添付一覧
○日本薬局方外生薬規格2022について
(令和4年3月8日)
(薬生薬審発0308第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
日本薬局方に収載されていない生薬については、平成30年12月14日付け薬生薬審発1214第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「日本薬局方外生薬規格2018について」(以下「旧通知」という。)において示しています。
今般、日本薬局方外生薬規格に関する検討連絡会議において、日本薬局方外生薬規格2018(以下「局外生規2018」という。)に記載されている規格の見直しを行うとともに、新たに14品目の生薬(末、エキスを含む。)の規格が検討され、計97品目の生薬の規格について、別添のとおり「日本薬局方外生薬規格2022」(以下「局外生規2022」という。)として取りまとめました。
ついては、下記の事項に留意の上、貴管下関係業者に対し周知及び指導方お願いします。
なお、旧通知は廃止します。
記
1.医薬品及び医薬部外品の承認申請等について
(1) 新規収載された生薬の取扱い
① 局外生規2022に収載された生薬又は当該生薬を含有した製剤に係る製造販売について、新規に承認を申請する場合であって、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合、「成分及び分量又は本質」欄の規格に「局外生規」と記載し、規格内容は省略すること。
② 局外生規2022に収載された生薬のうち、既に承認を取得しているものについて、「成分及び分量又は本質」欄の規格及び「規格及び試験方法」欄の記載を局外生規2022に記載されたものに改める場合は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第16項の規定に基づき、承認事項の軽微な変更に係る届出(以下「軽微変更届出」という。)を行うこと。
③ 局外生規2022に収載された生薬を含有した製剤のうち、既に承認を取得しているものについて、「成分及び分量又は本質」欄の規格を「局外生規」に改める変更のみを行う場合は、法第14条第15項の規定に基づき、承認事項の一部の変更に係る承認についての申請(以下「一変申請」という。)又は軽微変更届出を行う必要はなく、他の理由により一変申請又は軽微変更届出を行う機会があるときに併せて申請し、又は届け出ることで差し支えないこと。
(2) 規格が改正された生薬の取扱い
① 局外生規2022に収載されている生薬又は当該生薬を含有した製剤を新規に承認申請するものであって、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合は、上記(1)①に準じることとする。なお、令和5年9月30日までは、改正前の規格により承認申請することで差し支えないこと。
② 局外生規2022に収載されている生薬又は当該生薬を含有した製剤のうち、既に承認を取得したものについて、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合は、令和5年9月30日までは、従前の例によることができるものとするが、同年10月1日以降は局外生規2022に記載された規格によるものとすること。なお、改正前の規格とするものについては、軽微変更届出により、「成分及び分量又は本質」欄の規格を「別紙規格」とし、その規格及び試験方法を局外生規2018の内容とする変更を行うこと。
(3) 承認事項の一部を局外生規による旨記載して承認された医薬品及び医薬部外品の取扱い
「規格及び試験方法」欄で「局外生規による」旨を記載されたものについては、令和5年9月30日までは改正前の局外生規2018の規格によるものとみなすが、同年10月1日以降は局外生規2022に記載された規格によるものであること。
(4) 単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる生薬エキスの取扱い
医薬品各条中「本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.」とは、平成27年12月25日付け薬生審査発1225第6号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンスについて」に基づき製造販売承認申請される製剤に配合される生薬エキスの規格として収載されたものであること。
局外生規2022に収載された単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる生薬エキスを含有した製剤に係る製造販売について、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合、「成分及び分量又は本質」欄の規格に「別紙規格」と記載し、別紙規格は記載例を参考に記載すること。
〈記載例〉
【別紙規格】
【名称】イカリソウエキス
【製造方法】
【連番】:001
【製造所の名称】:製剤の製造方法欄に記載
【製造方法】本別紙規格の規格及び試験方法欄に製法として記載
【規格及び試験方法】
【試験名】:日本薬局方外生薬規格
【規格及び試験方法】日本薬局方外生薬規格イカリソウエキスによるほか、以下のとおり。
【規格及び試験方法】
【試験名】:製法
【規格及び試験方法】(イカリソウエキスの製造方法を具体的に記載する。)
(5) その他留意事項等について
軽微変更届出を行う際は、軽微変更届書の「備考」欄に、「令和4年3月8日付け薬生薬審発0308第1号「日本薬局方外生薬規格2022について」による届出」と記載すること。
2.総則について
総則7.の「最新の日本薬局方及び日本薬局方外生薬規格を表す.」とは、承認申請時及び承認取得以降においても、その時点で最新の日本薬局方及び日本薬局方外生薬規格の内容を示すものであること。
3.医薬品各条について
以下のとおり取り扱うこととすること。
(1) ドベッコウ
医療の用途に用いられる別甲は土別甲をいう。
(2) ハンピ
承認事項に記載されている基原動物の属名である「Agkistrodon」は「Gloydius」に読み替えることができる。
日本薬局方外生薬規格2022
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
総則
1.この基準を「日本薬局方外生薬規格2022」といい,その略名は「局外生規2022」とする.
