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○「核酸医薬品の品質の担保と評価において考慮すべき事項について」に関する質疑応答集(Q&A)について

(令和4年6月9日)

(事務連絡)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課通知)

核酸医薬品の品質の担保と評価における考慮事項については、平成30年9月27日付け薬生薬審発0927第3号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「核酸医薬品の品質の担保と評価において考慮すべき事項について」(以下「考慮事項通知」という。)にてお示ししたところです。

今般、「アンチセンス医薬品の品質及び安全性評価に関する研究」(平成30年度国立研究開発法人日本医療研究開発機構医薬品等規制調和・評価研究事業)における検討を踏まえて、別添のとおり、考慮事項通知に係る質疑応答集(Q&A)を取りまとめましたので、貴管内関係事業者に対して周知をお願いします。

[別添]

「核酸医薬品の品質の担保と評価において考慮すべき事項について」に関する質疑応答集(Q&A)

Q1 考慮事項(1.1項)

開発段階における製造方法の変更に関して、「製造方法の変更に伴う同等性/同質性の評価に際しては、ICHガイドラインQ5Eに示されている考え方を参考にすることが適切な場合がある。特に不純物については・・」とされているが、不純物プロファイルについては、核酸医薬品の種類にかかわらず、Q5Eの考え方を適用すべきと考えてよいか。

A1

核酸医薬品の種類にかかわらず、オリゴヌクレオチド類縁物質を分離分析し、個々に評価・管理することが技術的に困難である場合には、ICHガイドラインQ5Eの考え方を適用することが適切な場合がある。

Q2 考慮事項(1.2項)

不純物、①オリゴヌクレオチド類縁物質のICHガイドラインM7に対する考え方について、適用する意義は乏しいとしたうえで「有効成分と異なる部分構造を有するオリゴヌクレオチド類縁物質が生じる場合には、当該部分構造の懸念の程度に応じて、遺伝毒性リスクについて検討した結果を説明する必要がある。」と述べられている。これは、例えば保護基が十分に除去されなかったオリゴヌクレオチド類縁物質の残留が想定される場合に、残留保護基の遺伝毒性に対する懸念の程度に応じてリスク評価をし、それを承認申請資料において説明するという理解でよいか。

A2

その理解でよい。

Q3 考慮事項(1.3項)

オリゴヌクレオチド類縁物質の規格について、「ICHガイドラインQ3A(R2)で示されている報告、構造決定及び安全性確認の閾値をオリゴヌクレオチド類縁物質に対して適用することは現実的ではない。」とされている。オリゴヌクレオチド類縁物質は親オリゴヌクレオチドの特性と類似しているため毒性も類似していると考えること、分子量の違いから低分子不純物の0.1%とオリゴヌクレオチド類縁物質の1.0%はモル量として同等と考えられることなどを踏まえ、オリゴヌクレオチド類縁物質の構造決定の必要な閾値を1.0%とした上で規格値を設定することは可能か。

A3

以下の内容を考慮すると、構造決定の必要な閾値は個々の品目の特性等に応じてケースバイケースで検討する必要がある。

・構造決定の必要な閾値は、適切に設定された安全性の確認が必要な閾値よりも十分に低い値を設定する必要がある。

・安全性の確認が必要な閾値は、考慮事項通知に記載のとおり、個々の品目の特性等を考慮した上で設定される必要がある。

ただし、製法変更時の不純物プロファイルの異同を検討する際には、構造決定の必要な閾値に関わらず、詳細な特性解析が必要となる場合がある。

Q4 考慮事項(1.3項)

オリゴヌクレオチド類縁物質の規格について、「オリゴヌクレオチド類縁物質又はオリゴヌクレオチド類縁物質群(ただし、オリゴヌクレオチド類縁物質群として管理することが適切な場合に限る)については、可能な限り分析及び分類を行った上で、主要な臨床試験及び非臨床試験に用いられた原薬及び製剤中に含まれるそれぞれの類縁物質のレベルに基づいて安全性を評価し、適切に限度値を設定する必要がある。」とされている。例えば非臨床/臨床ロット(原薬及び製剤)から一貫してオリゴヌクレオチド類縁物質を「群」として管理し、その「群」としてのロット分析結果等を考慮して規格値を設定することは可能か。

A4

オリゴヌクレオチド類縁物質「群」に含まれる類縁物質について、可能な限り特性解析が行われており、当該解析結果等に基づき、不純物プロファイルの一貫性及び群として管理することの適切性が説明できることを前提とすれば、可能である。

Q5 考慮事項(1.3項)

オリゴヌクレオチド類縁物質の規格について、「安全性試験や臨床試験に用いられた原薬又は製剤のロット中に存在するよりも高いレベルの類縁物質を含む場合についても、既に行った適切な安全性試験において実際に投与された類縁物質の量を求め、それに基づいて考察を行うことにより安全性の確認を行うことができる。ある類縁物質について、規格に設定しようとする判定基準のレベルにおける安全性を確認できるデータがない場合には、安全性を確認するための試験を行う必要があろう。」とされている。例えば毒性試験で用いたロット中に含まれる各類縁物質(群)の最大量に基づき、規格設定を行うことは可能か。また,保存期間中の各類縁物質(群)の量を考慮して規格設定を行うことは可能か。

A5

考慮事項通知の以下の文言に留意する必要がある。

「種特異的な薬理活性を示す可能性があることから、オリゴヌクレオチド類縁物質の安全性評価を行う上で、非臨床試験の有用性には限界があることを考慮する必要がある」

また、規格値の設定に際しては、非臨床安全性試験及び安定性試験に加えて、実生産を反映した工程で製造されたロットの分析データ、臨床試験に用いられたロットの分析データ等も考慮した上で、総合的に検討する必要がある。

Q6 考慮事項(1.3項)

定量法(含量)について、「ICHガイドラインQ6Aに述べられているように、不純物の影響を受けないような特異性の高い定量法が設定されるべきである。オリゴヌクレオチド類縁物質プロファイルの複雑性を鑑みれば、適切な場合には、試験方法全体として原薬に対して特異的なものとなるように複数の分析方法を組み合わせることができる」と示されている。定量法(含量)は1つの分析法で設定しても問題ないと考えてよいか。

A6

特異性の高い分析法を用いることができる場合には、複数の分析方法を組み合わせる必要はない。

Q7 考慮事項(適用対象)

「化学合成されるオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬品及び化学合成品とコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドを有効成分とする医薬品」と記載されていることから、化学合成によりコレステロールや糖などの機能性低分子とコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドについても、ICHガイドラインQ1を参照して、安定性を評価することで差し支えないか。

A7

差し支えない。

Q8 コンジュゲートされたオリゴヌクレオチドの安定性について、コンジュゲートされていることにより核酸部分の変化についての安定性を評価することが困難となる場合がある。この場合、コンジュゲート部分の安定性(コンジュゲート核酸で安定性評価を実施)とコンジュゲートする前の核酸部分の安定性から総合的に評価することは可能か。

A8

コンジュゲートされたオリゴヌクレオチドが原薬である場合には、当該原薬の安定性を適切に評価可能な分析法の開発を検討するべきである。必要に応じてPMDAが実施する相談を活用されたい。

Q9 技術的に分離できない等の理由により、同定が困難な不純物について、どのように評価する必要があるか。

A9

不純物を同定することが困難である場合には、不純物プロファイルの一貫性を評価する上で必要な情報が得られるよう配慮すること。