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○心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第83条第2項の規定による医療に要する費用の額の算定方法の施行に伴う実施上の留意事項について

(令和4年4月1日)

(障精発0401第7号)

(各地方厚生局健康福祉部長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知)

(公印省略)

今般、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第83条第2項の規定による医療に要する費用の額の算定方法の一部を改正する件(令和4年厚生労働省告示第108号)が公布され、本年4月1日より適用されることとなったところであるが、適用に伴う留意事項は別添のとおりであるので、貴管内指定医療機関に周知するとともに、関係制度の円滑な実施について遺漏なきを期されたい。

なお、「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第83条第2項の規定による診療方針及び医療による療養に要する費用の額の算定方法の施行に伴う実施上の留意事項について」(令和2年4月1日障精発0401第3号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課長通知)は、令和4年3月31日限りで廃止する。

第1部 基本診療料

第1節 入院料

1 入院対象者入院医学管理料

(1) 入院対象者入院医学管理料については、多職種チームにより、心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(平成15年法律第110号。以下「法」という。)第42条第1項第1号又は第61条第1項第1号の決定により入院している者(以下「入院対象者」という。)ごとに個別の治療プログラムを策定し、各職種が連携を図りながら医療を提供するとともに、入院対象者の治療段階をそれぞれ「急性期」、「回復期」、「社会復帰期」の3期に分け評価することにより、早期退院(概ね18ヶ月以内)を目指すものである。

(2) 入院対象者の各期別の評価は、多職種チームによる新病棟治療評価会議において行い、その評価結果については、新病棟運営会議において報告聴取を行うものとする。当該評価結果に基づき、当該指定入院医療機関の管理者は、急性期から回復期、回復期から社会復帰期への移行についての決定を行うものとする。これら、各期別の一連の評価結果については、その旨を診療録に記載するとともに、毎月、診療報酬請求の際に、「入院処遇ガイドライン」(平成17年7月14日障精発0714002号)Ⅱの4の3)記録等の標準化による関係するシート(以下「シート」という。)の写しを、指定医療機関が所在する都道府県の社会保険診療報酬支払基金(以下「支払基金」という。)に提出する。

また、19ヶ月以上にわたり入院している場合にも、その理由等必要な事項を診療録に記載するとともに、毎月、診療報酬請求の際に、シートの写しを支払基金に提出する。

(3) 当該入院対象者入院医学管理料には、医療観察精神科電気痙攣療法に係る費用、医療観察退院前訪問指導料及び医療観察持続性抗精神病注射薬剤治療指導管理料、1000点以上の画像診断、処置及び手術に係る費用(薬剤料及び特定保険医療材料を含む。)並びにクロザピン及び持続性抗精神病注射薬剤(投与開始日から起算して60日以内に投与された場合に限る。)に係る薬剤料は含まれていない。

(4) 入院対象者が、治療の一環として外泊した場合にも、当該入院対象者入院医学管理料を算定することができる。

(5) 入院対象者が、当該入院の原因となった疾病に起因した疾病に罹患し、当該指定入院医療機関の別の診療科又は別の医療機関において診療を行った場合は、その診療にかかる費用は、(3)に掲げた費用を除き、当該入院対象者入院医学管理料に含まれるものとする。

このとき、費用の請求に当たっては、当該指定入院医療機関が行うものとし、診療報酬明細書の摘要欄に当該指定入院医療機関の別の診療科又は別の医療機関において診療に要した費用について所定点数及び合計点数を併せて記載するとともに、当該診療報酬の分配は相互の合議に委ねる。

なお、この場合に、診療を行う必要を認めた日、その理由等必要な事項を診療録に記載するとともに、診療報酬明細書にもその旨記載する。

(6) 入院対象者入院医学管理料を算定する病棟における入院対象者の処遇については、「入院処遇ガイドライン」(平成17年7月14日障精発第0714002号)を参考とする。

(7) 「注3」の「別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たさない場合」とは、「基本診療料及び医療観察精神科専門療法の施設基準及びその届出に関する手続の取扱いについて」(平成17年8月2日障精発0802003号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神保健福祉課長通知)の第3の1の(5)に規定する施設基準を満たさない場合である。

(8) 「注4」の「急性増悪等やむを得ない場合」とは、急性増悪等により心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第92条第3項の規定に基づき厚生労働大臣が定める行動制限(平成17年厚生労働省告示第337号)を行っている場合とする。

(9) 「注4」の「難治性精神疾患への高度な医療を新たに導入する場合」とは、治療抵抗性統合失調症治療薬を導入するために必要な期間又は修正型電気痙攣療法を連続施行する期間とする。なお、治療抵抗性統合失調症治療薬とは、クロザピンのことをいう。

(10) 「注7」の「退院後の帰住先が遠隔地にある者」とは、入院対象者であって当該入院対象者が入院している指定入院医療機関と、当該入院対象者の帰住先を管轄する地方裁判所所在地との旅程が、最も合理的な通常の経路及び方法で、300km以上の旅程となる者とする。

(11) 「注7」の遠隔地加算は、指定入院医療機関が、退院に向けた計画的な治療を進めることができると判断した入院対象者につき、別紙様式1の退院促進治療計画書を毎月末に作成した場合に算定できるものとする。なお、退院促進治療計画書は診療報酬請求の際に、支払基金に提出するものとし、実際の治療状況が当初の計画と比べ、著しく遅延していると認められる場合及び帰住先に所在する都道府県の指定入院医療機関に転院できる場合には、算定できないものとする。

(12) 遠隔地加算の算定期間中に、入院対象者の病状が急性増悪し、又は社会復帰調整官による生活環境の調整を引き続き行う必要がある等の事情により、退院促進治療計画書に基づいた医療の提供を中止した場合にあっては、「注7」後段の規定は適用しない。

(13) 遠隔地加算の算定の開始及び退院促進治療計画書に基づいた医療の提供の中止については、新病棟治療評価会議(社会復帰調整官の出席した場合又は社会復帰調整官が出席することができない場合であって、あらかじめ当該社会復帰調整官の意見を聴いたときに限る。)において決定すること。

(14) 指定入院医療機関の変更の通知を受けた対象者の転院に必要な調整を行い、転院調整加算を算定する場合は、当該調整にかかる要点を診療録に記載する。

(15) 対象者の転院に必要な調整とは、他の指定入院医療機関への転院が実施される際に、転院前・後の指定入院医療機関が行う必要な記録の作成や受け渡し、時間管理の引き継ぎ等、転院後に入院対象者入院医学管理を円滑に実施するために必要な体制確保にかかる一連の調整をいう。

(16) 転院調整加算は、転院完了報告書を地方厚生局に提出するまでに一連の調整が完了しているものを算定の対象とする。

(17) 「注11」に規定する入院対象者入院医学管理料は、入院対象者の治療段階に関わらず、「イ」及び「ロ」を算定する。

第2節 通院料

1 通院対象者通院医学管理料

(1) 通院対象者通院医学管理料については、多職種チームによる、法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号による決定を受けた対象者(以下「通院対象者」という。)ごとに個別の治療プログラムを策定し、各職種が連携を図りながら医療を提供するとともに、通院対象者の治療段階をそれぞれ「通院前期」、「通院中期」、「通院後期」の3期に分け評価することにより、概ね3年以内に一般精神医療への移行を目指すものである。

(2) 通院対象者の各期別の評価は、多職種チーム会議において行うものとする。これら一連の評価結果については、その旨を診療録に記載するとともに、毎月、診療報酬請求の際に、「通院処遇ガイドライン」(平成17年7月14日障精発第0714002号)Ⅱの3の3)記録等の標準化による「指定通院医療機関における多職種チーム会議において整備すべき情報」のうち当該月に係る部分の写しを、支払基金に提出する。

(3) 当該通院対象者通院医学管理料には、心神喪失等の状況で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律第83条第2項の規定による診療報酬及び医療による療養に要する費用の額の算定方法に定めのあるものを除き、初・再診料、医学管理等(特定薬剤治療管理料及びてんかん指導料を除く。)、在宅医療、投薬(処方せん料に限る。)並びに100点未満の処置並びにそれに係る薬剤料及び特定保険医療材料が含まれている。

(4) 通院対象者が、当該通院の原因となった疾病に起因した疾病に罹患し、当該医療機関の別の診療科において診療を行った場合は、その診療にかかる費用は、(3)に掲げた費用を除き、別途算定することができる。

(5) 急性増悪包括管理料の算定対象となる通院対象者は、

① 行動は相当に妄想や幻覚に影響されている

② 意思の伝達や判断に著しい障害がある

③ 殆ど全ての生活領域で機能することができない

④ 当該通院対象者について法第33条に基づく申立てがなされた際における他害行為時の精神状態と同様に病状が悪化している場合

のいずれかの病状が認められ、精神保健指定医により集中的な精神医学管理(毎日通院対象者の状態を観察し服薬を確認する等)を行う必要があると判断された者に限る。

(6) 急性増悪包括管理料は、精神保健指定医の診察に基づき急性増悪等により集中的な精神医学管理を開始した日から1月を限度として算定することとしている。この場合において、算定期間が1月以内の場合又は算定開始日が月の途中となる場合は、1日につき1300点で算定する。

