[答]製剤特性及び各工程の製品の品質に及ぼす影響等が類似しているとみなすことができる場合には、グループ化及び代表製品の選定の合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記した上で、当該代表製品についてプロセスバリデーションを行うことで差し支えない。
グループ化とは、製剤特性(生理活性、物理化学的性質、品質規格、有効成分の配合量等)及び各工程の製品の品質に及ぼす影響等が類似しているとみなすことができる製品群を一括して評価することをいう。例えば、製造工程が同等であって、有効成分の分量が若干異なる製品、有効成分以外の成分の種類や分量が若干異なる製品等、製剤特性が全般的に類似しているものが考えられる。
なお、グループ化を行う場合には、それらの製品の範囲及び選定の合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。特に、過去の製造実績の少ない製品等については、グループ化により評価してよいかどうかを慎重に検討すること。製品が類似していても、工程管理等に変動要因の共通性がないと予想される場合には、製品ごとにプロセスバリデーションを行うことが必要である。
GMP13―32(プロセスバリデーション) [問]製造スケール200kg、500kg及び1,000kgで、同一の製造設備を用いて同一の製品を製造する工程のプロセスバリデーションは、最小の200kgスケールのみで実施してもよいか。 |
[答]プロセスバリデーションは、商業生産での製造スケールが製品の品質に影響を及ぼさないことをバリデートすることが目的であるので、設問の場合には、原則として200kg、500kg及び1,000kgの3種類の商業生産スケールのいずれについてもバリデーションを実施する必要がある。
ただし、ロットサイズが製品の品質に影響を及ぼさない合理的な理由があり、それがバリデーション計画書にあらかじめ明記されているときは、設問の場合には、3種類の商業生産スケールのうち500kgについては省略しても差し支えない。
GMP13―33(プロセスバリデーション) [問]プロセスバリデーションにおいて、含量の均一性を評価するための試験に用いる試料の採取の箇所及び採取の量については、どのように設定すべきか。 |
[答]採取の箇所については、対象となる製品の製剤特性に応じて、例えば打錠工程においては時系列的に、また、混合工程においては混合機の容量、投入量を考慮してロットを代表する適切な箇所及び箇所数を設定しなければならない。採取の量については、有効成分の含量試験の方法、分析精度等を考慮して設定すること。採取の箇所及び採取の量は、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。
GMP13―34(プロセスバリデーション) [問]ジアスターゼ等の酵素を有効成分とした錠剤に係る製品の「含量の均一性」の評価はどのようにしたらよいか。 |
[答]ジアスターゼ等の酵素製剤のように製造販売承認(届出)書の規格の幅が表示量±25%を超える場合及び分析精度の面から考えて均一性の評価が困難な場合には、前工程たる混合工程の均一性を、製造業者等として定めた基準により評価した上で、打錠工程において時系列ごとに採取したものの製造販売承認(届出)書の方法による定量値が規格幅に収まっていることを確認し、打錠した個々の製品の質量を時系列ごとに統計処理を行い評価しても差し支えない。
GMP13―35(プロセスバリデーション) [問]丸剤に係る製品の製丸工程のプロセスバリデーションはどのようにしたらよいか。 |
[答]製丸工程の初期、中期及び後期において、通常工程どおり乾燥した一定数量について個々の質量のバラツキが期待する範囲内にあることを確認すること。ただし、質量偏差試験規格が製造販売承認(届出)書に記載のない場合には、一回の用量のバラツキが製造業者等として設定した期待値の範囲内にあることを確認することで差し支えない。ただし、必要に応じ練合塊の粘度等の変動による製丸工程への影響のほか、製丸直後の丸剤に係る製品は多量の水分を含むことから、乾燥後の丸剤に係る製品の重量(含量)管理について留意すること。
なお、製造販売承認(届出)書の規格として崩壊試験が設定されている場合には、崩壊性についても評価すること。
GMP13―36(プロセスバリデーション) [問]漢方生薬製剤等の古い承認書においては、定量法として薄層クロマトグラフィーによるカキトリ法等が設定されていることがある。このような場合には、HPLCを用いる等、製造販売承認(届出)書に記載の方法以外の適切な定量法を用いてバリデーションを行ってもよいか。 |
[答]プロセスバリデーションでの確認のために製造販売承認(届出)書に記載された方法に加え、定量法などでは分析精度の高いHPLC法等を用いてバリデーションを行っても差し支えない。なお、製造販売承認(届出)書に記載の試験方法が、現在の関係通知、科学技術水準等からみて不十分と認められる場合には、一部変更承認等の申請(該当する場合には軽微な変更の届出)を行うよう製造販売業者に連絡すること。
GMP13―37(プロセスバリデーション) [問]プロセスバリデーションにおいて、「3ロットを繰り返し製造した結果」による検証の方法を採用した場合、3ロット連続で適合しなければならないか。 |
[答]原則として、3ロット連続して適合していること。期待される結果が得られなかった場合には、その原因究明を行い、原因を取り除いた条件により、再度連続3ロットのプロセスバリデーションを実施し、評価を行う必要がある。
ただし、所定の手順に従ってOOSの調査を行ったところ明らかな操作ミスのあったことが確認されたとき、停電、設備故障等明らかに製造工程の管理とは関連しない特殊な事項が原因であるとき等においては、そのロットは除き、あらためて製造したロットと合わせて3ロットとしたものを「3ロットを繰り返し製造」とみなしても差し支えない。なお、「製剤開発に関するガイドラインの改定について」(平成22年6月28日薬食審査発0628第1号)に準じて開発された医薬品であって、継続的工程確認が規定された製造工程に対しては、GMP13―50~GMP13―54を参照すること。
