[答]ISO9001等に基づいた「品質マネジメントシステム」を既に構築、運用している場合においては、その品質マネジメントシステムがGMP省令に規定された医薬品品質システムと比較して十分なものであれば、それを継続することで良い。
GMP3の3―2(製造業者等の責務) [問]複数の製造所を持つ会社においては、製造所ごとに各々の医薬品品質システムを構築する必要があるのか、それとも製薬会社として一つの医薬品品質システムを構築、運用することでもよいか。 |
[答]医薬品品質システムの構築は、会社規模に応じて柔軟に対応することが可能である。製造所として独立した医薬品品質システムを確立してもよいし、複数の製造所を含めて一つの医薬品品質システムとして構築してもよい。ただし、複数の製造所を含めて一つの医薬品品質システムを構築する場合は、製造所ごとに定めるGMP組織図等の他に、全社の医薬品品質システムとしての責任を明確に定める必要がある。
GMP3の3―3(医薬品品質システム) [問]「実効性の有る医薬品品質システムを構築し」とあるが、実効性のある医薬品品質システムとはどのようなものを指すのか。 |
[答]その製造業者等においてGMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインの経営陣のコミットメントに規定される責任を全うするよう品質マニュアル等で定められ、運用されている必要がある。また、定められた品質方針や品質目標、社内体制については、製造業者等から関連する全従業員に周知され、適切な情報伝達システムが整備されていること。医薬品品質システムの設計については、医薬品品質システムの要素(製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングシステム、是正措置及び予防措置(以下「CAPA」という。)システム、変更マネジメントシステム、マネジメントレビュー)として定義されている機能があり、それらがGMP活動を増強し、継続的改善を促進するようになっていること等である。なお、具体的な手順や手法については、製造業者等で適切に設定し運用すること。
GMP3の3―4(医薬品品質システム) [問]「品質方針を文書により定め、当該文書に医薬品品質システムの手続き等の構成要素を示すこと。」とあるが、どのような項目を文書により定める必要があるのか。 |
[答]当該文書は、「医薬品品質システムに関するガイドライン」(平成22年2月19日 薬食審査発0219第1号/薬食監麻発0219第1号)(以下、Q10ガイドラインという。)及びPIC/SのGMPガイドラインにおける品質マニュアルに相当し、以下の項目を含む医薬品品質システムを記述したものである。
・品質方針
・医薬品品質システムの適用範囲
・医薬品品質システムのプロセス並びにそれらの順序、関連性及び相互依存性の特定
・医薬品品質システムの中での製造業者等の責任
なお、品質マニュアルには医薬品品質システムの要素(製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングシステム、CAPAシステム、変更マネジメントシステム、マネジメントレビュー)を含む必要があり、これら要素の基本的考え方を以下に示す。
1.製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングシステム
製造プロセスの稼働性能及び製品品質をモニタリングするシステムを計画し、実行することにより、設定した品質の製品を製造するための製造プロセスの能力及び管理が維持されていることを保証する。
2.CAPAシステム
製品及び製造プロセスの改善並びにより深い理解に結びつくよう、根本原因を特定するために、調査プロセスに対する構造化された取組み。
3.変更マネジメントシステム
提案された変更を知識管理や品質リスクマネジメントの利用、関連する分野の専門家等により適切に評価し、変更実施後に目的が達成されたこと及び製品品質へ悪影響のないことを確認する体系的取り組みにより、変更により意図しない結果にならないことを高度に保証する。
4.マネジメントレビュー
各製品の品質、製造工程の有効性を評価し、製品品質の継続的改善を推進するために実施する製品品質のマネジメントレビュー、及び品質システムの各要素の有効性を評価し医薬品品質システムの継続的改善のために実施する医薬品品質システムのマネジメントレビューの二つがある。製造業者等は、製造プロセスの稼働性能及び製品品質並びに医薬品品質システムの定期的なレビュー結果を評価し、製品品質とそれを保証する仕組みである医薬品品質システムの両面を継続的に改善する。
GMP3の3―5(医薬品品質システム) [問]品質方針について説明してほしい。 |
[答]改正省令公布通知第3の5(1)のほか、策定した品質方針は医薬品に関わる全ての階層の人員に伝達され、理解されなければならないため、掲示、配布、教育等により全員に周知する必要がある。また、品質方針の継続的な有効性について、マネジメントレビュー時等において定期的にレビューし、必要に応じて見直されなければならない。
GMP3の3―6(医薬品品質システム) [問]改正省令公布通知第3の5(1)に、品質方針が含むべき要素の一つとして、「GMP省令の要求事項等を満たす」とあるが、この等には何が含まれるか。 |
[答]等に含まれるものとしては、関連する規制要件及びガイドライン、例えば、法、日本薬局方、生物由来原料基準、ICH通知、PIC/SのGMPガイドライン、国内指針(「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連指針の最新版等)などが考えられる。
GMP3の3―7(医薬品品質システム) [問]製造業者等と製造販売業者が同一法人又はグループ会社の場合、製造販売業者が定めた品質方針を製造業者等として共有してもよいか。 |
[答]よい。
GMP3の3―8(医薬品品質システム) [問]GMP省令に、製造業者等は、製造管理者又は品質保証に係る業務を担当する組織に、品質方針に基づいた製造所における品質目標を定めさせなければならない旨が規定されているが、各部門、各組織で品質目標を定めることでよいか。 |
[答]各部門、各組織において、それぞれの業務に応じた品質目標を設定してもよい。なお、製造管理者又は品質保証を担当する組織は、これらの部署において適切な品質目標が作成されるよう管理すること。