2.この日本薬局方外生薬規格の英名を「The Japanese standards for non‐Pharmacopoeial crude drugs 2022」とし,その略名は「Non‐JP crude drug standards 2022」又は「Non‐JPS 2022」とする.
3.日本薬局方外生薬規格の医薬品とは,医薬品各条に規定するものをいう.その名称とは医薬品各条に掲げた日本名又は日本名別名である.
また,医薬品各条においては,英名を掲げ,必要に応じてラテン名を掲げる.
4.この基準は,医薬品各条に規定する医薬品について,その本質,製法,生薬の性状,品質及び貯法等に関する基準を定めたものであり,総則,医薬品各条に定めるもののほか,最新の日本薬局方の通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定を準用する.
5.この基準の医薬品の適否は,総則及び医薬品各条の規定により判定するほか,最新の日本薬局方の通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する.
6.日本薬局方の改正に伴い「局外生規2022」の記載と矛盾が生じた場合には,日本薬局方の記載を優先する.
7.医薬品各条中に「日局」,「局外生規」の記載がある場合,それぞれ最新の日本薬局方及び日本薬局方外生薬規格を表す.
医薬品各条
医薬品各条 目次
ア
アカメガシワエキス
(Mallotus Bark Extract)
アキョウ
(Donkey Glue)
アルニカ
(Arnica Flower)
イカリソウエキス
(Epimedium Herb Extract)
ウバイ
(Processed Mume)
ウラジロガシ
(Quercus Salicina Leaf)
ウラジロガシエキス
(Quercus Salicina Extract)
エンメイソウ
(Isodon Herb)
エンメイソウ末
(Powdered Isodon Herb)
オンジエキス
(Polygala Root Extract)
カ
カイカ
(Sophora Japonica Flower)
ガイハク
(Allium Chinense Bulb)
カシ
(Myrobalan Fruit)
ガジュツ末
(Powdered Curcuma Rhizome)
カミツレ
(German Chamomile Flower)
カロニン
(Trichosanthes Seed)
カントウカ
(Coltsfoot Flower)
キッピ
(Citrus Peel)
キンギンカ
(Lonicera Flower)
クコヨウ
(Lycium Leaf)
ケイガイ末
(Powdered Schizonepeta Spike)
ケイシ
(Cinnamon Twig)
ゲンジン
(Scrophularia Root)
コウジン末
(Powdered Red Ginseng)
コウジンエキス
(Red Ginseng Extract)
コウホン
(Ligusticum Sinense Rhizome)
ゴオウ末
(Powdered Oriental Bezoar)
コツサイホ
(Drynaria Rhizome)
サ
サイコエキス
(Bupleurum Root Extract)
サンシチニンジン
(Panax Notoginseng Root)
サンシチニンジン末
(Powdered Panax Notoginseng Root)
サンシュユ末
(Powdered Cornus Fruit)
サンズコン
(Sophora Subprostrata Root)
ジオウ末
(Powdered Rehmannia Root)
シオン
(Aster Root)
シソシ
(Perilla Fruit)
シテイ
(Persimmon Calyx)
シャクヤクエキス
(Peony Root Extract)
シャジン
(Adenophora Root)
ショウキョウエキス
(Ginger Extract)
ショウバク
(Wheat)
ショクショウ
(Zanthoxylum Peel)
ジョテイシ
(Ligustrum Fruit)
ジリュウ
(Earthworm)
ジンギョウ
(Gentiana Macrophylla Root)
ジンコウ
(Agarwood)
ジンコウ末
(Powdered Agarwood)
スイギュウカク
(Buffalo Horn)
セイヒ
(Immature Citrus Unshiu Peel)
セキショウコン
(Acorus Gramineus Rhizome)
センタイ
(Cicada Slough)
センナジツ
(Senna Pods)
センナジツ末
(Powdered Senna Pods)
センレンシ
(Melia Fruit)
ソウジシ
