アクセシビリティ閲覧支援ツール

○「化学物質GLP査察実施要領」の留意事項(人健康影響)について

(令和4年8月12日)

(薬生薬審発0812第1号)

(厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)

「新規化学物質等に係る試験を実施する試験施設に関する基準について」(平成23年3月31日付け薬食発0331第8号、平成23・03・29製局第6号、環保企発第110331010号厚生労働省医薬食品局長、経済産業省製造産業局長及び環境省総合環境政策局長連名通知。以下「化学物質GLP」という。)が適用される試験施設に対する化学物質GLP査察の実施手続等については、「新規化学物質の審査等に際して判定の資料とする試験成績の取扱いについて」(平成23年3月31日付け薬食発0331第9号、平成23・03・29製局第7号、環保企発第110331011号厚生労働省医薬食品局長、経済産業省製造産業局長及び環境省総合環境政策局長連名通知。以下「試験成績取扱通知」という。)及び「新規化学物質等に係る試験を実施する試験施設に関する基準に基づく査察実施要領について」(平成25年12月26日付け薬食発1226第6号厚生労働省医薬食品局長通知。以下「査察実施要領通知」という。)で定めており、化学物質GLP査察の実施に当たり、査察官及び届出者等が留意すべき事項(以下「留意事項」という。)については、「「化学物質GLP査察実施要領」の留意事項について」(平成25年12月26日付け薬食化発1226第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室長通知。以下「旧留意事項通知」という。)で定められているところである。

今般、試験成績取扱通知の改正等を踏まえ、留意事項を下記のとおり定める。

なお、旧留意事項通知は、本通知の発出をもって廃止する。

1.化学物質GLP査察について

(1) 査察前訪問について

試験成績取扱通知別添の2(1)の規定に基づき申請書を提出した試験施設が、過去一度も化学物質GLPの適合確認を受けていない場合、査察官は必要な情報を得るため、査察前に当該施設を訪問することができる。

(2) 化学物質GLPチェックリストについて

「化学物質GLPチェックリスト(別添1)」は化学物質GLP査察の際、査察官が調査すべき項目等の目安として用いるものである。

調査すべき項目は査察対象施設の対象試験、組織体制等により異なるため、査察官は必要に応じて調査すべき項目の追加及び削除を行うことができる。

(3) 過去3年間化学物質GLP試験の実施実績がない試験項目等について

以前は実施実績があったものの、申請日から起算して過去3年間化学物質GLP試験の実施実績がない試験項目を申請する場合及び新たな試験項目の適合確認を申請する場合は、査察対象となる個別の試験の取扱い等について、適宜、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課化学物質安全対策室まで相談されたい。

(4) コンピュータバリデーションについて

データの集計、保存等をコンピュータを用いて行う施設においては、「コンピュータバリデーションチェック事項(別添2)」を参考として、コンピュータの信頼性を確保することが望ましい。

(5) 適合確認の有効期間について

査察実施要領通知別添の8の2)に定める適合確認の有効期間は査察開始日から起算して3年間とする。

2.指導事項又は指示事項について

査察実施要領通知別添の5の2)の(4)に規定する指導事項又は指示事項の分類及び措置は別添3のとおりとする。

3.医薬品GLP又は安衛法GLPの適用を受ける試験施設の取扱いについて

「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第21号)で定める基準(以下「医薬品GLP」という。)又は「労働安全衛生規則第34条の3第2項の規定に基づき試験施設等が具備すべき基準」(昭和63年労働省告示第76号。以下「安衛法GLP」という。)に適合する試験施設に対する査察については、次のとおり取り扱うこととする。

(1) 届出者等の取扱いについて

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(昭和48年法律第117号。以下「法」という。)第3条若しくは法第7条に基づく新規化学物質の製造、輸入若しくは輸出に係る届出、法第10条第1項に基づく優先評価化学物質の性状に関する試験の結果の提出又は法第10条第2項若しくは法第14条第1項の優先評価化学物質若しくは監視化学物質に係る有害性の調査の結果の報告に際し添付された試験成績が以下のいずれかに該当する場合は、原則として化学物質GLP査察は行わないものとする。ただし、当該試験成績の信頼性に疑問がある等の理由により、当該試験施設に対して査察を行う必要があると医薬・生活衛生局長が認めた場合は、査察を行うことがある。

