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○「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて」の一部改正について

(令和4年6月17日)

(医政発0617第2号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医政局長通知)

(公印省略)

病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについては「病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて」(平成31年3月15日付け医政発0315第4号厚生労働省医政局長通知。以下「取扱通知」という。)等に基づき、管下の医療機関に対して指導をお願いしているところです。

令和4年4月1日に「医療法施行規則等の一部を改正する省令」(令和4年厚生労働省令第75号。以下「改正省令」という。)が公布され、改正省令の趣旨については「医療法施行規則等の一部を改正する省令の公布について」(令和4年4月1日付け医政発0401第24号厚生労働省医政局長通知。以下「公布通知」という。)において周知しているところです。

今般、公布通知において、追って通知する予定としていた、特別措置病室の使用に当たり留意すべき事項について、令和4年10月1日付けで別添の新旧対照表のとおり取扱通知を改正することとし、別添の新旧対照表のうち、取扱通知の別紙「女子の線量限度の適用除外についての書面の運用に係る留意事項」の改正箇所については、本日付けで改正することとしたため、貴職におかれてはこれを御了知いただくとともに、管下の関係医療機関等に周知方お願いします。

なお、別添の新旧対照表中の「関係学会等が作成するガイドライン」については、作成され次第、追って周知する予定です。

〔別添〕

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〔参考〕

○病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて

(平成31年3月15日)

(医政発0315第4号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医政局長通知)

改正 令和 2年10月27日医政発1027第4号

同  4年 6月17日医政発0617第2号

(公印省略)

病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについては、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成13年3月12日付け医薬発第188号厚生労働省医薬局長通知)、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成16年8月1日付け医政発第0801001号厚生労働省医政局長通知)等に基づき、管下の医療機関に対して指導をお願いしているところである。

今般、診療用放射性同位元素及び陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の取扱いに関して、医療法施行規則の一部を改正する省令(平成31年厚生労働省令第21号。以下「改正省令」という。別添)は平成31年3月11日に公布され、一部の規定を除いて平成31年4月1日に施行されることとなり、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成31年3月12日付け医政発0312第7号厚生労働省医政局長通知)により、施行に当たっての留意事項が示されたところである。ついては、改正省令における診療用放射性同位元素及び陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の取扱い、エックス線装置を用いた新しい医療技術への対応並びにこれらを含む病院又は診療所における診療用放射線の取扱いについて留意すべき事項を下記のとおり定めたので、御了知されるとともに、貴管下の関係医療機関等に周知方お願いする。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的助言であることを申し添える。

また、本通知をもって、「移動型CT装置の取扱いについて」(平成12年2月10日付け医薬安発第26号厚生省医薬安全局安全対策課長通知)、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成13年3月12日付け医薬発第188号厚生労働省医薬局長通知)、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成16年1月30日付け医政発第0130006号厚生労働省医政局長通知)、「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行等について」(平成16年8月1日医政発第0801001号厚生労働省医政局長通知)及び「医療法施行規則の一部を改正する省令の施行について」(平成17年6月1日付け医政発第0601006号厚生労働省医政局長通知)は廃止する。

第1 届出に関する事項

1 エックス線装置の届出(医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号。以下「規則」という。)第24条の2)

(1) 定格出力の管電圧(波高値とする。以下同じ。)が10キロボルト以上であり、かつ、そのエックス線のエネルギーが1メガ電子ボルト未満の診療の用に供するエックス線装置とは、直接撮影用エックス線装置、断層撮影エックス線装置、CTエックス線装置、胸部集検用間接撮影エックス線装置、口内法撮影用エックス線装置、歯科用パノラマ断層撮影装置及び骨塩定量分析エックス線装置等の撮影用エックス線装置、透視用エックス線装置、治療用エックス線装置、輸血用血液照射エックス線装置等であること。これらのエックス線装置を病院又は診療所に備えたときは、10日以内に規則第24条の2に規定に基づく届出書により届出を行うこと。

(2) エックス線装置は、エックス線発生装置(エックス線管及びその付属機器、高電圧発生装置及びその付属機器並びにエックス線制御装置)、エックス線機械装置(保持装置、エックス線撮影台及びエックス線治療台等)、受像器及び関連機器から構成され、これらを一体として1台のエックス線装置とみなすこと。

なお、複数のエックス線管を備えた装置であっても、1台の共通したエックス線制御装置を使用し、かつ、1人の患者の診療にしか用いることができない構造である場合は、1台のエックス線装置とみなすことができること。

(3) 移動型又は携帯型エックス線装置(移動型透視用エックス線装置及び移動型CTエックス線装置を含む。以下同じ。)を病院又は診療所に備えたときについても、10日以内に規則第24条の2の規定に基づく届出書により届出を行うこと。この場合において、同条第4号に規定する「エックス線装置のエックス線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要」として、当該エックス線装置の使用条件、保管条件等を具体的に記載する必要があること。また、移動型又は携帯型エックス線装置を、エックス線診療室内に据え置いて使用する場合は、届出に当たってその旨を記載すること。

(4) 規則第24条第10号の規定に基づき、規則第24条の2第2号から第5号までに掲げる事項を変更した場合は、規則第29条第1項に規定する方法により変更の届出が必要であること。

なお、エックス線装置を構成する機器の一部を交換する場合においては、エックス線管、高電圧発生装置、受像器等の機器の変更により規則第30条に規定するエックス線装置の防護基準に関する規格の変更等を伴う可能性がある項目について、届出を行う必要があるが、同一規格のエックス線管を交換する場合においては、届出は不要であること。

2 診療用粒子線照射装置の届出

(1) 届出事項等(規則第25条の2)

診療用粒子線照射装置を病院又は診療所に備えようとする場合には、規則第25条の2の規定に基づき準用する第25条各号に掲げる事項を記載した届出書を提出することにより行うこと。

粒子線の発生装置については、放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号。以下「RI法」という。)の適用を受けるものであり、RI法の規定を遵守しなければならないこと。

ただし、病院又は診療所に設置される粒子線の発生装置については、従前のとおりRI法の適用を受けるものであるが、診療用粒子線照射装置に粒子線を供する目的で用いるものについては、放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の評価に必要な情報であることから、規則第25条の2の規定に基づき準用する規則第25条各号に掲げる放射線障害の防止に関する構造設備及び予備措置の概要として、RI法第3条第2項の申請書の写し等により次に掲げる内容について確認するとともに、関連する診療用粒子線照射装置の届出と齟齬なきことを確認されたいこと。

ア 病院又は診療所の名称及び所在地

イ 粒子線の発生装置の制作者名、型式及び台数

ウ 粒子線の発生装置の定格出量

エ 粒子線の発生装置及び粒子線の発生装置を設置する室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要

オ 粒子線の発生装置の発生する粒子線の種類等

3 診療用放射線照射装置の届出(規則第26条)

(1) 据え置き型の診療用放射線照射装置については、規則第26条第2号の規定中「個数」は「台数」と読み替えること。

(2) 規則第26条第3号の規定において、「診療用放射線照射装置により治療を受けている患者」とは、診療用放射線照射装置を継続的に挿入し放射線治療を受けている患者に限られるものであり、血管内への一時的挿入や高線量RALS(以下「一時的挿入等」という。)により治療を受けている患者は該当しないこと。

また、「診療用放射線照射装置により治療を受けている患者を入院させる病室」とは、診療用放射線照射装置を継続的に体内に挿入して治療を受けている患者を入院させる病室に限定され、診療用放射線照射装置の一時的挿入等による放射線治療を行った患者については、必ずしも当該病室に入院させる必要はないこと。ただし、この場合においては、規則第30条の23の規定に基づき、診療用放射線照射装置による治療等について記録を保存すること。

なお、同号における「貯蔵施設及び運搬容器」とは、放射線治療を行うために体内に挿入して用いる診療用放射線照射装置を貯蔵する施設及び貯蔵施設から診療用放射線照射装置使用室等への運搬に用いる運搬容器に限られること。

(3) 診療用放射線照射装置については、RI法の適用を受けるものであり、RI法の規定を遵守しなければならないこと。

4 診療用放射線照射器具の届出(規則第27条)

(1) 診療用放射線照射器具には、患者に投与された診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素から放出される放射線を画像化する装置(以下「核医学撮像装置」という。)における吸収補正(画像診断の定量性を高め、精度の高い診断を可能とするため、規則第24条第8号の2における診療用放射性同位元素又は同条第8号における陽電子断層撮影診療用放射性同位元素からの放射線の臓器や組織による吸収を補正すること。以下同じ。)を目的として人体に照射する線源も含まれること。

なお、規則第27条第1項第4号において、診療用放射線照射器具を使用する診療放射線技師の氏名及び放射線診療に関する経歴を届出書の記載事項としているのは、吸収補正に用いる線源を使用する場合を想定しているためであり、体内に挿入して治療を行うために用いられる診療用放射線照射器具について、診療放射線技師が患者の体内に挿入することを認める趣旨ではないこと。ただし、直接体内に挿入しないリモートアフターローダの操作についてはこの限りではないこと。

(2) 規則第27条第3項に規定する「毎年12月20日までに、翌年において使用を予定する当該診療用放射線照射器具について同条第1項第1号及び前項第1号に掲げる事項」とは、同条第2項により届出されているもののうち、同項第1号の規定に基づく1年間に使用する当該診療用放射線照射器具の型式及び個数並びに装備する放射性同位元素の種類及びベクレル単位をもって表わした数量に限られること。

なお、同条第1項第2号により届出されている数量等を超える量の診療用放射線照射器具の使用を予定する場合には、同項第3号に規定する「放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要」の変更に当たるので、あらかじめ規則第29条第2項による変更の届出が必要であること。

(3) 診療用放射線照射器具については、RI法の適用を受けるものであり、RI法の規定を遵守しなければならないこと。

5 診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の届出(規則第28条)

(1) 規則第28条の規定は、放射性同位元素による放射線障害を防止し公共の安全の確保を図る観点から、規則第24条第8号に規定する陽電子断層撮影診療用放射性同位元素又は同条第8号の2に規定する診療用放射性同位元素を病院又は診療所に備えようとする場合の手続を定めるものであり、当該放射性医薬品を使用した患者の安全性を担保するものではないこと。

なお、規則第24条第8号イからニまでに掲げるものは、おおむね次に掲げるとおりであること。

ア イ及びロに掲げるものは、従前より医療法(昭和23年法律第205号)の規制対象である、病院又は診療所に存する放射性医薬品及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)の承認又は認証を受けている医薬品又は体外診断用医薬品を指すものであること。

