添付一覧
○「精神保健指定医の新規申請等に係る事務取扱要領の制定について」の一部改正について
(令和4年6月23日)
(障発0623第3号)
(各都道府県知事・指定都市の長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)
(公印省略)
「精神保健指定医の新規申請等に係る事務取扱要領の制定について」(平成30年障発1206第3号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)を別添のとおり一部改正し、令和4年7月1日以後の申請について適用することとしたので、適切な運用に努められるとともに、精神保健指定医等関係者に対しても周知徹底方お取り計らい願いたい。
なお、改正後の同通知の全文を参考までに添付する。
別添
改正後全文
○精神保健指定医の新規申請等に係る事務取扱要領の制定について
(平成30年12月6日)
(障発1206第3号)
(各都道府県知事・指定都市の長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)
改正 令和元年 5月28日障発0528第5号
同 2年12月25日障発1225第1号
同 3年 6月30日障発0630第1号
同 3年12月13日障発1213第1号
同 4年 6月23日障発0623第3号
(公印省略)
精神保健指定医の新規申請等に係る事務については、「精神保健指定医の新規申請等に係る事務取扱要領について」(平成22年障精発0208第2号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知。以下「現行通知」という。)により行われてきたところであるが、今般、「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第18条第1項第3号の規定に基づき厚生労働大臣が定める精神障害及び程度」(昭和63年厚生省告示第124号)の一部改正に伴い、精神保健指定医の新規指定に係る事務の適切な実施の観点から、現行通知を廃止し、別紙のとおり新たに制定することとしたので、適切な運用に努められるとともに、精神保健指定医等関係者に対しても周知徹底方お取り計らい願いたい。
ただし、本通知は平成31年7月1日以後の申請について適用し、同日前の申請については、なお従前の例による。
別紙
精神保健指定医の新規申請等に係る事務取扱要領
1 精神科実務経験及び医療実務経験について
(1) 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号。以下「法」という。)第18条第1項第2号に規定する「精神障害の診断又は治療に従事した経験」(以下「精神科実務経験」という。)については、精神保健指定医制度の趣旨にかんがみ、自ら精神障害者の診断又は治療に当たるなかで、患者の人権や個人としての尊厳に配慮した精神医学的経験を有することを精神保健指定医(以下「指定医」という。)の指定要件とすることとしたものであり、その期間については3年以上とされている。
(2) 精神科実務経験は、精神科を標榜している医療機関(平成20年3月31日現在神経科を標榜している医療機関を含む。)において行った精神障害者の診断又は治療が主に考えられる。
ただし、当分の間、精神科の診療に相当の経験を有する医師の配置が法律等により定められている施設において常勤の医師として行った診断又は治療についても、これに含まれるものとする。なお、この施設について問合わせ等があった場合には、本職と十分調整されたい。
(3) 精神科実務経験の期間については、以下に示した算定方法により算定するものとする。
ア 精神科実務経験の期間については、1週間に4日以上精神障害者の診断又は治療に当たっている期間を算定対象とすること。
イ アにいう「4日以上」の算定は、外来又は病棟において、精神障害者の診断又は治療に1日おおむね8時間以上当たった日について行う。
なお、診断又は治療に関して通常行われる症例検討会、抄読会等への参加は、これに算入できる。
ウ デイ・ケア、ナイト・ケア、デイ・ナイト・ケア又はショート・ケアに従事した時間及び期間については、精神科実務経験の期間に算入できる。また、精神保健福祉センター、保健所において嘱託医として精神障害者に対する相談業務に従事した時間についても、これに算入できる。
