課することは許されない(法第26条第1項第11号)。なお、出資金を全額一時払込みとしている組合については、出資の払込みがなければ組合員資格そのものを与えないとしている(第7条及び第8条参照)ことから、定款上本条を設ける必要はない。 (注)2 過怠金の額は、払込みを怠った出資金額を基準として定めればよく、おおむね例示した程度が適当であろう。 |
<第17条(過怠金)関係>
組合員に対する過怠金の賦課は、組合員が出資の払込みを怠った場合に限ると解すべきで、これ以外の組合員の義務違反について過怠金を課することは許されない。
(出資口数の増加) 第18条 組合員は、この組合の定める方法により、その出資口数を増加することができる。 |
<第18条(出資口数の増加)関係>
1 「出資口数の増加」は、法第16条第3項に規定する最高限度の範囲内でのみできるものであって、これを超える増加はできない。なお、出資1口の金額の増加については、第16条(解説)3を参照のこと。
2 「出資口数増加申込書」の様式については、申込者の氏名、住所、組合員証番号、増加しようとする出資口数及び申込年月日等を記載事項として、組合で適宜定めておくことが望ましい。
(出資口数の減少) 第19条 組合員は、やむを得ない理由があるときは、事業年度の末日の90日(注)1前までに減少しようとする出資口数をこの組合に予告し、当該事業年度の終わりにおいて出資口数を減少することができる。 2 組合員は、その出資口数が第15条第2項に規定する限度(注)2を超えたときは、その限度(注)2以下に達するまでその出資口数を減少しなければならない。 3 出資口数を減少した組合員は、減少した出資口数に応ずる払込済出資額の払戻しをこの組合に請求することができる。 4 第13条第3項及び第14条(注)3の規定は、出資口数を減少する場合について準用する。 (注)1 第10条(注)を参照のこと。なお、本条に規定する日数は、第10条に規定する日数と同じ日数とすべきである。 (注)2 第15条(注)1を参照のこと。 (注)3 第14条を規定しない組合にあっては、削除するものである。 |
<第19条(出資口数の減少)関係>
1 「出資口数の減少」については、法第25条第1項の規定により、定款でその内容を定めなければならないものである。
2 「出資口数の減少」は、その減少する部分についての脱退すなわち一部脱退といえるものである。脱退については、法第19条に規定するとおり、あくまで組合員の任意によって自由にできるものであり(第10条を参照のこと。)、また、加入及び脱退の自由は組合の備えておかなければならない要件の1つ(法第2条第1項第3号)であるので、この出資口数の減少についても定款上合理的な限度を超えた不当な制限を加えること、又はこれを全く認めないことは許されない。
3 「90日前までに」については、第10条(解説)2を参照のこと。
4 「予告」については、第10条(解説)3を参照のこと。
5 「事業年度の終わりにおいて」については、第10条(解説)4を参照のこと。
6 年度途中で法定脱退者が続発したような場合は、年度途中で1組合員の出資口数が法第16条第3項に規定する限度を超える場合も生ずるのであるが、自由脱退及び出資口数の減少がいずれも事業年度の終わりにおいて行われること、年度途中での出資口数の減少は組合の事業遂行、出資口数の減少による払戻額の算定及び組合の債権者保護の上からも避けるべきであることを考えると、この場合の出資口数の減少も事業年度の終わりにおいて行うべきである。
7 第4項は、組合の組合員に対する未払込出資額の払込請求権について、脱退の場合の規定をあてはめたものである。
第3章 役職員
本章中、「役員に関する規定」は、法第26条第1項第13号の規定により、定款の法定記載事項である。
(役員) 第20条 この組合に次の役員を置く。 (1) 理事 ○(注)2人以上 ○人以内(注)3 (2) 監事 ○(注)2人以上 ○人以内(注)3 ((役員) 第20条 この組合に、役員として理事○(注)2人、及び監事○(注)2人を置く。(注)1) (注)1 役員の定数を定款上確定数とする組合にあっては、括弧書の例により規定するものである。 (注)2 法第27条第2項の規定により、理事の定数は5人以上、監事の定数は2人以上でなければならないが、組合の具体的な定数は法定数以上の範囲において、組合の規模及び事業内容とあわせて、役員の少数化による権力集中の弊害、逆に役員の多数化による組合運営上の支障等を充分見極めた上で定めるべきである。 (注)3 役員の定数に幅を持たせて規定する場合、その幅はできるだけ狭くすべきであって、せいぜい5人程度の幅にとどめるべきである。 |
<第20条(役員)関係>
