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○GMP事例集(2022年版)について

(令和4年4月28日)

(事務連絡)

(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課通知)

標記について別添のとおり取りまとめましたので、貴課におかれましてはGMPの円滑な実施に資するようお願いいたします。また、本事務連絡をもって「GMP事例集(2013年版)について」(平成25年12月19日厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課事務連絡)を廃止します。また、GMP事例集(2013年版)に掲載されていたQ&Aの内、製造業の許可・認定・登録に係る事項については、別途厚生労働省医薬生活衛生局・医薬品審査管理課が発出する事務連絡をご参照ください。

なお、本事例集の写しについて、別記の関係団体あて送付することを、念のため申し添えます。

(別記)

日本製薬団体連合会

日本製薬工業協会

日本ジェネリック製薬協会

日本医薬品原薬工業会

公益社団法人東京医薬品工業協会

関西医薬品協会

日本OTC医薬品協会

一般社団法人日本薬業貿易協会

米国研究製薬工業協会 在日執行委員会

在日米国商工会議所 製薬小委員会

欧州製薬団体連合会

欧州ビジネス協会 化粧品・医薬部外品委員会

別添

GMP事例集(2022年版)

総則

・本事例集は、あくまでも医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令及び薬局等構造設備規則(GMP関連)に関する具体的な運用を取りまとめたものであり、本事例集に記載された運用を参考にすることで、製造販売承認に関する事項、製造販売業許可、製造業許可(認定)・登録等において必要とされる申請や、届け出等、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)及びその他法令に規定された諸所の手続きを要さないとは解せないことに留意すること。

一般的留意事項

・製造販売業許可、製造業許可(認定)・登録及び製造販売承認に関する事項(薬事手続きの要否等を含む)と、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令及び薬局等構造設備規則(GMP関連)以外の事項については、それぞれの通知等を参照すること。

・本事例集に掲げる事例はGMPに係るものではあるが、特に定めのない限り、医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令の規定に基づく取決め等を行って、製造販売業者(法第19条の2第4項に規定する専任外国製造医薬品等製造販売業者を含む。以下同じ。)と、製造業者及び外国製造業者(以下「製造業者等」という。)が適切に連携して対処することを前提としているものであること。

・本事例集に掲げる事例はGMPの運用上の参考事例を示したものであり、実際の運用においては、各社主体的に判断しリスクに応じて対応するべきであること。

・なお、国際整合性の観点、今後新たに得られる知見及び通知の発出等により、適宜見直されるものであること。

[用いた略語]

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

(昭和35年法律第145号)

施行規則

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)

GMP省令

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令

(平成16年厚生労働省令第179号)

GQP省令

医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号)

構造設備規則

薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号)

改正省令公布通知

医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の一部改正について(薬生監麻発0428第2号令和3年4月28日)

施行通知

薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う医薬品、医療機器等の製造管理及び品質管理(GMP/QMS)に係る省令及び告示の制定及び改廃について

(薬食監麻発第0330001号平成17年3月30日)

目次

第1部「薬局等構造設備規則」(GMP関連)関係事例

第6条(一般区分)関係2

一般区分製造所の構造設備

試験検査設備

第7条(無菌区分)関係

無菌区分製造所の構造設備

第8条(特定生物由来医薬品等)関係

特定生物由来医薬品等製造所の構造設備

第10条(包装等区分)関係

包装等区分製造所の構造設備

第2部「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」関係事例

一般的事項

サイトマスターファイル

第2条(定義)関係

原料の定義

計器の校正の定義

中間製品の定義

その他

資材の定義

ロットの定義

ロット構成

ロット構成(原料)

ロットの混合等

ロットと製造番号等

管理単位

是正措置及び予防措置

第3条の2(承認事項の遵守)関係

承認事項の順守

第3条の3(医薬品品質システム)関係

医薬品品質システム

第3条の4(品質リスクマネジメント)関係

品質リスクマネジメント

第4条(製造部門及び品質部門)関係

品質部門

第5条(製造管理者)関係

製造管理者

製造管理者の業務の補助

製造管理者の業務の代行

第6条(職員)関係

職員

第7条(医薬品製品標準書)関係

医薬品製品標準書一般事項

成分及び分量

規格及び試験方法

製造方法及び製造手順

標準的仕込み量

その他

第8条(手順書等)関係

手順書

手順書の備付け

構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項

構造設備及び職員の衛生管理

製造工程、製造設備、原料、資材及び製品の管理に関する手順一般事項

試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順一般事項

試験検査設備器具の点検整備及び計器の校正

標準品等

文書及び記録の信頼性(完全性)の確保

第9条(構造設備)関係

原薬たる医薬品に係る製品の製造所の構造設備

作業室の洗浄度

作業室の構造設備

人及び物の動線

飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等

設備の共用

交差汚染防止に関する教育訓練

製造用水に関する構造設備

第10条(製造管理)関係

製造指図書

製造記録

受入れ及び保管

保管

保管記録及び出納記録

衛生管理記録

校正記録

品質保証に係る業務を担当する組織への報告

その他

第11条(品質管理)関係

試験検査

他の試験検査機関

試験検査の一部省略等

その他

計器の校正及び設備の管理

検体の採取

検体及び標準品の管理

試験検査記録

参考品保管

参考品及び保存品の出納の記録

保存品保管

規格外結果

MRA等特例

第11条の2(安定性モニタリング)関係

安定性モニタリング

第11条の3(製品品質の照査)関係

製品品質の照査

第11条の4(原料等の供給者の管理)関係

原料等の供給者の管理

第11条の5(外部委託業者の管理)関係

外部委託業者の管理

第12条(出荷管理)関係

製造所からの出荷の可否の決定

第13条(バリデーション)関係

バリデーションの目的

バリデーションマスタープラン

バリデーション責任者

バリデーション計画書等

適格性評価

プロセスバリデーション

継続的工程確認

洗浄バリデーション

再バリデーション

変更時のバリデーション

製造支援システムのバリデーション

バリデーション指針適用特例

錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション

バリデーション(その他)

第14条(変更の管理)関係

変更管理

第15条(逸脱の管理)関係

逸脱管理

第16条(品質情報・品質不良等の処理)関係

品質情報等

品質情報の処理

第17条(回収等の処理)関係

回収の範囲

回収等の処理

不適とされた製品及び資材保管

第18条(自己点検)関係

自己点検

第19条(教育訓練)関係

教育訓練

第20条(文書及び記録の管理)関係

文書等の管理

コンピュータの利用等

第21条(原薬たる医薬品品質管理)関係

原薬たる医薬品の参考品保管

原薬たる医薬品のリテスト日

第21条の2(安定性モニタリング)関係

原薬たる医薬品の安定性モニタリング

第22条(文書及び記録の保管)関係

文書及び記録の保管

第23条(無菌医薬品の製造所の構造設備)関係

無菌医薬品の製造所の構造設備

第24条(無菌製造管理)関係

無菌医薬品に係る製品の製造管理

清浄度の基準及び測定法

第25条の2(生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書)関係

生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書一般事項

第26条(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)関係

生物由来医薬品等の製造所の構造設備

第27条(生物製造管理)関係

生物由来医薬品等に係る製品の製造管理

第28条(生物品質管理)関係

生物由来医薬品等に係る製品の品質管理

第29条(生物教育訓練)関係

生物教育訓練

第30条(文書及び記録の保管)関係

生物文書等保管

第32条(医薬部外品)関係

GMP適用医薬部外品

第1部「薬局等構造設備規則」(GMP関連)関係事例

第6条(一般区分)関係

一般区分製造所の構造設備

BFR6―1(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第3号の規定に関し、「便所及び更衣を行う場所」は、どこに設置する必要があるのか。

[答]「便所及び更衣を行う場所」は製造所内に設置する必要があるが、施行通知第2章第2の1(7)及び(8)に示されるとおり、便所は、前室、通路等により、作業室と隔てられているものである。更衣を行う場所は必ずしも更衣のための専用の室の設置を求めるものではない。また、便所及び更衣室には手洗い設備及び衛生管理を考慮した適切な設備を設置すること。

BFR6―2(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第4号イに、作業所は照明が適切であることと規定されている。原薬たる医薬品に係る製品の最終精製前の製造工程を行う作業所において、例えば、採光により照度を確保することができる場合も、照明に係る設備器具の設置が必要となるか。

[答]採光も含め、作業の種類に応じてその作業に支障がないように必要な照度を確保できるようにしておくこと。

BFR6―3(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第4号ニの規定に関し、原薬たる医薬品に係る製品の製造において用いられる反応釜、ろ過器及び晶出釜は「密閉構造」と考えてよいか。

[答]一般的には「密閉構造」と考えて差し支えない。ただし、例えば種晶投入等の作業中に蓋を開ける際には汚染防止に配慮すること。

BFR6―4(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第4号ニの規定に関し、原薬たる医薬品に係る製品の最終の精製を行う前の製造工程を行う作業所については、製造設備が密閉構造であれば特段の防虫及び防そのための措置がなされていない屋外の設備を使用してもよいか。

[答]製造設備が密閉構造であって、製造作業中に蓋等の開閉により原薬たる医薬品に係る製品が外気に暴露することがなければ、使用してもよい場合がある。

BFR6―5(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第6号に「(製造所に)製品等及び資材を区分して、衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備を有すること」とあるが、次工程までの短期間に同一の清浄度レベルの環境下にある中廊下又は作業室の一画において区分して保管を行うことにより特段の設備を設けなくてもよいと解してもよいか。

[答]「衛生的かつ安全に貯蔵するために必要な設備」でいう「設備」とは、例えば保管棚等の設備のほか、倉庫を含むものである。したがって、原則、中廊下又は作業室の一画に保管することは認められないが、一時的に中廊下又は作業室の一画を使用する場合で、その他の製品等及び資材との混同並びに汚染及び交叉汚染の防止のために必要な措置がとられている場合には認められる。

BFR6―6(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第5号ロに「(作業室の)出入口及び窓は、閉鎖することができるものであること」とあるが、換気扇を取り付けてもよいか。

[答]構造設備規則第6条第5号イに規定されているとおり、屋外からの汚染防止に必要な構造及び設備でなければならず、取り付ける場合には、溶媒や粉じんに対する防護措置や外部からの汚染防止に対する対策がとられていること。

BFR6―7(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第5号に「原薬に係る製品の作業所のうち最終の精製を経た中間製品を容器へ充填及び閉塞するまでの作業を行う作業室」とあるが、ここでいう「充填及び閉塞」とは原薬たる医薬品に係る製品の製造工程にあっては、具体的にどの工程が該当するのか。

[答]一般的には、製品の取り出しから、直接の容器又は被包(内袋を含む)への充填及び閉塞までが該当する。

BFR6―8(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第5号ホの「室内のパイプ、ダクト等の設備は、表面にごみがたまらないような構造であること。ただし、清掃が容易である場合においてはこの限りでない」の「清掃が容易である場合」とは、どの程度をいうのか。

[答]「清掃が容易である場合」とは、日常の清掃の範囲内において十分に清掃が可能な構造の設備である場合をいう。例えば、パイプ、ダクト等が水平であっても、日常の清掃によってごみを容易に除去することができ、ごみがたまらないようにされていれば、「清掃が容易である場合」と解して差し支えない。

BFR6―9(一般区分製造所の構造設備)

[問]施行通知第2章第2の1(12)でいう、「区画」、「区分する」、「区別する」の用語の違いを具体的に説明してほしい。

[答]構造設備規則第6条第1項第6号の「製品等及び資材を区分して・・・貯蔵するために必要な設備・・・」の規定に関し、施行通知第2章第2の1(12)でいう「区画」とは、壁、間仕切り板等により仕切られた一定の場所をいう。「区分する」とは、線引き、ついたて等により一定の場所や物を分けることをいう。「区別する」とは、場所、物を識別するために類によって分けることをいう。具体的にどのような形態によってこれらを実現すべきかについては、個々の事例においてその目的に応じて判断すべきものである。

BFR6―10(一般区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第6条第7号において、製品等及び資材に係る試験検査を当該製造業者等の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して行うことについて、支障がないと認められた場合、これらの試験検査設備については当該製造所に備えていなくてもよいか。

[答]備えていなくても差し支えない。

試験検査設備

BFR6―11(試験検査設備)

[問]構造設備規則第6条第7号に「製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること」とあるが、自主規格として定めた試験検査に必要な設備及び器具については、除外されると解してよいか。

[答]許可(認定)要件事項ではないが、自主規格として定めた試験検査に必要な設備についてもGMP上の管理は適切に行うこと。

BFR6―12(試験検査設備)

[問]所定の条件を満たすことにより、原料等の試験検査項目の一部を省略する場合、省略された項目に必要な試験検査設備及び器具は備えていなくてもよいか。

[答]省略しようとする試験検査項目のために必要な試験検査設備及び器具を備えていなければ省略の合理的根拠を得ることは困難である(GMP11―4を参照)ことから、省略する試験検査項目に係る試験検査設備及び器具であっても備えていなければならない。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用する場合にはこの限りでない。

BFR6―13(試験検査設備)

[問]他の製造所において製造された製品を受け入れて次工程以降の製造を行うとき、所定の条件を満たすことにより、当該他の製造所において実施された試験検査成績を利用して自らの製造所における試験検査の一部の項目の実施を省略する場合、省略された試験検査項目に必要な試験検査設備及び器具は備えていなくてもよいか。

[答]設問の場合にも、省略された試験検査項目に必要な試験検査設備及び器具を備えていなければならない(BFR6―12を参照)。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用する場合にはこの限りでない。

第7条(無菌区分)関係

無菌区分製造所の構造設備

BFR7―1(無菌区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第7条第1号イでいう「作業管理区域」には、無菌医薬品に係る製品以外の製品の作業室を含めてもよいか。

[答]無菌医薬品に係る製品の作業管理区域のうち、薬剤の調製作業、充填作業若しくは製品の滅菌のために行う調製作業以降の作業(表示及び包装作業を除く。)を行う作業室又は作業管理区域は、GMP省令第23条第4号イ及びロの規定により、非無菌医薬品の作業所と区別されていなければならず、かつ調製作業を行う作業室及び充填作業又は閉塞作業を行う作業室は専用である必要がある。

ただし、非無菌医薬品に係る製品の作業室において作業を行っている際にも、無菌医薬品に係る製品の作業管理区域において当該製品の種類、剤形及び製造工程に応じ求められる清浄度レベルを維持管理することができ、かつ無菌医薬品に係る製品の作業室又は作業管理区域の汚染又は交叉汚染を引き起こすおそれがないという合理的な根拠があり、それが手順書等にあらかじめ明記されている場合には、設問のような設計としても差し支えないことがある。

BFR7―2(無菌区分製造所の構造設備)

[問]作業管理区域において、既にアンプル充填され閉塞された注射剤に係る製品を、充填・閉塞室と同程度の清浄度レベルの保管室において保管する必要があるか。

[答]必ずしも同一の清浄度レベルで保管する必要はないが、品質変化のないよう十分に留意する必要がある。

BFR7―3(無菌区分製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第7条第2号ロに「設備及び器具は、滅菌又は消毒が可能なものであること」とあるが、高圧蒸気滅菌を行うことができない凍結乾燥機についてはどのように対応すればよいか。

[答]無菌医薬品に係る製品の充填・閉塞作業を行う作業室又は作業管理区域に置かれた凍結乾燥機については、高圧蒸気滅菌により滅菌を行うことが望ましい。ただし「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」(平成22年度厚生労働科学研究医薬品の微生物学的品質確保のための新規試験法導入に関する研究「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」作成班)や、関連指針の最新版等を参考にして、無菌性を保証することができる場合には、他の方法を採用しても差し支えない。

第8条(特定生物由来医薬品等)関係

特定生物由来医薬品等製造所の構造設備

BFR8―1(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号イ(2)に「排水設備は、有害な廃水による汚染を防止するために適切な構造のものであること」とあるが、「適切な構造」には、排水口の排水トラップや逆流防止装置等も含まれるのか。

[答]含まれる。

BFR8―2(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号イ(2)に「排水設備は、有害な廃水による汚染を防止するために適切な構造のものであること」とあるが、例えば不活化前の病原体(BSL2以上)等を含む廃液は「有害な廃液」に該当するか。

[答]設問の場合、不活化前の病原体(BSL2以上)等の人体や環境への影響があるものは「有害な廃液」に該当する。

BFR8―3(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ロ(1)に「排水口は、清掃が容易なトラップ及び排水の逆流を防止するための装置を有するものであること」とあるが、「逆流を防止するための装置」とは、例えばどのようなものがあるか。

[答]例えば、末端排水口に至る配管が製造区域の外の排水溝の廃液内に直接挿入されないものとし、排水トラップの効果を低減しない物理的又は機構的な逆流防止措置を講じた構造等が挙げられるが、逆流防止装置のみでなく、末端排水口に至る配管が製造区域の外の排水溝の廃液内に直接挿入されないようにし、逆流する排水の供給源とならないようにする等、接続する配管の構造等を含めて設計する必要がある。なお、水の逆流のみでなく、配管からの汚染された空気の逆流を含めて防止する構造であること。

BFR8―4(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ロ(3)に「床の溝は、浅く清掃が容易なものであり、かつ、排水口を通じて、製造区域の外へ接続されていること」とあるが、排水の滞留を防ぐための構造、消毒しやすい構造、製造区域の外から排水口を通じて微生物汚染が生じることを防ぐ構造等が含まれると解してよいか。

[答]構造設備規則第8条第1項第1号ロでは、清浄区域には排水口を設置しないことと規定しており、やむを得ないと認められる場合として(1)~(3)に記載されているものであり、これらの条件を満たす必要がある。なお、床の溝と排水口とは別であるが、連結して製造区域の外とつながっていることにより、製造区域の外からの汚染が床の溝に侵入するのを防ぐため、(1)と(2)で排水口とトラップについての要求を記載しているものである。

BFR8―5(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ハ(1)に、無菌区域は「排水口を設置しないこと」とあるが、既存の構造設備において排水ロが設けられている場合には、これを撤去する必要があるか。

[答]既存の構造設備に既に排水口が設けられている場合には、排水口を撤去するほか、製造作業中に密閉することができる構造とした上で汚染防止措置を講じることによって対応しても差し支えない。ただし、そのための手順等が、手順書等にあらかじめ規定されていること。

BFR8―6(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ヘに「病原性を持つ微生物等を取り扱う区域は、適切な陰圧管理を行うために必要な構造及び設備を有すること」とあるが、これは病原体を直接取り扱う区域をいい、病原体を含む可能性のある原料を取り扱う区域は該当しないと考えてよいか。

[答]製造の目的で病原体を扱う区域だけでなく、病原体が混入しているおそれのある原料等を扱う区域においても、必要に応じ陰圧管理を行うこと。

BFR8―7(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ヘに「病原性を持つ微生物等を取り扱う区域は、適切な陰圧管理を行うために必要な構造及び設備を有すること」とあるが、病原性があると考えられる微生物を取り扱う区域には、病原性があると考えられる微生物の培養を行う区域も含まれるか。

[答]含まれる。

BFR8―8(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ヘに「適切な陰圧管理を行うために必要な構造及び設備を有すること」とあるが、具体的には密閉式の建屋構造とし、当該作業室の周囲の前室、廊下等に対して陰圧とすれば、必ずしも外気に対して陰圧とする必要はないと考えてよいか。

[答]差し支えない。病原性を持つ微生物などは封じ込め要件に従って取り扱うことが必要である。「国立感染症研究所病原体等安全管理規程」、WHOのバイオセーフティ・マニュアル又は関連する規定等の最新版等を参考にすること。

BFR8―9(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ヘに「病原性を持つ微生物等を取り扱う区域は、適切な陰圧管理を行うために必要な構造及び設備を有すること」とあるが、病原性を持つ微生物の保管室については、どのような点に注意すればよいか。

[答]病原体のバイオセーフティレベルに応じた保管管理を行うこと。病原性微生物等の保管に当たっては、内容物の外部漏出が生じないような容器を用い、さらに適切な拡散防止対策を講じること。直接の保管容器の選定に当たっては、凍結等の保存性確保処理や保管温度等、当該病原性微生物の保管に必要な操作及び条件下において容器の密閉性が確保できるよう配慮すること。

また、万が一、直接の保管容器から漏出した場合でも、そこから容易に拡散しないよう被包等の使用ならびに適切な不活化および清浄方法を定め、病原性微生物等の漏出拡散対策を講じること。さらに、当該保管室への立入り制限を設ける等の物理的な制限を講じるほか、保管する微生物について「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年10月2日法律第114号)に照らし、適切な管理を行う必要がある。その場合、陰圧管理のための構造設備は必ずしも必要としない。

BFR8―10(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8第1項第1号ヘの「病原性を持つ微生物等」及び第1号トの「感染性を持つ微生物等」とは具体的にどのようなものを指すのか。

[答]一般的に病原性を持つ微生物等及び感染性を持つ微生物等といわれているものを指している。微生物等の病原性、感染性、その取扱い等については「国立感染症研究所病原体等安全管理規程」、WHOのバイオセーフティ・マニュアル又は関連する規定等の最新版等を参考にすること。

BFR8―11(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号チに「製造に使用する痘そう病原体、急性灰白髄炎病原体、有芽胞病原菌又は結核菌を取り扱う室及び器具器械は、製品の種類ごとに専用であること」とあるが、この規定は菌体除去後の毒素等を取り扱う器具器械については適用されないものであると考えてよいか。

[答]原則認められない。ただし、設問のような場合であっても、製品の種類ごとに専用であることを要しないとする合理的な根拠があり、手順書等にあらかじめ規定されている場合には認められることがある。

BFR8―12(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号リ(1)の「微生物等による製品等の汚染を防止するために適切な構造のものであること」とは、無菌区域の空調設備に限定した規定と考えてよいか。

[答]無菌区域の空調設備に限定したものではない。特定生物由来医薬品等に係る製品の製造所の空気処理システムとして適合すべき要件を規定しているものである。

BFR8―13(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号リ(2)に、空気処理システムは「病原性を持つ微生物等を取り扱う場合においては、当該微生物等の空気拡散を防止するために適切な構造のものであること」と規定しているが、病原性を持つ微生物そのものを原料として用いる場合のみをいうと考えてよいか。

[答]原料として用いる場合のほか、試験検査等において病原性を持つ微生物を使用する場合等も含まれる。

BFR8―14(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号リ(3)に「病原性を持つ微生物等を取り扱う区域から排出される空気を、高性能エアフィルターにより当該微生物等を除去した後に排出する構造のものであること」とあるが、フィルターの性能の検査は、病原性を持つ微生物を指標とした検査法により行う必要があるか。

[答]フィルターが所定の性能を維持していることを確認することができるような検査の方法であれば、必ずしも病原性を持つ微生物を指標とした検査法を用いなくても差し支えない。

BFR8―15(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号リ(4)に「病原性を持つ微生物等が漏出するおそれのある作業室から排出される空気を再循環させない構造のものであること。ただし、(3)に規定する構造により当該微生物等が十分除去されており、かつ、再循環させることがやむを得ないと認められるときは、この限りでない。」とあるが、WHOのバイオセーフティ・マニュアルに定める危険度2以下に属する細菌であって汚染防止措置が講じられている場合には、再循環する構造であってもよいか。

[答]WHOの「Biosafety Guidelines for Personnel Engaged in the Production of Vaccines and Biological Products for Medical Use」及び「Laboratory Biosafety Manual」によれば、危険度2の場合には、培養工程より発生するガスの排出口についてはHEPAフィルターを設けることとされている。これらの規定を満たしており、基本的なバイオセーフティ機器を有し、微生物等が十分除去されていることがHEPAフィルターや空調設備の管理により担保されることや、作業室の管理方法を設定し漏出時の対策等を講じておくことが必要である。その上で医薬品等の品質が確保される場合、やむを得ないと認められるときは、作業室において空気を再循環させる構造であっても差し支えない。

BFR8―16(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号リ(5)に、空気処理システムは「必要に応じて、作業室ごとに別系統にされていること」と規定しているが、空気処理システムによる製品等の汚染等がない場合には、専用のものとしなくてもよいか

[答]専用のものとすること。ただし、製品の特性等により汚染及び交叉汚染がないとする合理的な根拠があれば、専用のものとしなくてもよい場合がある。

BFR8―17(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ル(1)に「使用動物を検査するための区域は、他の区域から隔離されていること」とあるが、その理由は何か。

[答]この規定は、新たに搬入する動物が感染している病原因子等により飼育中の使用動物が汚染されることを防ぐため、受入れ時の検査の結果が明らかになるまでの間、搬入しようとする動物を飼育中の使用動物から隔離するための区域を備えていることを求めているものである。

BFR8―18(特定生物由来医薬品等製造所の構造設備)

[問]構造設備規則第8条第1項第1号ル(1)に「使用動物を検査するための区域は、他の区域から隔離されていること」とあるが、この隔離区域には、検査終了までの間、その動物を飼育するための設備が含まれると考えてよいか。

[答]差し支えない。

第10条(包装等区分)関係

包装等区分製造所の構造設備

BFR10―1(包装等区分製造所の構造設備)

[問]小分け包装のみを行う製造所には、構造設規則第10条の規定ではなく、第6条~第9条のいずれかの規定が適用されることと理解してよいか。

[答]差し支えない。なお、小分けは、直接の容器又は被包(内袋を含む。)への充填が終了していないことから、包装等区分の製造業許可により行える製造行為には該当しない。

第2部「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」関係事例

一般的事項

GMP0―1(一般的事項)

[問]改正省令公布通知第3の《第2節 原薬たる医薬品の製造管理及び品質管理(第21条―第22条)》に、原薬たる医薬品に係る製品の製造管理及び品質管理について「最終の精製工程その他原薬の製品品質に重大な影響を与える工程に関して重点的に製造管理及び品質管理を行う」とあるが、「その他原薬の製品品質に重大な影響を与える工程」を具体的に例示してほしい。

[答]原薬たる医薬品に係る製品の製造工程は、通例、不純物の混在する原料から化学合成、抽出等により目的とする成分を得て、不純物を除去しつつ純度を上げていく工程から構成されている。したがって、「その他原薬の製品品質に重大な影響を与える工程」の具体例としては、最終反応工程、中間精製工程、晶出工程も原薬たる医薬品に係る製品の品質を決定的に支配する工程と位置づけられる場合にはその対象となる。

同一の原薬たる医薬品に係る製品であっても、原料、製造方法、製造設備等が異なれば、その品質に影響を与える工程は異なりうるので、個々の製造所における「その他原薬の製品品質に重大な影響を与える工程」は、原薬の種類、製造手順等により、製造業者等があらかじめ適切に定めるべきである。ただし、製造販売承認書に記載する必要があるとされた工程については、それに従うこと。

なお、「その他原薬の製品品質に重大な影響を与える工程」をあらかじめ適切に定めるに当たっては、製造プロセスにおける、品質に対する潜在リスクを特定し、科学的な評価をする品質リスクマネジメントの手法を取り入れることが有効である。

GMP0―2(一般的事項)

[問]日本薬局方参考情報に収載されている各種技術情報は、どのように取り扱えばよいか。

[答]技術情報として、製剤の特性、製造工程の特徴等、リスクに応じて適切に活用し、参考にすればよい。なお、「第十七改正日本薬局方第二追補の制定により削除された参考情報の取扱いについて」(令和元年6月28日医薬品審査管理課、監視指導・麻薬対策課事務連絡)に記載のとおり、日本薬局方参考情報において削除された「最終滅菌医薬品のパラメトリックリリース」、「培地充填試験(プロセスシミュレーション)」及び「無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法」についても、業務の参考となるものであること。

GMP0―3(一般的事項)

[問]施行規則第25条第1項第5号の区分の製造業者、施行規則第35条第1項第5号の区分の外国製造業者、法第13条の2の2の保管のみを行う製造所又は法第13条の3の2の保管のみを行う製造所において、保管業務のみを行うような場合、GMP省令のどの条項を適用すればよいか。

[答]改正省令公布通知第1の3(4)にあるとおり、保管のみを行う製造所における保管に係る業務を含め、GMP省令の各条の規定は、その製造所における医薬品の製造管理、品質保証及び試験検査に係る業務(以下、製造・品質管連業務という。)又は医薬部外品の製造管理及び品質管理に係る業務を適切に行うにあたって必要とされる範囲で適用されるものであること。

GMP0―4(一般的事項)

[問]輸出用医薬品の製造に係るGMP適合性調査申請を製造販売業者が行ってもよいか。

[答]薬事法第80条第1項において調査を受けなければならないのは「輸出用の医薬品等の製造業者」と規定されており、製造販売業者が行うものではない。

GMP0―5(一般的事項)

[問]5年ごとの製造業の許可更新は、製造業者が申請し更新するが、品目ごとの承認維持のためのGMP適合性調査については、例えば複数の製造販売業者から委託を受けている製造業者が、当該製造販売業者の申請を一括して提出することは認められるか。

[答]設問の事例におけるGMP適合性調査については、その品目の製造販売承認を取得している製造販売業者が申請する。品目ごとの承認維持のためのGMP適合性調査は、承認後5年ごとに製造販売業者が申請することとなるが、製造販売承認の時期に関わらず製造業許可更新のタイミング(当該品目の製造販売承認日から5年ごとのGMP適合性調査を受けなければならない期限日よりも前)に合わせて、当該製造業者等が複数の製造販売業者の申請を一括して提出しても差し支えない。

GMP0―6(一般的事項)

[問]GMP省令に規定された「製造業者等」の責務について、その製造業者等があらかじめ指定する者に行わせることは可能か。

[答]少なくとも、GMP省令第3条の3、第5条第2項及び第6条第1項~第3項に規定された製造業者等の業務についてはその製造業者等が法人である場合には、当該法人の代表者を含む薬事に関する業務に責任を有する役員が主体となって行うこと。これら以外の業務について、その製造業者等があらかじめ指定する者に行わせる場合は、当該業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する適切な責任者を選任し、当該業務の内容・範囲をGMP省令第6条第4項の文書で明確にし、当該文書をGMP省令第20条に従い保管すること。なお、製造業者等の業務をその製造業者等があらかじめ指定する者に行わせる場合であっても、当該業務の最終的な責任は、法人たる製造業者等の代表者を含む薬事に関する業務に責任を有する役員が負う。

サイトマスターファイル

GMP0―7(サイトマスターファイル)

[問]医薬品適合性調査申請時に添付する資料としては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う政令、省令の制定及び改正について(薬生監麻発0713第12号令和3年7月13日)の第2章第2の8.(3)区分適合性調査オ.に、サイトマスターファイル又は同等の資料があげられているが、「サイトマスターファイル」とは何か。

[答]PIC/SのGMPガイドラインを活用する際の考え方について(平成24年2月1日監視指導・麻薬対策課事務連絡)別紙(1)PIC/S GMPガイドライン パート1の第4章に定められている製造所のGMPに関連した作業活動を記述した文書であり、製造所に対する監査(実地又は書面)に際し、製造所の品質システムを含む活動概要を端的に示すことができ、有用である。PIC/Sの解釈覚書(“EXPLANATORY NOTES FOR PHARMACEUTICAL MANUFACTURERS ON THE PREPARATION OF A SITE MASTER FILE” PE 008‐4 1 Annex1 January 2011)を参照すること。

なお、海外当局からの査察等の際、この概念に相当する文書の提示を求められる可能性があることから、海外当局による査察等を受ける可能性のある製造業者は、可能な限りこの用語に対応する文書を準備しておくことが望ましい。

GMP0―8(サイトマスターファイル)

[問]サイトマスターファイルに記載すべき事項は何か。また、記載する各々の事項について、どの程度記載すべきか。

[答]2018年度のGMP、QMS、GCTP及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究の成果物として、サイトマスターファイルのモックが作成され、総合機構のホームページに掲載されているので参考とすること。

なお、医薬品製造所の製造管理及び品質管理の実態は製造所ごとに異なることから、製造所の実態に応じて作成すること。

第2条(定義)関係

原料の定義

GMP2―1(原料の定義)

[問]GMP省令第2条第4項の「原料」について改正省令公布通知第3の2(4)に「「原料」は、製造所において医薬品又は医薬部外品に係る製品の製造の用に供される物(製品中に残存しないものを含み、資材及び中間製品を除く。)」とあるが、「製品中に残存しない」原料とは具体的にどのようなものをいうのか。

[答]製造工程において使用される水で結果的に製品に含有されないもの、溶媒等で乾燥等の工程中で揮散される物質等が挙げられる。例えば、顆粒製造工程に用いられるエタノール、イソプロパノール、凍結乾燥に用いられる溶媒等がこれに当たる。これらのものを原料として含めたのは、その品質の良否が製品の品質に直接影響を及ぼすためであり、最終的に製品に含有されることとなる原料と同等の管理が必要となると考えられるためである。

GMP2―2(原料の定義)

[問]GMP省令第2条第4項の規定にある「原料」に関し、原薬たる医薬品に係る製品の「原料」とは、原薬たる医薬品に係る製品の品質に影響を及ぼすような製造工程及びそれ以降の工程に使用する物質のみと考えてもよいか。

[答]原薬たる医薬品に係る製品の原料には、出発物質も含め製造に用いる物質がすべて該当する。なお、GMP省令の規定に基づく原薬に係る製品の製造管理及び品質管理については、原薬たる医薬品に係る製品の一連の製造工程が進行するに従い、当該製品の品質に及ぼすリスクを考慮し、原料の取扱いについても、原則厳格に行うことが求められる。

GMP2―3(原料の定義)

[問]一般的にはGMP省令第2条第4項の「原料」には含まれないろ過助剤、イオン交換樹脂及びその再生剤、機器の殺菌消毒剤、器具・容器等の洗浄剤等については、どのような管理をすべきか。

[答]製品の品質に及ぼすリスクを考慮し、その特性、使用目的、使用方法等に応じた管理を行うこと。

GMP2―4(原料の定義)

[問]主原料以外の、例えば少量使用する酸化防止剤、pH調節剤等は、GMP省令第2条第4項の「原料」として取り扱うべきか。

[答]原料として取り扱うこと。

GMP2―5(原料の定義)

[問]製造工程に発酵工程が含まれている場合、培地は、GMP省令第2条第4項の「原料」として管理する必要があるか。

[答]製品の品質に重大な影響を及ぼしうる場合には、培地やその成分は原料としての管理を行うこと。

計器の校正の定義

GMP2―6(計器の校正の定義)

[問]改正省令公布通知第3の2(25)①の「計器の校正」には、計器の示す値と真の値とに差があるときに、この差を調整することも含まれると解してよいか。

[答]「計器の校正」とは、必要とされる精度を考慮し、適切な標準器、標準試料等を用いて計器の示す値と真の値との関係を求めることをいうものであり、「調整」は含まれない。

中間製品の定義

GMP2―7(中間製品の定義)

[問]「中間製品」について、より具体的に示してほしい。

[答]中間製品とは、製造所内において、製造の中間工程で造られたものであって、以後の製造工程を経ることによって当該製造所から出荷される製品となるものをいう。具体的には、当該製造所における最終的な包装が完了していないものが中間製品となる。

GMP2―8(中間製品の定義)

[問]A工場で「製剤バルク」を製造し、B工場でこれを受け入れて小分け包装する場合、この「製剤バルク」は、原料、中間製品又は製品のいずれとして取り扱うべきか。

[答]設問の場合、「製剤バルク」は、「A工場」における製品であって、改正省令公布通知第3の2(4)にあるとおり「B工場」における原料となる。

GMP2―9(中間製品の定義)

[問]GMP2―8の事例において、「B工場」では「製剤バルク」についてどのような試験検査を行う必要があるか。

[答]GMP省令に規定する「原料」とは、「製造所にとっての原料」であり、当該製造所で受け入れられる、当該製造所の製造工程を経る前のものを指している。当該製造所において行う原料としての試験検査は、製造販売承認(届出)書に規定されている規格及び試験方法のほか、当該製造所の製造管理及び品質管理を行う上で必要な規格を設定し、適切に試験検査を行うことで差し支えない。

GMP2―10(中間製品の定義)

[問]ある製造所の一連の製造工程の途上における精製工程最終段階において製せられた結晶(湿品)の乾燥後の未粉砕品及びこれの粉砕篩過品(当該製造所において、その後に小分け、包装するもの)は、GMP省令第2条第1項の「中間製品」となるのか。

[答]設問の場合、「未粉砕品」、「粉砕篩過品」ともに中間製品である。GMP2―7を参照すること。

その他

GMP2―11(その他)

[問]製造所、作業所、作業室の違いを示してほしい。

[答]GMP省令でいう製造所とは、法第13条の許可若しくは第13条の3の認定が与えられたもの、法第13条の2の2の登録を受けたもの又は法第13条の3の2の登録を受けたものをいう。作業所とは、GMP省令第2条第16項において「製造作業を行う場所」と定義されており、製造作業の現場に直結している事務室・試験検査室等を含む。作業室とは、作業所のうち製造作業を行う個々の部屋をいう。

GMP2―12(その他)

[問]GMP省令第2条第18項の作業又は操作をクリーンブース内においてすべて行う場合には、「無菌区域」をクリーンブース内に限定してもよいか。

[答]差し支えない。

資材の定義

GMP2―13(資材の定義)

[問]PTP包装用のプラスチックフィルム及びアルミ箔並びに坐剤用パックは、GMP省令第2条第3項の「容器」又は「被包」のいずれに該当するのか。

[答]PTP包装、SP包装等に使用されるプラスチックフィルム及びアルミ箔並びに坐剤用パックは被包であると解する。これらは製品に直接接触することから、リスクに応じた管理を行うこと。

GMP2―14(資材の定義)

[問]容器に入れる乾燥剤は、GMP省令第2条第3項の「資材」に含まれるか。

[答]設問のような乾燥剤は、通例、GMP省令第2条第3項の資材には含まれないものの、GMP省令に規定する資材の管理に準じて取り扱うこと。特に「乾燥剤」が製品に直接接触する可能性のある場合には、汚染等を起こさないよう管理を行うこと。

GMP2―15(資材の定義)

[問]原薬たる医薬品の場合、GMP省令第2条第3項の資材たる添付文書とはどのようなものを指すのか。

[答]製造専用医薬品については、施行規則第214条第2項の規定により法第52条第2項第1号の規定は適用されないので、大部分の原薬たる医薬品について添付文書は必要としない。

しかし、日本薬局方に収められている医薬品で、日本薬局方においてこれに添付する文書又はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項、及び法第42条第1項の規定によりその基準が定められた医薬品で、その基準において、これに添付する文書又はその容器若しくは被包に記載するように定められた事項について、添付文書に記載するときは、それぞれ定められた記載事項を記載した添付文書が必要である。

GMP2―16(資材の定義)

[問]法第50条に規定される事項が記載されないポリエチレン袋等に入れた原薬たる医薬品をファイバードラム等に封入し、流通させる場合、ポリエチレン袋等の取扱いはどのようにすればよいか。

[答]設問の場合の「ポリエチレン袋等」については、法第57条第1項の内袋に当たり、同項の規定において、医薬品は医薬品を保健衛生上危険なものにするおそれがある容器若しくは被包(内袋を含む。)に収められていてはならないこととされていることを踏まえ、GMP省令の規定に基づき適切に管理する必要がある。なお、設問の場合の「ファイバードラム」は法上の「直接の容器」に該当する。

ロットの定義

GMP2―17(ロットの定義)

[問]GMP省令第2条第4項に定める「ロット」の構成の事例を示してほしい。

[答]ロット構成の事例については、一律的に定められるものではなく、各製品について、製造条件、作業方法等を考慮して検討し、定めるべきものである。なお、生物学的製剤に係る製品のロットについては、生物学的製剤基準通則を参照すること。

GMP2―18(ロットの定義)

[問]GMP省令第2条第4項に、ロットとは「一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品及び原料(以下「製品等」という。)の一群をいう。」とあるが、この場合の「一の製造期間」とはどの程度の期間と考えてよいか。

[答]一の製造期間については、製品の種類、剤形、作業形態、構造設備その他の違いによって様々であり、一概に決められるものではない。

GMP2―19(ロットの定義)

[問]「均質性を有するように製造された製品及び原料」とは、どの程度の状態のものをいうのか。

[答]「均質性を有するように製造された製品及び原料」とは、均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠(バリデーションデータ等)があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合をいう。

GMP2―20(ロットの定義)

[問]GMP省令第2条第4項に定めるロット構成の際の「均質性」は、どれくらいの範囲(バラツキ)まで認められるか。

[答]それぞれの製品の種類、均質性を確認するための試験検査の方法の違い等によって範囲が異なりうるので、一概に決められるものではない。

GMP2―21(ロットの定義)

[問]原薬たる医薬品に係る製品についてロットを割り当てる場合、ロット内の「均質性」についてどの程度まで求められるのか。

[答]それぞれの原薬たる医薬品に係る製品の種類、均質性を確認するための試験検査の方法の違い等によって求められる均質性は様々であり、一概に決められるものではない。なお、GMP2―31の混合の前提条件に反しない限り、均質性を高めるため適切に混合することも一つの方法である。

ロット構成

GMP2―22(ロット構成)

[問]同一製造ロットの中間製品を長時間にわたって、同一の製造条件及び製造設備により連続して充填包装する場合、同じロットとして取り扱ってもよいか。

[答]設問の場合、充填包装が長時間にわたって行われることにより、ロットの均質性が失われるおそれのあるときは、認められない。当該充填包装工程を経た製品のロットについては、均質性を有するように充填包装されたと考えられる単位ごととし、各ロットが均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠(バリデーションデータ等)を品質部門が確認し、それを医薬品製品標準書等にあらかじめ明記しておくこと。

なお、汚染物質の生成及びそのキャリーオーバーを防止するために必要な、適切な間隔での清浄化(原薬たる医薬品に係る製品の製造においては、不純物プロファイルに悪影響を及ぼしうるような分解物又は微生物汚染のキャリーオーバーの原因とならないようにすること。)に留意すること。通例、作業の内容が明らかであれば、医薬品製品標準書等には時間制限を規定することが一般的(工程内管理に係る試験検査により一定の目標を達成していることを確認することをもって終了する作業を除く。)である。

GMP2―23(ロット構成)

[問]最終製品の製造所における包装工程において、同一のロットの中間製品をさらにいくつかのロットに分割してもよいか。

[答]差し支えない。ただし「中間製品」のロット番号と最終製品に表示した製造番号又は製造記号との関係を明確にし、双方向に追跡を可能とするように製造記録を作成すること。

GMP2―24(ロット構成)

[問]同一の製造期間に、同一の製品の複数ロットを継続して製造するとき、ホッパーやパイプ内に前ロットの残留物が残存していても、理論上の各ロットの区分によりロットの区分けを行ってもよいか。

[答]同一の製造期間に、同一の製品の複数ロットを継続して製造するときであってもロットの区分を明確に行うことが原則であるが、液剤、顆粒剤などの場合には、以下の事項を考慮し、また、品質へのリスクを考慮して行うこと。

1.均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されていること。

2.不良品が発生したこと等により回収等を行う場合には、前ロットの残存する可能性のある複数ロットについて、まとめて対処すること。

3.汚染物質の生成及びそのキャリーオーバーを防止するために必要な、適切な間隔での清浄化(原薬たる医薬品に係る製品の製造においては、不純物プロファイルに悪影響を及ぼしうるような分解物又は微生物汚染のキャリーオーバーの原因とならないようにすること。)に留意すること。

GMP2―25(ロット構成)

[問]内用液剤等に係る製品の製造において、1台の混合タンク中の薬剤が数日間にわたって同一の条件、同一の製造設備により充填されるときに、当該混合タンク1台分の薬剤の充填がなされた製品をまとめて1ロットとし、同一のロット番号を付してもよいか。また、このとき当該製品の試験検査のための採取はどの時点で行うのが適当か。

[答]以下の条件を満たす場合、認められる。

1.均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠(バリデーションデータ等)があり、それを品質部門が確認していること。

2.医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されていること。

3.医薬品製品標準書等には時間制限を規定すること。

また、GMP2―22も留意すること。なお、サンプリングは、そのロットの代表として、正確な試験検査の判定ができる時点に行う必要がある。

GMP2―26(ロット構成)

[問]製造用水としての注射用水の製造を連続的に行う場合には、ロット管理は必要ないと考えてよいか。

[答]困難な場合には、いわゆるロットとしての管理を行う必要はない。ただし、バリデーション結果に基づき、品質管理上必要な頻度において必要な項目について試験検査を実施する必要がある。なお、不良品が発生したこと等により回収等を行う場合には、合理的な根拠をもって区分することができる範囲において一つの単位として対処することが必要となる。

GMP2―27(ロット構成)

[問]同一の製造期間に同一の製造条件、同一の製造設備により、蒸留水を連続的に生産しながらアンプル等に充填、閉塞して、日本薬局方注射用水を製造している。品質管理上必要な措置を講じることにより均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等に明記されている場合には、一定の期間又は一定単位数量ごとにロットを構成してもよいか。

[答]設問の場合のロット構成は差し支えない。

GMP2―28(ロット構成)

[問]同一製造期間に一連の製造工程において製造された異なるバッチの中間製品(製剤)について、均質性を確認した上で、包装段階において同一ロット構成としてもよいか。

[答]製品のロットの構成は、均質性を有するように製造されたことを示す科学的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等に明記されている場合には、一群のものを同一ロットとして扱って差し支えない。なお、均質性の評価にあたっては、単に中間製品が規格に適合していることのみならず、工程内管理に係る試験検査結果等も併せて評価すること。

ロット構成(原料)

GMP2―29(ロット構成(原料))

[問]同一ロットの原料の受入れが複数日にわたっても、当該原料の供給者における製造単位を、受け入れた製造所における原料の一ロットとして取り扱ってもよいか。

[答]同一ロットの原料が分納された設問のような場合には、輸送時の品質変化等を勘案し、分納されたものごとにロットを別のものとして管理することが原則である。ただし、輸送時の品質変化等も考慮した上で、受入れ時の試験検査により均質性を有すると確認された範囲内において、一ロットとして取り扱っても差し支えない。なお、設問の事例の原料のロットごとの試験検査については、GMP11―12を参照すること。

GMP2―30(ロット構成(原料))

[問]生薬原料のロット管理はどのようにすべきか。

[答]例えば、受入れ時の試験検査により均質性を有すると推定される場合には、同一輸入単位を一ロットとして取り扱っても差し支えなく、いわゆる買付け見本により買い付けた場合には、当該買付け見本にそれぞれ相当する単位で均質性を有すると推定されるものを一ロットとして取り扱っても差し支えない。ただし、外観検査その他受入れ時の試験検査により均質性が疑われるものについては、別ロットとして取り扱うこと。

ロットの混合等

GMP2―31(ロットの混合等)

[問]原薬たる医薬品に係る製品のロットについて、GMP2―19の「均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠」のモデルを示してほしい。

[答]次に「ロットが均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠」の例と「ロットの混合の可否の考え方」を示す。

ロットが均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠の例;。:p

No.

