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○健康保険組合の事業運営について

(平成19年2月1日)

(保発第0201001号)

(健康保険組合理事長あて厚生労働省保険局長通知)

標記については、昭和35年11月7日保発第70号「健康保険組合の事業運営基準について」において、同通知の別冊「健康保険組合事業運営基準」によることとしてきたところであるが、健康保険組合を取り巻く環境の変化等を踏まえ、同通知を廃止し、今後は、別紙1「健康保険組合事業運営基準」及び別紙2「健康保険組合事業運営指針」によることとしたので通知する。

なお、別紙1「健康保険組合事業運営基準」に適合させるために必要となる組合規約の改正その他の措置については、原則として、本年9月末を目途に完了されるよう努められたい。

別紙1

健康保険組合事業運営基準

第1 本基準の趣旨

本基準は、健康保険組合(以下「組合」という。)が国の健康保険事業を代行する公法人であることを踏まえ、その事業運営が、健康保険の本旨に沿って厳正に実施されるよう、組合が遵守すべき事項を示すものであり、厚生労働大臣が健康保険法(大正11年法律第70号。以下「法」という。)に基づき事業若しくは財産の管理若しくは執行について是正又は改善を命ずる等、組合の指導に当たって必要な措置をとる際の基準となるものである。

第2 組合の基本的態度

1 組合は、法において、国の健康保険事業を代行する公法人として位置づけられ、特別の権能を有するものであるから、健康保険法をはじめとする諸法令を厳正に遵守し、健康保険の本旨に沿った事業運営を行わなければならない。

2 組合は、事業主及びその事業所に使用される又は使用されていた被保険者によって構成されているものであるから、常にその協調と理解を得て、円滑な事業運営を行わなければならない。

3 組合は、その事業運営が事業主及びその事業所に使用される又は使用されていた被保険者から納付される保険料によって賄われることを踏まえ、厳正かつ安定した財政運営を行わなければならない。

第3 組合会

組合会は、組合の重要事項を決定する議決機関として組合運営の中核をなすものであるから、組合会の機能を遺憾なく発揮させるため、次に掲げるところにより整備し又は運営を行うこと。

1 組合会議員の定数については、組合会の議決が理事の意向によって影響を受けることのないよう、理事定数の2倍を超える数にするものとし、その上で、組合員(特定健康保険組合にあっては,特例退職被保険者たる組合員を含む。以下同じ。)の意思が適正に反映されるよう定めること。

2 理事長専決によって処分した事項の組合会における承認については、当該事項が、本来、組合会の議決を経なければならない事項であることから、組合会において必要となる議決数をもって承認されなければならないこと。

第4 執行機関

理事は、組合の執行機関として業務執行の中核をなすものであるから、その職責についての自覚を持つとともに、次に掲げるところにより、適正に業務を執行すること。

1 理事の業務執行のためすべての理事で構成する理事会を設けること。

2 組合の常務を掌理するための理事(以下「常務理事」という。)を、事務所ごとに1名以上置くこと。

3 理事定数については、理事会の議決が理事長や常務理事といった組合の事務局を兼ねる理事の意向によって影響を受けることのないよう、適切に定めること(組合の事務局を兼ねる理事が理事長及び常務理事の2人である場合は、理事は6人以上であること。)。

4 理事会の議決事項は、次のとおりとすること。

(1) 常務理事の選任及び解任に関する事項

(2) 事業運営の具体的方針の決定

(3) 財産管理の具体的方法の決定

(4) 業務執行に関する事項で理事会において必要と認めた事項

(5) その他組合規約に定める事項

5 理事会は理事長が招集し、議長には理事長をあてること。なお、理事の定数の三分の一以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して理事会の招集を請求したときは、理事長は、速やかに理事会を招集しなければならないこと。