イ ハに掲げるものは、従前より医療法の規制対象である、病院又は診療所に存する医薬品医療機器等法に規定する治験に用いる薬物に加え、人体に投与する目的で使用するに当たっての手続が明確であるものとして、臨床研究法(平成29年法律第16号)第2条第2項に規定する特定臨床研究に用いるもの、再生医療等の安全性の確保等に関する法律(平成25年法律第85号。以下「再生医療等法」という。)第2条第1項に規定する再生医療等に用いるもの及び厚生労働大臣の定める先進医療又は患者申出療養に用いるもののうち、病院又は診療所に存するものを指すものであること。

ウ ニに掲げるものは、従前より医療法の規制対象である、病院又は診療所に備えられたサイクロトロン装置等によって精製された放射性同位元素から合成された陽電子断層撮影診療用放射性同位元素のうち、病院又は診療所に存するものを指すものであること。

(2) 規則第24条第8号ハに掲げる診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の届出を行うに当たっては、次に掲げる事項に留意すること。

ア ハ(1)に掲げるものについては、医薬品医療機器等法第80条の2第2項に規定する治験の計画の届出の写し(受領印があり、厚生労働大臣又は独立行政法人医薬品医療機器総合機構によって受領されたことが明らかであるもの)又は治験の依頼をしようとする者と締結した医薬品の臨床試験の実施に関する省令(平成9年厚生省令第28号)第13条の規定に基づく治験の契約の写し等、当該届出に係る診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が医薬品医療機器等法第2条第17項に規定する治験に用いるものであることを証明できる書面の添付が必要であること。

イ ハ(2)に掲げるものについては、臨床研究法第5条に規定する特定臨床研究の実施に関する計画の写し等、臨床研究法第2条第2項に規定する特定臨床研究に用いるものであることを証明できる書面の添付が必要であること。

ウ ハ(3)に掲げるものについては、再生医療等法第4条に規定する再生医療等の研究に関する計画の写し等、再生医療等法第2条第1項に規定する再生医療等に用いるものであることを証明できる書面の添付が必要であること。

エ ハ(4)に掲げるものについては、当該届出を行う診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が先進医療又は患者申出療養に用いるものであることを証明できる書面として次に掲げる書面のいずれかの添付が必要であること。

(ア) 先進医療については、「厚生労働大臣の定める先進医療及び施設基準の制定等に伴う実施上の留意事項の取扱いについて」(平成28年3月4日付け医政発0304第2号・薬生発0304第2号・保発0304第16号厚生労働省医政局長、医薬・生活衛生局長及び保険局長連名通知)における先進医療実施届出書及び添付書類等の写し並びに地方厚生(支)局が当該新規技術の適否について当該新規技術を実施する病院又は診療所に対して通知した書類の写し。

(イ) 患者申出療養については、「健康保険法及び高齢者の医療の確保に関する法律に規定する患者申出療養の実施上の留意事項及び申出等の取扱いについて」(平成28年3月4日付け医政発0304第3号・薬生発0304第1号・保発0304第18号厚生労働省医政局長、医薬・生活衛生局長及び保険局長連名通知)に基づき作成された保険外併用療養に係る厚生労働大臣が定める医薬品等(平成18年厚生労働省告示第498号)11(1)に規定する申出書及び添付書類等の写し並びに地方厚生(支)局が当該医療技術の評価の結果について当該医療技術を実施する病院又は診療所に対して通知した書類の写し。

(3) 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を病院又は診療所に備えようとする場合に、規則第28条第1項各号に掲げる事項を記載した届出書を提出するに際しては、次に掲げる事項に留意すること。

なお、その他の陽電子断層撮影診療用放射性同位元素に係る届出については、規則第28条の診療用放射性同位元素に係るものと同様であること。

ア 規則第28条第1項第4号に規定する陽電子断層撮影診療用放射性同位元素に係る放射線障害の防止に関する「予防措置」には、次に掲げる内容が含まれること。なお、届出に当たっては、予防措置を講じていることを証する書類を添付すること。また、同号の趣旨を踏まえ、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の取扱いについて、陽電子断層撮影診療を担当する医師又は歯科医師と薬剤師との連携が十分に図られるように努めること。

(ア) 陽電子断層撮影診療に関する所定の研修を修了し、専門の知識及び経験を有する診療放射線技師を、陽電子断層撮影診療に関する安全管理に専ら従事させること。

(イ) 放射線の防護を含めた安全管理の体制の確立を目的とした委員会等を設けること。

イ 規則第28条第1項第5号の規定により、その氏名及び放射線診療に関する経歴を届け出るものとされている陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を使用する医師又は歯科医師のうち少なくとも1名は、次に掲げる全ての項目に該当する者とすること。なお、届出に当たっては、全ての項目に該当する事実を証する書類を添付すること。

(ア) 当該病院又は診療所の常勤職員であること。

(イ) 陽電子断層撮影診療に関する安全管理の責任者であること。

(ウ) 核医学診断の経験を3年以上有していること。

(エ) 陽電子断層撮影診療全般に関する所定の研修を修了していること。

ウ アの(ア)及びイの(エ)における「所定の研修」とは、放射線関係学会等団体が主催する医療放射線の安全管理に関する研修であって、概ね次に掲げる事項に該当する内容を含む講義又は実習をいうこと。

① 陽電子断層撮影診療に係る施設の概要に関する事項

② サイクロトロン装置の原理と安全管理に関する事項

③ FDG製剤(放射性2―deoxy―2―[F―18]fluoro―D―glucose製剤)等の陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の製造方法、精度管理及び安全管理に関する事項

④ 陽電子断層撮影診療の測定原理に関する事項

⑤ 陽電子放射断層撮影装置の性能点検と校正に関する事項

⑥ FDG製剤等を用いた陽電子断層撮影診療の臨床使用に関するガイドラインに関する事項

⑦ 放射線の安全管理、放射性同位元素の取扱い及び陽電子断層撮影診療に関わる医療従事者の被ばく管理に関する事項

⑧ 医療法、RI法等の放射線の安全管理に関する各種法令及び放射線の安全管理に係る関係府省庁の通知等に関する事項

(4) 病院又は診療所に設置されるサイクロトロン装置については、RI法の規定の適用を受けるが、診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を製造する目的のものである場合には、製造から使用までの工程は一体のものであり放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の評価に必要な情報であることから、規則第28条各号に掲げる放射線障害の防止に関する構造設備及び予備措置の概要として、RI法第3条第2項に規定する申請書の写し等により次に掲げる内容について確認するとともに、関連する診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の届出と齟齬なきことを確認されたいこと。

① 病院又は診療所の名称及び所在地

② サイクロトロン装置の制作者名、型式及び台数

③ サイクロトロン装置の定格出量

④ サイクロトロン装置及びサイクロトロン装置を設置する室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要

⑤ サイクロトロン装置の精製する放射性同位元素の種類、形状及びベクレル単位で表した1日の最大精製予定数量

(5) 規則第28条第1項第3号に規定する「3月間の最大使用予定数量」とは、規則第30条の26第1項に規定する濃度等及び同条第3項に規定する管理区域に係る線量等が3月間当たりで規定されることから、4月1日、7月1日、10月1日及び1月1日を始期とする3月間の最大使用予定数量のことであること。

(6) 規則第28条第2項に規定する「毎年12月20日までに、翌年において使用を予定する診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素について前項第1号及び第2号に掲げる事項」とは、同条第1項の規定に基づきあらかじめ届出書に記載している「病院又は診療所の名称及び所在地」及び「その年に使用を予定する診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の種類、形状及びベクレル単位をもって表わした数量」に限定されること。

なお、同項第3号の規定に基づき届出されている予定数量等を超える診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の使用を予定する場合には、同項第4号「放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要」の変更に当たるので、あらかじめ規則第29条第2項の規定に基づく変更等の届出が必要であること。

第2 エックス線装置等の防護に関する事項

1 エックス線装置の防護(規則第30条)

(1) 規則第30条第1項第1号に規定する「利用線錐以外のエックス線」とは、当該エックス線管容器又は照射筒からの漏えい線量のみをいうこと。

(2) 規則第30条第1項第2号に規定する「総濾過」とは、装置自身による自己濾過を含むものであること。

この場合において、治療用エックス線装置、輸血用血液照射エックス線装置及び定格管電圧50キロボルト以下の乳房撮影用エックス線装置を除くエックス線装置の利用線錐方向の総濾過のうち、アルミニウム当量1.5ミリメートルは常設であること。

また、定格管電圧50キロボルト以下の乳房撮影用エックス線装置についても、アルミニウム当量0.5ミリメートル以上又はモリブデン当量0.03ミリメートル以上となるような総濾過を常設することが望ましいこと。

なお、附加濾過板の材質は診療上適宜定められるものであるが、その基準は、概ね次のようなものであること。

管電圧(波高値とする。)

使用濾過板

20キロボルト以下

セロファン

20キロボルト~120キロボルト

アルミニウム

120キロボルト~400キロボルト

400キロボルト以上

(3) 規則第30条第2項第1号の規定は、透視用エックス線装置の防護基準として、透視中における患者の被ばく線量を抑制するために設けられたものであること。

なお、高線量率透視制御を備えた装置については、いかなる管電圧と管電流の組合せにおいても125ミリグレイ毎分を超えてはならないこと。

また、透視を行う場合においては、放射線診療従事者等は、できる限り防護衝立や防護スクリーンの背後で作業すること。これができない場合であっても、適切な他の放射線防護用具を使用すること。

(4) 規則第30条第2項第2号に規定する「透視時間を積算する」とは、患者及び放射線診療従事者等の被ばく線量を抑制するために透視中の時間を把握することであること。

(5) 規則第30条第2項第3号の規定の趣旨は、患者の被ばく線量を抑制することであり、同号に規定する「インターロック」とは、エックス線管焦点皮膚間距離が30センチメートル未満の場合における、当該エックス線装置からのエックス線の発生を遮断するための装置であること。

(6) 規則第30条第2項第7号に規定する「利用線錐以外のエックス線を有効にしゃへいするための適切な手段」とは、患者からの散乱線及びエックス線装置と患者との間に設けられた散乱体による散乱線に対する放射線診療従事者等の放射線防護手段であること。

(7) 規則第30条第3項の規定の趣旨は、エックス線撮影の際、患者の不必要な放射線被ばくを少なくすること及び患者からの散乱線の発生を少なくすることであること。

(8) 規則第30条第4項第2号及び第3号に規定するエックス線量の空気カーマは、エックス線管容器及び照射筒からの漏えい線量を含むものであること。

2 診療用高エネルギー放射線発生装置及び診療用粒子線照射装置の防護(規則第30条の2及び第30条の2の2)