区分

ロット間の均質性

ロット内の均質性

事例分類

仕込量

ロット間において同じ

ロット間において異なる



最終工程



混合操作あり

混合操作なし

ただし、遠心分離操作は1回ないし複数回行われる

最終晶析機が単一

乾操機は複数(同一型)

※最終晶析機が複数(サイズ違い)の場合においては「均質性なし」となる。

下記「合理的な根拠」を活用するに当たっての製造工程等の条件

製造工程の操作手順(人)

母液及び中間体の回収手順を含め、単位操作の手順が確立し、工程管理規格があらかじめ設定されている。

収量計算が明らかとなっている。

指図量ごとに、母液及び中間体の回収手順を含め、単位操作の手順が確立し、工程管理規格があらかじめ設定されている。

収量計算が明らかとなっている。

単位操作の手順が確立し、工程管理規格があらかじめ設定されている。

同左

原料及び資材

規格に適合したものが使用されている。

同左

同左

同左

設備器具等

あらかじめ定められた設備器具等が使用されている。

有効成分が異なる製品の製造において共用の場合には清浄化の方法及びその評価の方法が確立している。

指図量ごとに、あらかじめ定められた設備器具等が使用されている。

有効成分が異なる製品の製造において共用の場合には清浄化の方法及びその評価の方法が確立している。

あらかじめ定められた設備器具等が使用されている。

同左

時間制限

作業シフトごと、日ごと、週ごとなど操作条件により時間が決められている。

同左

同左

同左

合理的な根拠

項目

◎必須項目

○必要に応じて実施

◎含量等承認事項

○粒子径、比容、結晶多形、晶癖、安息角、溶解性等

同左

◎混合時間及び混合速度を定めるための含量等必要項目

◎乾燥条件(時間、温度など)

◎粉砕条件 (供給速度、スクリーンサイズ)を定めるための含量、乾燥減量、粒度等の必要項目

判定

確立された採取の方法により、得られた複数ロットのデータに差のないこと。

確立された採取の方法により、得られた指図量ごとの複数のデータが、ロットサイズ間及びロット間において差のないこと。

確立された採取の方法により、得られたロット内のデータに差のないこと。

同左

ロットの混合の可否の考え方

前提条件(一のロットからの分画物をあらかじめ定めた手順に従って工程内で混ぜる(当該工程に係るロット番号が決められる時点)こと(例:一のロットを複数に分けて遠心分離を行い乾燥後1ロットに統合する。)は、ここでいう「混合」とは考えない。)

1.試験検査の結果、規格外にあることが判明したロットを規格に適合させる目的で混合を行ってはならないこと。

2.混合される各ロットは、あらかじめ定められた工程により製造され、試験検査がなされ、規格に適合していることが確認されていること。

3.混合の工程は、十分に管理及び文書化を行うこと。混合されたロットについては、必要に応じ、あらかじめ定められた規格に適合しているか否かについて試験検査を行うこと。

4.混合の工程に係る製造記録は、当該混合を構成した各ロットへの追跡を可能とするように作成すること。

5.製品の物理学的特性が重要なものである場合には、混合されたロットの均質性を示すために、混合の工程についてバリデーションを行うこと。当該バリデーションは、混合の工程が影響を及ぼしうる重要な特性(例:粒度分布、かさ密度等)の検証を含むこと。

6.混合されたロットの有効期間、使用期限又はリテスト日は、当該統合又は混合を構成した各ロットのうち最も古いものの製造年月日に基づくこと。

可となる場合

内容

根拠資料及びデータ

(1) 適品どうしの混合(「端数処理」を含む。)

・混合前の試験検査成績

・混合条件の設定資料(採取手順を含む。)

・混合前ロットのリテスト期間の設定

・混合後の使用期限の設定

・混合前ロットの保存条件

(2) 製造過程の中間体どうしの混合(偶発的繰返し)

例:遠心分離機に残存する先行ロットの湿った結晶層

・製造記録(ただし、ロット構成の均質性を有する合理的な根拠があること)

・非専用の設備器具の場合においては清浄化の手順及びその評価の方法が必要

(3) 異なる物理的パラメータ(かさ比容、粒度等)を持つ中間体の混合

・規格に適合していること。

・(1)の条件を満足していること。

GMP2―32(ロットの混合等)

[問]同一の製造条件及び製造設備により製造した複数バッチの原薬たる医薬品に係る製品を混合して1ロットを構成させたい。混合前の複数バッチについてもすべての項目の試験検査が必要か。

[答]混合する前に「バッチ」が規格に適合することを確認するものとし、そのバッチの規格には品質管理上必要と判断される項目を設定し、試験検査を実施すること。

GMP2―33(ロットの混合等)

[問]輸液製剤に係る製品の製造において、いくつかのバッチをまとめて一のロットを構成させる場合が多いが、一般的な留意点を示してほしい。

[答]輸液製剤の製造工程において複数回に分けて滅菌したバッチを、まとめて1ロットとするような場合のロット構成についての留意点については、以下の事項を品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記しておくこと。

1.均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠

2.滅菌工程の工程監視を同時的に実施し、それを記録として保管し、かつ最終製品において滅菌工程の不具合が疑われる場合には、関連する可能性のあるすべての滅菌バッチを対象に調査し、適切に処置する旨の規定

GMP2―34(ロットの混合等)

[問]原薬たる医薬品に係る製品について、あるロットの端数を他のロットと混合して1ロットとすることは可能か。

[答]あるロットの不適を隠蔽することを目的として混合してはならないが、規格に適合したロットの端数品をまとめて1ロットとすることは差し支えない。当該ロットが均質性を有するように処置を行い、混合する前に規格に適合していることを確認すること。また、その手法については品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ記載し、また、ロットの履歴が確認できるよう記録を作成すること。

GMP2―35(ロットの混合等)

[問]最終近くまで一連の製造工程を経てきた一のロットを、最終工程の晶出後の工程において二分割して原薬たる医薬品に係る製品を製造しているが、最終的にはこれを統合して1ロットとして取り扱ってもよいか。

[答]適切な工程管理に適合したものを、均一にできるプロセスを経て原薬たる医薬品に係る製品となることが必要である。晶出後の原薬たる医薬品に係る製品が均質性を有するように製造されたことを示す合理的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、1ロットとして取り扱っても差し支えない。

GMP2―36(ロットの混合等)

[問]一連の製造工程を経てきた一のロットを分割し、同一条件において複数台の混合機により混合を行う場合、それぞれを統合して1ロットとして取り扱ってもよいか。

[答]「複数台の混合機」が同一の混合効果を持ち、均質性を有するように製造されることを示す合理的な根拠(バリデーションデータ等)があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、1ロットとして取り扱っても差し支えない。

GMP2―37(ロットの混合等)

[問]一連の製造工程を経てきた一のロットを分割し、異なった型式の高圧蒸気滅菌装置を用いて滅菌を行ったものそれぞれを統合して1ロットとして取り扱ってもよいか。

[答]滅菌単位のトレーサビリティが確保されていることが必要である。1ロットとして取り扱う場合には、滅菌単位での記録が適切に作成され、かつ均質性がバリデートされていれば認められる。滅菌バリデーションについては、「第十七改正日本薬局方第二追補の制定により削除された参考情報の取扱いについて」(令和元年6月28日医薬品審査管理課、監視指導・麻薬対策課事務連絡)の内容を参照すること。

GMP2―38(ロットの混合等)

[問]製剤に係る製品包装後の製品ロットと原液調製バッチ又は配合バッチとの関係が明確に追跡できるのであれば、包装後の製品の1ロットが原液調製バッチ又は配合バッチの複数に相当するものであってもよいか。

[答]GMP2―28を参照すること。

ロットと製造番号等

GMP2―39(ロットと製造番号等)

[問]GMP省令の規定に基づくロット管理を行うためにロットごとに製品に付記する番号と、法第50条第3号に規定する医薬品の直接の容器又は直接の被包に記載される製造番号又は製造記号とは同じでなければならないか。

[答]製造段階においてのロット番号と製造番号又は製造記号との関係を明確にし、双方向に追跡を可能とするように製造記録を作成するものとしていれば、必ずしも同じ番号又は記号である必要はない。

GMP2―40(ロットと製造番号等)

[問]製造番号又は製造記号として、製造した年月日の略号を用いることにより、同一の有効成分ではあるがその含量の異なる別の品目に結果として同じ製造番号又は製造記号を表示してもよいか。

[答]設問の場合、品目が明らかに異なることにより回収対象の製造ロットか否かの識別が容易なものであって、かつ回収等に支障がない(結果的に識別が困難であるために回収に支障が生じた場合の責任は、当該表示を行った者に帰することがあることに留意すること。)のであれば差し支えない。ただし、製造段階においてのロット番号と、最終製品に表示した製造番号又は製造記号との関係を明確にし、双方向に追跡を可能とするように記録を作成すること。

GMP2―41(ロットと製造番号等)

[問]製造所からの出荷可否決定前の製品の添付文書を差しかえる場合等、既出荷品の同一ロット製品と区分するために、個装箱に「識別記号」を付記したいが、直接の容器等への付記は行わなくてもよいか。

[答]製造番号又は製造記号と紛らわしくなければ、直接の容器等には記載しなくても差し支えない。

GMP2―42(ロットと製造番号等)

[問]同一製造ロットの中間製品を包装工程においていくつかの種類の包装単位に包装する場合、異なった包装単位又は包装形態に同一の製造番号又は製造記号を表示してもよいか。

[答]設問の場合、同一製造番号又は製造記号が表示されたとしても品目が明らかに異なることにより回収対象の製品ロットか否かの識別が容易なものであって、回収等に支障がない(結果的に識別が困難であるために回収に支障が生じた場合の責任は、当該表示を行った者に帰することがあることに留意すること。)のであれば、同一の製造番号又は製造記号を表示しても差し支えない。

ただし、製造段階においてのロット番号と最終製品に表示した製造番号又は製造記号との関係を明確にし、双方向に追跡を可能とするように製造記録を作成すること。

(例)

① 100錠ビン入、1,000錠ビン入に同じ製造番号又は製造記号を表示しても差し支えない。

② 100錠ビン入、100錠PTP包装に同じ製造番号又は製造記号を表示しても差し支えない。

管理単位

GMP2―43(管理単位)

[問]GMP省令第2条第8項に定義されている資材の管理単位はどのような範囲のものをいうか

[答]例えば、資材の供給者における当該資材の原材料(素材)の品質規格、製造方法等が同一であり、かつ当該資材の受入れ時の試験検査の実績等から、均質性を有すると確認された範囲内において、次のいずれかの単位を一管理単位としても差し支えない。

1.資材の供給者においての製造単位

2.資材の供給者においての資材の原材料(素材)の管理のための単位

3.資材の供給者においての製造業者等への納入単位

是正措置及び予防措置

GMP2―44(是正措置及び予防措置)

[問]GMP省令第2条第14項及び第15項において規定される「状態を解消する措置」の適切性について、どのように判断すればよいか。

[答]例えば、品質リスクマネジメントの活用により、検知された不適合その他の望ましくない状況の再発等のリスクが許容可能な水準まで低減されていることを確認するといった方法が考えられる。また、同様の事象の再発がないこと等を確認することにより、措置の有効性について適切に評価を行うこと。

第3条の2(承認事項の遵守)関係

承認事項の順守

GMP3の2―1(承認事項の遵守)

[問]承認事項に従って製造するにあたり、どのようなことに留意する必要があるか。

[答]製造業者等は、当該製品の製造販売承認(届出)書の製造方法及び試験方法に関する情報を当該製品の製造販売業者より入手し、承認内容と製造実態に相違が生じないようにすること。なお、製造販売業者は、GQP省令第10条第5項の規定により、製造販売承認(届出)書の内容を含む、適正かつ円滑な製造管理及び品質に関する情報を、製造業者等に提供する必要があり、製造業者等としても、常に最新情報を入手できるよう製造販売業者と密接に連携すること。特に、製造販売承認時、製造販売承認事項一部変更承認及び製造販売承認事項に係る変更計画の確認(以下「一部変更承認等」という。)時並びに軽微変更届出時には確実に情報を入手すること。また、原薬等登録原簿(以下、「MF」という。)登録を受けている場合、製造販売業者とのMF利用契約に基づき、自らMF登録内容と製造実態に相違が生じないようにすること。具体的には、製造業者等は、最新のMF登録内容を把握し、MF登録内容へ影響を及ぼす又はそのおそれのある変更を行おうとする場合は、適切なタイミングで製造販売業者に連絡(製造販売業者との取決めによるMF国内管理人等を通じた連絡を含む。)し、製造販売業者の確認を得たうえで、変更を実施する必要がある。

第3条の3(医薬品品質システム)関係

医薬品品質システム

GMP3の3―1(医薬品品質システム)

[問]既にISO9001等に基づく品質マネジメントシステムを構築している場合、改めてGMP省令に基づいた医薬品品質システムを構築する必要があるか。

[答]ISO9001等に基づいた「品質マネジメントシステム」を既に構築、運用している場合においては、その品質マネジメントシステムがGMP省令に規定された医薬品品質システムと比較して十分なものであれば、それを継続することで良い。

GMP3の3―2(製造業者等の責務)

[問]複数の製造所を持つ会社においては、製造所ごとに各々の医薬品品質システムを構築する必要があるのか、それとも製薬会社として一つの医薬品品質システムを構築、運用することでもよいか。

[答]医薬品品質システムの構築は、会社規模に応じて柔軟に対応することが可能である。製造所として独立した医薬品品質システムを確立してもよいし、複数の製造所を含めて一つの医薬品品質システムとして構築してもよい。ただし、複数の製造所を含めて一つの医薬品品質システムを構築する場合は、製造所ごとに定めるGMP組織図等の他に、全社の医薬品品質システムとしての責任を明確に定める必要がある。

GMP3の3―3(医薬品品質システム)

[問]「実効性の有る医薬品品質システムを構築し」とあるが、実効性のある医薬品品質システムとはどのようなものを指すのか。

[答]その製造業者等においてGMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインの経営陣のコミットメントに規定される責任を全うするよう品質マニュアル等で定められ、運用されている必要がある。また、定められた品質方針や品質目標、社内体制については、製造業者等から関連する全従業員に周知され、適切な情報伝達システムが整備されていること。医薬品品質システムの設計については、医薬品品質システムの要素(製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングシステム、是正措置及び予防措置(以下「CAPA」という。)システム、変更マネジメントシステム、マネジメントレビュー)として定義されている機能があり、それらがGMP活動を増強し、継続的改善を促進するようになっていること等である。なお、具体的な手順や手法については、製造業者等で適切に設定し運用すること。

GMP3の3―4(医薬品品質システム)

[問]「品質方針を文書により定め、当該文書に医薬品品質システムの手続き等の構成要素を示すこと。」とあるが、どのような項目を文書により定める必要があるのか。

[答]当該文書は、「医薬品品質システムに関するガイドライン」(平成22年2月19日 薬食審査発0219第1号/薬食監麻発0219第1号)(以下、Q10ガイドラインという。)及びPIC/SのGMPガイドラインにおける品質マニュアルに相当し、以下の項目を含む医薬品品質システムを記述したものである。

・品質方針

・医薬品品質システムの適用範囲

・医薬品品質システムのプロセス並びにそれらの順序、関連性及び相互依存性の特定

・医薬品品質システムの中での製造業者等の責任

なお、品質マニュアルには医薬品品質システムの要素(製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングシステム、CAPAシステム、変更マネジメントシステム、マネジメントレビュー)を含む必要があり、これら要素の基本的考え方を以下に示す。

1.製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングシステム

製造プロセスの稼働性能及び製品品質をモニタリングするシステムを計画し、実行することにより、設定した品質の製品を製造するための製造プロセスの能力及び管理が維持されていることを保証する。

2.CAPAシステム

製品及び製造プロセスの改善並びにより深い理解に結びつくよう、根本原因を特定するために、調査プロセスに対する構造化された取組み。

3.変更マネジメントシステム

提案された変更を知識管理や品質リスクマネジメントの利用、関連する分野の専門家等により適切に評価し、変更実施後に目的が達成されたこと及び製品品質へ悪影響のないことを確認する体系的取り組みにより、変更により意図しない結果にならないことを高度に保証する。

4.マネジメントレビュー

各製品の品質、製造工程の有効性を評価し、製品品質の継続的改善を推進するために実施する製品品質のマネジメントレビュー、及び品質システムの各要素の有効性を評価し医薬品品質システムの継続的改善のために実施する医薬品品質システムのマネジメントレビューの二つがある。製造業者等は、製造プロセスの稼働性能及び製品品質並びに医薬品品質システムの定期的なレビュー結果を評価し、製品品質とそれを保証する仕組みである医薬品品質システムの両面を継続的に改善する。

GMP3の3―5(医薬品品質システム)

[問]品質方針について説明してほしい。

[答]改正省令公布通知第3の5(1)のほか、策定した品質方針は医薬品に関わる全ての階層の人員に伝達され、理解されなければならないため、掲示、配布、教育等により全員に周知する必要がある。また、品質方針の継続的な有効性について、マネジメントレビュー時等において定期的にレビューし、必要に応じて見直されなければならない。

GMP3の3―6(医薬品品質システム)

[問]改正省令公布通知第3の5(1)に、品質方針が含むべき要素の一つとして、「GMP省令の要求事項等を満たす」とあるが、この等には何が含まれるか。

[答]等に含まれるものとしては、関連する規制要件及びガイドライン、例えば、法、日本薬局方、生物由来原料基準、ICH通知、PIC/SのGMPガイドライン、国内指針(「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連指針の最新版等)などが考えられる。

GMP3の3―7(医薬品品質システム)

[問]製造業者等と製造販売業者が同一法人又はグループ会社の場合、製造販売業者が定めた品質方針を製造業者等として共有してもよいか。

[答]よい。

GMP3の3―8(医薬品品質システム)

[問]GMP省令に、製造業者等は、製造管理者又は品質保証に係る業務を担当する組織に、品質方針に基づいた製造所における品質目標を定めさせなければならない旨が規定されているが、各部門、各組織で品質目標を定めることでよいか。

[答]各部門、各組織において、それぞれの業務に応じた品質目標を設定してもよい。なお、製造管理者又は品質保証を担当する組織は、これらの部署において適切な品質目標が作成されるよう管理すること。

GMP3の3―9(医薬品品質システム)

[問]GMP省令に「品質目標を達成する」とあるが、品質目標を達成しているかはどのように判断すればよいか。

[答]品質目標の達成度を評価するための一つの手法として、GMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインに「品質目標に対する進捗度を測る業績評価指標」が記載されている。業績評価指標は、KPI(Key Performance Indicator)ともいわれ、品質目標に対する進捗度のモニタリングを目的に設定するものであり、品質目標設定時等に達成度の評価基準を定め、定期的に確認し、マネジメントレビューで報告することになる。KPIに基づき評価した結果、達成できなかった内容とその理由、水平展開が行われていることをマネジメントレビューにて確認、検証し、そこでのコミットメントに基づき、システム及び製品品質を継続的に高めていくPDCAサイクルを回すことである。なお、KPIは可能であれば数値化することにより評価の客観性を増すことができる。

GMP3の3―10(医薬品品質システム)

[問]医薬品品質システムを確立し実施するために必要な資源とは何か。また、資源を配分するとは具体的には何をさすのか。

[答]資源とは、GMP省令第3条の3第4号において、個人の有する知識及び技能並びに技術、設備その他の製造所における製造管理及び品質管理に活用される資源とされているが、それには例えば、組織及び人員、予算、情報も含み、品質マネジメントシステムの確立、実施、維持及び継続的改善を実現するために必要と考えられるあらゆる経営資源のことである。なお、設備にはソフトウェアが含まれる。資源を配分するとは、マネジメントレビューや上申等に基づき、必要な資源を製造業者等が明確にし、提供することである。

GMP3の3―11(医薬品品質システム)

[問]「定期的に医薬品品質システムを照査し」とは、具体的に何を指すのか。

[答]「定期的に医薬品品質システムを照査し」とは、Q10ガイドライン及びPIC/SのGMPガイドラインにおけるマネジメントレビューのことをいう。マネジメントレビューとは、医薬品品質システムが継続して適切かつ実効的であることを確認するために定期的に行うものである。製造業者等が製造プロセスの稼働性能及び製品品質並びに医薬品品質システムの定期的なレビュー結果を評価することになる。品質マニュアルにマネジメントレビュー会議の開催頻度、情報のインプット、製造業者等からのアウトプットについて記述すること。マネジメントレビューを確実に実施することも製造業者等の責務である。

インプットの例として以下が考えられる。

1.製品品質の照査結果

・製品品質に関する情報(苦情、回収等)

・工程管理、製品品質管理(トレンド解析を含む)の結果と考察

・変更の有効性評価の結果

2.医薬品品質システムの有効性評価

・苦情管理、逸脱管理、CAPA並びに変更管理の状況

・外部委託作業の状況

・リスクアセスメントの状況

・品質保証に係る業務の適切性

3.医薬品品質システムに影響を与える要因

・新たな規制やガイドラインへの対応

・品質問題(自社内、外部環境)の状況

・ビジネス環境の変化

・開発の状況、技術革新の状況

・承継や特許・商標に関する課題

4.当局の査察結果及び回答の状況、社外監査・自己点検の結果

5.前回のマネジメントレビューからのフォローアップ

アウトプットの例として以下が考えられる。

1.製造プロセス及び製品の改善指示

2.医薬品品質システムの改善指示

3.必要な知識の共有化指示

4.資源配分(見直し)、教育訓練の指示

5.品質目標の改訂指示

6.マネジメントレビュー結果の共有化(効果的な水平展開)

GMP3の3―12(医薬品品質システム)

[問]GMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインには、医薬品品質システムの達成のための手法として知識管理があるがこれはどのようなものか。

[答]知識管理は、製品、製造プロセス及び構成資材の情報を獲得し、分析し、系統だてた知識として蓄積し、及び伝播するための体系的取り組みであり、その具体的な考え方や方法は、GMP、QMS、GCTPのガイドラインの国際整合化に関する研究の成果物(知識管理に関する解説資料について(2019年度))として、総合機構のホームページに公表されている。

GMP3の3―13(医薬品品質システム)

[問]品質方針、品質目標、品質マニュアル等の変更といった、医薬品品質システムの変更を行う場合、GMP省令第14条に従う必要があるのか。

[答]医薬品品質システムの変更に際しては必ずしも第14条に従う必要はないが、その変更が、原料、資材若しくは製品の規格又は製造手順等(承認事項を含む)についてである場合は、第14条に従うこと。

第3条の4(品質リスクマネジメント)関係

品質リスクマネジメント

GMP3の4―1(品質リスクマネジメント)

[問]GMP省令第3条の4第2項に品質リスクマネジメントの実施の手続その他の必要な事項に係る文書を作成することが規定されているが、独立した手順書が必要か。

[答]独立した手順書を求めるものではないが、品質リスクマネジメントについて定めた文書は必要である。品質リスクマネジメントの実施の手続きその他必要な文書及び記録を作成し、これを保管すること。

GMP3の4―2(品質リスクマネジメント)

[問]CAPAを行っているが、品質リスクマネジメントが行われているといえるか。

[答]品質リスクマネジメントとは、製品ライフサイクルを通じて、医薬品の品質に係るリスクについてのアセスメント、コントロール、コミュニケーション、レビューからなる系統だったプロセスをいう。CAPAが品質リスクマネジメントの一つではなく、CAPAを含めた品質システムの活動の中でこれらのプロセスを活用するべきである。

GMP3の4―3(品質リスクマネジメント)

[問]「品質リスクマネジメントを活用して、医薬品品質システムを構築する」とあるが、品質リスクマネジメントをどのように活用すればよいか。

[答]GMP省令の医薬品品質システムの参考となるQ10ガイドラインには、品質リスクマネジメントは、品質に対する潜在リスクの特定、科学的な評価及びコントロールに対して、主体的な取り組みを提供し得るとあり、医薬品品質システムの目的の達成を促進するための手法として定義されている。目的の一つである「管理できた状態の確立及び維持」において、品質リスクマネジメントは、モニタリングシステム及び管理システムを特定することに活用される。他の目的である「継続的改善の促進」においては、継続的改善のための分野を特定し、優先順位付けするために活用される。なお、医薬品品質の様々な側面に適用可能な品質リスクマネジメントのための原則及び手法の例を提供している「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」(平成18年9月1日 薬食審査発第0901004号/薬食監麻発第0901005号)、「「製剤開発に関するガイドライン」、「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」及び「医薬品品質システムに関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について」」(平成22年9月17日審査管理課、監視指導・麻薬対策課事務連絡)、「医薬品品質システムにおける品質リスクマネジメントの活用について」(平成29年7月7日監視指導・麻薬対策課事務連絡)等も参考にすること。

第4条(製造部門及び品質部門)関係

品質部門

GMP4―1(品質部門)

[問]GMP省令第4条第3項第1号に規定する品質部門が掲げる「品質保証に係る業務を担当する組織」とは具体的にどのような組織でなければならないか。

[答]「品質保証に係る業務を担当する組織」は、品質保証を担う機能として客観性を有し、製造部門からは独立した組織であることが求められる。また、「品質部門」においては、組織の規模及び構造によって、「品質保証に係る業務を担当する組織」と「試験検査に係る業務を担当する組織」とが別々の形態をとる場合や、両組織が単一組織又はグループの形態をとる場合もある。なお、試験検査に係る業務を担当する組織の職員との兼任については、改正省令公布通知第3の7(3)を参照すること。また、その名称については各会社が適切に定めることでよい。組織図については一例を下図に示す。

GMP4―2(品質部門)

[問]「品質保証に係る業務を担当する組織」として、本社品質保証部門等をもって代えることは可能か。

[答]製造所の組織の中に「品質保証に係る業務を担当する組織」を構成せずに、「品質保証に係る業務を担当する組織」が行うべき業務を本社品質保証部門等に委託することは認められない。ただし、品質保証に係る業務に支障がない限りにおいて、本社品質保証部門等に所属する職員による、製造所の「品質保証に係る業務を担当する組織」の業務の兼任は差し支えない。この場合、本社品質保証部門等に所属する職員の責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。

GMP4―3(品質部門)

[問]「品質保証に係る業務を担当する組織」の責任者と「試験検査に係る業務を担当する組織」の責任者は兼任できるか。

[答]「品質保証に係る業務を担当する組織」は品質保証を担う機能として客観性が求められることから、両組織の責任者の兼務は避けることが望ましい。ただし、会社の規模等により、両責任者を兼務せざるを得ない場合、各組織の責任者としての業務を明確に区別して実施すること。また、その責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。

GMP4―4(品質部門)

[問]医薬品製品標準書及び手順書の作成にあたり、その内容について品質保証に係る業務を担当する組織の確認を受ける必要があるか。

[答]必ずしも品質保証に係る業務を担当する組織の確認を受けることは要しないが、GMP省令第5条第1項第3号において、製造手順等が承認事項と相違することがないよう、品質保証に係る業務を担当する組織に管理させることが求められていること等を踏まえ、医薬品製品標準書及び手順書の作成にあたっては、その内容について、品質保証に係る業務を担当する組織の確認を受けることが望ましい。

第5条(製造管理者)関係

製造管理者

GMP5―1(製造管理者)

[問]製造管理者が製造部門の責任者又は品質部門の責任者となってもよいか。

[答]製造部門の責任者となることは認められないが、管理に支障がない場合には、品質部門の責任者となることは差し支えない。

製造管理者の業務の補助

GMP5―2(製造管理者の業務の補助)

[問]製造所の規模が大きくなり、同一敷地内に剤形ごとの棟が分散している場合には、製造管理者を複数任命してもよいか。仮に、一人でなければならないという場合には、製造副管理者(補助者)を複数任命してもよいか。

[答]製造管理者は1製造所に1名とすること。規模が大きく製品が多岐にわたる製造所等において、製造管理者が職務を遂行することができない状況が生じうる場合(やむを得ないと認められる場合)を考慮し、補助者を設置しても差し支えない。ただし、補助する業務の範囲、製造管理者への報告方法等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。

製造管理者の業務の代行

GMP5―4(製造管理者の業務の代行)

[問]製造管理者が出張、入院等のために不在となる場合に備えて代行者を置いてもよいか。

[答]設問の場合、業務に支障がないと認められる場合には、代行者を置いても差し支えない。

ただし、代行者は製造管理者と同等の資格(法第17条第5項に定める資格)を有する者であり、代行者の代行時の責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。なお、不在の期間が非常に長期間にわたる場合には、製造所の業務に支障を生じるおそれがあることから、代行者ではなく、製造管理者の変更を行うこと。

GMP5―5(製造管理者の業務の代行)

[問]製造所と本社(法人の主たる事務所)とが離れている製造業者において、製造管理者がその業務等を行うため本社に行くことが多い場合には、代行者を置いてもよいか。

[答]設問の場合、業務に支障がないと認められる場合には、代行者を置いても差し支えない。

ただし、代行者は製造管理者と同等の資格(法第17条第5項に定める資格)を有する者であり、代行者の代行時の責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。

GMP5―6(製造管理者の業務の代行)

[問]製造管理者が、本社等の業務のために忙しいため、代行者を置いて製造管理者の業務を長期間にわたり全面的に委任することは認められるか。

[答]認められない。製造管理者は、製造所を実地に管理する必要がある。製造管理者の変更を行うこと。

GMP5―7(製造管理者の業務の代行)

[問]製造管理者の代行者を置いた場合、署名及び記名押印のための印鑑は、当該代行者のものとしてよいか。

[答]代行者のものとすること。ただし、代行者の署名又は記名押印に係る責務等をGMP省令第6条第4項の文書に明記しておくこと。

第6条(職員)関係

職員

GMP6―1(職員)

[問]社内組織上、資材保管部門は製造部門に属していなくてもよいか。

[答]製造のための資材保管行為についてもGMP省令の適用対象であり、それを行う部門は、GMP上は製造部門に含まれなければならない。なお、GMP省令第6条第4項の製造所職員の責務及び管理体制は、「社内組織」と名実ともに一致していることが望ましいが、GMP省令に規定する管理を適正に実施することができ、相互の関係が明らかにされていれば、必ずしも「社内組織」と名称等とが一致していなくても差し支えない。

GMP6―2(職員)

[問]GMP省令第6条の「責任者」とは、具体的にどのような者を指すのか。

[答]責任者とは、製造・品質関連業務を適切かつ円滑に実施するために、製造業者等がその製造所の規模及び業務の種類等に応じて置くものであり、製造部門の責任者、品質部門の責任者の他、改正省令公布通知に示されている各業務の責任者(例:バリデーションの責任者等)が含まれる。製造業者等が法人である場合には、当該法人の代表者を含む薬事に関する業務に責任を有する役員の主導により、資源の確保、マネジメントレビューによるGMP体制の確認といった業務を通じ、適切な責任者が業務に従事する体制を確保することが求められる。

GMP6―3(職員)

[問]品質保証に係る業務の責任者は、どのような者が適切か。

[答]品質保証に係る業務の責任者は、品質保証に係る業務を適正かつ円滑に実施しうる能力を有する必要がある。そのため、製造・品質関連業務又はGQP省令における品質管理業務等の知識、適切な理解力と判断力を有し、品質保証に係る業務に精通していることが求められる。

第7条(医薬品製品標準書)関係

医薬品製品標準書一般事項

GMP7―1(医薬品製品標準書一般事項)

[問]GMP省令第7条に、製造業者等は医薬品に係る製品に関し医薬品製品標準書を作成し保管することとされているが、医薬品製品標準書の新規作成時又は改訂する都度製造業者等が行わなければならないのか。

[答]製造業者等(法人の場合には法人として)の管理下において作成され運用されることを求めており、新規作成又は改訂時については、GMP省令第20条の規定を踏まえた文書管理方法に従って、GMP省令第6条第4項の文書により権限を与えられた者(組織等)が行うことで差し支えない。GMP省令第8条の手順書についても同様である。なお、医薬品製品標準書については、品質部門の承認を受けることが必要であり、その他の手順についても、製品の品質に影響を及ぼす内容については品質部門の確認を得て、文書とすること。

GMP7―2(医薬品製品標準書一般事項)

[問]承認前のGMP適合性調査を受けるときにGMP省令に規定する手順書等を作成しておく必要があるが、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の作成においては、資材に関する事項についても規定しておかなければならないのか。

[答]承認前のGMP適合性調査を受けるときまでには、容器、被包及び表示物の規格及び試験検査の方法といった資材に関する事項を調査申請に係る製品の医薬品製品標準書にあらかじめ記載しておく必要がある。ただし、資材のうち表示物を取り扱う製造所においては、承認前のGMP適合性調査を受けるときはその時点において規定されているべき事項が記載された医薬品製品標準書の案(品質部門のチェックを受けておくものとすること。)を提示すればよいが、表示事項等は製造販売承認により規定されたものを医薬品製品標準書に記載することとなることから、製造販売承認後ただちに確定させること。

成分及び分量

GMP7―3(成分及び分量)

[問]日本薬局方製剤総則の注射剤の項に、「本剤で水性溶剤を用いるものは、血液又は体液と等張にするため、塩化ナトリウム又はそのほかの添加剤を、また、pHを調節するため、酸又はアルカリを加えることができる。」とある。日本薬局方の注射剤に係る製品の医薬品製品標準書において、製造販売承認(届出)書に記載がなくてもこれらのものを添加することとしてよいか。日本薬局方外の注射剤に係る製品についてはどうか。

[答]いずれの場合にも、製造販売承認(届出)書に記載がなければ添加することは認められない。

GMP7―4(成分及び分量)

[問]製造販売承認(届出)書の「成分及び分量又は本質」欄に「日局○○○」として記載されている成分が引き続き改正後の日本薬局方においても収載された場合、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」については、旧薬局方の基準によるのか、又は新薬局方の基準によるのか。「別紙規格○○○」と記載されている成分が改正後の日本薬局方に新たに収載されたときはどうか。さらに公定書以外のものに収載されたときはどうか。

[答]日本薬局方の改正に伴う取扱い等に係る通知に基づいて取り扱うこと。公定書(日本薬局方、生物学的製剤基準及び放射性医薬品基準)以外のもの、具体的には、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格、日本薬局方外生薬規格、体外診断用医薬品原料規格、殺虫剤指針、食品添加物公定書、医薬部外品原料規格等についても、公定書に準じて成分規格を記載することができる場合もあるが、この場合には、公定書にも同様のものが収載されているか否か、申請医薬品の投与経路、使用目的等を考慮し、適切な規格であるか考慮する必要がある。

GMP7―5(成分及び分量)

[問]漢方のエキス製剤に係る製品に関する医薬品・医薬部外品GMP省令第7条の製品標準書の記載事項としての一部改正施行通知第3章第3の7(4)キの「製造方法及び製造手順」において、規格に適合する生薬を原料として用いたにもかかわらず製品の主成分の含量が不足しているときは製造販売承認(届出)書に記載のない成分を不足分に相当する量添加することは認められるか。

[答]認められない。

GMP7―6(成分及び分量)

[問]製造販売承認(届出)書の「成分及び分量又は本質」欄に、規格として日本薬局方○○○と記載されているとき、当該医薬品に係る製品に関するGMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」及びオ「製造方法及び製造手順」において、日本薬局方の規格には合致するが「日本薬局方」の表示のない原料を使用してもよいか。

[答]「日本薬局方」の表示のあるものを優先して使用すること。なお、やむを得ず「日本薬局方」の表示のない原料を使用する場合には、日本薬局方の規格と同等以上のものであることを確認し、必要に応じて追加の規格及び試験検査の方法を設定するなど、原料の品質の確認を慎重に行った上で使用すること。なお、他の公定書規格とされた原料についても同様の対応を行うこと。

規格及び試験方法

GMP7―7(規格及び試験方法)

[問]漢方のエキス製剤に係る製品の製造原料として用いる生薬について、当該製品に関するGMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」において、品質管理上どのような点に留意すべきか。

[答]生薬たる原料については、日本薬局方の規格、日本薬局方外生薬規格、製造販売承認(届出)書別紙規格等について試験検査を行うとともに、製造業者等は生薬の特性、形態(刻み、粉末等)から判断して、必要に応じて以下の項目を設定し試験検査を実施すること等により、適切な品質の生薬を用いるよう留意すること。

1.性状試験(外観、鏡検等)、確認試験、定量試験等

2.切断生薬の粒度試験

3.鑑定試験

4.純度試験(異物、残留農薬試験、重金属試験、ヒ素試験、アリストロキア酸試験)

5.その他必要な試験

(1) 日本薬局方、日本薬局方外生薬規格、製造販売承認(届出)書別紙規格以外の成分、エキス含量、乾燥減量、灰分及び酸不溶性灰分試験等

(2) 生薬の処理法や修治法の確認

(3) 生薬個々の特性を踏まえた試験(微生物限度試験、アフラトキシン試験、生薬末における粉体物性試験、茜草根(茜根、茜草等と呼ばれるものを含む)のlucidin及びlucidin‐3‐O‐primeverosideに関する試験)等

GMP7―8(規格及び試験方法)

[問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書に、改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」、イ「容器の規格及び試験検査の方法」又はエ「表示物(最終製品にあっては、販売名及び一般的名称、成分及び分量、用法及び用量、効能又は効果並びに使用上の注意又は取扱上の注意等の所要事項が記載されるもの)の規格及び仕様」として原料又は資材に関する規格及び試験検査の方法を記載するとき、当該原料又は資材について、それらの供給者から製造方法に関する情報を入手する必要性について示してほしい。

[答]原料等、他工場において製造されるものについては、その製造に関する情報の入手に努めることが、自らの製造所において製造される製品の品質確保上重要である。特に、原料の製造方法に関する情報については原料の品質とも深い関係があるので把握するようにすること。それが変更されたことが明らかな場合には、必要に応じて追加の規格及び試験検査の方法を設定し、原料の品質の確認を慎重に行う等適切な変更管理を行う必要がある。

GMP7―9(規格及び試験方法)

[問]ある製品の製造工程において、例えば溶媒等、当該製品の製造販売承認(届出)書の製造方法欄にのみ記載された、製品の成分に該当しない原料を用いる場合の、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の作成における注意事項について示してほしい。

[答]設問の場合の原料について、医薬品製品標準書の記載も、製品の成分に該当する原料に準じたものとするとともに、製造工程中において使用した当該原料の残留に留意すること。なお、製造方法欄に具体的な方法の記載が求められていない一般用医薬品等についても、製品の成分に該当しない原料を用いる場合には同様の措置をとること。

GMP7―10(規格及び試験方法)

[問]改正後の日本薬局方の一般試験法に合わせるために製造販売承認事項の一部を変更することが製剤の改良等になると判断される場合、GMP省令第7条の医薬品製品標準書に当該変更を反映し、承認当時の日本薬局方の一般試験法では不合格と判定されても当該変更後の試験方法により合格と判定されたとき合格としてもよいか。

[答]認められない。GMP省令第11条第1項第8号に従い、所要の措置をとること。なお、設問の事例において、改正後の日本薬局方に定める一般試験法に適合させるため、製造所において製造販売承認事項の一部を変更すべきと判断する場合には、日本薬局方の改正に伴う取扱い等に係る通知に従うとともに、あらかじめ一部変更承認等の申請(該当する場合には軽微な変更の届出)を行うよう製造販売業者に連絡すること。

GMP7―11(規格及び試験方法)

[問]入荷した粗原料を更に精製して、得られたものを製品(製剤)の原料として規格及び試験検査の方法を規定する場合、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①オ「製造方法及び製造手順」において、当該原料をとり出すことなく粗原料の精製から製剤化までを一貫して行う製造方法を記載することは認められるか。

[答]設問の場合の「粗原料」についても、あらかじめ試験検査を行い、適正なものであることを確認した上で受け入れること。製造販売承認(届出)書にそのような一貫の製造方法が明記されている場合には認められる。

GMP7―12(規格及び試験方法)

[問]製造販売承認(届出)書の「規格及び試験方法」欄の性状の項に、適否の判定基準としない参考情報と記載しているものについては、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において試験検査を行わなくてもよいか。

[答]製品の品質に与えるリスクを考慮して試験検査を実施するかどうか判断すること。

GMP7―13(規格及び試験方法)

[問]原薬たる医薬品に係る製品の製造工程における中間体について、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①オ「製造方法及び製造手順(工程内検査、中間製品の規格及び試験検査の方法並びに品質リスクを特定し、評価した結果に基づいて当該規格及び試験検査の方法の妥当性を示す根拠を含む。)」においてどのような項目を設定すればよいか。

[答]一概に決められるものではないが、設問の場合には、「中間体」が製造されるまでの工程能力及び原薬たる医薬品に係る製品の品質への影響を評価し、原薬たる医薬品に係る製品の品質を管理できる項目をリスクに応じて適切に設定すること。

GMP7―14(規格及び試験方法)

[問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書において、中間製品についてはどのような試験検査を実施する必要があるか。

[答]中間製品の規格及び試験検査の方法が製造販売承認(届出)書若しくは公定書において定められていない場合においては、改正省令公布通知第3の10(3)①ア及びイ(ウ)のとおり、管理上必要なものとして自主的に設定することとし、当該規格及び試験検査の方法並びに品質リスクを特定し、評価した結果に基づいて当該規格及び試験検査の方法の妥当性を示す根拠を医薬品製品標準書にあらかじめ明記した上で実施すること。

GMP7―15(規格及び試験方法)

[問]製品の品質確保のために用いるガス類、例えば、封入用の窒素ガスの規格及び試験検査は、GMP省令第7条の医薬品製品標準書においてどの程度規定する必要があるか。

[答]これらのガス類の試験検査等は、製品の品質に及ぼしうる影響を勘案して規定すること。

GMP7―16(規格及び試験方法)

[問]製造販売承認(届出)書の「成分及び分量又は本質」欄において、成分の規格として日本薬局方の規格を準用する旨規定されているが、その後の日本薬局方の改正により当該成分が日本薬局方から削除されたとき、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において、当該改正前に収載されていた規格をそのまま書き下して使い続けてもよいか。

[答]日本薬局方の改正に伴う取扱い等に係る通知に従うこと。なお、必要に応じて、速やかに一部変更承認等の申請(該当する場合には軽微な変更の届出)を行うよう製造販売業者に連絡すること。

製造方法及び製造手順

GMP7―17(製造方法及び製造手順)

[問]原薬たる医薬品に係る製品の製造工程で、後続ロットの製造に再使用するために溶媒を回収(リカバリー)することについて、GMP省令第7条の医薬品製品標準書に規定する場合の留意点を示してほしい。

[答]製造販売承認(届出)書の記載事項を踏まえて、製造方法等を品質保証に係る業務を担当する組織が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記の上、その範囲内で行うこと。回収した溶媒については、使用する工程など、使用目的に応じた規格を設定すること。再使用を行う前又は新規の規格適合溶媒と混合する前に、回収した溶媒が規格に適合することを保証するためにバリデートされた回収工程をモニタリングし、管理すること。再使用する溶媒又は混合後の溶媒が使用されるすべての製造工程において適合であることを証明するために適切な試験検査を行うこと。溶媒の再使用及び新規の規格適合溶媒との混合について、製造記録を適切に作成すること。設定した試験法では検出できない予期せぬ不純物の蓄積による製品品質への悪影響を予防するために、適切に回収の回数や使用できる期間を設定することにより定期的に回収溶媒を廃棄し縁切りを行うことを考慮すること。回収溶媒の使用にあたっては、交叉汚染防止の観点等から、使用する工程のリスクを踏まえ、細心の注意を払う必要がある。特に回収施設を他社と共用する場合には、交叉汚染防止の観点に留意すること。

GMP7―18(製造方法及び製造手順)

[問]顆粒製剤に係る製品の製造工程においては、例えば、粒度の大きいものと小さいものとが仕掛りとして残るが、GMP省令第7条の医薬品製品標準書においてそれらを次のロットに混合することと定めてもよいか。

[答]混合後の製品の品質が確保されることが適切なバリデーションにより確認されていることが必要である。仕掛り残の混合量の上限と混合の回数がバリデートされており、それが医薬品製品標準書に記載されている場合には認められる。この場合、仕掛り残の添加をするロット数を規定し、継続したロット混合にならないよう定めること。

標準的仕込み量

GMP7―19(標準的仕込み量)

[問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書に記載する事項のうち、改正省令公布通知第3の10(3)①カの「秤量、調製、充填等の作業における標準的仕込み量及びその妥当性を示す根拠(GMP省令第13条に規定するバリデーションの結果等)」については、どのように考えればよいか。

[答]医薬品製品標準書に記載すべき「標準的仕込み量」とは、製造過程におけるロスを踏まえ、最終製品が製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」に記載された成分・分量に合致するものとなるように定めた仕込み量を指す。また、原薬については製剤化工程において純度(含量、力価)を踏まえてロットごとに原薬の仕込み量の補正を行う場合には、補正が行える範囲、条件を医薬品製品標準書に記載する必要がある。

一方、「妥当性を示す根拠」とは、「標準的仕込み量」(上記補正を行う場合には、補正が行える範囲、条件も含む)の妥当性を示す根拠のことであり、製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」及び「規格及び試験方法」の記載に合致する製品を恒常的に製造できることを示すデータが該当する。具体的には、試作やスケールアップ時の技術検討、バリデーション等のデータに加え、製造販売承認書の「規格及び試験方法」を満たすことのみでは証明できない、溶出プロファイルや不純物プロファイルと言った、治験薬と商業生産スケールで製造した当該医薬品との品質の一貫性を示すデータ等が挙げられる。ただし、品目の特性、標準的仕込み量を設定する成分の含有目的、物性等により必要となるデータは異なることとなる。

GMP7―20(標準的仕込み量)

[問]製造工程におけるロス(バグフィルターからの原薬たる医薬品の抜け、集塵、設備への付着等)の増加等、製造過程における突発的な問題が生じた際、医薬品製品標準書において定められた標準的仕込み量から仕込み量を変更してよいか。

[答]突発的な問題について、GMP省令第15条の規定に従って逸脱の管理を行うこと。逸脱の是正措置又は予防措置として、仕込み量を変更する場合には、当該変更はGMP省令第14条第1項第2号に示す製品品質若しくは承認事項に影響を及ぼす場合又はそのおそれがある場合に合致する可能性が高いことから、変更の際には一部変更承認申請(該当する場合には軽微な変更の届出)の必要性について製造販売業者に事前に連絡し、確認を受けること。

GMP7―21(標準的仕込み量)

[問]製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」に「微量」と記載してある成分については、加えない場合も含むと考え、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において加えないことと規定してもよいか。

[答]加えないことは認められない。

GMP7―22(標準的仕込み量)

[問]製造販売承認書の「成分及び分量又は本質」に「適量」と記載してある成分について、GMP省令第7条の医薬品製品標準書にはどのように記載すればよいか。

[答]原則として加えるべきものとして記載する必要があるが、例えば製造販売承認書にpH調節剤「適量」とあるときは加えない場合もあると医薬品製品標準書に記載しても差し支えない。なお、製造販売承認申請書において「適量」と記載することができる成分の種類及び具体的な成分名については、「医薬品の承認申請書の記載事項について」(平成12年2月8日医薬審第39号)に記載されており、この中で「pH調整剤及び錠剤の糖衣剤については、複数の成分についてその分量を「適量」と記載して差し支えない」とされている。また、「適量」または「微量」と記載された成分の配合量、製造方法等について承認申請書の記載範囲内で変更を行う際には申請者の責任において変更内容の妥当性を裏付ける資料を作成し、保存しておくことも示されており、製造業者等においては「適量」または「微量」と記載されている成分について上記変更を行う際には、申請者たる製造販売業者に連絡をし、必要な資料を提供すること。

GMP7―23(標準的仕込み量)

[問]注射剤に係る製品の製造に係るGMP省令第7条の医薬品製品標準書において、pHを製造販売承認書の規格又は示性値の範囲内に保持するために、一般的に用いられているpH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)を新たに添加してもよいか。

[答]新たに添加する場合には、一部変更承認等の申請を行うよう製造販売業者に相談すること。

その他

GMP7―24(その他)

[問]製剤バルクの製造から小分け包装までの製造工程を行う製造所において、GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①キの「製品の保管条件及び有効期間又はリテスト日並びにそれらの妥当性を示す根拠(安定性試験の結果等)」の有効期間の起算は、次のいずれの時点とすべきか。

1) 製剤バルク製造作業日

2) 製剤バルク試験合格日

3) 小分け包装作業日

4) 製品試験合格日

[答]有効期間の記載は、製造作業日を起点とすることが多いが、一概に決めることは困難である。いずれの場合においても、有効期間においては品質を保証することができるように、安定性試験結果等により定めることが必要である。

GMP7―25(その他)

[問]製品標準書に「用法及び用量」及び「効能又は効果」記載する場合、製造販売承認(届出)書の写しを引用し添付することとしていることが多いが、この他添付文書を引用し添付することとしてもよいか。

[答]必要事項がすべて記載されているものであれば差し支えない。ただし、引用し添付しているものに変更、差替え等があった場合にも、製品標準書の改訂としてあらかじめ品質部門の承認を得るものとすることが必要である。

GMP7―26(その他)

[問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①ア及びイの(イ)の公定書又は規格集の試験検査法に代わる試験方法の根拠について留意する点は何か。

[答]日本薬局方の通則の規定を参考として、真度、精度、特異性、範囲等についての根拠を、目的に応じて確認する必要がある。例えば、特異性が同一の場合には、平均値に差がなく、標準偏差が同等又はより小さいことを確認する必要がある。

なお、製品の品質に疑義が生じた場合は、合否の判断は、製造販売承認(届出)書に参照している公定書又は規格集に規定の試験方法をもって行われた結果によることを、品質保証に係る業務を担当する組織が確認し、手順書等にあらかじめ明記しておくこと。

GMP7―27(その他)

[問]原薬たる医薬品に係る製品の製造において、GMP省令第7条の医薬品製品標準書において、改正省令公布通知第3の10(3)①ア「製品及びその製造に使用する原料の成分(成分が不明なものにあってはその本質)及び分量並びに規格及び試験検査の方法」として原料の受入れ時の試験検査を規定する必要があるか。

[答]あらかじめ規定しておく必要がある。

GMP7―28(その他)

[問]改正省令公布通知第3の10(3)①キの「それらの妥当性を示す根拠(安定性試験の結果等)」とは、製造販売承認申請時に提出した安定性試験資料等が引き続き根拠となっており、適切なものであれば、それを引用し添付することをもって足りるものと解釈してもよいか。

[答]承認申請時において安定性試験の途中であった場合には、承認時までに引き続き実施し提出した試験の成績、また、承認後に安定性に関する試験を行った場合には、その結果等についても対象とすること。「安定性試験ガイドラインの改定について」(平成15年6月3日医薬審発第0603001号)等を参照すること。

GMP7―29(その他)

[問]製造販売承認(届出)書又は公定書若しくは規格集において有効期間又はリテスト日の規定がなく、かつ安定性試験のデータがない製品については、3年間以上保存されていた参考品を試験し、その結果に経時変化が認められなかった場合、当該試験の結果を安定性試験に代えてGMP省令第7条の医薬品製品標準書の記載事項としての改正省令公布通知第3の10(3)①キ「製品の保管条件及び有効期間又はリテスト日」として、医薬品製品標準書に記載してもよいか。