(Cocklebur Fruit)
ソウズク
(Alpinia Katsumadai Seed)
タ
ダイフクヒ
(Areca Pericarp)
タラコンピ
(Aralia Elata Root Bark)
チクジョ
(Bamboo Culm)
チクヨウ
(Bamboo Leaf)
チクレキ
(Bamboo Sap)
チャヨウ
(Green Tea Leaf)
チョウトウコウエキス
(Uncaria Hook Extract)
チンピ末
(Powdered Citrus Unshiu Peel)
チンピエキス
(Citrus Unshiu Peel Extract)
テンナンショウ
(Arisaema Tuber)
トウシンソウ
(Common Rush)
トウドクカツ
(Angelica Pubescens Root)
トウヒ末
(Powdered Bitter Orange Peel)
ドベッコウ
(Soft Shell Turtle Carapace)
ナ
ナンテンジツ
(Nandina Fruit)
ニクズク末
(Powdered Nutmeg)
ニンジンエキス
(Ginseng Extract)
ハ
バイモ末
(Powdered Fritillaria Bulb)
ハトムギ
(Coix Fruit with Involucre)
ハンピ
(Hampi)
ヒシノミ
(Water Chestnut)
ビャッキョウサン
(Stiff Silkworm)
ボウイ末
(Powdered Sinomenium Stem and Rhizome)
ホップ
(Hop Strobile)
マ
マオウ末
(Powdered Ephedra Herb)
マンケイシ
(Shrub Chaste Tree Fruit)
メリロート
(Melilot)
メリロートエキス
(Melilot Extract)
モッカ
(Chaenomeles Fruit)
ヤ
ヤカン
(Blackberry‐lily Rhizome)
ヨウバイヒ
(Myrica Rubra Bark)
ヨウバイヒ末
(Powdered Myrica Rubra Bark)
ヨクイニンエキス
(Coix Seed Extract)
ラ
ランオウ末
(Dried Egg Yolk Powder)
リヒ
(Plum Bark)
レンギョウ末
(Powdered Forsythia Fruit)
ロクジョウ
(Antler Velvet)
ロクジョウ末
(Powdered Antler Velvet)
ワ
ワキョウカツ
(Aralia Root)
ワコウホン
(Osmorhiza Rhizome)
ワニクジュヨウ
(Boschniakia Herb)
試薬・試液
ベルゲニン,定量用
ジフェニルボリン酸2―アミノエチル
NP試液
PEG試液
イカリイン,定量用
エラグ酸,定量用
3,6'―ジ―O―シナポイルスクロース,定量用
ノトギンセノシドR1,薄層クロマトグラフィー用
クマリン,定量用
アカメガシワエキス
Mallotus Bark Extract
赤芽柏エキス
本品は定量するとき,ベルゲニン12.0~18.0%を含む.
製法 適切な大きさとした日局アカメガシワを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
本品1.0gは日局アカメガシワ約8gに相当する.
性状 本品は褐色の粉末で,特異なにおい及び味がある.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.1gにメタノール10mLを加えて振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.以下,日局アカメガシワの確認試験を準用する.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品0.6gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(50ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 8.0%以下(1g,105℃,4時間).
灰分〈5.01〉 10.0%以下(1g).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,水/アセトニトリル混液(9:1)100mLを正確に加えて30分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.別に定量用ベルゲニン約10mgを精密に量り,水/アセトニトリル混液(9:1)に溶かして正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のベルゲニンのピーク面積AT及びASを測定する.