6 理事会の招集は、緊急を要する場合を除き、会議に付議すべき事項、日時及び場所をあらかじめ通知しなければならないこと。

7 理事会は、理事定数の半数以上が出席しなければ、議事を開き、議決をすることができないこと。

8 理事会の議事は、出席した理事の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによること。

9 理事は、特別の利害関係のある議事については、その議事に加わることができないこと。ただし、理事会の同意があった場合は、理事会に出席して発言することができること。

10 理事は、あらかじめ通知を受けた議事について、書面又は代理人をもって、議決権又は選挙権を行使できるものとし、この場合、会議に出席したものとみなすこと。なお、代理人は他の理事でなければならないこと。

11 理事会を開催したときは、出席した理事の氏名並びに議事の経過の要領及びその結果を記載した会議録を作成すること。なお、理事会の会議録の取扱いについては、組合会の会議録の取扱いに準じること。

第5 監事

監事は、独立した機関であることを自覚し、次に掲げるところにより、組合の事業全般について厳正な監査を実施すること。

1 監査は、組合の決算終了後組合会が決算を承認する前に必ず実施するほか、監事が必要と認めた場合など、必要に応じ実施すること。

2 監査を実施したときは、組合会に対し書面にて意見を述べること。

第6 事務処理体制

事務処理体制については、厳正かつ円滑な事務処理が行われるよう、次に掲げるところにより、整備すること。

1 常務理事又は事務長については、事務処理が安定的に実施されるよう、健康保険事業についての専門的知識と経験を有する者であって、継続的に職責を全うすることのできる組合の役職員を充てること。

2 事務職員については、組合の規模等を勘案し適正な数を確保するとともに、事務処理の専門性に鑑み、継続的に任にあたることのできる者を充てること。

3 事務処理に当たっては、事務処理が正確かつ適正に行われるよう、複数の職員による点検及び決裁を行うこと。

第7 一部負担還元金及び付加給付

1 一部負担還元金及び付加給付(以下「一部負担還元金等」という。)については、被保険者期間等により支給額又は支給期間に差異が生じるものや特定の医療機関に受診した場合に限り支給するものなど、受給機会の均等を損なうおそれがあるものは行わないこと。また、特に一部負担還元金、訪問看護療養費付加金、家族訪問看護療養費付加金、家族療養費付加金及び合算高額療養費付加金の支給額については、一部負担の目的や付加給付の在り方、さらには組合の財政状況を勘案し、適切に設定すること。

2 過去3年度において、給付費等臨時補助金(合併促進経費を除く。以下同じ。)の交付を受けた組合については、新たに一部負担還元金等を実施することはできないこと。

3 既に一部負担還元金等を実施している組合であって、3年度継続して給付費等臨時補助金の交付を受けた組合については、一部負担還元金等の内容の見直しを行うこと。

第8 保健事業及び福祉事業

保健事業及び福祉事業については、保健事業は、健康教育、健康相談、健康診査等を実施することにより被保険者及びその被扶養者(以下「被保険者等」という。)の健康の保持増進を図ること、福祉事業は、療養のために必要な費用にかかる資金若しくは用具の貸付、療養若しくは療養環境の向上又は出産のために必要な費用にかかる貸付等をすることにより被保険者等の福祉の増進を図ることというそれぞれの事業の目的や社会通念に照らし、健康保険の保険者として実施することが適切と判断される内容のものとし、事業主の実施する福利厚生事業と混同しないようにすること。また、組合の財政及び組合員の要望に適応するものとすること。

第9 財務

財務については、事業内容の推移を把握し、特に保険給付費の動向を注視して、適切で計画性のある施策を講じ、財政の安定を維持する努力を怠らないようにするとともに、経理事務については、理事長及び財務を担当する役職員が善良な管理者としての注意を払い、常に厳正に執行すること。

1 準備金の保有形態

準備金については、保険給付に要する費用に不足を生じたときに使用することを主眼としているものであり、過度に運用する必要がないことから、一般的に安全・確実と認められる以下のアからシに掲げる形態で保有すること。ただし、準備金のうち前3年度の保険給付に要した費用の平均年額の12分の1については、早急に保険給付に要する費用に充てる必要が生じた場合に備え、換金処分の容易なア又はイの形態により保有すること。