1 組合と役員の関係は、法第29条の2の規定により、委任に関する規定に従うものであるから、民法第643条の規定により、一方が相手方に法律行為を委任し、相手方がそれを承諾することによって、はじめてその効力が発生するものである。「理事」は組合の業務執行機関である理事会を構成して、組合の業務執行に関与するものであり、法第30条の3の規定により、法令、定款及び規約並びに総(代)会の決議を遵守し、組合のため忠実にその職務を行わなければならないものである。
2 役員の資格については、法第29条の3において、①法人、②心身の故障のため職務を適正に執行することができない者(施行規則第57条の2で定める精神の機能の障害により役員の職務を適正に執行するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者)、③消費生活協同組合法や会社法等の規定に違反し、罪に処せられ、その執行を終った日又はその執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者等は役員となることが禁止されているので注意する必要がある。
3 組合の代表権を有する理事の氏名及び住所は、設立登記及び変更登記事項とされている(法第74条第2項第5号、第75条第1項)が、これについては第2条(解説)2を参照のこと。なお、代表理事の選定や権限については、第29条を参照のこと。
4 「監事」は、理事の職務の執行を監査し、厚生労働省令で定めるところにより、監査報告を作成しなければならないものである(法第30条の3)。組合の業務全般につき、その執行が適法かつ適当に行われているか否かを監督することを主たる職務とする機関であり、この監督に関する職務は監事が数人あっても各自単独で行い得るものである。このほか、監事は、例外的に組合を代表し、総(代)会を招集することもできる(法第30条の3第3項において準用する会社法第386条及び法第36条)ものであるが、この場合の監事の職務執行は、理事の業務執行に準じ、善良なる管理者の注意をもって、法令、定款、規約及び総(代)会の議決に従って行わなければならないものである。
5 「監事」については、法第31条の規定により、「監事は、理事又は組合の使用人と兼ねてはならない。」とされている。
理事の行う業務執行の監査にあたる監事が組合の業務の執行にあたる理事を兼職してしまうと、監事を設けた意味がなくなるので、これが禁止されているのは当然であり、また監事が理事の命を受けてその業務執行を補助する職員と兼務することも同様の理由で禁止されているものである。
本模範定款例においては、さらに第24条第2号の規定により、監事と組合の子会社等の取締役又は使用人との兼職も禁止し、監事の独立性の強化を図っている。
なお、監事が法第31条の規定に違反した場合には、監事は、20万円以下の過料に処せられる(法第100条第1項第15号)。
6 「監事」については、法第30条の3第3項において準用する会社法第386条の規定により、組合と理事との間の訴えにおける組合代表権が認められている。
(役員の選挙)(注)1 第21条 役員は、役員選挙規約の定めるところにより、総(代)(注)2会において選挙する。 2 理事は、組合員でなければならない。ただし、特別の理由があるときは、理事の定数の3分の1以内(注)3の者を、組合員以外の者のうちから選挙することができる。 3 監事のうち1人以上は、次に掲げる要件の全てに該当する者でなければならない。また、監事の互選をもって常勤の監事を定めるものとする。(注)4 (1) 当該組合の組合員又は当該組合の会員たる法人の役員若しくは使用人以外の者であること。(注)5 (2) その就任の前5年間当該組合の理事若しくは使用人又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役若しくは使用人でなかったこと。 (3) 当該組合の理事又は重要な使用人の配偶者又は二親等内の親族以外の者であること。 4 役員の選挙は、無記名投票によって行い、投票は、1人につき1票とする。 (注)1 役員となる要件については、規約をもって定め、総(代)会の議決を経るものである。 (注)2 第12条(注)1を参照のこと。 (注)3 組合員以外のいわゆる員外理事をどの程度認めるかは、組合員自らによる経営の要求と、適任者による経営の要求とを比較考慮し、各組合の実情により定めるべきであり、「3分の1以内」というのは法第28条第3項に規定する最高限度であるから、さらにこれを例えば「6分の1以内」又は「8分の1以内」というように厳しく限定することは差し支えない。また、員外理事を設置しない組合については、本規定を設けなくてもよい。 (注)4 負債総額200億円超の組合については、本規定を設けなければならない。また、負債総額200億円以下の組合においては、本規定を設けなくてもよい。 (注)5 連合会以外の組合は、「組合員又は組合の使用人以外の者」とし、連合会にあっては、「会員たる法人の役員又は使用人以外の者」とする。 |