ベルゲニンの量(mg)=MS×AT/AS×2
MS:定量用ベルゲニンの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:272nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(9:1)
流量:ベルゲニンの保持時間が約9分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,ベルゲニンのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ベルゲニンのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
ベルゲニン,定量用 C14H16O9 日局ベルゲニン,薄層クロマトグラフィー用.ただし,次の試験に適合するもの.
吸光度〈2.24〉 画像1 (11KB)
(275nm):240~255(2mg,メタノール,100mL).ただし,別途水分〈2.48〉を測定し(5mg,電量滴定法),脱水物換算する.
純度試験 類縁物質 本品5mgを局外生規アカメガシワエキスの定量法の移動相10mLに溶かし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,局外生規アカメガシワエキスの定量法の移動相を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,試料溶液のベルゲニン以外のピークの合計面積は,標準溶液のベルゲニンのピーク面積より大きくない.
試験条件
検出器,カラム,カラム温度,移動相及び流量は,局外生規アカメガシワエキスの定量法の試験条件を準用する.
面積測定範囲:ベルゲニンの保持時間の約3倍の範囲
システム適合性
検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,局外生規アカメガシワエキスの定量法の移動相を加えて正確に20mLとする.この液10μLから得たベルゲニンのピーク面積が,標準溶液のベルゲニンのピーク面積の3.5~6.5%になることを確認する.
システムの性能及びシステムの再現性:局外生規アカメガシワエキスの定量法のシステム適合性を準用する.
アキョウ
Donkey Glue
ASINI CORII COLLAS
阿膠
本品はロバEquus asinus Linn画像2 (7KB)
(Equidae)の毛を去った皮,骨,けん又はじん帯を水で加熱抽出し,脂肪を去り,濃縮乾燥したものである.
生薬の性状 本品は黄褐色~黒褐色の板状で,砕きやすい.
本品はにおいはないか,僅かで,味はない.
確認試験 本品の水溶液(1→5000)5mLにタンニン酸試液1滴を加えるとき,液は混濁する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品0.5gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.5mLを加える(50ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品15.0gをフラスコにとり,薄めた塩酸(1→5)60mLを加えて加熱して溶かし,臭素試液15mLを加えて加熱し,過量の臭素を除き,アンモニア試液を加えて中性とし,リン酸水素二ナトリウム十二水和物1.5gを加えて放冷し,マグネシア試液30mLを加えて1時間放置する.沈殿をろ取し,薄めたアンモニア試液(1→4)10mLずつで5回洗い,薄めた塩酸(1→4)に溶かし正確に50mLとする.この液5mLにつき,試験を行うとき,次の標準色より濃くない.
標準色:本品の代わりにヒ素標準液15mLを用い,同様に操作する(1ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
酸不溶性灰分〈5.01〉 0.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
アルニカ
Arnica Flower
ARNICAE FLOS
本品はArnica montana Linn画像3 (7KB)
(Compositae)の頭花である.
本品は日局製剤総則皮膚などに適用する製剤のみに用いることができる.
生薬の性状 本品は径15~30mm,高さ15~20mmの頭花で,多数の管状花,舌状花及び総苞からなり,ときに20~30mmの柄を伴う.管状花及び舌状花は黄色~鮮黄色を呈する.総苞は2列の総苞片からなり,総苞片はひ針形で,短毛に覆われ,灰緑色~暗褐色を呈する.通例,冠毛を伴うそう果を認める.そう果は倒狭卵形で,長さ5~8mmである.
本品は特異な芳香がある.
確認試験 純度試験(2)で得た試料溶液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用クロロゲン酸1mgをメタノール10mLに溶かし標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液20μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸/メタノール混液(8:2:1:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これにNP試液を均等に噴霧後,PEG試液を均等に噴霧し,風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 異物〈5.01〉 本品は茎及びその他の異物を5.0%以上含まない.
(2) Heterotheca属植物の頭花 本品の粉末1gに,メタノール20mLを加えて沸騰水浴上で3分間加熱する.冷後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸/メタノール混液(8:2:1:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これにNP試液を均等に噴霧後,PEG試液を均等に噴霧し,風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.4付近に黄橙色のスポットを認めない(ルチン).
