添付一覧
○医薬品横断的コンパニオン診断薬等に関するガイダンス等について
(令和4年7月4日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課通知)
標記について、今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構から、別紙のとおり報告がありましたので、今後の業務の参考とするよう、貴管下関係業者に対し御周知願います。
[別紙]
○医薬品横断的コンパニオン診断薬等に関するガイダンス等について
(令和4年6月28日)
(薬機発第0628013号)
(厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課長、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長あて独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長通知)
医薬品横断的コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の取扱いについては、「医薬品横断的なコンパニオン診断を目的とする体外診断用医薬品等の取扱いについて」(令和4年3月31日付け薬生薬審発0331第1号 薬生機審発0331第1号 薬生安発0331第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、医療機器審査管理課長、医薬安全対策課長連名通知)において示されているところですが、今般、独立行政法人医薬品医療機器総合機構は、医薬品横断的コンパニオン診断薬の該当性評価及び関連する診断薬等や医薬品を開発する際の考え方や留意点を記したガイダンス及びそのQ&Aについて別添1及び別添2として取りまとめましたので、報告します。
(別添1)
医薬品横断的コンパニオン診断薬等に関するガイダンス
本ガイダンスは、「医薬品横断的なコンパニオン診断を目的とする体外診断用医薬品等の取扱いについて」(令和4年3月31日付け薬生薬審発0331第1号 薬生機審発0331第1号 薬生安発0331第1号、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長、医療機器審査管理課長、医薬安全対策課長連名通知)(以下「連名通知」という。)に示された「医薬品横断的CDx」への該当性に係る基本的な考え方、医薬品横断的CDxへの変更に係る承認事項一部変更承認申請及び医薬品横断的CDxの後続的位置づけの製品の製造販売承認申請、並びに医薬品横断的CDxに関連する医薬品の製造販売承認申請に際し留意すべき事項を示すことで、医薬品横断的CDx及び関連する医薬品のより円滑な開発及び承認審査の実施を目指すものである。
なお以下の考え方は、現時点における科学的知見に基づいて述べたものであるが、今後の状況の変化、科学技術の進歩や知見の集積等に応じて随時見直され、改訂されるべきものであることに留意する必要がある。
1.医薬品横断的CDx該当性の基本的な考え方
連名通知 記1において、適応対象(対象疾患、疾患等に関連するバイオマーカー及び検査対象とする検体種を含む)が同一かつ関連する医薬品の異なるコンパニオン診断薬等(以下「CDx」という。)が複数品目承認されていることを前提として、該当する複数品目内で、いずれのCDxによる判定結果も、他のCDxに関連する医薬品の適応判定の補助に用いることが科学的に妥当であると考えられる場合に、医薬品横断的CDxに該当する旨が記載されている。CDxの判定結果の互換使用が科学的に妥当と判断される範囲に関する基本的な考え方は以下のとおりである。ただし、判定結果の互換使用が科学的に妥当と判断される範囲については、解析対象とするバイオマーカー、検査法の特性等も考慮した上で、個別に判断されることに留意すること。
連名通知 記1(3)の要件について、承認申請時に評価された同等性試験において、他のCDxとの高い判定一致割合が示されていることは、互換使用の妥当性を示す根拠となる。この際、特定の遺伝子の複数種類の変異を検出するCDxについて、製品間で解析対象とする遺伝子変異が完全に一致していない場合もあると考えられる。このような場合においても、医薬品の対象疾患を代表する患者集団の検体を用いた同等性試験でCDx間の高い判定一致割合が認められており、製品間の解析対象の差異が、対象疾患において検出頻度が低いまれな遺伝子変異においてのみ認められる場合には、これらのCDxは連名通知 記1(3)の要件を満たすと考えられる。
また、異なる測定原理(免疫組織化学染色法、in situハイブリダイゼーション法、次世代シークエンサー診断システムを用いた検査法等)による複数のCDxが、同一の適応を有する医薬品のCDxとしてそれぞれ承認されている場合、同等性試験において、測定原理の違いに起因する判定結果の不一致が認められる場合が想定される。このような場合においても、関連学会等による検査ガイダンスに基づき、検査法の特性及び限界を理解した上で、十分な知識と経験を有する医師が適切に投与対象を特定可能であると考えられる場合には、当該測定原理によるCDxについても、連名通知 記1(3)の要件を満たすと判断される場合がある。
2.医薬品横断的CDxの該当性評価の流れ
医薬品横断的CDxの該当性は、候補となった各CDxの承認審査時の試験成績である以下の(i)、(ii)に基づき評価される。既承認CDx製品間の同等性が評価された査読付きの公表論文についても、参考情報として評価する場合がある。また関連学会等で検討された医薬品の適応対象の特定に係るCDxのガイダンス等や、専門家から聴取した意見も参照される。