GMP3の3―9(医薬品品質システム) [問]GMP省令に「品質目標を達成する」とあるが、品質目標を達成しているかはどのように判断すればよいか。 |
[答]品質目標の達成度を評価するための一つの手法として、GMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインに「品質目標に対する進捗度を測る業績評価指標」が記載されている。業績評価指標は、KPI(Key Performance Indicator)ともいわれ、品質目標に対する進捗度のモニタリングを目的に設定するものであり、品質目標設定時等に達成度の評価基準を定め、定期的に確認し、マネジメントレビューで報告することになる。KPIに基づき評価した結果、達成できなかった内容とその理由、水平展開が行われていることをマネジメントレビューにて確認、検証し、そこでのコミットメントに基づき、システム及び製品品質を継続的に高めていくPDCAサイクルを回すことである。なお、KPIは可能であれば数値化することにより評価の客観性を増すことができる。
GMP3の3―10(医薬品品質システム) [問]医薬品品質システムを確立し実施するために必要な資源とは何か。また、資源を配分するとは具体的には何をさすのか。 |
[答]資源とは、GMP省令第3条の3第4号において、個人の有する知識及び技能並びに技術、設備その他の製造所における製造管理及び品質管理に活用される資源とされているが、それには例えば、組織及び人員、予算、情報も含み、品質マネジメントシステムの確立、実施、維持及び継続的改善を実現するために必要と考えられるあらゆる経営資源のことである。なお、設備にはソフトウェアが含まれる。資源を配分するとは、マネジメントレビューや上申等に基づき、必要な資源を製造業者等が明確にし、提供することである。
GMP3の3―11(医薬品品質システム) [問]「定期的に医薬品品質システムを照査し」とは、具体的に何を指すのか。 |
[答]「定期的に医薬品品質システムを照査し」とは、Q10ガイドライン及びPIC/SのGMPガイドラインにおけるマネジメントレビューのことをいう。マネジメントレビューとは、医薬品品質システムが継続して適切かつ実効的であることを確認するために定期的に行うものである。製造業者等が製造プロセスの稼働性能及び製品品質並びに医薬品品質システムの定期的なレビュー結果を評価することになる。品質マニュアルにマネジメントレビュー会議の開催頻度、情報のインプット、製造業者等からのアウトプットについて記述すること。マネジメントレビューを確実に実施することも製造業者等の責務である。
インプットの例として以下が考えられる。
1.製品品質の照査結果
・製品品質に関する情報(苦情、回収等)
・工程管理、製品品質管理(トレンド解析を含む)の結果と考察
・変更の有効性評価の結果
2.医薬品品質システムの有効性評価
・苦情管理、逸脱管理、CAPA並びに変更管理の状況
・外部委託作業の状況
・リスクアセスメントの状況
・品質保証に係る業務の適切性
3.医薬品品質システムに影響を与える要因
・新たな規制やガイドラインへの対応
・品質問題(自社内、外部環境)の状況
・ビジネス環境の変化
・開発の状況、技術革新の状況
・承継や特許・商標に関する課題
4.当局の査察結果及び回答の状況、社外監査・自己点検の結果
5.前回のマネジメントレビューからのフォローアップ
アウトプットの例として以下が考えられる。
1.製造プロセス及び製品の改善指示
2.医薬品品質システムの改善指示
3.必要な知識の共有化指示
4.資源配分(見直し)、教育訓練の指示
5.品質目標の改訂指示
6.マネジメントレビュー結果の共有化(効果的な水平展開)
GMP3の3―12(医薬品品質システム) [問]GMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインには、医薬品品質システムの達成のための手法として知識管理があるがこれはどのようなものか。 |
[答]知識管理は、製品、製造プロセス及び構成資材の情報を獲得し、分析し、系統だてた知識として蓄積し、及び伝播するための体系的取り組みであり、その具体的な考え方や方法は、GMP、QMS、GCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究の成果物(知識管理に関する解説資料について(2019年度))として、総合機構のホームページに公表されている。
GMP3の3―13(医薬品品質システム) [問]品質方針、品質目標、品質マニュアル等の変更といった、医薬品品質システムの変更を行う場合、GMP省令第14条に従う必要があるのか。 |
[答]医薬品品質システムの変更に際しては必ずしも第14条に従う必要はないが、その変更が、原料、資材若しくは製品の規格又は製造手順等(承認事項を含む)についてである場合は、第14条に従うこと。
第3条の4(品質リスクマネジメント)関係
品質リスクマネジメント
GMP3の4―1(品質リスクマネジメント) [問]GMP省令第3条の4第2項に品質リスクマネジメントの実施の手続その他の必要な事項に係る文書を作成することが規定されているが、独立した手順書が必要か。 |
[答]独立した手順書を求めるものではないが、品質リスクマネジメントについて定めた文書は必要である。品質リスクマネジメントの実施の手続きその他必要な文書及び記録を作成し、これを保管すること。
GMP3の4―2(品質リスクマネジメント) [問]CAPAを行っているが、品質リスクマネジメントが行われているといえるか。 |
[答]品質リスクマネジメントとは、製品ライフサイクルを通じて、医薬品の品質に係るリスクについてのアセスメント、コントロール、コミュニケーション、レビューからなる系統だったプロセスをいう。CAPAが品質リスクマネジメントの一つではなく、CAPAを含めた品質システムの活動の中でこれらのプロセスを活用するべきである。
GMP3の4―3(品質リスクマネジメント) [問]「品質リスクマネジメントを活用して、医薬品品質システムを構築する」とあるが、品質リスクマネジメントをどのように活用すればよいか。 |
