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○医薬品の品質問題事案を踏まえた製造販売業者及び製造業者による品質管理に係る運用について

(令和4年4月28日)

(薬生監麻発0428第2号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

(公印省略)

令和2年12月、後発医薬品の製造過程において、製造販売承認書に記載の無い医薬品原薬が混入し、当該医薬品を服用した患者に、重大な健康被害が多数生じる事案が発生し、また、令和3年3月には、別の後発医薬品製造業者における製造管理上の法令違反について業務停止命令の行政処分を行うなど、後発医薬品の品質や安全性に対する国民の信頼を失墜させる事案が続いて発生しました。

これらの一連の事案は、製造業者において、医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第179号。以下、「GMP省令」という。)に基づく基本的な製造管理や品質管理が行われていなかったことが直接的な原因であると考えられます。また、製造販売業者は、医療現場に供給される医薬品の品質に係る責任を負っており、医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号。以下、「GQP省令」という。)に基づき、主体的な品質管理を行うことが求められますが、一連の事案における一部の製造販売業者では、その本来の役割を果たせていなかったとの指摘があり、特に、製造販売業者による製造業者に対する管理が不十分であったと考えられます。

こうしたことから、同様の事案の再発防止にあたっては、製造販売業者と製造業者が共に品質管理体制を整備し、適切な品質管理業務を行うとともに、製造販売業者と製造業者の間のコミュニケーションをより密にし、医薬品の品質確保という共通の目標に向けた相互連携を行う必要があります。

このような背景も踏まえ、下記のとおり、製造販売業者及び製造業者が取り組むべき事項について示すこととしましたので、貴管内の関係業者等に対し、周知の徹底及び指導をお願いします。

1.製造販売業者における組織及び人員体制の整備

(1) 医薬品の製造販売業者は、GQP省令第4条の規定に基づき、品質保証部門や品質保証責任者の設置に加え、品質管理業務を行うすべての部門等が業務を適正かつ円滑に行う能力を有する人員を十分に有するよう、組織及び人員体制の整備を行うこと。

(2) 本通知1.(1)に掲げる組織及び人員体制の整備にあたっては、医薬品の製造販売業者が行う次に掲げる業務の量を勘案し、十分な人員を配置する必要がある。

ア.GQP省令第3条に規定する総括製造販売責任者の業務

イ.GQP省令第4条に規定する組織及び職員の体制整備に係る業務

ウ.GQP省令第5条に規定する品質標準書及びGQP省令第6条第1項に規定する品質管理業務手順書の作成等に係る業務

エ.GQP省令第7条に規定する製造業者等との取決めに係る業務

オ.GQP省令第8条各号に規定する品質保証責任者の業務

カ.GQP省令第9条に規定する市場への出荷の管理に係る業務

キ.GQP省令第10条第1項に規定する製造業者等の定期的な確認に係る業務

ク.GQP省令第10条(第1項を除く。)に規定する適正な製造管理及び品質管理の確保に係る業務

ケ.GQP省令第11条に規定する品質情報及び品質不良等の処理に係る業務

コ.GQP省令第12条に規定する回収処理に係る業務

サ.GQP省令第13条に規定する自己点検に係る業務

シ.GQP省令第14条に規定する教育訓練に係る業務

ス.GQP省令第15条に規定する医薬品の貯蔵等の管理に係る業務

セ.GQP省令第16条に規定する文書及び記録の管理に係る業務

(3) 医薬品の製造販売業者は、医薬品総括製造販売責任者等からの報告等に基づき、法人たる製造販売業者の代表者を含む薬事に関する業務に責任を有する役員の主導により、品質管理業務等に必要な人員、予算等の確保を行えるよう体制を整備するとともに、必要な人員、予算等が確保されていることを定期的に確認すること。

(4) 医薬品の製造販売業者は、自社における品質管理業務に係る組織及び職員が適切に配置され、かつ自社における品質管理業務が実効性をもって行われているかどうかを評価するため、GQP省令第13条の規定に基づき、本通知1.(2)に掲げる業務について定期的な自己点検を行うこと。