(1) 規則第30条の2第1号に規定する「利用線錐以外の放射線量」とは、当該発生管等からの漏えい線量のみを指すこと。

なお、「利用線錐以外の放射線量」には中性子線によるものを含まないが、可能な限り中性子線による影響を低減させること。

(2) 規則第30条の2第2号の規定の趣旨は、ターゲット等が放射化された場合にあっては、被ばく線量の低減を図ることであること。

なお、この場合における「適切な防護措置」とは、照射終了直後に保守作業として部品等を取り扱う必要がある場合の放射線に対する防護措置であること。

(3) 規則第30条の2第4号に規定する「インターロック」とは、当該診療用高エネルギー放射線発生装置使用室の扉が閉じていないときは放射線の照射ができず、万一、放射線を照射中に扉を開けられた場合でも、直ちに放射線の照射を停止することにより、放射線診療従事者等の放射線障害の発生を未然に防ぐためのものであること。

3 診療用放射線照射装置の防護(規則第30条の3)

(1) 規則第30条の3第1号に規定する放射線源の収納容器に関する空気カーマ率とは、照射口が閉鎖されているときの空気カーマ率であること。

なお、照射時における容器のしゃへいについては、可能な限り患者が不必要な被ばくを受けないよう、当該装置の特性に応じて適切に対応すること。

(2) 照射口には、患者等の放射線障害の防止に必要な場合にのみ、適切な二次電子濾過板を設けること。

(3) 規則第30条の3第3号に規定する「診療用放射線照射装置の操作その他の業務に従事する者を防護するための適当な装置を設けた場合」とは、診療用放射線照射装置を核医学撮像装置の吸収補正用線源として使用する場合又は患者の体内に挿入して治療を行うために使用する場合に限られること。この場合において、「防護するための適当な装置」とは、放射線防護に必要な防護衝立等による被ばく線量を低減するためのしゃへい物であること。

なお、しゃへい物を用いた場合であっても、必要に応じて防護衣を着用する等により、放射線診療従事者等の被ばく線量の低減に努めること。

これ以外の場合であって、体外照射により診療に用いる診療用放射線照射装置の放射線防護については、従前通り、照射室の出入口にインターロックを設け、室外からの遠隔操作によって開閉するための設備を設けること。

第3 エックス線診療室等の構造設備に関する事項

1 エックス線診療室(規則第30条の4)

(1) 規則第30条の4第1号のエックス線診療室の画壁等の防護については、1週間当たりの実効線量によること。この場合の放射線の量の測定は、通常の使用状態において画壁等の外側で行うこと。

なお、同号ただし書に規定する「その外側が、人が通行し、又は停在することのない場所」とは、床下がただちに地盤である場合、壁の外が崖、地盤面下等である場所など極めて限定された場所であること。ただし、床下に空間があっても、周囲を柵等で区画され、その出入口に鍵その他閉鎖のための設備又は器具を設けた場所については、「その外側が、人が通行し、又は停在することのない場所」に該当すること。特に天井及び窓等について防護が不完全な場合が予想されるので、その適用については十分注意すること。

(2) 規則第30条の4第2号の「エックス線装置を操作する場所」とは、原則として、画壁等によりエックス線撮影室と区画された室であること。

なお、「操作」とは、エックス線をばくしゃすることであること。

(3) 規則第30条の4第2号ただし書のうち、「近接透視撮影を行うとき、若しくは乳房撮影を行う等の場合」とは、次に掲げる場合に限られること。ただし、本規定は、診療上やむを得ず患者の近傍で当該エックス線装置を使用するためのものであり、それ以外の場合においては、放射線診療従事者等の被ばく防護の観点から、エックス線診療室外において当該エックス線装置を使用すること。

ア 乳房撮影又は近接透視撮影等で患者の近傍で撮影を行う場合

イ 1週間につき1,000ミリアンペア秒以下で操作する口内法撮影用エックス線装置による撮影を行う場合

ウ 使用時において機器から1メートル離れた場所における線量が、6マイクロシーベルト毎時以下となるような構造である骨塩定量分析エックス線装置を使用する場合

エ 使用時において機器表面における線量が、6マイクロシーベルト毎時以下となるような構造である輸血用血液照射エックス線装置を使用する場合

オ 組織内照射治療を行う場合

(4) 規則第30条の4第2号ただし書中、「必要な防護物を設ける」とは、実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルト以下となるような画壁等を設ける等の措置を講ずることであること。

この場合においても、必要に応じて防護衣等の着用等により、放射線診療従事者等の被ばく線量の低減に努めること。

(5) (3)のイの場合のうち、同時に2人以上の患者が診察を行わない構造になっている口内法撮影用エックス線装置による撮影を行う室については、エックス線診療室と診察室とを兼用しても差し支えないこと。

なお、この場合においても規則第30条の4に定める基準を満たし、あわせて管理区域を設定し規則第30条の16に定める措置を講ずること。

(6) (3)のエにいう輸血用血液照射エックス線装置については、放射線診療従事者以外の者が当該輸血用血液照射エックス線装置を使用する場所にみだりに立ち入らないよう画壁を設ける等の措置を講じ、画壁の内部から外部に通ずる部分に、鍵その他の閉鎖のための設備又は器具を設ける場合にあっては、当該輸血用血液照射エックス線装置の使用場所をエックス線診療室とみなして差し支えないものであること。

この場合においては、エックス線診療室全体を管理区域とすること。

2 診療用高エネルギー放射線発生装置使用室及び診療用粒子線照射装置使用室(規則第30条の5及び第30条の5の2)

規則第30条の5第1号の診療用高エネルギー放射線発生装置使用室及び診療用粒子線照射装置使用室の画壁等の防護については、1週間当たりの実効線量によること。この場合の放射線の量の測定は、通常の使用実態において画壁等の外側で行うこと。

3 診療用放射線照射装置使用室(規則第30条の6)

規則第30条の6第2号の診療用放射線照射装置使用室の区画等の防護については、1週間当たりの実効線量によること。この場合において、体内に挿入して治療を行うために診療用放射線照射装置を使用する場合における放射線の量の測定は、通常の使用状態において画壁等の外側で行うこと。

4 診療用放射線照射器具使用室(規則第30条の7)

規則第30条の7第1号の診療用放射線照射器具使用室の画壁等の防護については、1週間当たりの実効線量によること。この場合において、体内に挿入して治療を行うために診療用放射線照射器具を使用する場合における放射線の線量の測定は、通常の使用状態において画壁等の外側で行うこと。

5 放射性同位元素装備診療機器使用室(規則第30条の7の2)

(1) 放射性同位元素装備診療機器の使用に当たっては、原則として放射性同位元素装備診療機器使用室を設けることが必要であるが、規則第30条の14に定めるように、規則第30条の7の2に定める基準に適合する室がある場合には、当該室において使用しても差し支えないこと。

なお、この場合において、規則第27条の2第3号の届出は、当該使用場所を放射性同位元素装備診療機器使用室とみなして行うこと。

(2) 規則第30条の7の2第4号における「その他の適切な放射線障害の防止に関する予防措置」とは、次に掲げるとおりであること。

ア 骨塩定量分析装置については、実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルト以下となるようなしゃへい物又は間仕切りを設ける等の措置を講ずることにより管理区域を明確にすること。

イ ガスクロマトグラフ用エレクトロン・キャプチャ・ディテクタについては、機器表面にディテクタに収納されている放射性同位元素の種類及び数量を示す標識を付すること。

ウ 輸血用血液照射装置については、実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルト以下となるような画壁を設ける等の措置を講ずることにより管理区域の境界を明確にすること。この場合にあっては、規則第30条の7の2に定める構造設備の基準に適合していれば、当該使用場所を放射性同位元素装備診療機器使用室とみなして差し支えないこと。

なお、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律施行規則(昭和35年総理府令第56号。以下「RI法施行規則」という。)第14条の7第1項第6号の規定により、輸血用血液照射装置を使用する場合に、その旨を自動的に表示する装置を設けなければならないこと。

6 診療用放射性同位元素使用室(規則第30条の8)

(1) 規則第30条の8第1号の規定の趣旨は、火災によって診療用放射性同位元素又は放射性同位元素が近隣を汚染するおそれがあることを踏まえ、防火上の安全を図ることであること。

(2) 規則第30条の8第2号に規定する準備室は、診療用放射性同位元素の小分け、分注等の、診療用放射性同位元素による核医学診療を受ける患者等に診療用放射性同位元素を投与可能な状態にする行為又は作業その他これらに付随する一連の行為又は作業が行われる室であること。

なお、準備室と診療を行う室とを隔てる画壁は、準備室の診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された空気、水等による診療を行う室の汚染を防ぐためのものであること。

(3) 規則第30条の8第2号に規定する診療用放射性同位元素を用いて診療を行う室は、準備室において調製又は調剤された診療用放射性同位元素を当該診療用放射性同位元素による診療を受ける患者等に投与する行為又は作業、患者に投与された診療用放射性同位元素から放出される放射線を画像化する装置(以下「単一光子放射撮影装置」という。)よる画像撮影を行う行為又は作業その他の診療用放射性同位元素を用いた診療に付随する一連の行為又は作業が行われる室であること。

(4) 規則第30条の8第3号の区画等の外側における放射線の量の測定に当たっては、1週間等の一定期間における積算線量を測定することが望ましいが、これが困難な場合には、使用実態を考慮し、通常の使用量による1時間当たりの線量率を測定し、1週間当たりの時間(40時間)を乗じて算出して差し支えないこと。

なお、単一光子放射撮影装置に装備する吸収補正用線源として診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を使用する場合における線量率の測定に当たっては、通常の使用状態における場所に吸収補正用線源が存在するものとして行うこと。

(5) 規則第30条の8第10号の規定は、準備室に設けられている洗浄設備について、診療用放射性同位元素又は放射性同位元素によって汚染された水等を安全に廃棄するために排水施設に連結すべきであること。

(6) 規則第30条の8第11号の規定は、フード、グローブボックス等の装置の設置を義務付けたものではないが、これを設けた場合は排気設備に連結すべきであること。

(7) 診療用放射性同位元素の使用に当たっては、適宜、放射線測定器を用いた測定を通じて、診療用放射性同位元素又は放射性同位元素により汚染される物による使用室内(準備室を含む)の汚染状況を確認すること。

(8) 単一光子放射撮影装置を用いた撮影に関して、診療用放射性同位元素を人体に投与することなく人体を模した模型その他精度管理に適した模型等に注入し、当該装置の精度管理を行う場合は、次に掲げる点に留意すること。