<第21条(役員の選挙)関係>
1 「役員選挙規約」の設定、変更及び廃止は、法第40条第1項第2号の規定による総(代)会の議決事項である(第51条第1項第2号を参照のこと。)。したがって、理事会限りの規約の設定、変更又は廃止は許されず、その内容は総(代)会の議決において定まるものである。
2 「役員選挙規約」において定めるのは、役員選挙及びその補充選挙並びに総(代)会で役員選挙をしない組合にあっては選挙区及び選挙区ごとの役員の定数等についての具体的、手続的な事項であって、規約の設定にあたっては、役員の選挙があくまで民主的に組合員全体の意思を尊重して行われるよう配慮すべきである。
3 役員となる要件は、法第28条、第29条の3に規定されているほかは、組合の事情を考慮して定めることになる。例えば、経営や経理その他の専門知識のある者の登用について定めることも可能である。いずれにしても役員となる資格に一定の制限を設けることは、組合員が役員となることを制限することでもあるので、「役員選挙規約」に規定し、総(代)会の議決を経ることにより、組合員(総代)の意思を問うことが必要になるものである。
4 総代会を設けている組合にあっては、役員選挙に関する規定も総代会に準用される「総会に関する規定」(法第47条第6項)の1つと解し、定款に総代会において役員選挙を行う旨を定めることはできると解すべきである。
5 「選挙」とは、選挙人団ともいうべき多数人が特定の地位につくべき人を選定する行為及びその手続を総称するものであるが、組合員における役員の選挙は、連合会の場合を除いては、1人につき1票の無記名投票によるべきものである。
なお、投票を単記式とするか、連記式とするか、連記式の場合に何名連記とするか等については、1人1票の趣旨に反しない限り、規約で適宜定めればよいが、株式会社で認められているような持株数に応じて選挙権を与えるいわゆる累積投票制は、選挙権の平等の原則の趣旨に反するから、許されないものである。
6 理事又は監事に選挙された者は、当然にはその就任義務を負うものではない。法第29条の2の規定により「役員と組合との関係は、委任に関する規定に従う。」とあることから、民法第643条の規定により、一方が相手方に法律行為を委任し、相手方がそれを承諾することによって、はじめてその効力が発生するものである。
すなわち、組合が役員への就任の申込みを選挙という方法によって行い、選挙された役員がその申込みを承諾してはじめて理事又は監事に就任することとなるものである。
7 監事は、法第31条の規定により、理事又は組合の使用人と兼ねることができず、さらに、第24条第2号の規定により組合の子会社等の取締役又は使用人との兼職も禁止されていることから、監事がこれらの兼職を禁止されている役職員への就任を承諾した場合には、監事を辞任したものと解すべきである。
8 組合員が、総組合員の10分の1以上の同意を得て、総(代)会の招集手続、議決の方法又は選挙が法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款に違反することを理由として、その議決又は選挙若しくは当選決定の日から1月以内に、その議決又は選挙若しくは当選の取消しを請求した場合において、行政庁は、その違反の事実があると認めるときは、その議決又は選挙若しくは当選を取り消すことができる(法第96条第1項)。
9 「特別の理由」とは、組合の事業運営上、学識経験又は経営能力等を必要とし、組合員以外の者からその適任者を求めなければならない場合等のことをいう。
10 (注)4により、「負債総額200億円以下の組合においては、本規定を設けなくてもよい。」こととされているが、負債総額200億円以下の組合についても、「生協に対する外部監視機能の強化」の観点から、第3項を設け、員外監事を設置することが望ましいものである。
(役員の選任)(注)1 第○○条 役員は、役員選任規約の定めるところにより、総(代)(注)2会において選任する。 2 理事は、組合員でなければならない。ただし、特別の理由があるときは、理事の定数の3分の1以内(注)3の者を、組合員以外の者のうちから選任することができる。 3 監事のうち1人以上は、次に掲げる要件の全てに該当する者でなければならない。また、監事の互選をもって常勤の監事を定めるものとする。(注)4 (1) 当該組合の組合員又は当該組合の会員たる法人の役員若しくは使用人以外の者であること。(注)5 (2) その就任の前5年間当該組合の理事若しくは使用人又はその子会社の取締役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役若しくは使用人でなかったこと。 (3) 当該組合の理事又は重要な使用人の配偶者又は二親等内の親族以外の者であること。 4 理事は、監事の選任に関する議案を総(代)(注)2会に提出するには、監事の過半数の同意を得なければならない。 (注)1 役員の選出については、選挙によることが原則であるが、選任の方法をとる場合は本規定を設けるものである。 (注)2 第12条(注)1を参照のこと。 (注)3 第21条(注)3を参照のこと。 (注)4 第21条(注)4を参照のこと。 (注)5 第21条(注)5を参照のこと。 |
