○薬物に係る治験の計画の届出等において参照する治験届出情報の取扱いについて
(令和4年6月30日)
(薬生薬審発0630第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
薬物に係る治験計画の届出において、別の治験計画の届出を参照する場合の記載方法については、「治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第10号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知。以下「企業治験届出通知」という。)及び「自ら治験を実施しようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」(令和2年8月31日付け薬生薬審発0831第11号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知。以下「医師主導治験届出通知」という。)においてお示ししているところです。
今般、他の治験計画の届出において参照されることを前提とした治験実施計画書等の添付資料(以下「共通する治験実施計画書等」という。)を含む治験計画の届出を行った上で、別途、それを参照して治験を実施するための治験計画の届出を行う場合の取扱いを下記のとおり定めましたので、貴管下関係業者等に対して周知いただきますよう御配慮願います。
記
1.共通する治験実施計画書等を参照して治験を実施する場合の治験計画の届出方法について
共通する治験実施計画書等の情報を個別の被験薬の治験計画の届出において参照するアンブレラ型試験(※)等の治験を実施する場合、治験計画の届出方法は以下の(1)から(4)によること。
※ 単一の疾患に対する複数の治療法を対象とした試験であり、例えば抗がん剤の場合、様々な分子学的異常(遺伝子変異等)又は組織型を有する一つのがん種に対して臨床評価を実施するもの。それぞれのサブ試験(副試験)において、分子学的に定義されたサブタイプに対して遺伝子異常等に応じた薬剤の臨床評価を実施する。
(共通する治験実施計画書等の情報を参照する場合のイメージ)
(1) 共通する治験実施計画書等を添付した治験計画届書の届出
(ア) 被験薬の情報を含まず、共通する治験実施計画書等を添付した治験計画届書(以下「共通部分届書」という。)を届け出ることができる。届出分類は「治験計画届」とすること。
ただし、共通部分届書の初回届出時には、共通する治験実施計画書等を参照する治験計画届書又は治験計画変更届書(以下「個別届書」という。)を少なくとも1つ、同日に届け出ること。(届出方法は1.(3)を参照。)既に届け出ている治験計画届書又は治験計画変更届書の「参照する治験届出情報」の項を変更する治験計画変更届書を、共通部分届書と同日に届け出ることでもよい。なお、個別届書は、共通部分届書に添付された共通する治験実施計画書等を参照するものであり、共通部分届書の届出事項を参照することはできない。
(イ) 共通部分届書の届出は、企業治験届出通知の1.(4)、(5)及び(6)②又は医師主導治験届出通知の1.(5)、(6)及び(7)②によること。また、届出事項の詳細については、本通知の2.によること。
(2) 共通部分届書の変更及び廃止
(ア) 共通部分届書の届出事項等に変更が生じ、当該変更を届け出る場合、届出分類は「治験計画変更届」とすること。
(イ) 共通部分届書の届出事項には変更がないが、その添付資料である共通する治験実施計画書等のうち個別届書で参照している事項に変更が生じる場合は、それを参照するいずれかの個別届書について届出区分が「1」又は「2」の届出を行う際に、併せて変更後の治験実施計画書等を添付して共通部分届書に係る治験計画変更届書を届け出ること。その際、当該届書には、変更事項の記載は不要である。変更後の共通する治験実施計画書等を届け出るためだけに、共通部分届書に係る当該変更届出を行う必要はない。
(ウ) 共通部分届書を届け出たのち、共通する治験実施計画書等を参照する全ての治験が終了した場合、共通部分届書に係る治験終了届書を届け出ること。
(3) 個別届書の届出
(ア) 個別届書の「参照する治験届出情報」の項に以下の内容を記載することによって、共通部分届書における該当部分を参照したとみなす。
治験成分記号又は治験識別記号 |
共通部分届書の「主たる被験薬の治験成分記号」の項に記載又は入力した任意の記号(2.(1)参照) |
届出回数 |
共通部分届書の「主たる被験薬の届出回数」の項に記載又は入力した届出回数 |
参照の詳細 |
共通する治験実施計画書等の参照する部分の内容の詳細について具体的に記載する。 |
(イ) 届出事項の詳細については、本通知の2.によること。なお、個別届書は、共通する治験実施計画書等の情報の参照するものであり、共通部分届書の届出事項を参照するものではない。したがって、個別届書の届出事項が、共通部分届書と同一であったとしても、参照又は省略等を行うことなく、個別に記載又は入力(以下「記載等」という。)すること。
(ウ) 個別届書に、共通する治験実施計画書等を添付する必要はない。
(4) 上記によらない届出の方法
共通する治験実施計画書等を参照して治験を実施する場合は、上記1.(1)及び(3)のように、共通部分届書と個別届書をそれぞれ届け出て、後者の「参照する治験届出情報」の項に参照する共通部分届書の情報を記載する方法によるほか、以下によることでも差し支えない。