ア 診療用放射性同位元素の模型への注入は準備室において行うこと。

イ 注入後の模型及び試験を行う単一光子放射撮影装置は、ポリエチレンろ紙等の診療用放射性同位元素が容易に浸透しない材質のもので養生すること。

ウ 模型の撮影時は、その旨を示す標識の設置等一般公衆が立ち入らないような措置を行うこと。

エ 試験終了後は、模型を取り扱った場所、単一光子放射撮影装置等に汚染がないことを確認すること。

オ 試験を実施する放射線診療従事者等は、グローブの装着等、適切な防護措置及び汚染防止措置を行うこと。

カ アからオの実施状況を記録し保管すること。

7 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室(規則第30条の8の2)

(1) 規則第30条の8の2第2号において、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室を、陽電子準備室、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を用いて診療を行う室(以下「陽電子診療室」という。)及び陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が投与された患者等が待機する室(以下「陽電子待機室」という。)に区画することとしているが、これら以外の用途の室を設けることを妨げるものではなく、病院又は診療所の機能に応じて、これら以外の用途の室を設けることは差し支えないこと。

(2) 規則第30条の8の2第2号に規定する陽電子準備室は、次に掲げる行為又は作業が行われる室とすること。ただし、サイクロトロン装置を設置した病院又は診療所において、放射性同位元素の精製及び放射性同位元素から陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の合成が行われる室については、RI法の適用を受けることに伴い、同室がこれらの行為又は作業が行われるようなものとしている場合には、陽電子準備室を別に設置することを要しないこと。

ア サイクロトロン装置等によって合成された陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を小分け又は分注を行う等、陽電子断層撮影診療を受ける患者等に陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を投与可能な状態にする行為又は作業。

イ 医薬品である陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を小分け又は分注を行う等、陽電子断層撮影診療を受ける患者等に陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を投与可能な状態にする行為又は作業。

ウ その他、ア又はイに付随する一連の行為又は作業。

(3) 規則第30条の8の2第2号に規定する陽電子診療室は、次に掲げる行為又は作業が行われる室とすること。ただし、病院又は診療所の機能に応じて、これらの行為又は作業を複数の室において個々に行うものとすることは差し支えないこと。

なお、区分した1つの室に複数の陽電子放射断層撮影装置を設置することは認められないこと。

ア 陽電子準備室において調剤された陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を陽電子断層撮影診療を受ける患者等に投与する行為。

イ 陽電子放射断層撮影装置を設置し、当該装置による画像撮影を行う行為又は作業。

ウ その他、ア又はイに付随する一連の行為又は作業。

(4) 規則第30条の8の2第2号に規定する陽電子待機室とは、陽電子診療室において陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が投与された患者等について、陽電子放射断層撮影装置による画像撮影を開始するまでの間、投与された当該陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の種類及び数量に応じて、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が体内に分布するのに十分な時間待機させる室であること。

陽電子待機室を設置する目的は、放射線診療従事者、投与前の他の患者等が、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を投与された直後の患者等と至近距離において接する時間を可能な限り少なくし、放射線診療従事者、投与前の他の患者等の放射線被ばくを可能な限り少なくすることであること。

ただし、陽電子断層撮影診療に係る患者等の取扱い数が極めて少ない病院又は診療所においては、陽電子診療室において陽電子待機室を設けた場合と同等の機能を確保できる場合、陽電子待機室を設置することを要しないこと。

(5) 規則第30条の8の2第6号の規定の趣旨は、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が投与された患者等と放射線診療従事者とが、至近距離において接する時間を可能な限り少なくし、放射線診療従事者の放射線被ばくを可能な限り少なくすることであること。なお、この場合の操作とは、患者等を陽電子放射断層撮影装置に横たわらせる等を行った後の当該装置により撮影することであり、操作する場所とは、画壁等により陽電子放射断層撮影装置の存する室と区画された場所であること。

(6) 以上のほか、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室に係る構造設備基準及び遵守すべき事項については、規則第30条の8の診療用放射性同位元素使用室に係るものと同様とし、その際に留意すべき事項として6中の「診療用放射性同位元素」を「陽電子断層撮影診療用放射性同位元素」に、「単一光子放射撮影装置」を「陽電子放射断層撮影装置」と読み替えること。

8 貯蔵施設(規則第30条の9)

(1) 規則第30条の9第1号の規定は、貯蔵施設の基準として、貯蔵室又は貯蔵箱を設けることを定めたものであること。

(2) 規則第30条の9第2号の貯蔵施設の防護については、1週間当たりの実効線量によること。この場合の放射線の量の測定は、使用状態を考慮し、通常貯蔵する量において貯蔵施設の外側で行うこと。

(3) 規則第30条の9第6号及び第7号の規定は、貯蔵室又は貯蔵箱等に適用されるものであること。

(4) 規則第30条の9第8号に規定する、「次に定めるところに適合する貯蔵容器を備えること」とは、貯蔵施設として貯蔵室又は貯蔵箱を設けた場合の基準を定めたものであること。

この場合の1時間当たりの線量率は、使用状態を考慮し、通常貯蔵する量において測定すること。

(5) 規則第30条の9第8号ニに規定する「貯蔵する診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具」とは、体内に挿入して治療を行うために用いられる診療用放射線照射装置若しくは診療用放射線照射器具又は吸収補正用線源として用いられる診療用放射線照射装置若しくは診療用放射線照射器具を貯蔵する場合を指すこと。

9 運搬容器(規則第30条の10)

運搬容器の構造の基準として、「診療用放射線照射装置、診療用放射線照射器具、診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を運搬する場合」とあるのは、診療用放射性同位元素、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素、体内に挿入して治療を行うために用いられる診療用放射線照射装置若しくは診療用放射線照射器具又は吸収補正用線源として用いられる診療用放射線照射装置若しくは診療用放射線照射器具を病院又は診療所内で運搬する場合に適用されること。

10 廃棄施設(規則第30条の11)

(1) 規則第30条の11第1項第1号の廃棄施設の防護については、1週間当たりの実効線量限度によること。この場合の放射線の量の測定は、通常の使用状態において廃棄施設の外側で行うこと。

また、排液処理槽、保管廃棄設備等の継続的に放射線を放出するものについては、その防護について留意されたい。

(2) 患者の排泄物及び汚染物を洗浄した水等については、その放射性同位元素の濃度が別表第3又は別表第4に定める濃度を超える場合は本条の適用を受けるものであり、排水設備により廃棄することとされたい。

なお、診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素を投与された患者に伴う固体状の汚染物については、適切な放射線測定器を用いて測定することにより、放射線管理に関する適切な取り扱いを行うこと。

(3) 規則第30条の11第1項第2号イ及び同項第3号イの規定に基づき、排水監視設備又は排気監視設備を設けて排水中又は排気中の放射性同位元素の濃度を監視すること。

また、これらの濃度を限度値以下とする能力を有する排水設備又は排気設備を廃棄施設とすること。

なお、排水監視設備及び排気監視設備において測定された濃度は、第30条の23の規定により記載し、帳簿を保存することとされたいこと。

(4) 規則第30条の11第1項第6号の規定は、厚生労働大臣の定める種類ごとにその一日最大使用数量が厚生労働大臣の定める数量以下である陽電子断層撮影診療用放射性同位元素(10において同じ)又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素によって汚染された物(以下「陽電子断層撮影診療用放射性同位元素等」という。)に関して、RI法施行規則に定める陽電子断層撮影用放射性同位元素の廃棄の基準と同様であるものとして、次に掲げる取扱いを認めるものであること。

ア 医療法施行規則第三十条の十一第一項第六号の規定に基づき、厚生労働大臣の定める陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の種類及び数量並びに陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の原子の数が一を下回ることが確実な期間(平成16年厚生労働省告示第306号。以下10において「種類及び数量等告示」という。)第1条に規定する厚生労働大臣が定める種類と数量の範囲に係る、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素等のみを管理区域内の廃棄施設内で保管管理する場合には、保管廃棄設備に関する技術的基準を課さないこと。ただし、この場合においても、規則第30条の11第1項等に規定される廃棄施設としての構造設備の基準は適用されることに留意すること。

イ アにより保管管理する陽電子断層撮影診療用放射性同位元素等は、他の物の混入を防止し、又は付着しないように封及び表示をし、種類及び数量等告示第2条に規定するところにより7日を超えて管理区域内の廃棄施設内で保管すれば、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素等とせず、管理区域から持ち出すことを可能とすること。

(5) 規則第30条の11第2項の規定は、第1項第2号イ及び同項第3号イに規定する能力を有する排水設備又は排気設備を設けることが著しく困難な場合において、病院又は診療所の境界における実効線量を1年間につき1ミリシーベルト以下とする能力を当該排水設備又は排気設備が有することにつき厚生労働大臣の承認を受けた場合は同項第2号イ及び同項第3号イの規定を適用しないこととされるものであるが、承認は厚生労働大臣が個別に行うものであるので、病院又は診療所の開設許可申請又は施設設備の使用許可申請に当たり、本項の規定に該当する排水設備又は排気設備がある場合には、許可申請者に対して、あらかじめ厚生労働大臣から当該能力の承認を受けることとされたいこと。

(6) 規則第30条の11第4項の規定により陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の保管廃棄を行う病院又は診療所については、規則第28条第4号に係る届出を行う際、その旨を併せて届け出る必要があり、また、保管廃棄の方法を変更する場合にはその旨を改めて届け出る必要があること。

なお、病院又は診療所に設置したサイクロトロン装置等により作成された陽電子断層撮影診療用放射性同位元素に係るこれらの届出に際しては、届出の際に、当該廃棄方法に係るRI法上の申請書及び許可証の写しが必要であること。

11 放射線治療病室(規則第30条の12)

(1) 「治療を受けている」とは、診療用放射線照射装置若しくは診療用放射線照射器具の体内への挿入又は診療用放射性同位元素若しくは陽電子断層撮影診療用放射性同位元素の投与により治療を受けている患者(以下「放射線治療を受けている患者」という。)であって、放射線治療を受けている患者以外の患者の被ばく線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれがある場合をいうこと。また、放射線治療病室は、あくまで放射線治療を受けている患者を入院させる室であり、外来診療のみの患者を治療する室については同条の適用を受けないこと。

なお、診療用放射線照射装置及び診療用放射線照射器具の使用に当たっては、RI法の適用を受けることに留意されたい。

(2) 規則第30条の12第1項第1号の画壁等の防護については、使用実態を考慮し、通常の診療に用いる放射能の量において、患者の数及び患者の病床から画壁までの距離を考慮して測定すること。

なお、同号ただし書により放射線治療病室相互の画壁等については、本号に規定するしゃへいを必要とされないこととされているが、この場合にあっても隣室の患者が不必要に被ばくすることがないよう適切な防護措置を講ずること。また、同条第2項に規定する特別措置病室と隣接する画壁等の防護については、当該ただし書の対象ではないこと。