なお、1月の期間の計算は暦月によるものであり、例えば、7月15日~8月14日、11月20日~12月19日等と計算する。

(7) 急性増悪包括管理料を算定した日の属する月においては、1月間に16日以上中期通院対象者医学管理又は後期通院対象者医学管理が行われている場合に限り、同月において中期通院対象者通院医学管理料又は後期通院対象者通院医学管理料を算定することができる。

(8) 急性増悪包括管理料を算定し1月を経過した場合には、法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号の決定(以下「通院決定」という。)がなされた日から経過した期間に応じて中期通院対象者通院医学管理料又は後期通院対象者通院医学管理料を算定するものとする。

(9) 急性増悪包括管理料を算定している通院対象者が入院(法のみならず精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「精神保健福祉法」という。)等に基づく全ての入院を含む。)した場合には、入院した日以降、急性増悪包括管理料は算定できない。

(10) 急性増悪包括管理料を算定した場合には、必要と認めた日(算定開始日)、その理由等必要な事項を診療録に記載するとともに、診療報酬明細書にもその旨を記載する。

(11) 通院対象者通院医学管理料を算定する指定通院医療機関における通院対象者の処遇については、「通院処遇ガイドライン」(平成17年7月14日障精発第0714002号)を参考とする。

(12) 通院対象者通院医学管理の開始に必要な調整を行い、通院医学管理事前調整加算を算定する場合は、当該調整にかかる要点を診療録に記載する。

(13) 通院対象者通院医学管理の開始に必要な調整とは、法第38条による生活環境の調査若しくは法第101条による生活環境の調整を担当している保護観察所に対して通院対象者通院医学管理の開始に必要な調整を行う旨を伝達の上、予め当該決定前に当該対象者が入院している法第34条第1項に基づき鑑定入院を実施している医療機関(以下、「鑑定入院医療機関」という。)若しくは指定入院医療機関から指定通院医療機関が独自に当該対象者の医療等にかかる情報を直接収集して、法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号による決定後に通院対象者通院医学管理を円滑に実施するために必要な体制確保にかかる一連の調整を言う。

(14) 通院医学管理事前調整加算は、法第42条第1項第2号又は第51条第1項第2号による決定がなされた日の前日までに一連の調整が完了しているものを算定の対象とする。

(15) 通院医学管理情報提供加算を算定する場合は、算定の都度、ケア会議開催日時、指定通院医療機関のケア会議参加者名、保護観察所を含む関係機関への情報提供の要点を診療録に記載する。

(16) ケア会議が開催されていない月における通院対象者の医療等の情報提供については、通院対象者通院医学管理料に含まれる。

2 医療観察情報提供料

(1) 医療観察情報提供料は、地域等の事情により、単独の指定通院医療機関において法第81条の医療を提供できない場合に、複数の指定通院医療機関で連携し、当該医療を提供する指定通院医療機関による診療に係る情報提供を評価することにより、指定通院医療機関の連携の強化を図ろうとするものである。

(2) 医療観察情報提供料は、(1)の場合において、通院対象者に説明し、その同意を得て通院対象者通院医学管理料を算定していない指定通院医療機関(病院及び診療所に限る。)から他の指定通院医療機関(病院及び診療所であって、通院医学管理を行っている指定通院医療機関に限る。)に対して、診療状況を示す文書により医療観察情報提供を行った場合、対象者1人つき月1回に限り算定する。

第2部 医療観察精神科専門療法

1 医療観察精神科電気痙攣療法

(1) 医療観察精神科電気痙攣療法は、症状から特に必要があると判断する場合に行うものとする。

(2) 医療観察精神科電気痙攣療法とは、100ボルト前後の電流を頭部に短時間通電することを反復し、各種の精神症状の改善を図る療法をいい、マスク又は気管内挿管による閉鎖循環式全身麻酔を伴い、精神科を担当する医師が行った場合に限り、1日1回に限り算定する。

(3) 医療観察精神科電気痙攣療法は、当該療法について十分な知識を有する医師が実施すべきものであり、当該医師以外の介助者の立会いの下に、何らかの副作用が生じた際に適切な処置がとり得る準備の下に行わなければならない。

(4) 医療観察精神科電気痙攣療法を実施する場合は、当該麻酔に要する費用は所定点数に含まれ、別に算定できない。ただし、当該麻酔に伴う薬剤料及び特定保険医療材料は別途算定できる。

(5) 「注3」に規定する加算は、麻酔科標榜医により、質の高い麻酔が提供されることを評価するものである。当該加算を算定する場合には、当該麻酔科標榜医の氏名、麻酔前後の診察及び麻酔の内容を診療録に記載する。なお、麻酔前後の診察について記載された麻酔記録又は麻酔中の麻酔記録の診療録への添付により診療録への記載に代えることができる。

(6) 当該療法を行った場合には、その必要性等について診療録に記載するとともに、診療報酬明細書にもその旨を記載する。

2 医療観察精神科退院前訪問指導料

(1) 医療観察精神科退院前指導料は、入院対象者の退院に先立ち、患家又は宿泊型自立訓練施設、就労継続支援事業所等を訪問し、当該入院対象者の病状、生活環境及び家族関係等を考慮しながら、当該入院対象者の家族等、退院後当該入院対象者の看護や相談に当たる者に対して、退院後の療養に係る調整又は療養上の指導を行った場合に算定する。なお、医師の指示を受けて指定入院医療機関の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士が訪問し、指導を行った場合にも算定できる。

(2) 医療観察精神科退院前訪問指導料は、1回の入院につき3回を限度として指導の実施日にかかわらず退院日に算定する。

(3) 「注2」の加算は、入院対象者の社会復帰に向けた調整等を行うにあたり、必要があって複数の職種が共同して指導を行った場合に算定するものであり、単一の職種の複数名による訪問の場合は対象としない。

(4) 医療観察精神科退院前訪問指導を行った場合は、指導内容の要点を診療録等に記載する。

(5) 医療観察精神科退院前訪問指導に当たっては、指定入院医療機関における看護業務等に支障を来すことのないよう留意する。

3 医療観察通院精神療法

(1) 医療観察通院精神療法(簡便型精神分析療法を含む。以下同じ。)とは、精神疾患又は精神症状を伴う脳器質性障害(以下「対象精神疾患」という。)のため通院対象者(通院対象者の著しい病状改善に資すると考えられる場合にあっては、当該通院対象者の家族)に対して、医師が一定の治療計画のもとに危機介入、対人関係の改善、社会適応能力の向上を図るための指示、助言等の働きかけを継続的に行う治療方法をいう。

なお、精神疾患とは、ICD―10(国際疾病分類)の第5章「精神および行動の障害」に該当する疾病又は第6章に規定する「アルツハイマー<Alzheimer>病」、「てんかん」及び「睡眠障害」に該当する疾病をいう。

(2) 医療観察通院精神療法は、精神科を担当する医師が行った場合に限り算定する。

(3) 医療観察通院精神療法は、同時に複数の通院対象者又は複数の家族を対象に集団的に行われた場合には算定できない。

(4) 医療観察通院精神療法の「イ」及び「ハ」の(2)は、診療に要した時間が5分を超えた時に限り、算定する。

(5) 医療観察通院精神療法の「ロ」は、通院決定を受けた後に初めて指定通院医療機関において診療を行った時(以下「初診時」という。)において、診療に要した時間が60分以上の場合に限り算定することとし、医療観察通院精神療法の「ハ」の(1)は、診療に要した時間が30分以上の場合に限り算定する。この場合において診療に要した時間とは、医師自らが通院対象者に対して行う問診、身体診察(視診、聴診、打診及び触診)及び当該通院精神療法に要する時間をいい、これら以外の診療に要する時間は含まない。

(6) 医療観察通院精神療法を算定する場合に当たっては、診療録に当該診療に要した時間を記載すること。ただし、当該診療に要した時間が明確でない場合には、当該診療に要した時間が5分又は30分を超えたことが明らかであると判断される精神療法を行った場合に限り、「○分超」などの記載でも差し支えない。また、医療観察通院精神療法の「ロ」を算定する場合にあっては、診療報酬明細書の摘要欄に当該診療に要した時間を記載する。

(7) 当該通院対象者の家族に対する医療観察通院精神療法は、当該家族に対し専門的見地から精神療法を行うことが当該通院対象者の社会復帰を促進するために重要であると推定される場合に限り、週1回に限り算定する。このとき、当該通院対象者に対して医療観察通院精神療法を行った日と同一の日に別途行った場合も算定できる。ただし、当該通院対象者の病状説明、服薬指導等一般的な療養指導である場合は、算定できない。

(8) 医療観察通院精神療法を行った場合(家族に対して行った場合を含む。)は、その要点を診療録に記載する。

(9) 「注4」に規定する医療観察児童思春期精神科専門管理加算は、児童思春期精神科の専門の医師(精神保健指定医に指定されてから5年以上にわたって主に20歳未満の患者に対する精神医療に従事した医師であって、現に精神保健指定医である医師をいう。)又は当該専門の医師の指導の下、精神療法を実施する医師が、20歳未満の患者に対し、専門的な精神療法を実施した場合に算定する。