<第○○条(役員の選任)関係>
1 選任とは、従来の選挙とはまったく別個に、役員の選出を他の議決事項と同様に議案の1つとして総(代)会に提出し、出席者の過半数による議決によって役員を選出することをいう。つまり、役員の選出を選挙によって行う場合は、選挙権の行使であり、選任による場合は、議決権の行使である。
2 選挙制と選任制とは、それぞれ特徴を持った制度であるので、組合の実態に応じ適切な役員選出方法を採用する必要がある。どちらかの方法を採用するかはあらかじめ定款において定めなければならず、組合が定款に選挙制と選任制をともに規定しておいて、具体的な方法は、実際に役員を選出する際に決定するという方法を採用することはできない。
(役員の補充) 第22条 理事又は監事のうち、その定数の5分の1を超える者(注)1が欠けたときは、役員選挙(選任)(注)2規約の定めるところにより、3箇月以内(注)3に補充しなければならない。 (注)1 「5分の1を超える者」というのは、法第29条の規定による最高限度であるから、さらにこれを例えば「6分の1を超える者」、「10分の1を超える者」というように少数にすることは差し支えない。 (注)2 役員の選出について、選任の方法をとる場合は、「役員選任規約」と規定するものである。 (注)3 「3箇月以内」というのは、法第29条の規定による最高期限であるから、さらにこれを例えば「1箇月以内」、「20日以内」というように短期間にすることは差し支えない。 |
<第22条(役員の補充)関係>
1 「5分の1を超える」とは、第20条に規定する役員の定数を確定数としている組合、例えば「理事10人及び監事4人を置く」としているような組合についてみれば、理事については、欠員が定数10人の5分の1たる2人を超えたとき、すなわち欠員が3人以上となったとき、監事については1人でも欠員になったときのことをいうこととなる。
一方、第20条に規定する役員の定数を例えば「理事16人以上20人以内」というように幅をもたせて規定している組合については、その定数の5分の1を超えるとはその算定の基礎として最低数の16人をとるのか、最高数の20人をとるのか、あるいはこの範囲内で組合が現においている役員の数(例えば現に理事が18人在任しているというような組合はその18人)をとるのかが問題となるが、この場合には定款に規定する数の最低数をとればよいものと解されており、したがって、例示の場合には、16人の5分の1たる3.2人を超える4人以上が欠けたときがこれに該当することとなるものである。
2 「役員選挙規約の定めるところ」については、第21条(解説)1及び2を参照のこと。
3 役員はすべて選挙又は選任によるものであるから、この補充についても、そのための選挙又は選任を行うべきである。
なお、定数の5分の1を超える数を欠いた役員の補充を3箇月以内にしなかったときは、組合の理事は、20万円以下の過料に処せられる(法第100条第1項第11号)。
4 補充しなければならない役員数は、組合の事業執行を円滑ならしめるため、欠員全員を補充することがもちろん望ましいが、事情によっては欠員が5分の1を超えなくなる限度でよい。例えば10人の定数で4人が欠員となったような場合、2人以上を補充すれば欠員が5分の1を超えるものとならないことから、2人又は3人だけを補充することとしてもよい。しかし、理事5人以上監事2人以上というのは、組合存立上の絶対要件(法第27条第2項)であるから、この理事5人あるいは監事2人という数を欠いている場合は、定款で定める定数の5分の1を超える者が欠けるか否かに関係なく、必ずその数を満たすまでは全員補充しなければならないものである。
5 役員が欠けた場合において事務が遅滞することにより損害を生ずるおそれがあるときは、行政庁は、組合員その他の利害関係人の請求により、又は職権で、一時役員の職務を行うべき者を選任することができる(法第30条の2)。