(5) 医薬品の製造販売業者は、GQP省令第14条の規定に基づき実施する教育訓練の場等において、本通知1.(4)に掲げる自己点検の意義や方法、結果等について、品質管理業務に携わる役員及び職員への周知徹底を行うこと。

2.品質保証責任者の業務

(1) 医薬品の製造販売業者における品質保証責任者(以下、「品質保証責任者」という。)は、GQP省令第8条第1号及び第2号の規定に基づき、品質管理業務の統括及び品質管理業務が適正かつ円滑に行われていることの確認を行う必要があり、具体的にはGQP省令の各条に規定されている次に掲げる業務が含まれる。

ア.製造業者に市場への出荷の可否決定の業務を委託しており、製造業者との取決めにおいてあらかじめ定められた出荷の管理に関する手順からの逸脱等があった場合の、製造業者に対する指示(GQP省令第9条第5項第1号ハ)

イ.製造業者が行った市場への出荷に係る業務に関する改善指示と、その結果の報告の評価、必要に応じた実地の確認及び記録作成(GQP省令第9条第5項第3号イ及びロ)

ウ.製造業者等の製造管理及び品質管理に関する改善指示と、その結果の報告の評価、必要に応じた実地の確認及び記録作成(GQP省令第10条第2項第1号及び第2号)

エ.製造業者等において品質に重大な影響を与えるおそれのある変更があった場合の、製造業者等に対する改善指示(GQP省令第10条第4項)

オ.品質情報の評価、原因究明及び改善措置とその記録作成(GQP省令第11条第1項第1号~第4号)

カ.品質情報の原因究明及び改善措置のための、製造業者等に対する指示と、その結果の報告の評価、必要に応じた実地の確認及び記録作成(GQP省令第11条第1項第5号)

キ.品質情報のうち安全確保措置に関る情報の安全管理統括部門への提供(GQP省令第11条第1項第6号)

ク.品質不良又はそのおそれが判明した場合の、医薬品等総括製造販売責任者の指示に基づく所要の措置及び安全管理統括部門等との密接な連携(GQP省令第11条第2項第3号及び第4号)

ケ.回収した医薬品の保管、処理及び記録(GQP省令第12条)

コ.自己点検の結果に基づく改善に係る所要の措置及びその結果の記録作成(GQP省令第13条第2項)

(2) 品質保証責任者は、GQP省令第8条第3号の規定に基づき、医薬品総括製造販売責任者への報告を行う必要があり、具体的にはGQP省令の各条に規定されている次に掲げる事項が該当する。

ア.製造業者が行った市場への出荷に係る業務に関する改善措置の評価及び必要に応じた実地の確認結果(GQP省令第9条第5項第3号ハ)

イ.製造業者等の製造管理及び品質管理に関する改善措置に係る評価及び必要に応じた実地の確認結果(GQP省令第10条第2項第3号)

ウ.品質情報の評価、原因究明及び改善措置(GQP省令第11条第1項第4号)

エ.品質不良又はそのおそれが判明した場合の、品質不良又はそのおそれに係る事項及び当該事項に対する所要の措置の進捗状況と結果(GQP省令第11条第2項第1号及び第5号)

オ.回収の内容(GQP省令第12条第2号)

カ.自己点検の結果に基づく改善に係る所要の措置の結果(GQP省令第13条第2項)

(3) 品質保証責任者は、GQP省令第8条第4号の規定に基づき、回収、製造販売の停止その他品質に関する情報を必要に応じて、販売業者や医療機関等へ提供すること。

(4) 品質保証責任者は、自身以外の者が実施した次に掲げる業務について、その結果の報告を受けた際には、報告の時期や内容が適切であるかどうかを確認し、評価すること。また、評価の結果を踏まえ、必要な改善等の措置を講ずること。

ア.市場への出荷の可否の決定(GQP省令第9条第4項)