(10) 「注4」については、発達障害や虐待の有無等を含む精神状態の総合的な評価、鑑別診断及び療育方針の検討等が必要な者に対し、発達歴や日常生活の状況の聴取・行動観察等に基づく、60分以上の専門的な精神療法を実施すること。なお、実施に当たっては、以下の要件をいずれも満たすこと。

イ 発達障害の評価に当たっては、ADI―R(Autism Diagnostic Interview‐Revised)やDISCO(The Diagnostic Interview for Social and Communication Disorders)等で採用されている診断項目を考慮すること。

ロ 通院対象者及び通院対象者の家族に、今後の診療計画について文書及び口頭で説明すること。説明に用いた診療計画の写しを診療録に添付すること。

(11) 「注5」の医療観察特定薬剤副作用評価加算は、抗精神病薬を服用中の通院対象者について、指定通院医療機関の精神保健指定医又はこれに準ずる者が、通常行うべき薬剤の副作用の有無等の確認に加え、更に薬原性錐体外路症状評価尺度(DIEPSS)を用いて定量的かつ客観的に薬原性錐体外路症状の評価を行った上で、薬物療法の治療方針を決定した場合に、月1回に限り算定する。この際、別紙様式2に準じて評価を行い、その結果と決定した治療方針について、診療録に記載する。

4 医療観察認知療法・認知行動療法

(1) 医療観察認知療法・認知行動療法とは、入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者のうつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害又は神経性過食症の患者に対して、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって治療することを目的とした精神療法をいう。

(2) 医療観察認知療法・認知行動療法は、一連の治療計画を策定し、通院対象者に対して詳細な説明を行った上で、当該療法に関する研修を受講するなど当該療法に習熟した指定通院医療機関の医師によって30分を超えて治療が行われた場合(「ロ」において、看護師により30分を超える面接が行われ、その後当該療法に習熟した医師により5分以上の面接が行われた場合を含む。)に算定する。

(3) 一連の治療につき16回に限り算定する。

(4) 医療観察認知療法・認知行動療法と同一日に行う他の医療観察精神科専門療法は、別に算定できない。ただし、前期通院対象者通院医学管理料を算定した月において、医療観察認知療法・認知行動療法の前後に医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合にあっては、この限りではない。

(5) うつ病等の気分障害の通院対象者に対する医療観察認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「うつ病の認知療法・認知行動療法治療者用マニュアル」(平成21年度厚生労働省こころの健康科学研究事業「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(6) 強迫性障害の通院対象者に対する医療観察認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「強迫性障害(強迫症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(7) 社交不安障害の通院対象者に対する医療観察認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「社交不安障害(社交不安症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(8) パニック障害の通院対象者に対する医療観察認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「パニック障害(パニック症)の認知行動療法マニュアル(治療者用)」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(9) 心的外傷後ストレス障害に対する認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、厚生労働科学研究班作成の「PTSD(心的外傷後ストレス障害)の認知行動療法マニュアル〔持続エクスポージャー療法/PE療法」(平成27年度厚生労働省障害者対策総合研究事業「認知行動療法等の精神療法の科学的エビデンスに基づいた標準治療の開発と普及に関する研究」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(10) 神経性過食症に対する医療観察法認知療法・認知行動療法の実施に当たっては、国立研究開発法人国立・精神神経医療研究センター研究班作成の「摂食障害に対する認知行動療法CBT―E簡易マニュアル」(平成29年度国立研究開発法人国立・精神神経医療研究センター精神・神経疾患研究開発費研究事業「心身症・摂食障害の治療プログラムと臨床マーカーの検証」)に従って行った場合に限り、算定できる。

(11) 医療観察認知療法・認知行動療法を行った場合は、その要点及び診療時間を診療録に記載する。

(12) 医療観察認知療法・認知行動療法の「ロ」は、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合するものとして地方厚生局長に届け出た指定医療機関において、入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者のうつ病等の気分障害、強迫性障害、社交不安障害、パニック障害、心的外傷後ストレス障害又は神経性過食症の患者に対して、医師が治療を行うに当たり、治療に係る面接の一部を専任の看護師が実施した場合に算定する。ただし、この場合にあっては、次の全てを満たすこと。

イ 初回時又は治療終了時を予定する回の治療に係る面接は専任の医師が実施し、専任の看護師が同席すること。

ロ 初回から治療を終了するまでの間の治療は、初回時に同席した看護師が実施し、当該看護師による面接後に、専任の医師が5分以上面接すること。

ハ 看護師が面接を実施する場合は、患者の同意を得た上で当該面接の内容を録音し、専任の医師はその内容を、指示又は指導の参考とすること。

(13) 医療観察認知療法・認知行動療法の「イ」及び「ロ」は、一連の治療において同一の点数を算定する。ただし、「ロ」の要件を満たす場合のうち、医師と看護師が同席して30分以上の面接を行った日に限り、「イ」の点数を算定できる。

5 医療観察通院集団精神療法

(1) 医療観察通院集団精神療法とは、対象精神疾患を有する通院対象者に対して、治療計画に基づき、集団内の対人関係の相互作用を用いて、自己洞察の深化、社会適応技術の習得、対人関係の学習等をもたらすことにより病状の改善を図る治療法をいう。

(2) 医療観察通院集団精神療法は、指定通院医療機関において精神科を担当する医師と、1人以上の精神保健福祉士又は公認心理師により構成される2人以上の者が行った場合に限り算定する。

(3) 1回に10人に限り、1日につき1時間以上実施した場合に、前期通院対象者通院医学管理料を算定した月は週2回に限り、それ以外の場合には週1回に限り算定する。

(4) 医療観察通院集団精神療法を実施した場合は、診療開始日、その要点を個々の通院対象者の診療録に記載する。

(5) 医療観察通院集団精神療法と同一日に行う他の医療観察精神科専門療法は、別に算定できない。ただし、前期通院対象者通院医学管理料を算定した月において、医療観察通院集団精神療法の前後に医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合にあっては、この限りではない。

5―2 医療観察依存症集団療法

(1) 医療観察依存症集団療法の「イ」については、次のイからハまでのいずれも満たす場合に算定できる。

イ 入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者であって、覚醒剤(覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)第2条に規定する覚醒剤をいう。)、麻薬(麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第1号に規定する麻薬をいう。)、大麻(大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条に規定する大麻をいう。)又は危険ドラッグ(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第2条第15項に規定する指定薬物又は指定薬物と同等以上の精神作用を有する蓋然性が高い薬物、ハーブ、リキッド、バスソルト等をいう。)に対する物質依存の状態にあるものについて、精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師で構成される2人以上の者(このうち1人以上は、当該療法の実施時間において専従する精神科医、看護師又は作業療法士(いずれも薬物依存症集団療法に関する適切な研修を修了した者に限る。)であること。)が、認知行動療法の手法を用いて、薬物の使用を通院対象者自らコントロールする手法等の習得を図るための指導を行うこと。

ロ 1回に20人を限度として、90分以上実施すること。

ハ 平成22~24年度厚生労働科学研究費補助金障害者対策総合研究事業において「薬物依存症に対する認知行動療法プログラムの開発と効果に関する研究」の研究班が作成した、「物質使用障害治療プログラム」に沿って行うこと。

(2) 医療観察依存症集団療法の「ロ」については、次のイからハまでのいずれも満たす場合に算定できる。

イ 入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者であって、ギャンブル(ギャンブル等依存症対策基本法(平成30年法律第74号)第2条に規定するギャンブル等をいう。)に対する依存の状態にあるものについて、精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師で構成される2人以上の者(このうち1人以上は、当該療法の実施時間において専従する精神科医、看護師又は作業療法士(いずれもギャンブル依存症集団療法に関する適切な研修を修了した者に限る。)であること。)が、認知行動療法の手法を用いて、ギャンブルの実施を通院対象者自らコントロールする手法等の習得を図るための指導を行うこと。

ロ 1回に10人を限度として、60分以上実施すること。

ハ 平成28~30年度日本医療研究開発機構障害者対策総合研究開発事業において「ギャンブル障害の疫学調査、生物学的評価、医療・福祉・社会的支援のありかたについての研究」の研究班が作成した、「ギャンブル障害の標準的治療プログラム」に沿って行うこと。

(3) 医療観察依存症集団療法の「ハ」については、次のイからニまでのいずれも満たす場合に算定できる。

イ 入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者であって、アルコールに対する依存の状態にあるものについて、精神科医又は精神科医の指示を受けた看護師、作業療法士、精神保健福祉士若しくは公認心理師で構成される2人以上の者(このうち1人以上は、当該療法の実施時間において専従する精神科医、看護師又は作業療法士(いずれもアルコール依存症集団療法に関する適切な研修を修了した者に限る。)であること。)が、認知行動療法の手法を用いて、アルコールの使用を患者自らコントロールする手法等の習得を図るための指導を行うこと。