エ 当直のみをする時間及び期間については、精神科実務経験の期間に算入できない。
オ 動物実験等に携わる時間及び期間は、精神科実務経験の期間に算入できない。
カ 精神医学を専攻する大学院生にあっては、副科目及び選択科目の履修や研究のために、精神障害者の診断又は治療を行わない時間及び期間が生じるが、この時間及び期間は、精神科実務経験の期間に算入できない。
キ 外国留学等外国において精神障害者の診断又は治療に当たった場合においては、この時間及び期間は、精神科実務経験の期間に算入できる。
(4) 法第18条第1項第1号に規定する「診断又は治療に従事した経験」(以下「医療実務経験」という。)の期間の算定については、(3)の精神科実務経験の期間の算定方法に準じることとする。
また、医師法(昭和23年法律第201号)第16条の2第1項に規定する臨床研修において、保健所等で業務に従事した場合に、この時間及び期間は医療実務経験の期間に算入できる。
2 指定医の指定申請時に提出するケースレポートについて
(1) 法第18条第1項第3号及び同号に基づく厚生省告示(昭和63年4月厚生省告示第124号。以下「精神科実務経験告示」という。)に規定する「診断又は治療に従事した経験」については、原則として、指定医の指定申請時に提出する上記経験を有することを証する書面(以下「ケースレポート」という。)及び口頭試問により、指定医として必要とされる法的、医学的知識及び技能を有しているかについて確認するものとする。ケースレポートについては、(2)に定める事項に従い記載し、申請書に添付して、申請するものとする。
また、精神科実務経験告示は、指定医としての指定要件として必要最小限の症例数を定めたものであり、指定医の指定を受けようとする者(以下「申請者」という。)は、3年間の精神科実務経験の中においては任意入院者を含めてこれ以上の症例を積極的に取り扱うことが望ましい。
(2) ケースレポートの対象となる症例については、以下によるものとする。
ア 精神科実務経験告示に定める5例以上の症例については、精神病床を有する医療機関において常時勤務(1(3)ア及びイに該当するものをいう。)し、3の指導医の指導のもとに自ら担当として診断又は治療等に十分な関わりを持った症例について報告するものであり、入院中においては、少なくとも1週間に4日以上、当該患者について診療に従事したものでなければならない。
注 ケースレポートは法第18条第1項第3号に定める「診断又は治療に従事した経験」を確認するものであることから、「診断又は治療」自体に該当しない、「診断又は治療」に付随する行為(カンファレンスへの参加、他医師の診療への単なる同席等)を行っていただけでは、「自ら担当として診断又は治療等に十分な関わりを持った症例」とは認められない。
イ 原則として、当該患者の入院から退院までの期間、継続して診療に従事した症例をケースレポートの対象とする。
注1 入院形態の変更は、変更前の入院形態については退院と、変更後の入院形態については入院とみなすものとする。
注2 同一の入院形態のままの転院は転院以前の医療機関では退院とみなさないものとする。(「症状性を含む器質性精神障害(老年期認知症を除く。)」及び「精神作用物質使用による精神及び行動の障害(依存症に係るものに限る。)」については、キを参照すること。)なお、転院先においては入院とみなすものとする。
ウ 入院が長期にわたる場合は、入院から3ヶ月以上継続して当該診療に従事した症例、既に入院している患者については新たに担当として診療に従事して退院まで引き続き当該診療に従事し、その期間が3ヶ月以上である場合において、それぞれケースレポートの対象とすることができるものとする。
エ ケースレポートの対象となる症例は、措置入院者に係るもの又は医療保護入院者に係るものに限る。また、措置入院者に係る症例及び医療保護入院者に係る症例を必ず各1例以上含まなければならない。
オ 医療保護入院者に係る症例については、入院時から担当し、かつ入院時の指定医診察に立ち会った症例を必ず1例以上含まなければならない。
カ 医療保護入院又は措置入院(以下「医療保護入院等」という。)の途中から担当し、任意入院に入院形態が変更された後も退院まで引き続き診療に従事した症例については、当該医療保護入院等の担当開始から入院形態の変更までの期間が1ヶ月を経過し、さらに任意入院の期間を足して3ヶ月以上になる場合において、ケースレポートの対象とすることができるものとする。