(i) 既承認CDx製品間の同等性試験における判定一致割合
(ii) 標準的な方法として確立されている検査(「コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品に関する技術的ガイダンス等について」(平成25年12月26日付け事務連絡)3.2.コンパニオン診断薬の同等性評価に関する試験(同等性試験)の項参照)と既承認CDx製品との同等性試験における判定一致割合
3.医薬品横断的CDxへの変更に際しての留意点
医薬品横断的CDxに該当すると判断された場合、連名通知において、体外診断用医薬品については使用目的欄、医療機器については使用目的又は効果欄を特定の医薬品の適応判定に限定しない記載に変更するための承認事項一部変更承認申請を行うことが求められている。医薬品横断的CDxへの変更に際しては、医薬品横断的CDxの該当性評価の結果を踏まえた添付文書等による注意喚起及びリスクマネジメントが必要である。なお、当該変更に際し、既承認のCDxの製品設計の変更及び性能の再検証については必要に応じて検討すること。
添付文書において注意喚起すべき内容としては、例えば以下の観点で検討する必要がある。
・ 関連学会より対象とするバイオマーカーの検査に係るガイドラインが発出されている場合には、これを参照すべきこと
・ 他のCDxとの測定原理や製品設計等の相違を踏まえ、検査法の選択及び判定結果の解釈に際し特に留意すべきこと
・ 体外診断用医薬品においては臨床的意義及び性能の内容を熟知、理解した上で、医薬品の適応判定補助に使用すべき旨の注意喚起。医療機器においては臨床成績及び同等性試験の内容を熟知、理解した上で、医薬品の適応判定補助に使用すべき旨の注意喚起
・ 医薬品横断的CDxにより適応判定が可能な医薬品については、PMDAのウェブサイトで確認すべき旨の注意喚起
4.医薬品横断的CDxの後続的位置付けの製品の開発について
医薬品横断的CDxの後続的位置づけの製品については、承認申請に際し、医薬品横断的CDxとして承認された、いずれか1品目との同等性試験の成績に基づき臨床性能を説明することが可能である。ただし、同等性試験の実施にあたっては、測定原理が同一の製品を対照品として選択することが原則である。なお、新たな測定原理による製品を医薬品横断的CDxとして開発することは可能であるが、その場合の同等性試験における判定一致割合に係る許容基準は開発する製品の特性に応じた個別の議論が必要であり、PMDAに事前に相談することが求められる。
5.医薬品横断的CDxを適応判定に使用する医薬品の開発について
連名通知において、CDxを用いて適応判定を行うことが必要な新医薬品について、既存の医薬品横断的CDxにより適応判定が可能であることを適切に説明できる場合には、当該医薬品の承認申請時に、医薬品横断的CDxの一部変更承認申請は不要である旨が記載されている。医薬品横断的CDxを新医薬品のCDxとして用いることが可能と考えられる場合として、例えば以下の場合が挙げられる。(1)に該当する場合は、PMDAへの事前の確認は不要であるが、(2)及び(3)に該当する場合、医薬品の製造販売業者は、あらかじめ、PMDA新薬審査部、並びに体外診断薬審査室及び/又は医療機器審査第一部との対面助言を利用して、開発計画あるいは承認申請について相談することが望ましい。
(1) 医薬品横断的CDxとして承認されている製品が、医薬品の有効性及び安全性を評価する上で主要な臨床試験の組入れ検査(以下「CTA」という。)として用いられている場合
(2) 主要な臨床試験で使用されたCTAと、医薬品横断的CDxとして承認されているいずれかの製品との間で同等性試験が実施され、分析学的同等性が示されている場合
(3) 主要な臨床試験で使用されたCTAと医薬品横断的CDxとの同等性試験は実施されていないものの、CTAの分析性能に係るバリデーションの報告書と、医薬品横断的CDxとして承認されている製品の実績や公表されている分析性能との比較に基づき、上記CTAと医薬品横断的CDxの分析学的同等性を説明可能な場合
(別添2)
「医薬品横断的コンパニオン診断薬等に関するガイダンス」に関するQ&A
1.医薬品横断的CDxの該当性評価の流れ
Q1:CDxには該当しないものの、医薬品の適切な投与を行うための補助を目的として承認されている複数の体外診断用医薬品についても、(i)又は(ii)に基づき、上記の目的において互換使用することの科学的妥当性が説明される場合には、医薬品横断的CDxと同じ手続きにより、使用目的を関連する医薬品を特定しない記載に変更するための承認事項一部変更承認申請を行うことは可能か。 |
A1:可能である。
2.医薬品横断的CDxを適応判定に使用する医薬品の開発について
Q2:新医薬品のCDxとして、既承認の医薬品横断的CDxを用いることを計画している。「医薬品横断的コンパニオン診断薬等に関するガイダンス」の5(2)及び(3)に該当する場合、いずれの相談区分で対面助言を申し込むべきか。 |
A2:「医薬品横断的コンパニオン診断薬等に関するガイダンス」の5(2)及び(3)に該当する場合、医薬品横断的CDxを用いた医薬品の開発計画の適切性については、当該医薬品の主要な臨床試験の開発計画あるいは承認申請に係る相談時に合わせて相談することで差し支えない。医薬品横断的CDxとCTAとの同等性試験等に係る計画の適切性については、必要に応じて医薬品横断的CDxの製造販売業者と協力した上で、体外診断薬審査室のコンパニオン診断薬開発パッケージ相談及び/又は医療機器審査第一部の医療機器臨床試験要否相談を利用して相談すること。また、新医薬品の承認申請時には、上記の対面助言記録を添付すること。