① 医薬品GLP実地調査の結果、評価が適合であった試験施設において、当該調査に係る適合確認を受けた日から起算して3年以内に終了した試験によって得られた試験成績(当該調査により医薬品GLPに適合していると確認された試験項目の範囲内の試験成績に限る。)。

② 安衛法GLP査察の結果、評価が可であった試験施設において、当該査察が終了した日から起算して3年以内に終了した試験によって得られた試験成績(当該査察により安衛法GLPに適合していると確認された試験項目の範囲内の試験成績に限る。)。

(2) 確認申請者の取扱いについて

試験成績取扱通知の別添「試験施設に関する基準適合確認実施要領」に基づき、医薬・生活衛生局長あてに確認申請を行った確認申請者の当該申請に係る試験施設が医薬品GLP実地調査の結果、評価が適合であった場合又は安衛法GLP査察の結果、評価が可であった場合は、原則として化学物質GLP査察は行わないものとする。ただし、当該試験施設に対して査察を行う必要があると医薬・生活衛生局長が認めた場合は、査察を行うことがある。

(3) 化学物質GLPでの判定結果について

(1)又は(2)に基づき化学物質GLP査察を行わなかった施設については、査察実施要領通知別添の8の2)「7の2)の評価結果に基づき」を「医薬品GLP又は安衛法GLPの評価結果及び提出資料に基づき」と読み替えるものとする。

その際、原則として医薬品GLPで適合又は安衛法GLPで可と判定された場合、化学物質GLPにおいても「可」と判定し、適合確認を行うものとする。

化学物質GLPと医薬品GLPの試験項目の対応については、別添4を参照すること。

(4) 適合確認の有効期間について

(3)に基づき化学物質GLPの適合確認を受けた試験施設については、確認申請時に提出された医薬品GLP又は安衛法GLPにおける適合確認書の有効期間を化学物質GLPにおける適合確認の有効期間とみなす。

なお、医薬品GLPの評価結果及び提出資料に基づき化学物質GLPの適合確認(以下「今回の適合確認」という。)を行うに当たっては、化学物質GLPの有効期間の起算日の取扱いが変更されたこと等に伴い、前回の適合確認の有効期間の満了日と今回の適合確認の有効期間との間に空白期間が生じた場合には、前回の適合確認から継続して化学物質GLPに適合していると確認された試験項目の範囲内に限り、当該空白期間についても有効期間が継続しているとみなすものとする。

また、試験施設の基準適合確認に係る所定の申請を行ったにもかかわらず、災害その他やむを得ない理由により、有効期間を経過する日の前日までに基準への適合確認に係る通知がなされなかった場合の取扱いについては、試験成績取扱通知の別添「試験施設に関する基準適合確認実施要領」の3 確認の(4)の取扱いによるものとする。

(別添1)

画像2 (70KB)別ウィンドウが開きます

画像3 (70KB)別ウィンドウが開きます

画像4 (63KB)別ウィンドウが開きます

画像5 (56KB)別ウィンドウが開きます

画像6 (68KB)別ウィンドウが開きます

画像7 (64KB)別ウィンドウが開きます

画像8 (73KB)別ウィンドウが開きます

画像9 (67KB)別ウィンドウが開きます

画像10 (71KB)別ウィンドウが開きます

画像11 (57KB)別ウィンドウが開きます

画像12 (65KB)別ウィンドウが開きます

画像13 (68KB)別ウィンドウが開きます

画像14 (57KB)別ウィンドウが開きます

画像15 (50KB)別ウィンドウが開きます

画像16 (59KB)別ウィンドウが開きます

画像17 (64KB)別ウィンドウが開きます

画像18 (58KB)別ウィンドウが開きます

画像19 (60KB)別ウィンドウが開きます

画像20 (65KB)別ウィンドウが開きます

画像21 (61KB)別ウィンドウが開きます

画像22 (62KB)別ウィンドウが開きます

画像23 (60KB)別ウィンドウが開きます

画像24 (58KB)別ウィンドウが開きます

画像25 (60KB)別ウィンドウが開きます

画像26 (60KB)別ウィンドウが開きます

画像27 (65KB)別ウィンドウが開きます

画像28 (61KB)別ウィンドウが開きます

画像29 (57KB)別ウィンドウが開きます

画像30 (60KB)別ウィンドウが開きます

画像31 (66KB)別ウィンドウが開きます

画像32 (33KB)別ウィンドウが開きます

画像33 (42KB)別ウィンドウが開きます

画像34 (33KB)別ウィンドウが開きます

(別添2)