また、措置入院の途中から担当し、医療保護入院に入院形態が変更された後も退院まで引き続き診療に従事した症例についても、当該措置入院の担当開始から入院形態の変更までの期間が1ヶ月を経過し、さらに医療保護入院の期間を足して3ヶ月以上になる場合において、措置入院の症例としてケースレポートの対象とすることができるものとする。
キ 「症状性を含む器質性精神障害(老年期認知症を除く。)」及び「精神作用物質使用による精神及び行動の障害(依存症に係るものに限る。)」については、イの注2の規定に関わらず、入院から3ヶ月以内に同一の入院形態のまま転院が行われた症例であっても、ケースレポートの対象とすることができるものとする。
ク イ、ウ、カ及びキについては、別紙1「ケースレポートの対象となる診療期間の条件」を参照すること。
ケ 指定医の申請時から7年より前に診療に従事した症例についてケースレポートを作成することは認められない。ただし申請時から7年より前に診療を開始した症例であっても、申請前7年以内においても引き続き当該診療に従事した症例については、ケースレポートの対象とすることができる。
コ 提出するケースレポートのうち1例以上は、申請前1年以内に診療を開始した症例とする。
注1 当該症例を取り扱った後、やむを得ない理由により診断又は治療に従事できない期間があると認められる場合には、申請前1年を計算する際に当該期間を除くものとする。
注2 やむを得ない理由については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)に規定する育児休業若しくは介護休業、産前産後休業又は長期の病気療養等とし、診断又は治療に従事できない期間として除くことができる期間は1ヶ月以上2年以内を基本とする。
サ 提出するケースレポートのうち2例以上は、申請日の1年前の日より前に診療を開始した症例とする。
シ 提出するケースレポートのうち1例以上は、医療保護入院等から任意入院に入院形態を変更後、申請者が、当該患者に対して任意入院による治療を行ったものが望ましい。なお、この場合において、任意入院の期間は問わない(カの場合を除く。)。
ス 提出するケースレポートのうち1例以上は、申請者が、措置入院者又は医療保護入院者の退院後に、当該患者に対して通院治療を行ったものであることが望ましい。なお、この場合において、通院治療の期間がおおむね1ヶ月以上であることが望ましい。
セ 医療保護入院等から任意入院に入院形態が変更された後、退院後の通院治療をおおむね1ヶ月以上行った症例については、任意入院に移行した症例かつ退院後の通院治療を行った症例としてケースレポートの対象とすることができる。
ソ 同一症例について、入院期間のうちの同一の期間に関して複数の医師がケースレポートを作成すること(申請時期が異なる場合も含む。)は認められない。
3 指導医について
(1) 指導医は次のア及びイの要件を満たす指定医とする。ただし、アについては、申請者が令和7年7月以降に担当を開始した症例の指導医に限るものとする。
ア 法第19条第1項に規定する研修を受けていること(指定後最初の同研修を受けるまでに指定医の職務を停止されていた期間がある場合は指定後二度目の同研修を受けていることとする。)。
イ ケースレポートに係る症例の診断又は治療について申請者を指導した期間において、当該申請者が勤務する医療機関において法第19条の5に規定する常時勤務する指定医であること。
(2) 指導医は以下の役割を担うものとする。
ア ケースレポートに係る症例の診断又は治療について申請者を指導すること。
イ ケースレポートの作成に当たり、申請者への適切な指導及びケースレポートの内容の確認を行うこと。
ウ ア及びイの指導及び確認を行ったことの証明をすること。
なお、当該証明の対象には、ケースレポートの症例について、
① 申請者が担当として診断又は治療等に十分な関わりを持っていること
② 当該症例を、医療保護入院の症例であって、入院時から担当し、かつ、入院時の指定医診察に立ち会った症例として申請する場合には、申請者が入院時の指定医診察に立ち会っているものであること
も含まれる。
(3) その他
ア 診療期間の途中で指導医が交代した場合、当該ケースレポートに係る全ての指導医の氏名と指導期間をケースレポートの別添様式3―1中⑩に記載すること。
イ その場合、原則として、別添様式3―1中⑦のケースレポートの対象とする期間中の最後に指導した指導医が当該ケースレポートの内容について確認を行い、指導の証明を行うこと。