ロ 1回に10人に限り、60分以上実施すること。

ハ 治療プログラムはアルコール依存症の治療に関する動機付け面接及び認知行動療法の考え方に基づくプログラムであること。

ニ 当該指導を行う精神保健福祉士又は公認心理師については、次に該当する研修を修了している者であること。

① 国又は医療関係団体が主催する研修であること(8時間以上の研修時間であるもの。)。

② 研修内容に以下の内容を含むこと。

(ア) アルコール依存症の概念と治療

(イ) アルコール依存症のインテーク面接

(ウ) アルコール依存症と家族

(エ) アルコールの内科学

(オ) アルコール依存症のケースワーク・事例検討

(カ) グループワーク

③ 研修にはデモセッションの見学や、実際のプログラム実施法に関するグループワーク等を含むこと。

(4) 医療観察依存症集団療法実施後に、精神科医及び精神科医の指示を受けて当該療法を実施した従事者が、個別の通院対象者の理解度や精神状態等について評価を行い、その要点を診療録等に記載すること。

6 医療観察精神科作業療法

(1) 医療観察精神科作業療法は、精神疾患を有する者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される作業内容の種類にかかわらずその実施時間は通院対象者1人当たり1日につき2時間を標準とする。

(2) 医療観察精神科作業療法は、1人の作業療法士が、通院対象者を含む精神障害者に対して当該医療観察精神科作業療法を実施した場合に、当該通院対象者について算定する。この場合の1日当たりの取扱い精神障害者数は、概ね25人を1単位として、1人の作業療法士の取扱い精神障害者数は1日2単位50人以内を標準とする。

(3) 医療観察精神科作業療法を実施した場合は、その要点を個々の通院対象者の診療録等に記載する。

(4) 医療観察精神科作業療法に要する消耗材料及び作業衣等については、指定通院医療機関の負担とする。

7 医療観察精神科ショート・ケア

(1) 医療観察精神科ショート・ケアは、精神疾患を有する者の社会生活機能の回復を目的として個々の通院対象者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は通院対象者1人当たり1日につき3時間を標準とする。

なお、この実施に当たっては、当該通院対象者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。

(2) 「大規模なもの」については、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成した場合に算定する。なお、診療終了後に当該計画に基づいて行った診療方法や診療結果について評価を行い、その要点を診療録等に記載している場合には、参加者個別のプログラムを実施することができる。

(3) 医療観察精神科ショート・ケアは入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者に限り算定する。

なお、医療観察精神科ショート・ケアを算定している通院対象者に対しては、同一日に行う他の医療観察精神科専門療法は、別に算定できない。ただし、前期通院対象者通院医学管理料を算定した月において、医療観察精神科ショート・ケアの前後に医療観察精神科訪問看護・指導が行われる場合にあっては、この限りではない。

(4) 医療観察精神科ショート・ケアと医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアの届出を併せて行っている指定通院医療機関にあっては、医療観察精神科ショート・ケアと医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアを各々の通院対象者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアを算定する通院対象者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。

なお、同一日に実施される医療観察精神科ショート・ケアの通院対象者数と医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアの通院対象者数の合計は、医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアの届出に係る通院対象者数の限度を超えることはできない。この場合において、医療観察精神科ショート・ケアの対象患者数の計算に当たっては、医療観察精神科デイ・ケアの対象患者数の2分の1として計算する。

(5) 医療観察精神科ショート・ケアに要する消耗材料等については、当該指定医療機関の負担とする。

(6) 「注4」に規定する医療観察通院前期・中期加算の対象となる通院対象者は、前期通院対象者通院医学管理料又は中期通院対象者通院医学管理料を算定している通院対象者であって、入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者であること。

(7) 「注6」については、40歳未満の患者(通院対象者含む。以下同じ。)で構成される10人以下の患者グループに対し、あらかじめ治療内容や到達目標を示した治療計画を作成し、個々の通院対象者に説明し、治療の目的について通院対象者本人が理解できるよう文書で説明し同意を得た上で、治療計画に従って当該患者グループに対し医療観察精神科ショート・ケアを実施した場合に、それぞれの通院対象者について算定する。当該加算は、あらかじめ治療計画に記載された治療期間のみ算定できる。一連の治療計画に従って医療観察精神科ショート・ケアを実施している間は、患者グループを構成する患者は固定されることが望ましいが、患者グループの人数が10人に満たない場合であって、既に患者グループを構成する患者の治療に支障のない場合には、治療計画の途中で新たな患者を患者グループに加えることも差し支えない。なお、自閉症スペクトラム及びその近縁の発達障害の通院対象者に対する医療観察精神科ショート・ケアの実施に当たっては、「発達障害専門プログラム」(日本医療研究開発機構「発達障害者の特性をふまえた精神科ショートケア・プログラムの開発と臨床応用に関する研究」において作成)を参考に行うことが望ましい。

(8) 「注6」の対象患者は、自閉症スペクトラム及びその近縁の発達障害、薬物依存症若しくは病的賭博のいずれかの疾患を有する患者又はこれらの複数の疾患を併せ持つ患者とする。一連の治療計画において治療の対象となる疾患はいずれか一つであり、例えば自閉症スペクトラムの治療のために医療観察精神科ショート・ケアを実施する患者と薬物依存症のために医療観察精神科ショート・ケアを実施する患者が、治療計画を共有する同一の患者グループを構成することはできない。

(9) 医療観察精神科ショート・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

8 医療観察精神科デイ・ケア

(1) 医療観察精神科デイ・ケアは精神疾患を有する者の社会生活機能の回復を目的として個々の通院対象者に応じたプログラムに従ってグループごとに治療するものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は通院対象者1人当たり1日につき6時間を標準とする。

なお、この実施に当たっては、当該通院対象者の症状等に応じたプログラムの作成、効果の判定等に万全を期すること。

(2) 「大規模なもの」については、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成した場合に算定する。なお、診療終了後に当該計画に基づいて行った診療方法や診療結果について評価を行い、その要点を診療録等に記載している場合には、参加者個別のプログラムを実施することができる。

(3) 医療観察精神科デイ・ケアは入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者に限り算定する。

なお、医療観察精神科デイ・ケアを算定している通院対象者に対しては、同一日に行う他の医療観察精神科専門療法は、別に算定できない。ただし、前期通院対象者通院医学管理料を算定した月において、医療観察精神科デイ・ケアの前後に医療観察精神科訪問看護・指導が行われる場合にあっては、この限りではない。

(4) 治療の一環として治療上の目的を達するために食事を提供する場合にあっては、その費用は所定点数に含まれる。

(5) 「注4」に掲げる医療観察通院前期・中期加算の対象となる通院対象者は、前期通院対象者通院医学管理料又は中期通院対象者通院医学管理料を算定している通院対象者であって、入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者であること。

(6) 同一の通院対象者に対して同一日に医療観察精神科デイ・ケアと医療観察精神科ナイト・ケアを併せて実施した場合は、医療観察精神科デイ・ナイト・ケアとして算定する。

(7) 医療観察精神科デイ・ケアに要する消耗材料等については、当該指定通院医療機関の負担とする。

(8) 医療観察精神科デイ・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

9 医療観察精神科ナイト・ケア

(1) 医療観察精神科ナイト・ケアは、通院対象者の症状から特に必要があると判断される場合に算定するものとする。

(2) 医療観察精神科ナイト・ケアは精神疾患を有する者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、その開始時間は午後4時以降とし、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は通院対象者1人当たり1日につき4時間を標準とする。

(3) 医療観察精神科ナイト・ケアを算定している通院対象者に対しては、同一日に行う他の医療観察精神科専門療法は、別に算定できない。

(4) その他医療観察精神科ナイト・ケアの取扱いについては、医療観察精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。

(5) 医療観察精神科ナイト・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

10 医療観察精神科デイ・ナイト・ケア

(1) 医療観察精神科デイ・ナイト・ケアは、通院対象者の症状から特に必要があると判断される場合に算定するものとする。

(2) 医療観察精神科デイ・ナイト・ケアは精神疾患を有する者の社会生活機能の回復を目的として行うものであり、実施される内容の種類にかかわらず、その実施時間は通院対象者1人当たり1日につき10時間を標準とする。

(3) 医療観察精神科デイ・ナイト・ケアと医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアを行っている指定通院医療機関にあっては、医療観察精神科デイ・ナイト・ケアと医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアを各々の通院対象者に対して同時に同一施設で実施することができる。この場合、医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアを算定する通院対象者は、各々に規定する治療がそれぞれ実施されている場合に限り、それぞれ算定できる。

なお、同一日に実施される医療観察精神科デイ・ナイト・ケアを受ける通院対象者数と医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科ナイト・ケアを受ける通院対象者数の合計は、医療観察精神科デイ・ケア又は医療観察精神科デイ・ナイト・ケアの届出に係る通院対象者数の限度を超えることはできない。

(4) 医療観察精神科デイ・ナイト・ケアを算定している通院対象者に対しては、同一日に行う他の医療観察精神科専門療法は、別に算定できない。

(5) 「注4」に規定する加算の対象となる通院対象者は、多職種が共同して疾患等に応じた診療計画を作成して行った場合に、加算する。なお、診療終了後に、当該計画に基づいて行った診療方法や診療結果について評価を行い、その要点を診療録等に記載している場合には、参加者個別のプログラムを実施することができる。