[答]GMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインには、品質リスクマネジメントは、品質に対する潜在リスクの特定、科学的な評価及びコントロールに対して、主体的な取り組みを提供し得るとあり、医薬品品質システムの目的の達成を促進するための手法として定義されている。目的の一つである「管理できた状態の確立及び維持」において、品質リスクマネジメントは、モニタリングシステム及び管理システムを特定することに活用される。他の目的である「継続的改善の促進」においては、継続的改善のための分野を特定し、優先順位付けするために活用される。なお、医薬品品質の様々な側面に適用可能な品質リスクマネジメントのための原則及び手法の例を提供している「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」(平成18年9月1日 薬食審査発第0901004号/薬食監麻発第0901005号)、「「製剤開発に関するガイドライン」、「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」及び「医薬品品質システムに関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について」」(平成22年9月17日審査管理課、監視指導・麻薬対策課事務連絡)、「医薬品品質システムにおける品質リスクマネジメントの活用について」(平成29年7月7日監視指導・麻薬対策課事務連絡)等も参考にすること。
第4条(製造部門及び品質部門)関係
品質部門
GMP4―1(品質部門) [問]GMP省令第4条第3項第1号に規定する品質部門が掲げる「品質保証に係る業務を担当する組織」とは具体的にどのような組織でなければならないか。 |
[答]「品質保証に係る業務を担当する組織」は、品質保証を担う機能として客観性を有し、製造部門からは独立した組織であることが求められる。また、「品質部門」においては、組織の規模及び構造によって、「品質保証に係る業務を担当する組織」と「試験検査に係る業務を担当する組織」とが別々の形態をとる場合や、両組織が単一組織又はグループの形態をとる場合もある。なお、試験検査に係る業務を担当する組織の職員との兼任については、改正省令公布通知第3の7(3)を参照すること。また、その名称については各会社が適切に定めることでよい。組織図については一例を下図に示す。
GMP4―2(品質部門) [問]「品質保証に係る業務を担当する組織」として、本社品質保証部門等をもって代えることは可能か。 |
[答]製造所の組織の中に「品質保証に係る業務を担当する組織」を構成せずに、「品質保証に係る業務を担当する組織」が行うべき業務を本社品質保証部門等に委託することは認められない。ただし、品質保証に係る業務に支障がない限りにおいて、本社品質保証部門等に所属する職員による、製造所の「品質保証に係る業務を担当する組織」の業務の兼任は差し支えない。この場合、本社品質保証部門等に所属する職員の責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。
GMP4―3(品質部門) [問]「品質保証に係る業務を担当する組織」の責任者と「試験検査に係る業務を担当する組織」の責任者は兼任できるか。 |
[答]「品質保証に係る業務を担当する組織」は品質保証を担う機能として客観性が求められることから、両組織の責任者の兼務は避けることが望ましい。ただし、会社の規模等により、両責任者を兼務せざるを得ない場合、各組織の責任者としての業務を明確に区別して実施すること。また、その責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。
GMP4―4(品質部門) [問]医薬品製品標準書及び手順書の作成にあたり、その内容について品質保証に係る業務を担当する組織の確認を受ける必要があるか。 |
[答]必ずしも品質保証に係る業務を担当する組織の確認を受けることは要しないが、GMP省令第5条第1項第3号において、製造手順等が承認事項と相違することがないよう、品質保証に係る業務を担当する組織に管理させることが求められていること等を踏まえ、医薬品製品標準書及び手順書の作成にあたっては、その内容について、品質保証に係る業務を担当する組織の確認を受けることが望ましい。
第5条(製造管理者)関係
製造管理者
GMP5―1(製造管理者) [問]製造管理者が製造部門の責任者又は品質部門の責任者となってもよいか。 |
[答]製造部門の責任者となることは認められないが、管理に支障がない場合には、品質部門の責任者となることは差し支えない。
製造管理者の業務の補助
GMP5―2(製造管理者の業務の補助) [問]製造所の規模が大きくなり、同一敷地内に剤形ごとの棟が分散している場合には、製造管理者を複数任命してもよいか。仮に、一人でなければならないという場合には、製造副管理者(補助者)を複数任命してもよいか。 |
[答]製造管理者は1製造所に1名とすること。規模が大きく製品が多岐にわたる製造所等において、製造管理者が職務を遂行することができない状況が生じうる場合(やむを得ないと認められる場合)を考慮し、補助者を設置しても差し支えない。ただし、補助する業務の範囲、製造管理者への報告方法等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。
製造管理者の業務の代行
GMP5―4(製造管理者の業務の代行) [問]製造管理者が出張、入院等のために不在となる場合に備えて代行者を置いてもよいか。 |
[答]設問の場合、業務に支障がないと認められる場合には、代行者を置いても差し支えない。
ただし、代行者は製造管理者と同等の資格(法第17条第5項に定める資格)を有する者であり、代行者の代行時の責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。なお、不在の期間が非常に長期間にわたる場合には、製造所の業務に支障を生じるおそれがあることから、代行者ではなく、製造管理者の変更を行うこと。
GMP5―5(製造管理者の業務の代行) [問]製造所と本社(法人の主たる事務所)とが離れている製造業者において、製造管理者がその業務等を行うため本社に行くことが多い場合には、代行者を置いてもよいか。 |
[答]設問の場合、業務に支障がないと認められる場合には、代行者を置いても差し支えない。
ただし、代行者は製造管理者と同等の資格(法第17条第5項に定める資格)を有する者であり、代行者の代行時の責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。