なお、証明を行う指導医は、申請者が、指導医の指導のもとに自ら担当として診断又は治療等に十分な関わりを持っているか、医療保護入院の入院時の指定医診察に立ち会っているかについて、他の指導医が指導した期間についても当該指導医に連絡する等により確認を行うこと。
ウ 2(2)スの退院後の通院治療を行った症例について、入院期間中の指導医と通院治療時の指導医が異なる場合には、入院期間中の最後に指導した指導医と通院治療時に指導した指導医がそれぞれ指導の証明を行うこと。
4 口頭試問の実施について
ケースレポートの書面審査の後、原則として、法第18条第1項第3号及び精神科実務経験告示に規定する「診断又は治療に従事した経験」並びに法第19条の4に規定する職務を行うのに必要な知識及び技能を有しているかについて、口頭試問で確認するものとする。
なお、口頭試問の実施についての詳細は別途通知する。
5 ケースレポート及び口頭試問の評価基準について
ケースレポートと口頭試問については、医道審議会医師分科会精神保健指定医資格審査部会において、別紙2のとおり「ケースレポート及び口頭試問の評価基準」がとりまとめられているので、申請の際に参考とすること。
なお、当該評価基準においては、特に、18歳未満の症例、任意入院に移行した症例又は退院後に通院による治療を行った症例の提出がない場合には、口頭試問において、これらを行うに当たっての一般的な留意点について確認を行う旨記載されていることに留意すること。
6 指定医の指定に係るその他の事項について
(1) 指定医の指定申請を行おうとする者は、別添様式1―1に定める精神保健指定医指定申請書に、以下の書類等を添付して、住所地の都道府県知事又は指定都市の長に提出するものとする。
① 履歴書(申請前6ヶ月以内に上半身脱帽で撮影された、縦40ミリメートル、横30ミリメートル以上の大きさの写真を貼付すること。なお、写真の裏面に撮影年月日及び氏名を記載しておくこと。)
② 医師免許証の写し
③ 5年以上診断又は治療に従事したことを証する施設管理者による実務経験証明書(別添様式2―1及び2―2。大学院生又は文部科学教官については、学長又は学部長の証明によるものとする。④において同じ。ただし、大学院に籍を置き、研修等のため他の施設で診断又は治療に従事した場合は、当該施設の管理者の証明でも認めることとする。)
④ 3年以上の精神科実務経験を有することを証する施設管理者による実務経験証明書(別添様式2―1及び2―2)
⑤ ケースレポート(別添様式3―1により各症例5通(原本1通及び複写4通)を提出すること。文字数は別添様式3―1を参照。原則としてワードプロセッサーで作成すること。なお、ケースレポートの症例は、疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回改訂版における「精神および行動の障害」の規定に基づき、第1症例は「症状性を含む器質性精神障害」(F0)、第2症例は「精神作用物質使用による精神及び行動の障害」(F1)(依存症に係るものに限る。)、第3症例は「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」(F2)、第4症例は「気分(感情)障害」(F3)、第5症例は「神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害」(F4)、「生理的障害及び身体的要因に関連した行動症候群」(F5)、「成人の人格及び行動の障害」(F6)、「知的障害(精神遅滞)」(F7)、「心理的発達の障害」(F8)又は「小児(児童)期及び青年期に通常発症する行動及び情緒の障害」(F90―F98)のいずれかとすること。)
⑥ ケースレポート一覧表(別添様式3―2)
⑦ 申請前1年以内に従事した症例に関して、やむを得ない理由があることを証明する書類(該当者のみ)
⑧ 法第18条第1項第4号に規定する研修の課程を修了したことを証する書面の写し
⑨ 写真(大きさは縦60ミリメートル、横40ミリメートルの大型サイズとし、申請前6ヶ月以内に上半身脱帽で撮影されたもの。なお、裏面に撮影年月日及び氏名を記載し、①の履歴書に添付する写真とは別に提出すること。)
⑩ ⑧が交付された後に氏名が変更された場合は、本人であることを証明する書類(戸籍抄本等)の写し