GMP13―38(プロセスバリデーション) [問]複数の製品の製造で設備を共用するとき、同一の製品を3ロット連続して製造することが困難な場合がある。このような場合でも、プロセスバリデーションは、当該製品の商業生産スケールでの3ロット連続製造により実施しなければならないのか。 |
[答]必ずしも同一製品3ロットの商業生産スケールでの製造が他製品の製造もなく連続していることを要しない、すなわち他の製品の生産の合間に行うことで差し支えない。ただし、3回連続して適合しなければならない。
前提として、設備の清浄化の確認、教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされていなければならない。
GMP13―39(プロセスバリデーション) [問]製造販売承認申請データを作成したときの製造設備と製造販売承認後に商業生産を行う設備とが同一である場合には、その設備による申請用工業化研究品の製造時のデータをプロセスバリデーションとして扱うことは可能か。 |
[答]製造設備の適格性が維持されており、かつ、設問の「申請用工業化研究品製造時のデータ」を得たときの製造条件等(製造スケールが商業生産スケールであること等)が、行おうとするプロセスバリデーションと同一である場合に、それらのことが行おうとするバリデーション計画書にあらかじめ明記されていればよい場合がある。
GMP13―40(プロセスバリデーション) [問]同一法人の他の製造所に同一の仕様の製造設備を設置して同一の製品の製造を行うときも、プロセスバリデーションは、両製造所とも必要か。同一の仕様の製造設備であれば、どちらかの製造所のみにおいて3ロットのプロセスバリデーションを行うことでよいか。 |
[答]同一の仕様の製造設備であるとしても稼動性能の違いから別の製造設備となる。また、製造環境、GMP組織体制等も異なるため、双方の製造設備についてプロセスバリデーションを行う必要がある。
GMP13―41(プロセスバリデーション) [問]同一の製造所内において同一の製品の重要工程に係る既存製造設備を移設する又は当該製造設備と同一の仕様の製造設備を別に新設する場合には、プロセスバリデーションは、3ロットより少ないロット数の製造により評価してもよいか。 |
[答]GMP13―40と同様に、同一の仕様の製造設備であるとしても、稼動性能の違いから別の製造設備となるため、原則3ロットのプロセスバリデーションが必要である。ただし、移設の場合は、以下の要件をすべて満たし、その旨がバリデーション計画書にあらかじめ明記されている場合には、差し支えない。
1.「移設された製造設備」について、あらかじめ設計時適格性評価(DQ)が行われ、また移設後に設備据付時適格性評価(IQ)、運転時適格性評価(OQ)及び性能適格性評価(PQ)が行われ、かつそれらにより移設前後で当該設備の同等性が確保されていること。
2.「移設前の製造設備」に係る製造工程についての製品品質の照査結果の集積から、あらかじめ特定された変動要因に変動がなく、当該工程が安定したものであることが確認されていること。
3.移設前後の当該製造設備に係る工程のロットサイズ、製造手順等に変更がないこと。
GMP13―42(プロセスバリデーション) [問]製剤のプロセスバリデーションに使用する原薬たる医薬品については、3ロット別々のロットを使用した上で当該製剤工程に係るバリデーションを実施する必要があるか。 |
[答]当該製造所の「製剤工程」についてプロセスバリデーションを行うに当たって、製剤開発時から取得した知識や情報、製品の品質特性などを考慮してバリデーションに使用する原薬たる医薬品のロットを決定することが望ましい。
GMP13―43(プロセスバリデーション) [問]プロセスバリデーションは、実薬を使用せずに行ってもよいか。 |
[答]プロセスバリデーションは、あらかじめ特定された製品の品質に影響を及ぼす変動要因に関して、その変動要因に対する許容条件が目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを検証するものである。したがって、実薬を使って確認を行うものである。
GMP13―44(プロセスバリデーション) [問]すべての製造工程を対象にプロセスバリデーションを実施する必要があるか。また、プロセスバリデーションの対象とする製造工程の選択にあたっての留意事項は何か。 |
[答]必ずしもすべての製造工程を対象にプロセスバリデーションを実施する必要はないが、製剤開発時に取得した知識や情報などをもとに製品の品質特性に応じて、品質に影響を及ぼす可能性のある重要工程を製造業者等が選択して実施すること。下表に重要工程の例を示すが、表に示されていない工程であっても、品質リスクに応じてバリデーションを実施すること(例:溶出性の評価におけるコーティング工程)。
剤形\品質特性 |
無菌性 |
含量均一性 |
溶出性 |
純度及び結晶形 |
|
無菌製剤 |
最終滅菌製剤 |
滅菌工程 |
溶解工程 混合・溶解工程 充填工程 |
||
無菌操作製剤 |
無菌操作工程 ろ過滅菌工程 無菌充填工程 凍結乾燥工程 |
溶解工程 混合・溶解工程 充填工程 |
|||
固形製剤 |
混合工程 造粒工程 打錠工程 充填工程 |
打錠工程 造粒工程 |
|||
液剤 |
溶解工程 混合・溶解工程 充填工程 |
||||
軟膏剤、坐剤、パップ剤 |
練合工程 充填工程 展延工程 |
||||
原薬たる医薬品 |
最終精製工程 |
||||
無菌原薬たる医薬品 |
滅菌工程 無菌操作工程 |
最終精製工程 |
GMP13―45(プロセスバリデーション) [問]新規製造販売承認申請時に、既存設備を使用して製造を行う場合には、当該既存設備についてあらためて適格性評価を実施する必要はなく、プロセスバリデーションのみを実施することでよいか。 |
[答]製造する製品によっては使用条件を変更する必要のある製造設備もあり、例えば、設備の適格性評価をあらためて実施する必要がある場合もあり得る。したがって、既に実施済みの適格性評価結果が利用できるかどうかを評価することが必要である。
GMP13―46(プロセスバリデーション) [問]プロセスバリデーションの開始前に実施する性能適格性評価(PQ)は、処方設計時又は製造方法検討時の小スケールのデータをもって充当することができるか。それとも、商業生産スケールにおいての製造方法を確立しなければ、性能適格性評価(PQ)が完了したものとはみなされないのか。また、この性能適格性評価(PQ)において必要な製造ロット数の規定は、特にないと解してもよいか。 |