GMP5―6(製造管理者の業務の代行) [問]製造管理者が、本社等の業務のために忙しいため、代行者を置いて製造管理者の業務を長期間にわたり全面的に委任することは認められるか。 |
[答]認められない。製造管理者は、製造所を実地に管理する必要がある。製造管理者の変更を行うこと。
GMP5―7(製造管理者の業務の代行) [問]製造管理者の代行者を置いた場合、署名及び記名押印のための印鑑は、当該代行者のものとしてよいか。 |
[答]代行者のものとすること。ただし、代行者の署名又は記名押印に係る責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。
第6条(職員)関係
職員
GMP6―1(職員) [問]社内組織上、資材保管部門は製造部門に属していなくてもよいか。 |
[答]製造のための資材保管行為についてもGMP省令の適用対象であり、それを行う部門は、GMP上は製造部門に含まれなければならない。なお、GMP省令第6条第4項の製造所職員の責務及び管理体制は、「社内組織」と名実ともに一致していることが望ましいが、GMP省令に規定する管理を適正に実施することができ、相互の関係が明らかにされていれば、必ずしも「社内組織」と名称等とが一致していなくても差し支えない。
GMP6―2(職員) [問]GMP省令第6条の「責任者」とは、具体的にどのような者を指すのか。 |
[答]責任者とは、製造・品質関連業務を適切かつ円滑に実施するために、製造業者等がその製造所の規模及び業務の種類等に応じて置くものであり、製造部門の責任者、品質部門の責任者の他、改正省令公布通知に示されている各業務の責任者(例:バリデーションの責任者等)が含まれる。製造業者等が法人である場合には、当該法人の代表者を含む薬事に関する業務に責任を有する役員の主導により、資源の確保、マネジメントレビューによるGMP体制の確認といった業務を通じ、適切な責任者が業務に従事する体制を確保することが求められる。
GMP6―3(職員) [問]品質保証に係る業務の責任者は、どのような者が適切か。 |
[答]品質保証に係る業務の責任者は、品質保証に係る業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する必要がある。そのため、製造・品質関連業務又はGQP省令における品質管理業務等の知識、適切な理解力と判断力を有し、品質保証に係る業務に精通していることが求められる。
第7条(医薬品製品標準書)関係
医薬品製品標準書一般事項
GMP7―1(医薬品製品標準書一般事項) [問]GMP省令第7条に、製造業者等は医薬品に係る製品に関し医薬品製品標準書を作成し保管することとされているが、医薬品製品標準書の新規作成時又は改訂する都度製造業者等が行わなければならないのか。 |
[答]製造業者等(法人の場合には法人として)の管理下において作成され運用されることを求めており、新規作成又は改訂時については、GMP省令第20条の規定を踏まえた文書管理方法に従って、GMP省令第6条第4項の文書により権限を与えられた者(組織等)が行うことで差し支えない。GMP省令第8条の手順書についても同様である。なお、医薬品製品標準書については、品質部門の承認を受けることが必要であり、その他の手順についても、製品の品質に影響を及ぼす内容については品質部門の確認を得て、文書とすること。
GMP7―2(医薬品製品標準書一般事項) [問]承認前のGMP適合性調査を受けるときにGMP省令に規定する手順書等を作成しておく必要があるが、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の作成においては、資材に関する事項についても規定しておかなければならないのか。 |
[答]承認前のGMP適合性調査を受けるときまでには、容器、被包及び表示物の規格及び試験検査の方法といった資材に関する事項を調査申請に係る製品の医薬品製品標準書にあらかじめ記載しておく必要がある。ただし、資材のうち表示物を取り扱う製造所においては、承認前のGMP適合性調査を受けるときはその時点において規定されているべき事項が記載された医薬品製品標準書の案(品質部門のチェックを受けておくものとすること。)を提示すればよいが、表示事項等は製造販売承認により規定されたものを医薬品製品標準書に記載することとなることから、製造販売承認後ただちに確定させること。
成分及び分量
GMP7―3(成分及び分量) [問]日本薬局方製剤総則の注射剤の項に、「本剤で水性溶剤を用いるものは、血液又は体液と等張にするため、塩化ナトリウム又はそのほかの添加剤を、また、pHを調節するため、酸又はアルカリを加えることができる。」とある。日本薬局方の注射剤に係る製品の医薬品製品標準書において、製造販売承認(届出)書に記載がなくてもこれらのものを添加することとしてよいか。日本薬局方外の注射剤に係る製品についてはどうか。 |
[答]いずれの場合にも、製造販売承認(届出)書に記載がなければ添加することは認められない。
GMP7―4(成分及び分量) [問]製造販売承認(届出)書の「成分及び分量又は本質」欄に「日局○○○」として記載されている成分が引き続き改正後の日本薬局方においても収載された場合、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」については、旧薬局方の基準によるのか、又は新薬局方の基準によるのか。「別紙規格○○○」と記載されている成分が改正後の日本薬局方に新たに収載されたときはどうか。さらに公定書以外のものに収載されたときはどうか。 |
[答]日本薬局方の改正に伴う取扱い等に係る通知に基づいて取り扱うこと。公定書(日本薬局方、生物学的製剤基準及び放射性医薬品基準)以外のもの、具体的には、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、日本薬局方外生薬規格、体外診断用医薬品原料規格、殺虫剤指針、食品添加物公定書、医薬部外品原料規格等についても、公定書に準じて成分規格を記載することができる場合もあるが、この場合には、公定書にも同様のものが収載されているか否か、申請医薬品の投与経路、使用目的等を考慮し、適切な規格であるか考慮する必要がある。
