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○「健康保険組合の所有する施設等の賃貸について」に関するQ&Aについて

(平成23年11月2日)

(事務連絡)

(健康保険組合あて厚生労働省保険局保険課通知)

健康保険制度の運営につきましては、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

健康保険組合が所有する施設等の賃貸の取扱いについては、「健康保険組合の所有する施設等の賃貸について」(平成23年10月4日保保発第1004第1号)により通知を出し、取扱いを改めたところですが、今般、これらの事務の実施に当たり、別添の通りQ&Aを作成いたしましたのでお送りします。

健康保険組合の所有する施設等の賃貸について

問1 通知に記載されている用途に貸し付ける目的で新たに不動産を取得し、収益事業を営んで差し支えないか。

回答

今般、一定の条件の下に、健康保険組合の保有する土地建物の貸付を行い、収益事業を行って差し支えないことを明確化しましたが、これは健康保険組合が既に所有する土地建物を活用して収益事業を行うことです。被保険者から徴収した保険料収入を財源に、収益事業を行う目的で新たな土地建物を取得することは、健康保険組合の設立目的からみて適切ではないと考えます。

問2 今回の通知により、重要な財産の処分に関する地方厚生(支)局長の認可は不要になるのか。

回答

通知により重要な財産の処分に関する地方厚生(支)局長の認可が不要となるのは、健康保険組合が所有する施設等の貸付であり、重要な財産の売却や取り壊しなどは引き続き地方厚生局(支)長の認可が必要です。

問3 施設等の貸付に関して地方厚生(支)局長の認可は不要になるが、何らかの届出を行う必要はあるか。

回答

特に何か届出をする必要はありません。

問4 貸付に関して組合会の議決が必要か。

回答

健康保険組合が所有している施設等の貸付について、規約等に特に定めがない限り、組合会の議決は必要ありません。なお、組合会の議決事項である毎年度の収入支出の予算には、貸付に関する収入や費用を計上し、承認を得る必要がありますので留意して下さい。

問5 貸付に関して理事会の議決は必要か。

回答

「事業運営基準」に定められた理事会の議決事項である「財産管理の具体的方針の決定」に当てはまりますので、貸付に関する契約を締結する前に、理事会の議決は必要と考えます。

問6 貸付に関して規約に何か定める必要があるか。

回答

健康保険法第150条第3項及び同法施行規則第154条の規定により、保健事業又は福祉事業の用途で使用している施設等を組合員以外の者に使用させ、利用料を請求する場合は、その利用料について規約で定める必要がありますが、それ以外は必ずしも規約に定める必要はありません。

問7 健康保険組合が所有する健康事業、福祉事業の用途に供している建物を他の業者に貸付け、組合員以外の者から料金を徴収して利用させることは可能か。

回答

可能と考えます。ただし、健康保険法第150条第3項や本通知にあるとおり、保健事業や福祉事業の用途で供している施設等はこれらの事業の実施に支障が生じないようにしていただく必要があることに留意して下さい。

問8 保健事業や福祉事業以外の用途で使用している土地建物(健康保険組合の事務所として使用している建物など)についても貸付を行って差し支えないか。

回答

通知に記載されている条件を満たしていれば、健康保険組合が所有し、事務所として使用している土地建物(健保会館等)についても貸付による収益事業を行って差し支えありません。

問9 無償貸付は問題あるか。

回答

健康保険組合が所有する施設等を貸し付ける際は、原則として、有償による貸付を行うことが必要と考えます。

ただし、光熱水料や管理費を相手方に負担させる代わりに賃貸料を無償とする場合など、所有している施設等の状況に鑑みて、無償とした方が組合にとって有利であると認められれば、無償による貸付であっても差し支えありません。

その場合は、組合にとって無償貸付が有利であるか確認するため、競争入札や企画競争(コンペ等)の活用など適切な選定を行うことにより、判断して下さい。

問10 「契約書に公序良俗に反する事業を営む目的で賃貸の対象となる土地建物を使用することを禁止する旨を明記すること。」とあるが、ここでいう公序良俗に反する事業とは具体的にどのようなものが当てはまるか。

回答

全ての業種を個別具体的に挙げるのは困難ですが、例えば、法令で風俗営業と規定される業種及びその類似業種、ギャンブルに関するもの、法令等に基づく必要な許可等を受けることなく業を行うもの、暴力団やその関係団体への貸付などが当てはまると考えられます。

問11 賃借権の譲渡や転貸はなぜ禁止するのか。

回答

賃借権の譲渡や転貸を禁止する理由は、健康保険組合が貸付をやめようとする際に、組合が知らないで相手方が第三者と賃借権の譲渡や転貸の契約が結ぶことにより、組合が予定していた時期に、賃貸契約を円滑にやめることができなくなるという事態を防ぐためです。

なお、ここでいう「転貸」とは組合の意思に関わらず、相手方が第三者へ貸付を行うことをいいます。組合も含んだ三者契約による賃貸借契約であれば「転貸」には該当しません。

