添付一覧
○日本薬局方外生薬規格2022について
(令和4年3月8日)
(薬生薬審発0308第1号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知)
(公印省略)
日本薬局方に収載されていない生薬については、平成30年12月14日付け薬生薬審発1214第1号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長通知「日本薬局方外生薬規格2018について」(以下「旧通知」という。)において示しています。
今般、日本薬局方外生薬規格に関する検討連絡会議において、日本薬局方外生薬規格2018(以下「局外生規2018」という。)に記載されている規格の見直しを行うとともに、新たに14品目の生薬(末、エキスを含む。)の規格が検討され、計97品目の生薬の規格について、別添のとおり「日本薬局方外生薬規格2022」(以下「局外生規2022」という。)として取りまとめました。
ついては、下記の事項に留意の上、貴管下関係業者に対し周知及び指導方お願いします。
なお、旧通知は廃止します。
記
1.医薬品及び医薬部外品の承認申請等について
(1) 新規収載された生薬の取扱い
① 局外生規2022に収載された生薬又は当該生薬を含有した製剤に係る製造販売について、新規に承認を申請する場合であって、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合、「成分及び分量又は本質」欄の規格に「局外生規」と記載し、規格内容は省略すること。
② 局外生規2022に収載された生薬のうち、既に承認を取得しているものについて、「成分及び分量又は本質」欄の規格及び「規格及び試験方法」欄の記載を局外生規2022に記載されたものに改める場合は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第16項の規定に基づき、承認事項の軽微な変更に係る届出(以下「軽微変更届出」という。)を行うこと。
③ 局外生規2022に収載された生薬を含有した製剤のうち、既に承認を取得しているものについて、「成分及び分量又は本質」欄の規格を「局外生規」に改める変更のみを行う場合は、法第14条第15項の規定に基づき、承認事項の一部の変更に係る承認についての申請(以下「一変申請」という。)又は軽微変更届出を行う必要はなく、他の理由により一変申請又は軽微変更届出を行う機会があるときに併せて申請し、又は届け出ることで差し支えないこと。
(2) 規格が改正された生薬の取扱い
① 局外生規2022に収載されている生薬又は当該生薬を含有した製剤を新規に承認申請するものであって、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合は、上記(1)①に準じることとする。なお、令和5年9月30日までは、改正前の規格により承認申請することで差し支えないこと。
② 局外生規2022に収載されている生薬又は当該生薬を含有した製剤のうち、既に承認を取得したものについて、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合は、令和5年9月30日までは、従前の例によることができるものとするが、同年10月1日以降は局外生規2022に記載された規格によるものとすること。なお、改正前の規格とするものについては、軽微変更届出により、「成分及び分量又は本質」欄の規格を「別紙規格」とし、その規格及び試験方法を局外生規2018の内容とする変更を行うこと。
(3) 承認事項の一部を局外生規による旨記載して承認された医薬品及び医薬部外品の取扱い
「規格及び試験方法」欄で「局外生規による」旨を記載されたものについては、令和5年9月30日までは改正前の局外生規2018の規格によるものとみなすが、同年10月1日以降は局外生規2022に記載された規格によるものであること。
(4) 単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる生薬エキスの取扱い
医薬品各条中「本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.」とは、平成27年12月25日付け薬生審査発1225第6号厚生労働省医薬・生活衛生局審査管理課長通知「生薬のエキス製剤の製造販売承認申請に係るガイダンスについて」に基づき製造販売承認申請される製剤に配合される生薬エキスの規格として収載されたものであること。
局外生規2022に収載された単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる生薬エキスを含有した製剤に係る製造販売について、当該生薬の規格を局外生規2022に記載されたものとする場合、「成分及び分量又は本質」欄の規格に「別紙規格」と記載し、別紙規格は記載例を参考に記載すること。
〈記載例〉
【別紙規格】
【名称】イカリソウエキス
【製造方法】
【連番】:001
【製造所の名称】:製剤の製造方法欄に記載
【製造方法】本別紙規格の規格及び試験方法欄に製法として記載
【規格及び試験方法】
【試験名】:日本薬局方外生薬規格
【規格及び試験方法】日本薬局方外生薬規格イカリソウエキスによるほか、以下のとおり。
【規格及び試験方法】
【試験名】:製法
【規格及び試験方法】(イカリソウエキスの製造方法を具体的に記載する。)
(5) その他留意事項等について
軽微変更届出を行う際は、軽微変更届書の「備考」欄に、「令和4年3月8日付け薬生薬審発0308第1号「日本薬局方外生薬規格2022について」による届出」と記載すること。
2.総則について
総則7.の「最新の日本薬局方及び日本薬局方外生薬規格を表す.」とは、承認申請時及び承認取得以降においても、その時点で最新の日本薬局方及び日本薬局方外生薬規格の内容を示すものであること。
3.医薬品各条について
以下のとおり取り扱うこととすること。
(1) ドベッコウ
医療の用途に用いられる別甲は土別甲をいう。
(2) ハンピ
承認事項に記載されている基原動物の属名である「Agkistrodon」は「Gloydius」に読み替えることができる。
日本薬局方外生薬規格2022
厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課
総則
1.この基準を「日本薬局方外生薬規格2022」といい,その略名は「局外生規2022」とする.