また、2人以上を入院させる病室についても、各患者の間に適切なしゃへい物を設けること又は適当な距離をとること等を通じて患者が不必要に被ばくすることがないよう留意すること。

(3) 規則第30条の12第1項第3号の規定は、診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させる放射線治療病室における当該患者の嘔吐物、排せつ物等による放射性同位元素による汚染の除去を容易にするために設けられたものであること。

(4) 規則第30条の12第1項第3号ただし書は、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具で治療されている患者のみを入院させる放射線治療病室にあっては、放射性同位元素により汚染されるおそれがないため、規則第30条の8第8号の適用を除外するものであること。なお、体内に挿入して治療を行うために用いられる診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の放置等の発見を容易にするための措置として、当該診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具で治療されている患者のみを入院させる放射線治療病室であっても、内部の壁、床等について、規則第30条の8第6号及び同条第7号の規定を適用すること。

また、規則第30条の12第1項第3号ただし書の規定により規則第30条の8第8号の適用が除外された放射線治療病室に対して、規則第30条の12第2項第4号に掲げる措置を講じた場合、当該放射線治療病室に診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させることが可能であること。

(5) 規則第30条の12第2項に規定する特別措置病室は、一般病室等に対して同項各号に掲げる措置を講じることで、放射線治療病室として診療用放射線照射装置、診療用放射線照射器具、診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させることが可能であること。したがって、規則第30条の13、第30条の15、第30条の18第1項第4号及び第5号、第30条の20第1項第2号、第30条の22の規定等は特別措置病室においても適用されることに留意し、届出については(6)を参照すること。

なお、規則第30条の22に規定する放射線障害が発生するおそれのある場所の測定は、規則第30条の15第2項に規定する措置を講じた後、放射線治療を受けている患者が入院していない場合にあっては適用されない。

(6) 特別措置病室は、規則第26条第3号に規定する「診療用放射線照射装置により治療を受けている患者を入院させる病室」、規則第27条第1項第3号に規定する「診療用放射線照射器具により治療を受けている患者を入院させる病室」及び規則第28条第1項第4号に規定する「診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させる病室」に該当すること。特別措置病室に係る「放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要」には、規則第30条の12第2項各号に掲げる措置として実施する事項の概要を示した書類、その他同条第1項第1号に規定する放射線治療病室の例によって、書類を添付する必要があること。なお、同一の室を特別措置病室として繰り返し使用する場合にあっては、初回の使用前にあらかじめ届出を行う必要があるが、使用の都度届出を行う必要はないこと。

また、特別措置病室は一般病室等に対して措置を講じた病室であるため、設置にあたって構造設備の変更を行わない場合は、医療法第27条に基づく使用前検査の対象とならないこと。

(7) 特別措置病室に係る廃棄施設については、第3の10に示す他、次の点に留意すること。

ア 患者の排泄物等の取扱いについては、関係学会等が作成するガイドラインを参考とし、適切に行うこと。

イ 患者に投与した診療用放射性同位元素の性質から、患者の呼気による排泄が極めて少ない等の理由により、室内の空気中濃度が規則第30条の26第2項に規定される濃度限度を明らかに下回る場合は排気設備を設ける必要がないこと。「濃度限度を明らかに下回る場合」の判断に当たっては、関係学会等が作成するガイドラインを参考とすること。

(8) (5)から(7)までに掲げるもののほか、特別措置病室に係る適切な防護措置及び汚染防止措置の詳細については、関係学会等が作成するガイドラインを踏まえ、適切に対応すること。

第4 管理義務に関する事項

1 使用の場所等の制限(規則第30条の14)

(1) エックス線診療室、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室、診療用粒子線照射装置使用室、診療用放射線照射装置使用室、診療用放射線照射器具使用室、診療用放射性同位元素使用室及び陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室における一般的な管理義務について

ア エックス線装置、診療用高エネルギー放射線発生装置、診療用粒子線照射装置、診療用放射線照射装置、診療用放射線照射器具、診療用放射性同位元素及び陽電子断層撮影診療用放射性同位元素(以下「放射線診療装置等」という。)は、原則として、それぞれ、エックス線診療室、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室、診療用粒子線照射装置使用室、診療用放射線照射装置使用室、診療用放射線照射器具使用室、診療用放射性同位元素使用室及び陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室(以下「放射線診療室」という。)において使用するものであるが、(3)から(12)までに掲げる場合にあっては、その限りでないこと。

イ 放射線診療室においては、同時に2人以上の患者の診療を行うことは認められないこと。また、放射線診療室において複数の放射線診療装置等を備える場合であっても同時に2人以上の患者の診療を行うことは原則として認められないが、診療用放射性同位元素を投与された患者の診療又は(8)に掲げる場合にあっては、その限りでないこと。

ウ 放射線診療室において、放射線診療と無関係な機器を設置し、放射線診療に関係のない診療を行うこと、当該放射線診療室の診療と無関係な放射線診療装置等の操作する場所を設けること及び放射線診療室を一般の機器又は物品の保管場所として使用することは認められないこと。ただし、次に掲げる場合にあっては、その限りでないこと。

(ア) 放射線診療に必要な患者監視装置、超音波診断装置又はその他の医療工学機器等を放射線診療室に備える場合。

(イ) 診療用高エネルギー放射線発生装置使用室にRI法の許可を受けた放射化物保管設備又は放射化物のみを保管廃棄する保管廃棄設備を備える場合。

ただし、この場合においては、規則第25条第4号の規定に関し、診療用高エネルギー放射線発生装置使用室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要として、当該放射化物保管設備又は放射化物のみを保管廃棄する保管廃棄設備を備える旨を記載し、規則第29条第2項の規定により、あらかじめ病院又は診療所の所在地の都道府県知事等に届出を行う必要があること。

(ウ) 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室に陽電子放射断層撮影装置に磁気共鳴画像診断装置(以下「MRI」という。)が付加され一体となったもの(以下「陽電子―MRI複合装置」という。)を備え、陽電子断層撮影画像との重ね合わせを目的としてMRIによる撮影を行う場合又は陽電子断層撮影画像との重ね合わせを目的としないMRIによる撮影(以下「MRI単独撮影」という。)を行う場合。

ただし、この場合においては、当該陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室の室内には陽電子―MRI複合装置を操作する場所を設けないこと。

また、第1の5の(3)のイの(イ)の陽電子断層撮影診療に関する安全管理の責任者たる医師又は歯科医師がMRI単独撮影を含む陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室における安全管理の責任者となり、また、第1の5の(3)のアの(ア)の診療放射線技師がMRI単独撮影を含む陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室における安全管理に専ら従事することによって、MRI単独撮影を受ける患者等が、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素による不必要な被ばくを受けることのないよう、適切な放射線防護の体制を確立すること。

その他陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室に陽電子―MRI複合装置を備えた場合の安全確保及び放射線防護については、関係学会等の作成したガイドラインを参考にすること。

エ 歯科診療を行うチェアが1台で同時に2人以上の患者の診療を行わない構造の室においては、第3の1の(5)が適用されること。

(2) エックス線診療室における複数のエックス線装置の使用について

同一エックス線診療室において2台以上のエックス線装置を使用する場合には、次に掲げる点について留意すること。

ア エックス線診療室に2台以上のエックス線装置を備えたときは、規則第24条の2の規定に基づく届出を、エックス線装置ごとに設置から10日以内に行う必要があること。

この場合において、規則第24条の2第4号に規定する「エックス線装置及びエックス線診療室のエックス線障害の防止に関する構造設備及び予防措置の概要」として、各エックス線装置の使用の条件等を具体的に記載する必要があること。また、この使用の条件下で、当該エックス線診療室は放射線障害の防止に関する構造設備の基準を満たす必要があること。

イ エックス線診療室において2台以上のエックス線装置を備えた場合であっても、複数のエックス線装置から患者に対して同時にエックス線照射を行うことは認められないこと。

ウ イの場合にあっては、2台以上のエックス線装置からの同時照射を防止するための装置を設けること。

エ 可動壁で隔てられた2つの室にそれぞれエックス線装置を設置し、それぞれの室で異なる患者の診療を行い、必要に応じて可動壁を開放し1つの室のエックス線装置を他の室に移動させ同一室において2台以上のエックス線装置を使用する場合にあっては、アからウにおける構造設備の基準等を満たすとともに、次の(ア)から(ウ)に掲げる点に留意すること。

(ア) エックス線装置を設置した2つの室をそれぞれ独立したエックス線診療室とし、それぞれの室について規則第30条の4の規定に基づく構造設備の基準を満たす必要があること。

(イ) エックス線装置の使用中は2つの室を隔てた可動壁を開放できない構造とすること。

(ウ) それぞれの室にはいずれの室のエックス線装置を操作する場所も設けないこと。

(3) エックス線装置を特別の理由により移動して使用することについて

エックス線装置の使用について、「特別の理由により移動して使用する場合」とは、次のアからウに掲げる場合に限定されること。

この場合における「適切な防護措置」として、アからウに掲げる条件を遵守するとともに、当該エックス線装置は、鍵のかかる保管場所等を設けて適切に保管し、キースイッチ等の管理を適切に行うこと。

なお、移動型エックス線装置のうち、移動型透視用エックス線装置、携帯型透視用エックス線装置又は移動型CTエックス線装置を放射線診療室において使用する場合は、据置型透視用エックス線装置又は据置型CTエックス線装置と同様の扱いとすること。すなわち、エックス線診療室で使用する場合については(2)、エックス線診療室以外の放射線診療室で使用する場合については(4)に定める構造設備の基準及び特別な防護措置を満たし、必要な届出を行うこと。

また、ウの条件における移動型CTエックス線装置の操作は、原則として室外から行うこととし、撮影の際には、診療上やむを得ない場合を除き、患者以外の者(当該装置を操作する者のみならず、麻酔、手術、介助を行う者等を含む。)は室外に退出すること。ただし、診療上やむを得ず室外に退出できない場合にあっては、防護衝立の使用、必要に応じた防護衣を着用等により、放射線診療従事者等の被ばく線量の低減に努めること。

なお、在宅医療においてエックス線撮影を行う場合にあっては、「在宅医療におけるエックス線撮影装置の安全な使用について」(平成10年6月30日付け医薬安第69号厚生省医薬安全局安全対策課長通知)を、災害時の救護所等においてエックス線撮影を行う場合にあっては、「災害時の救護所等におけるエックス線撮影装置の安全な使用について」(平成21年1月7日付け医政指発第0107003号厚生労働省医政局指導課長通知)をそれぞれ参照されたい。