イ.製造業者が行った市場への出荷の可否の決定業務に関する定期的な確認及びその結果の記録作成(GQP省令第9条第5項第4号)

ウ.製造業者等の製造管理及び品質管理に関する定期的な確認及びその結果の記録作成(GQP省令第10条第1項第2号)

エ.製造業者等からの変更連絡を受けた際の評価及び確認(GQP省令第10条第3項第2号)

オ.自己点検及びその結果の記録作成(GQP省令第13条第1項第2号)

カ.教育訓練及びその結果の記録作成(GQP省令第14条第2項第2号)

3.製造販売業者と製造業者等の適正な委受託関係の構築

(1) 医薬品の製造販売業者は、GQP省令第7条の規定に基づき、製造業者等との取決めを締結する必要があるが、取決めを締結すべき対象業者の範囲は、製造業者、外国製造業者、試験検査業務を行う者等、製造販売承認書の製造方法欄に記載された者や薬事法及び採血及び供血あつせん業取締法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令(平成15年政令535号。)附則第7条の規定により原薬を製造業者に販売する卸売一般販売業者が該当する。その他の者(一次包装資材メーカー、添加剤メーカー(賦形剤、滑沢剤など))との取決めの要否については、品質管理のために管理監督を行う必要性を考慮したうえで、医薬品の製造販売業者として適切に判断する必要がある。(図1:GQP省令の取決め)

(2) 本通知3.(1)に掲げる取決めを締結すべき対象業者のうち、GMP省令第11条の4に規定する「原料等の供給者の管理」又はGMP省令第11条の5に規定する「外部委託業者の管理」に基づき、供給先の業者又は委託元の業者(以下、「製造業者A」という。)との取決めを締結している対象業者(以下、「製造業者B」という。)については、次に掲げる要件を満たす場合には、医薬品の製造販売業者による直接の取決めの締結は要しないものとする。(図2:GQP省令の取決め(L字型))

ア.医薬品の製造販売業者は、製造業者Aとの取決めにおいて、GMP省令第11条の4及び第11条の5の規定に基づき、製造業者Aにより管理がなされている製造業者Bの業務の範囲を明確にすること。

イ.製造業者Aにより、当該製造業者Bの確認がリスクに応じて1年~3年ごとに行われること。ただし、製造販売業者において、当該製造業者Bのリスクが非常に低いことを確認している場合にはこの限りでないが、その場合であっても5年を超えない範囲で確認を行うこと。また、確認の頻度は当該製造業者Bのリスクに応じて随時見直されるとともに、確認は原則実地で行われること。なお。リスクについては、本通知5.(2)及び(3)を参照すること。

ウ.医薬品の製造販売業者は、製造業者Aによる本通知3.(2)イに掲げる製造業者Bの確認について、その記録を入手し、評価すること。

なお、ア、ウに掲げる事項を製造販売業者が適切に実施できるよう、製造業者Aは必要な情報を製造販売業者に提供すること。

また、製造業者Aは、製造業者Bの製造管理及び品質管理の不備に起因する品質情報を得た際には、必要に応じて製造業者Bに対する実地の確認を実施し、製造販売業者は製造業者Bの確認について、その記録を入手し、評価すること。

(3) 本通知3.(2)に掲げる取決めの特例(L字型)により、直接の取決めを締結していない場合であっても、直接の取決めを締結している場合と同様に、製造業者等における製造管理及び品質管理の適正かつ円滑な実施を確保する責任は医薬品の製造販売業者が負うものである。

(4) 医薬品の製造販売業者が製造業者等と取り決めるべき事項については、GQP省令第7条第1号~第7号に規定しているとおりであるが、それ以外に次に掲げる項目についても、必要な際に製造業者等から適切な情報提供がなされるよう、あらかじめ取決めを締結しておくこと。なお、製造業者等から情報提供する際には、個別の製造販売業者名や品目名は匿名化して差し支えない。

ア.製造所全体の製造管理及び品質管理に関わる重要業績評価指標(以下、「KPI」という。)の情報又は製造所にて設定しているKPI項目がない場合には以下のような項目の情報。