[答]原則として安定性試験を実施する必要がある。ただし、安定性試験データのない古い製品の場合には、参考品が「適切な保存条件」下において適正に保管されていたものであれば、設問のような方法によるほか、安定性モニタリングの結果を利用する方法によっても差し支えない。なお、経時変化が認められた場合には、あらためて安定性試験を実施し、必要な措置をとる必要がある。

GMP7―30(その他)

[問]改正省令公布通知第3の10(3)③ウにおいて「当該製品に係る製造販売業者が製造業者又は外国製造業者と取り決めた事項の内容(なお、GMP調査実施者の求めに応じて、当該取決め文書の写しを提示できるようにしておくことが求められる。)」とされているが、製造販売業者との取り決めにおいて留意すべき事項は何か。

[答]GMP省令においては、第14条、第15条等に製造販売業者への対応が必要な事項が規定されており、製造販売業者との取決めは製造所の製造管理及び品質管理においても重要な要素となるので、製造業者等としても積極的に製造販売業者との取決め内容を確認し不備が生じないように整備することが必要である。なお、医薬品製品標準書に「取決め文書の写し」を添付または紐づけておくことが必要である。

第8条(手順書等)関係

手順書

GMP8―1(手順書)

[問]GMP省令第8条第1項の「手順書」については、製造管理及び品質管理を適正に実施することができる手順が作成されていれば、各々を個別の手順書として作成しなくてもよいか。また、手順書の名称も各製造業者等の定めに従ってよいか。

[答]GMP省令第20条に基づく文書の管理(GMP20―1等を参照)が適切になされることを前提とし、当該手順を実施するすべての職員にとって内容が明瞭で分かりやすく(必要かつ適切な場合には教育訓練を受けていることを前提とするものでも差し支えない。)、当該手順が確実に実施されることを確保するものであれば差し支えない。ただし、GMP省令に規定された手順がそれぞれどこに記載されているか分かるようにしておくこと。なお、製品の品質に影響を及ぼす内容については、品質部門の確認を得ること。

GMP8―2(手順書)

[問]GMP省令第8条第1項に、製造所ごとに、文書を作成するとあるが、例えば製造所内において製造部門に係る手順と品質部門に係る手順とを個別に規定してもよいか。

[答]GMP省令第20条に規定する文書管理その他製造管理及び品質管理に支障のない限りにおいて、差し支えない。

手順書の備付け

GMP8―3(手順書の備付け)

[問]GMP省令第8条第1項に「手順書を作成し、これを当該製造所に適切に備え置かなければならない」とあるが、製造所ごとに作成せず、製造業者等として統一的な手順に関する文書を1つ作成し、それを各製造所に設置することでもよいか。

[答]製造所ごとに適切に対応することができているのであれば差し支えない。ただし、各製造所の実情に見合ったものが必要であり、そのような手順書が当該製造所に設置されていること。

構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項

GMP8―4(構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項)

[問]手順書に、GMP省令第8条第1項第1号の構造設備及び職員の衛生管理に関する手順を記載する上での注意事項及び一般的な様式を示してほしい。

[答]

1.構造設備及び職員の衛生管理に関する手順は、GMP省令、改正省令公布通知等に示された内容のうち関係するものがすべて盛り込まれた、各製造所の実情に見合ったものを規定すること。

2.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)「構造設備の衛生管理に関する手順」には、以下の事項も含めておくこと。

(1) 手順の対象となる構造設備のリスト

(2) 手順を実施する上での責任の割当て

3.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)「構造設備の衛生管理に関する手順」の「間隔」として、記載すべき事項は、例えば以下のような事項が含まれる。

(1) 清浄を確保すべき構造設備の清浄化のスケジュール及び、必要に応じ、殺菌消毒作業(サニタイゼーション)のスケジュールの策定

(2) 使用までの間における清浄化済の構造設備の汚染防止措置

(3) 必要に応じ、使用した構造設備の清浄化までの最長許容時間及び構造設備の清浄化実施後の清浄の有効期間

(4) 同一製品の継続的製造又は期間を限定した製造を行う場合であっても、汚染物質の生成及びそのキャリーオーバーを防止するために必要な、適切な間隔での清浄化(原薬たる医薬品に係る製品の製造においては、不純物プロファイルに悪影響を及ぼしうるような分解物又は微生物汚染のキャリーオーバーの原因とならないようにすること。)

4.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)((ア))「構造設備の清掃、保守、滅菌等に関する手順」としては、例えば以下のような事項が含まれる。

(1) 職員が効果的で再現性のある方法により清掃、保守、滅菌等を行うために必要な手順

(2) 必要に応じ、構造設備の各部品の分解及び組立ての手順

(3) 先行ロットの表示の除去又は抹消の手順

(4) 残留物又は汚染物に応じた清浄化の手順及び洗浄剤の選択方法

5.改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)((イ))「清浄化に関する手順」及び((ウ))「清浄度の維持管理に関する手順」としては、例えば以下のような事項が含まれる。

(1) 残留物の判定基準

(2) 可能な場合には、構造設備の使用前の清浄度に係る検査

GMP8―5(構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項)

[問]外用の殺菌消毒剤に係る製品の製造についても、GMP省令第8条第1項第1号の構造設備及び職員の衛生管理に関する手順において微生物汚染については留意する必要があるか。

[答]殺菌消毒剤に係る製品の製造といえども、微生物汚染を防止するための衛生管理に十分留意する必要がある。

GMP8―6(構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項)

[問]GMP省令第8条第1項第1号の規定に関し、充填閉塞後、滅菌工程を経る無菌製剤に係る製品の製造の衛生管理上の留意点を示してほしい。

[答]最終滅菌法による無菌製剤に係る製品といえども、最終滅菌工程にのみ製品の無菌性の担保をゆだねるのではなく、製造工程における異物混入防止対策、じんあい(微粒子)管理及び微生物汚染の防止に十分留意する必要がある。

GMP8―7(構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項)

[問]GMP省令第8条第1項第1号の構造設備及び職員の衛生管理に関する手順の適用範囲には、工程内管理に係る試験検査室のほか、品質管理に係る試験検査室も含まれるか。

[答]含まれる。

GMP8―8(構造設備及び職員の衛生管理に関する手順一般事項)

[問]GMP省令第8条第1項第1号の構造設備及び職員の衛生管理に関する手順におけるロット切替時の構造設備の清浄化作業の手順として、注射剤、内用液剤、外用液剤に係る製品にあっては蒸留水洗浄ではなく、充填液による洗浄(共洗い)とし、前ロットの充填が終了したら残留液を可能な限り排出し、次ロットの薬液を充填機に充満して排出し、これを1~2回くり返した後、次ロットの充填に移ることとしてよいか(蒸留水により洗浄することはかえって汚染の機会を増し、次ロットの初期充填品が希釈される可能性もあることから、充填液による洗浄がより安全であると考える。)。

[答]GMP8―4の各事項を踏まえた上で、設問の方法が、洗浄の目的を達成するものであり、当該製品の特性に応じてバリデートされ、製品品質等に支障のないことが手順書等にあらかじめ規定されている場合には差し支えない。

構造設備及び職員の衛生管理

GMP8―9(構造設備及び職員の衛生管理)

[問]無菌室等の殺菌消毒作業(サニタイゼーション)のための殺菌消毒剤の使用について構造設備及び職員の衛生管理に関する手順に規定する上での注意事項を示してほしい。

[答]殺菌消毒剤の選定に当たっては、目的とする効果を有するものであるか否かを十分に検討した上で選定し、使用に当たっては、効果が十分に発揮され、かつ、製品への混入を防止するための方策をあらかじめ講じておく必要がある。また、殺菌消毒剤の耐性獲得細菌の出現等の防止についても注意するとともに、微生物の種類に応じて殺菌消毒剤の有効性を監視する必要がある。これらの注意事項は、手順書等にあらかじめ規定しておく必要がある。

GMP8―10(構造設備及び職員の衛生管理)

[問]GMP省令第8条第1項第1号の構造設備及び職員の衛生管理に関する手順の規定事項としての改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(イ)((ウ))「職員の健康状態の把握に関する手順」について、留意する点を示してほしい。

[答]

1.健康診断、問診、申告等、製品の品質の信頼性を低下させるおそれのある健康状態(感染症、裂傷等)にあればそれを把握することができるような手順とし、GMP省令に規定する衛生管理の趣旨が十分に生かされるような手順により実施すること。

2.なお、診療者又は監督者の観察により明らかな疾患又は裂傷を有することが認められた者は、当該疾患又は裂傷が製品の品質に悪影響を及ぼすおそれがある場合には、その状態が回復するか、又は作業に従事しても製品の安全性又は品質を損なわないと診断されるまで、作業に従事させないこと。

GMP8―11(構造設備及び職員の衛生管理)

[問]GMP省令第8条第1項第1号の構造設備及び職員の衛生管理に関する手順の規定事項としての改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(ア)((イ))「清浄化に関する手順」及び((ウ))「清浄度の維持管理に関する手順」について

1.清浄に関する確認方法は、どのように設定すべきか。

2.清浄確認は毎日行うものとするのか。

3.肉眼による外観判定のみでよいか。

4.清浄化後の確認記録作成に当たっての留意点は。

[答]

1.各製造所の構造設備に見合った適切な方法を設定すべきである。

2.確認内容によってそれぞれ異なるため、ケースバイケースで決める必要がある。

3.肉眼による外観判定が確認方法のすべてではないが、確認の一手段として利用することは差し支えない。

4.清浄記録には確認項目、確認場所、確認結果、確認日時、清浄化の担当者、確認者等について記録すること。

製造工程、製造設備、原料、資材及び製品の管理に関する手順一般事項

GMP8―12(製造工程、製造設備、原料、資材及び製品の管理に関する手順一般事項)

[問]製造工程、製造設備並びに資材及び製品等の管理に関する手順について記載した文書を作成する上での注意事項及び一般的な様式を示してほしい。また、改正省令公布通知第3の11(1)②イ(シ)((ウ))「工程管理のために必要な管理値に関する手順」についての一般的な留意事項を示してほしい。

[答]

1.製造工程、製造設備並びに資材及び製品等の管理に関する手順について記載した文書は、GMP省令、改正省令公布通知等に示された内容のうち関係するものがすべて盛り込まれた各製造所の実情に見合ったものを作成すること。

2.「一般的な様式」は一概に決められるものではなく、各製造所の実情に見合ったものを作成すること。

3.「一般的な留意事項」としては、承認書に定める事項に加え、具体的には例えば以下の事項が挙げられる。

(1) 工程管理及びその判定基準は、開発段階で得られた情報又は実績データ等に基づいて設定すること。

(2) 工程管理に係る試験検査の判定基準、種類及びその範囲は、製品の特性、製造工程の段階、製造工程が製品の品質に影響を及ぼす程度等を勘案し設定すること。

(3) 重要な工程管理及びそのモニタリングに係る事項については、品質部門が確認し、管理事項及び管理方法(工程管理に係る試験検査結果による工程調整を含む)を含め文書化すること。

(4) 製品等に係る検体を採取する方法について手順書を作成するものとし、当該検体の採取の計画及び手順は合理的で妥当な方法に基づくものとすること。

(5) 検体の採取は、採取した検体と他の製品等との相互の汚染及び交叉汚染を防止し、採取後の検体の完全性を保証するような手順によること。

(6) 通例、工程管理に係る試験検査においては、規格に適合しない結果(以下、OOSという)に係る調査を行うこと。

試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順一般事項

GMP8―13(試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順一般事項)

[問]GMP省令第8条第1項第3号の試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順について記載した文書を作成する上での注意事項及び一般的な様式を示してほしい。

[答]試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順について記載した文書は、GMP省令、改正省令公布通知等に示された内容のうち関係するものがすべて盛り込まれた、各製造所の実情に見合ったものを作成すること。

GMP8―14(試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順一般事項)

[問]GMP省令第8条第1項第3号の試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順の規定事項として、改正省令公布通知第3の11(1)③イ(ソ)「その他適切な試験検査の実施に必要な手順」に示された((ア))及び((イ))以外に必要な手順はあるか。

[答]例えば、発熱性物質試験に用いるウサギの使用前の飼育管理、再使用に関する休養期間等の管理事項や抗生物質の微生物学的力価試験法に用いる試験菌等の管理手順が該当する場合がある。

GMP8―15(試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順一般事項)

[問]資材たるガラス瓶の洗浄を瓶供給者に任せている場合、製造業者等としての受入れ時の瓶の清浄度の評価及び当該供給者の製造施設のチェックはどこまで手順書等に規定すればよいか。

[答]資材たるガラス瓶の洗浄を「瓶供給者」に任せ、製造業者等として受入れ時の試験検査を行うことなく使用することとしてはならない。たとえ「瓶供給者」が洗浄したものであっても、製造業者等の責任として清浄度に関する評価試験検査方法を定め、試験検査を行い、必要な場合には再度洗浄を行うこととしなければならない。また、供給者の製造施設のチェックについては、実地に確認する方法、関連する書類を入手し当該書類により確認する方法その他適切な方法により実施すること。

試験検査設備器具の点検整備及び計器の校正

GMP8―16(試験検査設備器具の点検整備及び計器の校正)

[問]GMP省令第8条第1項第3号の試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順の規定事項としての改正省令公布通知第3の11(1)③イ(ク)「試験検査に関する設備及び器具の点検整備、計器の校正等に関する手順」を規定する上での注意事項を示してほしい。

[答]点検整備に関する事項(例:試験検査設備器具の名称、機器識別番号、点検項目、点検の方法、頻度等)、校正等に関する事項(GMP11―33等を参照)について記載し、点検整備、校正等が適切に行われる内容であることが必要である。

標準品等

GMP8―17(標準品等)

[問]GMP省令第8条第1項第3号の試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順の規定事項としての改正省令公布通知第3の11(1)③イ(ソ)((ア))の「試験検査用の標準品、試薬試液及び試験用水等の管理に関する手順」を規定する上での注意事項を示してほしい。

[答]試験検査用の標準品(医薬品等の定量的又は定性的測定などにおいて基準として用いる物質であり、PIC/SのGMPガイドラインにおける”reference standard”に相当するもの。以下同じ。)、試薬試液及び試験用水等が、適切に管理されるために必要な事項として、例えば以下の事項が挙げられる。なお、試験検査用の標準品には、一次標準品と比較することによって設定した品質及び純度を有することが示され、日常の試験室での分析に標準品として使用する物質(以下「二次標準品」という。)が含まれる。

1.試験検査用の標準品、試薬試液及び試験用水等は、手順に従って調製され、表示がなされ使用期限が適切に設定されること。

2.いわゆる一次標準品の供給者についてあらかじめ文書により定めること。一次標準品についてあらかじめ定められた手順に従って使用及び保管を行い、記録を作成すること(公式に認められた供給者から入手した当該承認書の規定に適合する一次標準品は、当該供給者の定めた手順に従って保管される場合には、通例、試験検査を行うことなく使用に供することができる。)。

3.公式に認定を受けた供給者から一次標準品を入手することができない場合には、「自家製一次標準品」を設定すること。「自家製一次標準品」については、同一性及び純度を立証するために適切な試験検査を行い、記録を作成し、これを保管すること。

4.いわゆる二次標準品については、入手又は調製、試験検査、承認及び保管を適切に行うこと。二次標準品の各ロットが適切なものであるか否かについて、その初回使用前に一次標準品との比較により明らかにすること。二次標準品の各ロットはあらかじめ定められた実施計画書に従って定期的に適格性を再確認すること。

「原薬GMPのガイドラインについて」(平成13年11月2日医薬発第1200号)の11.試験室管理も参考にすること。

文書及び記録の信頼性(完全性)の確保

GMP8―18(文書及び記録の信頼性(完全性)の確保)

[問]GMP省令第8条第2項で求められる「手順書等並びにこの章に規定する記録について、その信頼性を継続的に確保する」ためにどのようなことに留意すればよいか。

[答]本項はデータ・インテグリティの確保に関する規定であり、記録されたデータがそのテータのライフサイクル※を通して正しいデータであることを保証することが求められる。そのためには、そのデータが正しく採取され、改変されていないこと、修正した場合はその修正が妥当であること、責任の所在が明らかであること、正しい記録が維持されていること、記録が正しく再現可能であることが求められる。データ・インテグリティに関する要件としては、一般的にはALCOA+の原則(以下の1~9)が知られている。これらの要件は、紙媒体、電子的な媒体のいずれの文書及び記録にも適用される。

また、電子的な媒体を用いた文書及び記録(以下当該項において「電子データ」という。)を用いる際には、当該電子データを生成するコンピュータ化システムについて、ALCOA+の原則に示す要件を満たせる機能を有し、かつ適切に稼働できるかについて「医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドラインについて」(薬食監麻発1021第11号平成22年10月21日)に示された手法に則り、コンピュータ化システムバリデーションを実施し検証すること。なお、ALCOA+の原則に示す要件を満たせる機能には、監査証跡機能、データの上書き及び改ざんを防止する機能、ユーザーごとに操作権限を設定する機能等があげられるが、いずれの機能を有する必要があるのか及びどの程度のコンピュータ化システムバリデーションを要するのかについては、生成されるデータの製品品質における重要性、システムの複雑さ等を考慮したリスクアセスメントを行った上で判断すること。

No.

要件

内容

1

帰属性(Attributable)

文書及び記録の作成者、記録者、確認者、承認者等が特定できること。

2

判読性(Legible)

読めて、理解できること。

3

同時性(Contemporaneous)

事項が実施された際に、即時に記録されること。

4

原本性(Original)

最初の状態であること。

5

正確性(Accurate)

誤りがないこと。

6

完全性(Complete)

必要な情報が全て存在すること。

7

一貫性(Consistent)

矛盾しないこと。

8

耐久(Enduring)

紛失、破棄、棄損されることなく利用が可能であること。

9

入手可能性(Available)

随時取り出せること。

※データのライフサイクルとは、データの採取、記録、照査、承認、意思決定(出荷判定、バリデーションの判定、逸脱調査等)の根拠としての使用、保存、廃棄等のデータの保存期間のすべての段階をいう。

第9条(構造設備)関係

原薬たる医薬品に係る製品の製造所の構造設備

GMP9―1(原薬たる医薬品に係る製品の製造所の構造設備)

[問]原薬たる医薬品に係る製品の原料については、屋外の貯蔵タンクに貯蔵してもよいか。

[答]「貯蔵タンク」そのものにより当該原料を十分に衛生的かつ安全に保護することができる場合には、差し支えない。当該原料を使用するときの清浄度について、必要に応じ留意すること。

作業室の洗浄度

GMP9―2(作業室の清浄度)

[問]GMP省令第9条第1項第3号及び第24条第1号の規定に関し、製造所の各作業室の清浄度区分を示してほしい。

[答]各作業室等の清浄度区分に関して特に数値化されたものはないが、従来、以下に示した区分が一般的に行われていたので参考にすること。

区分1:無菌製剤に係る製品の調製室、充填・閉塞室等

区分2:一般製剤に係る製品の秤量室、調製室、充填閉塞室、中間製品保管場所(ただし、適切な密閉容器に収められており、汚染防止が完全になされている中間製品の保管場所は、必ずしもこの分類にあたらない場合もある。)、原料採取室等

区分3:包装室(充填閉塞済みの製品の包装室)、製品保管室、原料保管室、更衣室(私服を作業衣に着替える初段階の室)等

区分4:玄関ホール、来客室、動力機械室、配電室等

上記区分は一応の目安を示したものであるので、各製造所の実情に合わせて変更して差し支えない。

無菌製剤においては、「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連指針の最新版等を参考にすること。

作業室の構造設備

GMP9―3(作業室の構造設備)

[問]GMP省令第9条第1項第3号及び第24条第1号の規定に関し、PTP包装、SP包装等の充填・閉塞~包装一貫ラインについて、一貫ラインの途中に隔壁を設け、充填・閉塞工程に係る部分と包装工程に係る部分とを別の作業室とすることが一般化しているように見受けられるが、一貫ラインを異なった清浄度区分により分割することが構造設備上困難な場合や著しく作業効率を阻害する場合には、充填・閉塞工程に係る部分に蓋、カバー、カステン等の汚染及び交叉汚染の防止対策を実施すれば一貫ラインを同一の作業室内で行ってもよいか。

[答]「汚染及び交叉汚染の防止対策」により「充填・閉塞工程に係る部分」が目的とする清浄度区分により管理され、かつ、「包装工程に係る部分」からの汚染及び交叉汚染の防止がなされていれば、差し支えない。なお、清浄化、教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされていることが前提であること。

GMP9―4(作業室の構造設備)

[問]GMP省令第9条第1号第3号の「作業所のうち作業室は、製品の種類、剤形及び製造工程に応じ、じんあい又は微生物による汚染を防止するのに必要な構造及び設備を有していること」の解釈として改正省令公布通知第3の13(1)③ウ(ア)に「原料の秤量作業、製品の調製作業、充填作業又は閉塞作業を行う作業室が、これら以外の製造作業を行う作業室と区別されていること」とあるが、軟膏剤に係る製品のチューブ充填閉塞機又は錠剤に係る製品の瓶小分け充填閉塞機による作業等のように、容器洗浄作業を行う作業室と充填・閉塞作業を行う作業室とを区別することが困難である場合には、どのように解釈すればよいか。

[答]

1.以下の事例のように、製造作業中の製品の汚染及び交叉汚染の防止がなされている場合には、GMP省令第9条第1項第3号ただし書き「ただし、製造設備等の有する機能によりこれと同程度の効果を得られる場合においては、この限りでない」を満たすものと解釈される。

(1) 製造設備が閉鎖式のものであって、秤量、調製又は充填・閉塞作業中の製品の汚染及び交叉汚染の防止がなされている場合

(2) 作業室又は製造設備に設置した層流装置等によって秤量、調製又は充填・閉塞作業中の製品の汚染及び交叉汚染の防止がなされている場合

(3) カプセル充填後のカプセル剤に係る製品の充填・閉塞作業及び包装作業が連続した機械により行われ、かつ、充填・閉塞作業に係る部分に汚染防止措置がなされている場合

2.なお、清浄化、教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされていることが前提である。

GMP9―5(作業室の構造設備)

[問]GMP省令第9条第1項第3号に「作業所のうち作業室は、製品の種類、剤形及び製造工程に応じ、じんあい又は微生物による汚染を防止するのに必要な構造及び設備を有していること」とあるが、じんあいの発生する作業を行う作業室は、どのような構造及び設備を備える必要があるか。

[答]

1.原料の秤量作業を行う作業室、粉末等の固体であってじんあいの発生する調製作業を行う作業室又は粉末等の固体であってじんあいの発生する充填・閉塞作業を行う作業室には、必要に応じてじんあい除去装置を備えるとともに、それぞれ専用の作業室とすること。

2.ただし、有効成分が同一の製品(剤形(内服固形剤(注:錠、カプセル、顆粒、細粒、散は内服固形剤として同じ剤形)、内用液剤等の別)の異なるものは除く。)の製造作業の場合には、リスク評価(環境モニタリング等で影響が無いことを確認等)に基づいて、秤量作業、調製作業、充填・閉塞作業が各作業に影響を与えないよう適切に区分等された場所で行われるときは、当該各作業が同一作業室で行われても差し支えない。

3.なお、清浄化、教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされていることが前提である。

GMP9―6(作業室の構造設備)

[問]秤量作業と調製作業とを同一の職員が兼務し、それぞれの作業において有効成分が異なる製品を取り扱うに当たり、同一の職員が秤量室と調製室の相互の作業室に入室することができることとしてもよいか。

[答]原則として認められない。ただし、清浄化、徹底した教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置(更衣の必要性の有無及び更衣の手順を含む。)が厳密になされ、当該職員を介した汚染及び交叉汚染のないことを示す合理的な根拠があり、それらが手順書等にあらかじめ規定されている場合には認められることがある。なお、錯誤等による異なる有効成分の混同の防止についても併せて留意すること。

GMP9―7(作業室の構造設備)

[問]同一の作業室を、午前中は秤量室として、午後は調製室として、翌日は充填・閉塞室として用いることは認められるか。

[答]

1.作業後の清浄化及びクリアランスの手順を定め、各作業に影響がないことをバリデートした上で有効成分が同一の製品を製造する場合には差し支えない。

2.有効成分が異なる製品については、作業後の清浄化及びクリアランスの手順、作業開始直前の清浄及びクリアランスの確認の手順等を定め、これら手順に従えば常に有効成分が異なる製品による交叉汚染等のないことをバリデートした上で、清浄化、有効成分が異なる製品に切り替えて作業を開始する直前の清浄の確認、徹底した教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされ、汚染及び交叉汚染のないことを示す根拠があり、それが手順書等にあらかじめ規定されている場合には認められることがある。

GMP9―8(作業室の構造設備)

[問]GMP9―7を踏まえた上で、例えば以下の処方の製品は、秤量作業、調製作業、充填・閉塞作業が区分された場所で行われるときは当該各作業が同一作業室で行いうる製品に該当するか。

① オウレン 1g

② オウレン 2g

③ オウレン 1g ゲンノショウコ 1g

④ オウレン 1g ゲンノショウコ 1g ケイヒ 1g

⑤ オウレン 2g ゲンノショウコ 1g ケイヒ 1g

各々から製したエキスに賦形剤を加えて製したエキス製剤に係る製品

[答]①と②、④と⑤の組合せはそれぞれお互いが、当該作業が同一作業室で行いうる製品に該当する(賦形剤の種類が異なる場合を含む。)。その他の組合せはいずれも、当該作業が同一作業室で行いうる製品に該当しない。

GMP9―9(作業室の構造設備)

[問]改正省令公布通知第3の13(1)③において「作業所のうち作業室は、製造する製品の種類、剤形及び製造工程に応じ、じんあい又は微生物による汚染を防止するのに必要な構造及び設備を有していることを要する(ただし、製造設備等の有する機能により当該汚染を防止する効果を得られる場合を除く。)」とされているが、有効成分が同一の製品)の製造作業の場合においては、秤量作業、調製作業、充填又は閉塞作業が各作業に影響を与えないよう適切に区分等された場所において行われるときは、当該各作業が同一作業室で行われても差し支えなく、じんあい除去装置も必要ないと考えてよいか。また、原料の秤量、調製、充填・閉塞のいずれの作業においても、じんあいが発生せず、必要に応じてじんあい除去装置を備える場合には、これらすべてを同一作業室内において行う、すなわち「秤量、調製、充填・閉塞」としてよいものと解してよいか。

[答]有効成分が同一の製品であっても必要に応じてじんあい除去装置を備えることが必要である。後段の設問に関しては、有効成分が同一の製品だがじんあいが発生する場合には、秤量室は専用とする、すなわち「秤量」、「調製(区分)、充填・閉塞」としなければならないが、有効成分が同一の製品、かつ、じんあいが発生しない場合には「秤量(区分)、調製(区分)、充填・閉塞」としても差し支えない。ただし、じんあいが発生しないことは環境モニタリングの結果等で証明しておくことが必要である。

人及び物の動線

GMP9―10(人及び物の動線)

[問]GMP省令第9条第1項第4号の規定に関し、製剤バルクを、調製作業室から廊下、包装作業室等清浄度のレベルの異なる作業管理区域を経由して充填作業室に搬入してもよいか。

[答]原則として認められない。ただし、搬送及び搬入に際し、「製剤バルク」に触れる空気の清浄度レベルが維持され、混同並びに汚染及び交叉汚染の防止が十分確保される場合には差し支えない(更衣、搬送機器、搬入設備等についても十分考慮すること)。

GMP9―11(人及び物の動線)

[問]無菌医薬品及び生物学的製剤のいずれにも該当しない経口剤に係る製品の調製作業を行う作業室、充填・閉塞作業を行う作業室には、更衣後の前室は必要か。また、更衣室には脱衣と着衣の間に区画は必要か。

[答]設問のような更衣後の前室の設置及び更衣室の区画については、各製造業者等が、汚染及び交叉汚染の防止という観点から、リスクに応じて、各製造所の実情に合わせて対応すべきである。

飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等

GMP9―12(飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等)

[問]「GMP省令第9条第1項第5号イに「飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等を取り扱う場合」とあるが、ペニシリン類又はセファロスポリン類のような微量で過敏症反応を示す物質であっても、カプセル充填後のカプセル剤はこれに該当しないと考えてよいか。

[答]カプセル充填後のカプセル剤であって、つや出し工程等により、カプセルの外側に付着している薬剤を除去したものについては、GMP省令第9条第1項第5号イの規定に必ずしも該当しないが、取扱中にカプセルの破損等により当該薬剤が飛散する可能性があることから、作業室を専用とし、かつ空気処理システムを別系統にする等の当該製品等の漏出を防止する措置をとることが望ましい。

GMP9―13(飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等)

[問]「GMP省令第9条第1項第5号イに「飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等を取り扱う場合」とあるが、ペニシリン類又はセファロスポリン類のような微量で過敏症反応を示す物質であっても、錠剤となった製品はこれに該当しないと考えてよいか。

[答]錠剤となった製品についても、粉末が飛散する可能性があることから、作業室を専用とし、かつ空気処理システムを別系統にする等の当該製品等の漏出を防止する措置をとる必要がある。ただし、適切なコーティング等がなされ、飛散し得ない状態となったものについてはこの限りではないが、取扱中にコーティング等の破損により当該薬剤が飛散する可能性があることから、作業室を専用とし、かつ空気処理システムを別系統にする等の当該製品等の漏出を防止する措置をとることが望ましい。

GMP9―14(飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等)

[問]無GMP省令第9条第1項第5号イ「飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等」を扱う上での注意事項を示してほしい。

[答]過敏症反応のリスク等を考慮して、作業室の専用化や空調の別系統化などのハード的な封じ込めにあわせ、モニタリング等のソフト的な封じ込めの対応を適切に実施し、他製品への交叉汚染防止の措置を講じること。

なお、ここでいうモニタリングとは、ペニシリン類やセファロスポリン類等のような微量で過敏症反応を示す物質を製造する際、当該製品が作業区域から漏れていないことの確認や、製造区域内の汚染の有無の確認、他の製造区域で製造されている医薬品に影響がないことを確認すること等を目的として実施される。

モニタリングに当たっては、製造区域内で出入りが発生する作業員や物品の動線、作業手順、空気の流れ、排気及び排水等を考慮してモニタリング箇所、頻度、モニタリングの方法等を決定する必要がある。具体的なモニタリングの方法としてはスワブ法、リンス法や吸引法(フィルター捕集法)等が挙げられるが、サンプリングの方法や定量の方法についてはモニタリング対象とする製品の感作性の強さ等を考慮して設定する必要がある。また、あらかじめアラートレベルやアクションレベルを設定し、そのレベルを超えた場合の措置についても、あらかじめ手順を文書化しておくこと。

GMP9―15(飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等)

[問]微量で過敏症反応を示す製品等の専用製造区域内で作成した、あるいは外から持ち込んだ文書、記録類の取扱いはどのようにすればよいか。

[答]設問の文書、記録類には、微量で過敏症反応を示す物質が付着していることが考えられるので、不用意に持ち出してはならない。持出し作業、持ち出した文書、記録類の閲覧等による交叉汚染の品質リスクを分析して、文書、記録類を取り扱うことが必要である。また、モニタリング等により、文書、記録類の取扱いが適切であることを確認すること。なお、文書、記録類の持出し作業による交叉汚染の品質リスクを低減する方法としては、FAXや電子ファイル等の利用、ポリ袋等に入れて搬出する方法等が考えられる。

GMP9―16(飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等)

[問]GMP省令第9条第1項第5号の「作業室(密閉容器に収められた製品等のみを取り扱う作業室を除く。次項において同じ。)を専用とし」とは、部屋としての区画のみでよいのか、それとも陰圧にする等他の手段も併せて講じる必要があるのか。

[答]ペニシリン類、セファロスポリン類等に係る製品と他の製品とを同じ作業室で製造することは、認められない。それぞれの作業室を別の室とし、すなわち、部屋としての区画を行いかつ、空気処理システムを別系統にするとともに、双方の人及び物の交叉がないようにするほか、空気の流れ等に十分注意する必要がある。なお、GMP9―14を参照すること。

GMP9―17(飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す製品等)

[問]GMP省令第9条第1項第5号に規定する「空気処理システムを別系統にする」とは、どういうことか、それぞれ具体的に示してほしい。

[答]「空気処理システムを別系統にする」とは、下記の略図の例のように、ペニシリン類、セファロスポリン類等を取り扱う作業室を通した空気は、他の部屋を通さないことを述べているものである。なお、微量で過敏症反応を示す物を取り扱わない場合でも、空気を作業所に再循環させる場合には、汚染及び交叉汚染のおそれが最小のものとなるよう適切な措置をとること。

設備の共用

GMP9―18(設備の共用)

[問]GMP9―18(設備の共用) 医薬品の製造設備について作業室共用の可否の判定方法について示してほしい。

[答]作業室の共用については、別紙1のディシジョンツリーに例を示した。最終的な共用可否の判断は、毒性学的な評価による科学的データ等を踏まえたリスク評価の結果に基づき実施する必要がある。なお、製品等から採取された検体のみを取り扱う作業室については、基本的に専用化は求められないが、当該作業室から持ち出される物品、試験検査設備や作業者等を介して製造設備及び製品等が交叉汚染させないよう、留意しなければならない。

GMP9―19(設備の共用)

[問]医薬品の製造設備について設備を共用しようとする際の製品等の毒性学的評価はどのように行うのか。

[答]毒性学的評価の指標としてさまざまなもの知られている(例:最大無作用量(NOEL:no‐observed‐effect level))。毒性学的評価に基づく限度値の設定にあたっては、改正省令公布通知第3の13(1)⑤エ(イ)に示すPIC/Sの関連ガイダンス文書の他、「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」(平成10年3月30日医薬審第307号)(以下ICH Q3Cという)、「医薬品の元素不純物ガイドラインについて」(平成27年9月30日薬食審査発0930第4号)(以下ICH Q3Dという)、「潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価及び管理ガイドラインについて」(平成27年11月10日(薬生審査発1110第3号)(以下ICH M7という)等が参考となるものであること。

GMP9―20(設備の共用)

[問]設備を共用しようとする際の毒性学的評価は誰が行うべきか。

[答]毒性学の専門家等が行うことが望ましい。外部の専門家等に毒性学的評価を委託する際は、製造業者等において、あらかじめその適格性を確認の上、その記録を残すこと。

GMP9―21(設備の共用)

[問]医薬品の製造設備について設備を共用しようとする際の製造業者等と製造販売業者との連携にはどのような点に留意すればよいのか。

[答]製造業者等は、受託しようとするものが医薬品・医薬部外品の場合、その製造委託者(又は発注者)より当該品目の取扱いに関する情報を入手すること。一方、製造販売業者は、受託製造業者等が適切な残留許容限度値を設定できるよう自ら保有する情報を、製造業者等に提供すること。

共用しようとするものがGMP省令が適用されない物品の場合、共用の可否を判断できる情報を自ら収集するか、製造販売業者から収集すること。

製造業者等は、上記のように入手、収集した情報に基づき、GMP9―18に示したディシジョンツリー等を参考に構造設備の共用の可否を適切に評価し、交叉汚染を防止する適切な措置を確立することが求められる。

設備を共用しようとする場合、製造業者等は、当該物品がGMP省令が適用されるかどうかにかかわらず共用できると判断した理由(交叉汚染を防止する適切な措置を含む)について製造販売業者へ事前に連絡をし、製造販売業者はその連絡を受け、必要に応じ設備共用が可能であることの評価を行い、その結果を製造業者等に連絡すること。また、製造販売業者はGQP省令の規定に基づく製造業者等との取決めで、共用する場合の条件等を合意しておくことも考慮すること。

GMP9―22(設備の共用)

[問]GMP省令第9条第2項に「製品等を取り扱う作業室で、この省令が適用されない物品の製造作業を行ってはならない」との記載があるが、以下の物品について、原薬たる医薬品に係る製品を取り扱う作業室で製造作業を行おうとする際の留意事項は何か。

1.原薬たる医薬品の原料

2.輸出用原薬たる医薬品の中間体

3.医薬品の開発段階の有効成分、及びその原料と中間体

[答]1及び2に関しては、GMP省令第9条第1項第5号の規定に基づき、作業室の専用化の要否等を判断することで差し支えない。

一方、3に関しては、治験薬と同様、GMP省令が適用されない物品にあたり、GMP省令第9条第2項の規定が適用されるものであると考えられるが、改正省令公布通知第3の13(2)のとおり、「医薬品に係る製品を製造する場合であって、当該製品をGMP省令が適用されない物品に併用又は転用する」場合には、1及び2と同様に、GMP省令第9条第1項第5号の規定に基づき、作業室の専用化の要否等を判断することで差し支えない。

なお、設備を共用する場合の可否、留意点はGMP9―18、9―21を参照のこと。

GMP9―23(設備の共用)

[問]GMP省令第9条第1項第5号に「作業室(密閉容器に収められた製品等のみを取り扱う作業室及び製品等から採取された検体のみを取り扱う作業室を除く。次項において同じ。)を専用とし」とあるが、凍結乾燥機について、他の製品との共用は可能か。

[答]

1.減圧下での飛散のおそれが否定できないこと等から、原則として専用とすること。

2.ただし、製品等の種類によっては、製造時期が異なり、かつ、飛散し得ない又は交叉汚染し得ない状態にあることを示す合理的な根拠(洗浄バリデーション(GMP13―55を参照)データ等)が手順書等にあらかじめ規定されている場合には、凍結乾燥機の共用は可能な場合もあり得る。

3.なお、清浄化、教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされていることが前提である。

GMP9―24(設備の共用)

[問]ペニシリン類、セファロスポリン類等に係る製品の作業室の職員用の更衣室と、その他の製品の作業室の職員用の更衣室とを共用(エアシャワーは各々専用としている。)にしてもよいか。

[答]認められない。

GMP9―25(設備の共用)

[問]GMP省令第9条第1項第5号の「密閉容器に収められた製品等のみを取り扱う作業室」とは、具体的にどういった作業室を指すのか。

[答]例えば、PTP包装がなされたもの、瓶づめ後のもの等、製品等が通常の取扱いにおいて内容物の漏洩及び汚染を生じない密閉容器に収められた状態でのみ取り扱われる作業室を指す。

GMP9―26(設備の共用)

[問]ペニシリン類、セファロスポリン類等に係る製品といったGMP省令第9条第1項第5号の対象となる製品等の品質管理に係る試験検査室は、他の製品等の試験検査室と共用してもよいか。

[答]「他の製品等」を交叉汚染することがなければ、通例作業所から分離されている品質管理に係る試験検査室の共用は差し支えないが、工程内管理に係る試験検査室等については、交叉汚染のおそれのある物に係るものと「他の製品等」に係るものとを共用してはならない。「他の製品等」がペニシリン類、セファロスポリン類等により汚染されることを防ぐために、例えば試験検査室と「他の製品等」の製造作業室の空調を同系統としないこと、試験検査室の職員、採取された製品等、文書等が「他の製品等」の製造作業室を交叉汚染しないようにすること等の措置をとること。

GMP9―27(設備の共用)

[問]GMP省令第9条第1項第3号「作業所のうち作業室は、製品の種類、剤形及び製造工程に応じ、じんあい又は微生物による汚染を防止するのに必要な構造及び設備を有していること」の規定に関し、乾燥機、打錠機等を5~6基まとめて設置している場合には、これら乾燥ゾーン、打錠ゾーン等を単位にじんあい除去装置等の対応を考えればよいか。あるいは、乾燥機、打錠機等の1基ごとに対応が必要となるのか。(ペニシリン類、セファロスポリン類等に係る製品に関わるものを除く。)

[答]設問の場合、「ゾーン」において有効成分が異なる製品を同時に取り扱うことはないことを前提に、交叉汚染を防止しうるような作業管理を行えば、「ゾーン」ごとにじんあい除去装置の設置、作業室の専用化等の対応を考えても差し支えない。

GMP9―28(設備の共用)

[問]GMP省令が適用される医薬品に係る製品の製造のための構造設備をGMP省令が適用されない物品(医薬品又は医薬部外品、医療機器、化粧品、動物用医薬品、食品等)に係る製品等と共用してもよいか。

[答]

1.GMPが適用されない製品の共用の可否の判定は、GMP9―19やGMP13―56等をもとに、科学的根拠に基づかなければならない。共用できると判断した場合には、検証された当該物質の不活化若しくは除去する工程又は構造設備の清浄化による他の製品への交叉汚染の防止策を講じ、GMP省令が適用される医薬品に係る製品の製造と同一レベルの製造管理及び品質管理の下において製造することとし、医薬品に係る製品等との混同並びに汚染及び交叉汚染のない状態にあることを示す合理的な根拠(洗浄バリデーション(GMP13―55、56を参照)データ等)を、手順書等にあらかじめ規定しておく必要がある。

2.この場合、清浄化、教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされていることが前提である。

3.交叉汚染防止に係る適切な措置がとられているかどうかにかかわらず、以下の場合は共用不可である。

(1) 当該物品の製造作業において、飛散しやすく、微量で過敏症反応を示す物質を取り扱う場合

(2) 当該物品が人の身体に使用されることが目的とされていないものであって、かつ、その成分が強い薬理作用及び毒性を有しないことが明らかでない場合

4.なお、改正省令公布通知第3の13(2)に「GMPが適用されない物品(例えば、動物用医薬品、治験の対象とされる薬物等)に併用又は転用することは差し支えないものであること。」とされている。

GMP9―29(設備の共用)

[問]GMP省令が適用されない物品と製造設備を共用する場合の交叉汚染防止の措置である「不活化」及び「除去」にはどのような工程があるのか。

[答]代表的な不活化/除去工程の例には次のようなものがある。

1.加熱(例:液状60℃、12―24時間)

2.有機溶媒・界面活性剤処理

3.酸処理・アルカリ処理

4.放射線照射(γ線照射)※、オートクレーブ等※

5.抽出・吸着処理

※本不活化処理の場合、酵素活性の不活化や、微生物の死滅による不活化は期待できるが、酵素のタンパク質や死滅した微生物菌体が除去されるわけではないので、残存するタンパク質や微生物菌体の量にも留意が必要である。

GMP9―30(設備の共用)

[問]GMP省令が適用されない物品と製造設備を共用する場合の交叉汚染防止の措置である「不活化」及び「除去」とはどのような意味か。

[答]「不活化」とは、薬理作用や毒性等を失わせることをいい、「除去」とは、薬理作用や毒性等を有する物質を取り除くことをいう。

GMP9―31(設備の共用)

[問]不活化の程度はどのように評価すればよいか。

[答]不活化の程度については、清浄化(洗浄)の残留許容限度値の考え方を準用すること。

交差汚染防止に関する教育訓練

GMP9―32(交叉汚染防止に関する教育訓練)

[問]交叉汚染防止に関してどのような教育訓練を実施すべきか。

[答]交叉汚染が発生する原因(例:作業者に付着した粉末が作業者の移動とともに飛散、床にこぼれた粉末が台車等の車輪に付着して作業室の内外に飛散等)、交叉汚染防止のための作業手順等について、製造所の製造管理に合わせて具体的に教育し、定められた手順に従って正しく作業する重要性を十分に理解できるように教育すること。教育訓練に当たっては、製造に従事する作業者だけでなく、清掃作業に従事する者など、製造区域に入る関係業者すべてを対象として実施すること。

製造用水に関する構造設備

GMP9―33(製造用水に関する構造設備)

[問]GMP省令第9条第1項第6号の規定に関し、非無菌経口剤の原薬たる医薬品に係る製品の製造に用いる水は、どの程度の管理をするべきか。また、最終精製工程にて蒸留精製される原薬たる医薬品に係る製品の製造においては、その蒸留精製の前工程において使用される水の質をどのように規定し、どの程度まで管理する必要があるか。

[答]「原薬GMPのガイドライン」(平成13年11月2日医薬発第1200号)においては、「正当な理由がない限り、少なくとも、水道法に基づく水質基準又は世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインに適合すること」が求められている。なお、各国の飲料水の基準が水道法に基づく水質基準又はWHOの飲料水水質ガイドラインに適合したものであることがあらかじめ確認されている場合は、各国の飲料水の基準に適合することを確認することでもよい。また、原薬たる医薬品に係る製品の製造用水の選択については、日本薬局方参考情報「製薬用水の品質管理」も参考にすること。なお、製造用水の質を確保するために当該製造用水の用途、水処理設備の殺菌等を含めた維持管理の状況を考慮して適切な間隔でモニタリングする必要がある。

GMP9―34(製造用水に関する構造設備)

[問]GMP省令第9条第1項第6号の水の適用範囲には、原薬たる医薬品に係る製品の製造所において、製造に使用する設備及び器具並びに容器の洗浄水、試験検査に用いる水は含まれるか。

[答]含まれる。

GMP9―35(製造用水に関する構造設備)

[問]GMP省令第9条第1項第6号に製品の製造に必要な質及び量の水の供給設備を備えることが規定されているが、必要な質の製造用水を外部の供給者から購入してそのまま使用してもよいか。

[答]製造用水を外部から購入する場合は、管理単位ごとに必要な質に関する受入試験を実施し、適合していることを確認した上で使用すること(例:日本薬局方医薬品各条「精製水(容器入り)」の試験項目の実施)。なお、水道水については、必要な質に関する受入試験は不要であるが、定期的に水道法に基づく水質基準又は世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドライン(各国の飲料水の基準が水道法に基づく水質基準又はWHOの飲料水水質ガイドラインに適合したものであることがあらかじめ確認されている場合は、各国の飲料水の基準を含む。)に適合していることを確認すること。

第10条(製造管理)関係

製造指図書

GMP10―1(製造指図書)

[問]GMP省令第10条第1号の製造指図書の記載事項としての改正省令公布通知第3の14(1)⑥に示された「期待される収量」及び「標準的な収量」について説明してほしい。

[答]一般的に、期待される収量とは、原料仕込量から医薬品製品標準書に基づきあらかじめ計算することができる100%の収量をいうが、原薬たる医薬品に係る製品の製造の場合には、原料仕込量に基づき化学量論的に算出された収量を期待される収量という。また、標準的な収量(収率)とは、医薬品製品標準書に基づいて実際に製造したときの標準的(平均的)な収量(収率)として、実験データ、パイロットスケールデータ又は実績データに基づき定められる適切な範囲をいう。なお、一般的に出来高量(実収量)については、収量の逸脱があったときは当該逸脱により影響を受けるロットの品質に及ぼす影響又はそのおそれについて明らかにすること。

GMP10―2(製造指図書)

[問]毎日、同じ製品を、同じ製造量、同じ製造方法により製造する場合には、共通事項は省略して、指図年月日、ロット番号又は製造番号等必要事項のみを記載した紙媒体または電子的な媒体をもってGMP省令第10条第1号の製造指図書としてもよいか。

[答]共通事項であっても省略すると、ロットの混同等その他ミスの原因となりうることから、製造指図書にはすべての必要事項を記載する必要がある。

GMP10―3(製造指図書)

[問]GMP省令第10条第1号の製造指図書は工程ごとに作成してもよいか。

[答]医薬品製品標準書等に基づき適切に製造指図がなされるのであれば、製造指図書は工程ごとに、あるいは全工程まとめて作成しても差し支えない。

GMP10―4(製造指図書)

[問]GMP省令第10条第3号において、原則として、一製造指図書に基づき製造された製品群が一ロットになるよう製造することとされているが、毎日同じ製品を同じ製造方法により製造する場合には、数日間ごと又は月ごとに発行してもよいか。

[答]認められない。ただし、同日内において、数ロットの製品を同一の指図内容(改正省令公布通知第3の14(1)③~⑧(③の時刻を除く。)に示す内容を含む。)により繰り返し製造する場合には、ロット番号欄に同日内に製造されるロット番号がすべて記載された1枚の指図書をもって数ロット分の指図書としても差し支えない。

GMP10―5(製造指図書)

[問]GMP省令第10条第1号の製造指図書の記載事項としての改正省令公布通知第3の14(1)⑥「製造工程における製品(中間製品を含む。)のバッチサイズ、期待される収量(期待される収量を求めるのが困難な場合には標準的な収量)及び収量の許容限度値」に関し、原薬に係る製品の製造において回収母液を次のロットに繰り越して使用するケースがあり、製造指図書に正確な回収母液の仕込量を記入することができない場合がある。この場合には、回収母液仕込量を概算量で記載してもよいか。また、収率による管理は、ロットごとに行うことは困難であることから、連続した一定期間の収率により管理してもよいか。

[答]

1.前段の設問については、やむを得ない場合には、差し支えない。ただし、製造販売承認(届出)書に逸脱しない範囲での仕込量の記載、母液の管理値(例えば含有率等)、ロットごとの収率等の母液管理を行うこと。

2.後段の設問の収率管理については、ロットごとに行うべく製造指図を行うことが原則である。ただし、ロットごとに収量を特定して製造指図を行うことが困難であり、やむを得ない場合には、少なくとも実績データ等に基づくロットごとの収量の目安となる基準を定めて指図を行い、あわせて一製造期間の連続複数ロットでの出来高量及び収率を製造記録に記載するものとし、複数ロットの収率の逸脱があったときは当該逸脱に関連するロットの品質に及ぼす影響又はそのおそれについて明らかにし、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、差し支えない。