ア 移動困難な患者に対して使用するために、移動型透視用エックス線装置、携帯型透視用エックス線装置及び移動型CTエックス線装置を除く移動型エックス線装置又は携帯型エックス線装置を移動して使用する場合。

この場合においては、必要に応じて一時的に管理区域を設け、規則第30条の16に定める管理区域の基準を満たし、管理区域の設定に係る記録を行うこと。

イ 口内法撮影用エックス線装置を臨時に移動して使用する場合。

この場合においては、必要に応じて一時的に管理区域を設け、規則第30条の16に定める管理区域の基準を満たし、管理区域の設定に係る記録を行うこと。

ウ 手術中の病変部位の位置確認や手術直後に結果の確認等を行うため、手術中又は手術直後にエックス線診療室ではない手術室に移動型透視用エックス線装置、携帯型透視用エックス線装置又は移動型CTエックス線装置を移動して使用する場合。

この場合においては、当該エックス線装置の使用状況によっては高線量となるおそれがあるため、一時的に管理区域を設け、規則第30条の16に定める管理区域の基準を満たし、管理区域の設定に係る記録を行うこと。

(4) エックス線装置を特別の理由によりエックス線診療室を除く放射線診療室において使用することについて

エックス線装置を「特別の理由により診療用高エネルギー放射線発生装置使用室、診療用粒子線照射装置使用室、診療用放射線照射装置使用室、診療用放射線照射器具使用室、診療用放射性同位元素使用室若しくは陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室において使用する場合」とは、当該放射線診療室に備えられたエックス線装置を除く放射線診療装置等による診療の補助等が目的であること。

ただし、核医学画像を得ることを目的とせずCT撮影画像のみを得るために、CTエックス線装置と単一光子放射撮影装置が一体となったもの又はCTエックス線装置と陽電子放射断層撮影装置が一体となったものによるエックス線撮影を行うことは、従前通り認められるものであること。

なお、同時に2人以上の患者の診療を行うことは認められないこと。

この場合における「適切な防護措置」として、当該放射線診療室は、室に備えられたエックス線装置以外の放射線診療装置等とエックス線装置を同時に使用するものとして、この同時使用の条件下での放射線障害の防止に関する構造設備の基準を満たしている必要があること。また、規則第25条第4号、第25条の2の規定に基づき準用する第25条第4号、第26条第3号、第27条第1項第3号又は第28条第1項第4号の規定に関して、当該放射線診療室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置として、当該エックス線装置を使用する旨を記載する必要があること。これに伴い、既存の放射線診療室における予防措置の概要を変更しようとする場合は、規則第29条第2項により、あらかじめ病院又は診療所の所在地の都道府県知事に当該事項の届出を行う必要があること。

(5) 診療用高エネルギー放射線発生装置を手術室において使用することについて

診療用高エネルギー放射線発生装置を「特別の理由により移動して手術室で使用する場合」とは、手術室で開創した状態の患部に手術中の照射を行う必要がある場合に限定されること。

また、手術室において、診療用高エネルギー放射線発生装置を使用する際、規則第25条の規定に基づき、あらかじめ病院又は診療所の所在地の都道府県知事に届出を行う必要があること。

なお、診療用高エネルギー放射線発生装置については、RI法の適用を受けるものであり、RI法の規定を遵守しなければならないこと。

また、「適切な防護措置」の内容は、概ね次に掲げるとおりであること。

ア 当該手術室で診療用高エネルギー放射線発生装置を使用する際、規則第30条の2及び第30条の5の基準が満たされていること。

イ 当該手術室の目に付きやすい場所に、放射線障害の防止に必要な注意事項を掲示すること。

ウ 診療用高エネルギー放射線発生装置を使用する際には、当該手術室に管理区域を設け、規則第30条の16に定める管理区域の基準を満たし、管理区域の設定に係る記録を行うこと。

エ 診療用高エネルギー放射線発生装置を当該手術室の室外から遠隔操作により動作させることとし、当該手術室の室外から患者の状態等を監視することができる装置を設けること。

オ 当該手術室内に照射を予告する表示灯やブザーの設置及び異常時に放射線の照射を停止する非常ボタン等を設けること。

カ 当該手術室における診療用高エネルギー放射線発生装置の取扱い及び管理等について、放射線防護に関する専門知識を有する医師、歯科医師又は診療放射線技師等を管理責任者として選任すること。また、当該発生装置の管理体制を明確にする組織図を作成すること。

キ 当該発生装置は、鍵のかかる保管場所等を設けて適切に保管し、キースイッチ等の管理を適切に行うこと。

ク 保管場所から当該発生装置を移動させる途中の安全を確保するとともに、装置モニタリングを含む装置の校正、整備及び保守点検を行うこと。

ケ 当該発生装置の保管場所については、当該装置の漏えい線量が規則第30条の26第3項第1号に規定する外部放射線に係る線量限度を超えるおそれがある場合には、規則第30条の16に規定する管理区域を設けて保管すること。

コ 当該発生装置の電源の形状の特定化を行う等により、当該手術室でのみ電源の供給ができる構造のものとすること。

(6) 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具をエックス線診療室において使用することについて

診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の使用に関して、「特別の理由によりエックス線診療室で使用する場合」とは、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を患者の体内に挿入する際、挿入部位の位置確認のため、エックス線装置と組み合わせて使用する必要がある場合に限定されること。

この場合において、当該エックス線診療室は、エックス線装置と診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の同時使用の条件下での放射線障害の防止に関する構造設備の基準を満たしている必要があること。なお、この場合であっても、RI法の適用を受けるものであることに留意されたい。

また、規則第24条の2第4号の規定に関して、エックス線診療室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置として、当該診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を使用する旨を記載する必要があること。これに伴い、規則第24条の2又は第29条第1項により、10日以内に当該事項の届出を行う必要があること。

なお、この場合において、エックス線診療室に診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を備えようとするときは、規則第26条又は第27条によりあらかじめ届出を行う必要もあるため、規則第24条の2又は第29条第1項による届出はあらかじめこれと同時に行って差し支えないこと。

また、「適切な防護措置」の内容は、概ね次に掲げるとおりであること。

ア 診療用放射線照射装置の使用核種は、リン―32、イットリウム―90及びストロンチウム―90/イットリウム―90に限られること。

イ 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を体内に挿入して治療を行う場合であって、当該放射線治療を受けている患者以外の患者の被ばく線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれがある場合には、放射線治療病室を有していること。

ウ エックス線に対する放射線防護のほか、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具による放射線診療従事者等の被ばく線量の低減を図るため、適切な防護措置を講ずること。

エ 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の紛失等の発見を容易にするため、当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具を使用するエックス線診療室の床等は、突起物、くぼみ及び仕上げ材の目地等のすき間の少ないものとすること。

オ 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の使用後において、放射線測定器により使用場所等の線量を測定することにより、当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具の紛失や放置されていないことを確認すること。

カ 当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具を貯蔵する施設の構造設備の基準は、規則第30条の9の規定に従うものとすること。

キ 当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具を運搬する容器の構造の基準は、規則第30条の10の規定に従うものとすること。

ク エックス線診療室における診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を使用する場合の取扱い及び管理等に関し、放射線防護に関する専門知識を有する医師、歯科医師又は診療放射線技師等の中から管理責任者を選任すること。また、当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具の管理体制を明確にする組織図を作成すること。

(7) 診療用放射線照射器具を診療用放射線照射装置使用室において使用することについて

診療用放射線照射器具の使用に関して、「特別の理由により診療用放射線照射装置使用室で使用する場合」とは、診療用放射線照射器具である密封線源の永久挿入による組織内照射治療を、医療資源の活用のためやむを得ず診療用放射線照射装置使用室で使用する場合に限られること。

この場合における診療用放射線照射器具は、人体内に永久的に挿入する目的のものであって、ヨウ素125又は金198を装備しているものに限られること。また、この場合における当該診療用放射線照射装置使用室は、遠隔操作式後充填法(以下「RALS」という。)を用いることを目的としている室に限られるとともに、当該診療用放射線照射器具を使用する条件での放射線障害の防止に関する構造設備の基準を満たしている必要があること。

また、規則第26条第1項第3号の規定に関して、診療用放射線照射装置使用室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置として、当該診療用放射線照射器具を使用する旨を記載する必要があること。これに伴い、規則第26条又は第29条第2項により、あらかじめ当該事項の届出を行う必要があること。

なお、「適切な防護措置」の内容は、概ね次に掲げるとおりであること。

ア 当該診療用放射線照射装置使用室に備えている診療用放射線照射装置について、アプリケータと接続し、かつ、チャンネルを合わせないと線源が利用できない等、十分な安全保持機構が備わっているものに限られること。

イ 同時に診療用放射線照射装置と診療用放射線照射器具を使用することは認められないこと。また、同時に2人以上の患者の診療を行うことは認められないこと。

ウ 診療用放射線照射器具で治療を行う際には、診療用放射線照射装置と患者及び放射線診療従事者の間に適切なしゃへい物を設け、適当な距離を取る等、放射線に対する適切な防護措置を講じて、患者や放射線診療従事者等の被ばく線量をできるだけ小さくすること。

エ 内部の壁、床その他診療用放射線照射器具が入り込むおそれのある部分は、突起物、くぼみ及び仕上げ材の目地等のすきまの少ないものとすること。排水口など診療用放射線照射器具が紛失するおそれのある構造物がある場合は、シートで覆う等適切な紛失防止措置を講ずること。

オ 室内に容易に動かせない機器等がある場合は、診療用放射線照射器具が入り込まないよう目張りを行い、すきまの無いようにすること。

カ 診療用放射線照射器具の取扱場所の線量率を十分に下げ、脱落した診療用放射線照射器具が容易に検索できる手段を確保すること。その手段を確保できない部分がやむを得ず生じる場合には、診療用放射線照射器具が紛失しないよう、作業範囲をシートで覆い、必要に応じてバットを使用する等、定まった区域に閉じこめられるよう措置すること。

キ 診療用放射線照射器具の使用後は、放射線測定器により使用機材、シートや使用場所等の線量を測定することにより、診療用放射線照射器具の紛失や放置がないことを確認すること。測定に際して、適切な放射線測定器(特にヨウ素125についてはヨウ素125用シンチレーション式サーベイメータ等)を用い、また、保管簿の記帳等により当該診療用放射線照射器具の数量の確認及び記載を確実に行うこと。

ク 診療用放射線照射装置使用室において診療用放射線照射器具を使用する場合に関し、放射線防護に関する専門知識を有する医師、歯科医師又は診療放射線技師等の中から管理責任者を選任すること。また、当該診療用放射線照射器具の管理体制を明確にする組織図を作成すること。