[答]
1.性能適格性評価(PQ)については、最終的には商業生産スケールにおいて行うことを原則とし、工業化研究の結果等を踏まえ確立した製造手順等が想定される操作条件の範囲全体にわたり、意図したとおり稼働することを確認するものである。
2.ただし、工業化研究等により当該製造工程に係る知識が十分に蓄積されており、重要なパラメータなどの変動要因が把握されている場合には、性能適格性評価(PQ)を商業生産スケールで実施しなくてもよい場合がある。
3.性能適格性評価(PQ)において必要なロット数は、蓄積した知識や重要なパラメータなどの変動要因に応じて適切に定めること。変動要因の解析に当たっては、必要に応じて統計的手法を活用すること。
GMP13―47(プロセスバリデーション) [問]プロセスバリデーションにおいて「求められる品質の製品が恒常的に得られる妥当な工程である旨を検証」とは、何をもって検証されたと判断するのか。例えば、製品の規格に合格することをもって「検証」としてもよいか。 |
[答]プロセスバリデーションの目的は、単に製品の規格への合否のみで製造プロセスの妥当性を評価するものではなく、あらかじめ特定した製品品質に影響を及ぼす変動要因(原料等の物性、操作条件等)を考慮し設定した許容条件のもと稼動する工程が、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを確認し、文書化することである。
したがって、プロセスバリデーションでは、製造所の製造工程をすべて終えた製品がその規格に合格することを確認するだけでは必ずしも十分ではなく、モニタリング等を含め工程の稼働性能を評価できるように工程内管理に係る試験検査の実施内容(検体採取の箇所又は回数)を適切に定め、様々な評価を行うことにより、構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される効果を与えることを確認する必要がある。
GMP13―48(プロセスバリデーション) [問]GMP13―44の表(重要工程の例)の固形製剤の品質特性としての溶出性に影響を及ぼす工程として打錠工程及び造粒工程が掲げられているが、製造販売承認(届出)書の規格において溶出試験が設定されていない場合にも、当該工程のバリデーションにおいて溶出性を対象とすることが必要か。 |
[答]製造販売承認(届出)書の規格に定められていなければ、必ずしも要件とはならないが、品質保証の観点から工程を理解し変動要因の動向を把握するために実施することが望ましい。なお、品質再評価の対象品に係る製品については、GMP13―66を参照すること。
GMP13―49(プロセスバリデーション) [問]成分が分散している液剤に係る製品の含量の均一性に影響を及ぼす製造工程のプロセスバリデーションは、どのように行えばよいか。 |
[答]設問のような製品に係る一般的な製造工程を想定した場合には、混合工程、分散工程、充填工程等を重要工程として評価を行う必要がある。評価すべき工程は、品質リスクマネジメントの評価に基づき選択され、あらかじめ特定された製品品質に影響を及ぼす変動要因に関して許容条件の妥当性が検証されていること。例えば、充填工程において含量均一性を評価する場合には、科学的根拠に基づき、当該工程の初期、中期及び後期において採取方法(場所、頻度、量等)を適切に設定した上で、採取した試料をもって行うこと。
継続的工程確認
GMP13―50(継続的工程確認) [問]バリデーション指針(5)②イ(ウ)における「同等以上の手法」とは、どのような手法をいうのか。 |
[答]例えば、「製剤開発に関するガイドラインの改定について」(平成22年6月28日薬食審査発0628第1号)の「より進んだQbD手法」に基づいて製剤開発した品目に対し、継続的工程確認の手法を取り入れて製造工程を検証した場合をいう。ただし、商業生産品の出荷までに、商業生産スケールで要求される品質の製品が継続的に生産できることを示す必要がある。
GMP13―51(継続的工程確認) [問]継続的工程確認は、どのような手順を経て導入することが可能か。 |
[答]「製剤開発に関するガイドラインの改定について」(平成22年6月28日薬食審査発0628第1号)の「より進んだQbD手法」に基づいて製剤開発し、継続的工程確認について管理戦略を構築した場合に導入することが可能である。継続的工程確認を設定していない既存品に対して導入する場合も「製剤開発に関するガイドライン」に基づいて製造工程及び管理戦略を開発すること。
GMP13―52(継続的工程確認) [問]継続的工程確認を導入した製品のプロセスバリデーションは、どのように運用するか。 |
[答]「「製剤開発に関するガイドライン」、「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」及び「医薬品品質システムに関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成22年9月17日審査管理課/監視指導・麻薬対策課事務連絡)の1.1Q3に示されているとおり、プロセスバリデーションの工程デザイン、工程の適格性確認、日常的工程確認の段階を製品のライフサイクルにわたって運用する必要がある。実施に当たっては、継続的工程確認を適用する旨をバリデーション計画書に記載すること。また、継続的にモニタリングすることにより得られたデータは、製品ライフサイクルを通した製品品質の照査として工程の一貫性の検証に活用できる。
GMP13―53(継続的工程確認) [問]継続的工程確認を導入した製造工程においては、商業生産スケールでの3ロットのプロセスバリデーションは必要か。 |
[答]継続的工程確認を導入した製造工程に対しては、必ずしも商業生産スケールでの3ロットのプロセスバリデーションを求めていない。
GMP13―54(継続的工程確認) [問]一連の製造工程の中で、継続的工程確認を導入した製造工程と導入していない製造工程から構成されている製品に対するプロセスバリデーションは、どのように実施すればよいか。 |