ア 郵便貯金

イ 臨時金利調整法(昭和22年法律第181号)第1条第1項に規定する金融機関への預貯金又は金銭信託(運用方法を特定するものを除く。)

ウ 公社債投資信託(外国債を運用の中心とするもの、又は外貨建外国債を運用対象として含むものを除く。)

エ 国債又は地方債

オ 政府保証債又は金融債

カ 担保付社債

キ 抵当証券

ク コマーシャルペーパー

ケ 社会保険診療報酬支払基金への委託金

コ 健康保険組合が組合の共同目的を達成するために設置する施設及び組合の福祉事業として行う各種貸付事業への出資金

サ 法第150条の規定による施設である土地及び建物

シ その他アからクに類する形態であって、一般的に安全・確実と認められるもの

2 任意積立金の保有形態

任意積立金については、準備金の保有形態に掲げる保有形態のうちサを除くものにより保有すること。ただし、退職積立金については、積立総額の2分の1の範囲内で、組合の役職員に対し、組合の役職員それぞれが組合から支払いを受けることができる退職手当金の額に相当する額を限度として、住宅資金等として貸し付ける方法により保有することができること。なお、住宅資金等として貸し付けを行う場合は、適正な実施を確保するため、貸付規程を整備すること。

別紙2

健康保険組合事業運営指針

第1 本指針の趣旨

本指針は、健康保険組合(以下「組合」という。)の事業運営のうち組合の判断で実施するものについて適正な事業運営が確保されるよう、事業運営に当たっての基本的考え方や適正水準、望ましい事業の例、事業に当たり留意すべき点など、組合の事業運営の指針となる事項を示すものである。

第2 一部負担還元金及び付加給付

1 一部負担還元金及び付加給付については、コスト意識の喚起、受診する者としない者との負担の均衡、他の医療保険制度との均衡等の点に留意し、組合の財政状況を十分勘案した上で、次表の範囲に留めることを基本として実施すること。

【一負担還元金及び付加給付の基準】

区分

支給期間

支給額

一部負担還元金

診療報酬明細書又は調剤報酬明細書各1件(医療機関の処方箋に基づき薬局で薬剤の支給が行われた場合は、診療報酬明細書と調剤報酬明細書とを合算して1件とみなすこと。)について支払った一部負担金の額(高額療養費(同一月において、被保険者若しくはその被扶養者の支払った一部負担金等の額を合算することにより支給される高額療養費(以下「合算高額療養費」という。)を除く。以下同じ。)が支給される場合にあっては、一部負担金の額から高額療養費に相当する額を控除して得た額)から25,000円を控除して得た額

訪問看護療養費付加金

訪問看護療養費を支給している期間

訪問看護療養費明細書1件について、健康保険法(大正11年法律第70号。以下「法」という。)第88条第4項に規定する厚生労働大臣の定めるところにより算定した費用の額から訪問看護療養費に相当する額(高額療養費が支給される場合にあっては、訪問看護療養費に相当する額に高額療養費に相当する額を加えて得た額)を控除して得た額から25,000円を控除して得た額

家族訪問看護療養費付加金

家族訪問看護療養費を支給している期間

訪問看護療養費明細書1件について、法第88条第4項に規定する厚生労働大臣の定めるところにより算出した費用の額から家族訪問看護療養費に相当する額(高額療養費が支給される場合にあっては、家族訪問看護療養費に相当する額に高額療養費に相当する額を加えて得た額)を控除して得た額から25,000円を控除して得た額