(ア) 製造品目数、出荷ロット数及び出荷の可否の決定により出荷不可となったロット数

(イ) 回収品目数及びロット数

(ウ) 製造所起因の品質情報の件数

(エ) 逸脱の件数

(オ) 規格に適合しない結果(以下、「OOS」という。)の件数

(カ) 変更案件数(処理中/完了済)

(キ) 当局によるGMP調査(立入検査を含む。)や製造販売業者による定期的な確認の履歴(調査者の種別と指摘の数)

(ク) 是正措置及び予防措置(以下、「CAPA」という。)の件数(処理中/完了済)

イ.製造所全体の製造管理及び品質管理に関わる情報(逸脱、CAPA、GMP調査の指摘事項と改善策等)のうち、重大な事象。ただし、製造棟や製造エリアが明確に異なり、当該事象が製造棟や製造エリア固有の問題である場合など、当該事象が影響する範囲が限定されており、自社品目に影響がないことが明らかなものを除く。なお、ここでいう「重大な事象」とは、以下のような事象を意味する。

(ア) 法令違反に該当する、又は該当する可能性が高い事象

(イ) 組織的、又は従業員による意図的な不正行為(データの不正な処理や捏造、OOSに係る不正な処理等)

(ウ) 製造所起因により、複数品目・ロットに品質影響のある、又はそのおそれがある事象

(エ) 製造所におけるGMPが有効に機能していないことが判明した事象(変更・逸脱を適正に処理せずに出荷した等)

(オ) 当局によるGMP調査(立入検査を含む。)の結果・指摘事項のうち、以下に該当する事象

①GMP不適合

②重度(critical)の不備事項

ウ.製造所に起因する回収の情報及びその理由。ただし、製造棟や製造エリアが明確に異なり、当該事象が製造棟や製造エリア固有の問題である場合など、当該事象が影響する範囲が限定されており、自社品目に影響がないことが明らかなものを除く。

(5) 医薬品の製造業者等は、GMP省令第14条第1項第2号、第14条第2項第2号、第11条の2第2項、第21条の2第2項、第15条第1項第2号イ及び第16条第2項の規定に基づく医薬品の製造販売業者への情報提供義務も踏まえ、本通知3.(4)ア~ウに掲げる情報について、取決めに基づき医薬品の製造販売業者に提供すること。

(6) 医薬品の製造販売業者は、製造所との製造委託の契約前であっても、本通知3.(4)アに掲げる各情報について確認した上で、製造を委託する製造所を選定することが望ましい。また、製造所においても、医薬品の製造販売業者に対するこれらの各情報の提供に協力することが望ましい。

(7) 医薬品の製造販売業者は、GMP省令第3条の2に規定する製造業者等における承認事項の遵守を確保するため、必要な情報を当該製造業者等に提供すること。

(8) 製造業者等の原料等の供給者や外部委託業者が製造販売業者との間で取決めを締結し、当該製造業者等との間で直接の取決めを締結していない場合には、製造販売業者からの情報提供(当該製造業者等による原料等の供給者や外部委託業者の管理に必要な事項に関する情報等)について、当該製造販売業者と当該製造業者等の間で締結される取決めで合意しておくこと。

(9) 取決めについては、定期的又は随時に必要な改訂がなされるよう、次に掲げる措置を講ずることができる内容としておくこと。

ア.取決めの改訂の要否を定期的に検討し、医薬品の製造販売業者と製造業者等の協議の上で、必要に応じて改訂を行うこと。

イ.取決めどおりの情報提供が適切に行われていない場合など、不備が判明した際には取決めの改訂の要否の判断も含め、必要な対応を講ずること。

4.品質情報等に関する情報提供及び措置

(1) GMP省令各条の規定に基づき、製造業者等から医薬品の製造販売業者に対し連絡(情報提供)がなされた場合には、医薬品の製造販売業者は、それぞれ次に掲げるGQP省令各条の規定に基づき、各連絡に対する所要の措置を講ずる必要がある。