2.この日本薬局方外生薬規格の英名を「The Japanese standards for non‐Pharmacopoeial crude drugs 2022」とし,その略名は「Non‐JP crude drug standards 2022」又は「Non‐JPS 2022」とする.
3.日本薬局方外生薬規格の医薬品とは,医薬品各条に規定するものをいう.その名称とは医薬品各条に掲げた日本名又は日本名別名である.
また,医薬品各条においては,英名を掲げ,必要に応じてラテン名を掲げる.
4.この基準は,医薬品各条に規定する医薬品について,その本質,製法,生薬の性状,品質及び貯法等に関する基準を定めたものであり,総則,医薬品各条に定めるもののほか,最新の日本薬局方の通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定を準用する.
5.この基準の医薬品の適否は,総則及び医薬品各条の規定により判定するほか,最新の日本薬局方の通則,生薬総則,製剤総則及び一般試験法の規定によって判定する.
6.日本薬局方の改正に伴い「局外生規2022」の記載と矛盾が生じた場合には,日本薬局方の記載を優先する.
7.医薬品各条中に「日局」,「局外生規」の記載がある場合,それぞれ最新の日本薬局方及び日本薬局方外生薬規格を表す.
医薬品各条
医薬品各条 目次
ア
アカメガシワエキス
(Mallotus Bark Extract)
アキョウ
(Donkey Glue)
アルニカ
(Arnica Flower)
イカリソウエキス
(Epimedium Herb Extract)
ウバイ
(Processed Mume)
ウラジロガシ
(Quercus Salicina Leaf)
ウラジロガシエキス
(Quercus Salicina Extract)
エンメイソウ
(Isodon Herb)
エンメイソウ末
(Powdered Isodon Herb)
オンジエキス
(Polygala Root Extract)
カ
カイカ
(Sophora Japonica Flower)
ガイハク
(Allium Chinense Bulb)
カシ
(Myrobalan Fruit)
ガジュツ末
(Powdered Curcuma Rhizome)
カミツレ
(German Chamomile Flower)
カロニン
(Trichosanthes Seed)
カントウカ
(Coltsfoot Flower)
キッピ
(Citrus Peel)
キンギンカ
(Lonicera Flower)
クコヨウ
(Lycium Leaf)
ケイガイ末
(Powdered Schizonepeta Spike)
ケイシ
(Cinnamon Twig)
ゲンジン
(Scrophularia Root)
コウジン末
(Powdered Red Ginseng)
コウジンエキス
(Red Ginseng Extract)
コウホン
(Ligusticum Sinense Rhizome)
ゴオウ末
(Powdered Oriental Bezoar)
コツサイホ
(Drynaria Rhizome)
サ
サイコエキス
(Bupleurum Root Extract)
サンシチニンジン
(Panax Notoginseng Root)
サンシチニンジン末
(Powdered Panax Notoginseng Root)
サンシュユ末
(Powdered Cornus Fruit)
サンズコン
(Sophora Subprostrata Root)
ジオウ末
(Powdered Rehmannia Root)
シオン
(Aster Root)
シソシ
(Perilla Fruit)
シテイ
(Persimmon Calyx)
シャクヤクエキス
(Peony Root Extract)
シャジン
(Adenophora Root)
ショウキョウエキス
(Ginger Extract)
ショウバク
(Wheat)
ショクショウ
(Zanthoxylum Peel)
ジョテイシ
(Ligustrum Fruit)
ジリュウ
(Earthworm)
ジンギョウ
(Gentiana Macrophylla Root)
ジンコウ
(Agarwood)
ジンコウ末
(Powdered Agarwood)
スイギュウカク
(Buffalo Horn)
セイヒ
(Immature Citrus Unshiu Peel)
セキショウコン
(Acorus Gramineus Rhizome)
センタイ
(Cicada Slough)
センナジツ
(Senna Pods)
センナジツ末
(Powdered Senna Pods)
センレンシ
(Melia Fruit)
ソウジシ
(Cocklebur Fruit)
ソウズク
(Alpinia Katsumadai Seed)
タ
ダイフクヒ
(Areca Pericarp)
タラコンピ
(Aralia Elata Root Bark)
チクジョ
(Bamboo Culm)
チクヨウ
(Bamboo Leaf)
チクレキ
(Bamboo Sap)
チャヨウ
(Green Tea Leaf)
チョウトウコウエキス
(Uncaria Hook Extract)
チンピ末
(Powdered Citrus Unshiu Peel)
チンピエキス
(Citrus Unshiu Peel Extract)
テンナンショウ
(Arisaema Tuber)
トウシンソウ
(Common Rush)
トウドクカツ
(Angelica Pubescens Root)
トウヒ末
(Powdered Bitter Orange Peel)
ドベッコウ
(Soft Shell Turtle Carapace)
ナ
ナンテンジツ
(Nandina Fruit)
ニクズク末
(Powdered Nutmeg)
ニンジンエキス
(Ginseng Extract)
ハ
バイモ末
(Powdered Fritillaria Bulb)
ハトムギ
(Coix Fruit with Involucre)
ハンピ
(Hampi)
ヒシノミ
(Water Chestnut)
ビャッキョウサン
(Stiff Silkworm)
ボウイ末
(Powdered Sinomenium Stem and Rhizome)
ホップ
(Hop Strobile)
マ
マオウ末
(Powdered Ephedra Herb)
マンケイシ
(Shrub Chaste Tree Fruit)
メリロート
(Melilot)
メリロートエキス
(Melilot Extract)
モッカ
(Chaenomeles Fruit)