コンピュータバリデーションチェック事項

1.コンピュータシステムの導入(変更)

(1) システム導入(変更)手順に関する標準操作手順書が定められていること。

(2) 前項の標準操作手順書に従って、システムの導入(変更)が実施されていること。

(3) システムを導入(変更)する目的とそれにあうユーザの要求する仕様が明確にされていること。

(4) ユーザの要求する仕様を満たしていることを検証し、その記録を保存していること。

(5) 前項の検証において発生した問題に対して、対策が講じられていること。

(6) 導入(変更)活動が総括され、システムの信頼性が検証されたことを運営管理者が確認し、導入(変更)を承認していること。

2.コンピュータシステムの運用管理

(1) 次の内容に関する標準操作手順書が定められ、適切に利用されていること。

① 生データの定義

② システムの操作方法

③ システムの管理体制及び維持管理手順

④ システムの変更管理手順

⑤ システムの廃止手順

⑥ その他必要な事項に関する手順

(2) 電磁的記録が生データである場合の記録及び変更方法が、化学物質GLPに適合していること。

① 生データ例を調べ、それが化学物質GLPにいう生データの条件を満たしていること。生データの条件とは、データがそれに対応する次の記録を伴っていること。

ア) 試験毎の固有の識別、試験操作の種類

イ) 被験物質、投与群、雄・雌、動物の個体、臓器名等

ウ) データの入力者、入力日、必要に応じて時刻

エ) 使用機器(データ収集端末)

② 生データの変更の記録について調べ、それが化学物質GLPにいう変更の条件を満たしていること。変更の条件とは、データのそれに対応する次の記録を伴っていること。

ア) 変更前のデータ(データ及び上記① ア)~エ)の情報)

イ) 変更したデータについて変更の理由、日付、変更者

ウ) 使用機器(データ変更端末)

(3) 運用開始後に発生した障害対応やプログラム変更に関する次の事項を調べる。

① システム運用開始後に発生した問題及び対応

② システムの重要な変更に対する運営管理者の承認

③ システムを変更した場合に実施した確認テスト

(4) システムのセキュリティ確保に関する次の事項を調べる。

① 生データのバックアップ

② システムの不正利用を防止するための方策

③ システムが専用のコンピュータ室に設置されている場合には、その部屋の運用管理に関する手順

(5) システム保守に関する実施状況及び記録を調べる。

(6) データの保存方法について次の事項を調べる。

① 試験終了後の生データの取扱い

② 保存条件

③ 電磁的媒体の品質劣化等によるデータ損失に対する方策

3.コンピュータシステムの廃止

コンピュータシステムの廃止に際して生データを移行した場合は、移行後のデータの信頼性が保証されていること。

4.信頼性保証部門によるコンピュータシステムの調査

(1) 信頼性保証部門によるコンピュータシステムの調査の標準操作手順書があること。

(2) コンピュータシステムが、信頼性保証部門の調査を可能にする機能を備えていること。

(3) 信頼性保証部門がコンピュータシステムのライフサイクルを通じてコンピュータシステムを調査していること。

5.その他の調査

(1) ホストコンピュータが、適切な条件下に設置されていること。

① 建物の立地、構造等

② ホストコンピュータ室の配置、構造、設備等

③ 空気調和装置

(2) 調査対象試験に係るデータを処理したコンピュータシステムが、更新等により既に稼働していない場合には、そのコンピュータシステムについて保存された文書・記録により、生データの信頼性が保証されていること。