(8) 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を診療用放射性同位元素使用室又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室において使用することについて

診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の使用に関して、「特別の理由により診療用放射性同位元素使用室又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室で使用する場合」とは、診療用放射性同位元素を投与した患者の画像診断の精度を高めるため、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を核医学撮像装置の吸収補正用線源として使用する場合に限定されること。

この場合において、当該診療用放射性同位元素使用室又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室は、診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素と診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の同時使用の条件下での放射線障害の防止に関する構造設備の基準を満たしている必要があること。なお、この場合であっても、RI法の適用を受けるものであることに留意されたい。

また、規則第28条第1項第4号の規定に関して、診療用放射性同位元素使用室又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置として、当該診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を使用する旨を記載する必要があること。これに伴い、規則第28条又は第29条第2項により、あらかじめ当該事項の届出を行う必要があること。

なお、この場合において、診療用放射性同位元素使用室又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室に診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を備えようとするときは、規則第26条又は第27条によりあらかじめ届出を行う必要もあること。

また、「適切な防護措置」の内容は、概ね次に掲げるとおりであること。

ア 診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素による防護措置及び汚染防止措置のほか、診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具による他の患者及び放射線診療従事者等の被ばく線量を低減するため、防護衝立、防護スクリーン等のしゃへい物を設ける等、放射線に対する適切な防護措置を講ずること。

イ 当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具を貯蔵する施設の構造設備の基準は、規則第30条の9の規定に従うこと。

ウ 当該診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を運搬する容器の構造基準は、規則第30条の10の規定に従うこと。

エ 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具の使用後、放射線測定器により使用場所を測定するとともに数量を確認し、紛失や放置がないことを確認すること。

オ 診療用放射性同位元素使用室又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室において吸収補正用線源として診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を使用する場合に関し、放射線防護に関する専門知識を有する医師、歯科医師又は診療放射線技師等の中から管理責任者を選任すること。また、当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具の管理体制を明確にする組織図を作成すること。

(9) 診療用放射線照射器具を手術室、集中強化治療室又は心疾患強化治療室において一時的に使用することについて

診療用放射線照射器具を「手術室において一時的に使用する」又は「集中強化治療室若しくは心疾患強化治療室において一時的に使用する」とは、手術室、集中強化治療室又は心疾患強化治療室(以下「手術室等」という。)における医学的な管理の必要がある患者に対して、体内に挿入することにより用いられる診療用放射線照射器具の一時的な使用が必要かつやむを得ない場合に限定され、手術室等において管理する必要のない患者に対して使用することは認められないこと。

また、概ね次に掲げる適切な防護措置を講ずる必要があること。

ア 診療用放射線照射器具使用室を有していること。

イ 診療用放射線照射器具により放射線治療を受けている患者以外の患者の被ばく線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれがある場合には、放射線治療病室を有すること。

ウ 診療用放射線照射器具を貯蔵する施設の構造設備の基準は、規則第30条の9の規定に従うこと。

エ 診療用放射線照射器具を運搬する容器の構造基準は、規則第30条の10の規定に従うこと。

オ 診療用放射線照射器具の使用後において、放射線測定器により使用場所を測定するとともに、診療用放射線照射器具の数量を確認し、紛失や放置がないことを確認すること。また、測定結果は記録すること。

カ 手術室等において診療用放射線照射器具を使用する場合は、放射線防護に関する専門知識を有する医師、歯科医師又は診療放射線技師等の中から管理責任者を選任すること。また、手術室等における管理体制を明確にする組織図を作成すること。

(10) 放射性同位元素装備診療機器を規則第30条の7の2に定める構造設備の基準に適合する室において使用することについて

放射性同位元素装備診療機器については、従前のとおり、規則第27条の2の規定に基づく放射性同位元素装備診療機器の基準及び規則第30条の7の2に定める当該放射性同位元素装備診療機器使用室の構造設備の基準に適合している場合並びに規則第30条の26第3項に定める基準以下である場合、専用の放射性同位元素装備診療機器使用室を設置しなくても使用することが認められること。

(11) 診療用放射性同位元素を手術室等において一時的に使用することについて

診療用放射性同位元素を手術室において一時的に使用する又は「集中強化治療室若しくは心疾患強化治療室において一時的に使用する」とは、手術室等における医学的な管理が必要とされる患者に対して、診療用放射性同位元素の一時的な使用が必要かつやむを得ない場合に限定され、手術室等において管理する必要のない患者に対して使用することは認められないこと。

また、概ね次に掲げる適切な防護措置及び汚染防止措置を講ずる必要があること。

ア 使用時は、汚染検査に必要な放射線測定器を備え、使用後は、スミア法等の適切な方法を用いて、汚染の有無を確認すること。また、測定結果は記録すること。

イ 使用時は、汚染除去に必要な器材及び薬剤を備えること。また、測定により汚染が確認された場合は、汚染除去等を行うこと。

ウ 手術室等で診療用放射性同位元素により汚染されるおそれのある場所の壁、床面は、気体及び液体が浸透しにくく、平滑で腐食しにくい構造であること。

エ 他の患者が被ばくする放射線の線量が1週間につき100マイクロシーベルト以下になるような措置を講ずること。

オ 診療用放射性同位元素使用室を有すること。また、使用する診療用放射性同位元素の準備及び使用後の汚染物の処理は、診療用放射性同位元素使用室で行うこと。

カ 手術室等において診療用放射性同位元素を使用する場合、放射線防護に関する専門知識を有する医師、歯科医師又は診療放射線技師等の中から管理責任者を選任すること。また、手術室等における管理体制を明確にする組織図を作成すること。

(12) 診療用放射性同位元素を陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室において使用することについて

診療用放射性同位元素の使用に関して、「特別の理由により陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室で使用する場合」とは、次のアからウに掲げる場合に限定されること。

なお、この場合における「適切な防護措置及び汚染防止措置」として、イからウに掲げる条件を遵守するとともに、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室に診療用放射性同位元素を備えようとするときは、規則第28条又は第29条第2項によりあらかじめ届出を行う必要があること。この場合において、規則第28条第1項第2号の規定に関して、その年に使用を予定する診療用放射性同位元素の種類、形状及び数量を、規則第28条第1項第4号の規定に関して、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室の放射線障害の防止に関する構造設備及び予防措置として、当該診療用放射性同位元素を使用する旨を記載すること。

ア 第3の7の(2)のイの機能を持つ陽電子準備室において、診療用放射性同位元素について第3の6の(2)に規定する診療用放射性同位元素使用室の準備室で行うべき行為又は作業を行う場合。

イ 第3の7の(3)のアの機能を持つ陽電子診療室において、診療用放射性同位元素による診療を受ける患者等に当該診療用放射性同位元素を投与する場合。

なお、この場合においても、同時に2人以上の患者の診療を行うことは認められないこと。

ウ 陽電子放射断層撮影装置に診療用放射性同位元素を投与された患者等の撮影を行う装置が付加され一体となったもの(以下「陽電子―SPECT複合装置」という。)を陽電子診療室に設置し、当該陽電子―SPECT複合装置を用いて診療を行うために陽電子診療室において診療用放射性同位元素を使用する場合。ただし、この場合において、第1の5の(3)のイの(イ)の陽電子断層撮影診療に関する安全管理の責任者たる医師又は歯科医師が陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室における安全管理の責任者となり、また、第1の5の(3)のアの(ア)の診療放射線技師が陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室における安全管理に専ら従事することによって、診療用放射性同位元素によって核医学検査を受ける患者等が、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素による不必要な被ばくを受けることのないよう、適切な放射線防護の体制を確立すること。

なお、この場合であっても、第3の7の(3)は適用されるため、区分した一つの陽電子診療室に複数の陽電子―SPECT装置を設置することは認められないことに留意すること。

2 診療用放射性同位元素等の廃棄の委託(規則第30条の14の2)

規則第30条の14の2第1項に基づく廃棄物詰替施設、廃棄物貯蔵施設及び廃棄施設の位置、構造及び設備に係る技術上の基準は、規則第30条の14の3に規定していること。

3 患者の入院制限(規則第30条の15)

(1) 規則第30条の15第1項における「治療を受けている患者」とは、第3の11の(1)に示す「放射線治療を受けている患者」を指すものであること。

(2) 規則第30条の15第1項の趣旨は、放射線治療を受けている患者を診療する放射線診療従事者等における規則第30条の18の規定、放射線治療を受けている患者以外の患者における規則第30条の19の規定及び当該放射線治療を受けている患者における規則第30条の20第2項第2号の規定を遵守することであること。

(3) 規則第30条の15第1項ただし書は、放射線治療を受けている患者を緊急やむを得ず一時的に集中強化治療室等に入院させる場合等が想定されること。なお、ただし書中「適切な防護措置及び汚染防止措置」の内容は、概ね次に掲げるとおりであること。

ア 診療用放射性同位元素又は陽電子断層撮影診療用放射性同位元素により治療を受けている患者を入院させる場合にあっては、第4の1(11)を参考に必要な措置を講じること。

イ 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を体内に挿入して治療を受けている患者を入院させる場合にあっては、第4の1(9)を参考に必要な措置を講じること。

(4) 規則第30条の15第2項ただし書の規定は、放射線治療を受けている患者以外の患者が特別措置病室へ入院する際の不要な被ばくを防止するために、空気中の放射性同位元素の濃度及び放射性同位元素によって汚染される物の表面密度を管理区域に係る基準以下とすることを求める規定である。本措置のうち、空気中濃度の担保については、患者に投与した診療用放射性同位元素の性質から、室内の空気中濃度が濃度基準を明らかに下回る場合は、必ずしも測定する必要はないこと。「室内の空気中濃度が濃度基準を明らかに下回る場合」の判断については、関係学会等が作成するガイドラインを参考とすること。

なお、特別措置病室に放射線治療を受けている患者が入院した後、本措置を講じる前に特別措置病室へ講じた規則第30条の12第2項に規定される措置を解除し、放射線治療を受けている患者以外の患者を入院させることは認められないこと。

(5) 治療を受けている患者等の取扱いについては、次のとおりであること。

ア 放射線治療病室から一般病室等に退出させる場合には、他の患者が被ばくする実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルト以下でなければならないこと。また、国際放射線防護委員会の勧告等に鑑み次の退出基準を示しており、それぞれの退出基準を参照し、患者及び介護者等への指導並びに退出の記録について徹底すること。

(ア) 診療用放射性同位元素を投与された患者の退出に係る取扱いは「放射性医薬品を投与された患者の退出について」(平成10年6月30日付け医薬安発第70号厚生省医薬安全局安全対策課長通知。以下「医薬品退出基準」という。)を参照すること。