ヤ
ヤカン
(Blackberry‐lily Rhizome)
ヨウバイヒ
(Myrica Rubra Bark)
ヨウバイヒ末
(Powdered Myrica Rubra Bark)
ヨクイニンエキス
(Coix Seed Extract)
ラ
ランオウ末
(Dried Egg Yolk Powder)
リヒ
(Plum Bark)
レンギョウ末
(Powdered Forsythia Fruit)
ロクジョウ
(Antler Velvet)
ロクジョウ末
(Powdered Antler Velvet)
ワ
ワキョウカツ
(Aralia Root)
ワコウホン
(Osmorhiza Rhizome)
ワニクジュヨウ
(Boschniakia Herb)
試薬・試液
ベルゲニン,定量用
ジフェニルボリン酸2―アミノエチル
NP試液
PEG試液
イカリイン,定量用
エラグ酸,定量用
3,6'―ジ―O―シナポイルスクロース,定量用
ノトギンセノシドR1,薄層クロマトグラフィー用
クマリン,定量用
アカメガシワエキス
Mallotus Bark Extract
赤芽柏エキス
本品は定量するとき,ベルゲニン12.0~18.0%を含む.
製法 適切な大きさとした日局アカメガシワを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
本品1.0gは日局アカメガシワ約8gに相当する.
性状 本品は褐色の粉末で,特異なにおい及び味がある.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.1gにメタノール10mLを加えて振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.以下,日局アカメガシワの確認試験を準用する.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品0.6gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(50ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 8.0%以下(1g,105℃,4時間).
灰分〈5.01〉 10.0%以下(1g).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,水/アセトニトリル混液(9:1)100mLを正確に加えて30分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.別に定量用ベルゲニン約10mgを精密に量り,水/アセトニトリル混液(9:1)に溶かして正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のベルゲニンのピーク面積AT及びASを測定する.
ベルゲニンの量(mg)=MS×AT/AS×2
MS:定量用ベルゲニンの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:272nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(9:1)
流量:ベルゲニンの保持時間が約9分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,ベルゲニンのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ベルゲニンのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
ベルゲニン,定量用 C14H16O9 日局ベルゲニン,薄層クロマトグラフィー用.ただし,次の試験に適合するもの.
吸光度〈2.24〉 画像1 (11KB)
(275nm):240~255(2mg,メタノール,100mL).ただし,別途水分〈2.48〉を測定し(5mg,電量滴定法),脱水物換算する.
純度試験 類縁物質 本品5mgを局外生規アカメガシワエキスの定量法の移動相10mLに溶かし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,局外生規アカメガシワエキスの定量法の移動相を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,試料溶液のベルゲニン以外のピークの合計面積は,標準溶液のベルゲニンのピーク面積より大きくない.
試験条件
検出器,カラム,カラム温度,移動相及び流量は,局外生規アカメガシワエキスの定量法の試験条件を準用する.
面積測定範囲:ベルゲニンの保持時間の約3倍の範囲
システム適合性
検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,局外生規アカメガシワエキスの定量法の移動相を加えて正確に20mLとする.この液10μLから得たベルゲニンのピーク面積が,標準溶液のベルゲニンのピーク面積の3.5~6.5%になることを確認する.
システムの性能及びシステムの再現性:局外生規アカメガシワエキスの定量法のシステム適合性を準用する.
アキョウ
Donkey Glue
ASINI CORII COLLAS
阿膠
本品はロバEquus asinus Linn画像2 (7KB)
(Equidae)の毛を去った皮,骨,けん又はじん帯を水で加熱抽出し,脂肪を去り,濃縮乾燥したものである.
生薬の性状 本品は黄褐色~黒褐色の板状で,砕きやすい.
本品はにおいはないか,僅かで,味はない.
確認試験 本品の水溶液(1→5000)5mLにタンニン酸試液1滴を加えるとき,液は混濁する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品0.5gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.5mLを加える(50ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品15.0gをフラスコにとり,薄めた塩酸(1→5)60mLを加えて加熱して溶かし,臭素試液15mLを加えて加熱し,過量の臭素を除き,アンモニア試液を加えて中性とし,リン酸水素二ナトリウム十二水和物1.5gを加えて放冷し,マグネシア試液30mLを加えて1時間放置する.沈殿をろ取し,薄めたアンモニア試液(1→4)10mLずつで5回洗い,薄めた塩酸(1→4)に溶かし正確に50mLとする.この液5mLにつき,試験を行うとき,次の標準色より濃くない.