問12 所有不動産を賃貸して差し支えない用途の例として駐車場があげられているが、これは個人に貸す場合を想定しているのか。駐車場業を営む管理会社に貸し付けることも差し支えないか。

回答

基本的に健康保険組合から個人へ直接貸し付けることを想定していますが、駐車場業を営む管理会社を利用することも差し支えありません。

ただし、その場合、管理会社から第三者(個人)への転貸により、組合が予定していた時期に、貸付を円滑にやめられなくなるという事態にならないようご留意下さい。

(「転貸」に該当しない例1)

(「転貸」に該当しない例2)

問13 健康保険組合と賃貸借契約を締結した会社が、借りた施設等で事業を行う際に、他の会社に事業を委託をすることは差し支えないか。

回答

差し支えありませんが、委託契約の締結に当たっては、健康保険組合から施設等を借りた会社とその会社から業務委託を受けた会社との契約が障害となって、組合が予定していた時期に、貸付をやめられなくなるという事態にならないようご留意下さい。

問14 なぜ契約期間の始期及び終期は年度内において定めることとしているのか。

回答

健康保険組合は毎年度、財政運営状況によっては保有資産の売却処分の必要性などを検討し、組合会の議決を経て次年度の予算を決めますが、そこで売却の方針が決定した際に、複数年度にまたがる契約ですと支障が出る恐れがありますので、契約を年度で区切ることとしたものです。なお、契約期間満了後に更新し、再度契約を結ぶことは差し支えありません。その際も始期及び終期は年度内において定める必要があります。

問15 競争入札や企画競争は必ずしなければならないのか。

回答

基本的には競争入札や企画競争を行うことが必要と考えます。ただし、競争することが明らかに不利と認められる場合や、組合員の福利厚生のため特定の事業を営んでもらうために貸付を行うなど、貸付の目的が競争を許さない場合は、競争入札や企画競争を行わなくても差し支えありません。また、予定賃貸料の年額又は総額が30万円を超えない場合も、「健康保険組合における会計及び財産管理事務の取扱いについて」(平成19年2月1日保保発第0201001号)の規定により、少額な契約として競争入札や企画競争を行わなくても差し支えありません。

問16 「賃貸契約により生じた収入について適切な税務処理を行うこと」とあるが、具体的にどのような処理を行えばいいか。

回答

健康保険組合は法人税法等では公益法人等とされ、収益事業を営む場合は、その収益について法人税や地方税(事業税、都道府県税、市町村税)が課されることが考えられます。その場合、事務手続きとしては収益事業開始の届出や確定申告をする必要がありますので、詳細は所轄の税務当局や都道府県・市町村に照会し、適切な手続きを行うようお願いします。

問17 健康保険組合の組合員への周知方法はホームページや広報誌への掲載でなく、組合事務所の掲示板に掲載することで差し支えないか。

回答

規約で定めている公告方法において、組合事務所の掲示板に掲載する方法になっているのであれば、掲示板に掲載する方法でも差し支えないと考えられます。

問18 健康保険組合の組合員への情報開示は、具体的にはどのような情報を開示すべきか。

回答

少なくとも以下の情報を開示し、周知することが求められます。

①貸し付ける施設等 ②貸付の用途 ③契約年月日 ④契約期間 ⑤契約の相手方(法人名。個人との契約は「個人」という記載で差し支えありません。)⑥契約価格(年額又は月額貸付料)

問19 施設等の貸付料収入については経理上、どの科目で計上すべきか。

回答

平成23年度に貸付を行う場合は、収入科目としては、「(款)雑収入(項)施設利用料(目)○○施設利用料」とする必要があります。

なお、平成24年度以降の科目計上については、予算編成通知において改めて通知します。

問20 貸付に際しては契約の相手方から敷金・保証金を徴収してよいか。

回答

徴収して差し支えありませんが、後日借り主に返却する類の金銭であることから、他の積立金や準備金とは別に管理し、他の経費に流用しないようにしておく必要があります。

問21 敷金・保証金については、経理上、どのような処理すべきか。

回答

敷金・保証金が入金されたら、収入科目は、「(款)雑収入(項)雑入(目)雑入」とする。入金された日に全額を支出科目の「(款)積立金(項)積立金繰入(目)○○積立金繰入」の科目から支出し、○○積立金の名目で積み立てる必要があります。

敷金・保証金は、後日、借り主に返却する必要があることから、そのような債務を負っている旨を決算時に作成する事業報告書の「第10 その他重要な事項」の欄に記載する必要があります。

敷金・保証金を返還する際は、収入科目の「(款)繰入金(項)○○積立金繰入(目)○○積立金繰入」から○○積立金を取り崩した金額を計上し、繰入した金額を支出科目の「(款)雑支出(項)雑支出(目)雑費」から支出する必要があります。

なお、平成24年度以降の科目計上については、予算編成通知において改めて通知します。