[答]継続的工程確認は、製剤開発の管理戦略に基づき製造工程ごとに適用されるため、「製剤開発に関するガイドライン」に規定されているように「より進んだQbD手法」と「最小限の手法」の両方が含まれたり、「より進んだQbD手法」であっても継続的工程確認を適用しない工程が含まれたりするなど、一連の製造工程の中に継続的工程確認のあるものとないものが混在する場合がある。このような製造工程のプロセスバリデーションは、継続的工程確認を適用しない工程に対しては、従来のバリデーションの評価手法に準じて、商業生産スケールで3ロット実施すること。なお、製造工程に適用するバリデーションの評価手法はバリデーション計画書にあらかじめ定めておくこと。
洗浄バリデーション
GMP13―55(洗浄バリデーション) [問]バリデーション指針でいう洗浄バリデーションに関しては、どの程度の範囲まで実施すればよいか。 |
[答]洗浄バリデーションについては、以下の点に留意して実施すること。
1.製品等が接触するすべての設備器具について実施すること。専用設備においては、製品等の分解物等の生成やキャリーオーバーが否定できない製造工程については、分解物等劣化した残留物等を考慮すること。
2.バリデーションの対象となる洗浄方法について、残留物の量が以降に製造する製品のロットサイズを考慮した汚染の限度値以下となることを保証し、バリデートされた洗浄方法を手順書等に反映すること。
3.洗浄バリデーションに係るバリデーション計画書には、対象とする設備、手順、当該設備に係る製品等、許容水準、モニタリング及び管理を行うためのパラメータ、試験方法、採取する検体の態様並びに当該検体の採取及び表示の方法を記載すること。手順にはサンプル採取箇所、設備洗浄の時間制限(ダーティーホールドタイム及びクリーンホールドタイム)を記載すること。バッチごとに洗浄を実施せずにキャンペーン製造を行う場合はその最大長(時間及び/又はバッチ数)を考慮すること。
4.試験方法は、限度値相当の量の残留物を十分に検出することができるように、分析法バリデーションにより、特異性及び感度を有する妥当なものとすること。
5.採取方法については、不溶性及び溶解性残留物の両方を検出するために、スワブ法、リンス法又は代替方法(例えば、直接抽出)を適切に含めること。使用する検体採取方法は、洗浄後の設備表面上に残留する残留物の水準を定量的に測定できる方法にすること。
6.残留物又は汚染物(洗浄剤を含む)の限度値(残留許容限度値)は、次に製造する製品の安全性に基づく基準から設定すること(GMP13―56参照)。
7.設備の洗浄作業及び殺菌消毒作業(サニタイゼーション)の手順等の検討に当たっては、当該作業が製品中の微生物数若しくはエンドトキシン量を管理する必要がある場合、又は微生物若しくはエンドトキシンによる汚染が問題となりうる場合には、これらを勘案したものとすること。
8.洗浄バリデーションを行った洗浄手順は、当該洗浄手順が通常の製造時に有効であることを保証するために、バリデーション後適切な間隔でモニタリングを行うこと。GMP13―60を参照すること。
9.原薬のように、原料等の残留物や汚染物のキャリーオーバーが精製工程で除去される場合は、原薬の品質への影響をリスク評価した上で、洗浄バリデーションの対象工程を判断すること。
GMP13―56(洗浄バリデーション) [問]洗浄バリデーションの実施及び残留許容限度値設定にあたり、留意すべき点は何か。 |
[答]製造業者等は、自社で製造する製品のそれぞれについて、他の製品の成分や他の物品の曝露による交叉汚染が生じないよう、適切な残留許容限度値を設定すること。
残留許容限度値の設定にあたっては、残留物又は汚染物(洗浄剤を含む)の物質特性(溶解性、力価、毒性)等が異なるため、品質リスクマネジメントの原則に準じて、患者に対する健康被害リスクを適切に制御するよう値を設定すること。
また、適切に洗浄バリデーションを実施し、その結果を記録するとともに、バリデートされた洗浄方法を手順書等に反映すること。
なお、洗浄バリデーションの残留許容限度値の算出には以下の方法が知られており、これらの考え方が参考となるが、これらに限ったものではない。
・一日許容曝露量(PDE/ADE)又は許容一日摂取量(ADI)による方法
・職業曝露限界(OEL)による方法
・混在濃度10ppm以下
・一日最小投与量の1/1000
また、関連する以下の資料も参照されたい。
・「原薬GMPのガイドラインに関するQ&Aについて」(平成28年3月8日監視指導・麻薬対策課事務連絡)、4.構造設備―封じ込め
・GUIDELINE ON SETTING HEALTH BASED EXPOSURE LIMITS FOR USE IN RISK IDENTIFICATION IN THE MANUFACTURE OF DIFFERENT MEDICINAL PRODUCTS IN SHARED FACILITIES, PI 046‐1, PIC/S
・QUESTIONS AND ANSWERS ON IMPLEMENTATION OF RISK‐BASED PREVENTION OF CROSS‐CONTAMINATION IN PRODUCTION AND ‘GUIDELINE ON SETTING HEALTH‐BASED EXPOSURE LIMITS FOR USE IN RISK IDENTIFICATION IN THE MANUFACTURE OF DIFFERENT MEDICINAL PRODUCTS IN SHARED FACILITIES’, PI 053‐1, PIC/S
・AIDE‐MEMOIRE, INSPECTION OF HEALTH BASED EXPOSURE LIMIT (HBEL) ASSESSMENTS AND USE IN QUALITY RISK MANAGEMENT, PI 052‐1, PIC/S
・ICH M7
・「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドラインの改訂について」(平成14年12月16日医薬審発第1216001号)(ICH Q3A(R2)))
なお、設備の共用の可否については、GMP9―18、GMP9―28を参照すること。
GMP13―57(洗浄バリデーション) [問]洗浄バリデーションは、3回の繰返しが必要か。 |
[答]