標準色:本品の代わりにヒ素標準液15mLを用い,同様に操作する(1ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
酸不溶性灰分〈5.01〉 0.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
アルニカ
Arnica Flower
ARNICAE FLOS
本品はArnica montana Linn画像3 (7KB)
(Compositae)の頭花である.
本品は日局製剤総則皮膚などに適用する製剤のみに用いることができる.
生薬の性状 本品は径15~30mm,高さ15~20mmの頭花で,多数の管状花,舌状花及び総苞からなり,ときに20~30mmの柄を伴う.管状花及び舌状花は黄色~鮮黄色を呈する.総苞は2列の総苞片からなり,総苞片はひ針形で,短毛に覆われ,灰緑色~暗褐色を呈する.通例,冠毛を伴うそう果を認める.そう果は倒狭卵形で,長さ5~8mmである.
本品は特異な芳香がある.
確認試験 純度試験(2)で得た試料溶液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用クロロゲン酸1mgをメタノール10mLに溶かし標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液20μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸/メタノール混液(8:2:1:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これにNP試液を均等に噴霧後,PEG試液を均等に噴霧し,風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 異物〈5.01〉 本品は茎及びその他の異物を5.0%以上含まない.
(2) Heterotheca属植物の頭花 本品の粉末1gに,メタノール20mLを加えて沸騰水浴上で3分間加熱する.冷後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸/メタノール混液(8:2:1:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これにNP試液を均等に噴霧後,PEG試液を均等に噴霧し,風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.4付近に黄橙色のスポットを認めない(ルチン).
乾燥減量〈5.01〉 11.0%以下(2時間).
灰分〈5.01〉 10.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 15.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ジフェニルボリン酸2―アミノエチル C14H16BNO 白色~褐色の結晶,結晶性の粉末又は粉末で,メタノールに溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすく,水にほとんど溶けない.融点:約193℃.
確認試験 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法〈2.25〉の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数3290cm-1,1611cm-1及び1062cm-1付近に吸収を認める.
NP試液 ジフェニルボリン酸2―アミノエチル0.5gをメタノールに溶かし,50mLとする.
PEG試液 日局マクロゴール4000 5gをエタノール(99.5)に溶かし,100mLとする.
イカリソウエキス
Epimedium Herb Extract
淫羊画像4 (7KB)
エキス インヨウカクエキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,イカリイン1.3%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局インヨウカクを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡褐色~暗褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は渋く,苦い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.4gにメタノール10mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用マグノフロリン0.5mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μL及び標準溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に1―ブタノール/水/酢酸(100)混液(4:2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これにドラーゲンドルフ試液を均等に噴霧するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 11.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 23.0%以下(1g).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,薄めたメタノール(7→10)60mLを加えて30分間超音波処理した後,ろ過する.残留物に薄めたメタノール(7→10)30mLを加えて同様に操作する.全抽出液を合わせ,薄めたメタノール(7→10)を加えて正確に100mLとし,試料溶液とする.別に定量用イカリイン約4mgを精密に量り,メタノールに溶かし,正確に50mLとする.この液10mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のイカリインのピーク面積AT及びASを測定する.
イカリインの量(mg)=MS×AT/AS×2/5
MS:定量用イカリインの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:270nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(73:27)
流量:イカリインの保持時間が約9分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,イカリインのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,イカリインのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
イカリイン,定量用 C33H40O15 日局イカリイン,薄層クロマトグラフィー用.ただし,次の試験に適合するもの.
吸光度〈2.24〉 画像5 (11KB)
(270nm):374~413(2mg,メタノール,200mL).ただし,別途水分〈2.48〉を測定し(5mg,電量滴定法),脱水物換算する.
純度試験 類縁物質 本品1mgをメタノール1mLに溶かし,移動相を加えて10mLとし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,移動相を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,試料溶液のイカリイン以外のピークの合計面積は,標準溶液のイカリインのピーク面積より大きくない.
試験条件
検出器,カラム,カラム温度,移動相及び流量は,局外生規イカリソウエキスの定量法の試験条件を準用する.
面積測定範囲:溶媒のピークの後からイカリインの保持時間の約3倍の範囲
システム適合性
検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,移動相を加えて正確に20mLとする.この液10μLから得たイカリインのピーク面積が,標準溶液のイカリインのピーク面積の3.5~6.5%になることを確認する.
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,イカリインのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,イカリインのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
ウバイ
Processed Mume
MUME FRUCTUS
烏梅
本品はウメPrunus mume Siebold et Zuccarini (Rosaceae)の未熟果実をくん製又は蒸してさらしたものである.
生薬の性状 本品は球形~偏球形を呈し,径1.5~2.5cm,外面は黒褐色~黒色を呈し,つやがなく,粗いしわがあり,内果皮は極めて堅く,内部に種子がある.