3.なお、一般的に出来高量(実収量)については、製造工程のうちあらかじめ定めた段階において比較を行うものとし、重要工程に係る収量の逸脱があったときは当該逸脱により影響を受けるロットの品質に及ぼす影響又はそのおそれについて明らかにすること。

GMP10―6(製造指図書)

[問]GMP省令第10条第1号の製造指図書の記載事項としての改正省令公布通知第3の14(1)⑥に「期待される収量(期待される収量を求めるのが困難な場合には標準的な収量)及び収量の許容限度値」とあるが、原薬たる医薬品に係る同一の製品の、同一の製造期間に同一の製造条件、同一の製造設備により製造する連続ロットについて完全な設備器具洗浄は行わない結果、ロットごとの収率が変動する場合、収率の「ばらつき」はどの程度許容されるのか。

[答]

1.ロットごとの標準的な収量(収率)の幅については、製品、製造方法、製造設備等によって異なりうることから一概には決められるものではない。実績データ等に基づき製品の品質に影響を及ぼしうる逸脱を把握する等の観点から適切な管理幅を設定し、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記の上、工程を適切に管理すること。

2.また、一般的に出来高量(実収量)については、製造工程のうちあらかじめ定めた段階において比較を行うものとし、重要工程に係る収量の逸脱があったときは当該逸脱により影響を受けるロットの品質に及ぼす影響又はそのおそれについて明らかにすること。

3.なお、同一製品の継続的製造又は期間を限定した製造を行う場合であっても、汚染物質の生成及びそのキャリーオーバーを防止するために適切な間隔での清浄化(原薬たる医薬品に係る製品においては、不純物プロファイルに悪影響を及ぼしうるような分解物又は微生物汚染のキャリーオーバーの原因とならないようにすること。)を行うことが前提であること。

GMP10―7(製造指図書)

[問]製造販売承認(届出)書の分量が「質量(容量)」により記載されている成分について、GMP省令第10条第2号の製造指図において、実作業の秤量においては比重により換算して「容量(質量)」により秤量するよう指図してもよいか。ただし、その成分の各温度においての比重は十分に調査してあらかじめ医薬品製品標準書に明記している。

[答]差し支えない。なお、一般的に重要な秤量の作業については、作業者以外の者の立会いのもとで行うこと(他の方法により同等の管理を行うことができる場合を除く。)。また、指図及び記録において随時換算処理を行う場合は、ダブルチェック若しくはこれに代わる確認で換算の間違いを防止すること。

GMP10―8(製造指図書)

[問]製造販売承認(届出)書において液剤又は注射剤の内容量は容量(mL)により記載されているところ、当該医薬品に係る製品の製造において、GMP省令第10条第2号の製造指図における充填量を、質量を測定し比重により容量(mL)に換算することと指図してもよいか。ただし、その成分の各温度においての比重は十分に調査してあらかじめ医薬品製品標準書に明記している。

[答]差し支えない。なお、一般的に重要な秤量の作業については、作業者以外の者の立会いのもとで行うこと(他の方法により同等の管理を行うことができる場合を除く。)。また、指図及び記録において随時換算処理を行う場合は、ダブルチェック若しくはこれに代わる確認で換算の間違いを防止すること。

GMP10―9(製造指図書)

[問]カプセル剤に係る製品の同一のロットの中間製品を、長時間にわたって、同一の製造条件、同一の製造設備により連続して小分け包装する工程について、GMP省令第10条第2号の製造指図(GMP10―3を参照)を、1枚の製造指図書により行ってもよいか。

[答]設問の場合、小分け包装されたものが同一ロットとみなされる範囲内(GMP2―23を参照)で認められる。なお、GMP10―4を参照すること。

GMP10―10(製造指図書)

[問]同一のロットの中間製品を、長時間にわたって、同一の製造条件、同一の製造設備により行う数工程について、GMP省令第10条第2号の製造指図を、1枚の製造指図書により行ってもよいか。

[答]設問の場合、「数工程」を経たものが同一のロットとみなされる範囲内(GMP2―23を参照)で認められる。なお、GMP10―4を参照すること。

GMP10―11(製造指図書)

[問]GMP省令第10条第1号に、「製造工程における指示事項、注意事項その他必要な事項を記載した文書(以下「製造指図書」という。)を作成し、これを保管すること」とあるが、品質保証に係る業務を担当する組織が保管することでもよいか。

[答]製造指図書の保管に当たっては、必ずしも製造部門が保管する必要はなく、あらかじめ品質保証に係る業務を担当する組織が保管することを手順書等に記載し、それに基づき製造指図書を保管することでも差し支えない。

製造記録

GMP10―12(製造記録)

[問]製造記録に記載する製品等及び資材の名称は、製造業者等の内部において使用している略号を用いて記載してもよいか。

[答]正式な名称と「略号」との関係について最新の改訂状況を識別することができるようにしておくこと、教育訓練の計画的実施等必要な措置をとり、混同等のおそれがないとする合理的な根拠を品質部門が確認し、それらが医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されていれば、差し支えない。

GMP10―13(製造記録)

[問]GMP省令第10条第4号の製造記録は、1枚に数ロット分を記入してもよいか。

[答]記録については原則ロットごとに作成し、当該ロットに問題があった場合に追跡調査をして原因究明できるようにしておくこと。なお、ロットごとに管理することが必ずしも合理的ではない記録(例えば、日常点検記録、作業室モニタリング記録等)については、別冊により管理されていても、各ロットとの関係が追跡を可能とするようにされていれば差し支えない。

GMP10―14(製造記録)

[問]GMP省令第10条第4号の製造記録類を英文で作成してもよいか。

[答]製造業者が製造記録類を英文で作成することは原則として認められない。なお、邦文と英文を併記することは差し支えない。外国製造業者にあっては、責任者その他職員がよく理解することのできる言語により作成することは差し支えない。

GMP10―15(製造記録)

[問]GMP省令第10条第4号の製造記録の記載事項としての改正省令公布通知第3の14(4)⑤「製造工程で使用した原料等の名称、ロット番号(ロットを構成しない原料については製造番号)及び管理単位番号、使用数量(実測値)」に関し、原薬たる医薬品に係る製品の製造工程において使用している溶媒を回収し、繰り返し使用している場合の仕込量はどのように考えたらよいか。

[答]設問の場合、回収溶媒の再使用量と新たに混合した溶媒の量とを記録すること。なお、再使用の溶媒及び新たに混合した溶媒に関しては混合前に規格に適合していることを確認しておく必要がある。

GMP10―16(製造記録)

[問]GMP省令第10条第4号の製造記録の記載事項としての改正省令公布通知第3の14(4)⑤「製造工程で使用した原料等の名称、ロット番号(ロットを構成しない原料については製造番号)及び管理単位番号、使用数量(実測値)」に関し、自動秤量器を用いて異なるロットの原料を連続して秤量する場合、製品にどのロットの原料をそれぞれどれだけ使用したか不明であるときの製造記録はどのように作成すればよいか。

[答]製造指図においては、原料の配合量又は仕込量について計量単位を含め正確な記述をもって行われることが原則である。少なくとも製造記録には使用した原料のすべてのロット番号と使用総量を記入する必要がある。

GMP10―17(製造記録)

[問]GMP省令第10条第4号の製造記録の記載事項としての改正省令公布通知第3の14(4)①「氏名」、④「氏名又はイニシャル」及び⑧「氏名又はイニシャル」に関し、製造記録に記入する責任者名、職員名及作業主任者名を社員番号に置き換えてもよいか。

[答]認められない。

受入れ及び保管

GMP10―18(受入れ及び保管)

[問]GMP省令第10条第5号及び第6号の規定に基づき製品等及び資材の受入れ及び保管を行う上での注意事項を示してほしい。

[答]

1.製品等及び資材の受入れ及び保管上の注意事項の例

(1) 製品等及び資材の個々の容器又は一群の容器は、識別コード、ロット番号又は管理単位番号、受領番号等により識別表示し、当該番号により各ロット又は各管理単位の配置、移動等を管理すること。また、各ロット又は管理単位の管理状態(例:「試験検査中」、「合格品」、「不合格品」、「返品」、「出荷可否決定待ち」、「出荷可」、「出荷不可」、「回収品」、「廃棄」等)を確認することができるようにすること。

(2) 製品等及び資材は、分解、汚染及び交叉汚染を防止するような方法により取り扱い、保管すること。

(3) 製品等及び資材が保管されている容器(ファイバードラム、箱等)は、原則として直接床に置かないものとし、他の方法により対処することができる場合を除き、清浄化及び検査を行うために必要な場合には適切な間隔をあけて置くこと。

(4) 製品等及び資材は、その品質に悪影響を及ぼさない条件及び期間の下で保管され、通常最も古いものから順次使用されるように出納を管理すること。

(5) 不合格と判定された製品等及び資材については、許可なく製造に使用されることのないよう、識別され、区画して保管すること。

2.原料等の受入れ及び保管上の注意事項の例

(1) 入荷した原料等については、受け入れる前に、適正な表示物を伴うものであること(供給者での名称と製造業者等での名称とが異なる場合には、その関係についての検査を含むこと。)並びに容器の破損、封かんの破損及び無断変更又は汚染の形跡がないことを外観検査により確認すること。

(2) 専用ではないタンクローリー等による輸送により原料が入荷する場合には、タンクローリー等が清浄化済みであることを示す証明書の受領、試験検査、供給者の監査(実地又は書面)等のうち適切な項目を実施することとし、これにより交叉汚染を防止すること。

(3) 大型の貯蔵容器及びその付属配管類並びに当該容器の充填又は排出のための配管等については識別表示を行うこと。

3.資材の受入れ及び保管上の注意事項の例

(1) ラベルの保管区域への出入りは、許可された職員に限定すること。

(2) ラベルの発行量、使用量及び返却量の収支を確認し、合致しない場合には、原因究明を行い、品質部門の確認を受けること。

(3) ロット番号その他ロットに関連した事項が表示された余剰ラベルについてはすべて破棄すること。

(4) 旧版及び使用期限切れのラベルは破棄すること。

保管

GMP10―19(保管)

[問]GMP省令第10条第6号の解釈としての改正省令公布通知第3の14(6)①に「製品等についてはロットごと(ロットを構成しない製品等については製造番号ごと)に、資材については管理単位ごとに、それぞれ適正に保管し、出納を行う」とあるが、充填・閉塞済み中間製品を、包装のため、包装作業室内に線引き等により明確に区分して一時保管してもよいか。また、製品等及び資材をラックビル倉庫に保管する場合の取扱いを示してほしい。

[答]

1.GMP10―18 1.の注意事項を踏まえた手順等が、手順書等にあらかじめ規定されており、「包装作業室」において作業に従事する職員の教育訓練の計画的実施その他混同並びに汚染及び交叉汚染の防止のために必要な措置を採っている場合には、差し支えない。

2.いわゆるラックビル倉庫を利用して保管する場合には、1パレットを1区分とみて管理しても差し支えない。

GMP10―20(保管)

[問]同一保管場所において、製品、原料等をパレット単位により区分し、「試験検査中」、「合格品」、「不合格品」等の表示をすることにより管理する方法をもって、GMP省令第10条第6号の解釈としての改正省令公布通知第3の14(6)①の「適正に保管」とみなされるか。

[答]

1.混同並びに汚染及び交叉汚染の防止のために必要な措置を十分に採っている場合にはみなされる。なお、不合格であると判定(OOSが得られた(GMP11―60を参照)時点で可能な限り速やかに対応することが望ましい。)された製品、原料等については、返品、廃棄等必要な措置を講じるまでは、混同の防止を確実なものとするため、可能な限り速やかに隔離した保管状態が可能となる場所等に移動する等の措置を講じること。

2.なお、不合格であると判定された物の最終処置について記録を作成し、これを保管すること。

GMP10―21(保管)

[問]GMP省令第10条第6号の規定に関し、製品、原料等のそれぞれについて保管場所を定めている場合、例えば原料の保管場所を一時的に製品の保管場所にする等、一時的にこれら以外のものの保管場所とする際の留意事項を示してほしい。

[答]混同並びに汚染及び交叉汚染の防止のために必要な措置を十分に採るとともに、その手順等を品質部門が確認し、手順書等にあらかじめ規定すること。なお、製造業許可・認定に係る変更届の提出の要否については、厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課が発出する通知、事務連絡等に従うこと。

GMP10―22(保管)

[問]GMP省令第10条第6号の規定に関し、製品、原料等の異なる種類又は異なるロットを、それぞれ明確に区分した上で同一のパレットに混載してもよいか。

[答]GMP10―18 1.の注意事項を踏まえた手順等を品質部門が確認し、手順書等にあらかじめ規定されており、同一「パレット」上においても、物理的な分離がされ、個装単位での表示をする等、明確に区分がなされ、混同並びに汚染及び交叉汚染の防止のために必要な措置を採っている場合には差し支えない。ただし、不合格品との混載は認められない。試験検査中(仮保管)のものは合格品と混載せず、少なくとも別の「パレット」とすること。

GMP10―23(保管)

[問]GMP省令第10条第6号の解釈としての改正省令公布通知第3の14(6)②ウに「法第50条から第52条までの規定による事項が記載されている資材の保管にあっては、品目別に区分されるとともに、それぞれの保管場所に当該資材の品目名又は品目記号の標識がなされ」とあるが、その梱包に当該表示材料の品目名を示す表示があれば保管場所への表示に代えられるか。

[答]GMP10―19及びGMP10―22を踏まえた手順等を品質部門が確認し、手順書等にあらかじめ規定されており、職員の教育訓練の計画的実施その他混同の防止のために必要な措置を採っている場合には、保管場所への表示に代えられる。ただし、表示内容の改版や先入れ先出しを管理するための管理番号、検査前後の状態管理等の表示は必要である。

GMP10―24(保管)

[問]改正省令公布通知第3の14(6)②ウにおいて、法の規定による事項が記載されている資材の保管に関し、管理上の留意点が示されているが、法の規定による事項以外のみが表示されている資材の管理上の留意点を示してほしい。

[答]法の規定による事項以外のみが表示されている資材であっても法の規定による事項が記載されている資材と同様の管理を行うこと。

GMP10―25(保管)

[問]GMP省令第10条第7号の規定に関し、原料を秤量の都度秤量室へ搬入し、秤量後また原料倉庫へ戻すことは繁雑であるので、外装を清潔な状態にし、かつ、混同並びに汚染及び交叉汚染を避けるよう配慮すれば秤量室において保管してもよいか。

[答]秤量室においての保管は認められない。秤量室の近くに小出しするための原料倉庫を設けること等により対処すること。

GMP10―26(保管)

[問]法第50条第11号の規定に基づき習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品(以下「習慣性医薬品」という。)を製造する際の取り扱いについて、留意事項を示して欲しい。

[答]習慣性医薬品についてはその特性上、他の医薬品への混入等が起きた場合等、保険衛生上の危害発生の蓋然性が高いことからも、「医薬品の製造業者におけるGMP省令違反等を踏まえた無通告立入検査の徹底強化等について」(令和3年2月9日薬生監麻発0209第1号監視指導・麻薬対策課長通知)3.に記載される製造管理を徹底するとともに、他の製品又は原料と明確に区分しての保管や保管場所の入退室の記録を作成する等、保管の管理に留意すること。

保管記録及び出納記録

GMP10―27(保管記録及び出納記録)

[問]GMP省令第10条第6号の解釈としての改正省令公布通知第3の14(6)②オに「資材については管理単位ごとに、入庫した日付及び数量、保管中にとられた措置、出庫した日付及び数量が記載されていること」とあるが、すべての資材について作成する必要があるか。

[答]GMP管理が必要なものはすべて対象となる。少なくとも規格及び試験方法が製造販売承認(届出)書において規定された資材、法の規定による事項が記載されている資材については、GMP10―18を踏まえその受入れ及び保管を行うとともに、保管及び出納について記録を作成すること。

GMP10―28(保管記録及び出納記録)

[問]市場への出荷の可否の決定を委託されている製造業者は、GMP省令第10条第6号において要求されている製品の保管出納の記録を、GQP省令において要求されている「出荷先等市場への出荷に関する記録」に必要な医薬品の出納記録(販売名、ロット番号、出納数量、出荷先等)として利用してもよいか。

[答]当該製造所からの出荷可否決定において可とされた製品がその後何ら製造工程を経ることなく医薬品としての市場への出荷可否決定に付されること、製造所からの出荷可否決定と市場への出荷可否決定とは別のものであることが前提であるが、GMP省令及びGQP省令において要求されている必要事項が記載されており、かつGMP及びGQPの運用上支障がない場合には、製品の出納記録は医薬品の出納記録としても利用されうる。

衛生管理記録

GMP10―29(衛生管理記録)

[問]GMP省令第10条第7号の構造設備の清浄確認結果記録、同条第8号の職員の衛生管理記録といった、製造に関する衛生管理記録は、同条第4号の製造記録用紙の中に記録してもよいか。

[答]GMP省令、改正省令公布通知等に示された必要事項が記載されており、「製造に関する衛生管理記録」がどの製品のどの(複数の)ロットに対応するものであるかが明確であり、逸脱管理、出荷可否決定、回収対応等GMP省令の規定の実施に支障のないようにされていれば、差し支えない。

GMP10―30(衛生管理記録)

[問]GMP省令第10条第7号の構造設備の清浄確認結果の記録を作成する上での注意事項及び一般的な様式を示してほしい。

[答]

1.GMP8―4の各事項を踏まえた清浄化が行われたことを確認し、清浄を行った年月日(必要があれば時刻)、当該構造設備を用いて製造した製品の名称、ロット番号又は製造番号並びに清浄化を行った者の氏名を記載すること。

2.「一般的な様式」は一概に決められるものではなく、各製造所の実情に見合ったものを作成すること。

GMP10―31(衛生管理記録)

[問]GMP省令第10条第7号に「構造設備の清浄を確認する」とあるが、どの程度(レベル)の清浄が求められるのか。

[答]製品のリスクに応じた清浄度レベルを定め、その根拠をあわせて手順書等にあらかじめ規定しておくこと。

GMP10―32(衛生管理記録)

[問]GMP省令第10条第8号の「職員の衛生管理を行うとともに、その記録」とは具体的に何を記録するのか。また、記録は、労働安全衛生法の規定に基づき作成される記録を利用してもよいか。

[答]改正省令公布通知第3の11(1)①ウ(イ)にある手順に係る事項、すなわち「製造作業に従事する職員以外の者の作業所への立入り制限」、「作業所における、入退時の更衣及び手洗い、防護具の着用等」、「職員の健康状態の把握」(GMP8―10を参照)、「作業所における、所持品及び化粧の制限、飲食喫煙の禁止等」等に係る記録をいう。GMP省令、改正省令公布通知等に示された必要事項が記載され、必要な管理(第20条に規定する事項等)がなされており、かつ、労働安全衛生法の運用上も問題がなければ「労働安全衛生法の規定に基づき作成される記録」をGMP文書として管理し、活用しても差し支えない。

校正記録

GMP10―33(校正記録)

[問]GMP省令第10条第7号の構造設備の清浄確認結果記録、同条第8号の職員の衛生管理記録といった、製造に関する衛生管理記録は、同条第4号の製造記録用紙の中に記録してもよいか。

[答]計器の種類、特性、使用目的、使用頻度等により、製品の品質へのリスクを勘案し、製造業者等として定めておくこと。

GMP10―34(校正記録)

[問]GMP省令第10条第9号の「計器の校正」については、どの計器をどのような方法により校正すればよいのか。また、国家標準が存在する計量に係るものについては、当該標準への追跡可能性(トレーサビリティ)の確保がすべて必要なのか。

[答]以下の点を確実にすること。

1.計器のリストを作成し、校正の必要な計器、校正方法、校正頻度等について、計器の種類、特性、使用目的、使用頻度により、製品の品質確保への悪影響に起因するリスクを勘案し、製造業者等として定め、少なくとも製品の品質に影響を及ぼしうる計器については校正を実施すること。

2.重要な計器については、校正の状態が明らかになるように(例:次回校正実施予定年月日等を記載したラベルの貼付等)すること。校正基準に適合しない計器及び次回校正実施予定年月日を超過した計器には「使用不可」の表示等を行うこと。

3.重要な計器が、その校正において、あらかじめ定められた標準(限界)値から逸脱していた場合には、前回校正以降に当該計器を用いて製造された製品の品質への影響を評価し、判定を行い、所要の措置をとること。

4.いわゆる国家標準が存在する場合には、当該標準まで追跡することが可能な方法により校正がなされていることが必要であり、いわゆる国家標準が存在しない場合には、校正の根拠について記録すること。

GMP10―35(校正記録)

[問]計量法に規定されている計量器の定期検査をもって、計器類の定期的点検整備を行ったものと解してもよいか。計量法において定期検査を義務づけられていない濃度計その他の計器についての定期的な点検整備はどの程度のものをいうのか。

[答]GMP省令第10条第9号の構造設備の点検整備に関する事項のうち、計量器については、計量法による点検とは別に、計器の種類、特性、使用目的、使用頻度等により、製品の品質へのリスクを勘案し、製造業者等として点検を行う必要がある。

品質保証に係る業務を担当する組織への報告

GMP10―36(品質保証に係る業務を担当する組織への報告)

[問]GMP省令第10条第10号の品質保証に係る業務を担当する組織への文書報告の仕組みとして、製造、保管及び出納並びに衛生管理に関する状況を一括して報告してもよいか。

[答]製造管理及び品質管理に関する情報のうち、出荷判定に必要なものについては、当該ロットの製造所からの出荷の可否の決定前に報告すること。この場合、ロットごとに作成する製品の製造記録を含め、製造、保管及び出納並びに衛生管理等の個々の管理状況を確認の上、品質保証に係る業務を担当する組織に報告すること。なお、それ以外の情報で、定常的に管理する項目については、異常のある場合を除いて、定期的に一括して報告しても差し支えない。

その他

GMP10―37(その他)

[問]原薬たる医薬品に係る製品に関し、承認書の製造方法欄には記載されていない篩過工程又はろ過工程について、異物除去を目的として追加してもよいか。なお、原薬たる医薬品に係る製品の篩過又はろ過による品質への影響がないことは検証されている。

[答]承認事項に影響を及ぼすおそれがあることから、当該工程を追加することについて、あらかじめ製造販売業者の確認を受けること。その他、当該工程の追加に際しては、GMP省令第14条の規定に従い変更管理を行うこと。

第11条(品質管理)関係

試験検査

GMP11―1(試験検査)

[問]外国製造所において製造された原薬たる医薬品を輸入した後に包装等区分製造業者Aにおいて保管し、そのまま包装及び表示を含め何ら手を加えることなく(容器等への邦文ラベル等の貼付は除く。)国内の製剤製造業者Bに受け渡しを行う。当該製剤製造業者Bは当該原薬たる医薬品を用いて製剤を製造し、製造所からの出荷可否決定とともに市場への出荷可否決定を行う。この場合、包装等区分製造業者Aにおける受入時の試験検査において、製剤製造業者Bが受入時に行う試験項目について、試験検査を実施する必要があるか。

[答]以下の事項をすべて満たす場合に限り、「包装等区分製造業者A」は、その保管作業が影響を及ぼさない項目であって、かつ「製剤製造業者B」の受入時に試験検査を行う項目に係る試験検査(外観検査を除く。)を必ずしも実施しなくとも差し支えない。

1.製造販売業者は、「包装等区分製造業者A」との間において当該原薬たる医薬品の保管に関し、及び「製剤製造業者B」との間において当該製剤に係る製品の製造に関し、GQP省令の規定に基づく取決めを締結しており、その中で「包装等区分製造業者A」における保管条件等の変更は「包装等区分製造業者A」と「製剤製造業者B」の両者が合意の上で行うこととされており、かつその旨が医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されていること。

2.「包装等区分製造業者A」における保管作業が、当該試験検査項目において保証している製品の品質に影響を及ぼさないことを示す合理的な根拠についてGQP省令の規定に基づく取決めに記載されており、かつその旨が医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されていること。

他の試験検査機関

GMP11―2(他の試験検査機関)

[問]GMP省令第11条第1項第4号の試験検査を、構造設備規則第6条第7号及び「薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律等の施行について」(平成16年7月9日薬食発第0709004号)第3の10製造行為の部分的な委託の規定を踏まえて他の試験検査機関を利用して行う場合、どのような事項に注意すべきか。

[答]

1.製造業者等は、GMP省令第11条の5第1項及び第2項に基づき、適切に取決めを締結し、当該外部試験検査機関の利用に係る検体の採取(GMP11―44を参照)、保管及び送付、試験検査の実施(改正省令公布通知第3の15(1)④を参照)、試験検査設備の点検及び整備(GMP11―38を参照)、試験検査成績書の作成、試験検査記録(改正省令公布通知第3の15(1)④アを参照)の作成及び保管(記録の信頼性を確保するために必要な業務を含む。)、試験検査結果の報告等の必要な事項を、手順書等にあらかじめ規定しておくこと。

2.試験検査成績書には、次の事項を記載すること。なお、規格値及び試験検査の結果が数値で得られる場合には、その数値を明示すること

(1) 当該外部試験検査機関の氏名(法人にあっては、名称)及び連絡先等

(2) 当該外部試験検査機関による試験検査の実施年月日

(3) 当該製造業者等の氏名(法人にあっては、名称)及び連絡先等

(4) 当該外部試験検査機関による試験検査の結果及び当該製造業者等による判定年月日

3.製造業者等は、当該製品について、1.の事項を記載した文書を作成するとともに、あらかじめ指定した者に、必要に応じて当該外部試験検査機関の試験検査担当者に対して、試験検査を行うに当たり必要な技術的事項や注意すべき事項等を説明させ、取決め(いわゆる「再委託」は原則として行ってはならないものと規定すること。)を締結すること。また、当該取決めに係る文書は、当該製造業者等及び当該外部試験検査機関の双方において保管すること。

4.製造業者等は、あらかじめ指定した者に、当該外部試験検査機関において上記3の文書の内容に基づき適正に試験検査が実施されていることを、必要に応じて実地に確認させ、その記録を作成の上保存させること。

5.製造業者等が当該外部試験検査機関の試験検査設備について実地の確認を行うこと、及び自らが迅速かつ適切に利用することができるよう、必要に応じて取決めを締結しておくこと。

6.製造業者等又は当該外部試験検査機関の一方において試験検査成績書の原本を、他方においてその写しを保存するものとし、直ちに利用することができるようにすること。

7.試験検査方法等の変更は、当該製造業者等がその変更について連絡を受け、かつ承認しない限り行われないようにすること。

試験検査の一部省略等

GMP11―3(試験検査の一部省略等)

[問]製品の製造に用いる有機溶剤、酸、アルカリ等の液体原料を1つのタンクを用いて受け入れている場合、タンクには当該原料の複数ロットが混在することになるが、その場合の留意事項は何か。

[答]新たに入荷した液体原料を既存の在庫品(例:大容量の貯蔵容器内の既存の溶媒)と混合する際、あらかじめ入荷した原料が適正なものであることを確認するのに必要な試験検査を行った上で使用すること。なお、液体原料の保存については、品質低下をおこさないよう留意するものとし、液体原料のタンクへの移送における汚染の可能性、消費量、安定性等によっては、必要に応じタンク内の液体原料について適切な間隔でモニタリングを行うこと。

GMP11―4(試験検査の一部省略等)

[問]GMP省令第11条第1項第4号の規定に関し、製造業者等が原料等の受入れ時の試験検査の一部項目について、当該原料等の供給者の試験成績書の確認をもってその実施に代えることができる場合があれば、事例を示してほしい。

[答]以下に掲げる条件をすべて満たし、かつ供給者の試験成績書の確認をもって一部の項目の試験検査の実施に代えても当該製品の品質に影響を及ぼさないことを示す合理的な根拠があり、医薬品製品標準書等にその旨があらかじめ明記されている場合には、当該製造業者等は、原料等の供給者の試験成績書の確認をもって当該項目の試験検査の実施に代えても差し支えない。ただし、承認事項として規定された受入試験については当該承認事項に従って実施すること。

1.製造業者等が、GMP省令第11条の4第1項の規定に基づき、供給者を適切に管理し、規格に適合する原料等が継続的に供給されるよう適切かつ円滑な製造管理及び品質管理の下に製造されていることを確認していること。

2.製造業者等が、供給者の試験成績書の確認をもって当該項目の試験検査の実施に代える前に少なくとも3ロット又は3管理単位等リスクに応じたロット数の全項目についての試験検査を行っており、かつ、定期的に自ら試験検査を行い、供給者による試験検査成績と自らによる受入れ試験検査の成績とを一定の間隔で確認し、継続的に相関性を有していることを確認している項目であること。

3.製造業者等が、自らによる受入れ試験検査の成績が安定しており、規格幅からみて不合格になるおそれがないことを確認している項目であること。

4.供給者において、製造業者等による受入時の試験検査と同一の試験方法により実施されている項目であること。

5.利用する試験検査が行われた後の輸送等による影響がないことが確認されている項目であること。

6.上記に関わらず、外観検査及び確認試験については、製造業者等が自ら行うこと。

7.製造業者等が、当該原料等の品質に影響を及ぼす又はそのおそれのある変更について、原料等の供給者又は製造販売業者との取決め等の適切な方法により把握の上、GMP省令第14条の変更管理の対象とすること。

GMP11―5(試験検査の一部省略等)

[問]GMP省令第11条第1項第4号の規定に関し、日本薬局方、食品添加物公定書、JIS等への適合品等の表示のあるものを原料とする場合、このことを理由として、これらの原料の受入れ時の試験検査を一部省略することができるか。

[答]日本薬局方、食品添加物公定書、JIS、JAS等公定規格表示のあるものについても、このことをもって受入れ時の試験検査の一部省略の理由とすることはできない。

GMP11―6(試験検査の一部省略等)

[問]麻薬を原料とする場合、GMP省令第11条第1項第4号の原料の受入れ時の試験検査を省略してもよいか。

[答]原料として用いる麻薬があへん系麻薬である場合には、大部分の試験検査項目を省略しても差し支えない。ただし、外観検査等可能な試験検査は実施すること。なお、けしがら濃縮物(CPS)由来の麻薬を原料として用いる場合には当該QAを参考に原料の受入時の試験検査を省略することは認められない。

GMP11―7(試験検査の一部省略等)

[問]覚醒剤原料たる原料について、GMP省令第11条第1項第4号の受入れ時の試験検査を省略してもよいか。

[答]認められない。

GMP11―8(試験検査の一部省略等)

[問]国家検定合格品を原料として用いる場合にも、GMP省令第11条第1項第4号の原料の受入れ時の試験検査が必要か。もし必要がない場合は試験検査設備も不要か。

[答]原則として、大部分の試験検査を省略しても差し支えない。ただし、確認試験、外観検査のほか、必要に応じて力価測定等の最低限の試験検査は実施する必要があり、そのための試験検査を行う体制は必要である。

GMP11―9(試験検査の一部省略等)

[問]GMP省令第11条第1項第4号の規定に関し、原料として用いる生薬の品質をその外観検査等によりチェックすることができる場合には、製造販売承認(届出)書記載の確認試験の実施を省略してもよいか。

[答]原則として認められない。

GMP11―10(試験検査の一部省略等)

[問]複数ロットの同一原料を一回に仕込む場合各ロットから仕込量の比に応じた量を採取したものを混合して試料としたものの一回の試験検査をもって、GMP省令第11条第1項第4号のロットごとの試験検査としてもよいか。

[答]認められない。使用するすべてのロットについて、ロットごとに試験検査を行う必要がある。

GMP11―11(試験検査の一部省略等)

[問]原料の供給者を一定の基準により格付けして、GMP省令第11条第1項第4号の原料の受入れ時の試験検査を省略する上での基準として利用してもよいか。

[答]認められない。内部において非公式に格付けを実施することは妨げないが、その格付けのみを理由とする試験検査の一部省略は認められない。

GMP11―12(試験検査の一部省略等)

[問]同一ロット又は同一管理単位(GMP2―29を参照すること。)の原料又は資材が分割して納入された場合、最初の納入分が規格に合致したとき、以後の納入分については、GMP省令第11条第1項第4号の試験検査をすべて省略してもよいか。

[答]以後の納入分についての試験検査のすべてを省略することは認められない。例えば、輸送時の品質変化に係る試験検査、確認試験等が必要である。

GMP11―13(試験検査の一部省略等)

[問]同一の供給者が同一の原料を継続して納入する場合、最初の納入分について供給者による試験成績と製造業者等による受入れ時の試験検査の成績とが一致した場合以後は、供給者が自ら実施した試験検査の成績をGMP省令第11条第1項第4号の試験検査の結果として利用してもよいか。

[答]最初の納入分の試験検査の成績の一致のみでは、省略は認められない。

GMP11―14(試験検査の一部省略等)

[問]原薬たる医薬品に係る製品の原料の受入れ時の試験検査を行うには、当該原料の爆発性、有害性等のために特殊な設備及び技術が必要な場合には、当該試験検査を省略してもよいか。

[答]供給者による原料の試験検査の成績の入手及び確認をもって、GMP省令第11条第1項第4号の原料の受入れ時の試験検査に代えることができる場合がある。その場合には、供給者の試験検査の成績書を適切に評価し整理保管すること。また、省略することについての正当な理由を、品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記しておくこと。なお、外観検査等による確認は必ず行うこと。

GMP11―15(試験検査の一部省略等)

[問]原料の供給者からの先行サンプルが規格に適合したとき、実際の納入分について試験検査をすべて省略してもよいか。

[答]封かんがされていて、輸送条件が保証されていたとしても、サンプルそのものが実際の納入分と同一で、当該バッチを代表したものであることの保証にはならないため、実際納入分の受入れのための試験検査のサンプルとしては原則認められない。ただし、GMP11―16のような場合やその他先行サンプルと実際納入分の原料との同一性が保証できる場合に限り、試験検査の一部を省略できる場合がある。

GMP11―16(試験検査の一部省略等)

[問]同一法人の製造業者がその製造所二カ所以上において同じロットの原料を受け入れる場合、その一製造所の試験検査の成績をもって他の製造所への受入れ時の同一の試験項目に係るGMP省令第11条第1項第4号の試験検査に代えてもよいか。

[答]下記の条件をすべて満たし、かつ、一部の項目の試験検査を省略又は簡略化しても当該原料を使用した製品の品質に影響を及ぼさないことを示す合理的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、差し支えない。ただし、輸送時の品質変化に係る検証並びに外観検査及び確認試験については実施する必要がある。

1.製造業者が、GMP省令第11条の4第1項の規定に基づき原料の供給者を確認していること。

2.試験検査を行う製造所がGMP省令の適用を受けていること。

3.試験検査が当該製造所の試験検査に係る業務を担当する組織において適切に行われていること。

4.当該製造所において行われた試験検査の成績を利用しても他方の製造所の製品の品質に影響を及ぼすおそれがないこと。

5.他方の製造所は、試験検査を省略する項目について、当該製造所の検体採取記録及び試験検査記録を共有していること。なお、当該記録については、他方の製造所において写しを保管することでも差し支えない。

GMP11―17(試験検査の一部省略等)

[問]原料を受け入れた後、小分け包装してから製品の製造に用いている場合、当該製造所において実施した小分け前の受入れ時の試験検査をGMP省令第11条第1項第4号の製品試験検査に利用してもよいか。

[答]設問の場合、「小分け」作業が当該原料の品質に影響を及ぼさないことを示す合理的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、原料の受入れ時の試験検査の成績を利用しても差し支えない。

GMP11―18(試験検査の一部省略等)

[問]製造業者Aがその製品の委託元である製造販売業者と同一法人製造所Bから原料又は資材を支給される場合、他の製造業者と取決めを締結する(この例の場合は、製造業者Aと製造所Bで取決めを締結する)ことで(ただし、製造販売業者と製造業者AとのGQP取決めに上記受入試験に関する事項を含む場合を除く。)、製造業者Aは製造販売業者の当該製造所の試験検査の結果(製造所Bが委託した外部試験検査機関の結果を含む。)を利用でき、製造業者AとしてのGMP省令第11条第1項第4号の原料又は資材の受入れ時の試験検査を実施したこととしてもよいか。

[答]差し支えない。ただし、輸送条件等が原料又は資材の品質に影響を及ぼす可能性がある場合には、製造業者Aは必要な試験検査を実施すること。なお、承認事項として規定された受入試験については当該承認事項に従って実施すること。

GMP11―19(試験検査の一部省略等)

[問]定量試験と確認試験が同じ原理であり、一方の試験検査を実施することにより、他方の試験検査を実施したことになる合理的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、一方の試験検査を実施したことをもって他方の試験検査を実施したこととしてもよいか。

(例)


定量試験

確認試験


UV吸収

UVスペクトル

比色

呈色

ガスクロマトグラフィー

保持時間

液体クロマトグラフィー

保持時間

原子吸光

スペクトル

蛍光吸収

スペクトル


[答]定量試験に係る一連の試験操作の中で確認試験を実施したものと見なせる場合は差し支えない。

GMP11―20(試験検査の一部省略等)

[問]一貫製造工程中の中間製品の工程内管理に係る試験検査を試験検査に係る業務を担当する組織が行う場合、その結果を得て確認することをもってその製造所の製造工程をすべて終えた製品の試験検査としてもよいか。

[答]原則としてその製造所における当該製品の製造工程をすべて終えた製品を検体として採取し、試験検査を実施すべきである。

ただし、以後の工程を経ても試験検査の結果及び当該試験検査に係る製品の品質特性に変化が起こらない合理的な根拠(バリデーションデータ等)があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている項目については、当該中間製品の工程内管理に係る試験検査の結果をもって製造所の製造工程をすべて終えた製品の試験検査の結果の一部としても差し支えない。

GMP11―21(試験検査の一部省略等)

[問]GMP省令第11条第1項第1号の試験検査を行うための検体採取は、製造所の製造工程をすべて終えた製品からの採取ではなく、包装直前(例えば包装途中のもの等)の中間製品から採取してもよいか。

[答]原則としてその製造所における当該製品の製造工程をすべて終えた製品を検体として採取し試験検査を実施すべきである。ただし、合理的な根拠があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、包装直前の中間製品を検体としても差し支えない。ただし、製造所の製造工程をすべて終えた製品からの検体採取によってのみ行い得る表示確認の検査等についてはすべての製造工程を終えたものを検体として行うこと。

GMP11―22(試験検査の一部省略等)

[問]原料(原末)をバイアル等に充填する工程のみを行う製造所において、当該原料の受入れ時の試験検査の項目がバイアル等に充填された製品の試験検査の項目と共通する場合、原料の受入れ時の試験検査の結果をもって、当該試験項目を省略してもよいか。

[答]充填工程を経ても試験検査の結果及び当該試験検査に係る製品の品質特性に変化が起こらない合理的な根拠(バリデーションデータ等)があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている項目については、原料の受入れ時の試験検査の結果を製品の試験検査の結果の一部としても差し支えない。

GMP11―23(試験検査の一部省略等)

[問]注射剤に係る製品の充填工程において工程内管理に係る採取容量試験を行っている場合、それらのロットごとの成績の確認をもってその製造所の製造工程をすべて終えた製品の当該項目に係る試験検査としてもよいか。

[答]以後の工程を経ても当該項目に係る試験検査の結果及び当該試験検査に係る製品の品質特性に変化が起こらない合理的な根拠(バリデーションデータ等)があり、それを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、差し支えない。

ただし、この工程内管理に係る試験検査は、一般的取扱い(GMP8―12を参照)に関し、重要な工程内管理に係るものとして取り扱うこと。

GMP11―24(試験検査の一部省略等)

[問]原薬たる医薬品に係る製品の製造途上の中間体、回収溶媒等を採取して行う工程内管理に係る試験検査を、試験検査に係る業務を担当する組織の試験検査実施者以外の者が実施してもよいか。

[答]差し支えない。なお、品質部門がその者に対し適切に教育訓練を行い、認定すること。また、原則として、品質部門が工程内試験の結果を生データ等も含めて確認する必要がある。ただし、これらの試験検査は、GMP省令第11条第1項第4号の試験検査とすることは原則としてできないものである。

GMP11―25(試験検査の一部省略等)

[問]錠剤(製品が素錠の場合)に係る製品の打錠工程において工程内管理に係る質量偏差試験及び崩壊試験を行っている場合、それらのロットごとの成績の確認をもってその製造所の製造工程をすべて終えた製品の当該項目に係る試験検査としてもよいか。

[答]差し支えない。GMP11―20を参照すること。

GMP11―26(試験検査の一部省略等)

[問]高価であり、かつ製造工程においての使用量に比して試験検査に必要な量が多い原料については、そのことを理由としてGMP省令第11条第1項第4号のロットごとの原料の試験検査を省略してもよいか。

[答]設問の理由のみをもって省略を行うことは認められない。

GMP11―27(試験検査の一部省略等)

[問]皮膚等に適用する製剤であるものの、製造販売承認(届出)書の原料規格において注射剤用原料に準じて発熱性物質試験及び毒性試験が規定された例がある。このような場合、当該皮膚等に適用する製品として不要と製造販売業者が認めるのであれば、GMP省令第11条第1項第4号の規定に基づく製品の当該発熱性物質試験及び毒性試験を省略してもよいか。

[答]省略はできない。なお、発熱性物質試験及び毒性試験が不要であれば、製造販売承認事項の変更を行うよう製造販売業者に連絡すること。

GMP11―28(試験検査の一部省略等)

[問]生薬の品質管理試験項目中、生薬調製後その試験値が増加等変化することが想定されない項目(純度試験(残留農薬、重金属、ヒ素))については、製造業者Aが他の製造業者Bから生薬(製造業者Bの製品)を原料として受け入れる場合、製造業者Aは、当該生薬の受入れ時のGMP省令第11条第1項第4号の試験検査に製造業者Bの試験検査結果を利用してもよいか。

[答]試験検査の一部省略は、原則としてGMP11―4に従うものである。ただし、設問の場合、以下の事項を満たすときは、「製造業者A」は、「製造業者B」の試験検査結果を自らの原料の受入れ時の試験検査として利用しても差し支えない。

1.GQP省令の規定に基づく製造販売業者と「製造業者A」との間の取決め及び「製造業者B」との間の取決め並びにGQP省令の規定に基づく製造販売業者と製造業者との間において取り決めるべき事項を除き「製造業者A」と「製造業者B」との間で直接なされた契約(契約書は「製造業者A」及び「製造業者B」の双方において保管すること。)において次の事項が規定されていること。

(1) 「製造業者B」は、適切な製造管理及び品質管理の下で製造された生薬を供給すること。

(2) 「製造業者B」は、当該生薬の保管管理が適切であることを確認すること。

(3) 「製造業者B」は、当該試験検査項目の試験検査の結果が、ロットの均質性を考慮した値となっていることを確認すること。

(4) 「製造業者B」は、「製造業者A」に当該生薬の試験検査の結果をいつでも開示することができるように保管すること。

2.「製造業者A」は、「製造業者B」による当該生薬の試験検査の結果を利用する場合には事前に当該試験検査の方法が適正であることを確認すること。

3.「製造業者A」は、その製品の試験検査結果についてロットの追跡可能性を確保するために次の事項を記載した試験検査の結果に係る文書を作成し、保管すること。

(1) 検体名及びロット番号若しくは製造番号又は管理番号

(2) 試験検査項目、試験検査実施年月日、試験検査担当者の氏名及び試験検査結果

(3) 試験検査結果の判定、判定年月日及び判定者の氏名

4.「製造業者A」は、当該生薬についてロットの追跡を迅速に行うことを可能とするために、受け入れる生薬の名称、「製造業者B」等の氏名(法人にあっては、名称)、「製造業者B」における当該生薬についての試験検査項目、「製造業者B」が当該生薬に付番するロット及び対応する数量、「製造業者A」が新たに付番するロット及び対応する数量、「製造業者A」の品質部門の責任者の確認結果等を記載した「生薬の試験検査結果利用に係る履歴情報等一覧表」を、下記に示す様式を参考に作成し保管すること。

5.「製造業者A」は、GMP省令第11条の4第1項第3号の規定に基づき「製造業者B」に対して行う原料等の製造管理及び品質管理が適切かつ円滑に行われているかの定期的な確認において、当該試験検査が適正に行われていることを確認し、同項第4号の規定に基づき、その記録を作成し保管すること。なお、当該確認は原則として実地にて行うこととし、また、製造販売業者が確認を実施している場合には、その確認の記録の写し等を確認し、保管することで差し支えないが、上記に示す事項を確認したか否かが当該製造販売業者の確認の記録から読み取れない場合は、当該試験検査の省略は認められないことに留意すること。

生薬の試験検査結果利用に係る履歴情報等一覧表

生薬の試験検査結果利用に係る履歴等は次のとおりである

生薬の名称:

製造業者Bの氏名(法人にあっては、名称):

製造業者Bにおけるロット及び対応する数量:

製造業者Aにて受入れ時に新たに付番したロット及び対応する数量:

製造業者Bにおける試験検査項目のうち利用する項目及びその試験検査結果:

生薬の名称

ロット

使用数量

品質部門責任者確認

確認日
















GMP11―29(試験検査の一部省略等)

[問]単味生薬に係る製品を製造する製造業者Aが、製造業者Bから生薬(製造業者Bの製品)を原料として受け入れる場合、製造業者Aは、当該生薬の医薬品・医薬部外品GMP省令第11条第1項第4号の製品の試験検査に製造業者Bの残留農薬、重金属、ヒ素に係る試験検査結果を利用してもよいか。

[答]試験検査の一部省略は、原則としてGMP11―4に従うものである。ただし、設問の場合、単昧生薬に係る製品の製造においては、通常、その原料たる生薬中の残留農薬、重金属、ヒ素の量に変化はないと考えられることから、使用する設備器具について他の製品等による汚染及び交叉汚染がないことが確保されており、かつ、GMP11―28の回答に示した1~5の事項をすべて満たすときは、「製造業者B」による残留農薬、重金属、ヒ素に係る試験検査結果を自らの製品の試験検査として利用しても差し支えない。

GMP11―30(試験検査の一部省略等)

[問]GMP11―28の「保管管理が適切であることを確認する」とはどのようなことを指すのか。

[答]生薬に係る製品のロット間の混同並びに汚染及び交叉汚染を防止するために、生薬の飛散を防止するための容器を使用していること及び容器には生薬の名称及びロット番号を表示して識別していること、並びに虫害、かびの発生等を防止するため生薬に応じた倉庫において保管していること及び出納記録を適切に作成していること等を確認することを指すものである。

GMP11―31(試験検査の一部省略等)

[問]GMP11―28の「当該試験検査項目の試験検査の結果が、ロットの均質性を考慮した値となっていることを確認」とはどのようなことを指すのか。

[答]生薬は天産物のため、日本薬局方一般試験法の生薬試験法の「試料の採取」の項を参考にし、植物の部位(葉、根、根茎、果実等)ごとの特性、形態(切断生薬、粉末生薬等)等に応じ、製造業者が試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順書等において定められている試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する試験検査の手順により、ロットの均質性を十分に考慮した適正な採取が行われていること等を確認することを指すものである。

その他

GMP11―32(その他)

[問]試験検査に使用する試薬の使用期限は、開封品、未開封品のそれぞれに使用の期限を表示する必要があるか。

[答]未開封品については試薬購入先等からの品質保証期限の情報をもとに期限を表示すること。開封後は使用頻度等を勘案し品質劣化に問題ある場合には、別に期限を設定して取り扱うこと。また、その使用期限について、手順書等に明記しておくこと。

計器の校正及び設備の管理

GMP11―33(計器の校正及び設備の管理)

[問]GMP省令第11条第1項第7号の試験検査に関する計器の校正については、どの計器をどのような方法により校正すればよいのか。

[答]

1.計器のリストを作成し、校正が必要な計器、校正方法、校正頻度等について、計器の種類、特性、使用目的、使用頻度により、試験検査結果へのリスクを勘案し、製造業者等として定めること。少なくとも試験検査結果に影響を及ぼしうる計器については校正を実施すること。

2.重要な計器については校正の状態が明らかになるように(例:次回校正実施予定年月日等を記載したラベルの貼付等)すること。校正基準に適合しない計器及び次回校正実施予定年月日を超過した計器には「使用不可」の表示等を行うこと。

3.重要な計器が校正の標準値から逸脱していた場合には、前回校正以降に当該計器を用いて製造された製品の品質への影響を評価し、判定を行い、所要の措置をとること。

4.いわゆる国家標準が存在する場合には、当該標準まで追跡することが可能な方法により校正がなされていることが必要であり、いわゆる国家標準が存在しない場合には、校正の根拠について記録すること。

検体の採取

GMP11―34(検体の採取)

[問]GMP11―34(検体の採取) 改正省令公布通知第3の15(1)①アにおいて、「検体を採取する業務について、同令第4条第2項に規定する品質部門の独立性が保たれる限りにおいて、品質部門の監督指示の下、当該原料、資材及び製品を取り扱う製造部門の職員に行わせることは差し支えない」とあるが、検体の採取を製造部門に行わせる場合の留意事項は何か。