項目

製造業者

製造販売業者

変更

GMP省令第14条第1項第2号及び同条第2項第2号の変更に関する連絡

GQP省令第10条第3項の変更連絡を受けた際の措置

安定性モニタリング

GMP省令第11条の2第2項及び第21条の2第2項の安定性モニタリングに関する連絡

GQP省令第11条の品質情報を得た際の措置

逸脱

GMP省令第15条第1項第2号イの逸脱に関する連絡

GQP省令第11条の品質情報を得た際の措置

品質情報

GMP省令第16条第2項の品質情報に関する連絡

GQP省令第11条の品質情報を得た際の措置

(2) 本通知4.(1)に掲げる製造業者等からの連絡及びその連絡に対する医薬品の製造販売業者による所要の措置が適正かつ円滑に行われることを確保するため、医薬品の製造販売業者は、あらかじめ提供が必要な情報の範囲及び内容について製造業者等と取決め等により合意しておくこと。

(3) 医薬品の製造販売業者は、GQP省令第10条第1項に基づき、品質保証部門のあらかじめ指定した者に、GMP省令各条の規定及び取決めに基づき適正かつ円滑に製造業者等から情報が提供されているかどうかについて、製造業者等を定期的に確認させ、その結果に関する記録を作成させること。品質保証責任者以外の者が確認及び記録の作成を行う場合においては、その結果を品質保証責任者に対して文書により報告し、品質保証責任者は、報告を受けた際にはその内容を確認し、評価すること。

(4) 品質保証責任者は、本通知4.(3)に掲げる、確認や評価の結果を踏まえ、必要な改善等の措置を講ずること。

(5) 医薬品の製造業者等は、GMP省令において製品の試験検査及び安定性モニタリングにおけるOOS又はそのおそれ、製品品質に影響を及ぼす変更又は逸脱の発生その他品質情報について、製造販売業者への速やかな連絡を求めていることを踏まえ、製造業者等におけるこれらの品質情報に係る影響評価等の所要の対応についても、可能な限り速やかに行うこと。また、保健衛生上の危害発生の可能性が想定される場合には、製造業者等における所要の対応と並行して、可及的速やかに医薬品の製造販売業者及び許可権者等の行政機関に連絡すること。

(6) 医薬品の製造販売業者における安全管理責任者は、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第135号)第8条第1項第2号の規定に基づき、品質情報が含まれる安全管理情報について、遅滞なく文書で品質保証責任者等に提供すること。

5.製造販売業者による製造業者等の定期的な確認

(1) 医薬品の製造販売業者は、GQP省令第10条第1項の規定に基づく製造業者等の定期的な確認にあたっては、当該製造業者等のリスクに応じて1年~3年ごとに確認を行うこと。ただし、製造販売業者において、当該製造業者等のリスクが非常に低いことを確認している場合にはこの限りでないが、その場合であっても5年を超えない範囲で確認を行うこと。また、確認の頻度は当該製造業者等のリスクに応じて随時見直すとともに、確認は原則として実地にて行うこと。

(2) 製造業者等のリスクとは、以下のものを指す。

ア.品目や工程の特性に応じた製造業者等の製造管理及び品質管理における不備発生の蓋然性とその不備の重大性及び過去の実績。

イ.製造業者等において不備のある管理体制の下で製造された製品の品質不良及び当該製品による公衆衛生上の危害発生の蓋然性とその危害の重大性及び過去の実績。

(3) 本通知3.(2)イ及び5.(1)に掲げる製造業者等のリスク評価にあたっては、品目(製品)の種類や特性、工程や作業の内容、職員の数、変更の履歴、当局によるGMP調査(立入検査を含む。)や製造販売業者による定期的な確認の履歴、品目の品質情報及び本通知3.(4)に掲げるKPI等の製造所情報を勘案すること。

(4) 本通知5.(1)に掲げる実地の確認については、他の製造販売業者や監査業務を受託する者等による実地の確認の内容及びその結果を評価することにより、代えることができる。