(イ) 診療用放射線照射器具を永久的に挿入された患者の退出に係る取扱いは「診療用放射線照射器具を永久的に挿入された患者の退出及び挿入後の線源の取扱いについて」(平成30年7月10日付け医政地発0710第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知。以下「照射器具退出基準」という。)を参照すること。

(ウ) 規則第24条第8号の2で準用する同条第8号ハに該当する診療用放射性同位元素を投与された患者の退出に係る取扱いについては、医薬品退出基準及び「放射性医薬品を投与された患者の退出について」(平成10年6月30日付け厚生省医薬安全局安全対策課事務連絡)における退出基準算定に関する資料を参考とすること。

イ 診療用放射線照射装置又は診療用放射線照射器具を体内に挿入して治療を受けている患者から、当該診療用放射線照射装置又は当該診療用放射線照射器具が脱落した場合等に伴う適切な措置を講ずること。

なお、診療用放射線照射器具の脱落に係る取扱いは、照射器具退出基準を参照すること。

ウ 陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が投与された患者等については、管理区域内において患者等の体内から発する放射線が減衰し、患者等を管理区域外に退出させても構わない程度十分な時間まで留め置いた場合を示していること。

4 管理区域(規則第30条の16)

(1) 外部放射線に係る線量、空気中の放射性同位元素の濃度又は放射性同位元素によって汚染される物の表面の密度が規則第30条の26第3項に定める線量、濃度又は密度(以下「線量限度等」という。)を超えるおそれのある場所を管理区域として定め、管理区域にはその旨を示す標識を付すこと。

なお、上記以外の場所であって、一時的に規則第30条の26第3項に定める線量限度等を超えるおそれのある病室等については、一時的に管理区域を設ける等の適切な防護措置及び汚染防止措置を講じて、放射線障害の防止に留意すること。

(2) 規則第30条の16第2項に規定する「管理区域内に人がみだりに立ち入らないような措置」とは、同条第1項に規定する標識を付するほか、注意事項を掲示し、また、必要に応じて柵を設ける等により、放射線診療従事者等以外の者の立ち入りを制限する措置であること。

5 敷地の境界等における防護(規則第30条の17)

規則第30条の17の規定は、病院又は診療所の敷地内に居住する者及び病院又は診療所の近隣に居住する者等の一般人の放射線による被ばくを防止するために設けられたものであること。

6 放射線診療従事者等の被ばく防止(規則第30条の18)

(1) 規則第30条の18第1項に規定する「放射線診療従事者等」とは、「診療用放射性同位元素又はエックス線装置等の取扱い、管理又はこれに付随する業務に従事する者であって管理区域に立ち入る者」であること。具体的には、放射線診療に従事する又は放射性医薬品を取り扱う医師、歯科医師、診療放射線技師、看護師、准看護師、歯科衛生士、臨床検査技師、薬剤師等をいうこと。

なお、エックス線装置等の保守点検業務を業者に委託している場合、保守点検を実施する者の当該業務による職業被ばくの管理は病院等の管理者ではなく労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づく業務受託業者の義務であることから、放射線診療従事者等とはみなさないものであること。

(2) エックス線装置等の使用に当たって被ばくのおそれがある場合には、原則として放射線診療従事者等以外の者を管理区域に立ち入らせないこと。

また、放射線診療従事者等以外の者を管理区域に立ち入らせる場合にあっては、実効線量が1週間につき100マイクロシーベルトを超えるおそれのある場合は、線量の測定を行う必要があること。

(3) 規則第30条の18第2項に規定する「実効線量」は、外部被ばくによる線量と内部被ばくによる線量を分けて測定し、それらの線量の和とすること。

また、「等価線量」は、外部被ばくによる線量の測定によるものであること。

(4) 皮膚の等価線量のうち、中性子線については、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量の値がほぼ等しくなるため、1センチメートル線量当量の測定で差し支えないこと。

(5) 眼の水晶体に受ける等価線量(以下「眼の等価線量」という。)については、3ミリメートル線量当量(中性子線については1センチメートル線量当量)を測定すること。ただし、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量を測定、確認することによって3ミリメートル線量当量が規則で定める眼の等価線量限度を超えないように管理することができる場合には、1センチメートル線量当量及び70マイクロメートル線量当量について測定することとしても差し支えないこと。この場合、特定エネルギーの電子線による直接被ばくという極めて特殊な場合を除けば、1センチメートル線量当量又は70マイクロメートル線量当量のうち値が大きい方を採用することで眼の等価線量に関する合理的な範囲での安全側の評価を行うことができること。

なお、規則第30条の18第2項第2号では、外部被ばくによる線量の測定は同号に規定する部位(以下「法定部位」という。)に放射線測定器を装着して行うこととしている。一方、防護眼鏡その他の放射線を遮蔽して眼の等価線量を低減する効果がある個人用防護具(以下「防護眼鏡等」という。)を使用している場合には、法定部位に加えて、防護眼鏡の内側に放射線測定器を装着し測定する等、防護眼鏡等で低減された眼の等価線量を正確に算定するために適切な測定が行える部位に放射線測定器を装着し測定した結果に基づき算定した線量を眼の等価線量としても差し支えないこと。

(6) 規則第30条の18第2項第2号において、女子については、妊娠の意思がない旨を管理者に書面で申し出ることによって、5ミリシーベルト/3月間の実効線量限度の適用を受けないこともできることとしている。当該規定の具体的な運用に当たっては、別紙に示す「女子の線量限度の適用除外についての書面の運用に係る留意事項」を参考にし、徹底されるよう指導すること。

なお、上記以外の女子にあっては、使用の状況に応じて、胸部又は腹部のうち適切な部位で測定すること。

(7) 規則第30条の18第2項第3号に規定する外部被ばくによる測定については、管理区域に立ち入っている間継続して行うこと。

(8) 規則第30条の18第2項第4号に規定する内部被ばくによる線量の測定の頻度は、放射性同位元素を誤って吸入摂取又は経口摂取した場合にはその都度、診療用放射性同位元素使用室、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室その他の放射性同位元素を吸入摂取又は経口摂取するおそれのある場所に立ち入る場合には3月間を超えない期間ごとに1回、妊娠中である女子にあっては、本人の申出等により管理者が妊娠の事実を知った時から出産までの間1月を超えない期間ごとに1回であること。

(9) 外部被ばく及び内部被ばくによる実効線量の算定方法については、放射線診療従事者等が被ばくする線量の測定方法並びに実効線量及び等価線量の算定方法(平成12年厚生省告示第398号。以下「告示第398号」という。)を参照すること。

7 患者の被ばく防止(規則第30条の19)

病院又は診療所内の患者の被ばく線量は、診療により被ばくする放射線を除き、3月間につき1.3ミリシーベルトを超えないこと。

8 取扱者の遵守事項(規則第30条の20)

(1) 規則第30条の20に掲げる事項を遵守するため、病院又は診療所における放射線管理体制を明確にし、放射性同位元素等で汚染された物を取り扱う実務者の中から責任者を選任すること。

(2) 放射性同位元素等による汚染の除去は、診療用放射性同位元素使用室、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素使用室又は放射線治療病室内の汚染を除去するために設けられた場所又は専用の洗濯場において行うこと。

(3) 規則第30条の20第2項第2号の規定は、放射線治療を受けている患者以外の者が被ばくする実効線量が3月間につき1.3ミリシーベルトを超えるおそれがある場合に適用されること。

なお、陽電子断層撮影診療用放射性同位元素が投与された患者等に係る適当な標示については、管理区域内において、患者等の体内から発する放射線が減衰し、患者等を管理区域外に退出させても構わない程度十分な時間留め置いた場合は、不要であること。

9 エックス線装置等の測定(規則第30条の21)

放射線治療の用に供する装置については、人体に対する影響の大きいことから特にその精度を確保する必要があるため、治療用エックス線装置、診療用高エネルギー放射線発生装置、診療用粒子線照射装置及び診療用放射線照射装置については、その放射線量を6月を超えない期間ごとに1回以上放射線測定器で測定し、その結果の記録を5年間保存すること。

10 放射線障害が発生するおそれのある場所の測定(規則第30条の22)

(1) 規則第30条の22第1項第1号において、診療用放射線照射装置を固定して取り扱う場合等であって、取扱いの方法及びしゃへい壁その他しゃへい物の位置が一定している場合における診療用放射線照射装置使用室にあっては、放射線障害が発生するおそれのある場所の測定は、診療を開始した後にあっては6月を超えない期間ごとに1回行わなければならないとされているが、診療用放射線照射装置使用室において診療用放射線照射器具を使用する場合は、診療を開始した後にあっては1月を超えない期間ごとに1回、放射線の量を測定し、その結果に関する記録を5年間保存しなければならないものであること。

(2) 規則第30条の22第2項第1号に規定する放射線の量の測定においては、1時間当たりの線量率を測定した場合の線量を、使用実態を考慮し、8時間/日、40時間/週、500時間/3月として算定して差し支えないこと。

また、1週間又は1月間等の一定期間における積算線量を測定した場合は、3月間当たりの線量は、1週間の積算線量の13倍、1月間の積算線量の3倍とすること。

(3) 規則第30条の22第2項第2号の放射線の量及び放射性同位元素による汚染の測定について「最も適した位置において」とは、通常使用する頻度の最も高い場所及び位置において、適切な方法により測定を行う趣旨であること。

また、「放射線測定器を用いて測定することが著しく困難である場合」とは、物理的に測定することが困難な場合に限定されること。この場合にのみ、計算による算出が認められること。

11 記帳(規則第30条の23)

(1) 規則第30条の23第1項の規定において、エックス線装置、診療用高エネルギー放射線発生装置、診療用粒子線照射装置、診療用放射線照射装置及び診療用放射線照射器具の「1週間当たりの延べ使用時間」の記載が必要とされる趣旨は、放射線取扱施設等の画壁等の外側の実効線量が1週間につき1ミリシーベルトの基準が担保されていることを検証するためであること。また、管理区域の境界における線量が1.3ミリシーベルト/3月間であることから、3月間当たりの使用時間又は実効稼動負荷(使用時間(秒)×管電流)(以下「使用時間等」という。)も併せて記載すること。

(2) 1週間及び3月間当たりの装置ごとの使用時間等については、撮影1回当たりの使用時間等が明らかである場合は、それらの累積によることとし、使用時間等が明らかでない場合は、次に掲げる撮影1回当たりの実効稼動負荷に1週間及び3月間当たりの撮影回数を乗ずることにより算出して差し支えないこと。