[答]検体の採取は、製品等の品質を客観的に評価するために原則として品質部門の者が行うべきである。製造部門の職員に検体採取業務を行わせる場合は、品質部門が、その責任において、その承認した適切な方法(GMP11―36を参照)により、製造部門の職員に対し必要な教育訓練を実施した上で、必要に応じ、製造部門による検体採取業務が適切に実施されていることを確認する等、検体採取業務が適切に実施されていることを保証する必要がある。

GMP11―35(検体の採取)

[問]製品や原料等が複数の容器(梱包)に入っている場合、品質部門が行うGMP省令第11条第1項第1号の製品、原料等の検体の採取は、一梱包からの試験検査の所要量の抜取りを指し、検体採取を行う容器(梱包)を選択する行為は含まれないと考えてよいか。

[答]複数の容器(梱包)から選択する行為もサンプリングに含まれる。GMP省令第11条第1項第1号の製品、原料等の検体の採取においては、複数の容器(梱包)から容器(梱包)を選択するところから、試験検査の所要量を抜き取るところまでを指す。

GMP11―36(検体の採取)

[問]GMP省令第11条第1項第1号の検体を採取することについて留意すべきことは何か。

[答]検体の採取方法は、混同並びに汚染及び交叉汚染の防止に留意しつつ、検体の特性、試験検査項目等に応じて、現在の科学技術水準に見合ったものとすることとし、手順書等にあらかじめ規定しておくこと。なお、検体採取に係る規定及び第11条第1項第1号の検体採取に関しては、以下の事項に留意すること。

1.採取する検体は、そのロット又は管理単位を代表するものとなるようにし、採取の対象となる容器の数、対象容器中の採取箇所及び各容器からの採取量に関しては、製品の品質に及ぼすリスクを考慮して採取の方法を定めること。

2.採取の対象となる容器の数及び採取検体の数(サンプルサイズ)は、採取する製品等及び資材の重要度及び品質のばらつきの程度、当該供給者が過去に供給した物の品質に係る履歴並びに適正な試験検査に必要な量をもとに定めること。

3.検体の採取は、あらかじめ定められた場所において、採取した製品等及び資材の汚染並びに他の製品等及び資材その他の物との交叉汚染を防止するような手順により行うこと。

4.採取の対象となった容器の開封は慎重に行うものとし、検体の採取の後は直ちに封をすること。

5.検体が採取された製品等及び資材の容器(梱包)には、検体が採取された旨を表示する(「検体採取済」と記載したラベルの貼付等)こと。

GMP11―37(検体の採取)

[問]GMP11―36 3.において検体の採取は、あらかじめ定められた場所において交叉汚染を防止するよう行うとしているが、原薬たる医薬品に係る製品の製造工程において使用する原料の検体の採取について、保管場所で行ってもよいか。

[答]差し支えない。その場合は、保管場所を、検体の採取場所としてあらかじめ指定し、その場所において、採取した「原料」の汚染並びに他の製品等及び資材その他の物との交叉汚染を防止するような手順により行うこと。

GMP11―38(検体の採取)

[問]GMP省令第11条第1項第1号の検体に係わり、GMP省令第8条第1項第3号の試験検査設備及び検体の管理その他適切な試験検査の実施に関する手順において、原料、資材等について、ロット又は管理単位を代表し、試験検査結果の正確な判定を行うことができるように検体の具体的な採取方法を定める必要があるが、1ロット又は1管理単位の量に応じた標準的な検体の採取量を示してほしい。

[答]製品の種類、量、個々の試験検査項目等により、異なりうるものであり、一概に決められるものではない。製造業者等として適切(GMP11―36を参照)に定めること。

GMP11―39(検体の採取)

[問]原料の試験検査用の検体の採取時にどの容器(梱包)から採取したかが分かるように採取した検体の容器(採取容器)に記載しなければならないか。

[答]1検体を採取する場合、必ずしも「採取容器」に直接記載する必要はないが、検体が採取された容器(梱包)に採取された旨を表示すること。複数検体を採取する場合、必要に応じて検体が採取された容器(梱包)とその試験結果のトレーサビリティを確保できるようにすること。GMP11―36を参照すること。

GMP11―40(検体の採取)

[問]GMP省令第11条第1項第1号の検体の採取記録の記載事項としての改正省令公布通知第3の15(1)①イの「採取の責任者の氏名」に関し、製造が長時間行われるため検体採取者が複数にならざるを得ない場合には、責任者1名のみの氏名の記載としてもよいか。

[答]責任者1名の氏名の記録のみとすることは認められない。検体採取の都度、実際に検体採取を実施した採取者の氏名又はイニシャルや採取時刻等をすべて記載することに加え、サンプルを特定できることが必要である。

検体及び標準品の管理

GMP11―41(検体及び標準品の管理)

[問]GMP省令第11条第1項第2号において検体及びその試験検査用の標準品を適切に保管することが求められるが、管理上留意すべき事項は何か。

[答]試験検体及び標準品の重要度に応じた管理手順を設ける必要がある。各製造所の最終製品検体や定量試験に用いる標準品等、特に重要な検体及び標準品に対しては、適正な管理状況を客観的に保証する必要がある。各製造所は、次の点などを考慮して、管理の内容について、あらかじめ、手順書等に規定しておくこと。

1.出納管理を行うこと。使用の都度、使用年月日、使用者、使用目的、使用量等を記録し、トレーサビリティを確保すること。

2.使用後の実際の残量と理論的な残量を比較し、説明できない過不足のないことを確認すること。

3.残量について適切に廃棄したことを記録すること。なお、試験検体については試験が完了したあとにも長期的に保管を求めるものではない。

4.試験に影響を与えないよう、使用までの温度、湿度、光等の貯蔵条件について考慮すること。温度条件については、GMP11―49及び50を参照。

試験検査記録

GMP11―42(試験検査記録)

[問]原料、資材及び中間製品(中間体を含む)についてのGMP省令第11条第1項第4号の試験検査の結果を待たずに製造工程を先に進めることは許されるか。

[答]原則として品質確認を得た後に製造工程を先に進めること。ただし、その後の試験検査結果へのリスクを勘案し、品質部門がその妥当性を認める場合には、試験検査の結果を待たず、製造工程を先に進めることは認められる。その場合でも、製品の製造所からの出荷の可否の決定は、原則としてこれらの結果がすべて出てその適否が判断できるようになってから行わなければならない。試験結果が不適の場合は、製造された製品について、廃棄等の措置が行われることを定めておくこと。

GMP11―43(試験検査記録)

[問]GMP省令第11条第1項第4号の試験検査記録に記載する製品、原料又は資材の名称、試験検査項目等は、製造業者等の内部で使用している略号を用いて記載してもよいか。

[答]正式な名称と「略号」との関係について最新の改訂状況を識別することができるようにするとともに、教育訓練の計画的実施等必要な措置をとり、混同等のおそれがない合理的根拠を品質部門が承認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されていれば、差し支えない。

GMP11―44(試験検査記録)

[問]GMP省令第11条第1項第4号の試験検査記録の記載事項としての改正省令公布通知第3の15(1)④にある「従事した職員の氏名又はイニシャル(外部試験検査機関の場合には、外部試験検査機関の名称及び担当者の氏名又はイニシャル)」の記載の要領は、その都度「○○(職員の氏名又はイニシャル)」、「○○(外部試験検査機関の名称)、○○(担当者の氏名又はイニシャル)」と書く代わりに、あらかじめその各々の職員の氏名又はイニシャル並びに外部試験検査機関及び担当者の氏名又はイニシャル一覧表を作成して決めておけば、「別紙表○○による」等と記載してもよいか。

[答]認められない。その都度従事した職員者の氏名又はイニシャル(外部試験検査機関の場合には、外部試験検査機関の名称及び担当者の氏名又はイニシャル)を書くこと。

参考品保管

GMP11―45(参考品保管)

[問]中間製品で同一ロットが2~3種類の包装単位(例えば、100錠、500錠及び1,000錠)の製品に相当する場合、参考品として保管するのは当該ロットを代表するいずれか1包装単位としてもよいか。それともすべての包装単位を保管する必要があるか。

[答]設問の場合の参考品の保管に当たっては、必ずしもすべての包装単位一通りを保管する必要はなく、大包装製品は少量サンプルを最終製品と同等の機能の包装形態(例えば、小型の包装形態)のものを保管し、使用期限や製造番号等が表示された大包装製品の個装や添付文書等の資材を保管することとしても差し支えない。最終製品(内容物の入った包装品)は他の包装単位の製品(個装)と同等であるが、印刷資材等は異なることから代替できないため、資材は保管する必要がある。

参考品は、市場への出荷後の不具合等、将来品質を評価する可能性に備えるための分析試験用のサンプルであるため、内容物の品質として共通する場合は代表する包装単位を参考品として保管することでよい。

保存品は、市場にある製品との同一性を確認するためのサンプルで、参考品と共用することは可能であるが、共用する場合には、参考品としては複数ある包装単位のうち代表する包装単位のみを保管することでよいが、保存品としてはすべての包装単位が必要であることから、参考品として保管する代表包装単位以外については、最終製品と同等の包装形態の包装資材を保管する必要がある。

GMP11―46(参考品保管)

[問]GMP省令第11条第1項第5号において、参考品の保管量は所定の試験検査に必要な量の2倍以上の量とされているが、すべての試験検査に必要な量の2倍量を保管する必要があるのか。

[答]無菌試験及び発熱性物質試験を除くその他の試験検査に必要な量の2倍量以上を保管することで差し支えない。ただし、適切に試験検査を行うことができる量を保管すること。

GMP11―47(参考品保管)

[問]A工場において製剤に係る製品を製造し、B工場において包装を行い市場への出荷可否の決定に供する場合、参考品の保管はA工場及びB工場のいずれにおいて保管すればよいか

[答]いずれでも差し支えない。参考品の保管及び利用に関するルール等を、手順書等にあらかじめ規定するとともに、GMP省令第11条の5第1項に規定する取決め等を締結し、もし、「A工場」に保管する場合でも、「B工場」の品質部門の指示と責任の下で保管させ、GMP適合性調査に当たって支障のないように配慮すること。

GMP11―48(参考品保管)

[問]GMP省令第11条第1項第3号の規定に基づく参考品の保管を、同一製造業者等(法人)の他の製造所において集中管理により実施してもよいか。

[答]参考品を保管する目的は、将来において製品の品質を評価する可能性に備えることにあることから、品質に関する取決め等を締結し、そのような評価を迅速に行う仕組みがあらかじめ確立されているのであれば、同一製造業者等(法人)の他の製造所において集中管理することとしても差し支えない。この場合、ルール等を手順書等にあらかじめ規定するとともに、製造販売業者からの委託を受けて市場への出荷可否決定が行われる製造所の品質部門の指示と責任の下で保管させ、かつ、GMP適合性調査等に当たって支障のないよう配慮すること。

GMP11―49(参考品保管)

[問]GMP省令第11条第1項第5号の参考品の「適切な保管条件」としては、「成り行き室温」又は「製造販売承認(届出)書の貯法欄に明記された条件」のいずれか一つの条件を満たせばよいか。

[答]改正省令公布通知第3の15(1)⑤アに「通常の流通状態における保管条件も勘案することが求められる」とあり、製造販売承認(届出)書の「貯蔵方法及び有効期間」欄に保管条件が明記されている場合には、その条件下において保管し、それ以外は成り行き室温において保管することとなるが、極端な高温多湿、極端な低温低湿にならないようにすること。また、温度モニタリングによりその保管条件を確認できるようにしておくこと。なお、安定性モニタリングのための検体保管は、参考品保管とは別のものである。

GMP11―50(参考品保管)

[問]参考品の保管室には空調がないが、室温は年間18~28℃の範囲内にある。このように結果として空調により管理されたものに相当する環境であっても、通常の流通下における保管条件とみなしてもよいか。

[答]差し支えない。

GMP11―51(参考品保管)

[問]GMP省令第11条第1項第5号の参考品の「適切な保管条件」について、改正省令公布通知第3の15(1)⑤アに「市場に出荷された形態(出荷時の包装単位が大容量である等、保管上やむを得ない場合には、市場に出荷されたものと同等の機能の包装がなされた形態)」とあるが、最終包装製品の形態を最終製品と同等の機能の包装形態(例えば小型の包装形態)により保管してもよいか。

[答]差し支えない。

GMP11―52(参考品保管)

[問]参考品として保管すべき範囲を示してほしい。

[答]市場に流通する製品の品質を保証する観点から、最終製品と原薬たる医薬品については必須である。それ以外の原料や資材については、保健衛生上のリスクを勘案し、製造業者等又は製造販売業者が判断するべきものである。例えば、生物由来医薬品の安定化剤として用いられる人血清アルブミンなどの生物由来原料については未知の感染症などの安全対策の観点から重要である。

また、同様の観点で、生物由来製品においては、感染症に関連するウイルスやプリオン、未知物質等について最終製品や原薬たる医薬品に係る製品の段階から、より高感度に検出するため、最終製品と原薬たる医薬品の保管の他に、適切な段階の中間体等を保管することも考慮する必要がある。なお、製造プロセスで使用される溶媒、ガス及び水は含まれない。

GMP11―53(参考品保管)

[問]GMP省令第11条第1項第6号に規定する参考品として保管すべき、製品の有効成分である原薬たる医薬品について確認したい。GMP省令第21条に基づき、原薬たる医薬品製造業者等において原薬たる医薬品を参考品として保管しているが、これをもって製剤製造業者の参考品として代用することが可能か。

[答]原薬たる医薬品製造業者等と適切な保管期間(原薬たる医薬品を最後に使用した製品の出荷判定後2年間以上)が設定されている場合を除き、代用することはできない。なお、原薬たる医薬品製造所と適切な保管期間を設定し、原薬たる医薬品製造業者等において保管される参考品を代用するには、原薬たる医薬品の製造業者等とGMP省令第11条の5第1項に規定する取決め等を締結し、製剤の製造所が調査のために原薬たる医薬品の参考品を使用する必要が生じた場合、迅速に必要量の原薬たる医薬品を提供することが規定されていること。

GMP11―54(参考品保管)

[問]GMP省令第11条第1項第6号に規定する原料等の参考品の保管期間設定に関する具体的な事例を示してほしい。

[答]原料等の入荷後の使用期間及び原料等を使用してから製品が出荷されるまでの期間を固定し、それらの期間に参考品としての保管期間を加えることによって、原料等の入荷時に保管期間を設定することができる。なお、原料については、使用した製品の出荷を判定した日から2年間保管することとされているが、この期間は生物由来原料を除き、PIC/SのGMPガイドライン アネックス19において、安定性期間がより短い場合には短縮してもよいとされている。

GMP11―55(参考品保管)

[問]「当該製品の品質に影響を及ぼす」と考えられるものとして、原薬たる医薬品以外にどのような原料又は資材なのか具体的に示してほしい。

[答]原料については、製品の特性に応じリスクを基に判断されるものである。資材については、出荷された製品の品質確保のために必要と考えられる製品に直接接触する資材、直接接触しなくても水分、酸素等の透過防止により内容物の保護機能を有する資材及び表示材料等が該当する。なお、資材については、最終製品を保管することにより、試験検査に必要な量が確保されている場合は、資材も保管しているものと見なされる。

GMP11―56(参考品保管)

[問]製剤バルクの状態で出荷する製品の参考品については、最終製品と同様に保管する必要があるのか。

[答]製剤バルクを出荷する製造所の判断により、管理上必要なものとして出荷した製剤バルクの参考品を保管しておくことは差し支えない。なお、製剤バルクは、GMP2―8にある通り、受入れた製造所においては、当該製造所の製品の製造に使用した原料となるので、製品の品質に影響を及ぼすものとしてGMP省令第11条第1項第6号の規定に従って保管されるものと考えられる。

参考品及び保存品の出納の記録

GMP11―57(参考品・保存品保管)

[問]GMP省令第11条第1項第5号及び6号において参考品及び保存品の適切な保管が求められるが、管理上留意すべき事項は何か。

[答]適正な管理状況を客観的に保証するため、次の点などを考慮して、管理の内容について、あらかじめ、手順書等に規定しておくこと。

1.出納管理を行うこと。使用の都度、使用年月日、使用者、使用目的、使用量等を記録し、トレーサビリティを確保すること。

2.使用後の実際の残量と理論的な残量を比較し、説明できない過不足のないことを確認すること。

3.保管期間を経過した残量について適切に廃棄したことを記録すること。

保存品保管

GMP11―58(保存品保管)

[問]大容量等の保存品の保管数量はどのようにすればよいか。

[答]大容量等の保存品の保管に当たっては、必ずしも大包装の最終製品単位で保管する必要はなく、使用期限や製造番号等が表示された大包装形態の個装や添付文書等と一緒に参考品として必要な量の製品を含む個包装品を合わせて保管することで差し支えない。

規格外結果

GMP11―59(規格外結果)

[問]GMP省令第7条の医薬品製品標準書において、試験検査に係る規格を製造販売承認(届出)書に記載された規格よりも厳格なものを定めた場合、製品が当該規格を外れたとき、所要の措置として、当該製品の製造所からの出荷の可否の決定はどのように行えばよいか。

[答]「自主規格」を外れた製品については製造工程管理の再点検、再試験等十分な調査をし、その最終的な可否を慎重に判断する必要があり、これら「自主規格」を外れた場合の取扱いについては、あらかじめ手順書等に規定しておくこと。

なお、医薬品製品標準書については、改正省令公布通知第3の10(3)①ア及びイ(ア)にあるとおり、承認事項の規格より厳格な規格が設定される場合には、当該規格の根拠をあらかじめ明記しておく必要がある。

また、定期的又は随時に製品品質の照査を行い製造販売承認(届出)書記載の規格及び試験方法が現在の関係通知、科学技術水準等からみて不十分と認められるものについては、速やかに一部変更承認等の申請(該当する場合には軽微な変更の届出)を行うよう製造販売業者に連絡すること。

GMP11―60(規格外結果)

[問]OOSの発生時、原因究明としてどのようなことに留意すべきか。

[答]OOSが発生した際には、あらかじめ定めた手順に従って速やかな調査を行い、発生原因を究明する必要がある。調査に当たっては、まずラボエラー(設備器具の不具合、標準品及び試薬試液の規格の適合性、操作ミス等)の有無について確認するのが一般的である。ラボエラーが認められなかった場合は、製品そのものに問題が生じた可能性があるため、原料等、製造設備、製造工程等を対象とした拡大調査が必要になる。ラボエラーの有無が確定するまでは、使用した試験器具や試料等を保持しておくこと、また原因究明における全ての活動(調査試験のデータや再サンプリングの記録等)や意思決定の根拠を文書化しておくこと等に留意する必要がある。

GMP11―61(規格外結果)

[問]OOSがラボエラーによるものと判明した場合はどのように取り扱えばよいか。

[答]OOSの原因がラボエラーであると判明した場合は、は、ラボエラーの原因を是正したうえで再試験を行い、その結果をもって試験結果として採用することができる。なお、無菌試験や微生物限度試験等、OOSが得られた検体での再試験が不可能な場合は、当該被験製品に無関係な原因によるOOSであったことを明確に証明できる場合(例:日局一般試験法<4.06>無菌試験法に従って「試験が無効」と判定できる場合)に限り、別の検体を用いた再試験を行うことができる。また、実際に実施する際には、以上のことがあらかじめ手順書等に規定されていなければならない。

GMP11―62(規格外結果)

[問]OOSの原因としてラボエラーであるかが判明しないときはどのように処理すればよいか。

[答]あらかじめ定めた手順に従った措置を行うこと。ラボエラー調査後に、原料等、製造設備、製造工程等を対象とした拡大調査を行うことで、OOSとなったデータの信頼性を考察するための材料とする必要がある。また拡大調査の中で、OOS発生時と同一サンプルでの再試験、初回サンプリングと同じ方法による再サンプリングとそのサンプルによる再試験等について検討することが想定される。再試験を行った場合は、OOSと再試験の結果を合わせて当該ロットの試験結果を評価することが重要であり、科学的に妥当な根拠なしに初回の結果を無効化し、再試験の結果を採用してはならない。ラボエラーの有無が確定するまでは、サンプル等を保持しておくこと、また原因究明における全ての活動(調査試験のデータや再サンプリングの記録等)や意思決定の根拠を文書化しておくこと。なお、使用した試験器具の保持等にも留意する必要がある。

MRA等特例

GMP11―63(MRA等特例)

[問]GMP省令第11条第2項の品質管理の特例により、輸入先国の外国製造業者が行った試験検査の記録を確認することをもって同条第1項第4号の試験検査に代える場合、同条第2項第1号及び第2号の確認は、当該製品に係る品目の製造販売業者による確認結果を利用してもよいか。

[答]差し支えない。なお、GMP省令第11条第2項第1号及び第2号の確認については、あくまでGQP省令の規定に基づく取決めを踏まえ、製造販売業者との連携の下製造業者として行うことが求められているものであること。設問のような場合に製造販売業者による確認結果を利用するとしても、確認内容が適切であるかどうかを製造業者として判断するとともに、利用する場合の手順を、手順書等にあらかじめ規定しておくこと。

GMP11―64(MRA等特例)

[問]MRA又はMOUの特例の適用を受ける場合であって適用国で実施される試験の結果を利用できる場合、その試験結果を確認することをもって製品品質を保証することができれば、試験検査項目に必要な試験検査設備及び器具は備えなくてもよいか。

[答]製品を受け入れる国内製造所においても試験機器を維持することが望ましいが、結果に疑義がある場合の手順が定められており、当該試験を実施した輸入先国の外国製造業者において速やかに調査及び再試験ができ、それらが取決め事項に明記されている場合には、必ずしも備えなくてもよい。

GMP11―65(MRA等特例)

[問]MRA等による試験省略の特例を適用できる範囲を明確にしてほしい。

[答]「相互承認に関する日本国と欧州共同体との間の協定の運用について」の一部改正について」(平成30年7月18日薬食監麻発0718第1号)の記4.バッチ証明書等について(医薬品分野別附属書第A部4及び5関係)に示されているとおり、MRA適用国に所在する製造所で製造された医薬品(製剤においては、使用される原薬たる医薬品に係る製品は除く)において、日本向けに輸出する医薬品を製造する施設及び日本向けに輸出する医薬品のロットごとの証明書(バッチ証明書)を発行する製造施設がMRAの対象であること。なお、MRAによる試験免除にあたっては、少なくとも分野別附属書第A部4(a)から4(b)の各条件が満たされていることを責任をもって確保すること。また、MOU等の交換国の適用に係る医薬品、製造所の所在地、証明書等の取扱いについても同様である。

GMP11―66(MRA等特例)

[問]MRA等の対象範囲かつ省略の条件を満たしていれば、GMP省令第11条第1項第4号に規定する試験検査(外観検査を除く。)について輸入先国の外国製造業者が行った定期的試験/スキップ試験等を反映した試験検査の記録を確認することをもって代えることができるか。

[答]製造所試験検査の結果の判定において定期的試験/スキップ試験等が用いられている場合、当該試験を適用しても当該輸入製品ロットの保証がなされているとの判断のもと当該外国製造業者の製造所においてバッチ証明書が発行されていれば差し支えない。

GMP11―67(MRA等特例)

[問]GMP省令第11条第2項に従い試験検査(外観試験を除く。)を輸入先国の外国製造業者が行った試験検査の記録を確認することをもって代える場合において、参考品及び保存品の取り扱いを明確にしてほしい。

[答]参考品については、最終製品、原料等とも当該試験を実施した外国製造所において速やかに調査及び再試験ができそれらがGQP省令に基づく取決め事項等に明記されている場合においては、輸入先国の外国製造業者が試験検査に必要な二倍量以上を保管することで差し支えないが、GMP省令第11条の5の規定に従い、保管業務の外部委託業者として管理すること。保存品については、国内製造業者がGMP省令第11条第1項5号に従って保管すること。

GMP11―68(MRA等特例)

[問]MRA又はMOUの対象である外国製造業者が製造した最終製品を、国内製造所が輸入・保管・出荷判定を行った後、製造販売業者が市場出荷する場合において、製造行為として保管のみを行う国内包装等区分製造所での製造所出荷判定は、外観検査及び製造販売業者が実施した外国製造業者の試験検査の記録の確認結果を元に行ってもよいか。

[答]GMPにおける製造所からの出荷判定は、製造業者の責務であることから、自ら外国製造業者の試験検査の記録の確認を行う必要がある。

GMP11―69(MRA等特例)

[問]GMP11―69(MRA等特例)改正省令公布通知第3の15(2)②に「輸入製品に係るGMP省令第11条第1項第4号に規定する試験検査を、当該輸入製品について輸入先の外国製造業者が行った試験検査の記録を確認することをもって代えることができる場合にあっても、当該輸入製品の外観検査、同令第11条の2第1項第4号又は第21条の2第1項第4号の規定による安定性モニタリングの評価、同令第16条の品質情報等から品質に疑義が生じたときには、必要な試験検査を行うことが求められる」とあるが、これは品質に疑義がある場合、当該試験を実施した外国製造所において速やかに必要な調査及び再試験ができ、それらが取決め事項に明記されている場合には、必ずしも当該国内製造所で試験しなくてもよいとの理解でよいか。

[答]その理解でよい。

GMP11―70(MRA等特例)

[問]GMP省令第11条第2項における「輸入先国の外国製造業者が行った試験検査」は、輸入直前の製造所Aが行った試験検査のみではなく、それより前の製造所Bが実施した試験検査も該当するのか。なお、製造所A及びBはMRA適用国に所在することを前提とする。

[答]製造所Bが実施した試験検査が輸入製品に対する試験検査であり、かつ、製造所Aにおいて製造所Bが発行したバッチ証明書の確認をもって出荷(輸出)することが輸入先国のGMP規則に従って適切に実施されているのであれば、必ずしも輸入直前の製造所Aが行った試験検査のみに限るものではない。

GMP11―71(MRA等特例)

[問]MRA又はMOUの特例の適用を受ける場合であって、適用国で実施される試験の結果を利用できる場合、その試験結果を確認することをもって製品品質を保証することができれば、試験検査項目に必要な試験検査設備及び器具は備えなくてもよいか。

[答]製品を受け入れる国内製造所においても試験機器を維持することが望ましいが、結果に疑義がある場合の手順が定められており、当該試験を実施した外国製造所において速やかに調査及び再試験ができ、それらが取決め事項に明記されている場合には、必ずしも備えなくてもよい。

第11条の2(安定性モニタリング)関係

安定性モニタリング

GMP11の2―1(安定性モニタリング)

[問]GMP省令第11条の2第1項第2号でいう、規格のうち保存により影響を受けやすい項目及び適合しない場合に当該製品の有効性又は安全性に影響を及ぼすと考えられる項目とは何か。

[答]研究開発段階で実施された設計、試作検討や安定性試験等から得られた知見をもとに、温度、湿度等の影響を受けやすい項目を選定すること。なお、重金属、ヒ素など明らかに経時変化がないと考えられる項目については省略しても差し支えない。

GMP11の2―2(安定性モニタリング)

[問]改正省令公布通知第3の16(1)①アにおいて「その選定の妥当性」の記録が求められているがロットの選定の考え方を示してほしい。

[答]各最終製品たる医薬品について、少なくとも毎年1ロット(その年に製造がない場合を除く。)が安定性モニタリングの計画等に含まれること。また、一時的な変更であっても安定性に影響を及ぼす変更や逸脱処理したロットも計画に追加すること。

GMP11の2―3(安定性モニタリング)

[問]測定間隔の考え方を示してほしい。

[答]少なくとも12ヶ月間隔で試験を行うこと。試験項目ごとに有効期間にわたって規格に適合していることの評価を可能とする十分なデータ量を提供できることが必要であり、開発段階あるいはその後の評価においてのデータをもとに製品ごとに決定すること。

GMP11の2―4(安定性モニタリング)

[問]実施する製品の選択とサンプリング方法はどこに規定するのか。

[答]あらかじめ安定性モニタリングに関する手順に規定もしくは医薬品製品標準書に明記しておくこと。

GMP11の2―5(安定性モニタリング)

[問]安定性モニタリングはどのような保存条件で行えばよいのか。

[答]有効期間又はリテスト期間にわたって規格に適合していることを評価する観点から、「安定性試験ガイドラインの改定について」(平成15年6月3日医薬審発第0603001号)(以下ICH Q1A(R2)という)に述べられている長期保存試験の保存条件で保存することが望ましいが、製造販売承認申請時に有効期間又はリテスト期間の設定に関する根拠資料や陳述書として提出した長期保存試験の保存条件がICH Q1A(R2)で述べられている条件から異なる場合には、当該保存条件でも差し支えない。ICH Q1A(R2)で述べられている条件及び製造販売承認申請時に有効期間又はリテスト期間の設定に関する根拠資料として提出した長期保存試験の保存条件のいずれとも異なる保存条件とする場合には、その妥当性について、品質部門が確認するとともに、手順書等にあらかじめ明記しておくこと。保存に際しては、温湿度のモニタリングを行うとともに、保存環境の代表的なポイントを測定できるように配慮すること。ただし、湿度の影響を受けないものや、影響を受けない包装形態のものについては、必ずしも湿度管理を必要としない。

GMP11の2―6(安定性モニタリング)

[問]水を基剤とする製剤で半透過性の容器の製剤の安定性モニタリングは承認申請時の長期保存試験に用いた製剤のロットと比較して、水分の透過性に関するリスクに変化がない場合においても、ICH Q1A(R2)に述べられている25℃±2℃、40%RH±5%RHの条件で保存する必要があるか。

[答]このような場合には、25℃±2℃、60%RH±5%RHの条件で保存して差し支えない。

GMP11の2―7(安定性モニタリング)

[問]含量違いや入れ目違いの製剤や一次包装の異なる製剤などの同一の有効成分を含有する複数の製剤の安定性モニタリングに対して、ブラケッティング法やマトリキシング法が適用できるか。

[答]科学的な正当性がある場合には、安定性モニタリングの計画等に含めてもよい。ブラケッティング法やマトリキシング法を適用する場合には、「原薬及び製剤の安定性試験へのブラケッティング法及びマトリキシング法の適用について」(平成14年7月31日医薬審発第0731004号)の原則に従うものとする。

GMP11の2―8(安定性モニタリング)

[問]ブラケッティング法及びマトリキシングデザインの原則は、安定性モニタリングの計画等の中で科学的な正当性がある場合には適用してよいとあるが、具体的にはどのような場合か。

[答]減数試験を行う場合、どの様な妥当性をどの程度示すかは各々の製品によって異なる。「原薬及び製剤の安定性試験へのブラケッティング法及びマトリキシング法の適用について」(平成14年7月31日医薬審発第0731004号)を参考にすること。

GMP11の2―9(安定性モニタリング)

[問]製品の保存条件が室温保存ではなく、特定の温湿度条件を規定している場合の安定性モニタリングの条件はどうするのか。

[答]安定性モニタリングの保存条件は、ICH Q1A(R2)に従うが、室温(1~30℃)保存及び冷蔵庫・冷凍庫保存以外の保存条件が定められている製品については、承認申請時の安定性試験条件で保存するか、若しくは規定した温度条件の上限-2℃を設定値とし、設定温度条件±2℃、湿度条件±5%で、規定した有効期間等を十分に保証できる期間までモニタリングを実施すること。

GMP11の2―10(安定性モニタリング)

[問]複数の製造所で工程を分担して製造する場合、安定性モニタリングを実施する製造所とその記録を保管する製造所の考え方を示してほしい。

[答]安定性モニタリングは、原則として最終製品たる医薬品の製造業者等及び原薬たる医薬品の製造業者等が実施するが、GMP省令第11条の5第1項に規定する取決めを締結し、他の製造所あるいは外部試験検査機関その他の外部委託業者にて保管及び試験を実施することは可能である。なお、採取した検体の保存及び試験検査の実施を他に委託することはできるが、安定性モニタリングの適切な実施に関する責務は製造業者等が有するものであること。また、取決めにおいては、委託先と相互の連絡方法、安定性モニタリングの委託に関し必要な技術的条件及び採取した検体の運搬時における品質管理の方法等、必要な事項について取り決めておくこと。

GMP11の2―11(安定性モニタリング)

[問]含量違いの製剤における安定性モニタリングは、開発段階あるいはその後の評価において、よりリスクの高い含量を特定できる場合、その含量のみの実施でよいか。

[答]ブラケッティング法が適用できる場合は、差し支えない。ただし、よりリスクの高い含量で不適合になった場合に、その他の含量違いの製剤すべてについて不適合と判断するか、あるいは影響の及ぶ製剤及びロットが科学的に特定できる場合、その妥当性の根拠に基づいて不適合とする対象を判断すること。

GMP11の2―12(安定性モニタリング)

[問]GMP省令第11条の2第1項第4号に「前号の試験検査の結果に基づき、当該医薬品の品質への影響を評価すること。」とあるが、この評価は、品質部門の試験検査に係る業務を担当する組織と品質保証に係る業務を担当する組織のどちらが行うのがよいか。

[答]GMP省令第11条の2第1項第4号の評価については、客観的な評価が必要であることから品質部門のうち、品質保証に係る業務を担当する組織が評価を行うことが望ましい。

GMP11の2―13(安定性モニタリング)

[問]安定性モニタリングに関し、GMP省令第11条の2第1項5号に規定する記録において改正省令公布通知第3の16(1)⑤以外に記録すべき事項があるか。

[答]例として以下の事項があげられる。

・保管庫への投入・保管庫からの取り出しに関する記録

・保管中の温湿度に関する記録

第11条の3(製品品質の照査)関係

製品品質の照査

GMP11の3―1(製品品質の照査)

[問]製品品質の照査は、なぜ必要なのか。

[答]バリデートされた工程であっても、製造実績を積み上げるに従って、より製品品質を向上させるために改善すべき事項が見出される場合があり、例えば、次のような場合が考えられる。

1.原料物性の変化等により製造条件等を変更することが望ましい場合があるため。

2.異常・逸脱の傾向又は好ましくない傾向等が認められた場合には、所要の措置をとる必要性があるため。

GMP11の3―2(製品品質の照査)

[問]製品品質の照査はどのように行うべきか。

[答]照査を行うに当たっては、手順に従い、次の事項に留意して実施すること。

なお、品質保証に関わる業務を担当する組織が製品品質の照査のすべての活動を実施する必要はなく、製造部門や試験検査に係る業務を担当する組織などが傾向分析を行った上で品質保証に関わる業務を担当する組織が最終的な照査承認を行うことでも差し支えない。

1.少なくとも、年1回は実施すること。

2.照査の結果については評価を行い、是正措置、予防措置又は再バリデーションの実施の必要性を検討すること。是正措置又は再バリデーションが必要であるとされた場合には、その理由及び内容について記録を作成すること。

3.リスクに応じて、製品の種類ごとにグループ化して実施する場合には、科学的な妥当性を示すこと。

GMP11の3―3(製品品質の照査)

[問]製品品質の照査結果は、いつまでに製造管理者に報告する必要があるか。

[答]製品品質の照査の目的を果たす上で、支障のない日までに照査を完了し、製造管理者に報告すること。対象品目の製造スケジュールによっても状況は異なるので、一概に期限を想定することはできないが、製造所において適切に期限を設定し、当該期日までに照査を完了すること。

GMP11の3―4(製品品質の照査)

[問]一時的な製造休止など生産状況の理由により、製造がなかった、または1、2ロット程度しか製造しなかった製品の製品品質の照査は、どのように実施するのか。

[答]製品品質の照査の対象期間に当該製品の製造が無い場合であっても、保管中の逸脱、当該製品に係る変更、安定性モニタリング等の照査が必要になることが考えられる。また、市場流通品が存在する限り、市場出荷後の製品の品質に係る情報に対する照査も必要である。それ以外の項目については、あらかじめ照査を行うロット数、そのロット数に満たなくても照査を行う年数を製造業者等が適切に決定し、手順に規定すること。そして、あらかじめ設定された製造ロット数に達した段階で製品品質の照査を行うこと。また、製造ロット数があらかじめ設定されたロット数に満たなくても、あらかじめ設定された年数を経過する場合、過去に遡ったロット数を加え、それらを以て工程管理値等の傾向を確認する等により製品品質の照査を行うことも一つの手段である。

GMP11の3―5(製品品質の照査)

[問]GMP11の3―2 3.における「製品の種類ごとにグループ化」するとは、どのような場合に認められるのか。

[答]科学的な根拠がある場合には、製品ごとに照査するのではなく、例えば同一原理の製造機器で製造された同一剤形の製品群をまとめて製品品質の照査を行うことができる。GMP11の3―6 3.5.7.8.9.及び11.には製品とは関係なくグループ化して照査することが可能な項目もあると考えられる。

GMP11の3―6(製品品質の照査)

[問]製品品質の照査項目にはどのようなものがあるか。

[答]照査の対象には、少なくとも以下の事項が含まれると考えられるが、製造所の実情に応じて製造業者等が適切な項目を設定して実施すること。

1.原料等の受入時における試験検査の結果の照査

2.重要な工程管理及び最終製品の品質管理の結果の照査

3.確立された規格に対し不適合であった全バッチの照査及びそれらの調査

4.すべての重大な逸脱又は不適合、それらに関連する調査、及び結果として実施された是正処置、予防措置の有効性についての照査

5.工程又は分析方法に対し実施したすべての変更の照査

6.製造販売業者から連絡を受けた、製造販売承認事項の変更(輸出届事項の変更を含む。)についての照査

7.安定性モニタリングの結果及びすべての好ましくない傾向についての照査

8.品質に関連するすべての返品、品質情報及び回収並びにその当時実施された原因究明調査についての照査

9.工程又は装置に対して実施された是正措置の適切性についての照査

10.製造販売業者から連絡を受けた、新規製造販売承認及び製造販売承認事項一部変更に関する市販後の誓約についての照査

11.関連する装置及びユーティリティーの適格性評価状況

12.委託している場合は、委託先に対する管理についての照査

なお、6.及び10.については、製造業者等は、当該製造所に関する情報を、GQP省令第7条の取決めに従い、製造販売業者より適切に入手し、照査すること。

GMP11の3―7(製品品質の照査)

[問]GMP11の3―6に挙げられた照査項目について、具体的な照査方法の事例を示してほしい。

[答]「製品品質の照査報告書記載例について」(平成26年6月13日、監視指導・麻薬対策課事務連絡)を参考にすること。

GMP11の3―8(製品品質の照査)

[問]GMP11の3―6 1.の「原料等」は、製造所で使用するすべての原料及び資材が対象となるのか。

[答]製品品質の照査は、改正省令公布通知第3の17(1)①に記載のとおり、製造工程並びに原料、資材及び製品の規格の妥当性を検証することを目的として行われるものである。当該目的を達成するため、品質リスクマネジメントを活用し、製品品質の照査の対象とする原料及び資材を適切に選定し、手順書等に記載すること。なお、少なくともGMP11の4―4で示す重要な原料等については照査対象とする必要がある。

GMP11の3―9(製品品質の照査)

[問]工程管理の照査には、日常使用される工程管理図による簡便な管理も含まれるか。

[答]設問のような管理も含まれる。「工程管理の照査」の実施においては、過去に製造したロットについて、工程内管理データ、試験検査データ等を工程管理図に記入し、時系列的な解析を行うことも一つの方法である。

GMP11の3―10(製品品質の照査)

[問]GMP11の3―6に挙げられた照査項目のうち、2.重要な工程管理及び最終製品の品質管理の結果の照査について、製品ロット数が多数の場合には、重要な工程管理の照査における調査対象ロットを抽出により選別してよいか。

[答]当該照査項目については、一定期間のすべての製造ロットを対象に照査することが望ましいものの、実施方法は、製造業者等として適切に設定し、手順書等に規定しておくことで差し支えない。抽出による方法を選択する際は、製造時期に偏りがないこと、季節変動の評価が可能であること等に留意する必要がある。

GMP11の3―11(製品品質の照査)

[問]GMP11の3―6 11.の「関連する装置及びユーティリティーの適格性評価状況」とはどのようなものか。

[答]製造設備及び空調、製造用水設備等の製造支援システムを対象とし、それらシステムの日常点検・定期点検・試験の結果に基づいて稼働状況の照査を行うことである。なお、対象とする製造設備は、その種類、特性、使用目的、使用頻度等により、製品の品質へのリスクを勘案し、製造業者等として定めておくこと。

GMP11の3―12(製品品質の照査)

[問]乾燥エキス粉末、軟エキス等(製造専用)に係る製品の原料となる生薬が天産物であり同一ロット内においても品質にバラツキが生じるため、製品中の指標成分データのロット間の平均値±3σによる管理が困難となる場合には、どのような方法により製品品質の照査の一部として行う工程管理の照査を実施すればよいか。

[答]乾燥エキス粉末、軟エキス等に係る製品の各製造工程(抽出、濃縮、スプレードライ等)において、定められた設備を用い定められた製造条件において作業されたこと(下記「漢方エキス製品製造工程管理項目例示表」を参照すること。)を製造記録等から確認し、工程内管理値の変動が定められた範囲内にあることが確認されている場合には、ロット間の平均値±3σの管理によらなくても、指標成分、エキス含量、乾燥減量等から必要な項目をあらかじめ選定し、対象ロットが承認規格の範囲内にあることを確認する等の方法によることで差し支えない。

漢方エキス製品製造工程管理項目例示表

工程

管理項目などの内容(例示)

乾燥エキス製造工程

①生薬入荷

・鑑別、形態学的品質(生薬及び漢方生薬製剤の製造管理及び品質管理に関する基準(日本製薬団体連合会自主基準)を参照)

・起源、産地、残留農薬等

②切裁

・全形生薬と刻み加工品との相関性(精油を含むもの、水溶性の成分を含むもの、灰分、乾燥減量)

・切栽生薬の保管条件

③秤量

・配合量、ロットの確認(複数ロットを混合する場合においては、各ロットの配合比率)

④抽出

・抽出機番号、仕込量、生薬投入順序、生薬切裁粒度、抽出溶媒の種類及び量、昇温温度、抽出温度、抽出時間(ろ過工程がある場合においては、フィルターの管理方法等)

⑤濃縮

・濃縮機番号、濃縮温度、濃縮時間、真空度、濃縮エキス液量(スプレードライの前の濃度調整)

⑥乾燥

・スプレードライ機番号、給気(排気)温度、送風量、噴霧ノズル径、(濃縮)エキス送液速度(流量計又は圧力計)、噴霧液量、噴霧に要する時間

⑦乾燥エキス末

・均質性の確認(指標成分、エキス含量、乾燥減量、かさ比容を時系列的に一定量採取し調査)。なお、最終混合工程を有する場合においては、⑨に準じて実施すること。

・収率及び製造販売承認書の規格に係る試験(1ロットにつき1サンプルの採取及び試験でも差し支えない。)

エキス顆粒製造工程

⑧秤量

・配合量、原料ロットの確認(原料の乾燥エキス末を複数ロットにわたり使用する場合には、あらかじめ混合し、少なくとも指標成分についてのロット内においての均一性を確認しておくこと→工程管理の定期照査のためのデータを蓄積する際に必要となる。)

⑨混合

・混合機番号、仕込量、原料投入順序、各原料の粒度及び含水率、混合速度(回転数)、混合時間

・均一性の確認(一定時間混合後、あらかじめ指定した箇所について一定量採取し評価:最も分析精度のよい指標成分を選定する。)

⑩造粒

(乾燥)

・造粒機番号。湿式法の場合には水量及び滴下速度と造粒終点の確認方法等。乾式法の場合には圧縮ローラーの速度、圧力の管理等。

・篩過残の再利用(湿式法の場合においては、投入方法及び篩過残投入量の限度)

・湿式法の場合には、乾燥条件(温度、時間及び風量)及び乾燥の手順等

⑪粉砕・分級

・使用機器番号、振動速度、篩目の大きさ、収率

・均質性の確認(時系列的に試料を採取してもよい)各指標成分、エキス含量、乾燥減量、かさ比容、粒度分布、崩壊性等

⑫充填・閉塞

・充填工程の初期、中期及び後期において1包ごとの質量を測定する。

・使用機器番号、質量偏差試験(SP包装品等は、水圧等によるシールの完全性の確認)、資材の品質、収率、承認規格試験等

第11条の4(原料等の供給者の管理)関係

原料等の供給者の管理

GMP11の4―1(原料等の供給者の管理)

[問]GMP省令第11条の4の「供給者」とは、具体的にどのような者を指すのか。

[答]供給者とは、原料等を製造する者の他、原料等に対する的確な情報等が得られる代理店、仲介業者、貿易業者、流通業者等、その原料等を使用する製造業者等において必要と判断した者が含まれる。

GMP11の4―2(原料等の供給者の管理)

[問]GMP省令第11条の4第1項第2号の「適格性を評価した上で選定すること」とは、具体的にどのような手続きが必要になるのか。

[答]本号で選定するとは承認する行為を指すことから、原料等の供給者の評価(監査(実地又は書面)、当該原料等の分析結果等を含む)及び管理に関する手順をあらかじめ手順書等に明記しておき、品質保証に係る業務を担当する組織は、供給者をその手順に沿って選定する必要がある。また、個別の原料等については、その手順に従って承認された特定の供給者を医薬品製品標準書に記載すること。なお、汎用の原料等にあっては、選定された供給者について医薬品製品標準書とは独立した製品間で共通の書類に記載することでもよい。また、原料等の供給者を、製造販売業者が評価し、選定している場合は、製造業者等はその内容を確認し、選定することでよい。さらに、原料等及びその供給者を変更する場合には、適切な変更管理のプロセスに沿って変更する必要がある。

GMP11の4―3(原料等の供給者の管理)

[問]GMP省令第11条の4第2項に規定する取決めを締結する場合に留意すべき事項は何か。

[答]汎用の原料等にあっては、製造業者等と直接取決めを行っても、特定のロットに対する情報が伝達され難い場合があるので、こうした場合は、原料等の流通形態を加味して、代理店等との取決めを行う等適切な情報が得られるようにすること。原料等の管理に関して、品質保証に係る業務を担当する組織がGMP省令第11条の4第1項各号の業務を適切に行う上で、必要な情報が得られる供給者と取決めを行うことを求めているものであり、すべての供給者との取決めを求めるものではない。

GMP11の4―4(原料等の供給者の管理)

[問]GMP省令第11条の4第2項の「原料等のうち製品品質に影響を及ぼすもの」とは、どのようなものを指すのか。

[答]品質確保のために重要な原料等を意味し、リスクに応じて品質保証に係る業務を担当する組織によりあらかじめ定められたものを指す。

例えば、医薬品の有効成分として使用される原料、医薬品添加剤、製品の内容物に直接に接する容器又は被包等は、製品品質に影響を及ぼすと考えうるものであること。GMP11―55を参照。

GMP11の4―5(原料等の供給者の管理)

[問]GMP省令第11条の4第2項に「供給者と文書により必要な取決めを締結しなければならない」とあるが、本社(購買部門)と原料等の供給者との取決めでよいか。

[答]適切な内容が規定されていれば、差し支えない。ただし、当該製造所においても取決め内容を把握しておくこと。

GMP11の4―6(原料等の供給者の管理)

[問]改正省令公布通知第3の18(1)③に「その原料等を使用する製品に係る製造販売業者との取決めに基づき、当該製造販売業者がGQP省令第10条第1号の規定により定期的に確認した結果を共有することは差し支えない」とあるが、製造販売業者より定期的な確認結果の共有を受けた場合にも製造業者等が重複してGMP省令第11条の4第1項第3号の確認を行う必要があるか。

[答]その場合は、製造業者等が自ら確認を行う必要はないが、製造販売業者より共有された、確認の記録及び製造販売業者が得た必要な品質情報の写し等の内容を確認の上、その記録を残すこと。

GMP11の4―7(原料等の供給者の管理)

[問]GMP省令第11条の4第1項第3号に「定期的に確認する」とあるが、どのように実施すればよいか。

[答]例えば、次の対応が考えられる。原料等の供給者の製品である当該原料の製造管理及び品質管理が適切であるかを原料等が製品品質に及ぼす影響の程度並びに供給者の評価に応じて計画的に監査(実地又は書面)で確認したり、製品品質の照査等のタイミングで、原料等の品質等に起因する事象を確認し、当該原料等の品質が適切に確保されているか、また、改善すべき事項を以前に指摘している場合は、それらの事項が適切に改善されているかを確認する。そして、それらの結果及びリスクに応じ品質保証に係る業務を担当する組織が必要と判断した場合は、当該原料等の供給者に対する追加の監査(実地又は書面)により、当該原料等の製造管理及び品質管理の方法を確認する。

なお、原薬たる医薬品のように製造販売業者が供給者(原薬たる医薬品製造業者等)と取決めを締結している場合は、GMP11の4―6に記載の方法で確認することもできる。

GMP11の4―8(原料等の供給者の管理)