(役員の任期) 第23条 理事の任期は、○(注)1年、監事の任期は、○(注)1年とし、前任者の任期満了のときから起算する。ただし、再選を妨げない。 2 補欠役員の任期は、前項の規定にかかわらず、前任者の残任期間(注)2とする。 3 役員の任期は、その満了のときがそのときの属する事業年度の通常総(代)(注)3会の終了のときと異なるときは、第1項の規定にかかわらず、その総(代)(注)3会の終了のときまでとする。 4 役員が任期の満了又は辞任によって退任した場合において、役員の数がその定数を欠くに至ったときは、その役員は、後任者が就任するまでの間は、なお役員としての権利義務を有するものとする。 (注)1 法第30条第1項及び2項において理事の任期は、「2年以内において定款で定める期間」、監事の任期は、「4年以内において定款で定める期間」と規定されているのであるから、その範囲内においては適宜役員の任期を定めて差し支えない。 (注)2 組合の実情に応じて「補充した総(代)会の日において現に在任する役員の任期が終了するときまで」と規定することもできるものである。 (注)3 第12条(注)1を参照のこと。 |
<第23条(役員の任期)関係>
1 「役員の任期」は、同一の役員が長期間在任し、組合の事業執行の権限を同一の者が掌握することによって組合運営が専制化することのないよう、一方においては、あまりに短期間に役員が交代して役員としての責任の保持及び能力の発揮に欠けることのないよう検討したうえで、法第30条に規定する範囲内において適宜定めるべきである。なお、設立当時の役員の任期は、1年を超えない範囲内で創立総会において定める期間である(法第30条第3項)。
2 役員の任期を確定期間としてしまうことは、実際問題として総(代)会の会日の如何によって役員が全く存在しないという好ましくない状態の生ずることが充分考えられる。これを避け、旧役員と新役員との任期の中断をなくすためには、役員の任期を総(代)会の終了のときまでとし、任期の短縮又は延長を図っておくことが必要である。
また、理事長、専務理事、常務理事等の職務を行う者及び代表理事を定めるため、役員の改選を行った総(代)会の終了後直ちに理事会を開催することにより、総(代)会の終了をはさんで、旧役員と新役員が同日中に交代し、理事の業務執行に中断が生じることがないよう配慮することが望ましい。
3 役員と組合との関係は、委任に関する規定に従うもの(法第29条の2)であるから、役員は、定款に特に定めがなくとも民法第654条の規定により、任期満了又は辞任の後において急迫な事情があるときは、後任者の就任するまでなお役員としての職務を行わなければならないものであるが、組合においては定款の上で、この任期満了後における職務執行の権利義務を急迫な事情がある場合に限定せず、一般的なものにまで拡げておくことが必要であろう。
(役員の兼職禁止) 第24条 監事は、次の者と兼ねてはならない。 (1) 組合の理事又は使用人 (2) 組合の子会社等(子会社、子法人等及び関連法人等)の取締役又は使用人 |
<第24条(役員の兼職禁止)関係>
1 組合の子会社等は、法律的には別の人格であるが、組合の本来事業の円滑な実施のために設立されているものであり、相当の支配が及ぶものであることから、監事の独立性と監査の実効性を確保するため、組合の理事又は使用人に加え、子会社等の取締役又は使用人との兼職も禁止し、監事の独立性を確固たるものにしたものである。
2 「子会社等」とは、子会社や施行規則第210条第2項に規定する「子法人等」、同条第3項に規定する「関連法人等」をいうものである。
(役員の責任) 第25条 役員は、法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款及び規約並びに総(代)(注)会の決議を遵守し、この組合のため忠実にその職務を遂行しなければならない。 2 役員は、その任務を怠ったときは、組合に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。 3 前項の任務を怠ってされた行為が理事会の決議に基づき行われたときは、その決議に賛成した理事は、その行為をしたものとみなす。 4 第2項の責任は、総組合員の同意がなければ、免除することができない。 5 前項の規定にかかわらず、第2項の責任は、当該役員が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、法令で定める額を限度として、総(代)会の決議によって免除することができる。 6 前項の場合には、理事は、同項の総(代)(注)会において次に掲げる事項を開示しなければならない。 (1) 責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額 (2) 前項の規定により免除することができる額の限度及びその算定の根拠 (3) 責任を免除すべき理由及び免除額 7 理事は、第2項の責任の免除(理事の責任の免除に限る。)に関する議案を総(代)(注)会に提出するには、各監事の同意を得なければならない。 