乾燥減量〈5.01〉 11.0%以下(2時間).
灰分〈5.01〉 10.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 15.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ジフェニルボリン酸2―アミノエチル C14H16BNO 白色~褐色の結晶,結晶性の粉末又は粉末で,メタノールに溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすく,水にほとんど溶けない.融点:約193℃.
確認試験 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法〈2.25〉の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数3290cm-1,1611cm-1及び1062cm-1付近に吸収を認める.
NP試液 ジフェニルボリン酸2―アミノエチル0.5gをメタノールに溶かし,50mLとする.
PEG試液 日局マクロゴール4000 5gをエタノール(99.5)に溶かし,100mLとする.
イカリソウエキス
Epimedium Herb Extract
淫羊画像4 (7KB)
エキス インヨウカクエキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,イカリイン1.3%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局インヨウカクを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡褐色~暗褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は渋く,苦い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.4gにメタノール10mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用マグノフロリン0.5mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μL及び標準溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に1―ブタノール/水/酢酸(100)混液(4:2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これにドラーゲンドルフ試液を均等に噴霧するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 11.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 23.0%以下(1g).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,薄めたメタノール(7→10)60mLを加えて30分間超音波処理した後,ろ過する.残留物に薄めたメタノール(7→10)30mLを加えて同様に操作する.全抽出液を合わせ,薄めたメタノール(7→10)を加えて正確に100mLとし,試料溶液とする.別に定量用イカリイン約4mgを精密に量り,メタノールに溶かし,正確に50mLとする.この液10mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のイカリインのピーク面積AT及びASを測定する.
イカリインの量(mg)=MS×AT/AS×2/5
MS:定量用イカリインの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:270nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(73:27)
流量:イカリインの保持時間が約9分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,イカリインのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,イカリインのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
イカリイン,定量用 C33H40O15 日局イカリイン,薄層クロマトグラフィー用.ただし,次の試験に適合するもの.
吸光度〈2.24〉 画像5 (11KB)
(270nm):374~413(2mg,メタノール,200mL).ただし,別途水分〈2.48〉を測定し(5mg,電量滴定法),脱水物換算する.
純度試験 類縁物質 本品1mgをメタノール1mLに溶かし,移動相を加えて10mLとし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,移動相を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,試料溶液のイカリイン以外のピークの合計面積は,標準溶液のイカリインのピーク面積より大きくない.
試験条件
検出器,カラム,カラム温度,移動相及び流量は,局外生規イカリソウエキスの定量法の試験条件を準用する.
面積測定範囲:溶媒のピークの後からイカリインの保持時間の約3倍の範囲
システム適合性
検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,移動相を加えて正確に20mLとする.この液10μLから得たイカリインのピーク面積が,標準溶液のイカリインのピーク面積の3.5~6.5%になることを確認する.
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,イカリインのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,イカリインのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
ウバイ
Processed Mume
MUME FRUCTUS
烏梅
本品はウメPrunus mume Siebold et Zuccarini (Rosaceae)の未熟果実をくん製又は蒸してさらしたものである.
生薬の性状 本品は球形~偏球形を呈し,径1.5~2.5cm,外面は黒褐色~黒色を呈し,つやがなく,粗いしわがあり,内果皮は極めて堅く,内部に種子がある.
本品は特異な弱いにおいがあり,強い酸味がある.
確認試験 本品の細切したもの1gに無水酢酸2mLを加えて5分間振り混ぜた後,ろ過する.ろ液1mLに硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈し,上層は暗緑褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 19.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 25.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ウラジロガシ
Quercus Salicina Leaf
QUERCUS SALICINAE FOLIUM
本品はウラジロガシQuercus salicina Blume (Fagaceae)の成熟した葉であり,しばしば枝を伴う.