傷病手当金付加金

傷病手当金の支給開始後3年間

傷病手当金の支給期間は、労務不能の日1日につき標準報酬日額の85/100に相当する額から傷病手当金の額を控除した額。

傷病手当金の支給期間経過後は、労務不能の日1日につき標準報酬日額の85/100に相当する額

出産手当金付加金

出産手当金の支給期間

労務に服しない日1日につき標準報酬日額の85/100に相当する額から出産手当金の額を控除した額

埋葬料付加金

埋葬料に相当する額。ただし、被保険者と生計維持のない者に支給する場合は、埋葬料と埋葬料付加金とを合算した額が埋葬に要した費用を超えないこと

家族埋葬料付加金

家族埋葬料に相当する額

出産育児一時金付加金

出産育児一時金に相当する額

家族出産育児一時金付加金

家族出産育児一時金に相当する額

家族療養費付加金

家族療養費を支給している期間

診療報酬明細書または調剤報酬明細書各1件(医療機関の処方箋に基づき薬局で薬剤の支給が行われた場合は、診療報酬明細書と調剤報酬明細書とを合算して1件とみなすこと。)について、療養(食事療養及び生活療養を除く。)に要する費用の額から家族療養費に相当する額(高額療養費が支給される場合にあっては、家族療養費に相当する額に高額療養費に相当する額を加えて得た額)を控除して得た額から25,000円を控除して得た額

合算高額療養費付加金

各診療月について、被保険者若しくはその被扶養者の支払った一部負担金等の額に相当する額から合算高額療養費に相当する額を控除して得た額から、原則として当該被保険者又はその被扶養者1人につき、それぞれ25,000円を控除して得た額

(注) 上記表中の控除額(25,000円)については、高額療養費における自己負担限度額設定(上位所得者区分及び一定額の医療費を超える部分の1%の設定)の趣旨を踏まえ、適切な額とすること。

2 傷病手当金付加金については、法第108条第1項から第4項までの規定により傷病手当金の全部又は一部の支給が行われない場合であっても、傷病手当金の全部又は一部の支給があったものとみなして支給を行うことができること。

なお、この場合における支給額の考え方は次のとおりである。

(1) 法第108条第1項に該当する場合

報酬を受けなければ支給を受けることができた傷病手当金と傷病手当金付加金の合計額(傷病手当金の支給期間経過後の労務不能期間につき傷病手当金付加金を支給する場合においては、その傷病手当金付加金の額)から受けることのできる報酬の額を控除して得た額とすること。

(2) 法第108条第2項に該当する場合

厚生年金保険法による障害厚生年金の支給を受けなければ支給を受けることができた傷病手当金と傷病手当金付加金の合計額(傷病手当金の支給期間経過後の労務不能期間につき傷病手当金付加金を支給する場合においては、その傷病手当金付加金の額)から法第108条第2項の規定により算定された当該障害厚生年金の額を控除して得た額(同時に前記(1)に該当する場合であって当該控除して得た額が前記(1)の額を超えるときは、前記(1)の額)とすること。

(3) 法第108条第3項に該当する場合

傷病手当金付加金の全額とすること。なお、傷病手当金の支給期間経過後の労務不能期間において傷病手当金付加金を支給する場合は、障害手当金から当該障害手当金の支給を受けなければ支給を受けることができた傷病手当金の額を控除した額に当該傷病手当金付加金の額が達するまでの間当該傷病手当金付加金は支給しないこと。

(4) 法第108条第4項に該当する場合

老齢退職年金給付の支給を受けなければ支給を受けることができた傷病手当金と傷病手当金付加金の合計額(傷病手当金の支給期間経過後の労務不能期間につき傷病手当金付加金を支給する場合においては、その傷病手当金付加金の額)から法第108条第4項の規定により算定された当該老齢退職年金給付の額を控除して得た額とすること。

3 出産手当金付加金についても前記2(1)と同様に取り扱うこと。

第3 保健事業及び福祉事業

1 保健事業

組合の保健事業については、法の規定に基づき定められた「健康保険法に基づく保健事業の実施等に関する指針(厚生労働省告示第308号)」及び健康増進法(平成14年法律第103号)の規定に基づき定められた「健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針(厚生労働省告示第242号)」に基づき実施するほか、以下に示す事項についても留意し、適切に実施すること。