・ 個別の被験薬に関する治験計画届書の添付資料として、共通する治験実施計画書と個別の被験薬の治験実施計画書の両方を添付する方法。ただし、両者を組み合わせることで、一連の治験実施計画となるよう留意すること。
2.共通部分届書及び個別届書の届出事項について
(1) 共通部分届書における届出事項は以下のとおりである。
なお、以下に示す項目以外の記載等の有無は任意であり、必要に応じて記載等すること(別添1参照)。
様式等のバージョン情報 |
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― |
企業治験届出通知又は医師主導治験届出通知の様式で届け出た旨を記載等すること。 |
治験届出共通事項 |
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主たる被験薬の治験成分記号 |
任意の記号(アルファベット及び数字の組み合わせで半角文字20桁以内。特定の被験薬に係る治験成分記号ではない。)を記載等すること。当該任意の記号は、既に届け出されている治験成分記号と重複しないよう留意すること。 |
治験の種類 |
企業治験届出通知又は医師主導治験届出通知に従い、半角数字で「1」又は「2」と記載等すること。 |
主たる被験薬の初回届出受付番号 |
「主たる被験薬の治験成分記号」欄に記載等した任意の記号に係る初回の治験計画届書の受付番号を記載等すること。当該届書が初回の治験計画届書に該当する場合には、空欄とすること。 |
主たる被験薬の初回届出年月日 |
「主たる被験薬の治験成分記号」欄に記載等した任意の記号に係る初回の治験計画届書を届け出た年月日を記載等すること。 |
主たる被験薬の届出回数 |
「主たる被験薬の治験成分記号」欄に記載等した任意の記号に係る治験計画届書を届け出た回数を記載等すること。 |
当該治験計画届出受付番号 |
治験計画届書の場合は、空欄とすること。治験計画変更届書又は治験終了届書の場合は、変更等の対象となる治験計画届書の受付番号を半角数字及び半角ハイフンを用いて記載等すること。 |
当該治験計画届出年月日 |
治験計画届書の場合は、当該届書の届出年月日を記載等すること。治験計画変更届書又は治験終了届書の場合は、変更等の対象となる治験計画届書の届出年月日を記載等すること。 |
主たる被験薬に関する届出事項 |
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届出年月日 |
当該届書の届出年月日を記載等すること。 |
届出分類 |
治験計画届書の場合は、「治験計画届」と記載等すること。届出事項等に変更が生じ、当該変更を届け出る場合、届出分類は「治験計画変更届」と記載等すること。共通部分届書を参照する全ての治験が終了し届け出る場合、届出分類は「治験終了届」と記載等すること。 |
届出区分 |
届出分類が「治験計画届」の場合は「2」、届出分類が「治験計画変更届」又は「治験終了届」の場合は「3」を半角数字で記載等すること。 |
届書添付資料 |
届出に添付した資料名を示すこと。 |
治験届出者に関する情報 |
企業治験届出通知又は医師主導治験届出通知に従い、治験届出者の氏名、住所等について記載等すること。 |
参照する治験届出情報 |
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医薬品/医療機器/再生医療等製品の別 |
「医薬品」と記載等すること。 |
治験成分記号又は治験識別記号 |
空欄とすること。 |
届出回数 |
空欄とすること。 |
参照区分 |
半角数字で「1」と記載等すること。 |
参照の詳細 |
空欄とすること。 |
(2) 個別届書における「参照する治験届出情報」の届出事項は以下のとおりである(別添2参照)。
医薬品/医療機器/再生医療等製品の別 |
「医薬品」と記載等すること。 |
治験成分記号又は治験識別記号 |
共通部分届書の「主たる被験薬の治験成分記号」の項に記載等した任意の記号を記載等すること。 |
届出回数 |
共通部分届書の「主たる被験薬の届出回数」の項に記載等した届出回数を記載等すること。 |
参照区分 |
半角数字で「2」と記載等すること。 |
参照の詳細 |
共通する治験実施計画書等の参照する部分の内容の詳細について具体的に記載すること。 |
3.共通部分届書及び個別届書の取扱いに係る留意事項について
(1) 30日調査等で届書に係る照会等が必要な場合は、個別届書の治験届出者に照会等が行われる。個別届書の治験届出者は、個別届書の内容に加え、共通部分届書の内容も十分理解しておくこと。
(2) 共通する治験実施計画書等のうち、個別届書が参照する部分が変更された場合は、個別届書も同様に変更されたものとみなす。このため、共通部分届書の治験届出者は、個別届書の治験届出者と継続的に連絡をとれる体制を維持し、共通部分届書の変更等を行おうとするときは速やかに伝達することで、個別届書の治験届出者がその変更内容等を理解し、適切に対応できるようにしておくこと。
(3) 共通部分届書は、被験薬に関する情報を含まないことから、その治験届出者は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第80条の2第6項による治験副作用等の報告は要しない。治験副作用等の報告は、個別届書の治験届出者が行うこと。
(別添1)
(別添2)