生薬の性状 本品はひ針形又は長楕円状ひ針形で,長さ5~15cm,幅1~5cm,先端は鋭尖形又は尾状にとがり,基部は広いくさび形で,短い葉柄をつけ,上方にやや鋭い鋸歯がある.質はやや薄い革質で,上面は帯灰黄褐色~淡緑色でつやがあり,下面はロウ質を分泌して白色~淡灰緑色である.枝は円柱状を呈し,径0.1~1cm,灰白色~灰褐色又は淡赤褐色~淡緑紫色で,ほとんど無毛である.
本品はほとんどにおいがなく,味は初めほとんどなく,後に僅かに苦い.
確認試験
(1) 本品の粉末13gに水50mLを加え,還流冷却器を付けて80℃の水浴中で3時間加熱する.冷後,吸引ろ過し,ろ液を試験液とする.試験液5mLに水5mLを加えてかき混ぜ,ヘキサン10mLを加えて振り混ぜ,遠心分離する.水層を分液漏斗に入れ,酢酸エチル5mLを加えて振り混ぜ,必要ならば遠心分離した後,酢酸エチル層を分取し,水5mLを加え,振り混ぜて洗う.酢酸エチル層を分取し,低圧(真空)で溶媒を留去した後,残留物にエタノール(95)10mLを加えて溶かし,試料溶液とする.
(i) 試料溶液1mLに塩化鉄(Ⅲ)試液1滴を加えるとき,液は緑色~青緑色を呈する.
(ii) 試料溶液1mLに塩化アルミニウム溶液(1→100)3滴を加えるとき,液は淡黄色~黄緑色を呈し,更に紫外線(主波長365nm)を照射し,散光のもとで観察するとき,青白色の蛍光を発する.
(2) (1)で得た試験液5mLに硫酸0.5mLを注意して加え,還流冷却器を付けて30分間加熱する.冷後,遠心分離して上澄液をとり,分液漏斗に入れ,ジエチルエーテル10mLを加えて振り混ぜる.水層を分取し,活性炭0.1gを加え,還流冷却器を付け,水浴上で10分間加熱した後,ろ過する.ろ液が着色している場合,再度活性炭を加えて同様に操作する.ろ液1mLをとり,1―ナフトールのエタノール(95)溶液(3→20)2滴及び硫酸0.5mLを加えるとき,液は濃紫色~濃赤紫色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 11.5%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 14.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ウラジロガシエキス
Quercus Salicina Extract
本品は定量するとき,エラグ酸2.3~3.6%を含む.
製法 適切な大きさとした局外生規ウラジロガシを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は褐色~黒褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は渋くて苦い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験
(1) 本品1gに水30mLを加えてかき混ぜ,ヘキサン30mLを加えて振り混ぜ,遠心分離する.以下局外生規ウラジロガシの確認試験(1)を準用する.
(2) 本品1gに希硫酸20mLを加え,還流冷却器を付けて30分間加熱する.以下局外生規ウラジロガシの確認試験(2)を準用する.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 8.0%以下(1g,105℃,3時間).
灰分〈5.01〉 10.0%以下(1g,白金るつぼ).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,希塩酸50mLを加え,よく振り混ぜ,必要ならば超音波を用いて分散する.還流冷却器を付けて水浴中で時々振り混ぜながら,4時間加熱し,急冷後,メタノールを加えて正確に200mLとする.この液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し,初めのろ液10mLを除き,次のろ液を試料溶液とする.別に定量用エラグ酸(別途105℃で4時間乾燥し,その減量を測定しておく)約20mgを精密に量り,メタノールに溶かし,正確に100mLとする.この液2mLを正確に量り,メタノール/水混液(18:7)を加えて正確に20mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液7μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液のエラグ酸のピーク面積AT及びASを測定する.
エラグ酸の量(mg)=MS×AT/AS×1/5
MS:乾燥物に換算した定量用エラグ酸の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:270nm)
カラム:内径4.6mm,長さ10cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:薄めたリン酸(1→1000)
移動相B:メタノール
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する.
注入後の時間 (分) |
移動相A (vol%) |
移動相B (vol%) |
0~7 |
98 |
2 |
7~8 |
98→60 |
2→40 |
8~17 |
60 |
40 |
17~20 |
60→98 |
40→2 |
20~30 |
98 |
2 |