(6) その他医療観察精神科デイ・ナイト・ケアの取扱いについては、医療観察精神科デイ・ケアの取扱いに準じて行う。

(7) 医療観察精神科デイ・ナイト・ケアを行った場合は、その要点及び診療時間を診療録等に記載する。

11 医療観察精神科訪問看護・指導料

(1) 医療観察精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)及び(Ⅲ)は、精神科を担当している医師の指示を受けた心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律施行令(平成16年政令第310号。以下「令」という。)第1条各号に掲げるものを除いた指定通院医療機関(11において同じ。)の保健師、看護師、作業療法士又は精神保健福祉士(以下「保健師等」という。)が、入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の通院対象者又はその家族等の了解を得て患家等を訪問し、個別に当該通院対象者又はその家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合に算定する。

(2) 「注5」の医療観察精神科訪問看護・指導料の算定回数は、週(日曜日から土曜日までの連続した7日間をいう。)について計算する。また、「注5」ただし書の算定回数は、急性増悪した日から連続した7日間について計算する。同一日に複数回医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合であっても、1日につき1回に限り算定する。

(3) 「注5」のただし書に規定する場合とは、通院対象者が急性増悪した状態であって、指定通院医療機関の医師が通院対象者を直接診察した上で、医療観察精神科訪問看護・指導の必要性を認め、指示した場合である。また、「注6」に規定する場合には、指定通院医療機関の医師が通院対象者を直接診察していない場合であっても、当該通院対象者に対して医療観察精神科訪問看護・指導を行った保健師等からの情報により、指定通院医療機関の医師が通院対象者の病状を充分に把握し、必要と判断して、指示した場合を含むものとする。

(4) 「注5」ただし書に規定する場合及び「注6」に規定する場合においては、それぞれの指示は月に1回ずつに限り、その必要性について、急性増悪の状態及び指示内容の要点と併せて診療録に記載し、診療報酬明細書にもその必要性について記載する。

(5) 医療観察精神科訪問看護・指導料(Ⅲ)は、医療観察精神科訪問看護・指導を受けようとする同一建物居住者に対して、当該通院対象者を診察した指定通院医療機関の保健師等を訪問させて、看護又は療養上必要な指導を行った場合(「注5」ただし書及び「注6」に規定する場合を除く。)に、次のイ又はロにより、一人の通院対象者につき前期通院医学管理料を算定している場合は週5日、それ以外は週3日を限度として算定する。

イ 同一日に訪問した同一建物居住者が2人の場合は、当該通院対象者全員に対して、(1)により算定

ロ 同一日に訪問した同一建物居住者が3人以上の場合は、当該通院対象者全員に対して、(2)により算定

(6) 同一建物居住者とは、原則として、建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に掲げる建築物に居住する複数の通院対象者のことをいうが、具体的には、例えば以下のような通院対象者のことをいう。

イ 老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の4に規定する養護老人ホーム、同法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム、同法第20条の6に規定する軽費老人ホーム、同法第29条第1項に規定する有料老人ホーム、マンションなどの集合住宅等に入居又は入所している複数の通院対象者

ロ 介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第9項に規定する短期入所生活介護、同条第18項に規定する小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第63条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、同法第8条第19項に規定する認知症対応型共同生活介護、同法第8条の2第9項に規定する介護予防短期入所生活介護、同条第16項に規定する介護予防小規模多機能型居宅介護(指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)第44条第5項に規定する宿泊サービスに限る。)、同法第8条の2第17項に規定する介護予防認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の通院対象者

(7) 医療観察精神科訪問看護・指導料(Ⅰ)及び(Ⅲ)は、1回の訪問の実施時間に基づき、30分未満又は30分以上の時間区分のいずれか一方の所定点数の算定を行うこと。30分未満の訪問については、当該通院対象者に短時間訪問の必要性があると医師が認めた場合にのみ算定する。

(8) 同一の対象者について、複数の指定通院医療機関や訪問看護事業型指定通院医療機関において医療観察精神科訪問看護・指導を行う場合は、当該指定通院医療機関及び訪問看護事業型指定通院医療機関間において十分に連携を図ること。具体的には、医療観察精神科訪問看護・指導の実施による対象者の目標の設定、計画の立案、医療観察精神科訪問看護・指導の実施状況及び評価を共有すること。

(9) 介護保険法第8条第20項に規定する認知症対応型共同生活介護を行う施設、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13年法律第26号)第5条第1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に規定する障害福祉サービスを行う施設又はその他の高齢者向け施設等に入所している通院対象者に医療観察精神科訪問看護・指導を行う場合においては、介護保険等による医療及び看護サービスの提供に係る加算の算定等を含む当該施設における利用者の医療ニーズへの対応について確認し、当該施設で行われているサービスと十分に連携をとること。また、当該施設において当該指定通院医療機関が日常的な健康管理等(法によるものを除く。)を行っている場合は、健康管理等と医療観察精神科訪問看護・指導と区別して実施する。

(10) 「注3」に規定する医療観察複数名精神科訪問看護・指導加算は、指定通院医療機関の医師が、複数の保健師等、准看護師等(准看護師又は看護補助者をいう。以下同じ。)による患家への訪問が必要と判断し、通院対象者又はその家族等に同意を得て、当該医師の指示を受けた当該指定通院医療機関の保健師等と保健師等又は准看護師等が、通院対象者又はその家族等に対して看護及び社会復帰指導等を行った場合に算定する。単に2人の保健師等又は准看護師等が同時に医療観察精神科訪問看護・指導を行ったことのみをもって算定することはできない。

(11) 保健師等と同行する准看護師等は、常に同行する必要はないが、必ず患家において両者が同時に滞在する一定の時間を確保する必要がある。

(12) 「注4」の医療観察長時間精神科訪問看護・指導加算は、急性増悪により長時間の訪問を要する者に対して、1回の医療観察精神科訪問看護の時間が90分を超えた場合、週1回に限り所定点数に加算する。

(13) 「注7」の夜間・早朝訪問看護加算は、夜間(午後6時から午後10時までをいう。)又は早朝(午前6時から午前8時までの時間をいう。)に医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合に、医療観察深夜訪問看護加算は、深夜(午後10時から午前6時までをいう。)に医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合に、所定点数を加算する。当該加算は、医療観察精神科緊急訪問看護加算との併算定を可とする。

(14) (13)は通院対象者の求めに応じて、当該時間に医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合に算定できるものであり、指定通院医療機関の都合により、当該時間に保健師等を訪問させて医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合には算定できない。

(15) 「注8」の医療観察精神科緊急訪問看護加算は、精神科訪問看護計画に基づき定期的に行う医療観察精神科訪問看護・指導以外であって、通院対象者又はその家族等の緊急の求めに応じて、指定通院医療機関の医師の指示により、保健師等が医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合に1日につき1回に限り加算する。

(16) 医療観察精神科緊急訪問看護加算に係る医療観察精神科緊急訪問看護を行った場合は、速やかに指示を行った指定通院医療機関の医師に通院対象者の病状等を報告するとともに、必要な場合は医療観察精神科特別訪問看護指示書の交付を受け、精神科訪問指導計画について見直しを行う。

(17) 指定通院医療機関の医師は、保健師等に対して行った指示内容の要点を診療録に記載する。

(18) 保健師等は、指定通院医療機関の医師の指示に基づき行った指導の内容の要点、月の初日の訪問看護・指導時におけるGAF尺度により判定した値並びに医療観察精神科訪問看護・指導を実施した際の開始時刻及び終了時刻を記録する。また、指定通院医療機関における日々の医療観察精神科訪問看護・指導を実施した通院対象者氏名、訪問場所、訪問時間(開始時刻及び終了時刻)及び訪問人数等について記録し、保管しておく。

(19) 「注9」に規定する交通費は実費とする。

(20) 医療観察精神科訪問看護・指導料を算定している通院対象者に対して同一日に行う他の医療観察精神科専門療法は、別に算定できない。ただし、前期通院対象者通院医学管理料を算定した月において、医療観察精神科訪問看護・指導の前後に医療観察精神科ショート・ケア、医療観察精神科デイ・ケア、医療観察精神科集団療法又は医療観察認知療法・認知行動療法を行う場合にあっては、この限りではない。

(21) 「注12」に規定する医療観察特別地域訪問看護加算は、当該指定通院医療機関の所在地から患家までの訪問につき、最も合理的な通常の経路及び方法で片道1時間以上要する通院対象者に対して、基本診療料及び医療観察精神科専門療法の施設基準等(平成17年厚生労働省告示366号。以下「基準告示」という。)第3の10に規定する地域(以下「特別地域」という。)に所在する指定通院医療機関の保健師等が医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合又は特別地域外に所在する指定通院医療機関の保健師等が、特別地域に居住する通院対象者に対して医療観察精神科訪問看護・指導を行った場合に、医療観察精神科訪問看護・指導料の所定点数(注に規定する加算は含まない。)の100分の50に相当する点数を加算する。なお、当該加算は、交通事情等の特別の事情により訪問に要した時間が片道1時間以上となった場合は算定できない。医療観察特別地域訪問看護加算を算定する指定通院医療機関は、その所在地又は患家の所在地が特別地域に該当するか否かについては、地方厚生局に確認すること。