本品は特異な弱いにおいがあり,強い酸味がある.
確認試験 本品の細切したもの1gに無水酢酸2mLを加えて5分間振り混ぜた後,ろ過する.ろ液1mLに硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈し,上層は暗緑褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 19.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 25.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ウラジロガシ
Quercus Salicina Leaf
QUERCUS SALICINAE FOLIUM
本品はウラジロガシQuercus salicina Blume (Fagaceae)の成熟した葉であり,しばしば枝を伴う.
生薬の性状 本品はひ針形又は長楕円状ひ針形で,長さ5~15cm,幅1~5cm,先端は鋭尖形又は尾状にとがり,基部は広いくさび形で,短い葉柄をつけ,上方にやや鋭い鋸歯がある.質はやや薄い革質で,上面は帯灰黄褐色~淡緑色でつやがあり,下面はロウ質を分泌して白色~淡灰緑色である.枝は円柱状を呈し,径0.1~1cm,灰白色~灰褐色又は淡赤褐色~淡緑紫色で,ほとんど無毛である.
本品はほとんどにおいがなく,味は初めほとんどなく,後に僅かに苦い.
確認試験
(1) 本品の粉末13gに水50mLを加え,還流冷却器を付けて80℃の水浴中で3時間加熱する.冷後,吸引ろ過し,ろ液を試験液とする.試験液5mLに水5mLを加えてかき混ぜ,ヘキサン10mLを加えて振り混ぜ,遠心分離する.水層を分液漏斗に入れ,酢酸エチル5mLを加えて振り混ぜ,必要ならば遠心分離した後,酢酸エチル層を分取し,水5mLを加え,振り混ぜて洗う.酢酸エチル層を分取し,低圧(真空)で溶媒を留去した後,残留物にエタノール(95)10mLを加えて溶かし,試料溶液とする.
(i) 試料溶液1mLに塩化鉄(Ⅲ)試液1滴を加えるとき,液は緑色~青緑色を呈する.
(ii) 試料溶液1mLに塩化アルミニウム溶液(1→100)3滴を加えるとき,液は淡黄色~黄緑色を呈し,更に紫外線(主波長365nm)を照射し,散光のもとで観察するとき,青白色の蛍光を発する.
(2) (1)で得た試験液5mLに硫酸0.5mLを注意して加え,還流冷却器を付けて30分間加熱する.冷後,遠心分離して上澄液をとり,分液漏斗に入れ,ジエチルエーテル10mLを加えて振り混ぜる.水層を分取し,活性炭0.1gを加え,還流冷却器を付け,水浴上で10分間加熱した後,ろ過する.ろ液が着色している場合,再度活性炭を加えて同様に操作する.ろ液1mLをとり,1―ナフトールのエタノール(95)溶液(3→20)2滴及び硫酸0.5mLを加えるとき,液は濃紫色~濃赤紫色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 11.5%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 14.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ウラジロガシエキス
Quercus Salicina Extract
本品は定量するとき,エラグ酸2.3~3.6%を含む.
製法 適切な大きさとした局外生規ウラジロガシを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は褐色~黒褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は渋くて苦い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験
(1) 本品1gに水30mLを加えてかき混ぜ,ヘキサン30mLを加えて振り混ぜ,遠心分離する.以下局外生規ウラジロガシの確認試験(1)を準用する.
(2) 本品1gに希硫酸20mLを加え,還流冷却器を付けて30分間加熱する.以下局外生規ウラジロガシの確認試験(2)を準用する.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 8.0%以下(1g,105℃,3時間).
灰分〈5.01〉 10.0%以下(1g,白金るつぼ).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,希塩酸50mLを加え,よく振り混ぜ,必要ならば超音波を用いて分散する.還流冷却器を付けて水浴中で時々振り混ぜながら,4時間加熱し,急冷後,メタノールを加えて正確に200mLとする.この液を孔径0.45μm以下のメンブランフィルターでろ過し,初めのろ液10mLを除き,次のろ液を試料溶液とする.別に定量用エラグ酸(別途105℃で4時間乾燥し,その減量を測定しておく)約20mgを精密に量り,メタノールに溶かし,正確に100mLとする.この液2mLを正確に量り,メタノール/水混液(18:7)を加えて正確に20mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液7μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液のエラグ酸のピーク面積AT及びASを測定する.
エラグ酸の量(mg)=MS×AT/AS×1/5
MS:乾燥物に換算した定量用エラグ酸の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:270nm)
カラム:内径4.6mm,長さ10cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相A:薄めたリン酸(1→1000)
移動相B:メタノール
移動相の送液:移動相A及びBの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する.
注入後の時間 (分) |
移動相A (vol%) |
移動相B (vol%) |
0~7 |
98 |
2 |
7~8 |
98→60 |
2→40 |
8~17 |
60 |
40 |
17~20 |
60→98 |
40→2 |
20~30 |
98 |
2 |
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:標準溶液7μLにつき,上記の条件で操作するとき,エラグ酸のピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ4000段以上,2.0以下である.