⑪ 指導医が法第19条第1項に規定する研修を修了したことを証する書面の写し(症例の指導期間より前のものを提出すること。なお、ケースレポートに係る症例に関わった全ての指導医について提出すること。)
⑫ 指導医がケースレポートを指導していた医療機関において常時勤務していたことを証する施設管理者による常時勤務証明書(別添様式4。なお、当該証明書はケースレポートに係る症例に関わった全ての指導医について提出すること。)
(2) 法第19条第2項の規定により指定の効力が失効した日から起算して1年を超えない期間に指定医の指定に係る申請を行おうとする者は、(1)にかかわらず、法第19条第1項に規定する研修を受講した上で、別添様式1―2に定める精神保健指定医指定申請書(失効後一年未満)に、(1)①、②、⑨及び⑩の書類等、法第19条第1項に規定する研修を修了したことを証する書面の写し並びに失効した指定医証を添付して、住所地の都道府県知事又は指定都市の長に提出すること。
(3) 指定医の指定は、医道審議会医師分科会精神保健指定医資格審査部会の意見を求め、その結果に基づいて行うこととされているが、申請者から提出されたケースレポートの内容が十分ではなく、精神科実務経験告示に定める「診断又は治療に従事した経験」を満たしているか否かについて適正な審査が行えない場合においては、当該「診断又は治療に従事した経験」のうち具体的な症例について、関連する診療録の提出や申請者自らが担当した他の症例のケースレポートの提出を求めることがある。
(4) 指定医の指定申請において疑義が生じた場合、本職の求めに応じて、各都道府県・指定都市精神保健福祉担当課及び医療機関は、指導医の指導状況と合わせて調査の上、その結果の報告に協力するよう努めること。
(5) 精神保健指定医指定申請書に記載された個人情報については、精神保健指定医の指定や、法施行規則第4条の12第1項に規定された指定後の研修の通知など、精神保健指定医制度の運用のためのみに利用する。
7 研修について
法第18条第1項第4号及び第19条第1項に規定する研修については、厚生労働大臣の登録を受けた者が行う。
8 指定後における事務取扱いについて
(1) 指定医に対して指定医証を交付した都道府県知事又は指定都市の長は、受領書を受けるなど交付した旨が明らかになるようにしておくこと。なお、受領書を受けた場合に、これを本職に提出する必要はない。
また、都道府県知事又は指定都市の長は、医療機関の管理者に対して、各年度当初に当該医療機関に勤務する指定医の指定医証の有効期限について確認をするよう促すこと。さらに、都道府県知事又は指定都市の長は、指定医が公務員としての職務を行う立場にあることを踏まえ、公務員としての職務を行う可能性のある指定医について、各年度当初に指定医証の有効期限を確認するよう努めること。
(2) 指定医は自らの責任のもと指定医証を管理することとし、指定医証の有効期限についても十分注意すること。なお、指定医証の有効期限が切れている状態(6(2)に規定する申請を行い、再度指定医として指定されるまでの間を含む。)で行った指定医の職務行為は取り消しうるものとなる。
(3) 指定医は措置入院を行うに当たっての判断や行動制限など、私人に対する権利の制限にたずさわる立場にあることを踏まえ、その職務を行う際にはいつでも指定医証を提示できる状態にしておくよう努めること。
(4) 指定医は、指定医証の記載事項に変更のあるとき又は住所地に変更のあるときは、その旨を都道府県知事又は指定都市の長に届け出ること。
なお、指定医証の記載事項に変更のあるときは、指定医証を添付すること。
(5) 指定医は、指定医証を紛失し又はき損したときは、その旨を都道府県知事又は指定都市の長に届け出ること。
なお、き損のときは指定医証を添付すること。
(6) 指定医は、指定医の指定を取り消されたとき又は期間を定めてその職務の停止を命ぜられたときは、速やかに指定医証を都道府県知事又は指定都市の長を経由して厚生労働大臣に返納すること。
別紙1
「ケースレポートの対象となる診療期間の条件」
○ いずれの場合においても、自ら担当として診断や治療等への十分な関わりが認められることが必要である。
1 基本的条件
2 入院形態の変更が関わる場合
(1) 医療保護入院(措置入院)から任意入院の場合
(2) 措置入院から医療保護入院の場合
3 転院が関わる場合(入院形態を変更した場合を除く)
(1) 同一の入院形態のままの転院の場合