12 医療観察精神科訪問看護指示料

(1) 医療観察精神科訪問看護指示料は、入院(精神保健福祉法に基づく入院も含む。)中以外の通院対象者であって、適切な在宅医療を確保するため、医療観察訪問看護に関する指示を行うことを評価するものであり、通院対象者の通院医学管理を行っている指定通院医療機関の医師(以下「主治医」という。)が診療に基づき医療観察訪問看護の必要性を認め、当該通院対象者又はその家族等の同意を得て、別紙様式3を参考に作成した医療観察精神科訪問看護指示書に有効期間(6月以内に限る。)を記載して、令第1条各号に掲げる指定通院医療機関(以下「訪問看護事業型指定通院医療機関」という。)に対して交付した場合に算定する。なお、1ヶ月の指示を行う場合には、医療観察精神科訪問看護指示書に有効期間を記載することを要しない。

(2) 医療観察精神科訪問看護指示書を交付した主治医は、在宅療養に必要な衛生材料及び医療材料(以下「衛生材料等」という。)の量の把握に努め、十分な量の衛生材料等を通院対象者に支給すること。

(3) 医療観察訪問看護の指示は、当該通院対象者に対して主として診療を行う指定通院医療機関が行うことを原則とし、在宅での療養を行っている通院対象者について月1回に限り算定できる。なお、同一月において、1人の通院対象者について複数の訪問看護事業型指定通院医療機関に対して医療観察精神科訪問看護指示書を交付した場合であっても、当該指示料は、1月に1回に限り算定するものであること。

(4) 「注2」に規定する医療観察精神科特別訪問看護指示加算は、当該通院対象者が服薬中断等により急性増悪した場合であって、当該通院対象者の主治医が、一時的に頻回又は長時間の医療観察訪問看護を当該通院対象者に対して行う必要性を認め、当該通院対象者又はその家族等の同意を得て、別紙様式4を参考に作成した医療観察精神科特別訪問看護指示書を、訪問看護事業型指定通院医療機関に対して交付した場合に、1月に1回に限り算定する。ここでいう「一時的に頻回又は長時間の医療観察訪問看護を行う必要性」とは、恒常的な頻回又は長時間の医療観察訪問看護の必要性ではなく、状態の変化等で日常行っている医療観察訪問看護の回数又は時間では対応できない場合である。また、その理由等については、医療観察精神科特別訪問看護指示書に記載する。

なお、当該頻回又は長時間の医療観察訪問看護は、当該医療観察精神科特別訪問看護の指示に係る診療の日から14日以内に限り実施する。

(5) 通院対象者の診療を行った指定通院医療機関の医師は、医療観察訪問看護の必要性を認めた場合には、診療に基づき速やかに医療観察精神科訪問看護指示書及び医療観察精神科特別訪問看護指示書(以下「医療観察精神科訪問看護指示書等」という。)を作成する。当該医療観察精神科訪問看護指示書等には、緊急時の連絡先として、診療を行った指定通院医療機関の電話番号等を必ず記載した上で、訪問看護事業型指定通院医療機関に交付する。

なお、医療観察精神科訪問看護指示書等は、特に通院対象者の求めに応じて、通院対象者又はその家族等を介して訪問看護事業型指定通院医療機関に交付できる。

(6) 当該通院対象者の主治医は、交付した医療観察精神科訪問看護指示書等の写しを診療録に添付する。

(7) 指定通院医療機関の主治医は、当該医療観察精神科訪問看護指示書交付後であっても、通院対象者の病状等に応じてその期間を変更することができる。

なお、医療観察訪問看護の指示を行った指定通院医療機関は、訪問看護事業型指定通院医療機関の通院対象者について相談等があった場合には、懇切丁寧に対応する。

(8) 「注3」に規定する医療観察衛生材料等提供加算は、在宅療養において衛生材料等が必要な通院対象者に対し、当該通院対象者へ医療観察精神科訪問看護を実施している訪問看護事業型指定通院医療機関から提出された精神科訪問看護計画書及び訪問看護報告書を基に、療養上必要な量について判断の上、必要かつ十分な量の衛生材料等を患者に支給した場合に算定する。

13 医療観察抗精神病特定薬剤治療指導管理料

(1) 医療観察抗精神病特定薬剤治療指導管理料の「イ」の(1)は、指定入院医療機関の精神科を担当する医師が、持続性抗精神病注射薬剤を投与している入院(法に基づく入院に限る。)中の統合失調症入院対象者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、当該入院における当該薬剤の投与開始日の属する月及びその翌月にそれぞれ1回に限り、当該薬剤を投与したときに算定する。

(2) 医療観察抗精神病特定薬剤治療指導管理料の「イ」の(2)は、指定通院医療機関の精神科を担当する医師が、持続性抗精神病注射薬剤を投与している入院(法のみならず精神保健福祉法等に基づく全ての入院を含む。)中の者以外の統合失調症通院対象者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り、当該薬剤を投与した日に算定する。

(3) 持続性抗精神病注射薬剤の種類については、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和2年3月5日保医発0305第1号厚生労働省保険局医療課長・歯科医療管理官連名通知)別添1第2章特掲診療料第8部精神科専門療法第1節精神科専門療法料I013(3)を参考にすること。

(4) 医療観察抗精神病特定薬剤治療指導管理料の「ロ」は、指定通院医療機関の精神科を担当する医師が、治療抵抗性統合失調症治療薬を投与している治療抵抗性統合失調症通院対象者に対して、計画的な治療管理を継続して行い、かつ、当該薬剤の効果及び副作用に関する説明を含め、療養上必要な指導を行った場合に、月1回に限り算定する。

(5) 治療抵抗性統合失調症治療薬とは、クロザピンをいう。

(6) 医療観察抗精神病特定薬剤治療指導管理料を算定する場合は、治療計画及び治療内容の要点を診療録に記載する。

第3部 医療観察訪問看護

1 医療観察訪問看護基本料

(1) 医療観察訪問看護基本料を算定する場合には、次のいずれかに該当する精神疾患を有する者に対する看護について相当の経験を有する保健師、看護師又は作業療法士(以下「看護師等」という。)が医療観察訪問看護を行うこと。

イ 精神科を標榜する保険医療機関において、精神病棟又は精神科外来に勤務した経験を1年以上有する者

ロ 精神疾患を有する者に対する訪問看護の経験を1年以上有する者

ハ 精神保健福祉センター又は保健所等における精神保健に関する業務の経験を1年以上有する者

ニ 国、都道府県又は医療関係団体等が主催する精神科訪問看護に関する研修を修了している者

(2) 医療観察訪問看護基本料(Ⅰ)は、医療観察訪問看護を受けようとする通院対象者又はその家族等(医療観察訪問看護基本料(Ⅲ)を算定するものを除く。)に対して、それらの通院対象者の主治医から交付を受けた医療観察精神科訪問看護指示書及び精神科訪問看護計画書に基づき、訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等が医療観察訪問看護を行った場合に所定点数を算定する。

(3) 医療観察訪問看護基本料(Ⅲ)は、医療観察訪問看護を受けようとする通院対象者又はその家族等であって同一建物居住者であるものに対して、主治医から交付を受けた医療観察精神科訪問看護指示書及び精神科訪問看護計画書に基づき、訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等が医療観察訪問看護を行った場合に次のイ又はロにより、所定点数を算定する。

また、同一建物居住者とは、第2部の11の(6)に規定するものと同様である。

イ 同一日に訪問した同一建物居住者が2人の場合は、訪問日数及び訪問時間の別に応じて、当該通院対象者全員に対して、(1)の①から④までにより算定

ロ 同一日に訪問した同一建物居住者が3人以上の場合は、訪問日数及び訪問時間の別に応じて、当該通院対象者全員に対して、(2)の①から④までにより算定

(4) 医療観察訪問看護基本料(Ⅰ)及び(Ⅲ)については、1回の医療観察訪問看護の実施時間に基づき、30分未満の場合又は30分以上の場合の時間区分のいずれか一方を算定する。30分未満の訪問については、当該通院対象者に短時間訪問の必要性があると医師が認め、医療観察精神科訪問看護指示書に明記されている場合にのみ算定する。

(5) 医療観察訪問看護基本料(Ⅰ)又は(Ⅲ)を算定する場合にあっては、訪問看護記録書、訪問看護報告書及び訪問看護療養費明細書に、月の初日の医療観察訪問看護時におけるGAF尺度により判定した値を記載する。

(6) 医療観察訪問看護基本料については、(7)の場合を除き、前期通院対象者通院医学管理料を算定している当該月は週5回を、それ以外の場合は週3回をそれぞれ限度として算定する。

(7)

イ 「注3」に規定する医療観察複数名訪問看護加算は、同時に看護師等が他の看護師又は准看護師等の同行による医療観察訪問看護を実施した場合(30分未満の場合を除く。)、1日につき「注3」のイ又はロのいずれかを算定する。看護補助者又は精神保健福祉士の同行による場合には、週1回に限りハを算定する。