システムの再現性:標準溶液7μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,エラグ酸のピーク面積の相対標準偏差は2.0%以下である.
貯法 容器 気密容器.
エラグ酸,定量用 C14H6O8 淡黄色又は淡灰黄色~帯黄暗赤色の結晶又は粉末である.テトラヒドロフランに溶けにくく,メタノール又はエタノール(99.5)に極めて溶けにくく,水にほとんど溶けない.
確認試験 本品を105℃で4時間乾燥し,赤外吸収スペクトル測定法〈2.25〉の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数1725cm-1,1615cm-1,1323cm-1,1111cm-1及び760cm-1付近に吸収を認める.
純度試験 類縁物質 本品4mgにテトラヒドロフラン5mLを加え,必要ならば超音波を用いて溶かし,更に薄めたメタノール(1→2)を加えて10mLとし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,更にテトラヒドロフラン/薄めたメタノール(1→2)混液(1:1)を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液5μLにつき,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,溶媒ピークの面積を除いた試料溶液のエラグ酸以外のピークの合計面積は,標準溶液のエラグ酸のピーク面積より大きくない.
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長255nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:薄めたリン酸(1→1000)/メタノール混液(17:8)
流量:エラグ酸の保持時間が約19分になるように調整する.
面積測定範囲:溶媒のピークの後からエラグ酸の保持時間の約2倍の範囲
システム適合性
システムの性能:標準溶液5μLにつき.上記の条件で操作するとき,エラグ酸のピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
エンメイソウ
Isodon Herb
ISODONIS HERBA
延命草
本品はヒキオコシIsodon japonicus H. Hara (Plectranthus japonicus Koidzumi, Rabdosia japonica H. Hara)又はクロバナヒキオコシIsodon trichocarpus Kud画像6 (7KB)
(Plectranthus trichocarpus Maximowicz, Rabdosia trichocarpa H. Hara) (Labiatae)の地上部である.
生薬の性状 本品は茎及びこれに対生する葉からなり,茎は方柱形で,淡褐色~緑褐色を呈し,細毛がある.葉は狭卵形~広卵形で,先端は鋭形,基部は浅い心形又は広いくさび形を呈し,長さ6~15cm,幅3.5~10cm,辺縁に鋸歯があり,葉柄は長さ2~4cmである.上面は淡黄褐色~緑褐色,下面は淡緑黄色である.両面には細毛を認める.
本品は僅かににおいがあり,味は極めて苦い.
確認試験 本品の粉末1gに水20mLを加えて水浴上で5分間加熱し,冷後,ろ過する.ろ液2mLに2,4―ジニトロフェニルヒドラジン試液2~3滴を加え,水浴上で加温するとき,黄赤色の沈殿を生じる.
灰分〈5.01〉 9.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 9.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
エンメイソウ末
Powdered Isodon Herb
ISODONIS HERBA PULVERATA
延命草末
本品は局外生規エンメイソウを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は淡緑褐色~褐色を呈し,におい及び味は局外生規エンメイソウの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,繊維,環紋道管,網紋道管及び孔紋道管の破片を認める.また,腺りん,多細胞毛,表皮細胞の破片及び石細胞が認められる.なお,多細胞毛の表面には小さい突起がある.
確認試験 局外生規エンメイソウの確認試験を準用する.
灰分〈5.01〉 局外生規エンメイソウの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 局外生規エンメイソウの酸不溶性灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 局外生規エンメイソウのエキス含量を準用する.
貯法 容器 気密容器.
オンジエキス
Polygala Root Extract
遠志エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,3,6'―ジ―O―シナポイルスクロース0.20%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局オンジを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.又は適切な大きさとした日局オンジを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により浸出液を製し,日局デキストリンを添加し乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡黄白色~黄褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,酸味があり,後に僅かに舌を麻痺させ,えぐ味を残す.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品1.0gに水酸化ナトリウム溶液(1→10)10mLを加え,還流冷却器を付けて20分間加熱する.冷後,希塩酸10mLを加えて振り混ぜる.冷後,1―ブタノール10mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,1―ブタノール層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水/酢酸(100)混液(20:4:2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で10分間加熱するとき,Rf値0.35付近に赤褐色~淡褐色のスポットを認める(テヌイホリン).
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 8.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 換算した乾燥物に対し6.0%以下.
定量法 本操作は光を避け,遮光した容器を用いて行う.本品約0.5gを精密に量り,メタノール25mLを正確に加えて15分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に定量用3,6'―ジ―O―シナポイルスクロース(別途5mgにつき,電量滴定法により水分〈2.48〉を測定しておく)約5mgを精密に量り,メタノールに溶かして正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液の3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースのピーク面積AT及びASを測定する.