8 第5項の決議があった場合において、組合が当該決議後に同項の役員に対し退職慰労金等を与えるときは、総(代)(注)会の承認を受けなければならない。 9 役員がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。 10 次の各号に掲げる者が、当該各号に定める行為をしたときも、前項と同様の取扱いとする。ただし、その者が当該行為をすることについて注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。 (1) 理事 次に掲げる行為 イ 法第31条の9第1項及び第2項の規定により作成すべきものに記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録 ロ 虚偽の登記 ハ 虚偽の公告 (2) 監事 監査報告に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録 11 役員が組合又は第三者に生じた損害を賠償する責任を負う場合において、他の役員も当該損害を賠償する責任を負うときは、これらの者は、連帯債務者とする。 (注) 第12条(注)1を参照のこと。 |
<第25条(役員の責任)関係>
1 組合の業務及び会計は、法令、法令に基づいてする行政庁の処分、定款及び規約並びに総(代)会の議決に違反してはならないものである以上、役員がこれらの事項を遵守すべきは当然のことといえよう。なお、組合業務に対する監督については、第1条(解説)6を参照のこと。
2 組合と役員との関係は、委任に関する規定に従うものである(法第29条の2)から、善良なる管理者の注意をもってその職務を行う義務を負い、この義務に違反したときは、その責に任じなければならないものである(民法第644条)。
3 理事及び監事は、その任務を怠ったときは、組合に対して、これによって生じた損害を賠償する責任を負うが、特に理事については、理事個人としての責任と併せて理事会を構成し業務執行の決定に参画するとともに、代表理事の執行に対する監視的役割を果たすべき集団としての責任もある。したがって、理事が任務懈怠によりその責任を果たし得ず、組合に損害を与えたときには、その行為が作為であると不作為であるとを問わず、その理事は、連帯して組合に対する賠償責任を負わなければならない。なお、この任務懈怠には、代表理事又は特定の理事の行為に対する監視義務の懈怠も当然に含まれる。
4 第2項の役員の責任は、総組合員の同意がなければ免除できない(法第31条の3第3項)が、役員が職務を行うにつき善意かつ無重過失の場合については、総(代)会の決議によって免除することができる(法第31条の3第4項)。
5 総(代)会の決議によって免除できる場合であっても免除することができない額(最低責任限度額)は、1年間当たりの報酬等の額として施行規則で定める方法により算定した以下の額の合計額である。
ア 役員が在籍中に報酬、賞与その他の職務執行の対価として組合から受け、又は受けるべき財産上の利益の額の事業年度ごとの合計額のうち、最も高い年度の額
イ 役員が組合から受けた退職慰労金の額、役員が職員を兼ねていた場合における職員としての退職手当のうち役員を兼ねていた期間の職務執行の対価の額及びこれらの性質を有する財産上の利益の額の合計額を、当該役員がその職に就いていた年数又は下記に掲げる役員にあっては、その職に就いている年数と下記の数のうち小さい数で除して得た額
① 代表理事 6
② 代表理事以外の理事 4
③ 監事又は会計監査人 2
また、免除するときは、理事は、総(代)会において、責任の原因となった事実及び賠償の責任を負う額等の事項を開示しなければならない(法第31条の3第5項)。
なお、役員の責任の免除については、総(代)会の特別議決事項である(法第42条第5号)。
6 「総組合員の同意」とは、総代制を置いている組合においても総組合員の同意が必要なものである。また、連合会にあっては、総会員の同意が必要となるものである。
7 役員と組合とは委任に関する規定に従うものであるが、第三者との間においては、取引の相手方である組合の機関にすぎない。第三者に対して与えた損害が役員の悪意又は重過失に基づく行為によって生じたものであるときは、その役員が直接第三者に対して損害賠償の責任を負うことになる(法第31条の4第1項)。また、理事が設立の日における貸借対照表や通常総(代)会に提出すべき決算関係書類及び事業報告書並びにこれらの附属明細書中の重要な事項につき虚偽の記載をしたり、虚偽の登記又は公告をした場合、監事が監査報告書に記載し、又は記録すべき重要な事項についての虚偽の記載又は記録をした場合には、第三者に対し、損害賠償の責任を負わなければならず、注意を怠らなかったことを証明しない限り、この責任は免れないものである(法第31条の4第2項)。