1.洗浄バリデーションは、原則として3回の繰返しデータが必要である。
2.新製品でも、洗浄バリデーションに関して製造設備を共用する既存製品に係る残留物の量等の特性が類似していることを示す合理的な根拠がある場合には、それがバリデーション計画書にあらかじめ明記されていれば、当該既存製品に係る洗浄バリデーション結果を利用しても差し支えない。ただし、当該新製品について、最低1回はその洗浄方法により同等の洗浄効果があることを確認すること。
3.新設備でも、構造的に既存設備に類似しており、同等の洗浄効果があると考えられる場合には、その合理的な根拠がバリデーション計画書にあらかじめ明記されていれば、当該設備に係る洗浄バリデーション結果を利用しても差し支えない。ただし、最低1回はその洗浄方法により同等の洗浄効果があることを確認すること。
GMP13―58(洗浄バリデーション) [問]洗浄バリデーションでは、合理的な根拠に基づき、指標となる成分のみをもって評価してもよいか。 |
[答]洗浄バリデーションは、当該作業を実施することにより製品への汚染及び交叉汚染を十分防止することができることを保証することを目的としている。したがって、指標となる成分を選定する場合には、各成分の溶解性、当該洗浄方法による除去の困難さ、残留物の限度値、生理活性、投与量、含量等を考慮し、その目的を達成することができることを検証しておく必要がある。指標成分の選定根拠、指標成分としての残留限度値の設定根拠等を、バリデーション実施計画書にあらかじめ明記しておくこと。
GMP13―59(洗浄バリデーション) [問]洗浄バリデーションを実施し、洗浄方法等を定めた自動洗浄システムを備えた共用の製造設備については、日常的な管理をどのように行えばよいか。 |
[答]洗浄バリデーションにおいて得られた知見を反映した構造設備及び職員の衛生管理に関する手順(GMP8―4を参照)に従って日常の管理を行うとともに、洗浄バリデーションを行った洗浄手順は通常の製造時に有効であることを保証するために、バリデーション後適切な間隔でモニタリングを行うこと。GMP13―60を参照すること。また、洗浄作業に使用する計器については定期的に校正を実施すること。
なお、洗浄方法等の作業を変更しようとする場合には「変更時のバリデーション」を実施すること。
GMP13―60(洗浄バリデーション) [問]洗浄バリデーション及び日常管理にはどのような試験法を用いればよいのか。 |
[答]洗浄バリデーションに使用する試験方法は、その目的を達成するに足る方法であり、試験する残留物又は汚染物が限度値以下となるような場合にも適切な検出感度を持つことを検証しておく必要がある。目視確認についても、これらの点が満たされるものについては、定量的な試験に代えても差し支えない。また、日常管理においては目視確認による方法で差し支えない。
なお、目視確認による場合には、観察者による評価のばらつきが生じないよう、教育訓練の計画的実施等適切な措置をあらかじめ講じる必要がある。
GMP13―61(洗浄バリデーション) [問]製造設備の洗浄に洗剤(界面活性剤)を用いる場合、洗剤成分の残留の有無を確認する必要があるか。 |
[答]洗剤を用いて洗浄を行う場合には、洗浄バリデーションにおいて、定められた洗浄方法(すすぎ等)により洗剤成分の残留がないことを定量的な試験により確認しておく必要がある。除去しやすい洗剤を用いる場合には、GMP13―60の条件を満たし、目視確認により残留限度値を十分検出できることを検証していれば、乾燥後の目視確認によることとしても差し支えない。
GMP13―62(洗浄バリデーション) [問]内用液剤に係る製品の製造工程のうち、調製から充填に係る工程の複数の製造設備の洗浄バリデーションについては、リンス法により最終洗浄液中の残留物又は汚染物の濃度が限度値以下であることを確認することをもって足りると考えてよいか。 |
[答]洗浄バリデーションに係る採取の方法については、設備表面から直接採取する方法(スワブ法)によることが望ましい。ただし、あらかじめ分解洗浄するなどし、リンス法の妥当性がスワブ法等により検証されていれば、リンス法によることとしても差し支えない。GMP13―55を参照すること。
GMP13―63(洗浄バリデーション) [問]同一の製品を製造する、同一の仕様の製造設備が複数ある。一の製造設備の洗浄バリデーションの結果を、他の製造設備の洗浄バリデーションに利用してもよいか。 |
[答]同一の仕様の製造設備の洗浄バリデーションの実施に当たっては、一の製造設備の洗浄バリデーションデータを他の製造設備に係る洗浄バリデーションに利用しても差し支えない。合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。
再バリデーション
GMP13―64(再バリデーション) [問]バリデーション指針2(5)④に「再バリデーションを行う必要性、時期(タイミング)及び項目については、その設備、装置若しくはシステム、製造工程、洗浄作業又は試験検査に係る製品の製造頻度のほか、医薬品に係る製品にあってはGMP省令第11条の2第1項第4号及び第21条の2第1項第4号の規定による安定性モニタリングの評価、同令第11条の3第1項第1号の規定による製品品質の照査等の結果を踏まえ、製造業者等が定めるものであること」とあるが、再バリデーションを不要と判断してもよい事例を示してほしい。 |
[答]非無菌医薬品の製造プロセスに関しては、製品品質の照査の結果に問題がなく、工程の再現性に影響を及ぼす事象が認められないと判断できる場合には、再バリデーションを実施しなくても差し支えない。しかし、工程変更により設備の要求事項が変わる場合には、適格性評価を実施する必要がある。一方、無菌医薬品の無菌性保証に係わる工程に関しては、製造プロセスの稼動性能が製品品質に直接影響を与えるおそれがあることから、製品品質の照査の結果にかかわらず定期的に再バリデーションを実施すること。
GMP13―65(再バリデーション) [問]最終滅菌法(例えば高圧蒸気滅菌を含む湿熱滅菌)に基づく滅菌工程を実施する場合、設備の性能として滅菌装置の温度分布を無負荷の状態において既に確認していても、当該滅菌工程の再バリデーションは必要か。 |