3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースの量(mg)=MS×AT/AS×1/2
MS:脱水物に換算した定量用3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:330nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/リン酸混液(800:200:1)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,3,6’―ジ―O―シナポイルスクロースのピーク理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
3,6'―ジ―O―シナポイルスクロース,定量用 C34H42O19 黄色の結晶性の粉末又は粉末である.メタノールに溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすく,水に極めて溶けにくい.
確認試験 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法〈2.25〉の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数2940cm-1,1702cm-1,1603cm-1及び1286cm-1付近に吸収を認める.
純度試験 類縁物質 本操作は光を避け,遮光した容器を用いて行う.本品5mgをメタノール50mLに溶かし,試料溶液とする.この液5mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,試料溶液の3,6'―ジ―O―シナポイルスクロース以外のピークの合計面積は,標準溶液の3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースのピーク面積より大きくない.
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長330nm)
カラム,カラム温度,移動相及び流量は,局外生規オンジエキスの定量法の試験条件を準用する.
面積測定範囲:溶媒のピークの後から3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースの保持時間の約3倍の範囲
システム適合性
検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に100mLとする.この液10μLから得た3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースのピーク面積が,標準溶液の3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースのピーク面積の0.7~1.3%になることを確認する.
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,3,6'―ジ―O―シナポイルスクロースのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
カイカ
Sophora Japonica Flower
SOPHORAE FLOS
槐花
本品はエンジュSophora japonica Linn画像7 (7KB)
(Leguminosae)のつぼみである.
生薬の性状 本品はほぼ楕円体で,長さ3~10mm,黄緑色~黄褐色のがく及び淡黄色~淡褐色の花冠からなり,がくは長さ3~4mm,浅く5片に分裂し,花冠は5片からなる.ルーペ視するとき,雄ずいは10本で,その基部は合着する.雌ずいは1本で,短小である.
本品はにおい及び味がほとんどない.
確認試験 本品の粉末0.1gにメタノール25mLを加えて3分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸混液(4:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.5付近に黄色~黄褐色のスポットを認める(ルチン).
乾燥減量〈5.01〉 12.5%以下(6時間).
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ガイハク
Allium Chinense Bulb
ALLII CHINENSE BULBUS
薤白
本品はラッキョウAllium chinense G. Don (Liliaceae)の鱗茎である.
生薬の性状 本品はやや偏平な長卵形で,長さ1~3cm,径0.3~1.2cm,通例,切断されている.外面は淡黄褐色~黄褐色を呈し,数条の縦に平行な維管束が,通例,透けて見える.質はやや柔らかく,断面は2又は3層の鱗片葉からなる.
本品はニンニク様のにおいがあり,特異な味がある.
確認試験 本品の粉末4gにヘキサン20mLを加えて20分間超音波処理した後,ろ過する.ろ液の溶媒を低圧(真空)で留去した後,残留物にヘキサン1mLを加えて溶かし,試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル混液(10:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用バニリン・硫酸・エタノール試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.3及び0.7付近に紫色~青紫色のスポットを認める.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品の粉末3.0gをとり,第3法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液3.0mLを加える(10ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 4.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
カシ
Myrobalan Fruit
CHEBULAE FRUCTUS
訶子
本品はTerminalia chebula Retzius (Combretaceae)の果実である.
生薬の性状 本品はほぼ長卵形体~卵形体で,長さ2.5~3.5cm,径1.5~2.5cmである.外面は黄褐色~褐色を呈し,ややつやがあり,縦に5稜及びその間に不規則な稜があり,基部に果柄の脱落した小円状の跡がある.質は堅い.横切すると,果肉は厚さ2~5mmで,暗褐色を呈し,内果皮は厚さ約5mmで,黄褐色を呈し,その質は極めて堅く,褐色の縫合線が見られ,中央部には径約5mmの種子1個がある.
本品は特異な弱いにおいがあり,味は苦く酸味があり,渋い.
確認試験 本品の粉末0.5gに水10mLを加えてよく振り混ぜた後,ろ過する.ろ液に塩化鉄(Ⅲ)試液1~2滴を加えるとき,液は暗紫色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 14.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 30.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ガジュツ末
Powdered Curcuma Rhizome
CURCUMAE RHIZOMA PULVERATUM
莪画像8 (7KB)
末 莪朮末
本品は日局ガジュツを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は淡灰黄色~褐色又は淡紫褐色~暗紫褐色を呈し,におい及び味は日局ガジュツの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,主として糊化したでんぷん塊や黄褐色~暗褐色の物質を含む柔組織片,らせん紋道管及び階紋道管の破片を認める.さらにコルク組織,表皮細胞及び厚壁化した木部柔細胞の破片を認めることがあり,まれに非腺毛及びシュウ酸カルシウムの結晶を認めることがある.
確認試験 本品2.0gに水10mLを加えて振り混ぜた後,ヘキサン5mLを加え,10分間振り混ぜた後,遠心分離し,ヘキサン層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル混液(4:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに4―メトキシベンズアルデヒド・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.3付近に濃青色~濃褐色のスポット(ゼデロン,クルクメール),Rf値0.2付近に赤褐色~褐色のスポット(クルクメノン)を認める.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 日局ガジュツの純度試験を準用する.