GMP7―5(成分及び分量) [問]漢方のエキス製剤に係る製品に関する医薬品・医薬部外品GMP省令第7条の製品標準書の記載事項としての一部改正施行通知第3章第3の7(4)キの「製造方法及び製造手順」において、規格に適合する生薬を原料として用いたにもかかわらず製品の主成分の含量が不足しているときは製造販売承認(届出)書に記載のない成分を不足分に相当する量添加することは認められるか。 |
[答]認められない。
GMP7―6(成分及び分量) [問]製造販売承認(届出)書の「成分及び分量又は本質」欄に、規格として日本薬局方○○○と記載されているとき、当該医薬品に係る製品に関するGMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」及びオ「製造方法及び製造手順」において、日本薬局方の規格には合致するが「日本薬局方」の表示のない原料を使用してもよいか。 |
[答]「日本薬局方」の表示のあるものを優先して使用すること。なお、やむを得ず「日本薬局方」の表示のない原料を使用する場合には、日本薬局方の規格と同等以上のものであることを確認し、必要に応じて追加の規格及び試験検査の方法を設定するなど、原料の品質の確認を慎重に行った上で使用すること。なお、他の公定書規格とされた原料についても同様の対応を行うこと。
規格及び試験方法
GMP7―7(規格及び試験方法) [問]漢方のエキス製剤に係る製品の製造原料として用いる生薬について、当該製品に関するGMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」において、品質管理上どのような点に留意すべきか。 |
[答]生薬たる原料については、日本薬局方の規格、日本薬局方外生薬規格、製造販売承認(届出)書別紙規格等について試験検査を行うとともに、製造業者等は生薬の特性、形態(刻み、粉末等)から判断して、必要に応じて以下の項目を設定し試験検査を実施すること等により、適切な品質の生薬を用いるよう留意すること。
1.性状試験(外観、鏡検等)、確認試験、定量試験等
2.切断生薬の粒度試験
3.鑑定試験
4.純度試験(異物、残留農薬試験、重金属試験、ヒ素試験、アリストロキア酸試験)
5.その他必要な試験
(1) 日本薬局方、日本薬局方外生薬規格、製造販売承認(届出)書別紙規格以外の成分、エキス含量、乾燥減量、灰分及び酸不溶性灰分試験等
(2) 生薬の処理法や修治法の確認
(3) 生薬個々の特性を踏まえた試験(微生物限度試験、アフラトキシン試験、生薬末における粉体物性試験、茜草根(茜根、茜草等と呼ばれるものを含む)のlucidin及びlucidin‐3‐O‐primeverosideに関する試験)等
GMP7―8(規格及び試験方法) [問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書に、改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」、イ「容器の規格及び試験検査の方法」又はエ「表示物(最終製品にあっては、販売名及び一般的名称、成分及び分量、用法及び用量、効能又は効果並びに使用上の注意又は取扱上の注意等の所要事項が記載されるもの)の規格及び仕様」として原料又は資材に関する規格及び試験検査の方法を記載するとき、当該原料又は資材について、それらの供給者から製造方法に関する情報を入手する必要性について示してほしい。 |
[答]原料等、他工場において製造されるものについては、その製造に関する情報の入手に努めることが、自らの製造所において製造される製品の品質確保上重要である。特に、原料の製造方法に関する情報については原料の品質とも深い関係があるので把握するようにすること。それが変更されたことが明らかな場合には、必要に応じて追加の規格及び試験検査の方法を設定し、原料の品質の確認を慎重に行う等適切な変更管理を行う必要がある。
GMP7―9(規格及び試験方法) [問]ある製品の製造工程において、例えば溶媒等、当該製品の製造販売承認(届出)書の製造方法欄にのみ記載された、製品の成分に該当しない原料を用いる場合の、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の作成における注意事項について示してほしい。 |
[答]設問の場合の原料について、医薬品製品標準書の記載も、製品の成分に該当する原料に準じたものとするとともに、製造工程中において使用した当該原料の残留に留意すること。なお、製造方法欄に具体的な方法の記載が求められていない一般用医薬品等についても、製品の成分に該当しない原料を用いる場合には同様の措置をとること。
GMP7―10(規格及び試験方法) [問]改正後の日本薬局方の一般試験法に合わせるために製造販売承認事項の一部を変更することが製剤の改良等になると判断される場合、GMP省令第7条の医薬品製品標準書に当該変更を反映し、承認当時の日本薬局方の一般試験法では不合格と判定されても当該変更後の試験方法により合格と判定されたとき合格としてもよいか。 |
[答]認められない。GMP省令第11条第1項第8号に従い、所要の措置をとること。なお、設問の事例において、改正後の日本薬局方に定める一般試験法に適合させるため、製造所において製造販売承認事項の一部を変更すべきと判断する場合には、日本薬局方の改正に伴う取扱い等に係る通知に従うとともに、あらかじめ一部変更承認等の申請(該当する場合には軽微な変更の届出)を行うよう製造販売業者に連絡すること。
GMP7―11(規格及び試験方法) [問]入荷した粗原料を更に精製して、得られたものを製品(製剤)の原料として規格及び試験検査の方法を規定する場合、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①オ「製造方法及び製造手順」において、当該原料をとり出すことなく粗原料の精製から製剤化までを一貫して行う製造方法を記載することは認められるか。 |
[答]設問の場合の「粗原料」についても、あらかじめ試験検査を行い、適正なものであることを確認した上で受け入れること。製造販売承認(届出)書にそのような一貫の製造方法が明記されている場合には認められる。
GMP7―12(規格及び試験方法) [問]製造販売承認(届出)書の「規格及び試験方法」欄の性状の項に、適否の判定基準としない参考情報と記載しているものについては、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において試験検査を行わなくてもよいか。 |