[問]原薬たる医薬品の安定性モニタリングの結果を製剤の製造所が入手し、保管する必要があるのか。

[答]原料等の供給者管理における取決めに定めるなど、少なくとも、原薬たる医薬品の安定性モニタリングにおいて、好ましくない傾向が確認された場合、あるいはOOS又はそのおそれが発生した場合に、製剤の製造業者等が速やかに情報を入手できる体制を構築しておく必要がある。

第11条の5(外部委託業者の管理)関係

外部委託業者の管理

GMP11の5―1(外部委託業者の管理)

[問]GMP省令第11条の5の外部委託業者にはどのような者があるか。

[答]GMP省令第11条の5の外部委託業者には、例えば、改正省令公布通知第3の19(1)②に示される業務の他以下の業務を受託する者(同一法人の他事業所は含まない。)も該当する。

・GMP省令第10条第9号に規定する構造設備の点検整備、計器の校正

・作業衣の消毒、滅菌

・GMP省令第17条第2項に規定する使用又は出荷に不適とされた原料、資材及び製品の保管及び処理

なお、委託する業務のリスクに応じて、外部委託業者の管理方法を適切に設定すること。

GMP11の5―2(外部委託業者の管理)

[問]製造販売業者が外部委託業者と取決めを締結している場合、製造業者等として、GMP省令第11条の5第2項第1号の適性及び能力の確認、同第2号の定期的な確認はどのように実施すればよいか。

[答]既に製造販売業者が外部委託業者の適正及び能力の評価、定期的な確認を行っている場合は、製造販売業者の作成した監査報告書等を入手し、それを確認し、評価結果を記録することで、製造所としての確認とすることができる。なお、製造業者等がそれらの情報を入手できるよう、製造販売業者との取決め等において外部委託業者の管理に関する責任範囲を明確にしておくこと。

GMP11の5―3(外部委託業者の管理)

[問]外部委託業者に委託できる業務は、GMP省令第11条の5第1項において、他の事業者に行わせることにつき支障がないと認められるものに限るとされているが、試験検査を外部委託業者(外部試験検査機関)に委託する場合、どのような者を選定すべきか。

[答]外部試験検査機関においても、品質保証及び試験検査に係る業務が、製造所と同程度の水準で管理されることが重要である。従って、GMP省令を理解し、品質システム等、試験検査業務を適正かつ円滑に行いうる仕組みを構築し、GMP省令の各条への対応が十分になしうる者を選定すべきである。

なお、品質システムは、ICH Q10はもとより、ISO 9001(品質マネジメントシステム―要求事項)又はISO/IEC 17025(試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項)を参考に構築されていてもよい。また、厚生労働省や日本薬剤師会が実施している精度管理試験への参加や、当局によるGMP適合性調査の有無と、それらの結果を確認することも参考になる。

GMP11の5―4(外部委託業者の管理)

[問]GMP省令第11条の5第2項第1号に外部委託業者との取決めの際、その適性及び能力について確認するとあるが、どのようなことをいうか。

[答]外部委託業務の製品品質への影響の程度等に応じて、監査(実地又は書面)、業者との面談、又は業者資料の確認等を行い、その結果を文書として残す等の対応がある。

GMP11の5―5(外部委託業者の管理)

[問]GMP省令第11条の5第2項第2号に、外部委託業者が当該委託に係る製造・品質関連業務を適正かつ円滑に行っているかどうかについて定期的に確認するとあるが、どのようなことをいうか。

[答]外部委託業務の製品品質への影響の程度に応じて、監査(実地又は書面)、面談の実施等を行い、その結果を文書として残すなどの対応がある。なお、製造所内で実施される外部委託業務に関しては、その作業の状況及び結果を文書に残すことで、前述の定期的な確認に代えることができる。

GMP11の5―6(外部委託業者の管理)

[問]GMP省令第11条の5第1項における取決めについて、発注書や請求書等の形態も認められるか。

[答]GMP省令第11条の5第2項に定める製造業者等が外部委託業者に対し行うべき業務を適切に実施できるのであれば、差し支えない。

第12条(出荷管理)関係

製造所からの出荷の可否の決定

GMP12―1(製造所からの出荷の可否の決定)

[問]GMP省令第12条第1項に「製造・品質関連業務が適切に行われたかどうかについてロットごとに適切に評価し」とあるが、品質保証に係る業務を担当する組織は、どの程度の内容(結果)まで評価する必要があるか。

[答]GMP省令第10条第4号のいわゆる製造記録、第11条第1項第4号の試験検査記録等を適切に確認し、第10条第10号の製造部門からの製造管理が適切に行われていることを確認した内容(結果)の報告についての第11条第3項の規定に基づく確認及び第11条第1項第8号の試験検査の結果の判定又は第11条第2項の確認を適正に評価する必要がある。評価の内容の程度は、製造所の実情、製品等によっても異なることから一概には定められない。

GMP12―2(製造所からの出荷の可否の決定)

[問]製造所からの出荷の可否の決定の結果を製品の個々のラベル等に明示する必要があるか。

[答]製品の個々の容器又は一群の容器は、その管理状態(例:「出荷可否決定待ち」、「出荷可」、「出荷不可」等)を確認することができるようにすること(GMP10―18を参照)。

GMP12―3(製造所からの出荷の可否の決定)

[問]製剤製造業者Aから一次包装済み(錠剤のPTP包装又は液剤の容器充填等)の製品を、二次包装以降の工程を行う製造業者Bにて受入れ、製造販売業者から委託を受けた市場出荷判定を行う場合、製造業者Bにおける最終製品の出荷試験の一部として、製剤製造業者Aにおける内容物試験検査結果を利用することができるか。

[答]最終製品の出荷試験は、原則として、製造業者Bにおける製品を検体として採取し実施すべきであるが、以下の事項をすべて満たすことが確認されており、かつ製造販売業者との取決めで合意されている場合に限り、製造業者Bにおける市場出荷判定に際し、製剤製造業者Aにおける内容物試験結果を利用しても差し仕えない。ただし、製造販売承認(届出)書において、製造業者Bにて実施することと規定された試験については、当該製造業者において実施すること。一方、GMP省令第11条第2項の規定にもとづき、輸入製品について外国製造業者が行った試験検査の記録の確認をもって代える場合には、同条第1号から4号までの規定に従うこと。

1.製剤製造業者Aが、国内の製造所であること。

2.利用する試験検査が行われた後の輸送や包装・表示作業、保管期間等による製品品質への影響がないことが証明されており、製造業者Bの包装表示関連の試験データとあわせて評価されていること。

3.製造業者Bの責任において、利用する試験検査の結果の判定を行っていること。

GMP12―4(製造所からの出荷の可否の決定)

[問]最終製品、又は海外への出荷の決定に供される輸出用医薬品又は輸出用医薬部外品(いわゆる最終製品)を製造する製造所以外の製造所における製品の出荷については、製造販売承認前又はGMP適合性調査を受け適合と判断される前に実施してよいか。

[答]差し支えない。

第13条(バリデーション)関係

バリデーションの目的

GMP13―1(バリデーションの目的)

[問]改正省令公布通知第4(以下「バリデーション指針」という。)2(1)(バリデーションの目的等)に「製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される効果を与えることを検証し」とあるが、検証とはどのようなことをいうのか。

[答]検証とは、あらかじめ定めた評価基準及び評価方法により、目的とする品質の製品を恒常的に製造できることを確認することをいう。

GMP13―2(バリデーションの目的)

[問]バリデーション指針2(1)(バリデーションの目的等)に「期待される効果を与えることを検証し」とあるが、検証項目として、製造販売承認(届出)事項、公定書等には規定されていない「評価基準」を製造業者等として設定してもよいか。

[答]差し支えない。例えば、バリデーションにおいては、あらかじめ定めた評価基準及び評価方法により、製品を恒常的に製造することができることを示すために、多くの場合、商業生産よりもサンプリング数や試験項目を増やして検証を行う必要がある。このため、製造業者等は、製造販売承認(届出)事項及び公定書等に規定されていない「評価基準」の採用を含め、適切な検証項目及び「評価基準」を自ら設定し、「期待される効果」の一部としてバリデーション指針でいうバリデーション計画書に記載すること。

製造販売承認(届出)事項及び公定書等に規定されていない「評価基準」の採用に当たっては、あらかじめ設定の根拠を明確にし、品質部門の確認を得ると共にバリデーション計画書に記載すること。

なお、一般的に認められている基準、例えば最終滅菌法の無菌性の保証レベル「10-6以下」等については、それを基準として採用することが望ましい。

GMP13―3(バリデーションの目的)

[問]バリデーション指針2(1)(バリデーションの目的)に「医薬品のライフサイクルにわたって集積された知見(当該医薬品に係る製品の工程デザイン、商業生産時の日常的な工程確認、GMP省令第3条の4第1項の規定による品質リスクマネジメント及び同令第11条の3第1項第1号の規定による製品品質の照査の結果から得られたものを含む。)の活用が求められる。また、当該医薬品に係る製品開発又は生産技術の確立がその製造所以外で行われている場合には、GQP省令第10条第5項の規定により医薬品の製造販売業者から製造業者等に適正かつ円滑な製造管理及び品質管理の実施に必要な品質に関する情報が提供される等、関連する知見及び技術の移転が必要となるものであること」とあるが、「医薬品のライフサイクル」と「知見及び技術の移転(以下「技術移転」という。)」とはどのようなものを指すのか。

[答]医薬品のライフサイクルとは、Q10ガイドラインで定義されている、医薬品開発、技術移転、商業生産及び製品の終結の全過程をいう。また、同ガイドラインの中で技術移転の目標は、「製品実現を達成するために、開発部門と生産部門の間及び製造サイト内又はサイト間で医薬品及び製造プロセスの知識を移管すること」とされている。この知識は、製造プロセス、管理戦略、プロセスバリデーションの取り組み及び製品品質へのリスクを低減するための継続的改善の基礎を形成する。さらに、医薬品を販売している限り、バリデートされた状態を維持する必要があることから、医薬品のライフサイクルを通じたバリデーションが求められる。

工程の確立には医薬品の開発時からのデータの蓄積が重要であり、医薬品のライフサイクルを通じて集積した知識や情報はデータを取得する活動を開始した開発時点がその出発点となる。この活動を行った部門が生産部門と異なる場合は、異なる部門から生産部門に技術移転を行うこととなる。医薬品の開発の活動はGMPの管理を求められないが、科学に基づいたものであり、適切に文書化されていなければ技術移転は適切に行うことができない。

なお、一般的に移管される知識には製造技術及び分析技術に関する知識があり、以下の項目を参考として、技術移転の前までに得られた知識や情報を最大限移管することが望ましい。

1.開発経緯

2.製造プロセス及び重要パラメータ

3.不純物、物性などの製品の品質特性

4.洗浄方法

5.規格及び試験方法並びにその妥当性の根拠

6.安定性試験の結果及び保管条件に関する情報

バリデーションマスタープラン

GMP13―4(バリデーションマスタープラン)

[問]バリデーションは、構造設備、手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法の多岐にわたる項目が対象となりうるが、バリデーション指針でいうバリデーションマスタープランは、製品ごとにこれらすべての項目について作成することが必要か。また、検証の結果、品質保証に係る業務を担当する組織への報告もすべて製品ごとに行うことが必要か。

[答]バリデーションマスタープランの内容は、製造所ごとに複数の製品共通のものとして作成しても差し支えない。他方、原則として、バリデーションに関する手順書に基づいて作成されるバリデーション計画書については、製品ごとに作成するものとし、バリデーション指針でいうバリデーション報告書についても、製品ごとに報告しなければならない。ただし、「設備、システム又は装置」及び「洗浄等の作業」のバリデーションに係るバリデーション計画書に関しては、設備又は機器単位ごとに作成しても差し支えない。

GMP13―5(バリデーションマスタープラン)

[問]バリデーション指針(1)に規定されているバリデーションマスタープランとは、PIC/SのGMPガイドラインで求められているバリデーションマスタープランと同じ内容の文書と考えてよいか。

[答]差し支えない。

GMP13―6(バリデーションマスタープラン)

[問]バリデーションマスタープランにおいて、バリデーション計画書の承認は誰が行うものと規定すべきか。特に、プロセスバリデーションの場合には、研究開発部門の責任者と規定してもよいか。

[答]GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」、すなわちバリデーション指針でいうバリデーションの責任者である。ただし、分野ごとにバリデーションの副責任者を置いた場合には、GMP省令第6条第4項の文書において規定した責任、権限等に従って担当のバリデーションの副責任者に分担して行わせることとしても差し支えない。

GMP13―7(バリデーションマスタープラン)

[問]バリデーションマスタープランに関し改正省令公布通知第3の11(1)⑨アに「その製造所におけるバリテーションに関する全体的な方針」とあるが、どのようなことを定めればよいのか。

[答]製造所としてのバリデーションに関する全般的な方針、目的及び取組方法について、簡潔、明瞭に定めること。

GMP13―8(バリデーションマスタープラン)

[問]バリデーションマスタープランに関し改正省令公布通知第3の11(1)⑨イに、「その製造所においてバリデーションに係る業務に従事する職員の責務及び管理体制」とあるが、どのような部門や組織の職員が該当するのか。

[答]製造部門、品質部門、研究開発部門並びに構造設備又はコンピュータ化システムの設計及び開発などに係る組織の職員が該当する。

GMP13―9(バリデーションマスタープラン)

[問]バリデーション指針2(3)に「バリデーション計画書については、バリデーションマスタープランに基づいて作成する」、とあるが、個別のバリデーションを実施する時期は、具体的にどのように記載すればよいか。

[答]バリデーションマスタープランにおいては「バリデーション計画書において実施時期を定めて記載する」旨を定め、個別のバリデーションの具体的な実施時期は、該当のバリデーション計画書に記載することで差し支えない。なお、大規模プロジェクトのように、バリデーションの対象範囲が広く、個別の計画書が複数ある場合には、バリデーション全体を総括するプロジェクトの文書化について考慮すること。

GMP13―10(バリデーションマスタープラン)

[問]バリデーションマスタープランに関し改正省令公布通知第3の11(1)⑨キに、「その他バリデーションを適正かつ円滑に行うため必要な手順」とあるが、具体的に何か。

[答]バリデーションの範囲や重要管理項目を決定するためのリスク評価方法、医薬品開発及び日常的な工程確認、製品品質の照査を含む製品ライフサイクルを通じて集積した知識や情報の活用に関する事項、再バリデーション等、バリデーションを実施する上で必要な事項を定めるものである。各製造業者等が適宜必要な項目を定めて記載すること。

バリデーション責任者

GMP13―11(バリデーション責任者)

[問]GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」、すなわちバリデーション指針でいう「バリデーションの責任者」たる職員は、当該製造所に所属する者でなければならないか。

[答]製造業者等の職員であれば必ずしも当該製造所に所属する者でなくても差し支えない。ただし、当該職員の責任、権限等をGMP省令第6条第4項の文書及びバリデーションマスタープランにあらかじめ規定し、第19条第1号の教育訓練を行い、その責務を支障なく遂行できるようにすること。

GMP13―12(バリデーション責任者)

[問]GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」、すなわちバリデーション指針でいう「バリデーションの責任者」は、製造管理者との兼務としてもよいか。また、GMP省令の他の規定の「あらかじめ指定した者」との兼務とすることは可能か。GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」は、社内組織上の責任者でなくてもよく、特段の資格要件はないと解してよいか。

[答]設問のいずれの兼務についても、他の業務に支障がなく、かつ公正に行える範囲において差し支えない。改正省令公布通知第3の21(1)にあるとおり、バリデーションの責任者には、業務の内容を熟知した職員を指定すること。また、当該職員の責任、権限等をGMP省令第6条第4項の文書及びバリデーションに関する手順書にあらかじめ適切に規定し、第13条の業務が円滑に行われるようにしておくこと。

GMP13―13(バリデーション責任者)

[問]GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」、すなわちバリデーション指針でいう「バリデーションの責任者」は、専門分野ごとに複数置いてもよいか(バリデーションの内容から研究開発関係、製造関係、試験検査関係、設備関係等一人で全体を網羅することができないこともあるため)。

[答]バリデーションの責任者は、バリデーション全体に責任を負う者であって一つの製造所に複数置くことは認められない。ただし、バリデーションの実施においては、様々な部門の多岐に亘る職員が関与することがあり得ることから、分野ごとにバリデーションの副責任者を置いても差し支えない。その場合には、それぞれのバリデーションの副責任者の責任、権限等をGMP省令第6条第4項の文書及びバリデーションマスタープランにあらかじめ適切に規定し明確にしておくこと。

バリデーション計画書等

GMP13―14(バリデーション計画書等)

[問]GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」、すなわちバリデーション基準でいう「バリデーションの責任者」を兼務する製造管理者が、製造部門の責任者、品質部門の責任者等により組織する「バリデーション委員会」を開催し、バリデーション計画書及びバリデーションの結果の評価及び承認を行ってよいか。

[答]GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」としてのバリデーションの責任者は、バリデーションの実施に関する責任及び権限を有する者でなければならない。したがって、設問のように「バリデーション委員会」を開催し、そこでバリデーション計画書の承認のための討議等を行うとしても、バリデーションの実施について最終的に責任を負う者は、バリデーション責任者となる。

GMP13―15(バリデーション計画書等)

[問]バリデーション計画書は、GMP省令第13条第1項の「あらかじめ指定した者」、すなわちバリデーション指針でいう「バリデーションの責任者」が“自ら”作成しなければならないか。又は個々の担当者(実務担当者)が作成したものを確認し、承認する方法でもよいか。

[答]バリデーション計画書の作成責任者は、バリデーションの責任者であり、その指示の下に実務担当者が作成に係る作業を行ったものに対しても最終的な責任を負う必要があり、少なくともバリデーションの責任者は、バリデーション計画書の作成、変更等の内容の確認及び承認を行わなければならない。

GMP13―16(バリデーション計画書等)

[問]バリデーション指針(3)⑤に、バリデーション計画書に定める事項として「検証方法(検証のため収集するデータ、そのデータを評価する方法及び基準等)」とあるが、検証方法として、例えば、製造工程管理等(規格試験を除く。)に使用する試験方法の適格性はどのように確保すべきか。

[答]採用する試験方法のバリデーションを実施するか、バリデーションデータを入手しておくこと。バリデーションを実施しない場合は試験方法の適格性を実際の使用条件で証明し、記録すること。バリデーションの程度は、試験の目的及び当該試験方法を適用する製造工程の段階を反映すること。バリデーションを開始する前に、試験検査設備の適切な適格性評価を検討すること。試験方法に変更を加える場合には、変更の程度に応じたバリデーションを実施すること。また、日本薬局方等の公定書その他認知された参考文献に収載されている試験方法は一般的な方法であり、必ずしもすべての試験対象に支障なく適用できるとは限らないことから、分析法バリデーションその他適切な方法によりその適格性を検証しておく必要がある。

GMP13―17(バリデーション計画書等)

[問]バリデーション報告書の作成に当たって留意すべき事項は何か。また、バリデーション計画書及びバリデーション報告書の作成に当たって、「計画書・報告書」として様式を一体化してもよいか。

[答]

1.バリデーション計画書に対応するバリデーション報告書は、バリデーションにおいて得られた結果を要約し、把握されたすべての逸脱についてコメント(逸脱の原因又は理由を適切に記載するものとすること。)し、適切に結論をまとめ、不備の改善のために推奨される変更その他の提案を含むこと。

2.設問のように、バリデーション計画書とバリデーション報告書とを形式的に一体化して「計画書・報告書」として作成しても差し支えない。ただし、その旨をバリデーションマスタープランにおいてあらかじめ定め、実施前に計画の承認を得ておくこと。

GMP13―18(バリデーション計画書等)

[問]バリデーション指針(3)⑤のバリデーション計画書に定める事項としての「検証方法(検証のため収集するデータ、そのデータの評価方法及び基準等)」については、どのように記載すればよいか。例えば「統計学的方法による」と記載すればよいか。

[答]バリデーション計画書を作成するに当たっては、対象製品及び実施項目が既に具体的に定まっていることから、検証方法についても、設問のような「統計学的方法による」といった抽象的な記載ではなく具体的に記載すること。例えば、検証に当たって採取を行う箇所又は測定点、測定回数、試験検査の方法、分析結果の取扱い(平均値、最高値又は最低値の採用、具体的な統計学的計算方法等)、試験検査結果の評価基準等を具体的に記載し、バリデーション計画書が実効性のあるものとなるようにすること。

適格性評価

GMP13―19(適格性評価)

[問]バリデーション指針(5)①に「適切に校正を行った計測器を用いる」とあるが、校正とは何か。

[答]校正とは、必要とされる精度を考慮し、適切な標準器や標準試料等を用いて製造行為中に使用される計測器の表す値と真の値との関係を求めることをいう。適切な標準器や標準試料とは、いわゆる国家標準器又はこれにより校正された標準器、日本薬局方に規定された標準品、公定書又は製造販売承認(届出)書の規格に適合した標準品等を指している。

GMP13―20(適格性評価)

[問]標準操作手順の範囲内での工程許容条件の上限又は下限においても期待される結果を達成していることを確認する、いわゆるチャレンジテストの手法を性能適格性評価(PQ)のために使用することは可能か。

[答]可能である。チャレンジテストの目的と内容によっては、商業生産設備において行う必要があるものと、商業生産設備によらない工業化研究時に行うものとがある。

GMP13―21(適格性評価)

[問]製造設備を変更する場合であって、変更後の設備が製造販売承認(届出)書に記載されている操作原理に該当すると考えられるときには、GMP省令第14条に規定する変更管理の手順に従って変更してよいか。

[答]差し支えない。必要に応じて、GMP適合性調査権者に相談するとともに、設計時適格性評価(DQ)、設備据付時適格性評価(IQ)、運転時適格性評価(OQ)、性能適格性評価(PQ)を実施すること。

GMP13―22(適格性評価)

[問]作業室を限定せず使用される解砕機などの移動可能な製造機器については、移動の都度、適格性評価の実施が必要となるのか。

[答]初期及び定期の適格性評価が適切に行われていることを確認し、その結果が利用できることを評価すれば、同一製造所内等での移動の都度の適格性評価をあらためて実施する必要はない。設備の移動による影響を考慮して適切に管理し、使用時に点検、運転状況を確認して記録を作成しておくこと。

GMP13―23(適格性評価)

[問]容量が数トンある調製タンクのロードセルの校正については、計量の標準への追跡可能性(トレーサビリティ)が確保された基準分銅を用いた校正は困難であるため、基準分銅を用いて計量した水を用いて行ってもよいか。

[答]必要とされる精度が確保されるのであれば、差し支えない。

GMP13―24(適格性評価)

[問]同一の高圧蒸気滅菌装置を用いて、同一の温度、同一の時間、同一の容器材質(形態)、同一の容量及び同一の荷積という条件において処方の異なる数種類の製品の滅菌を最終滅菌法により行う工程について性能適格性評価(PQ)を行う場合、当該工程の代表製品に係るデータをその他の製品に係る性能適格性評価(PQ)に代用してもよいか。

[答]高圧蒸気滅菌装置の保守点検及び計器の校正が適正に行われており、無菌性及び非発熱性以外の品質については評価が完了している場合であって、当該工程に係る製品ごとに熱浸透性、薬剤の粘度等の特性を調査し各製品間の滅菌効果の同等性を担保できるときは、「代表製品」に係るデータにより評価を行っても差し支えない。この場合には、合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。

GMP13―25(適格性評価)

[問]分析法バリデーション済みの自社開発試験方法を現有のA社の装置からB社の装置に移行したいが、分析法バリデーションのすべての項目を実施する必要があるか。

[答]装置の適格性評価を実施し、基本性能に差がないことを自社で確認できていれば、必ずしも再度、分析法バリデーションのすべての項目を実施する必要はない。試験方法の特性を十分に理解し、リスク評価した上で、必要に応じて分析法バリデーションの一部の項目を検証することでよい場合がある。その際は、実施した内容と項目を選択した根拠を文書化しておくこと。

プロセスバリデーション

GMP13―26(プロセスバリデーション)

[問]製造販売承認(届出)書に製剤均一性(含量均一性試験)が規定されていない錠剤に係る製品の製造においては、どのような方法により含量の均一性を評価すればよいか。

[答]例えば、製剤均一性(質量偏差試験)が適用される場合、打錠工程の初期、中期及び後期のそれぞれにおいて10錠ずつ採取し1錠ごとの質量を測定するとともに、製造販売承認(届出)書に記載の定量法により有効成分の定量を行い、1錠ごとの質量及び有効成分の定量値から初期、中期及び後期の1錠ごとの推定含量を算出して得られたデータについて統計処理を行い、含量の均一性の評価に代える方法もある。打錠工程の前に含量の均一性の評価を前提に製品の質量偏差を含量の偏差とみなし、個々の製品の質量を測定し、製造販売承認(届出)書に規定されている定量法により得られた有効成分含量を用いて「含量の均一性」を推定する場合(日本薬局方を参照すること。)には、打錠工程の初期、中期及び後期のそれぞれにおいて製造販売承認(届出)書に記載の定量に必要な錠数(例えば20錠)を採取し、初期20錠から10錠をとり1錠ごとの質量を測定するとともに、(W1、W2…W10)初期20錠をすりつぶして製造販売承認(届出)書記載の方法により定量して、下記の計算式を用いて判定値を計算するとき、この値が15.0%を超えないときは適合とするといった方法もある。

判定値=|M-A|+ks

M:表示量(100.0%)

A:定量により求めた1錠あたりの平均含量(表示量に対する%)

1…10:1錠に含まれる有効成分含量の推定値(i)

1=W1×A/W

W1…W10:1錠ごとの質量(Wi)

W=W1…W10の平均値

k:判定係数 この場合k=2.4

s=10錠の標準偏差

GMP13―27(プロセスバリデーション)

[問]バリデーション指針(5)②ア及びイ(ウ)に「PVは、原則として、商業生産スケールで製品3ロットを繰り返し製造」とあるが、同一の医薬品に係る製品で、容量が異なる製品を同質の容器に充填する場合、当該充填工程は容量ごとにプロセスバリデーションが必要か。

[答]同一の医薬品に係るサイズ違い等の容量が異なる製品の充填工程については、同一設備であっても、充填時間及び充てん速度等の影響により工程の変動要因となり得るため、容量ごとにプロセスバリデーションが必要である。ただし、容量違いのものについては、変動要因及び製品の特性を考慮し、必要なバリデーションを実施することで差し支えない。

GMP13―28(プロセスバリデーション)

[問]GMP13―27の回答に、「容量ごとにプロセスバリデーションが必要である」とあるが、単回投与の医薬品ではない医薬品に係る製品(例えば、点眼剤、シロップ剤)の充填工程であって、同一の設備を用いる場合には、製品の最大容量及び最小容量でのプロセスバリデーションを実施することでよいか。

[答]差し支えない。ただし、あらかじめ適切な方法ですべての容量について充填性能等特性を確認すること。また、材質や形状等、製品品質への影響をあらかじめ評価すること。

GMP13―29(プロセスバリデーション)

[問]同一容量の同一製品を同一仕様の複数の設備を用いて充填する場合、プロセスバリデーションはそれぞれの設備を用いて行う必要があるか。

[答]機種及び仕様が同一であっても、設備が異なる場合には、原則としてそれぞれの設備についてプロセスバリデーションが必要である。ただし、設備、システム又は装置に対する適格性評価が実施されており、各設備間の同等性が確認されていれば、一方の設備を用いてプロセスバリデーションを行うことにより他方が省略可能な場合がある。

GMP13―30(プロセスバリデーション)

[問]バリデーション指針(5)②ア及びイ(エ)に「通常、当該工程を経た製品について、その製造所からの出荷の可否を決定する前までに、PVが完了していること」とあるが、例えば、年1回しか生産しない製品であっても製品の出荷の前までに原則3ロットでのプロセスバリデーションを実施しなければならないのか。

[答]プロセスバリデーションとしてコンカレントバリデーションを実施する合理的な根拠があり、それがバリデーション計画書にあらかじめ明記されている場合には、製品の出荷の前までに3ロットでのプロセスバリデーションを実施しなくても認められる場合がある。GMP適合性調査権者に相談すること。なお、希少疾病医薬品に指定されている医薬品については、コンカレントバリデーションを採用し、GMP適合性調査実施前までに1ロットで商業生産スケールでの確認を実施し、承認取得後に残りの2ロットの商業生産スケールでの確認を行うことで差し支えない。ただし、コンカレントバリデーションを実施する合理的な根拠及びロット構成について、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。

GMP13―31(プロセスバリデーション)

[問]剤形及び有効成分が同一であって、濃度(又は含量)や容量が異なるものを数種類製品化する場合、プロセスバリデーションは、すべての濃度(又は含量)及び容量のそれぞれについて実施する必要があるか。

[答]製剤特性及び各工程の製品の品質に及ぼす影響等が類似しているとみなすことができる場合には、グループ化及び代表製品の選定の合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記した上で、当該代表製品についてプロセスバリデーションを行うことで差し支えない。

グループ化とは、製剤特性(生理活性、物理化学的性質、品質規格、有効成分の配合量等)及び各工程の製品の品質に及ぼす影響等が類似しているとみなすことができる製品群を一括して評価することをいう。例えば、製造工程が同等であって、有効成分の分量が若干異なる製品、有効成分以外の成分の種類や分量が若干異なる製品等、製剤特性が全般的に類似しているものが考えられる。

なお、グループ化を行う場合には、それらの製品の範囲及び選定の合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。特に、過去の製造実績の少ない製品等については、グループ化により評価してよいかどうかを慎重に検討すること。製品が類似していても、工程管理等に変動要因の共通性がないと予想される場合には、製品ごとにプロセスバリデーションを行うことが必要である。

GMP13―32(プロセスバリデーション)

[問]製造スケール200kg、500kg及び1,000kgで、同一の製造設備を用いて同一の製品を製造する工程のプロセスバリデーションは、最小の200kgスケールのみで実施してもよいか。

[答]プロセスバリデーションは、商業生産での製造スケールが製品の品質に影響を及ぼさないことをバリデートすることが目的であるので、設問の場合には、原則として200kg、500kg及び1,000kgの3種類の商業生産スケールのいずれについてもバリデーションを実施する必要がある。

ただし、ロットサイズが製品の品質に影響を及ぼさない合理的な理由があり、それがバリデーション計画書にあらかじめ明記されているときは、設問の場合には、3種類の商業生産スケールのうち500kgについては省略しても差し支えない。

GMP13―33(プロセスバリデーション)

[問]プロセスバリデーションにおいて、含量の均一性を評価するための試験に用いる試料の採取の箇所及び採取の量については、どのように設定すべきか。

[答]採取の箇所については、対象となる製品の製剤特性に応じて、例えば打錠工程においては時系列的に、また、混合工程においては混合機の容量、投入量を考慮してロットを代表する適切な箇所及び箇所数を設定しなければならない。採取の量については、有効成分の含量試験の方法、分析精度等を考慮して設定すること。採取の箇所及び採取の量は、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。

GMP13―34(プロセスバリデーション)

[問]ジアスターゼ等の酵素を有効成分とした錠剤に係る製品の「含量の均一性」の評価はどのようにしたらよいか。

[答]ジアスターゼ等の酵素製剤のように製造販売承認(届出)書の規格の幅が表示量±25%を超える場合及び分析精度の面から考えて均一性の評価が困難な場合には、前工程たる混合工程の均一性を、製造業者等として定めた基準により評価した上で、打錠工程において時系列ごとに採取したものの製造販売承認(届出)書の方法による定量値が規格幅に収まっていることを確認し、打錠した個々の製品の質量を時系列ごとに統計処理を行い評価しても差し支えない。

GMP13―35(プロセスバリデーション)

[問]丸剤に係る製品の製丸工程のプロセスバリデーションはどのようにしたらよいか。

[答]製丸工程の初期、中期及び後期において、通常工程どおり乾燥した一定数量について個々の質量のバラツキが期待する範囲内にあることを確認すること。ただし、質量偏差試験規格が製造販売承認(届出)書に記載のない場合には、一回の用量のバラツキが製造業者等として設定した期待値の範囲内にあることを確認することで差し支えない。ただし、必要に応じ練合塊の粘度等の変動による製丸工程への影響のほか、製丸直後の丸剤に係る製品は多量の水分を含むことから、乾燥後の丸剤に係る製品の重量(含量)管理について留意すること。

なお、製造販売承認(届出)書の規格として崩壊試験が設定されている場合には、崩壊性についても評価すること。

GMP13―36(プロセスバリデーション)

[問]漢方生薬製剤等の古い承認書においては、定量法として薄層クロマトグラフィーによるカキトリ法等が設定されていることがある。このような場合には、HPLCを用いる等、製造販売承認(届出)書に記載の方法以外の適切な定量法を用いてバリデーションを行ってもよいか。

[答]プロセスバリデーションでの確認のために製造販売承認(届出)書に記載された方法に加え、定量法などでは分析精度の高いHPLC法等を用いてバリデーションを行っても差し支えない。なお、製造販売承認(届出)書に記載の試験方法が、現在の関係通知、科学技術水準等からみて不十分と認められる場合には、一部変更承認等の申請(該当する場合には軽微な変更の届出)を行うよう製造販売業者に連絡すること。

GMP13―37(プロセスバリデーション)

[問]プロセスバリデーションにおいて、「3ロットを繰り返し製造した結果」による検証の方法を採用した場合、3ロット連続で適合しなければならないか。

[答]原則として、3ロット連続して適合していること。期待される結果が得られなかった場合には、その原因究明を行い、原因を取り除いた条件により、再度連続3ロットのプロセスバリデーションを実施し、評価を行う必要がある。

ただし、所定の手順に従ってOOSの調査を行ったところ明らかな操作ミスのあったことが確認されたとき、停電、設備故障等明らかに製造工程の管理とは関連しない特殊な事項が原因であるとき等においては、そのロットは除き、あらためて製造したロットと合わせて3ロットとしたものを「3ロットを繰り返し製造」とみなしても差し支えない。なお、「製剤開発に関するガイドラインの改定について」(平成22年6月28日薬食審査発0628第1号)に準じて開発された医薬品であって、継続的工程確認が規定された製造工程に対しては、GMP13―50~GMP13―54を参照すること。

GMP13―38(プロセスバリデーション)

[問]複数の製品の製造で設備を共用するとき、同一の製品を3ロット連続して製造することが困難な場合がある。このような場合でも、プロセスバリデーションは、当該製品の商業生産スケールでの3ロット連続製造により実施しなければならないのか。

[答]必ずしも同一製品3ロットの商業生産スケールでの製造が他製品の製造もなく連続していることを要しない、すなわち他の製品の生産の合間に行うことで差し支えない。ただし、3回連続して適合しなければならない。

前提として、設備の清浄化の確認、教育訓練の計画的実施等基本的な汚染及び交叉汚染の防止措置が適切になされていなければならない。

GMP13―39(プロセスバリデーション)

[問]製造販売承認申請データを作成したときの製造設備と製造販売承認後に商業生産を行う設備とが同一である場合には、その設備による申請用工業化研究品の製造時のデータをプロセスバリデーションとして扱うことは可能か。

[答]製造設備の適格性が維持されており、かつ、設問の「申請用工業化研究品製造時のデータ」を得たときの製造条件等(製造スケールが商業生産スケールであること等)が、行おうとするプロセスバリデーションと同一である場合に、それらのことが行おうとするバリデーション計画書にあらかじめ明記されていればよい場合がある。

GMP13―40(プロセスバリデーション)

[問]同一法人の他の製造所に同一の仕様の製造設備を設置して同一の製品の製造を行うときも、プロセスバリデーションは、両製造所とも必要か。同一の仕様の製造設備であれば、どちらかの製造所のみにおいて3ロットのプロセスバリデーションを行うことでよいか。

[答]同一の仕様の製造設備であるとしても稼動性能の違いから別の製造設備となる。また、製造環境、GMP組織体制等も異なるため、双方の製造設備についてプロセスバリデーションを行う必要がある。

GMP13―41(プロセスバリデーション)

[問]同一の製造所内において同一の製品の重要工程に係る既存製造設備を移設する又は当該製造設備と同一の仕様の製造設備を別に新設する場合には、プロセスバリデーションは、3ロットより少ないロット数の製造により評価してもよいか。

[答]GMP13―40と同様に、同一の仕様の製造設備であるとしても、稼動性能の違いから別の製造設備となるため、原則3ロットのプロセスバリデーションが必要である。ただし、移設の場合は、以下の要件をすべて満たし、その旨がバリデーション計画書にあらかじめ明記されている場合には、差し支えない。

1.「移設された製造設備」について、あらかじめ設計時適格性評価(DQ)が行われ、また移設後に設備据付時適格性評価(IQ)、運転時適格性評価(OQ)及び性能適格性評価(PQ)が行われ、かつそれらにより移設前後で当該設備の同等性が確保されていること。

2.「移設前の製造設備」に係る製造工程についての製品品質の照査結果の集積から、あらかじめ特定された変動要因に変動がなく、当該工程が安定したものであることが確認されていること。

3.移設前後の当該製造設備に係る工程のロットサイズ、製造手順等に変更がないこと。

GMP13―42(プロセスバリデーション)

[問]製剤のプロセスバリデーションに使用する原薬たる医薬品については、3ロット別々のロットを使用した上で当該製剤工程に係るバリデーションを実施する必要があるか。

[答]当該製造所の「製剤工程」についてプロセスバリデーションを行うに当たって、製剤開発時から取得した知識や情報、製品の品質特性などを考慮してバリデーションに使用する原薬たる医薬品のロットを決定することが望ましい。

GMP13―43(プロセスバリデーション)

[問]プロセスバリデーションは、実薬を使用せずに行ってもよいか。

[答]プロセスバリデーションは、あらかじめ特定された製品の品質に影響を及ぼす変動要因に関して、その変動要因に対する許容条件が目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを検証するものである。したがって、実薬を使って確認を行うものである。

GMP13―44(プロセスバリデーション)

[問]すべての製造工程を対象にプロセスバリデーションを実施する必要があるか。また、プロセスバリデーションの対象とする製造工程の選択にあたっての留意事項は何か。

[答]必ずしもすべての製造工程を対象にプロセスバリデーションを実施する必要はないが、製剤開発時に取得した知識や情報などをもとに製品の品質特性に応じて、品質に影響を及ぼす可能性のある重要工程を製造業者等が選択して実施すること。下表に重要工程の例を示すが、表に示されていない工程であっても、品質リスクに応じてバリデーションを実施すること(例:溶出性の評価におけるコーティング工程)。

剤形\品質特性

無菌性

含量均一性

溶出性

純度及び結晶形

無菌製剤

最終滅菌製剤

滅菌工程

溶解工程

混合・溶解工程

充填工程



無菌操作製剤

無菌操作工程

ろ過滅菌工程

無菌充填工程

凍結乾燥工程

溶解工程

混合・溶解工程

充填工程



固形製剤


混合工程

造粒工程

打錠工程

充填工程

打錠工程

造粒工程


液剤


溶解工程

混合・溶解工程

充填工程



軟膏剤、坐剤、パップ剤


練合工程

充填工程

展延工程



原薬たる医薬品




最終精製工程

無菌原薬たる医薬品

滅菌工程

無菌操作工程



最終精製工程

GMP13―45(プロセスバリデーション)

[問]新規製造販売承認申請時に、既存設備を使用して製造を行う場合には、当該既存設備についてあらためて適格性評価を実施する必要はなく、プロセスバリデーションのみを実施することでよいか。

[答]製造する製品によっては使用条件を変更する必要のある製造設備もあり、例えば、設備の適格性評価をあらためて実施する必要がある場合もあり得る。したがって、既に実施済みの適格性評価結果が利用できるかどうかを評価することが必要である。

GMP13―46(プロセスバリデーション)

[問]プロセスバリデーションの開始前に実施する性能適格性評価(PQ)は、処方設計時又は製造方法検討時の小スケールのデータをもって充当することができるか。それとも、商業生産スケールにおいての製造方法を確立しなければ、性能適格性評価(PQ)が完了したものとはみなされないのか。また、この性能適格性評価(PQ)において必要な製造ロット数の規定は、特にないと解してもよいか。

[答]

1.性能適格性評価(PQ)については、最終的には商業生産スケールにおいて行うことを原則とし、工業化研究の結果等を踏まえ確立した製造手順等が想定される操作条件の範囲全体にわたり、意図したとおり稼働することを確認するものである。

2.ただし、工業化研究等により当該製造工程に係る知識が十分に蓄積されており、重要なパラメータなどの変動要因が把握されている場合には、性能適格性評価(PQ)を商業生産スケールで実施しなくてもよい場合がある。

3.性能適格性評価(PQ)において必要なロット数は、蓄積した知識や重要なパラメータなどの変動要因に応じて適切に定めること。変動要因の解析に当たっては、必要に応じて統計的手法を活用すること。

GMP13―47(プロセスバリデーション)

[問]プロセスバリデーションにおいて「求められる品質の製品が恒常的に得られる妥当な工程である旨を検証」とは、何をもって検証されたと判断するのか。例えば、製品の規格に合格することをもって「検証」としてもよいか。

[答]プロセスバリデーションの目的は、単に製品の規格への合否のみで製造プロセスの妥当性を評価するものではなく、あらかじめ特定した製品品質に影響を及ぼす変動要因(原料等の物性、操作条件等)を考慮し設定した許容条件のもと稼動する工程が、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを確認し、文書化することである。

したがって、プロセスバリデーションでは、製造所の製造工程をすべて終えた製品がその規格に合格することを確認するだけでは必ずしも十分ではなく、モニタリング等を含め工程の稼働性能を評価できるように工程内管理に係る試験検査の実施内容(検体採取の箇所又は回数)を適切に定め、様々な評価を行うことにより、構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される効果を与えることを確認する必要がある。

GMP13―48(プロセスバリデーション)

[問]GMP13―44の表(重要工程の例)の固形製剤の品質特性としての溶出性に影響を及ぼす工程として打錠工程及び造粒工程が掲げられているが、製造販売承認(届出)書の規格において溶出試験が設定されていない場合にも、当該工程のバリデーションにおいて溶出性を対象とすることが必要か。

[答]製造販売承認(届出)書の規格に定められていなければ、必ずしも要件とはならないが、品質保証の観点から工程を理解し変動要因の動向を把握するために実施することが望ましい。なお、品質再評価の対象品に係る製品については、GMP13―66を参照すること。

GMP13―49(プロセスバリデーション)

[問]成分が分散している液剤に係る製品の含量の均一性に影響を及ぼす製造工程のプロセスバリデーションは、どのように行えばよいか。

[答]設問のような製品に係る一般的な製造工程を想定した場合には、混合工程、分散工程、充填工程等を重要工程として評価を行う必要がある。評価すべき工程は、品質リスクマネジメントの評価に基づき選択され、あらかじめ特定された製品品質に影響を及ぼす変動要因に関して許容条件の妥当性が検証されていること。例えば、充填工程において含量均一性を評価する場合には、科学的根拠に基づき、当該工程の初期、中期及び後期において採取方法(場所、頻度、量等)を適切に設定した上で、採取した試料をもって行うこと。

継続的工程確認

GMP13―50(継続的工程確認)

[問]バリデーション指針(5)②イ(ウ)における「同等以上の手法」とは、どのような手法をいうのか。

[答]例えば、「製剤開発に関するガイドラインの改定について」(平成22年6月28日薬食審査発0628第1号)の「より進んだQbD手法」に基づいて製剤開発した品目に対し、継続的工程確認の手法を取り入れて製造工程を検証した場合をいう。ただし、商業生産品の出荷までに、商業生産スケールで要求される品質の製品が継続的に生産できることを示す必要がある。

GMP13―51(継続的工程確認)

[問]継続的工程確認は、どのような手順を経て導入することが可能か。

[答]「製剤開発に関するガイドラインの改定について」(平成22年6月28日薬食審査発0628第1号)の「より進んだQbD手法」に基づいて製剤開発し、継続的工程確認について管理戦略を構築した場合に導入することが可能である。継続的工程確認を設定していない既存品に対して導入する場合も「製剤開発に関するガイドライン」に基づいて製造工程及び管理戦略を開発すること。

GMP13―52(継続的工程確認)

[問]継続的工程確認を導入した製品のプロセスバリデーションは、どのように運用するか。

[答]「「製剤開発に関するガイドライン」、「品質リスクマネジメントに関するガイドライン」及び「医薬品品質システムに関するガイドライン」に関する質疑応答集(Q&A)について」(平成22年9月17日審査管理課/監視指導・麻薬対策課事務連絡)の1.1Q3に示されているとおり、プロセスバリデーションの工程デザイン、工程の適格性確認、日常的工程確認の段階を製品のライフサイクルにわたって運用する必要がある。実施に当たっては、継続的工程確認を適用する旨をバリデーション計画書に記載すること。また、継続的にモニタリングすることにより得られたデータは、製品ライフサイクルを通した製品品質の照査として工程の一貫性の検証に活用できる。

GMP13―53(継続的工程確認)

[問]継続的工程確認を導入した製造工程においては、商業生産スケールでの3ロットのプロセスバリデーションは必要か。

[答]継続的工程確認を導入した製造工程に対しては、必ずしも商業生産スケールでの3ロットのプロセスバリデーションを求めていない。

GMP13―54(継続的工程確認)

[問]一連の製造工程の中で、継続的工程確認を導入した製造工程と導入していない製造工程から構成されている製品に対するプロセスバリデーションは、どのように実施すればよいか。

[答]継続的工程確認は、製剤開発の管理戦略に基づき製造工程ごとに適用されるため、「製剤開発に関するガイドライン」に規定されているように「より進んだQbD手法」と「最小限の手法」の両方が含まれたり、「より進んだQbD手法」であっても継続的工程確認を適用しない工程が含まれたりするなど、一連の製造工程の中に継続的工程確認のあるものとないものが混在する場合がある。このような製造工程のプロセスバリデーションは、継続的工程確認を適用しない工程に対しては、従来のバリデーションの評価手法に準じて、商業生産スケールで3ロット実施すること。なお、製造工程に適用するバリデーションの評価手法はバリデーション計画書にあらかじめ定めておくこと。

洗浄バリデーション

GMP13―55(洗浄バリデーション)

[問]バリデーション指針でいう洗浄バリデーションに関しては、どの程度の範囲まで実施すればよいか。

[答]洗浄バリデーションについては、以下の点に留意して実施すること。

1.製品等が接触するすべての設備器具について実施すること。専用設備においては、製品等の分解物等の生成やキャリーオーバーが否定できない製造工程については、分解物等劣化した残留物等を考慮すること。

2.バリデーションの対象となる洗浄方法について、残留物の量が以降に製造する製品のロットサイズを考慮した汚染の限度値以下となることを保証し、バリデートされた洗浄方法を手順書等に反映すること。

3.洗浄バリデーションに係るバリデーション計画書には、対象とする設備、手順、当該設備に係る製品等、許容水準、モニタリング及び管理を行うためのパラメータ、試験方法、採取する検体の態様並びに当該検体の採取及び表示の方法を記載すること。手順にはサンプル採取箇所、設備洗浄の時間制限(ダーティーホールドタイム及びクリーンホールドタイム)を記載すること。バッチごとに洗浄を実施せずにキャンペーン製造を行う場合はその最大長(時間及び/又はバッチ数)を考慮すること。

4.試験方法は、限度値相当の量の残留物を十分に検出することができるように、分析法バリデーションにより、特異性及び感度を有する妥当なものとすること。

5.採取方法については、不溶性及び溶解性残留物の両方を検出するために、スワブ法、リンス法又は代替方法(例えば、直接抽出)を適切に含めること。使用する検体採取方法は、洗浄後の設備表面上に残留する残留物の水準を定量的に測定できる方法にすること。

6.残留物又は汚染物(洗浄剤を含む)の限度値(残留許容限度値)は、次に製造する製品の安全性に基づく基準から設定すること(GMP13―56参照)。

7.設備の洗浄作業及び殺菌消毒作業(サニタイゼーション)の手順等の検討に当たっては、当該作業が製品中の微生物数若しくはエンドトキシン量を管理する必要がある場合、又は微生物若しくはエンドトキシンによる汚染が問題となりうる場合には、これらを勘案したものとすること。

8.洗浄バリデーションを行った洗浄手順は、当該洗浄手順が通常の製造時に有効であることを保証するために、バリデーション後適切な間隔でモニタリングを行うこと。GMP13―60を参照すること。

9.原薬のように、原料等の残留物や汚染物のキャリーオーバーが精製工程で除去される場合は、原薬の品質への影響をリスク評価した上で、洗浄バリデーションの対象工程を判断すること。

GMP13―56(洗浄バリデーション)

[問]洗浄バリデーションの実施及び残留許容限度値設定にあたり、留意すべき点は何か。

[答]製造業者等は、自社で製造する製品のそれぞれについて、他の製品の成分や他の物品の曝露による交叉汚染が生じないよう、適切な残留許容限度値を設定すること。

残留許容限度値の設定にあたっては、残留物又は汚染物(洗浄剤を含む)の物質特性(溶解性、力価、毒性)等が異なるため、品質リスクマネジメントの原則に準じて、患者に対する健康被害リスクを適切に制御するよう値を設定すること。