(5) 医薬品の製造販売業者は、製造業者等の製造管理及び品質管理の不備に起因する品質情報を得た際には、GQP省令第11条第1項第2号及び第3号の規定に基づく当該品質情報に係る事項の原因究明及び必要な改善等の措置にあたって、本通知4.(3)に掲げる内容に加え、必要に応じて当該製造業者等の実地の確認を実施すること。

(6) 医薬品の製造販売業者は、本通知5.(1)及び(5)に掲げる実地の確認を実施するため、製造業者等との取決めの締結に際して、必要な場合に実地の確認を可能とする内容の取決めを締結すること。

(7) 医薬品の製造販売業者は、GQP省令第10条第1項の規定に基づく製造業者等の定期的な確認にあたっては、製造所の特性及び本通知3.(4)に掲げるKPI等の製造所情報等に応じて確認すべき事項を選定するものであるが、次に掲げる項目については毎回確認すること。

ア.製造業者等の製造管理及び品質管理の適切性を評価できる事項

(ア) GMP省令第11条第1項第8号のOOS処理の内容

(イ) GMP省令第13条のバリデーションの内容

(ウ) GMP省令第14条の変更の管理の内容

(エ) GMP省令第15条の逸脱の管理の内容

(オ) GMP省令第16条の品質情報等の処理の内容

イ.製造業者等による取決め事項の実施状況の適切性を評価できる事項

(ア) 承認事項及び取決め事項に従った製造や試験検査等の実施状況

(イ) GMP省令各条に規定する、変更、安定性モニタリング、逸脱、品質情報に関する連絡の実施状況

(ウ) 本通知3.(2)に掲げる取決めの特例(L字型)により、直接の取決めを締結していない対象業者(製造業者B)が存在する場合には、製造業者Aによる当該製造業者Bの確認の記録

ウ.本通知3.(4)イ及びウに掲げる製造所全体の製造管理及び品質管理に関わる情報及び回収情報

(8) 本通知5.(1)に掲げる実地の確認とは別に、製造業者等は、GMP省令第11条の3の規定に基づく製品品質の照査の結果及び所要の措置をとった場合のその記録を医薬品の製造販売業者に対して提供する必要があり、当該製造販売業者はその確認及び評価を行う必要がある。

6.市場への出荷の管理

(1) 医薬品の製造販売業者がGQP省令第9条第2項の規定に基づき、製造業者に市場への出荷の可否の決定を行わせる場合には、当該製造業者は製造販売業者が自ら市場への出荷の可否の決定を行う場合と同様に、一の品目の製造に関わるすべての製造所について、少なくとも次に掲げる事項を評価する必要がある。

ア.すべての製造所の製造管理及び品質管理が適切であること

イ.当該製品に関する品質情報(GQP省令第11条第1項第1号)及び安全管理情報に問題がないこと(当該ロットを含む。)

ウ.当該ロットの製造が適切に行われたこと等が確認されていること。

なお、医薬品の製造販売業者は、GQP省令第9条第6項の規定に基づき、市場への出荷の可否の決定を行う者に対し、評価にあたって必要な情報を提供する必要があり、一の品目の製造に関わるすべての製造業者等は評価にあたって必要な情報を、当該製造販売業者へ提供する必要がある。

(2) 品質保証責任者は、GQP省令第9条第4項の規定により、市場への出荷の可否の決定の結果等について報告を受けた際には、以下の記録を確認し、評価すること。また、評価の結果を踏まえ、必要な改善等の措置を講ずること。

ア.医薬品の出納記録(販売名・ロット番号・出納数量・出荷先等)

イ.製造管理及び品質管理の結果の評価に係る記録

ウ.GQP省令第9条第6項の規定に基づき提供された市場への出荷の可否の決定に影響のある品質、有効性及び安全性に関する情報の評価に係る記録

エ.市場への出荷の可否の決定に関する記録(販売名・ロット番号・決定者・決定日等)