ロ 同時に複数の保健師等又は准看護師等による医療観察訪問看護を行うことについて、通院対象者又はその家族等の同意を得る。

ハ 当該加算は、医師が複数名訪問の必要性があると認め、医療観察精神科訪問看護指示書にその旨の記載がある場合に算定する。

ニ 単に2人の保健師等又は准看護師等が同時に医療観察訪問看護を行ったことのみをもって複数名訪問看護加算を算定することはできない。

ホ 看護師等と同行する准看護師等又は精神保健福祉士は、常に同行の必要はないが、必ず患家において両者が同時に滞在する一定の時間が確保された場合に算定できる。

(8) 医療観察訪問看護を受けようとする者であって「注4」の医療観察精神科特別訪問看護指示書が交付された者に対する医療観察訪問看護については、当該医療観察精神科特別訪問看護指示書の交付の日から起算して14日以内に行った場合は、月1回に限り、14日を限度として所定点数を算定できる。

なお、医療観察精神科特別訪問看護指示書の交付の日の属する週及び当該交付のあった日から起算して14日目の日の属する週においては、当該週のうち医療観察精神科特別訪問看護指示書の期間中に算定した日を除き、(6)に定める回数を限度として算定すること。また、医療観察精神科特別訪問看護指示書が交付された通院対象者に対する医療観察訪問看護については、当該通院対象者の病状等を十分把握し、一時的に頻回又は長時間に医療観察訪問看護が必要な理由を記録書に記載し、精神科訪問看護計画書の作成及び医療観察訪問看護の実施等において、主治医と連携を密にすること。頻回に医療観察精神科特別訪問看護指示書が交付されている通院対象者については、その旨を訪問看護療養費明細書に記載すること。

(9)

イ 「注6」の医療観察特別地域訪問看護加算は、当該訪問看護事業型指定通院医療機関の所在地から患家までの訪問につき、最も合理的な通常の経路及び方法で片道1時間以上要する通院対象者に対して、特別地域に所在する訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等が、医療観察訪問看護を行った場合又は特別地域外に所在する訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等が、特別地域に居住する通院対象者に対して医療観察訪問看護を行った場合に、医療観察訪問看護基本料イ又はハの所定点数(注に規定する加算は含まない。)の100分の50に相当する点数を加算する。

なお、当該加算は、交通事情等の特別の事情により訪問に要した時間が片道1時間以上となった場合は算定できない。

ロ 医療観察特別地域訪問看護加算を算定する訪問看護事業型指定通院医療機関は、その所在地又は患家の所在地が特別地域に該当するか否かについては、地方厚生局に確認すること。

(10) 「注7」の医療観察精神科緊急訪問看護加算は、訪問看護計画に基づき定期的に行う医療観察訪問看護以外であって、通院対象者又はその家族等の緊急の求めに応じて、主治医(診療所又は在宅療養支援病院の医師に限る。この項において同じ。)の指示により、連携する訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等が医療観察訪問看護を行った場合に1日につき1回に限り算定する。なお、主治医の所属する診療所が、他の指定通院医療機関と連携して24時間の往診体制及び連絡体制を構築している場合、主治医が対応していない夜間等においては、連携先の指定通院医療機関の医師の指示により緊急に医療観察訪問看護を実施した場合においても算定できる。

当該加算は、指定通院医療機関が、24時間往診及び医療観察訪問看護により対応できる体制を確保し、指定通院医療機関において、24時間連絡を受ける医師又は看護職員の氏名、連絡先電話番号、担当日、緊急時の注意事項等並びに往診担当医及び医療観察訪問看護担当者の氏名等について、文書により提供している通院対象者に限り算定できる。なお、指示を行った指定通院医療機関の主治医は、指示内容を診療録に記載する。

また、緊急の医療観察訪問看護を行った場合は、速やかに主治医に通院対象者の病状等を報告するとともに、必要な場合は医療観察精神科特別訪問看護指示書の交付を受け、訪問看護計画について見直しを行う。

(11) 「注8」の医療観察長時間訪問看護加算は、主治医が医療観察精神科特別訪問看護指示書を交付した長時間の訪問を要する通院対象者に対して、1回の医療観察訪問看護の時間が90分を超えた場合に、1人の通院対象者に対して週1回に限り所定点数に加算する。

(12)

イ 「注9」に規定する医療観察夜間・早朝訪問看護加算は、夜間又は早朝に医療観察訪問看護を行った場合に、医療観察深夜訪問看護加算は、深夜に医療観察訪問看護を行った場合に、それぞれ所定点数に算定する。

ロ イの場合については、通院対象者の求めに応じて、当該時間に医療観察訪問看護を行った場合にのみ算定できるものであり、訪問看護事業型指定通院医療機関の都合により、当該時間に医療観察訪問看護を行った場合には算定できない。

ハ 当該加算は医療観察緊急訪問看護加算と併算定が可能である。

2 医療観察訪問看護管理料

(1)

イ 医療観察訪問看護管理料は、訪問看護事業型指定通院医療機関において、医療観察訪問看護を行うにつき安全な提供体制が整備されており、医療観察訪問看護基本料を算定すべき医療観察訪問看護を行っている訪問看護事業型指定通院医療機関が、通院対象者に係る精神科訪問看護計画書及び訪問看護報告書を主治医に提出するとともに、主治医との連携確保や訪問看護計画の見直し等を含め、当該通院対象者に係る医療観察訪問看護の実施に関する計画的な管理を継続して行った場合に算定する。

ロ イの安全な提供体制の整備とは、以下の要件を満たすものをいう。

(イ) 安全管理に関する基本的な考え方、事故発生時の対応方法等が文書化されている。

(ロ) 訪問先等で発生した事故、インシデント等が報告され、その分析を通した改善策が実施される体制が整備されている。

ハ 訪問看護事業型指定通院医療機関の営業時間内における通院対象者又はその家族等との電話連絡、居宅における療養に関する相談等、医療観察訪問看護の実施に関する計画的な管理(他の訪問看護事業型指定通院医療機関との連絡調整を含む。)に要する費用は、医療観察訪問看護管理料に含まれる。

ニ 通院対象者の主治医に対して訪問看護報告書を提出した場合は、当該報告書の写しを訪問看護記録書に添付しておく。ただし、訪問看護報告書と訪問看護記録書の内容が同一の場合は、訪問看護記録書に提出年月日を記録することでこれに代えることができる。

ホ 1人の通院対象者に対し、訪問看護事業型指定通院医療機関を含めた複数の指定通院医療機関間において十分に連携を図ること。具体的には、訪問看護の実施による通院対象者の目標の設定、計画の立案、訪問看護の実施状況及び評価を共有すること。

ヘ 医療観察訪問看護の実施に関する計画的な管理に当たっては、保護観察所、市町村(特別区を含む。)、保健所又は精神保健福祉センターにおいて実施する保健福祉サービスとの連携に十分配慮する。

(2)

イ 「注2」に規定する医療観察24時間対応体制加算は、必要時の緊急時訪問に加えて、営業時間外における通院対象者や家族等との電話連絡及び通院対象者や家族への指導等による日々の状況の適切な管理といった対応やその体制整備を評価するものである。

ロ 「注2」の医療観察24時間対応体制加算は、通院対象者又はその家族等から電話等により看護に関する意見を求められた場合に常時対応できる体制にある場合であって、緊急時訪問看護を必要に応じて行う体制にあるものとして地方厚生局長に届け出た訪問看護事業型指定通院医療機関において、看護師等が医療観察訪問看護を受けようとする者に対して当該体制にある旨を説明し、その同意を得た場合に、月1回に限り算定する。

ハ 医療観察24時間対応体制加算に係る医療観察訪問看護を受けようとする者に対する説明に当たっては、当該通院対象者に対して、訪問看護事業型指定通院医療機関の名称、所在地、電話番号並びに時間外及び緊急時の連絡方法を記載した文書を交付する。

ニ 医療観察24時間対応体制加算は、1人の通院対象者に対し、1つの訪問看護事業型指定通院医療機関においてのみ算定できる。このため、医療観察24時間対応体制加算に係る医療観察訪問看護を受けようとする者に説明するに当たっては、当該通院対象者に対して、他の訪問看護事業型指定通院医療機関から医療観察24時間対応体制加算に係る医療観察訪問看護を受けていないか確認する必要がある。

ただし、特別地域に所在する訪問看護事業型指定通院医療機関において、2つの訪問看護事業型指定通院医療機関が連携することによって当該加算に係る体制にあるものとして、地方厚生局長に届け出た訪問看護事業型指定通院医療機関が算定できること。なお、医療観察24時間対応体制加算は、1人の通院対象者に対し、1つの訪問看護事業型指定通院医療機関において一括して算定する。

ホ 医療観察24時間対応体制加算に関し、通院対象者等から電話等により看護に関する意見を求められ、これに対応した場合及び緊急に医療観察訪問看護を実施した場合は、その日時、内容及び対応状況を訪問護記録書に記録する。