また、適切に洗浄バリデーションを実施し、その結果を記録するとともに、バリデートされた洗浄方法を手順書等に反映すること。

なお、洗浄バリデーションの残留許容限度値の算出には以下の方法が知られており、これらの考え方が参考となるが、これらに限ったものではない。

・一日許容曝露量(PDE/ADE)又は許容一日摂取量(ADI)による方法

・職業曝露限界(OEL)による方法

・混在濃度10ppm以下

・一日最小投与量の1/1000

また、関連する以下の資料も参照されたい。

・「原薬GMPのガイドラインに関するQ&Aについて」(平成28年3月8日監視指導・麻薬対策課事務連絡)、4.構造設備―封じ込め

・GUIDELINE ON SETTING HEALTH BASED EXPOSURE LIMITS FOR USE IN RISK IDENTIFICATION IN THE MANUFACTURE OF DIFFERENT MEDICINAL PRODUCTS IN SHARED FACILITIES, PI 046‐1, PIC/S

・QUESTIONS AND ANSWERS ON IMPLEMENTATION OF RISK‐BASED PREVENTION OF CROSS‐CONTAMINATION IN PRODUCTION AND ‘GUIDELINE ON SETTING HEALTH‐BASED EXPOSURE LIMITS FOR USE IN RISK IDENTIFICATION IN THE MANUFACTURE OF DIFFERENT MEDICINAL PRODUCTS IN SHARED FACILITIES’, PI 053‐1, PIC/S

・AIDE‐MEMOIRE, INSPECTION OF HEALTH BASED EXPOSURE LIMIT (HBEL) ASSESSMENTS AND USE IN QUALITY RISK MANAGEMENT, PI 052‐1, PIC/S

・ICH M7

・「新有効成分含有医薬品のうち原薬の不純物に関するガイドラインの改訂について」(平成14年12月16日医薬審発第1216001号)(ICH Q3A(R2)))

なお、設備の共用の可否については、GMP9―18、GMP9―28を参照すること。

GMP13―57(洗浄バリデーション)

[問]洗浄バリデーションは、3回の繰返しが必要か。

[答]

1.洗浄バリデーションは、原則として3回の繰返しデータが必要である。

2.新製品でも、洗浄バリデーションに関して製造設備を共用する既存製品に係る残留物の量等の特性が類似していることを示す合理的な根拠がある場合には、それがバリデーション計画書にあらかじめ明記されていれば、当該既存製品に係る洗浄バリデーション結果を利用しても差し支えない。ただし、当該新製品について、最低1回はその洗浄方法により同等の洗浄効果があることを確認すること。

3.新設備でも、構造的に既存設備に類似しており、同等の洗浄効果があると考えられる場合には、その合理的な根拠がバリデーション計画書にあらかじめ明記されていれば、当該設備に係る洗浄バリデーション結果を利用しても差し支えない。ただし、最低1回はその洗浄方法により同等の洗浄効果があることを確認すること。

GMP13―58(洗浄バリデーション)

[問]洗浄バリデーションでは、合理的な根拠に基づき、指標となる成分のみをもって評価してもよいか。

[答]洗浄バリデーションは、当該作業を実施することにより製品への汚染及び交叉汚染を十分防止することができることを保証することを目的としている。したがって、指標となる成分を選定する場合には、各成分の溶解性、当該洗浄方法による除去の困難さ、残留物の限度値、生理活性、投与量、含量等を考慮し、その目的を達成することができることを検証しておく必要がある。指標成分の選定根拠、指標成分としての残留限度値の設定根拠等を、バリデーション実施計画書にあらかじめ明記しておくこと。

GMP13―59(洗浄バリデーション)

[問]洗浄バリデーションを実施し、洗浄方法等を定めた自動洗浄システムを備えた共用の製造設備については、日常的な管理をどのように行えばよいか。

[答]洗浄バリデーションにおいて得られた知見を反映した構造設備及び職員の衛生管理に関する手順(GMP8―4を参照)に従って日常の管理を行うとともに、洗浄バリデーションを行った洗浄手順は通常の製造時に有効であることを保証するために、バリデーション後適切な間隔でモニタリングを行うこと。GMP13―60を参照すること。また、洗浄作業に使用する計器については定期的に校正を実施すること。

なお、洗浄方法等の作業を変更しようとする場合には「変更時のバリデーション」を実施すること。

GMP13―60(洗浄バリデーション)

[問]洗浄バリデーション及び日常管理にはどのような試験法を用いればよいのか。

[答]洗浄バリデーションに使用する試験方法は、その目的を達成するに足る方法であり、試験する残留物又は汚染物が限度値以下となるような場合にも適切な検出感度を持つことを検証しておく必要がある。目視確認についても、これらの点が満たされるものについては、定量的な試験に代えても差し支えない。また、日常管理においては目視確認による方法で差し支えない。

なお、目視確認による場合には、観察者による評価のばらつきが生じないよう、教育訓練の計画的実施等適切な措置をあらかじめ講じる必要がある。

GMP13―61(洗浄バリデーション)

[問]製造設備の洗浄に洗剤(界面活性剤)を用いる場合、洗剤成分の残留の有無を確認する必要があるか。

[答]洗剤を用いて洗浄を行う場合には、洗浄バリデーションにおいて、定められた洗浄方法(すすぎ等)により洗剤成分の残留がないことを定量的な試験により確認しておく必要がある。除去しやすい洗剤を用いる場合には、GMP13―60の条件を満たし、目視確認により残留限度値を十分検出できることを検証していれば、乾燥後の目視確認によることとしても差し支えない。

GMP13―62(洗浄バリデーション)

[問]内用液剤に係る製品の製造工程のうち、調製から充填に係る工程の複数の製造設備の洗浄バリデーションについては、リンス法により最終洗浄液中の残留物又は汚染物の濃度が限度値以下であることを確認することをもって足りると考えてよいか。

[答]洗浄バリデーションに係る採取の方法については、設備表面から直接採取する方法(スワブ法)によることが望ましい。ただし、あらかじめ分解洗浄するなどし、リンス法の妥当性がスワブ法等により検証されていれば、リンス法によることとしても差し支えない。GMP13―55を参照すること。

GMP13―63(洗浄バリデーション)

[問]同一の製品を製造する、同一の仕様の製造設備が複数ある。一の製造設備の洗浄バリデーションの結果を、他の製造設備の洗浄バリデーションに利用してもよいか。

[答]同一の仕様の製造設備の洗浄バリデーションの実施に当たっては、一の製造設備の洗浄バリデーションデータを他の製造設備に係る洗浄バリデーションに利用しても差し支えない。合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。

再バリデーション

GMP13―64(再バリデーション)

[問]バリデーション指針2(5)④に「再バリデーションを行う必要性、時期(タイミング)及び項目については、その設備、装置若しくはシステム、製造工程、洗浄作業又は試験検査に係る製品の製造頻度のほか、医薬品に係る製品にあってはGMP省令第11条の2第1項第4号及び第21条の2第1項第4号の規定による安定性モニタリングの評価、同令第11条の3第1項第1号の規定による製品品質の照査等の結果を踏まえ、製造業者等が定めるものであること」とあるが、再バリデーションを不要と判断してもよい事例を示してほしい。

[答]非無菌医薬品の製造プロセスに関しては、製品品質の照査の結果に問題がなく、工程の再現性に影響を及ぼす事象が認められないと判断できる場合には、再バリデーションを実施しなくても差し支えない。しかし、工程変更により設備の要求事項が変わる場合には、適格性評価を実施する必要がある。一方、無菌医薬品の無菌性保証に係わる工程に関しては、製造プロセスの稼動性能が製品品質に直接影響を与えるおそれがあることから、製品品質の照査の結果にかかわらず定期的に再バリデーションを実施すること。

GMP13―65(再バリデーション)

[問]最終滅菌法(例えば高圧蒸気滅菌を含む湿熱滅菌)に基づく滅菌工程を実施する場合、設備の性能として滅菌装置の温度分布を無負荷の状態において既に確認していても、当該滅菌工程の再バリデーションは必要か。

[答]必要である。湿熱滅菌工程においては、滅菌装置内に置かれたすべての被滅菌物の品温及び時間が日本薬局方に規定の滅菌条件を満足していることを、負荷時における熱分布試験及び熱浸透性試験によって検証する必要がある。なお、その他の最終滅菌法については、「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」や、関連指針の最新版等を参考にすること。

変更時のバリデーション

GMP13―66(変更時のバリデーション)

[問]品質再評価の対象となる品目に係る製品については、どのようにバリデーションを行えばよいか。

[答]

1.品質再評価の対象となる品目に係る製品については、溶出性の見直しに対応した品質の確認が必要である。したがって、溶出性に関してプロセスバリデーションが行われていないものについては公的溶出試験法が確立した時点において、製品ごとにプロセスバリデーションを行うこと。

2.処方変更又は製造方法の変更により溶出性を変更する場合には、検討段階において溶出性に影響を及ぼす工程(コーティング工程等)を把握した上で、商業生産のための製造方法を確立し、溶出性に関してプロセスバリデーションを行うこと。

3.品質再評価については、「医療用医薬品の品質に係る再評価の実施等について」(平成10年7月15日医薬発第634号)を参照すること。

GMP13―67(変更時のバリデーション)

[問]変更時のバリデーションとして実施するプロセスバリデーションについて、ロット数に規定はあるか。類似製品等の製造条件をもとに1ロットの製造をもって検証することができるのであれば1ロットのみの製造でもよいか。

[答]再現性の観点から原則3ロットのプロセスバリデーションが必要である。ただし、類似製品等に係る知見により、変更内容が製品の品質に影響を及ぼさないことを予測することが合理的に説明できる場合には、その根拠をバリデーション計画書にあらかじめ明記することで、コンカレントバリデーション(原則3ロット)として認められる場合がある。

GMP13―68(変更時のバリデーション)

[問]原料、資材、手順、製造設備等が同じであって、ロットサイズのみを変更するとき、変更時のバリデーションを実施する必要があるか。

[答]原料その他の条件が同じであっても、当該ロットサイズの変更が品質に影響を及ぼすおそれのある場合は、変更時のバリデーションを実施すること。なお、製造販売承認書において標準的仕込み量やロットサイズが定められている場合には、当該変更はGMP省令第14条第1項第2号に示す製品品質若しくは承認事項に影響を及ぼす場合又はそのおそれがある場合に合致する可能性が高いことから、変更の際には一部変更承認申請(該当する場合には軽微な変更の届出)の必要性について製造販売業者に相談すること。

製造支援システムのバリデーション

GMP13―69(製造支援システムのバリデーション)

[問]「製造を支援する装置又はシステム」のバリデーションのうち、製造用水を供給する装置又はシステムのバリデーションに関しては、どの程度の範囲まで実施すればよいか。

[答]製造用水を供給する装置又はシステムのバリデーションは、当該装置又はシステムで製造された製造用水が、すべてのユースポイントで目的とする品質基準を恒常的に満足することを保証できるように実施すること。なお、原水については、定期的にその品質を確認すること。

GMP13―70(製造支援システムのバリデーション)

[問]製造を支援するシステムなど複数の製品に共用される製造設備の適格性評価及び洗浄バリデーションは、製品ごとに実施しなければならないのか。

[答]複数の製品の製造において共用する製造設備については、必ずしも製品ごとに適格性評価及び洗浄バリデーションを行う必要はなく、製造設備ごとにそれらを行うことで差し支えない。なお、実施に当たってはグループ化等の合理的な根拠を、バリデーション計画書にあらかじめ明記しておくこと。

GMP13―71(製造支援システムのバリデーション)

[問]製造用水を供給する装置又はシステム、作業所の空調処理のため装置又はシステムについて、モニタリングを行う項目、場所、時期等を定めて日常の工程管理を実施している場合、定期的な適格性評価は必要か。

[答]日常のモニタリングとは別に、定期的に装置又はシステムの適格性及び計測器の校正に問題がないことを確認すること。なお、無菌性及び非発熱性に関わる製造を支援する装置又はシステム等においては、定期的に再バリデーションを実施すること。ただし、設問の場合における「モニタリング」において設備又はシステムの適格性評価の項目をすべて確認し、文書化している場合には、あらためて実施する必要はない。

GMP13―72(製造支援システムのバリデーション)

[問]作業所の空調処理のための装置又はシステムのバリデーションに関しては、どの程度の範囲まで実施すればよいか。

[答]目的としている「作業所の空調処理のための装置又はシステム」の特性を考慮し、当該「装置又はシステム」により供給される空気が期待される品質を恒常的に保証することができる程度まで実施すること。

バリデーション指針適用特例

GMP13―73(バリデーション指針適用特例)

[問]国家検定対象医薬品に係る製品の承認前GMP適合性調査を受けるに当たって、その他の医薬品に係る製品と同様にバリデーションを行う必要があるか。

[答]必要である。ただし、バリデーション指針(7)にあるとおり、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第43条第1項の規定に基づき検定を要するものとして厚生労働大臣の指定する医薬品等(昭和38年厚生省告示第279号)により中間製品に検定基準が定められている医薬品に係る製品のバリデーションについては、必ずしもバリデーション指針によらず、当該製品の品質リスクを特定し、評価した結果に基づく適切な方法によることは差し支えないとされている。

GMP13―74(バリデーション指針適用特例)

[問]あへん系麻薬を原料として使用する医薬品に係る製品については、バリデーション指針(7)に「必ずしも本バリデーション指針によらず、当該製品のリスクを特定し、評価した結果に基づく適切な方法によることは差し支えない」とされているが、具体的にはどのようにすればよいか。

[答]

1.あへん系麻薬を原料として使用する医薬品に係る製品については、麻薬及び向精神薬取締法等におけるあへん系麻薬原料の需給の適正管理等の観点から、承認前GMP適合性調査を受けるに当たって実施する製造工程に係るプロセスバリデーションを実施することは求められない。ただし、「適格性評価」については実施すること(「適格性評価」については、類似製品に係る確認結果を参考に操作条件等を設定する方法、物理化学的性質の類似したダミーを用いて操作条件の妥当性を確認する方法等がある。)。

2.製造を支援するシステム、洗浄等の作業といった、あへん系麻薬原料の需給に支障のない製造手順等に係る確認は行うこと。また、製造販売承認後においては、製品品質の照査により工程の安定性及び妥当性を検証すること、コンカレントバリデーションを実施すること等、品質確保上必要と思われる措置をとること。

GMP13―75(バリデーション指針適用特例)

[問]苦味チンキ等、生薬のエタノール抽出製剤の日本薬局方に規定する試験検査の項目としては、確認試験及びアルコール数が主なものである。生薬エキス分についての明確な規格値が示されていない医薬品に係る製品の製造工程において、含量の均一性は、どのように評価し判断すればよいか。

[答]設問の場合、「アルコール数」とともに、可能な限りエキス含量その他の規格を製造業者等として設定した上で評価を行うこと。なお、得られた製品は局方規格のすべての項目を満たしていること。また、現在の技術水準に照らして生薬エキス分の均一性に係る定量法がない場合には、製品のいずれの箇所を採取して確認試験を実施しても陽性となることを確認することにより検証しても差し支えない。

錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション

GMP13―76(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション)

[問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装などの充填から包装までを一貫して行う工程のバリデーションについて、どのように取り扱うのが適切か。

[答]性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの取り扱いに関する基本的な考え方は以下のとおりである。

PTP包装を例として以下に記載するが、SP包装もPTP包装と同様の取り扱いである。対象となる工程には、PTP包装機(ブリスター包装機)を用いたPTP充填工程単独の場合も、また、PTP充填工程とピロー包装機、箱詰機(カートニングマシン)等を用いた包装工程を一貫して行う場合も含まれる。

最終製品の品質は、以下の3点からなる。

1.投入する錠剤、カプセル剤等(以下、「錠剤等」)の品質

2.錠剤等の割れ・欠け等の損傷や汚れなど充填状態の品質

3.包装品質(錠剤等が正しい数量充填され、適切にシールされること等)

1.は製剤工程のプロセスバリデーションによって検証され、2.及び3.は適切に設定された充填・包装工程の連続的モニタリングや工程管理によって検証される。

なお、錠剤等が包装機に投入されてから充填が完了するまでの間、工程作業環境下に曝露されることによる製品品質への影響については、安定性評価の結果等に基づいて影響がないことが保証できている必要がある。

錠剤等のPTP包装及びSP包装においては、以下2点の観点が考えられることから、包装形態を含む製品の特性に応じ、製造業者等がプロセスバリデーション実施の必要性を判断することができる。

・充填する製剤等の品質(含量、溶出性等)は製剤化工程で既に確定しており、当該工程の稼働によって時系列的に発生しうる品質リスク(散剤のような製剤を包装する場合の偏析等)が一般的に低いこと。

・当該工程は機械的な要素(成形、シール、スリット、刻印、打ち抜き、検査等)が大きく、また品質が確定した錠剤等を包装容器に充填することが主たる作業であること。

なお、プロセスバリデーション実施の如何にかかわらず、GMP13―78に示す1.~4.について知見等を得ておくことが必要である。

GMP13―77(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション)

[問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程の性能適格性評価(PQ)において、実薬や商業生産用の表示がされた包装材料を使用せずに行ってもよいか。

[答]GMP13―76に示した考え方及び下記に示す【性能適格性評価(PQ)で使用する製剤及び包装材料の考え方】を踏まえた上で、品質リスクマネジメントに基づき、模擬薬や商業生産用を模した包装材料を用いて性能適格性評価(PQ)を実施することで差し支えない。また、評価する項目によっては、製剤(実薬又は模擬薬)を使用せずに評価することもできる。性能適格性評価(PQ)のロットスケールについては、GMP13―46を参照すること。

【性能適格性評価(PQ)で使用する製剤及び包装材料の考え方】

評価する品質の項目によっては、製剤は実薬の代わりに模擬薬を使用して、又は実薬も模擬薬も使用せずに評価することもできる。但し、実薬と模擬薬の違いにより、製造ライン上で異なる挙動が示される可能性がある部分(例えば、製剤の搬送、充填部分等)については、実薬による評価が望ましい。また、一般的に性能適格性評価(PQ)時に商業生産用の包装材料が整うことは少ないので、商業生産用を模した包装材料を用いる場合が多い。実薬や商業生産用包装材料を使用しない場合は、これらを使用しなくても評価できるとする説明が必要である。

GMP13―78(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション)

[問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程の性能適格性評価(PQ)及びプロセスバリデーションの実施スケールもしくは稼働時間は商業生産スケールでないと認められないか。

[答]GMP13―76に示した性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの考え方を踏まえ、工程の特性上、標準的な商業生産スケールというのは必ずしも存在しないことから、商業生産のロット(バッチ)スケールに捉われることなく、以下の知見等を根拠として、当該充填・包装ラインが稼働開始(作業開始)から安定稼働に至るまでを少なくとも稼働させて性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションで検証できれば、その稼働時間を超えて連続して長時間稼働させた場合であっても品質を保証できるという考え方を取り入れてもよい。

1.当該製剤の品質特性(安定性評価含む)に関する知見

2.錠剤等の割れ・欠け等の損傷や汚れなど充填状態の品質に関する知見

3.気密性が製剤の品質に大きく影響する場合には、性能適格性評価(PQ)までの段階において評価したSP包装又はPTP包装の気密性に係る包装品質に関する知見

4.当該充填・包装ラインもしくは類似の充填・包装ラインの製造実績等に基づく製造装置の特性に関する知見

但し、性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの結果に基づき、商業生産時の連続的モニタリングもしくは工程管理を実施する項目、方法、又は管理範囲等を特定しておく必要がある。

なお、充填・包装ラインの停止後の再稼働時や包装材料の切り替え時の作業に品質リスクが高まることが予測される場合、そのような作業をワーストケースとして性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーション時に取り込んで検証することは有効な手段である。

前述のような考え方に基づいて実施する場合には、長時間稼働させた場合であっても保証できると判断できるとしたロット(バッチ)スケールもしくは稼働時間を最小限で実施することで差し支えない。

また、性能適格性評価(PQ)等の結果に基づき、商業生産時の連続的モニタリングもしくは工程管理を実施する項目、方法、管理範囲等を特定しておくことで、長時間稼働させた場合であっても表示を含む製品品質を保証できることが科学的に文書で示せるのであれば、プロセスバリデーションは省略できる。

GMP13―79(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション)

[問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程の性能適格性評価(PQ)の繰り返し回数は原則3回実施しなければならないのか。

[答]GMP13―76に示した性能適格性評価(PQ)/プロセスバリデーションの考え方及び下記に示す【性能適格性評価(PQ)の繰り返しの考え方】を踏まえ、性能適格性評価(PQ)において必要なロット数は、蓄積した知識や重要なパラメータなどの変動要因に応じて適切に定めることでよい。変動要因の解析に当たっては、必要に応じて統計的手法を活用すること。

【性能適格性評価(PQ)の繰り返しの考え方】

基本的に性能適格性評価(PQ)までの段階において評価した、GMP13―78に示した1.~4.の知見等を根拠として、性能適格性評価(PQ)の繰り返し数を設定する。また、評価する品質の項目によって、繰り返し数を変化させてもよい。

GMP13―80(錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までの工程におけるバリデーション)

[問]錠剤やカプセル剤のSP包装又はPTP包装の充填から包装までを行う工程について、承認前GMP適合性調査にあたって準備すべき事項はなにか。

[答]承認前GMP適合性調査時には、主に以下の項目を準備しておく必要がある。

・充填から包装までを行う工程の適格性評価(OQ、PQ等)

・プロセスバリデーション報告書又はプロセスバリデーションが完了していなくても十分な品質の製品が恒常的に製造できると判断する根拠

・充填から包装までの工程を製造する上で必要な文書(製造手順、工程管理手順等)又はその案

なお、「プロセスバリデーションが完了していなくても十分な品質の製品が恒常的に製造できると判断する根拠」とは、GMP13―78に示した1.~4.の知見及び性能適格性評価(PQ)等の結果に基づき、商業生産時の連続的モニタリングもしくは工程管理を実施する項目、方法、管理範囲等を特定し、長時間稼働させた場合であっても表示を含む製品品質を保証できることを科学的に示すことを指す。

バリデーション(その他)

GMP13―81(バリデーション(その他))

[問]十分確立されている製造工程に対して集積された試験検査結果及び製造記録を統計学的方法等により解析する回顧的バリデーションの考え方は、今後、認められないのか。

[答]回顧的バリデーションは、バリデーション基準を導入した際に暫定的に認められたものであり、現在、回顧的バリデーションを行う機会は原則ない。

GMP13―82(バリデーション(その他))

[問]注文生産等製造の都合上、ロットサイズを常に一定とすることが困難である場合、プロセスバリデーションはどのように行えばよいか。

[答]通例、ロットサイズの変更は、工程の変動要因、ひいては製品の品質に影響を及ぼしうると考えられることから、変更時のバリデーションを実施する必要がある。まずは、当該製造工程がロットサイズに依存する程度を評価し、ロットサイズに依存しないものの、日常的にロットサイズの変動が見込まれる場合には、予想される最大と最小のロットサイズについてプロセスバリデーション(原則それぞれ3ロット)を実施し、その範囲内においての同等性を確認しておくことにより対応しても差し支えない。なお、ロットサイズに依存する工程においては、ロットサイズの変動幅を限定するか、ロットサイズの範囲をいくつかに分け、それぞれについて運転パラメータを調整するなどした上で、別途プロセスバリデーションを行う必要がある。

GMP13―83(バリデーション(その他))

[問]製造業者Aにおいて製剤バルクの製造を行い、製造業者Bにおいて充填、包装及び表示の工程を行っている場合、①製造業者Bにおいて行う工程のみを他の製造業者に移転する場合、②両製造業者において行う工程を変更することなく製造販売承認の承継を行う場合、のいずれにおいても変更時のバリデーションを行う必要があるか。

[答]設問の①の場合には、「他の製造業者」の製造所において、移転された工程に関してプロセスバリデーションを行うこと。設問の②の場合には、原則として変更時のバリデーションを行う必要はないが、GMP組織体制等も考慮すること。

GMP13―84(バリデーション(その他))

[問]無菌製剤に係る製品に関するバリデーションは、具体的にはどのような内容について実施すればよいか。

[答]注射剤、点眼剤、眼軟膏剤、注射用水(製剤に限る)の無菌製剤に係る製品の製造工程については無菌性及び非発熱性の確保が重要であり、「第十七改正日本薬局方第二追補の制定により削除された参考情報の取扱いについて」(令和元年6月28日医薬品審査管理課/監視指導・麻薬対策課事務連絡)及びPIC/SのGMPガイドライン等、各種指針を参照し、適切に実施すること。

GMP13―85(バリデーション(その他))

[問]包装表示工程についてもプロセスバリデーションを行うべきか。

[答]一般的には、包装工程(一次包装を除く。)及び表示工程については、有効期限やロット番号の印字、添付文書の封入等に関して適格性が別途確認されれば、必ずしもプロセスバリデーションを行う必要はない。

GMP13―86(バリデーション(その他))

[問]企業の合併等により製造販売承認(届出)書の製造方法欄に記載された製造業者等の名称のみ変更があった場合、変更後の製造業者等の製造所の重要工程についてあらためてプロセスバリデーションを実施する必要があるか。

[答]設問のようにGMP体制の変更がなく文書及び記録が承継された場合には、名称変更前の製造業者等によりプロセスリデーションが実施され、恒常性が担保されていれば、構造設備並びに手順、工程その他製造管理及び品質管理の方法に変更がない限り、あらためてプロセスバリデーションを行う必要はない。

GMP13―87(バリデーション(その他))

[問]既に製造販売承認を受けて製造販売している医薬品に、新たに現状と異なる名称をつけて製造販売しようとする場合、新たな名称の医薬品に係る製品の重要工程についてプロセスバリデーションを実施する必要があるか。

[答]製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法に変更がない限り、「既に製造販売承認を受けて製造販売している医薬品」に係る製品についてプロセスバリデーションが既に実施されていれば、「新たな名称の医薬品」に係る製品についてあらためてプロセスバリデーションを行う必要はない。ただし、錠剤への刻印や形状等の変更が生じる場合は、当該工程以降についてあらためてプロセスバリデーションを行う必要がある。

GMP13―88(バリデーション(その他))

[問]バリデーションの実施を他社に依頼することは可能か。

[答]製造業者等及びそのバリデーションの責任者の責任のもとに、「他社」に依頼する業務の範囲を明確にし、バリデーションマスタープランに一般的事項を、かつ個別のバリデーションごとに作成するバリデーション計画書において具体的事項を規定した上で、分析、統計処理等バリデーションの実務を一部「他社」に委託しても差し支えない。

GMP13―89(バリデーション(その他))

[問]プロセスバリデーションを実施したロット以外に、バリデーションの目的でそれと同等の製造条件で製造した製品を、製造販売承認後にこれらの製品が承認書記載の製造方法どおりに製造されていることの確認、規格に適合していることの確認を行う等、市場への製造所からの出荷の可否判定を適切に実施した上で、市場へ出荷することは認められるか。

[答]プロセスバリデーションを実施したロット以外に、性能適格性評価(PQ)で製造したロットについても、出荷することが認められる場合がある。この場合には、設問の条件以外に、プロセスバリデーションを実施したロットと同様に製造条件が確定されたものであり、あらかじめバリデーション計画書に出荷のための基準が設定され、検証結果としてそれを満たすことが確認されれば出荷は認められる。

GMP13―90(バリデーション(その他))

[問]医薬品の安定供給に対するリスク低減等を目的として、原薬たる医薬品につき複数の製造元を準備して承認を受けようとする場合、製剤を製造する製造所の承認前GMP適合性調査の対象とされるプロセスバリデーションは、複数の製造元すべての原薬たる医薬品を用いて実施しておく必要があるか。

[答]承認時において供給する予定がない製造元の原薬について、例えば、結晶多形の存在、溶媒の違い等、製造方法の違い等を踏まえ、製剤の同等性や、製剤化の製法・規格等に及ぼす影響を、ラボスケールでの検証、PQ等により確認している場合等においては、調査時点においてプロセスバリデーションを要しない。

第14条(変更の管理)関係

変更管理

GMP14―1(変更の管理)

[問]製造所において製造場所、製造方法等の変更を行う場合、製造業者等として製造販売業者への連絡は必要か。

[答]製造販売業者との取決め等に基づき、改正省令公布通知第3の22(1)②のとおり製品品質若しくは承認事項に影響を及ぼす又はそのおそれがある場合には、製造販売業者への事前連絡が必要である。なお、取決めには、上記を考慮した判断基準を含めることが望ましい。

また、MF登録を受けている外国の原薬等製造業者についても上記同様であるが、製造販売業者との取決め等に基づき、MF国内管理人等を通して製造販売業者への事前連絡をする事も可能である。この場合、変更連絡が遅滞なく行われるよう留意すること。詳細は、GQP省令及び関係通知等も参照すること。

GMP14―2(変更の管理)

[問]変更管理において、承認事項への影響に関して留意すべき事項は何か。

[答]例えば以下の事例があげられる。

1.製造業者等は最新の承認事項を入手し、当該変更が承認事項に影響を及ぼすおそれがあるか確認すること。MF登録を受けている国内製造業者も、自社のMF登録の最新版を参照し、当該変更の影響を確認すること。MF登録を受けている外国の原薬等製造業者は同様にMF国内管理人等より最新の登録事項を入手し、当該変更の影響を確認すること。(MF登録を受けている場合の承認事項の取扱いは、GMP3の2―1を参照のこと。)

2.承認事項への影響は、品質保証部門に係る業務を担当する組織が評価すること。

GMP14―3(変更の管理)

[問]変更管理において、製造販売業者への連絡及び確認に関して留意すべき事項について示してほしい。

[答]例えば以下の事例があげられる。

1.製造販売業者との取決め等に、製造販売業者に連絡及び確認すべき事項、ならびにその方法及び責任者等を定めること。

2.製品品質及び当該変更が承認事項に影響を及ぼすおそれがある変更については、適切に製造販売業者に連絡及び確認できるように、その判断基準を製造販売業者との取決め等に定めること。

3.製造販売業者への連絡及び確認が適切に実施できるように、1.及び2.について必要に応じて見直すことも取決めること。

なお、取決めに基づく製造業者等からの製造販売業者への上記に関する報告は適時行うことが重要である。

GMP14―4(変更の管理)

[問]変更管理に関し留意すべき事項について示してほしい。

[答]変更管理に関し一般的に留意すべき事項としては、例えば以下の事項が挙げられる。

1.GMPに関連するすべての変更は、適切な部門が起案を行い、品質保証に係る業務を担当する組織による承認を受けること。

2.GMP省令第8条第1項第10号の第14条の変更の管理に関する手順には、次の事項を含めること。

(1) GMP省令第14条第1項第1号の製品品質への影響評価においては、再バリデーションを行う必要性、変更を正当化するために必要な追加試験検査の必要性等の評価を含むこと。

(2) 変更後の製品品質の評価方法及び評価基準を変更の前にあらかじめ定めること。

(3) 変更に関連する文書の改廃及び職員の教育訓練の方法を変更の前にあらかじめ定め、かつ当該文書改廃及び教育訓練を確実に実施すること。

(4) GMP省令第14条第1項第4号のその他所要の措置として、規格及び試験検査方法、有効期間若しくは使用期限又はリテスト日及び表示を改める必要性の有無について、変更の前にあらかじめ決定しておくこと。

(5) 承認事項への影響を評価すること。

3.変更の実施後、GMP省令第14条第2項第1号の評価については、変更の下で製造又は試験検査を行った最初のロットから、複数のロットを対象とすること。

また、変更管理の手順と実務を明確にするため、実効性のある医薬品品質システムの構築に関して、以下の資料も参考となるものであること。

・How to Evaluate and Demonstrate the Effectiveness of a Pharmaceutical Quality System in relation to Risk‐based Change Management, PI 054‐1, PIC/S

GMP14―5(変更の管理)

[問]GMP省令第14条第1項第5号において、「前各号の業務の実施状況を品質保証に係る業務を担当する組織及び製造管理者に対して文書により報告すること」とあるが、製造管理者にも品質保証に係る業務を担当する組織と同様に変更管理実施の都度、報告は必要か。

[答]品質保証に係る業務を担当する組織は個々の業務の実施状況をタイムリーに把握する必要がある。一方、製造管理者については、GMP省令第5条に規定する業務に支障がない限りにおいて、変更管理案件の実施状況を必ずしもその都度報告を受ける必要はない。例えば、製品品質若しくは承認事項に影響を及ぼす又はそのおそれの程度を考慮して、製造管理者に対し、その都度報告すべき変更管理案件と定期的に報告すべき変更管理案件の基準をあらかじめ、手順書等に規定し、それに従い製造管理者に適切なタイミングで報告することが考えられる。

第15条(逸脱の管理)関係

逸脱管理

GMP15―1(逸脱の管理)

[問]GMP省令第15条第1項に「製造手順等からの逸脱が生じた場合」とあるが、「逸脱」の概念をどのように考えたらよいのか。

[答]改正省令公布通知第3の23(1)①においては、「医薬品製品標準書及びGMP省令第8条第1項の手順書に定められている事項に限らず、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される状態が保たれていない場合」を逸脱としている。

GMP15―2(逸脱の管理)

[問]GMP省令第15条第1項第1号に、「逸脱したことによる影響を調査し、」とあるが、この影響の調査にはどのような事項が含まれるか。

[答]ここでいう調査は製品品質への影響を特定することを目的としたものであるが、その際に重要なのは、影響の重大性並びに影響が及ぶ品目及びその数量を明確にすることである。逸脱の原因次第では、逸脱が発生した製造ロットのみならず、過去に製造した同一品目のロットないしは他品目の製造ロットにも影響が及ぶ可能性がある。また、影響が確認された又は否定できないと判断されたロットについては、当該ロットの不具合を取りのぞく措置又は出荷若しくは使用を取りやめる等の措置が必要となる。なお、製品品質への影響を正確に把握するためには、逸脱の原因の特定が必要となると考えられる。

GMP15―3(逸脱の管理)

[問]GMP省令第15条第1項第2号ロに、重大な逸脱が生じた場合においては、当該逸脱に関連する製品に係る製造販売業者に対して速やかに連絡するとされているが、その際に留意すべき事項は何か。

[答]「重大な逸脱が生じた場合」とは、GMP省令第15条第1項1号の調査の結果から重大と判断された場合を指す。「当該逸脱に関連する製品」とは、調査において当該逸脱の影響範囲として特定された製品ロットのことを指しており、速やかに影響範囲を特定した上で、当該製品ロットに関連する製造販売業者に対して、連絡することを求めている。

なお、ユーティリティー、倉庫等、共通の設備及び施設で発生した逸脱についても、関連する製造販売業者にそれぞれの取決めに基づいて連絡すること。

GMP15―4(逸脱の管理)

[問]製造手順等からの逸脱が生じた場合、全ての逸脱についてCAPAを実施する必要があるか。

[答]GMP省令第15条第1項第2号ハのとおり、重大な逸脱が生じた場合は、所要のCAPAをとること。それ以外の逸脱についても、影響調査の結果を踏まえCAPAを検討することが望ましい。いずれの場合においてもCAPAの実施後その有効性を評価すること。なお、CAPA実施の有無に係わりなく、生じた逸脱については、その影響調査結果を、GMP省令第15条第1項第1号により、品質保証に係る業務を担当する組織に対して文書により報告する必要がある。

第16条(品質情報・品質不良等の処理)関係

品質情報等

GMP16―1(品質情報等)

[問]GMP省令第16条第1項の「品質等に関する情報(以下「品質情報」という。)」とは、具体的に何を指すか。

[答]品質情報は、製造販売業者、使用者、医療機関、原材料等の供給者、他の製造業者及び海外における関連情報(当該製品や類似製品、製造プロセス等に係る海外規制当局や学会からの情報や当該製造業者が、海外の原薬たる医薬品に係る製品製造業者や製剤製造業者に対して当該品質情報に関する調査を依頼し、原因究明やCAPA等の結果の報告が得られた等の情報)等製造業者等で入手した品質等に関する情報であり、関連する情報は適切に入手できるようなシステムを確立すること。

GMP16―2(品質情報等)

[問]製剤に係る製品の輸出先業者から当該製品に係る品質等に関する情報を得て、自主回収に着手することとした場合、回収の報告は必要か。

[答]法第68条の11及び施行規則第228条の22の規定に従い報告すること。

GMP16―3(品質情報等)

[問]品質不良又はそのおそれが判明した場合、製造業許可権者への報告の義務はあるか。

[答]品質情報の内容によって判断する。品質情報は、有効性及び安全性にも密接に関係する場合もあり、製造販売業者は、GQP省令又は、化粧品及び医療機器の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年9月22日厚生労働省令第135号)(GVP省令)の規定に基づき適切な対応を行った上で、法第68条の10(副作用等の報告)に該当する場合には厚生労働大臣に、また法第68条の11(回収の報告)に該当する場合には厚生労働大臣又は都道府県知事(施行規則第228条の22)に報告しなければならない。

品質情報の処理

GMP16―4(品質情報の処理)

[問]改正省令公布通知第3の24(1)において、「製品に係る品質情報として、製品の製造に使用した原料等の品質に関する情報も含まれるものであること」とされているが、原料等製造時の不備に関する品質情報は、「逸脱の管理」の範疇で処理することでもよいか。

[答]差し支えない。

GMP16―5(品質情報の処理)

[問]改正省令公布通知第3の24(1)②において、「当該品質情報に係る事項がその製造所に起因するものでないことが明らかな場合を除き、その原因を究明し、製造・品質関連業務に関し改善が必要な場合には、所要の是正措置及び予防措置をとらなければならないものであること。」とあるが、原因がその製造所が使用する原料の供給業者にある場合どのような対応が必要か。

[答]必要な場合には、原料等の供給者等に対して原因究明及び改善等所要の指示を行うとともに、その結果を確認する必要がある。

GMP16―6(品質情報の処理)

[問])GMP省令第16条第1項第3号の「是正措置及び予防措置」の記録について、改正省令公布通知第3の24(1)③イに「是正措置及び予防措置の記録については、当該措置の進捗スケジュールに沿って漸次に作成し」とあるが、輸送容器の汚れ、ユーザー使用ミスによる破損等、当該製造所に起因するものでない事項ではあるものの当該製造業者等が何らかの措置をとった場合には、当該措置の状況を記録に記載すべきか。

[答]GMP省令第16条第1項第2号に明記されているとおり、当該製造所に起因するものでないことが明らかな品質情報に係る事項である場合には、当該製造業者等として当該品質情報に係るCAPAを記載した記録を作成する必要はない。ただし、当該製造所が製造管理又は品質管理に必要と判断した結果実施した措置については、記録すること。

GMP16―7(品質情報の処理)

[問]得られた品質情報に係る事項のうち、記録を作成すべき事項の範囲について示してほしい。例えば、市場から悪感発熱、湿しん等を生じたといった情報を得て、製造所において品質に係る試験検査を行ったところ異常がなかった事例等、結果的に製造所に起因するものでないことが明らかになった品質情報に係る事項については、GMP省令第16条でいう品質情報の内容、原因究明の結果及びCAPAの記録の作成の対象外と考えてよいか。

[答]製造所に起因しないことが明らかになったことを記録すること。なお、例えば、通常の試験検査の精度では検出しえない品質上の問題が原因である可能性もあり得ることから、特定ロットについての品質情報が集中していないか等、製造販売業者の品質保証部門とも連携を図り、原因究明を行っておくことは非常に重要である。また、設問の事例のように品質に係る試験検査を実施して原因を究明した場合には、原因究明の結果を記載した記録を作成し保管すること。

GMP16―8(品質情報の処理)

[問]GMP省令第16条第2項に、「製造業者等は、前項第三号の確認により品質不良又はそのおそれが判明した場合には、品質保証に係る業務を担当する組織に、手順書等に基づき、当該事項を製造管理者に対して文書により報告させなければならない。また、当該品質情報に関連する製品に係る製造販売業者に対する速やかな連絡、製品回収の判断に必要な情報の提供等、所要の措置をとるとともに、当該措置に係る記録を作成し、これを保管しなければならない。」とあるが、どのような場合がこれに該当するか。

[答]例えば、以下のような場合が報告対象として考えられるが、その他にも対応が必要となるケースがあると考えられるため、製造販売業者との取り決め等により、適切に把握しておくこと。

・製造販売業者からの品質情報に関し、原因究明の結果、自らの製造所に起因する場合。

・原料等の供給者からの情報を入手した場合。

・当該製品や類似製品、製造プロセス等に係る情報(国内外規制当局、学会等からの情報)を入手した場合。

・法令、関連通知の発出、改正等による必要な情報を入手した場合。

第17条(回収等の処理)関係

回収の範囲

GMP17―1(回収の範囲)

[問]品質情報に関連した返品は、回収に相当するか。

[答]「品質情報に関連した返品」の内容が明らかでないが、品質情報の申出者が品質情報を提供する際にその情報の根拠等のために製品の送付を受けること自体は必ずしもGMP省令第17条にいう「回収」には該当しない。

回収等の処理

GMP17―2(回収等の処理)

[問]GMP省令第17条(回収等の処理)の製造業者等があらかじめ指定した者が行う回収処理に係る業務と、GQP省令第12条(回収処理)の品質保証責任者が行う業務との違いは何か。

[答]製造業者等によりあらかじめ指定された者は、当該製造所に回収品を保管する場合の管理について手順書に基づき業務を行う。品質保証責任者は、回収に係る保管、処理等に関する製造業者等への指示等を行う。

不適とされた製品及び資材保管

GMP17―3(不適とされた製品及び資材保管)

[問]GMP省令第17条第2項に「前項の規定を準用」とされ、使用又は出荷に不適とされた、原料、資材及び製品は区分して保管する必要があるが、別室に保管しなければならないのか。

[答]別室が望ましい。ただし、教育訓練の計画的実施等必要な措置をとり、混同並びに汚染及び交叉汚染の防止上問題がなければ、少なくとも、物理的な分離がされ、包装単位での表示、線引き、ついたて等により明確に区分した、同一の部屋の別の場所を「不合格品置き場」等と明示し、そこに不合格品を保管しても差し支えない。

第18条(自己点検)関係

自己点検

GMP18―1(自己点検)

[問]GMP省令第18条の自己点検は、これを行おうとする製造業者等と、その製品に係る品目を製造販売する製造販売業者とが同一法人である場合、当該製造販売業者がGQP省令第10条の規定に基づき実施した製造所のGMPの定期確認をもって、当該製造業者等としての自己点検を実施したものとしてよいか。

[答]当該製造業者等としての自己点検の手順書に定めた内容を満たしていれば、同一法人たる製造販売業者が実施したGMP定期確認をもって、当該製造業者等としての責任において内容を照査、承認した上で、GMP省令第18条の自己点検に代えることとしても差し支えない。

GMP18―2(自己点検)

[問]GMP省令第18条第1項の「あらかじめ指定した者」については、改正省令公布通知第26の(1)において、「自己点検の対象となる業務に従事していない、客観的立場にあることが求められる」とされているが、やむを得ない場合、同一部門の者でその業務に関わっている者としてもよいか。

[答]GMP省令第18条第1項の「あらかじめ指定した者」については、改正省令公布通知第3の26の(1)において、「自己点検の対象となる業務の内容を熟知している職員を当該自己点検の責任者としてあらかじめ指定」とされていることに関係し、自己点検の対象となる業務の内容を熟知している者が同一部門の者以外にはいない等やむを得ない場合に限り、同一部門の者としても差し支えない。ただし、その場合であっても、改正省令公布通知公第26の(1)のとおり、自らが当該自己点検の対象となる業務に従事していない者とし、当該職員の適格性等をあらかじめ評価しておくこと。

また、自己点検を行う職員も、自らが従事している業務に係る自己点検を担当しないことが望ましいが、「あらかじめ指定した者」と同様に取り扱うことは差し支えない。

GMP18―3(自己点検)

[問]自己点検を定期的に行う場合、毎回、改正省令公布通知第3の26(1)①に定められた事項すべてについて行い、記録を残す必要があるか。

[答]必ずしも、毎回、改正省令公布通知第3の26(1)①のすべての事項について自己点検を行う必要はない。数回に分けて実施する場合には、定められた期間に、定められた事項をすべて行うようにあらかじめ実施計画を立てた上で実施し、その記録を残すこと。なお、製造管理者及び品質保証に係る業務を担当する組織は、自己点検が行われていることを確認し、自己点検の結果は、GMP省令第6条第4項の製造所の職員の責務及び管理体制において、製造業者等や製造所に関し管理監督を行う立場の職員等に報告し、その注意を喚起すること。

GMP18―4(自己点検)

[問]改正省令公布通知第3の26(1)でいう「自己点検に係る業務の一部を外部委託業者に委託する場合には、同令第11条の5の規定による適切な管理を要するものであること。」とはどのような場合が想定されるか、またその場合の留意事項は何か。

[答]例えば、外部の専門家への委託が想定される。委託する場合であっても、自己点検の主体は製造業者等であることから、製造業者等は、自己点検の目的を踏まえ、外部委託業者の適格性を評価したうえで委託し、その結果を自ら判断する必要がある。

第19条(教育訓練)関係

教育訓練

GMP19―1(教育訓練)

[問]教育訓練の時間については、作業の内容により一概には決められないと考えるが、最低何時間行えばよいか。

[答]製造する製品の種類、作業の内容等により教育訓練の内容は大きく異なりうることから、一概に決められるものではない。製造業者等において、実効性を評価した上で内容、時間、時期(作業等の変更を予定している場合には、当該変更の実施前までに十分な時間的余裕をもって行うこと。)等を定め、計画的に実施すること。

GMP19―2(教育訓練)

[問]GMP省令第19条第1号における「職員」には、メンテナンス等を担当する職員についても該当するとのことであるが、社外の工事(装置)業者の作業員も含まれるのか。

[答]製品の品質に影響を及ぼしうる作業に従事する者の場合には教育訓練を行い、実施記録を5年間保管する必要がある。

GMP19―3(教育訓練)

[問]改正省令公布通知第3の27(1)②ア「GMP概論」、イ「衛生管理概論」とは具体的にどのようなことを意味するのか。

[答]「GMP概論」とは、関係法令を含め、GMP省令の目的、考え方等の概要をいい、「衛生管理概論」とは、GMP省令に規定する衛生管理の目的、考え方等の概要をいう。

GMP19―4(教育訓練)

[問]GMP省令第19条第3号の教育訓練の実施の記録の中に教材を一緒に保存しておく必要があるか。

[答]必ずしも必要ない。教育訓練に使用した教材を確認することができるように保存しておくことで差し支えない。

GMP19―5(教育訓練)

[問]GMP省令第19条第4号に「教育訓練の実効性を定期的に評価し」とあるが、この「定期的」とはどのくらいの頻度と考えればよいか。また、「実効性を評価する」とは具体的にどのような対応をすればよいか。

[答]教育訓練の実施頻度については、例えば、実地訓練は製造する製品の種類、使用する構造設備等によって大きく異なりうるので、製造業者等が実情に合わせ定めて差し支えない。また、「実効性の評価」とは、製造業者等として、教育訓練の内容が的確に実務に反映されていることを評価することをいう(例えば更衣手順の確認のための模擬操作等による評価等)。

GMP19―6(教育訓練)

[問]GMP省令第19条第4号に「教育訓練の実効性を定期的に評価し、必要に応じて改善を図る」とあるが、どのような評価により改善を図ればよいか。

[答]職員が担当業務や職責を理解し、遂行する能力を有しているか、現在の教育訓練システムが有効なものとなっているかを評価し、教育訓練資料の更新の必要性や実施頻度、手法等について改善措置を検討すること。

第20条(文書及び記録の管理)関係

文書等の管理

GMP20―1(文書等の管理)

[問]手順書等の作成、改訂等を行う上での注意事項を示してほしい。

[答]GMP省令に規定する手順書等の作成、改訂等に当たっては、製造業者等は、GMP省令第20条の規定に基づき、あらかじめ指定した者に手順書等に基づき、承認、配付、保管等を行わせるとともに、作成又は改訂の日付を当該手順書等に記載させ、かつそれ以前の改訂に係る履歴を保管させなければならない。また、最新の改訂状況を識別することができるようにしておくこと。

なお、改訂に係る履歴については、過去の改訂の日付、改訂事項等が少なくとも5年間(当該手順書等に係る製品の有効期間に1年を加算した期間が5年より長い場合には、その有効期間に1年を加算した期間)さかのぼって分かるようにしておくこと。また、手順書等の写しが存在する場合(正本との混同等を防止するために識別表示等の措置を講じること。)には、正本を訂正すると同時に写しの配布及び差替えを行う等、すべての写しが確実に訂正されるようにしておくこと。なお、文書を廃止するに当たっては、廃止された文書が意図に反して使用されることを防止すること。

GMP20―2(文書等の管理)

[問]製造記録及び試験検査記録の保管についてGMP省令第20条等において、定められた期間保管することとされているが、当該製造所の保管設備の収容能力に鑑み2年以上経過した記録に限り当該製造業者の本社に保管することとしてもよいか。