(2) 症状性を含む器質性精神障害(老年期認知症を除く。)、精神作用物質使用による精神及び行動の障害(依存症に係るものに限る。)の場合は、次の事例についても対象となる。
別紙2
平成30年11月22日
医道審議会医師分科会精神保健指定医資格審査部会
令和3年6月18日(第1回改訂)
ケースレポート及び口頭試問の評価基準
精神保健指定医の新規申請に係る当部会の審査に当たっては、以下の基準により、ケースレポートの書面及び口頭試問を総合的に評価する。
1.基礎的事項
① 自ら担当として診断又は治療に十分関わりを持った症例(※)であるか。 ※ 少なくとも1週間に4日以上、当該患者について診療に従事したものでなければならない。 |
② 精神保健福祉法の理解が十分であり、法の運用上、不適切な点や違法性はないか。 |
③ 臨床精神医学の基礎知識が認められるか。 |
④ 論旨が不明瞭等、ケースレポートとして不適切な点はないか。 |
⑤ 差別用語など、不適切な表現・用語の使用がないか。 |
2.症例内容
<共通事項>
① 国際疾病分類(ICD)に基づく診断名(入院時診断名/最終診断名)が記載され、患者の症状と照らしてその診断名に妥当性が認められるか。 |
② 診断根拠が記載され、その内容に妥当性が認められるか。 |
③ 入院時に疑い病名としていた場合、その理由と最終診断を下した日付が記載され、その内容に妥当性が認められるか。 |
④ 入院後の治療経過や治療内容について努めたインフォームド・コンセントの内容が適切に記載されているか。また、その過程における主治医等担当医としての関わりや治療努力が記載されているか。 ※ 以下の点に特に留意 ・ 修正型電気けいれん療法、多量・多剤大量の薬物療法、クロザピンなど慎重を要する治療手段が用いられた場合、その理由と必要事項に関する記載があるか。 ・ やむを得ず適応症以外での薬物使用を行う際には、使用の理由と本人や家族にその効果や副作用を含めた説明を十分に行い、同意を得ているか。 |
⑤ 患者の症状、診断内容に照らし、治療内容に妥当性が認められるか。 |
<入院形態など症例の属性に応じた事項>
措置入院 |
① 患者の症状及び措置入院の対象となる者の要件を踏まえ、措置入院を行う必要性が記載され、その内容に妥当性が認められるか。 |
② 患者が精神保健福祉法第5条に規定する精神障害者であるか(国際疾病分類(ICD)に該当する精神障害を有しているか)。 |
|
③ 患者が、 ・ 医療及び保護のために入院させなければ ・ その精神障害のために ・ 自傷(※1)又は他害(※2)のおそれがある と認められるか。 ※1 自殺企図等、自己の生命、身体を害する行為。浪費や自己の所有物の損壊等のように単に自己の財産に損害を及ぼすにとどまるような行為は含まれない。 ※2 殺人、傷害、暴行、性的問題行動、侮辱、器物破損、強盗、恐喝、窃盗、詐欺、放火、弄火等他の者の生命、身体、貞操、名誉、財産等又は社会的法益等に害を及ぼす行為(原則として刑罰法令に触れる程度の行為をいう。) |
|
④ 退院まで担当した症例である場合、患者の症状及び措置入院が解除となる者の要件を踏まえ、措置入院の継続が不要と判断された理由が記載され、その内容に妥当性が認められるか。 |
|
医療保護入院 |
⑤ 患者の症状及び医療保護入院の対象となる者の要件を踏まえて医療保護入院を行う必要性が記載され、その内容に妥当性が認められるか。 |
⑥ 患者が、精神保健福祉法第5条に規定する精神障害者であるか(国際疾病分類(ICD)に該当する精神障害を有しているか)。 |
|
⑦ 患者が、医療及び保護のために入院の必要があるか。 |
|
⑧ 患者が、その精神障害のために任意入院が行われる状態にないか(本人に病識がない等、入院の必要性についてその精神障害のために本人が適切な判断をすることができない状態にあるか)。 |
|
⑨ 本人に対して入院医療の必要性等について十分な説明を行い、その同意を得て、任意入院となるよう努めているか。 |
|
⑩ 退院まで担当した症例である場合、患者の症状及び医療保護入院の対象となる者の要件を踏まえ、医療保護入院の継続が不要と判断された理由が記載され、かつその内容に妥当性が認められるか。 |
|
18歳未満の症例 (18歳未満とは、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者をいう) (注) |