[答]製品の品質に与えるリスクを考慮して試験検査を実施するかどうか判断すること。
GMP7―13(規格及び試験方法) [問]原薬たる医薬品に係る製品の製造工程における中間体について、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①オ「製造方法及び製造手順(工程内検査、中間製品の規格及び試験検査の方法並びに品質リスクを特定し、評価した結果に基づいて当該規格及び試験検査の方法の妥当性を示す根拠を含む。)」においてどのような項目を設定すればよいか。 |
[答]一概に決められるものではないが、設問の場合には、「中間体」が製造されるまでの工程能力及び原薬たる医薬品に係る製品の品質への影響を評価し、原薬たる医薬品に係る製品の品質を管理できる項目をリスクに応じて適切に設定すること。
GMP7―14(規格及び試験方法) [問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書において、中間製品についてはどのような試験検査を実施する必要があるか。 |
[答]中間製品の規格及び試験検査の方法が製造販売承認(届出)書若しくは公定書において定められていない場合においては、改正省令公布通知第3の10(3)①ア及びイ(ウ)のとおり、管理上必要なものとして自主的に設定することとし、当該規格及び試験検査の方法並びに品質リスクを特定し、評価した結果に基づいて当該規格及び試験検査の方法の妥当性を示す根拠を医薬品製品標準書にあらかじめ明記した上で実施すること。
GMP7―15(規格及び試験方法) [問]製品の品質確保のために用いるガス類、例えば、封入用の窒素ガスの規格及び試験検査は、GMP省令第7条の医薬品製品標準書においてどの程度規定する必要があるか。 |
[答]これらのガス類の試験検査等は、製品の品質に及ぼしうる影響を勘案して規定すること。
GMP7―16(規格及び試験方法) [問]製造販売承認(届出)書の「成分及び分量又は本質」欄において、成分の規格として日本薬局方の規格を準用する旨規定されているが、その後の日本薬局方の改正により当該成分が日本薬局方から削除されたとき、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において、当該改正前に収載されていた規格をそのまま書き下して使い続けてもよいか。 |
[答]日本薬局方の改正に伴う取扱い等に係る通知に従うこと。なお、必要に応じて、速やかに一部変更承認等の申請(該当する場合には軽微な変更の届出)を行うよう製造販売業者に連絡すること。
製造方法及び製造手順
GMP7―17(製造方法及び製造手順) [問]原薬たる医薬品に係る製品の製造工程で、後続ロットの製造に再使用するために溶媒を回収(リカバリー)することについて、GMP省令第7条の医薬品製品標準書に規定する場合の留意点を示してほしい。 |
[答]製造販売承認(届出)書の記載事項を踏まえて、製造方法等を品質保証に係る業務を担当する組織が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記の上、その範囲内で行うこと。回収した溶媒については、使用する工程など、使用目的に応じた規格を設定すること。再使用を行う前又は新規の規格適合溶媒と混合する前に、回収した溶媒が規格に適合することを保証するためにバリデートされた回収工程をモニタリングし、管理すること。再使用する溶媒又は混合後の溶媒が使用されるすべての製造工程において適合であることを証明するために適切な試験検査を行うこと。溶媒の再使用及び新規の規格適合溶媒との混合について、製造記録を適切に作成すること。設定した試験法では検出できない予期せぬ不純物の蓄積による製品品質への悪影響を予防するために、適切に回収の回数や使用できる期間を設定することにより定期的に回収溶媒を廃棄し縁切りを行うことを考慮すること。回収溶媒の使用にあたっては、交叉汚染防止の観点等から、使用する工程のリスクを踏まえ、細心の注意を払う必要がある。特に回収施設を他社と共用する場合には、交叉汚染防止の観点に留意すること。
GMP7―18(製造方法及び製造手順) [問]顆粒製剤に係る製品の製造工程においては、例えば、粒度の大きいものと小さいものとが仕掛りとして残るが、GMP省令第7条の医薬品製品標準書においてそれらを次のロットに混合することと定めてもよいか。 |
[答]混合後の製品の品質が確保されることが適切なバリデーションにより確認されていることが必要である。仕掛り残の混合量の上限と混合の回数がバリデートされており、それが医薬品製品標準書に記載されている場合には認められる。この場合、仕掛り残の添加をするロット数を規定し、継続したロット混合にならないよう定めること。
標準的仕込み量
GMP7―19(標準的仕込み量) [問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書に記載する事項のうち、改正省令公布通知第3の10(3)①カの「秤量、調製、充填等の作業における標準的仕込み量及びその妥当性を示す根拠(GMP省令第13条に規定するバリデーションの結果等)」については、どのように考えればよいか。 |
[答]医薬品製品標準書に記載すべき「標準的仕込み量」とは、製造過程におけるロスを踏まえ、最終製品が製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」に記載された成分・分量に合致するものとなるように定めた仕込み量を指す。また、原薬については製剤化工程において純度(含量、力価)を踏まえてロットごとに原薬の仕込み量の補正を行う場合には、補正が行える範囲、条件を医薬品製品標準書に記載する必要がある。
一方、「妥当性を示す根拠」とは、「標準的仕込み量」(上記補正を行う場合には、補正が行える範囲、条件も含む)の妥当性を示す根拠のことであり、製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」及び「規格及び試験方法」の記載に合致する製品を恒常的に製造できることを示すデータが該当する。具体的には、試作やスケールアップ時の技術検討、バリデーション等のデータに加え、製造販売承認書の「規格及び試験方法」を満たすことのみでは証明できない、溶出プロファイルや不純物プロファイルと言った、治験薬と商業生産スケールで製造した当該医薬品との品質の一貫性を示すデータ等が挙げられる。ただし、品目の特性、標準的仕込み量を設定する成分の含有目的、物性等により必要となるデータは異なることとなる。