(3) 導入時に「1.コンピュータシステムの導入(変更)」に従わなかった既存のコンピュータシステムの場合、システムの導入(変更)及び運用の資料・記録から、1.及び2.について評価されていること。また、評価結果に応じてコンピュータシステムを保証するための追加の措置又は代替手段が講じられていること。

(別添3)

化学物質GLP(人健康影響)における指導事項又は指示事項の分類及び措置について

査察実施要領通知別添の5の2)の(4)に規定する指導事項又は指示事項の分類及び措置は、以下のとおりとする。

①不適合事項

化学物質GLPの規定に明らかに不適合と考えられるもの又は明らかに不適合とはいえないが不適合に準じると考えられるもの。

GLP評価会議における審議の結果、不適合事項があり全部又は一部が化学物質GLPに不適合であると判断された場合、査察実施要領通知別添の7の3)の規定に従い査察対象試験施設に改善処置状況の報告等の機会を与える。その内容を踏まえて再度GLP評価会議で審議し、最終的な評価を行った結果「否」と判定された場合、査察実施要領通知別添の8の2)に規定する判定結果の通知の別添として、当該不適合事項を示す。

②指導事項

査察の結果、試験の信頼性については担保できるが、今後実施する試験の信頼性を確保するために改善が必須であると考えられるもの。

医薬品審査管理課から文書により査察対象試験施設に通知し、改善措置の報告を求める。当該改善措置報告は上記通知日から起算して30日以内に化学物質安全対策室まで提出するものとする。なお、当該改善措置報告が提出されるまでは、査察実施要領通知別添の8に定める通知は発出しないものとする。また、当該改善措置の履行状況については、次回の査察時に確認するものとする。

③自主的検討事項

査察の結果、試験の信頼性については担保できるが、今後実施する試験の信頼性をより一層確保するために改善が望ましいもの。

医薬品審査管理課から文書により査察対象試験施設に通知するが、改善措置の報告は求めない。なお、当該自主的検討事項に対する改善措置については、次回の査察時に確認するものとする。

④口頭指導事項

査察の結果、試験の信頼性については担保できるが、今後実施する試験の信頼性をより一層確保するために改善が望ましいもののうち軽微なもの。

当該査察時に口頭で注意喚起し、当該口頭指導事項に対する改善措置については、次回の査察時に確認するものとする。

(別添4)

化学物質GLP及び医薬品GLPの試験項目の対応について

化学物質GLP及び医薬品GLPの試験項目の対応については、原則として以下のとおりとする。

化学物質GLP

医薬品GLP

(改正前項目※1)

医薬品GLP

(改正後区分※2)

哺乳類を用いる28日間の反復投与毒性試験

哺乳類を用いる90日間の反復投与毒性試験

反復投与毒性試験(亜急性)又は反復投与毒性試験(慢性)

in vivo毒性試験

一般毒性等に関する試験

慢性毒性試験

反復投与毒性試験(慢性)

in vivo毒性試験

一般毒性等に関する試験

生殖能及び後世代に及ぼす影響に関する試験

催奇形性試験

生殖発生毒性試験

in vivo毒性試験

生殖発生毒性試験

哺乳類を用いる反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験

反復投与毒性試験(亜急性)又は反復投与毒性試験(慢性)及び生殖発生毒性試験

in vivo毒性試験

一般毒性等に関する試験及び

in vivo毒性試験

生殖発生毒性試験

変異原性試験(細菌を用いる復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験、マウスリンフォーマTK試験)

遺伝毒性試験(in vitroに限る)

in vitro毒性試験

変異原性試験(げっ歯類を用いる小核試験)

遺伝毒性試験(in vivoに限る)

in vivo毒性試験

一般毒性等に関する試験(遺伝毒性試験に限る)

がん原性試験

がん原性試験

in vivo毒性試験

一般毒性等に関する試験

生体内運命に関する試験

薬理学的試験

適宜、医薬品審査管理課化学物質安全対策室に相談されたい。

適宜、医薬品審査管理課化学物質安全対策室に相談されたい。

※1 平成26年11月24日以前に医薬品GLPに係る調査申請のあったものについて適合を確認した試験項目

※2 平成26年11月25日以降に医薬品GLPに係る調査申請のあったものについて適合を確認した試験区分