[答]必要である。湿熱滅菌工程においては、滅菌装置内に置かれたすべての被滅菌物の品温及び時間が日本薬局方に規定の滅菌条件を満足していることを、負荷時における熱分布試験及び熱浸透性試験によって検証する必要がある。なお、その他の最終滅菌法については、「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」や、関連指針の最新版等を参考にすること。
変更時のバリデーション
GMP13―66(変更時のバリデーション) [問]品質再評価の対象となる品目に係る製品については、どのようにバリデーションを行えばよいか。 |
[答]
1.品質再評価の対象となる品目に係る製品については、溶出性の見直しに対応した品質の確認が必要である。したがって、溶出性に関してプロセスバリデーションが行われていないものについては公的溶出試験法が確立した時点において、製品ごとにプロセスバリデーションを行うこと。
2.処方変更又は製造方法の変更により溶出性を変更する場合には、検討段階において溶出性に影響を及ぼす工程(コーティング工程等)を把握した上で、商業生産のための製造方法を確立し、溶出性に関してプロセスバリデーションを行うこと。
3.品質再評価については、「医療用医薬品の品質に係る再評価の実施等について」(平成10年7月15日医薬発第634号)を参照すること。
GMP13―67(変更時のバリデーション) [問]変更時のバリデーションとして実施するプロセスバリデーションについて、ロット数に規定はあるか。類似製品等の製造条件をもとに1ロットの製造をもって検証することができるのであれば1ロットのみの製造でもよいか。 |
[答]再現性の観点から原則3ロットのプロセスバリデーションが必要である。ただし、類似製品等に係る知見により、変更内容が製品の品質に影響を及ぼさないことを予測することが合理的に説明できる場合には、その根拠をバリデーション計画書にあらかじめ明記することで、コンカレントバリデーション(原則3ロット)として認められる場合がある。
GMP13―68(変更時のバリデーション) [問]原料、資材、手順、製造設備等が同じであって、ロットサイズのみを変更するとき、変更時のバリデーションを実施する必要があるか。 |
[答]原料その他の条件が同じであっても、当該ロットサイズの変更が品質に影響を及ぼすおそれのある場合は、変更時のバリデーションを実施すること。なお、製造販売承認書において標準的仕込み量やロットサイズが定められている場合には、当該変更はGMP省令第14条第1項第2号に示す製品品質若しくは承認事項に影響を及ぼす場合又はそのおそれがある場合に合致する可能性が高いことから、変更の際には一部変更承認申請(該当する場合には軽微な変更の届出)の必要性について製造販売業者に相談すること。
製造支援システムのバリデーション
GMP13―69(製造支援システムのバリデーション) [問]「製造を支援する装置又はシステム」のバリデーションのうち、製造用水を供給する装置又はシステムのバリデーションに関しては、どの程度の範囲まで実施すればよいか。 |
[答]製造用水を供給する装置又はシステムのバリデーションは、当該装置又はシステムで製造された製造用水が、すべてのユースポイントで目的とする品質基準を恒常的に満足することを保証できるように実施すること。なお、原水については、定期的にその品質を確認すること。
GMP13―70(製造支援システムのバリデーション) [問]製造を支援するシステムなど複数の製品に共用される製造設備の適格性評価及び洗浄バリデーションは、製品ごとに実施しなければならないのか。 |
[答]複数の製品の製造において共用する製造設備については、必ずしも製品ごとに適格性評価及び洗浄バリデーションを行う必要はなく、製造設備ごとにそれらを行うことで差し支えない。なお、実施に当たってはグループ化等の合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。
GMP13―71(製造支援システムのバリデーション) [問]製造用水を供給する装置又はシステム、作業所の空調処理のため装置又はシステムについて、モニタリングを行う項目、場所、時期等を定めて日常の工程管理を実施している場合、定期的な適格性評価は必要か。 |
[答]日常のモニタリングとは別に、定期的に装置又はシステムの適格性及び計測器の校正に問題がないことを確認すること。なお、無菌性及び非発熱性に関わる製造を支援する装置又はシステム等においては、定期的に再バリデーションを実施すること。ただし、設問の場合における「モニタリング」において設備又はシステムの適格性評価の項目をすべて確認し、文書化している場合には、あらためて実施する必要はない。
GMP13―72(製造支援システムのバリデーション) [問]作業所の空調処理のための装置又はシステムのバリデーションに関しては、どの程度の範囲まで実施すればよいか。 |
[答]目的としている「作業所の空調処理のための装置又はシステム」の特性を考慮し、当該「装置又はシステム」により供給される空気が期待される品質を恒常的に保証することができる程度まで実施すること。
バリデーション指針適用特例
GMP13―73(バリデーション指針適用特例) [問]国家検定対象医薬品に係る製品の承認前GMP適合性調査を受けるに当たって、その他の医薬品に係る製品と同様にバリデーションを行う必要があるか。 |
[答]必要である。ただし、バリデーション指針(7)にあるとおり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第43条第1項の規定に基づき検定を要するものとして厚生労働大臣の指定する医薬品等(昭和38年厚生省告示第279号)により中間製品に検定基準が定められている医薬品に係る製品のバリデーションについては、必ずしもバリデーション指針によらず、当該製品の品質リスクを特定し、評価した結果に基づく適切な方法によることは差し支えないとされている。
GMP13―74(バリデーション指針適用特例) [問]あへん系麻薬を原料として使用する医薬品に係る製品については、バリデーション指針(7)に「必ずしも本バリデーション指針によらず、当該製品のリスクを特定し、評価した結果に基づく適切な方法によることは差し支えない」とされているが、具体的にはどのようにすればよいか。 |
[答]