GMP7―20(標準的仕込み量) [問]製造工程におけるロス(バグフィルターからの原薬たる医薬品の抜け、集塵、設備への付着等)の増加等、製造過程における突発的な問題が生じた際、医薬品製品標準書において定められた標準的仕込み量から仕込み量を変更してよいか。 |
[答]突発的な問題について、GMP省令第15条の規定に従って逸脱の管理を行うこと。逸脱の是正措置又は予防措置として、仕込み量を変更する場合には、当該変更はGMP省令第14条第1項第2号に示す製品品質若しくは承認事項に影響を及ぼす場合又はそのおそれがある場合に合致する可能性が高いことから、変更の際には一部変更承認申請(該当する場合には軽微な変更の届出)の必要性について製造販売業者に事前に連絡し、確認を受けること。
GMP7―21(標準的仕込み量) [問]製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」に「微量」と記載してある成分については、加えない場合も含むと考え、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において加えないことと規定してもよいか。 |
[答]加えないことは認められない。
GMP7―22(標準的仕込み量) [問]製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」に「適量」と記載してある成分について、GMP省令第7条の医薬品製品標準書にはどのように記載すればよいか。 |
[答]原則として加えるべきものとして記載する必要があるが、例えば製造販売承認書にpH調節剤「適量」とあるときは加えない場合もあると医薬品製品標準書に記載しても差し支えない。なお、製造販売承認申請書において「適量」と記載することができる成分の種類及び具体的な成分名については、「医薬品の承認申請書の記載事項について」(平成12年2月8日医薬審第39号)に記載されており、この中で「pH調整剤及び錠剤の糖衣剤については、複数の成分についてその分量を「適量」と記載して差し支えない」とされている。また、「適量」または「微量」と記載された成分の配合量、製造方法等について承認申請書の記載範囲内で変更を行う際には申請者の責任において変更内容の妥当性を裏付ける資料を作成し、保存しておくことも示されており、製造業者等においては「適量」または「微量」と記載されている成分について上記変更を行う際には、申請者たる製造販売業者に連絡をし、必要な資料を提供すること。
GMP7―23(標準的仕込み量) [問]注射剤に係る製品の製造に係るGMP省令第7条の医薬品製品標準書において、pHを製造販売承認書の規格又は示性値の範囲内に保持するために、一般的に用いられているpH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)を新たに添加してもよいか。 |
[答]新たに添加する場合には、一部変更承認等の申請を行うよう製造販売業者に相談すること。
その他
GMP7―24(その他) [問]製剤バルクの製造から小分け包装までの製造工程を行う製造所において、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①キの「製品の保管条件及び有効期間又はリテスト日並びにそれらの妥当性を示す根拠(安定性試験の結果等)」の有効期間の起算は、次のいずれの時点とすべきか。 1) 製剤バルク製造作業日 2) 製剤バルク試験合格日 3) 小分け包装作業日 4) 製品試験合格日 |
[答]有効期間の記載は、製造作業日を起点とすることが多いが、一概に決めることは困難である。いずれの場合においても、有効期間においては品質を保証することができるように、安定性試験結果等により定めることが必要である。
GMP7―25(その他) [問]製品標準書に「用法及び用量」及び「効能又は効果」記載する場合、製造販売承認(届出)書の写しを引用し添付することとしていることが多いが、この他添付文書を引用し添付することとしてもよいか。 |
[答]必要事項がすべて記載されているものであれば差し支えない。ただし、引用し添付しているものに変更、差替え等があった場合にも、製品標準書の改訂としてあらかじめ品質部門の承認を得るものとすることが必要である。
GMP7―26(その他) [問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア及びイの(イ)の公定書又は規格集の試験検査法に代わる試験方法の根拠について留意する点は何か。 |
[答]日本薬局方の通則の規定を参考として、真度、精度、特異性、範囲等についての根拠を、目的に応じて確認する必要がある。例えば、特異性が同一の場合には、平均値に差がなく、標準偏差が同等又はより小さいことを確認する必要がある。
なお、製品の品質に疑義が生じた場合は、合否の判断は、製造販売承認(届出)書に参照している公定書又は規格集に規定の試験方法をもって行われた結果によることを、品質保証に係る業務を担当する組織が確認し、手順書等にあらかじめ明記しておくこと。
GMP7―27(その他) [問]原薬たる医薬品に係る製品の製造において、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において、改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」として原料の受入れ時の試験検査を規定する必要があるか。 |
[答]あらかじめ規定しておく必要がある。
GMP7―28(その他) [問]改正省令公布通知第3の10(3)①キの「それらの妥当性を示す根拠(安定性試験の結果等)」とは、製造販売承認申請時に提出した安定性試験資料等が引き続き根拠となっており、適切なものであれば、それを引用し添付することをもって足りるものと解釈してもよいか。 |
[答]承認申請時において安定性試験の途中であった場合には、承認時までに引き続き実施し提出した試験の成績、また、承認後に安定性に関する試験を行った場合には、その結果等についても対象とすること。「安定性試験ガイドラインの改定について」(平成15年6月3日医薬審発第0603001号)等を参照すること。