[答]GMP省令において定められた期間内においては、記録類は当該製造所において保管することを原則とするが、その記録が当該製造所において容易に利用することができ、当該製造所においての製造管理及び品質管理に支障を来さない場合には、設問のような方法によることとしても差し支えない。この場合、手順書等にあらかじめルールを明記しておくとともに、当該製品を製造した製造所の製造部門又は品質部門の指示及び責任の下において保管すること。また、GMP適合性調査等に当たって支障のないよう配慮すること。

GMP20―3(文書等の管理)

[問]製造管理又は品質管理に関する記録を磁気媒体等により保管する場合、元の手書きの記録は保存せずに、新たにコンピュータに記憶させて保管することは認められるか。

[答]「製造販売業者におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」(平成22年10月21日薬食監麻発1021第11号)に従い適切に管理されたコンピュータ化システムで、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等に関する電磁的記録・電子署名利用のための指針」(平成17年4月1日薬食発第0401022号別紙)(以下「ER/ES指針」という。)の要件を満たした条件で保管することとした場合においても、データインテグリティを確保する観点から元の「手書きの記録」も別途保管する必要がある。

GMP20―4(文書等の管理)

[問]最終結果を得るために使用した元となるデータ及び最終結果を得るに至った過程を含む記録である「生データ」にはどのようなものが該当するか事例を示してほしい。

[答]生データは、最終結果が正しく出されたことを検証することができるものであることが必要である。例えば、試験検査に係る生データとしては、次のものが挙げられる。

1.測定機器からプリント機能により出力されるデータ

2.記録計から出力されるチャート又は読み取った値を記録したもの

3.測定機器に表示される値を書き取ったもの

4.観察結果を書きとめたもの

5.チャートなどの波形データを電子的に記録したファイル

6.写真

7.上記のデータを使用し計算、換算等を行った際の過程を記録したもの等

なお、データインテグリティの観点から「生データ」は得られた時の状態で利用可能であるよう保存すること。

コンピュータの利用等

GMP20―5(コンピュータの利用等)

[問]GMP省令において規定される「文書により指示」には、コンピュータ化システム等を利用した電子的な媒体による指示が含まれるか。

[答]その理解でよい。なお、電子的な媒体による指示の内容は正確に保管されるものでなければならず、紙媒体による指示と同様、GMP省令が定める期間保存されなければならない。「文書により定め」、「文書により報告」、及び「文書を作成」等も同様である。

GMP20―6(コンピュータの利用等)

[問]試験検査の記録をコンピュータにより作成し紙媒体に印刷したものに捺印して保管しているが、この場合もER/ES指針の適用を受けるか。

[答]GMP省令により保管が義務づけられている文書の正本として、生データを転記して試験結果の一覧表等を紙媒体で作成、保存した上で、併せて電磁的な記録を保存する場合には、可能な限り本指針に基づくことが望ましい。なお、本指針の適用の有無によらず、生データについても適切に管理を行うこと。一方、測定機器が生成したデータを電子的に転送して作成した記録及びコンピュータ内で2次加工や判定等を行った場合は、本指針の適用対象となる。

GMP20―7(コンピュータの利用等)

[問]GMP省令に規定する記録類をマイクロフィルム、マイクロフィッシュにより保管してもよいか。

[答]差し支えない。ただし、マイクロフィルム等の縮小技術を用いる場合には、必要な情報の取出し及びハードコピーの入手が容易に行えるようにしておくこと。

GMP20―8(コンピュータの利用等)

[問]GMP省令に規定する文書のうち、コンピュータ化システムにより保存、作成、交付等を行えるものがあるか。

[答]GMP省令に規定する文書で、電磁的記録による保存が認められるものは、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)第3条に基づく「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」(平成17年3月25日厚生労働省令第44号。)(以下「e文書省令」という。)第3条に規定されているが、基本的にGMP省令に規定されたすべての文書、記録類においてコンピュータ化システムにより作成、保管、交付ができると考えてよい。

ただし、コンピュータ化システムによりこれらの文書類を作成、記録、交付する場合は、当該コンピュータ化システムが、ER/ES指針に規定された要件を備え、かつ「製造販売業者におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」(平成22年10月21日薬食監麻発1021第11号)に基づき適切に管理されていることが求められる。なお、ここでいう交付とは、GMP省令でいう報告、指示及び配付について電子的な媒体を通して行うことを意味する。

GMP20―9(コンピュータの利用等)

[問]コンピュータにより製造指図書(原本の写し)を作成する場合、その内容を印刷したものに指図年月日の記入、指図者の署名又は記名押印が必要か

[答]

1.製造指図書の作成を書面により行う場合には、指図年月日については、機械的に印刷されたもので差し支えない。ただし、製造指図を行うこととされた者の署名又は記名押印(記名は印刷されたもので差し支えない。)が必要である。

2.製造指図書を書面での指図に代えて電磁的記録による指図とする場合には、製造部門の責任者は、e文書省令、ER/ES指針の規定を踏まえ、電子署名を行うこと。

GMP20―10(コンピュータの利用等)

[問]品質部門が、原料や資材に関する試験検査結果の判定結果の製造部門への報告書として、コンピュータから打ち出されたものを用いる場合、品質部門の署名又は記名押印は必要か。

[答]文書により報告を行う場合には、署名又は記名押印がなされていることが必要である。品質部門による試験検査結果の判定結果の製造部門への報告については、書面によるほか、コンピュータ上で電磁的方法により行うことも可能であるが、その場合には、ER/ES指針の規定を踏まえた電子署名が必要である。

GMP20―11(コンピュータの利用等)

[問]試験検査成績をインプットするとあらかじめ記憶されている規格と対比し、各項目が規格内の場合、自動的に合格とアウトプットされるシステムにより品質判定を行ってもよいか。

[答]「アウトプット」すること自体は差し支えないが、品質部門はあらためて試験検査の結果を検討して適否の判定を行う必要がある。

GMP20―12(コンピュータの利用等)

[問]製造所の製造管理及び品質管理に係るコンピュータ化システムの開発及び利用に際してバリデーションは必要か。また、その際に遵守すべき事項は何か。

[答]コンピュータ化システムを製造管理及び品質管理のために開発及び利用するのであれば、コンピュータ化システムバリデーション(CSV)は必要であるが、加えてそのシステムの開発から運用、廃棄まで適正に管理されることが必要である。コンピュータ化システムの管理に当たっては、「製造販売業者におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン」(平成22年10月21日薬食監麻発1021第11号)や、関連ガイドラインの最新版等によること。

GMP20―13(コンピュータの利用等)

[問]電子的な媒体の利用における、記録の入力、変更及び削除を行った場合は、どのように記録するのか。

[答]記録の入力、変更及び削除を行った場合の記録は、PIC/Sの関連ガイダンス文書PI041における「Audit Trail」にあたるものであり、電磁的記録の真正性を担保するための記録類を指す。この考え方からは、すべての入力及び修正の記録を作成することが求められる。また、変更及び削除を行った場合にはその理由の記録も必要である。

第21条(原薬たる医薬品品質管理)関係

原薬たる医薬品の参考品保管

GMP21―1(原薬たる医薬品の参考品保管)

[問]GMP省令第21条の原薬たる医薬品の参考品の保管において、原薬たる医薬品の容器の材質と異なる別の容器に保管してもよいか。

[答]原薬たる医薬品の容器と同等又はよりよく保護する容器であれば差し支えない。

GMP21―2(原薬たる医薬品の参考品保管)

[問]当該製造業者等のA工場において原薬たる医薬品を製造し、全量を同一製造業者等のB工場に搬入し、B工場において製剤化を行う場合、原薬たる医薬品の参考品の保管場所はA工場又はB工場のいずれでもよいか。

[答]設問の場合には、「A工場」で保管することが原則である。ただし、「B工場」における参考品の保管及び利用に関するルール等(「A工場」の品質部門の責任においてその指示の下で保管すること。)を、手順書等にあらかじめ規定するとともに、GMP省令第11条の5に規定する取決めの締結等により、「A工場」においてのGMP適合性調査に当たって支障のないように配慮されている場合には、「B工場」で保管しても差し支えない。

GMP21―3(原薬たる医薬品の参考品保管)

[問]GMP省令第21条第1項第1号の「出荷が完了」とは何を意味するか。

[答]「原薬GMPのガイドラインに関するQ&Aについて」(平成28年3月8日監視指導・麻薬対策課事務連絡)には、以下の記述があるので参照のこと。

Q6.1

「[ICH Q7,6.13]に「これらの記録を、該当するロットの出荷が完全に終了した後少なくとも3年以上保存すること」とあるが、「出荷が完全に終了」とは、何を意味するか。」

A6.1

「リテスト日を設定している原薬について、[ICH Q7,6.13]は、製造、試験及び出荷に関連した記録を、その原薬ロットの「出荷が完全に終了した」後少なくとも3年以上保存することとしている。この「出荷が完全に終了」とは、1つの原薬ロットが当該原薬の製造業者等によってサプライチェーン上の次の者に全て出荷されることと理解されている。

また、代理店、仲介業者、貿易業者、流通業者、再包装業者及び再表示業者[ICH Q7,17]が扱う原薬の場合における「出荷が完全に終了」とは、受入れたその全ての原薬ロットが出荷されることをいう。」

ICH Q7の意図するところは、原薬が市場にあると考えられる期間は、何らかの問題や製品苦情の調査のために、記録を保存することである。ICH Q7が作成された当時許容されていた業界の慣行(industry practice)では、製造業者等が3年を越えてリテスト日を設定することは想定されていなかったが、ICH Q7のこの章で「少なくとも3年以上」と記載することで、より長い記録の保存期間もカバーすることになる。それにより、その原薬が市場で入手できる全期間にわたり記録が保存されるというGMPの基本的な原則や地域の要求に沿う形となっている。

該当する原薬が使用された製剤が市場で入手できると考えられる期間、その原薬の記録を保存しようと考慮することは、好ましい業界の慣行(good industry practice)である。

原薬たる医薬品のリテスト日

GMP21―4(原薬たる医薬品のリテスト日)

[問]リテスト日を超えた場合には、どのように対応すればよいか。

[答]定められた条件の下で保管されていた原薬たる医薬品のロットを、リテスト日を超えて製品の製造に使用する場合には、再度試験検査を行い、所定の規格に適合していることを確認し、速やかに使用すること。このような再確認は、原薬たる医薬品の一ロットについて初回以降においても合理的な根拠(安定性試験データ等)があり、それが手順書等にあらかじめ規定されているときは、複数回実施することとしても差し支えない。すなわち、使用された残りの原薬たる医薬品は、リテスト日以降においても、試験検査を行い、所定の規格に適合していることを再確認した場合には使用しうる。

GMP21―5(原薬たる医薬品のリテスト日)

[問]リテスト日を設定できる原薬たる医薬品とは、どのようなものか。

[答]定められた保存条件の下であれば、相当な期間その品質が確保されることが、安定性試験等の結果により保証されている原薬たる医薬品に適用することができる。物理的、化学的に不安定であることがあらかじめ知られている原薬たる医薬品については、リテスト日の設定の対象として考えず、従来どおり有効期間(使用期間)を設定する必要がある。

第21条の2(安定性モニタリング)関係

原薬たる医薬品の安定性モニタリング

GMP21の2―1(原薬たる医薬品の安定性モニタリング)

[問]原薬たる医薬品の安定性モニタリングはどのように行えばよいのか。

[答]原薬たる医薬品の安定性モニタリングは、原則として原薬たる医薬品の製造所において行う。具体的な実施方法等については、「原薬GMPのガイドライン」(平成13年11月2日医薬発第1200号)の11.5原薬の安定性モニタリングに詳細な説明がなされているので、これに準拠した方法で行うことが望ましい。原薬たる医薬品製造所が製剤製造所と同一であっても、原薬たる医薬品の安定性モニタリングは実施しなければならない。

GMP21の2―2(原薬たる医薬品の安定性モニタリング)

[問]GMP省令第21条の2第1項第1号おいて、必要量の検体を採取するとあるが、採取した検体を入れる容器は、製品とは異なる材質の容器でよいか。

[答]製品の容器と同じ材質のものであることが原則である。ただし、容器の材質が異なることによる当該製品に及ぼす影響が同等であることを確認し、手順書等にあらかじめその旨を明記している場合にはこの限りでない。

GMP21の2―3(原薬たる医薬品の安定性モニタリング)

[問]GMP省令第21条の2第1項第2号でいう、規格のうち保存により影響を受けやすい及び適合しない場合に当該製品の有効性又は安全性に影響を与えると考えられる項目とは何か。

[答]研究開発段階で実施された設計、試作検討や安定性試験等から得られた知見をもとに、温度、湿度等の影響を受けやすい項目を選定すること。なお、重金属、ヒ素など明らかに経時変化がないと考えられる項目については省略しても差し支えない。

GMP21の2―4(原薬たる医薬品の安定性モニタリング)

[問]GMP21の2―4(原薬たる医薬品安定性モニタリング)生薬及び漢方生薬製剤の原薬たる医薬品のうち、「刻み生薬」及び「粉末生薬」は安定性モニタリングの対象となるか。

[答]生薬の特性から、「刻み生薬」及び「粉末生薬」の原薬たる医薬品は、安定性モニタリングの対象ではない。なお、生薬エキス及び配合エキスは該当する。

GMP21の2―5(原薬たる医薬品の安定性モニタリング)

[問]GMP省令第21条の2第1項第4号に「前号の試験検査の結果に基づき、当該医薬品の品質への影響を評価すること。」とあるが、この評価は、品質部門の試験検査に係る業務を担当する組織と品質保証に係る業務を担当する組織のどちらが行うのがよいか。

[答]GMP省令第21条の2第1項第4号の評価については、GMP11の2―12(安定性モニタリング)と同様に、客観的な評価が必要であることから品質部門のうち、品質保証に係る業務を担当する組織が評価を行うことが望ましい。

第22条(文書及び記録の保管)関係

文書及び記録の保管

GMP22―1(文書及び記録の保管)

[問]原薬たる医薬品に係る製品の手順書等を改訂する場合には、GMP省令第20条第1項第2号に基づき当該手順書等に改訂の日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴を保管することをもって足り、改訂以前の旧手順書等をすべて保管する必要はないと考えてよいか。

[答]改訂前の「旧手順書等」については、GMP省令第22条の規定にあるとおり、使用しなくなった日から所定の期間保管しなければならない。なお、文書を廃止するに当たっては、廃止された文書が意図に反して使用されることを防止すること。

第23条(無菌医薬品の製造所の構造設備)関係

無菌医薬品の製造所の構造設備

GMP23―1(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条に、無菌医薬品の製造所の構造設備が規定されているが、この基準は、製造販売承認(届出)書に「無菌」であることが規定されているすべての無菌医薬品に係る製品の製造所に適用されるのか。

[答]無菌医薬品とは、注射剤、点眼剤、眼軟膏剤、注射用水(製剤に限る。)及び製造販売承認(届出)内容として無菌性に係る規格が設定されている品目を指し、設問で言及されている省令の規定は、これらすべての品目に係る製品の製造所に適用される。

GMP23―2(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第1号の「清浄の程度」とは具体的にどのようなものをいうのか。

[答]「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参照すること。

GMP23―3(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第2号の規定に関し、無菌医薬品に係る製品の洗浄後の容器の乾燥作業又は滅菌作業を行う作業室は専用であることとあるが、洗浄作業を行う作業室は専用でなくてもよいか。

[答]洗浄作業のため、かつ無菌医薬品に係る製品のために専用であることが望ましい。ただし、無菌医薬品に係る製品の容器が汚染されるおそれがなく、かつ無菌医薬品に係る製品の洗浄作業室の清浄度レベルにおいて無菌医薬品以外の医薬品に係る製品の容器も洗浄されるのであれば、無菌医薬品に係る製品の容器の洗浄のために専用とすることを要しない。

GMP23―4(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第2号に「ただし、洗浄後の容器が汚染されるおそれがない場合においては、この限りでない」とあるが、「汚染されるおそれがない場合」について、具体例を示してほしい。

[答]例えば、汚染防止の措置を施した専用の保管箱に収納するような場合である。

GMP23―5(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第3号ロに「無菌医薬品に係る製品の種類に応じ、その製造に必要な滅菌装置を備えていること」とあるが、ろ過等に除菌フィルターを用いる上での留意点を示してほしい。

[答]

1.除菌フィルターやそれ以外の目的のフィルターの材質としては、ろ液中の成分との反応及びそれらの吸着が可能な限り少なく、かつ、ろ液中に繊維等のフィルター成分を遊離する可能性の少ないものを用いること(アスベストは不可)。

2.フィルターの性能については、ろ過滅菌工程のバリデーションを実施して期待された結果が得られることを確認しておくとともに、日常の工程管理等を通じ、常にフィルターの所期の性能が十分に発揮される状態で用いられるよう留意すること。

3.「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参考にすること。

GMP23―6(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第4号の「薬剤の調製作業、充填作業、又は製品の滅菌のために行う調製作業以降の作業」とは、具体的にはどのような作業をいうのか。

[答]例えば、ろ過滅菌、凍結乾燥、熔閉、打栓、巻き締めなどの作業をいう。

GMP23―7(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第4号ロ及びハの規定に関し、注射剤に係る製品の製造において充填作業室と容器洗浄作業室とを同じ清浄度レベルにおいて管理している場合、充填作業を行う職員と容器洗浄作業を行う職員とが同じ更衣室で更衣を行ってもよいか。

[答]GMP省令第23条第4号ロの規定において、充填作業を行う作業室は専用であることとされ、第23条第4号ハの規定において当該作業を行う職員の専用の更衣室を設けることとされていることから、原則として認められない。

GMP23―8(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第4号ロ及びハの規定に関し、加熱滅菌して製する注射剤に係る製品を製造する作業所において、秤量作業室と調製作業室とを同じ清浄度レベルにおいて管理しているとき、秤量作業を行う職員と調製作業を行う職員とが同じ更衣室において更衣を行い、中廊下を経て各々秤量作業室と調製作業室に出入りすることは可能か。ただし、秤量作業室にはじんあい除去装置がある。

[答]GMP省令第23条第4号ロ及びハの規定により、原則として認められない。ただし、設問の場合の「秤量作業室」が、無菌性の保証された原料(以下「無菌原料」という。)又は無菌医薬品に係る製品の原料のうち無菌原料に準じて取り扱うものの専用の秤量作業室であって、秤量作業中においても「調製作業室」と同一の清浄度レベルにおいて管理することができ、かつ、当該「調製作業室」の汚染又は交叉汚染を引き起こすおそれがないという合理的な根拠があり、それが手順書等にあらかじめ規定されている場合には、設問のような更衣及び動線の管理としても差し支えないことがある。

GMP23―9(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]アンプル及びゴム栓の洗浄作業を行う作業室を無菌医薬品に係る製品の作業管理区域に含めてもよいか。

[答]アンプル及びゴム栓の洗浄作業が無菌医薬品に係る製品の管理区域の汚染又は交叉汚染を引き起こすおそれのない合理的な根拠があり、それが手順書等にあらかじめ規定されている場合には、差し支えない。GMP省令第23条第4号ロ及びハの規定に留意すること。

GMP23―10(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]調製作業と充填・閉塞作業とが閉鎖式設備によって一貫して行われる場合、容器等の洗浄作業が区分された場所において行われるのであれば、当該洗浄作業を当該閉鎖式設備と同一の作業室において行ってもよいか。

[答]原則として、調製作業及び充填・閉塞作業を一貫して行う閉鎖式設備と、容器の洗浄とは「区分された場所」ではなく、別室で行うこと。ただし、容器等の洗浄作業中においても調製作業及び充填・閉塞作業の清浄度レベルに影響を及ぼすことがなく、調製作業及び充填・閉塞作業への汚染又は交叉汚染を引き起こすおそれがない合理的な根拠があり、それが手順書等にあらかじめ規定されている場合には、容器等の洗浄作業を「閉鎖式設備」と同一の作業室内の区分された場所において行っても差し支えない。

GMP23―11(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第5号の規定に関し、改正省令公布通知第3の32(2)⑤に「蒸留水等(蒸留水のほか、精製水、注射用水等を含む。)」とあるが、この「注射用水等」には、超ろ過法により製した注射用水も含まれるか。

[答]含まれる。なお、超ろ過法(すべての種類の微生物及びエンドトキシンを除去する能力をもつ逆浸透膜、限外ろ過膜又はこれらの膜を組み合わせた膜ろ過装置を用い、十字流ろ過方式により水をろ過する方法)により注射用水を製する場合には、微生物汚染に注意すること。

GMP23―12(無菌医薬品の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第23条第5号の規定に関し、改正省令公布通知第3の32(2)⑤に「「蒸留水等(蒸留水のほか、精製水、注射用水等を含む。)」とあるが、この「精製水」とは、滅菌精製水と解釈すべきか。

[答]改正省令公布通知の設問の箇所においては、滅菌精製水は「注射用水等」に含まれるものと解する。なお、滅菌精製水を供給する設備であっても、異物又は微生物による汚染を防止するために必要な構造である必要がある。

第24条(無菌製造管理)関係

無菌医薬品に係る製品の製造管理

GMP24―1(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]無菌製剤に係る製品の製造作業において留意すべき事項とは、具体的にどのようなものが考えられるか。

[答]例えば、以下のような事項に留意すること。その他、「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参考にすること。

1.調製作業及び充填・閉塞作業に関する事項

(1) 調製作業又は充填・閉塞作業を行う作業室又は作業管理区域については、職員が入室する際には前室を、原料、資材等が搬入される場合にはパスボックス又は副室を介すること。この際、職員は適切な更衣を行い、手指等の消毒を行った上で入室し、原料、資材等の表面は清浄にした上で搬入すること。

(2) 調製作業又は充填・閉塞作業を開始するに当たっては、使用する製造設備を必要に応じて除菌又は滅菌した精製水等により洗浄しておくこと。ろ過装置を使用する場合には、さらに少量の薬液をあらかじめ通過させること。

(3) 調製作業及び充填・閉塞作業の終了後は、使用した各製造設備を薬液の残留のないように洗浄し、最終洗浄は必要に応じて除菌又は滅菌した精製水等により行い、さらに必要に応じて乾燥又は滅菌を行うこと。

(4) 調製作業及び充填・閉塞作業の終了後は、作業室の清浄化及び整備を行い、環境保全に留意すること。

2.滅菌作業に関する事項

製品及び滅菌を必要とする容器の滅菌は、温度、時間等を適切に管理して行うこと。また、特に滅菌済みと未滅菌のものとを明確に区分して管理すること。

3.異物検査及び密封状態検査に係る作業に関する事項

(1) 異物検査は、熟練した職員又はそれに劣らない性能を有する装置によって行い、指定された職員により随時抜取りによって再検査を行うこと。

(2) アンプルに充填した注射剤の密封状態検査は、適切な方法により全数を検査すること。

(3) 異物検査及び密封状態検査の結果、規格外となる率が異常に高い場合には、全工程のチェック及び原因の究明を行い、適切な措置を講じること。

4.容器の洗浄作業等に関する事項

(1) 容器の洗浄作業を行う場合には、清浄化の容易な作業室において行い、洗浄能力の高い洗浄設備を使用すること。また、仕上げ洗浄を行う場合には、必要に応じて除菌又は滅菌した精製水等を使用すること

(2) 容器の乾燥及び滅菌を行う場合には、材質を損なわない方法により行うこと。ただし、加熱滅菌を必要とする注射剤に係る製品の容器については、洗浄後直ちに滅菌を兼ねて乾燥を行い、適切に保管すること。

5.作業時間に関する事項

調製から充填・閉塞(滅菌工程のあるものは滅菌)までの作業は、原則として1日の管理時間以内に完了すること。ただし、正常な製造工程において1日では終了し得ない製品の作業においては、汚染防止及び品質低下防止のために十分な措置を講じること。

GMP24―2(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]無菌性の保証された空容器を購入し、注射剤等の無菌製剤に係る製品を製造する製造所において、充填の前にあらためて当該容器の洗浄及び滅菌を行う必要があるか。

[答]無菌性保証を維持することができ、かつ、不溶性異物の混入を防止することができる合理的根拠及びバリデートされた手順があり、それらを品質部門が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、必ずしも当該空容器の洗浄及び滅菌をあらためて行う必要はない。

GMP24―3(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第23条第3号ハ及び第24条第1号の規定に関し、無菌製剤に係る製品の作業室等における空調設備の維持管理上の留意点を示してほしい。

[答]温度、相対湿度、清浄度レベル、風量、一方向気流の必要性の有無、換気回数、室間差圧等について、所定の条件等に適合していることについて適宜モニタリングを行い必要に応じ適切な対策を講じること、作業室内の製造設備等の配置に当たっては空調設備の能力が十分に生かされるよう(例えば、空気の流れを乱さないよう)配慮すること、HEPAフィルターの完全性に関し据付時及び定期的にチェックすること等が挙げられる。なお、「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参考にすること。

GMP24―4(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第24条第1号及び第3号の規定に関し、殺菌灯を設置する場合には、その設置の仕方、その能力等についてどのような注意が必要か。また、殺菌灯は必ず設置する必要があるか。

[答]目的(殺菌)に応じた設置の仕方、照射条件(波長等)を定めるとともに、殺菌効率が、微生物の種類等により変動することに注意すること。その他、殺菌灯の性能、寿命、職員に対する障害防止等を考慮した十分な管理を行うこと。なお、殺菌灯の設置を義務づけるものではない。

GMP24―5(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP24―1 4.(1)に「仕上げ洗浄を行う場合には、必要に応じて除菌又は滅菌した精製水等を使用すること」とあるが、「必要に応じて」とはどのような意味か。また、「精製水等」の「等」とは何を指すのか。

[答]「必要に応じて」とは、例えば、容器の洗浄後加熱滅菌を行わない容器について除菌又は滅菌した精製水を用いて仕上げ洗浄を行うことをいう。また「等」には、例えば点眼剤に係る製品の容器等についてエアー洗浄を行う場合に用いる除菌した空気が該当する。

GMP24―6(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第24条第5号の規定に関し、注射用水、超ろ過法により製した水(RO(逆浸透)水、UF(限外ろ過)水等)及び滅菌精製水の製造に関してバリデーションを行う場合の留意点は何か。

[答]「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参考にすること。

GMP24―7(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP24―1 5.に、無菌製剤に係る製品の製造について「調製から充填・閉塞(滅菌工程のあるものは滅菌)までの作業は、原則として1日の管理時間以内に完了すること」とあるが、運用の幅を示してほしい。

[答]

1.通例、作業の内容が明らかであれば、医薬品製品標準書等には時間制限を明記すること(工程内管理に係る試験検査により一定の目標を達成していることを確認することをもって終了する作業を除く。)。

2.技術上やむを得ない理由により製造作業が1日の管理時間を超えるものであり、かつ、無菌性の保証に支障を来さない合理的な根拠があって、それらを品質部門 品質保証に係る業務を担当する組織が確認し、医薬品製品標準書等にあらかじめ明記されている場合には、必ずしも「1日の管理時間以内」とする必要はない。

3.充填前のものを採取し試験検査を行う必要があり、その結果を得るまでに数日間を要する場合でも、原則として直ちに充填を行うこととする。当該試験検査の結果待ちのための数日間に及ぶ保存は行わないことが望ましい。

4.調製する注射剤に係る製品の製造量に比較して、充填・閉塞作業に係る製造設備の能力が低く、充填・閉塞作業が数日間に及ぶ等製造設備の能力不足を理由とする場合は原則としては認められない。

GMP24―8(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]注射剤に係る製品の製造工程における異物検査に関する考え方を示してほしい。

[答]異物検査の基準は日本薬局方に準拠すること。また、「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」のA6.4.外観検査及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参考にすること。本来、不良品は工程検査で除去しさえすればよいとの考えは好ましくなく、GMP省令第24条第3号の規定に基づき、製造工程において汚染等を防止するために必要な措置を講じる必要がある。

GMP24―9(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第24条第2号の規定に関し、注射剤に係る製品の製造の工程内管理として行う異物検査は、日本薬局方の検査方法を用いてもよいか。

[答]製造販売承認(届出)書に反しない限りにおいて、製造業者等として定めるものであり、異物の混入した製品を出荷することを防止するという目的が達せられるのであれば、検査の方法を特定の方法に限定するものではない。

GMP24―10(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第24条第2号の規定に関し、粉末注射剤及び点眼剤に係る製品の製造の工程内管理に係る異物検査を実施する場合には、抜取りにより実施してもよいか。

[答]異物の混入した製品を出荷することを防止するという目的のためには、原則として全数検査を行うこと。なお、検査の方法、結果の判定の方法等は製造業者等として定め、あらかじめ手順書等に規定しておくこと。

GMP24―11(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第24条第2号の規定に関し、注射剤に係る製品の製造の工程内管理として行う異物検査は、必ずしも試験検査に係る業務を担当する組織に所属する者が行わなくてもよいか(例えば、異物検査部門が製造部門に所属しているような場合)。

[答]設問の異物検査は、工程内管理として行われるものであり、製造部門により行うことで差し支えない。

GMP24―12(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問])GMP省令第24条第2号の規定に関し、アンプル注射剤に係る製品の密封状態検査には、どのような方法があるか。

[答]密封状態検査には、例えば以下の方法がある。

1.アンプルを装置内において倒立させ、減圧して漏出を調べる方法

2.加圧した装置内においてアンプルを色素水溶液中に沈めたとき、又は装置内においてアンプルを色素水溶液中に沈め減圧し、その後常圧に戻したとき、アンプル内用物が着色しないことを調べる方法

3.アンプルの先端と他の部分に電極を設置し、アンプルを水平に倒して、ピンホールによる導電率の変化により漏出を調べる方法

GMP24―13(無菌医薬品に係る製品の製造管理)

[問]バイアル注射剤に係る製品の密封検査については、どのように考えればよいか。

[答]容器の完全性は、使用に至るまで保持されていなければならない。容器又は栓の欠陥は、完全性が失われる要因となるため、日常の管理試験又は全数試験により確認すること。無菌製剤の容器は適切にバリデートされた方法で密封され、設備の運転条件のパラメータ管理を適切に行うこと。完全性試験の方法は、容器及び栓に対応して適切に定めること。なお、「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」のA6.3.容器完全性及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参照すること。

清浄度の基準及び測定法

GMP24―14(清浄度の基準及び測定法)

[問]GMP省令第24条第1号の規定に関し、無菌医薬品に係る製品の作業室内等の清浄度レベルについてモデルを示してほしい。

[答]製造業者等として各製造所の実情(例えば、設備・施設、品目特性、環境管理の手法、リスク等を踏まえた適切な清浄度レベル)に合わせて基準を定め、品質部門の確認を得ること。「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」及び「最終滅菌法による無菌医薬品の製造に関する指針」又は、関連する指針等の最新版を参考にすること。

GMP24―15(清浄度の基準及び測定法)

[問]GMP省令第24条第1号の規定に関し、無菌医薬品に係る製品を製造する作業室内等の清浄度を測定するための方法を示してほしい。

[答]無菌医薬品に係る製品の作業室内等の清浄度を測定するための方法としては、①落下菌測定法、②浮遊粒子測定法、③浮遊微生物測定法、④作業台等のふき取り試験法、等がある。これらの方法の詳細については、例えば、「第十七改正日本薬局方第二追補の制定により削除された参考情報の取扱いについて」(令和元年6月28日医薬品審査管理課、監視指導・麻薬対策課事務連絡)の無菌医薬品製造区域の環境モニタリング法等を参照すること。

第25条の2(生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書)関係

生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書一般事項

GMP25の2―1(生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書一般事項)

[問]GMP省令第25条の2の生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書の記載事項に関し、どの程度まで医薬品製品標準書に記載すべきか。

[答]生物由来医薬品等に係る製品の医薬品製品標準書にあっては、GMP省令第25条の2の事項についても記載する必要があり、改正省令公布通知第3の10(3)のほか、改正省令公布通知第3の35(2)①にあるとおり、生物由来原料基準に規定される原料に係る必要事項、原材料である血液が採取された国の国名及び献血又は非献血の別(施行規則第233条(人の血液を有効成分とする生物由来製品等の表示の特例)に規定する人の血液又はこれから得られた物を有効成分とする生物由来製品及びこれ以外の人の血液を原材料として製造される特定生物由来製品の場合)等についても記載すること。

GMP25の2―2(生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書一般事項)

[問]GMP省令第25条の2第1号の「原料として使用する人、動物、植物又は微生物から得られた物に係る名称、本質及び性状並びに成分及びその含有量その他の規格」について、生薬については日本薬局方において複数の基原が設定されている例があり、これらを単独で又は混合して使用している。この場合、医薬品製品標準書には使用する可能性のある複数の基原を記載してよいか。

[答]差し支えない。ただし、実際に使用した原料の基原が製造記録、試験検査記録等により追跡することが可能であるようにしておくこと。

GMP25の2―3(生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書一般事項)

[問]GMP省令第25条の2第1号の「原料として使用する人、動物、植物又は微生物から得られた物に係る名称、本質及び性状並びに成分及びその含有量その他の規格」については、当該原料の基原、性状等を明確にしておくという趣旨であるということだが、原料の品質を確認するために必要な事項を製造業者等において自主的に定めてよいか。

[答]改正省令公布通知第3の35(2)①イに示されているように、生物由来原料基準に規定される原料に係る必要事項については、この条に係る事項として医薬品製品標準書に含める必要がある。その他、法令及び通知に示されている事項等、原料の品質を確認するために必要な事項については、リスクに基づき自ら判断して対応すること。

GMP25の2―4(生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書一般事項)

[問]GMP省令第25条の2第2号に「製造又は試験検査に使用する動物の規格(飼育管理の方法を含む。)」とあるが、「飼育管理の方法」とは、製造所における飼育管理の方法のみを指すものと考えてよいか。

[答]動物の生産業者における飼育管理の方法も含まれる。

GMP25の2―5(生物由来医薬品等に係る医薬品製品標準書一般事項)

[問]GMP省令第25条の2第2号の「製造又は試験検査に使用する動物の規格」とは、具体的にはどのようなものか。

[答]動物の繁殖系統、罹患していないことが保証される伝染病、飼育環境等が挙げられる。動物の使用目的に応じて必要な規格を品質部門が確認し、医薬品製品標準書にあらかじめ明記すること。

第26条(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)関係

生物由来医薬品等の製造所の構造設備

GMP26―1(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)

[問]法施行令第80条第2項第3号イの「生物学的製剤」に係る製品の製造業者等の構造設備には、GMP省令第26条(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)が適用されると考えてよいか。

[答]適用される。なお、GMP省令第9条(構造設備)及び第23条(無菌医薬品の製造所の構造設備)も併せて適用される。ただし、改正省令公布通知第3の36(2)②にあるとおり、ロットを構成しない血液製剤に係る製品の製造作業については、いわゆるクローズドシステムにより行われ無菌性が確保される場合には、第23条の規定の適用を受けない。

GMP26―2(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第26条の規定は、対象となる生物由来医薬品等に係る製品の製造所のすべてを、他の医薬品に係る製品の製造所から分離し、専用化することを要求するものではないと考えてよいか。

[答]差し支えない。ただし、生きた生物体を使用する製造段階において、生物由来医薬品等間の交叉汚染を防止するため、専用施設、装置等の使用、キャンペーン製造及びクローズドシステムの利用等の追加的な予防策が必要となる。

GMP26―3(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第26条第1号イの「他から明確に区別された室」とは、具体的にどのようなものか。

[答]ここでは、生物由来医薬品等以外の医薬品に係る製品の製造に関係する部分と区別することを意味する。

GMP26―4(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第26条第3号に「人の血液又は血漿を原料とする製品の製造を行う区域は、他の区域から明確に区別されており、かつ、当該製造を行うための専用の設備及び器具を有していること。ただし、ウイルスを不活化又は除去する工程以降の製造工程にあっては、この限りでない。」とあるが、血液を原料としウイルス不活化工程又は除去工程を経て製造された血漿分画製剤に係る製品を原料として購入し、医薬品に係る製品を製造する設備器具については、専用のものであることを要しないと考えてよいか。

[答]差し支えない。

GMP26―5(生物由来医薬品等の製造所の構造設備)

[問]GMP省令第26条第3号に「人の血液又は血漿を原料とする製品の製造を行う区域は、他の区域から明確に区別されており、かつ、当該製造を行うための専用の設備及び器具を有していること」とあるが、この規定は、血漿分画製剤に添付する溶解液(注射用水)の製造に用いる設備器具については該当しないと考えてよいか。

[答]差し支えない。

第27条(生物製造管理)関係

生物由来医薬品等に係る製品の製造管理

GMP27―1(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第27条第1項第1号に「製造工程において、製品等を不活化する場合又は製品等に含まれる微生物等を不活化し、若しくは除去する場合においては、当該不活化又は除去が行われていない製品等による汚染を防止するために必要な措置をとること」とあるが、密封された容器を使用する場合には、明確に識別表示し区分することにより対応可能であると考えてよいか。

[答]取り扱う製品等について、混同、汚染及び交叉汚染等を防止するために、容器の外側や作業者を介する汚染等を含めて適切な措置が採られていれば差し支えない。とることとした措置については、その根拠が、手順書等にあらかじめ明記されていること。

GMP27―2(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第27条第1項第4号に「製造工程において、培養槽中に連続的に培地を供給し、かつ、連続的に培養液を排出させる培養方式を用いる場合においては、培養期間中の当該培養槽における培養条件を維持するために必要な措置をとること」とあるが、この規定の趣旨は何か。

[答]培養期間中の培養条件を維持することにより、産生される目的物の品質を維持すること等を目的とした規定であり、措置の具体例としては、培養中の微生物の増殖状況等の監視等が挙げられる。

GMP27―3(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第27条第1項第5号ハに「製造作業に従事する職員を、使用動物(その製造工程において現に使用されているものを除く。)の管理に係る作業に従事させないこと」とあるが、この規定の趣旨は何か。

[答]この規定は、試験検査等製造工程以外において使用する動物の管理に係る作業に従事する職員を介した製造工程の汚染又は交叉汚染を防止することを趣旨とするものである。

GMP27―4(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第27条第1項第6号イに「製造作業に従事する職員に、消毒された作業衣、作業用のはき物、作業帽及び作業マスクを着用させること」とあるが、製品及び作業の特性に応じて、未消毒の作業衣を用いたり、マスクを着用しなくてもよい場合があり得ると考えてよいか。

[答]差し支えない。生物由来製品に係る作業で、原料の秤量作業など必ずしも消毒した作業衣を用いない作業もあるため、その理由及び合理的な根拠を、手順書等にあらかじめ明記しておくこと。ただし、消毒していなくとも、当該作業で要求される清浄度を保てる作業衣を着用すること。

GMP27―5(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第27条第1項第8号に「微生物により汚染されたすべての物品(製造の過程において汚染されたものに限る。)及び使用動物の死体を、保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置すること」とあるが、「保健衛生上の支障が生ずるおそれのないように処置する」とはどのようなことをいうのか。

[答]適切な微生物殺滅処置を施し、その記録を残すことをいう。とることとした措置については、その根拠を、手順書等にあらかじめ明記しておくこと。

GMP27―6(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第27条第1項第12号の「厚生労働大臣の定めるところ」に該当する生物由来原料基準の第4の3(動物由来原料基準)の(6)に規定された、動物由来原料の原材料について品質及び安全性の確保上必要な情報が確認することができるよう記録されていなければならない事項のうち、「原材料を作製する作業の経過」とは製造工程記録を意味しているのか。そうであればロットごとに入手することは困難であるため、委託契約を締結し原料の供給者に業務を行わせてもよいか。

[答]GMP省令第27条第1項第12号及び「薬事法施行規則の一部改正等に伴う事務取扱い等について」(平成15年5月20日医薬審発第0520001号)に示されているように、製造業者等は、生物由来原料の原材料採取業者等と取決めを締結することにより、同業者等に設問の記録の保管を委託しても差し支えない。取決めには、記録の消去、紛失及び混同を防止し、製造業者等からの要請に基づき原材料採取業者等が必要な記録を速やかに提供することができるよう管理することを定めておくこと。この取決めの内容は、医薬品製品標準書にあらかじめ明記しておくこと。

GMP27―7(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP27―6の設問の記録等について、原材料採取業者において記録保管が困難な場合は、生物由来原料製造業者等において当該記録をGMP省令第30条又は第31条に定める期間適切に保管することで差し支えないか。

[答]差し支えない。ただし、GMP省令第11条の4のほか製造業者等自らが生物由来原料製造業者等について、定期的に適格性を評価すること。

GMP27―8(生物由来医薬品等に係る製品の製造管理)

[問]GMP省令第27条第1項第9号に規定する、製造に使用する微生物の株の取扱いに関する記録において、株の「生物学的性状及びその検査年月日」については、使用菌株の入手先の検査結果を利用してもよいか。

[答]製造に使用する微生物の菌株については、製造業者等自らが生物学的性状検査等により、適切な菌株であることを確認した上で使用する必要がある。

第28条(生物品質管理)関係

生物由来医薬品等に係る製品の品質管理

GMP28―1(生物由来医薬品等に係る製品の品質管理)

[問]GMP省令第28条第2項第1号に「検体の混同及び交叉汚染を防止するために、検体を適切な識別表示により区分すること」とあるが、具体的にどのようにすればよいのか。

[答]採取した検体を収める容器に、検体名、ロット番号及び採取年月日を表示することが挙げられる。必要に応じてバイオハザードの表示を行うこと。

GMP28―2(生物由来医薬品等に係る製品の品質管理)

[問]GMP省令第28条第2項第2号に「品質管理上重要であり、かつ、製品では実施することができない試験検査については、製造工程の適切な段階で実施すること」とあるが、原液の試験検査等がこれに相当すると考えてよいか。

[答]相当しうる。生物由来医薬品等に係る製品の特性の一つとして、製造所の製造工程をすべて終えた製品の試験検査のみでは製品の品質を評価することが困難なケースがあるため、いわゆる中間段階での試験検査の実施義務を明確に示したものであり、例えば、設問の他、培養抽出液の試験検査もその一つとして含まれる。

GMP28―3(生物由来医薬品等に係る製品の品質管理)

[問]GMP省令第28条第2項第5号に「試験検査に使用する微生物の株の取扱いについて・・・記録を作成し、これを保管すること」とあるが、対象となる微生物は、主に定量に使用する微生物のみと考えてよいか。または微生物試験(微生物限度試験及び無菌試験等を含む。)に使用する指標菌も対象となるか。

[答]定量に使用する微生物に限らず、微生物試験に使用する培地の性能試験に使用する指標菌等についても対象となる。なお、使用する微生物の株について、手順書等にあらかじめ規定しておくこと。

GMP28―4(生物由来医薬品等に係る製品の品質管理)

[問]GMP省令第28条第2項第5号ハに「生物学的性状及びその検査年月日」とあるが、生物学的性状に関する検査項目とはどのようなものか。また、この場合、使用菌株入手先による検査結果を使用してもよいか。

[答]生物学的性状に関する検査項目とは、一般的には当該微生物の形態確認、グラム染色、その他各種染色、コロニー形状、栄養要求性等が考えられるが、微生物の種類によっては特殊な検査項目が必要になることもあり、一概に検査項目を決められるものではない。使用菌株の入手先による試験結果の利用については、GMP27―8を参照すること。

GMP28―5(生物由来医薬品等に係る製品の品質管理)

[問]GMP省令第28条第1項において、ロットを構成する特定生物由来医薬品の最終製品及びロットを構成しない特定生物由来医薬品の製造に使用した生物由来原料の参考品の保管は、製造された日から有効期間に10年を加算した期間必要とされている。保管すべき量は「所定の試験検査に必要な量」の2倍以上の量とされているが、「所定の試験検査に必要な量」とは、承認規格等の試験検査に必要な量ではなく微生物学的な試験検査を行うことができる程度の量と解してよいか。

[答]改正省令公布通知第3の38(1)③に「所定の試験検査に必要な量の2倍以上の量とは、ウイルス等の感染の症の原因の究明等に係る試験検査に要する量の2倍以上の量を指すものである」とされている。よって、有効期間に1年を加算した期間を経過した後の製品等の参考品については、必ずしも製造販売承認規格等一通りの試験検査に必要な量の2倍量の保存を求めているものではない。

第29条(生物教育訓練)関係

生物教育訓練

GMP29―1(生物教育訓練)

[問]GMP省令第29条第1号に「生物由来医薬品等の製造又は試験検査に従事する職員に対して、微生物学、医学及び獣医学等に関する教育訓練を実施すること」とあるが、ここに示された教育の分野は、取り扱う製品により、必要なものを選択して実施することでよいか。

[答]差し支えない。ただし、その合理的な根拠を、手順書等にあらかじめ明記しておくこと。

GMP29―2(生物教育訓練)

[問]GMP省令第25条第2号及び第29条第2号でいう「無菌区域及び病原性を持つ微生物を取り扱う区域等」といった汚染に対する注意が必要となる区域において作業に従事する職員に対してはどのような教育をすればよいか。

[答]例えば、WHOのバイオセーフティ・マニュアル、国立感染症研究所病原体等安全管理規程等を参考にして、製造工程、製品の特性等を踏まえて製造業者等が教育内容を適切に定めることで差し支えない。

第30条(文書及び記録の保管)関係

生物文書等保管

GMP30―1(生物文書等管理)

[問]製造関連の記録の保管期間については、GMP省令第30条において、特定生物由来医薬品及び人の血液を原材料として製造される生物由来医薬品に係る製品の製造の場合には、有効期間+30年間、その他の生物由来・細胞組織医薬品に係る製品の製造の場合には、有効期間+10年間と規定されているが、生物由来製品の指定成分たる原薬に係る製品の記録の保管についてはどのように考えればよいか。

[答]法第2条第10項の規定に基づき厚生労働大臣が生物由来製品として指定した成分たる原薬に係る製品についても、設問において参照されている規定の「特定生物由来医薬品及び人の血液を原材料として製造される生物由来医薬品に係る製品」又は「生物由来・細胞組織医薬品に係る製品」(前者に該当するものを除く。)のいずれかに該当するものであり、その製造業者等として、それぞれに規定された期間、文書及び記録を保管しなければならない。

GMP30―2(生物文書等管理)

[問]生物由来原料基準が適用される成分ではあるが、生物由来製品に指定されていないもの(例えば経口剤に使用されるゼラチン)を使用した製品を製造する場合の記録の保管期間は、GMP省令第30条の規定に照らし、どのように考えればよいか。

[答]作成の日から5年間(ただし、有効期間に1年を加算した期間が5年より長い場合には、その有効期間に1年を加算した期間)である。

GMP30―3(生物文書等管理)

[問]マスターセルバンク及びワーキングセルバンクの製造時の培地成分としてのみヒト血清アルブミン等が使用されていることから生物由来製品に指定された遺伝子組換え医薬品であって、その原薬及び製剤の製造工程においては一切ヒト由来成分は使用されていないものに係る製品は、GMP省令第30条第1号に規定する「人の血液を原材料として製造される生物由来医薬品に係る製品」に該当しないと考えてよいか。

[答]マスターセルバンク及びワーキングセルバンクの製造時のみであってもヒト血清アルブミン等が使用されているのであれば、「人の血液を原材料として製造される生物由来医薬品に係る製品」に該当することから、当該製品に係る文書及び記録には、「有効期間+30年」の保管期間が求められる。

第32条(医薬部外品)関係

GMP適用医薬部外品

GMP32―1(GMP適用医薬部外品)

[問]GMP省令が適用される医薬部外品とはどのようなものか。

[答]法施行令第20条第2項の規定に基づき、製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定した医薬部外品(平成16年12月24日厚生労働省告示第432号において指定されたもの)がGMP省令の適用の対象となる。具体的には以下のとおりである。

次に掲げる物であって、人体に対する作用が緩和なもの

1.胃の不快感を改善することが目的とされている物

2.いびき防止薬

3.カルシウムを主たる有効成分とする保健薬(15に掲げるものを除く。)

4.含嗽薬

5.健胃薬(1及び19に掲げるものを除く。)

6.口腔咽喉薬(16に掲げるものを除く。)

7.コンタクトレンズ装着薬

8.殺菌消毒薬(すり傷、切り傷、さし傷、かき傷、靴ずれ、創傷面等の消毒又は保護に使用されることが目的とされている物を除く。)

9.しもやけ・あかぎれ用薬(ひび、あかぎれ、あせも、ただれ、うおのめ、たこ、手足のあれ、かさつき等を改善することが目的とされている物を除く。)

10.瀉下薬

11.消化薬(19に掲げるものを除く。)

12.滋養強壮、虚弱体質の改善及び栄養補給が目的とされている物

13.生薬を主たる有効成分とする保健薬

14.整腸薬(19に掲げるものを除く。)

15.肉体疲労時、中高年期等のビタミン又はカルシウムの補給が目的とされている物

16.のどの不快感を改善することが目的とされている物

17.鼻づまり改善薬(外用剤に限る。)

18.ビタミンを含有する保健薬(12及び15に掲げるものを除く。)

19.5、11又は14に掲げる物のうちいずれか二以上に該当するもの

別紙1:GMP9―18(設備の共用)ディシジョンツリー