1.あへん系麻薬を原料として使用する医薬品に係る製品については、麻薬及び向精神薬取締法等におけるあへん系麻薬原料の需給の適正管理等の観点から、承認前GMP適合性調査を受けるに当たって実施する製造工程に係るプロセスバリデーションを実施することは求められない。ただし、「適格性評価」については実施すること(「適格性評価」については、類似製品に係る確認結果を参考に操作条件等を設定する方法、物理化学的性質の類似したダミーを用いて操作条件の妥当性を確認する方法等がある。)。
2.製造を支援するシステム、洗浄等の作業といった、あへん系麻薬原料の需給に支障のない製造手順等に係る確認は行うこと。また、製造販売承認後においては、製品品質の照査により工程の安定性及び妥当性を検証すること、コンカレントバリデーションを実施すること等、品質確保上必要と思われる措置をとること。
GMP13―75(バリデーション指針適用特例) [問]苦味チンキ等、生薬のエタノール抽出製剤の日本薬局方に規定する試験検査の項目としては、確認試験及びアルコール数が主なものである。生薬エキス分についての明確な規格値が示されていない医薬品に係る製品の製造工程において、含量の均一性は、どのように評価し判断すればよいか。 |
[答]設問の場合、「アルコール数」とともに、可能な限りエキス含量その他の規格を製造業者等として設定した上で評価を行うこと。なお、得られた製品は局方規格のすべての項目を満たしていること。また、現在の技術水準に照らして生薬エキス分の均一性に係る定量法がない場合には、製品のいずれの箇所を採取して確認試験を実施しても陽性となることを確認することにより検証しても差し支えない。
錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション
GMP13―76(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション) [問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装などの充填から包装までを一貫して行う工程のバリデーションについて、どのように取り扱うのが適切か。 |
[答]性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの取り扱いに関する基本的な考え方は以下のとおりである。
PTP包装を例として以下に記載するが、SP包装もPTP包装と同様の取り扱いである。対象となる工程には、PTP包装機(ブリスター包装機)を用いたPTP充填工程単独の場合も、また、PTP充填工程とピロー包装機、箱詰機(カートニングマシン)等を用いた包装工程を一貫して行う場合も含まれる。
最終製品の品質は、以下の3点からなる。
1.投入する錠剤、カプセル剤等(以下、「錠剤等」)の品質
2.錠剤等の割れ・欠け等の損傷や汚れなど充填状態の品質
3.包装品質(錠剤等が正しい数量充填され、適切にシールされること等)
1.は製剤工程のプロセスバリデーションによって検証され、2.及び3.は適切に設定された充填・包装工程の連続的モニタリングや工程管理によって検証される。
なお、錠剤等が包装機に投入されてから充填が完了するまでの間、工程作業環境下に曝露されることによる製品品質への影響については、安定性評価の結果等に基づいて影響がないことが保証できている必要がある。
錠剤等のPTP包装及びSP包装においては、以下2点の観点が考えられることから、包装形態を含む製品の特性に応じ、製造業者等がプロセスバリデーション実施の必要性を判断することができる。
・充填する製剤等の品質(含量、溶出性等)は製剤化工程で既に確定しており、当該工程の稼働によって時系列的に発生しうる品質リスク(散剤のような製剤を包装する場合の偏析等)が一般的に低いこと。
・当該工程は機械的な要素(成形、シール、スリット、刻印、打ち抜き、検査等)が大きく、また品質が確定した錠剤等を包装容器に充填することが主たる作業であること。
なお、プロセスバリデーション実施の如何にかかわらず、GMP13―78に示す1.~4.について知見等を得ておくことが必要である。
GMP13―77(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション) [問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程の性能適格性評価(PQ)において、実薬や商業生産用の表示がされた包装材料を使用せずに行ってもよいか。 |
[答]GMP13―76に示した考え方及び下記に示す【性能適格性評価(PQ)で使用する製剤及び包装材料の考え方】を踏まえた上で、品質リスクマネジメントに基づき、模擬薬や商業生産用を模した包装材料を用いて性能適格性評価(PQ)を実施することで差し支えない。また、評価する項目によっては、製剤(実薬又は模擬薬)を使用せずに評価することもできる。性能適格性評価(PQ)のロットスケールについては、GMP13―46を参照すること。
【性能適格性評価(PQ)で使用する製剤及び包装材料の考え方】
評価する品質の項目によっては、製剤は実薬の代わりに模擬薬を使用して、又は実薬も模擬薬も使用せずに評価することもできる。但し、実薬と模擬薬の違いにより、製造ライン上で異なる挙動が示される可能性がある部分(例えば、製剤の搬送、充填部分等)については、実薬による評価が望ましい。また、一般的に性能適格性評価(PQ)時に商業生産用の包装材料が整うことは少ないので、商業生産用を模した包装材料を用いる場合が多い。実薬や商業生産用包装材料を使用しない場合は、これらを使用しなくても評価できるとする説明が必要である。
GMP13―78(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション) [問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程の性能適格性評価(PQ)及びプロセスバリデーションの実施スケールもしくは稼働時間は商業生産スケールでないと認められないか。 |