GMP7―29(その他) [問]製造販売承認(届出)書又は公定書若しくは規格集において有効期間又はリテスト日の規定がなく、かつ安定性試験のデータがない製品については、3年間以上保存されていた参考品を試験し、その結果に経時変化が認められなかった場合、当該試験の結果を安定性試験に代えてGMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①キ「製品の保管条件及び有効期間又はリテスト日」として、医薬品製品標準書に記載してもよいか。 |
[答]原則として安定性試験を実施する必要がある。ただし、安定性試験データのない古い製品の場合には、参考品が「適切な保存条件」下において適正に保管されていたものであれば、設問のような方法によるほか、安定性モニタリングの結果を利用する方法によっても差し支えない。なお、経時変化が認められた場合には、あらためて安定性試験を実施し、必要な措置をとる必要がある。
GMP7―30(その他) [問]改正省令公布通知第3の10(3)③ウにおいて「当該製品に係る製造販売業者が製造業者又は外国製造業者と取り決めた事項の内容(なお、GMP調査実施者の求めに応じて、当該取決め文書の写しを提示できるようにしておくことが求められる。)」とされているが、製造販売業者との取り決めにおいて留意すべき事項は何か。 |
[答]GMP省令においては、第14条、第15条等に製造販売業者への対応が必要な事項が規定されており、製造販売業者との取決めは製造所の製造管理及び品質管理においても重要な要素となるので、製造業者等としても積極的に製造販売業者との取決め内容を確認し不備が生じないように整備することが必要である。なお、医薬品製品標準書に「取決め文書の写し」を添付または紐づけておくことが必要である。
第8条(手順書等)関係
手順書
GMP8―1(手順書) [問]GMP省令第8条第1項の「手順書」については、製造管理及び品質管理を適正に実施することができる手順が作成されていれば、各々を個別の手順書として作成しなくてもよいか。また、手順書の名称も各製造業者等の定めに従ってよいか。 |
[答]GMP省令第20条に基づく文書の管理(GMP20―1等を参照)が適切になされることを前提とし、当該手順を実施するすべての職員にとって内容が明瞭で分かりやすく(必要かつ適切な場合には教育訓練を受けていることを前提とするものでも差し支えない。)、当該手順が確実に実施されることを確保するものであれば差し支えない。ただし、GMP省令に規定された手順がそれぞれどこに記載されているか分かるようにしておくこと。なお、製品の品質に影響を及ぼす内容については、品質部門の確認を得ること。
GMP8―2(手順書) [問]GMP省令第8条第1項に、製造所ごとに、文書を作成するとあるが、例えば製造所内において製造部門に係る手順と品質部門に係る手順とを個別に規定してもよいか。 |
[答]GMP省令第20条に規定する文書管理その他製造管理及び品質管理に支障のない限りにおいて、差し支えない。
手順書の備付け
GMP8―3(手順書の備付け) [問]GMP省令第8条第1項に「手順書を作成し、これを当該製造所に適切に備え置かなければならない」とあるが、製造所ごとに作成せず、製造業者等として統一的な手順に関する文書を1つ作成し、それを各製造所に設置することでもよいか。 |
[答]製造所ごとに適切に対応することができているのであれば差し支えない。ただし、各製造所の実情に見合ったものが必要であり、そのような手順書が当該製造所に設置されていること。
構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項
GMP8―4(構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項) [問]手順書に、GMP省令第8条第1項第1号の構造設備及び職員の衛生管理に関する手順を記載する上での注意事項及び一般的な様式を示してほしい。 |
[答]
1.構造設備及び職員の衛生管理に関する手順は、GMP省令、改正省令公布通知等に示された内容のうち関係するものがすべて盛り込まれた、各製造所の実情に見合ったものを規定すること。
2.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)「構造設備の衛生管理に関する手順」には、以下の事項も含めておくこと。
(1) 手順の対象となる構造設備のリスト
(2) 手順を実施する上での責任の割当て
3.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)「構造設備の衛生管理に関する手順」の「間隔」として、記載すべき事項は、例えば以下のような事項が含まれる。
(1) 清浄を確保すべき構造設備の清浄化のスケジュール及び、必要に応じ、殺菌消毒作業(サニタイゼーション)のスケジュールの策定
(2) 使用までの間における清浄化済の構造設備の汚染防止措置
(3) 必要に応じ、使用した構造設備の清浄化までの最長許容時間及び構造設備の清浄化実施後の清浄の有効期間
(4) 同一製品の継続的製造又は期間を限定した製造を行う場合であっても、汚染物質の生成及びそのキャリーオーバーを防止するために必要な、適切な間隔での清浄化(原薬たる医薬品に係る製品の製造においては、不純物プロファイルに悪影響を及ぼしうるような分解物又は微生物汚染のキャリーオーバーの原因とならないようにすること。)
4.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)((ア))「構造設備の清掃、保守、滅菌等に関する手順」としては、例えば以下のような事項が含まれる。
(1) 職員が効果的で再現性のある方法により清掃、保守、滅菌等を行うために必要な手順
(2) 必要に応じ、構造設備の各部品の分解及び組立ての手順
(3) 先行ロットの表示の除去又は抹消の手順
(4) 残留物又は汚染物に応じた清浄化の手順及び洗浄剤の選択方法
5.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)((イ))「清浄化に関する手順」及び((ウ))「清浄度の維持管理に関する手順」としては、例えば以下のような事項が含まれる。
(1) 残留物の判定基準
(2) 可能な場合には、構造設備の使用前の清浄度に係る検査