(3) 特別地域若しくは「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きについて」(令和4年3月4日保医発0304第2号厚生労働省保険局医療課長・歯科医療管理官連名通知)の「別添3」の「別紙2」に掲げる医療を提供しているが医療資源の少ない地域に所在する訪問看護事業型指定通院医療機関又は業務継続計画を策定した上で自然災害等の発生に備えた地域の相互支援ネットワークに参画している訪問看護事業型指定通院医療機関においては、2つの訪問看護事業型指定通院医療機関が連携することによって(2)に規定する医療観察24時間対応体制加算に係る体制にあるものとして、地方厚生局長に届け出た訪問看護事業型指定通院医療機関の看護職員(准看護師を除く。)が、医療観察訪問看護を受けようとする者に対して、(2)に規定する医療観察24時間対応体制加算に係る体制にある旨を説明し、その同意を得た場合に、月1回に限り算定することも可能とする。1つの訪問看護事業型指定通院医療機関において連携して届け出ることができる訪問看護事業型指定通院医療機関は、他の1つの訪問看護事業型指定通院医療機関のみであり、当該訪問看護事業型指定通院医療機関間においては、通院対象者の状況や体制について十分に連携を図ること。なお、医療観察24時間対応体制加算は、1人の通院対象者に対し、1つの訪問看護事業型指定通院医療機関において一括して算定する。

(4) (3)における自然災害等の発生に備えた地域の相互支援ネットワークは、次のいずれにも該当するものをいう。

イ 都道府県、市町村又は医療関係団体等(ハにおいて「都道府県等」という。)が主催する事業であること。

ロ 自然災害や感染症等の発生により業務継続が困難な事態を想定して整備された事業であること。

ハ 都道府県等が当該事業の調整等を行う事務局を設置し、当該事業に参画する訪問看護ステーション等の連絡先を管理していること。

(5)

イ 「注3」に規定する医療観察退院時共同指導加算は、医療観察訪問看護を受けようとする者(以下「訪問看護予定者」という。)が主治医の所属する鑑定入院医療機関又は指定入院医療機関(以下「指定入院医療機関等」という。)に入院中である場合において、その退院に当たって、訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等が、当該主治医又はその所属する指定入院医療機関等の職員とともに、当該訪問看護予定者又はその家族等に対して、在宅での療養上必要な指導を行い、その内容を文書により提供した場合に、初日の医療観察訪問看護の実施時に1回に限り算定する。

なお、医療観察訪問看護管理料を算定する月の前月に医療観察退院時共同指導を行った場合においても算定できる。

ロ 医療観察退院時共同指導加算は、1人の訪問看護予定者に対し、1つの訪問看護事業型指定通院医療機関においてのみ算定できるものであること。

ハ 医療観察退院時共同指導を行った日数については、医療観察訪問看護管理料の算定に係る訪問日数に算入しない。

ニ 医療観察退院時共同指導を行った場合は、その内容を訪問看護記録書に記録すること。

ホ 医療観察退院時共同指導は、リアルタイムでのコミュニケーション(以下「ビデオ通話」という。)が可能な機器を用いて共同指導した場合でも算定可能である。

ヘ ホにおいて、訪問看護予定者の個人情報をビデオ通話の画面上で共有する際は、当該訪問看護予定者の同意を得ていること。また、指定入院医療機関等の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末において共同指導を実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

(6)

イ 「注4」に規定する医療観察在宅患者連携指導加算は、在宅での療養を行っている通院対象者の診療情報等を、当該通院対象者の診療等を担う指定通院医療機関等の医療関係職種間で文書等により共有し、それぞれの職種が当該診療情報等を踏まえ診療等を行う取組を評価するものである。

ロ 在宅で療養を行っている通院対象者であって通院が困難な者について、通院対象者又はその家族等の同意を得て、月2回以上医療関係職種間で文書等(電子メール、ファクシミリでも可)により共有された診療情報を基に、通院対象者又はその家族等に対して指導等を行った場合に、月1回に限り算定する。

ハ 単に医療関係職種間で当該通院対象者に関する診療情報を交換したのみの場合は算定できない。

ニ 他職種から情報提供を受けた場合、できる限り速やかに通院対象者又はその家族等への指導等に反映させるよう留意しなければならない。また、当該通院対象者の療養上の指導に関する留意点がある場合には、速やかに他職種に情報提供するよう努めなければならない。

ホ 当該通院対象者の診療を担う指定通院医療機関(病院又は診療所に限る。)の主治医との間のみで診療情報等を共有し、医療観察訪問看護を行った場合は、所定点数を算定できない。

ヘ 当該加算を算定した場合は、同月内において医療観察訪問看護情報提供料(Ⅱ)を別に算定できない。

ト 他の医療関係職種から受けた診療情報等の内容及びその情報提供日、並びにその診療情報等を基に行った指導等の内容の要点及び指導日を訪問看護記録書に記載すること。

(7)

イ 「注5」に規定する医療観察在宅患者緊急時等カンファレンス加算は、在宅での療養を行っている通院対象者の状態の急変や診療方針の変更等の際、当該通院対象者に対する診療等を行う医療関係職種等が一堂に会しカンファレンスを行うことにより、より適切な診療方針を立てること及び当該カンファレンスの参加者の間で診療方針の変更等の的確な情報共有を可能にすることは、通院対象者及びその家族等が安心して療養生活を行う上で重要であることから、そのような取組に対して評価を行うものである。

ロ 関係する医療関係職種等が共同でカンファレンスを行い、当該カンファレンスで共有した通院対象者の診療情報等を踏まえ、それぞれの職種が当該通院対象者又はその家族等に対して療養上必要な指導を行った場合に月2回に限り算定すること。なお、複数の訪問看護事業型指定通院医療機関のみが参加しカンファレンスを行った場合は、所定点数は算定しないこと。また、当該カンファレンスは、原則通院対象者の居住する場で行うこととするが、通院対象者又はその家族等が通院対象者の居住する場以外の場所でのカンファレンスを希望する場合はこの限りではない。

ハ 当該カンファレンスは、一者以上が通院対象者の居宅に赴きカンファレンスを行う場合には、その他の関係者はビデオ通話が可能な機器を用いて参加することができる。

ニ ハにおいて、通院対象者の個人情報をビデオ通話の画面上で共有する際は、通院対象者の同意を得ていること。また、指定通院医療機関(病院又は診療所に限る。)の電子カルテなどを含む医療情報システムと共通のネットワーク上の端末においてカンファレンスを実施する場合には、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に対応していること。

ホ カンファレンスの目的のみをもって通院対象者の居宅を訪問しカンファレンスの結果を受けた指導以外の特段の指導を行わなかった場合、医療観察訪問看護基本料(Ⅰ)又は(Ⅲ)は併せて算定できない。(この場合、カンファレンスを実施した後に実施した医療観察訪問看護の実施時に算定すること。)

ヘ 当該通院対象者に対する診療を担う指定通院医療機関(病院又は診療所に限る。)の主治医と当該通院対象者の訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等と2者でカンファレンスを行った場合であっても算定できる。

ト 当該加算におけるカンファレンスは、保護観察所が開催するケア会議とは異なるものである。

チ カンファレンスに参加した医療関係職種等の氏名、カンファレンスの要点、通院対象者に行った指導の要点及びカンファレンスを行った日を訪問看護記録書に記載すること。

(8) 医療観察訪問看護の実施に関する計画的な管理に当たっては、「通院処遇ガイドライン」(平成17年7月14日障精発第0714002号)や「地域社会における処遇のガイドライン」(平成17年7月14日障精発第0714003号)を参考とすること。

注:第3部医療観察訪問看護の精神科訪問看護計画書、訪問看護報告書等については、訪問看護療養費の例により、作成する。

3 医療観察訪問看護情報提供料

(1) 医療観察訪問看護情報提供料(Ⅰ)は、保護観察所が開催するケア会議に訪問看護事業型指定通院医療機関の看護師等が参加し、保護観察所を含む関係機関に対して通院対象者にかかる看護又は療養上必要な指導についての情報提供等を行った場合、ケア会議が開催された当該月に算定する。

なお、ケア会議を通じて、保護観察所を含む関係機関に対して情報提供をした場合、ケア会議開催日時、訪問看護事業型指定通院医療機関のケア会議参加者名、関係機関への情報提供の要点を訪問看護記録書に記録しておくこと。

(2) 医療観察訪問看護情報提供料(Ⅱ)は、ケア会議が開催されていない月において、保護観察所を含む関係機関に対して通院対象者にかかる看護又は療養上必要な指導についての情報提供等を行った場合、月1回に限り算定する。ただし、医療観察在宅患者連携指導加算を算定した場合は、同月内において別に算定できない。

なお、保護観察所を含む関係機関に対して情報提供した場合、送付した文書の写しを訪問看護記録書に添付しておくこと。

(3) 医療観察訪問看護情報提供料(Ⅰ)及び(Ⅱ)は、1人の通院対象者に対し、1つの訪問看護事業型指定通院医療機関においてのみ算定できるものであること。このため、関係機関に対して情報の提供を行う場合には、通院対象者に対し、他の訪問看護事業型指定通院医療機関において関係機関に対して情報の提供が行われているか確認すること。

第4部 経過措置

平成31年4月1日から当分の間、以下のいずれかの要件に該当する者を公認心理師とみなす。

イ 平成31年3月31日時点で、臨床心理技術者として保険医療機関に従事していた者

ロ 公認心理師に係る国家試験の受験資格を有する者

(別紙様式1)

(別紙様式2)

(別紙様式3)

(別紙様式4)