[答]GMP13―76に示した性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの考え方を踏まえ、工程の特性上、標準的な商業生産スケールというのは必ずしも存在しないことから、商業生産のロット(バッチ)スケールに捉われることなく、以下の知見等を根拠として、当該充填・包装ラインが稼働開始(作業開始)から安定稼働に至るまでを少なくとも稼働させて性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションで検証できれば、その稼働時間を超えて連続して長時間稼働させた場合であっても品質を保証できるという考え方を取り入れてもよい。
1.当該製剤の品質特性(安定性評価含む)に関する知見
2.錠剤等の割れ・欠け等の損傷や汚れなど充填状態の品質に関する知見
3.気密性が製剤の品質に大きく影響する場合には、性能適格性評価(PQ)までの段階において評価したSP包装又はPTP包装の気密性に係る包装品質に関する知見
4.当該充填・包装ラインもしくは類似の充填・包装ラインの製造実績等に基づく製造装置の特性に関する知見
但し、性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの結果に基づき、商業生産時の連続的モニタリングもしくは工程管理を実施する項目、方法、又は管理範囲等を特定しておく必要がある。
なお、充填・包装ラインの停止後の再稼働時や包装材料の切り替え時の作業に品質リスクが高まることが予測される場合、そのような作業をワーストケースとして性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーション時に取り込んで検証することは有効な手段である。
前述のような考え方に基づいて実施する場合には、長時間稼働させた場合であっても保証できると判断できるとしたロット(バッチ)スケールもしくは稼働時間を最小限で実施することで差し支えない。
また、性能適格性評価(PQ)等の結果に基づき、商業生産時の連続的モニタリングもしくは工程管理を実施する項目、方法、管理範囲等を特定しておくことで、長時間稼働させた場合であっても表示を含む製品品質を保証できることが科学的に文書で示せるのであれば、プロセスバリデーションは省略できる。
GMP13―79(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション) [問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程の性能適格性評価(PQ)の繰り返し回数は原則3回実施しなければならないのか。 |
[答]GMP13―76に示した性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの考え方及び下記に示す【性能適格性評価(PQ)の繰り返しの考え方】を踏まえ、性能適格性評価(PQ)において必要なロット数は、蓄積した知識や重要なパラメータなどの変動要因に応じて適切に定めることでよい。変動要因の解析に当たっては、必要に応じて統計的手法を活用すること。
【性能適格性評価(PQ)の繰り返しの考え方】
基本的に性能適格性評価(PQ)までの段階において評価した、GMP13―78に示した1.~4.の知見等を根拠として、性能適格性評価(PQ)の繰り返し数を設定する。また、評価する品質の項目によって、繰り返し数を変化させてもよい。
GMP13―80(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション) [問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程について、承認前GMP適合性調査にあたって準備すべき事項はなにか。 |
[答]承認前GMP適合性調査時には、主に以下の項目を準備しておく必要がある。
・充填から包装までを行う工程の適格性評価(OQ、PQ等)
・プロセスバリデーション報告書又はプロセスバリデーションが完了していなくても十分な品質の製品が恒常的に製造できると判断する根拠
・充填から包装までの工程を製造する上で必要な文書(製造手順、工程管理手順等)又はその案
なお、「プロセスバリデーションが完了していなくても十分な品質の製品が恒常的に製造できると判断する根拠」とは、GMP13―78に示した1.~4.の知見及び性能適格性評価(PQ)等の結果に基づき、商業生産時の連続的モニタリングもしくは工程管理を実施する項目、方法、管理範囲等を特定し、長時間稼働させた場合であっても表示を含む製品品質を保証できることを科学的に示すことを指す。
バリデーション(その他)
GMP13―81(バリデーション(その他)) [問]十分確立されている製造工程に対して集積された試験検査結果及び製造記録を統計学的方法等により解析する回顧的バリデーションの考え方は、今後、認められないのか。 |
[答]回顧的バリデーションは、バリデーション基準を導入した際に暫定的に認められたものであり、現在、回顧的バリデーションを行う機会は原則ない。
GMP13―82(バリデーション(その他)) [問]注文生産等製造の都合上、ロットサイズを常に一定とすることが困難である場合、プロセスバリデーションはどのように行えばよいか。 |
[答]通例、ロットサイズの変更は、工程の変動要因、ひいては製品の品質に影響を及ぼしうると考えられることから、変更時のバリデーションを実施する必要がある。まずは、当該製造工程がロットサイズに依存する程度を評価し、ロットサイズに依存しないものの、日常的にロットサイズの変動が見込まれる場合には、予想される最大と最小のロットサイズについてプロセスバリデーション(原則それぞれ3ロット)を実施し、その範囲内においての同等性を確認しておくことにより対応しても差し支えない。なお、ロットサイズに依存する工程においては、ロットサイズの変動幅を限定するか、ロットサイズの範囲をいくつかに分け、それぞれについて運転パラメータを調整するなどした上で、別途プロセスバリデーションを行う必要がある。
GMP13―83(バリデーション(その他)) [問]製造業者Aにおいて製剤バルクの製造を行い、製造業者Bにおいて充填、包装及び表示の工程を行っている場合、①製造業者Bにおいて行う工程のみを他の製造業者に移転する場合、②両製造業者において行う工程を変更することなく製造販売承認の承継を行う場合、のいずれにおいても変更時のバリデーションを行う必要があるか。 |