⑪ 患者の年齢、発達段階および児童思春期の心理的特性に配慮して関わり、治療するよう努めているか。 |
⑫ 患者の発育発達歴、養育環境、就労・就学状況等を把握し、保健福祉等の支援の必要性を検討し、必要に応じて関係機関との連携を図っているか。 |
|
任意入院に移行した症例 (注) |
⑬ 措置入院者又は医療保護入院者が、措置入院又は医療保護入院の要件はなくなったが、入院継続の必要性がある場合、本人に対して入院医療の必要性等について十分な説明を行い、その同意を得たうえで、可能な限り早期に任意入院に移行できるよう努めているか。 |
⑭ 退院制限を行った場合、患者の症状及び退院制限の要件(※)を踏まえ、退院制限の理由、期間及びその後に採った措置が記載され、その内容に妥当性が認められるか。 ※ 指定医(特定医師)による診察の結果、医療及び保護のため入院を継続する必要があると認めたときに72時間(特定医師の場合は12時間)に限り実施可能。 |
|
退院後に外来治療を行った症例 (注) |
⑮ 退院前に退院後の患者に対する保健福祉等の支援や関係機関との連携の必要性を検討し、評価したか。 |
注: 該当症例の提出がない場合には、口頭試問において、18歳未満の症例の診断・治療、任意入院、退院後の外来治療を行うに当たっての一般的な留意点について口頭試問で確認を行う。
<行動制限に関する事項>
共通事項 |
① 行動制限を行った場合に、患者の症状を踏まえ、行動制限の種類、開始・解除の日時及び開始・解除の判断理由が記載され、その内容に妥当性が認められるか。 ※ 電話・面会の制限については日時の記載は求めない。 |
② 行動制限は、医療又は保護に欠くことができない限度において行われているか(患者の症状に応じて最も制限の少ない方法により行われているか)。 |
|
電話・面会の制限 |
③ 制限を行わなければ病状の悪化を招き、あるいは治療効果を妨げる等、医療又は保護の上で合理的な理由がある場合に行われているか。 |
④ 合理的な方法及び範囲における制限であるか。 |
|
隔離 |
⑤ 患者の症状からみて、 ・ 本人又は周囲の者に危険が及ぶ可能性が著しく高く、 ・ 隔離以外の方法ではその危険を回避することが著しく困難であると判断される場合に、 ・ その危険を最小限に減らし、患者本人の医療又は保護を図ることを目的として 行われているか。 |
⑥ 隔離以外によい代替方法がない場合において行われているか。 |
|
⑦ 隔離の対象となる患者が、次のような場合に該当すると認められるか。 ア 他の患者との人間関係を著しく損なうおそれがある等、その言動が患者の病状の経過や予後に著しく悪く影響する場合 イ 自殺企図又は自傷行為が切迫している場合 ウ 他の患者に対する暴力行為や著しい迷惑行為、器物破損行為が認められ、他の方法ではこれを防ぎきれない場合 エ 急性期精神運動興奮等のため、不穏、多動、爆発性などが目立ち、一般の精神病室では医療又は保護を図ることが著しく困難な場合 オ 身体的合併症を有する患者について、検査及び処置等のため、隔離が必要な場合 |
|
身体的拘束 |
⑧ 身体的拘束以外によい代替方法がない場合において行われているか。 |
⑨ 身体的拘束の対象となる患者が、次のような場合に該当すると認められる患者であるか。 ア 自殺企図又は自傷行為が著しく切迫している場合 イ 多動又は不穏が顕著である場合 ウ ア又はイのほか精神障害のため、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそれがある場合 |
|
⑩ できる限り早期に他の方法に切り替えるよう努めているか。 |
|
任意入院者の開放処遇の制限 |
⑪ 任意入院者の症状からみて、その開放処遇を制限しなければその医療又は保護を図ることが著しく困難であると医師が判断する場合にのみ行われているか。 |
⑫ 開放処遇の制限の対象となる任意入院者が、次のような場合に該当すると認められる患者であるか。 ア 他の患者との人間関係を著しく損なうおそれがある等、その言動が患者の病状の経過や予後に悪く影響する場合 イ 自殺企図又は自傷行為のおそれがある場合 ウ 当該任意入院の病状からみて、開放処遇を継続することが困難な場合 |
※ 上記の各項目については、当該項目に係る一般的な留意事項についても、口頭試問で確認を行う場合がある。
本評価基準は令和3年7月1日以後の申請について適用する。
様式1―1
様式1―2
様式2―1
様式2―2
様式3―1
様式3―2
様式4