(1) 実施体制の整備

保健事業の推進を図るため、実施体制の整備・確立を図ること。

① 健康管理事業推進委員会の設置

保健事業の中長期にわたる企画立案、実施計画の策定、実施結果の分析、評価を行い、理事会に対し意見の提出を行うために健康管理事業推進委員会若しくはこれに類する機関を設置すること。

なお、健康管理事業推進委員会は、事業主及び被保険者のほか、医師、保健師等の専門的知識を有する者及び組合事務局職員により構成するよう努めること。

② 健康管理委員の委嘱

各職場ごとに健康管理に関する情報、知識等を広く被保険者等に周知し、保健事業の有効かつ円滑な実施を図るため、被保険者の中から健康管理委員を委嘱すること。なお、健康管理委員に対しては、その資質の向上を図るため、定期的に研修、教育の機会を設けること。

(2) 保健事業の種類

保健事業の具体的内容を例示すると、次のとおりであること。

① 健康教育に関するもの

ア 健康の自己管理及び増進についての健康教育

機関誌、パンフレット、ポスター、講習会等による広報、健康者表彰及び優良事業所表彰、健康強調月間等の実施

イ 健康手帳の配布

受診心得、健康管理の記録等を内容とする健康手帳の配布

ウ 保健衛生に関する指導

環境衛生、口腔衛生、精神衛生、母子衛生、栄養指導、エイズ予防等についての保健師による指導や機関誌、講習会等による啓発

エ 心の健康づくり

一般の健康相談等に合わせ精神面における健康の保持増進を図るための健康教育、健康相談

② 健康相談に関するもの

ア 保健師等による健康相談

イ 健康に関する実態の把握及びそれに基づく相談、助言

加入者の健康状態、入院等の状況の把握及びそれに基づく保健師等による適切な相談、助言

③ 健康診査に関するもの

ア 健康診査

(ア) 一般健康診査

(イ) 消化器、循環器、糖尿病等の成人健康診査

(ウ) 胃がん、子宮がん、大腸がん、乳がん等のがん検診

(エ) 要精密検査者等に対する精密検査

(オ) 歯科検診、口腔検診

(カ) 人間ドック

(キ) 骨粗しょう症検診

(ク) 肝炎ウィルス検査

イ 各種健康診査実施後の個人別健康管理台帳の作成及びデータの管理

ウ 保健師等による健康診査後の保健指導

エ 疾病予防等

(ア) インフルエンザ等の各種予防接種

(イ) 救急常備薬の配布等

④ 体力・健康づくり

ア 健康体操、トリム運動、体力測定や各種スポーツ、レクリエーションによる体力づくり事業

イ 健康増進施設における有酸素運動、温泉利用等による健康増進の事業

⑤ 固定施設等

保養所、体育館、運動場、健康増進施設、健康管理センター、保健会館、山の家、海の家等の設置運営

⑥ 一般広報

医療保険制度の仕組み、組合の事業計画、財政状況、将来計画等についての機関誌やパンフレット等による一般広報

(3) 保健事業の実施上の留意点

① 労働安全衛生法に基づく事業との関係

労働安全衛生法に基づく事業は労働災害防止の観点から行われるものであり、被保険者の全般的な健康の保持増進については、組合が保健事業として積極的に実施すること。

② 保健事業を共同実施する場合

保健事業を事業主又はその他の機関と共同して実施するときは、必要に応じ費用を分担し公平の確保を図ること。なお、その場合、共同実施した事業の内容や費用分担等を明確にした関係書類を整備・保管すること。

③ 健康診査

ア 成人健康診査については,生活習慣病の発症が多い30歳から、少なくとも5年に1回以上行うものとし、40歳以降は毎年実施するよう努めること。

また、人間ドックについては、40歳以降少なくとも5年に1回以上は実施するよう努めること。

イ 子宮細胞診検査については、子宮がん発見の効率的時期を考慮し、35歳以降毎年実施するよう努めること。

ウ C型肝炎ウィルス検査については、自身のウィルス感染の状況を認識するきっかけとするため、40歳以上を対象に生涯に一度ウィルス検査を実施するよう努めること。また、B型肝炎ウィルス検査についても、C型肝炎ウィルス検査と同時に実施するよう努めること。

④ 保健事業の一般開放

保養所等の保健施設については、被保険者等の利用に支障が生じない範囲で、退職者や地域住民等に利用させることも差し支えないこと。

2 福祉事業

組合の福祉事業については、以下に示す事項について留意し、適切に実施すること。

(1) 福祉事業の種類

福祉事業を例示すると、次のとおりであること。

① 病院・診療所・薬局の設置運営

② 訪問看護ステーションの設置運営

③ 介護老人保健施設の設置運営

④ 高額医療費貸付事業

⑤ 出産費貸付事業

⑥ 在宅療養のための機器・用品の支給、貸与

⑦ 在宅療養の環境整備のために貸付事業

(2) 福祉事業の実施上の留意点

貸付事業の実施に当たっては、適正な事業運営が確保されるよう、貸付方法等に関する規程を整備すること。

第4 共同事業

被扶養者に対する保健事業など個別の組合で実施するより複数の組合や他の保険者等と共同して実施することが効果的・効率的な事業については、共同して事業を実施することも差し支えないこと。

なお、共同事業として適当なものを例示すると、次のとおりであること。

① 健康管理に関する広報、教育の実施

② 健康保険制度に関する広報の実施

③ 健康診査の実施

④ 保健師等による保健指導及び健康相談

⑤ 保養所等保健施設の共同利用

第5 保険給付の適正化

組合は、保険給付に要する費用の支出の適正化を図り、財政の健全化を図るため、保険給付の適正化に資する事業を実施することが望ましいこと。

保険給付の適正化に資する事業を例示すると、次のとおりであること。

① 医療費通知

② 診療報酬明細書、調剤報酬明細書及び訪問看護療養費明細書の事後点検

《点検内容の例示》

ア 受給資格

イ 重複請求

ウ 業務上傷病(通勤途上災害によるものを含む。)

エ 交通事故等第三者行為による傷病

③ 傷病手当金の適正支給の確認

④ 被保険者証の検認

⑤ 後発医薬品の使用促進

《内容の例示》

ア 後発医薬品希望カードの配布

イ 周知・広報

パンフレット配布、ポスター掲示等

ウ 後発医薬品使用に伴う自己負担額の軽減にかかる内容の周知

⑥ 柔道整復師に係る療養費の適正化

《内容の例示》

ア 審査

イ 多部位、長期または頻度が高い施術である支給申請書の被施術者に対する負傷原因調査

ウ 医療費通知

エ 周知・広報

⑦ レセプト情報や特定健診・特定保健指導の実施結果による電子情報を活用した情報分析や被保険者・被扶養者に対する情報提供

第6 その他

1 保険料額の負担割合

法第162条に基づき事業主の保険料額の負担割合を増加させる場合は、組合の民主的運営が、事業主と被保険者が相互扶助の精神に基づき組合の事業費用を共同して負担することにより確保されることにかんがみ、少なくとも、法定給付費、前期高齢者納付金、後期高齢者支援金、病床転換支援金、老人保健拠出金、日雇拠出金及び退職者給付拠出金に要する費用(関係事務費拠出金を含み、前期高齢者交付金がある場合には当該交付金相当額を控除した額する。)の2分の1以上は、被保険者の負担とすることが望ましいこと。

2 統計資料の整備

効率的・効果的な事業運営を行うための基礎資料として各種統計を整備し、その活用に努めること。