(2) ヒ素〈1.11〉 日局ガジュツの純度試験を準用する.
灰分〈5.01〉 日局ガジュツの灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 4.0%以上.
貯法 容器 気密容器.
カミツレ
German Chamomile Flower
CHAMOMILLAE FLOS
本品はカミツレMatricaria chamomilla Linn画像9 (7KB)
(Compositae)の頭花である.
生薬の性状 本品は円錐形の頭花で,径2~8mm,高さ2~8mm,黄褐色の管状花,淡黄褐色の舌状花及び総苞からなり,しばしば柄を伴う.管状花は両性で,花冠の先端は5裂する.舌状花は雌性で10~20個からなり,花冠には4脈があり,上端は3裂する.そう果は冠毛を欠く.総苞片は倒ひ針形で鱗片状を呈し,20~30個が重なりあう.花床は中空である.質は軽く,砕きやすい.
本品は特異な芳香があり,味は僅かに苦い.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール10mLを加えて2分間穏やかに煮沸した後,ろ過する.ろ液を蒸発乾固し,残留物に水10mLを加えて水浴上で2分間加熱し,冷後,ろ過する.ろ液を分液漏斗にとり,酢酸エチル20mLを加えてよく振り混ぜた後,酢酸エチル層を分取し,蒸発乾固する.残留物にメタノール5mLを加えて溶かし,リボン状のマグネシウム0.1g及び塩酸1mLを加えて放置するとき,液は赤褐色を呈する.
灰分〈5.01〉 11.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 2.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
カロニン
Trichosanthes Seed
TRICHOSANTHIS SEMEN
本品はTrichosanthes kirilowii Maximowicz,キカラスウリTrichosanthes kirilowii Maximowicz var. japonica Kitamura又はオオカラスウリTrichosanthes bracteata Voigt (Cucurbitaceae)の種子である.
生薬の性状 本品は扁平な卵形~広卵形,ときに楕円形を呈し,多くは左右非相称である.長さ9~20mm,幅5~10mm,厚さ約3mm,灰褐色~暗赤褐色あるいは淡褐色を呈する.細まった一端にはへそと発芽口があり,この部分はやや隆起し,切形又は鈍形を呈する.周辺に沿って幅1~3mmの縁どりがあるものと,これが明らかでないものとがある.表面は滑らかであるが,ルーペ視するとき,多数の小さなくぼみが見られる.本品の種皮をはぐと,通例,表面が灰緑色を呈する小葉が見られる.
本品は砕くとき特異なにおいがあり,味は苦く油様である.
確認試験 本品の細切したもの0.1gに無水酢酸2mLを加えて水浴上で振り混ぜながら2分間加温した後,ろ過する.ろ液に硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色~赤色を呈する.
灰分〈5.01〉 4.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
カントウカ
Coltsfoot Flower
TUSSILAGINIS FLOS
款冬花
本品はフキタンポポTussilago farfara Linn画像11 (7KB)
(Compositae)の開花前の頭花(つぼみ)である.
生薬の性状 本品は不整なこん棒状のつぼみで,単生又は2~3個が基部で連なっている.つぼみは長さ1~3cm,径0.5~1cmで,上部がやや太く,下部が基部に向かって徐々に細くなる.基部には1~2cmの柄をつけているものがある.つぼみは多数の総苞片に覆われ,外面は赤紫色~淡黄色又は褐色で,総苞片の内面に白色の綿状毛が認められることもある.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
確認試験 本品の粉末1.0gにエタノール20mLを加えて20分間超音波処理した後、ろ過する.ろ液の溶媒を低圧(真空)で留去した後,残留物に酢酸エチル1mLを加え,試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル混液(4:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱した後、紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.3付近に青色の蛍光を発するスポットを認める.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品の粉末1.0gをとり,第3法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液1.5mLを加える(15ppm以下).
乾燥試験〈5.01〉 18.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 11.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 4.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 35.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
キッピ
Citrus Peel
TACHIBANA PERICARPIUM
橘皮
本品はタチバナCitrus tachibana Tanaka,コウジCitrus leiocarpa Tanaka又はザボンCitrus grandis Osbeck (Rutaceae)の成熟した果皮(キッピ1)又はウンシュウミカンCitrus unshiu Marcowicz又はCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)の成熟した果皮(キッピ2)である.
生薬の性状
1) キッピ1 本品は形が不ぞろいの果皮片で,厚さ約1mmである.外面は黄褐色~赤褐色を呈し,油室による多数の細点があり,内面は類白色~淡赤褐色を呈する.質は軽くてもろい.
本品は特異な芳香があり,味は苦い.
本品の切片を鏡検〈5.01〉するとき,油室は円く,径410~730μmである.
2) キッピ2 本品は形が不ぞろいの果皮片で,厚さ約2mmである.外面は橙黄色~暗黄褐色を呈し,油室による多数の小さなくぼみがある.内面は白色~淡灰黄褐色を呈する.質は軽くてもろい.
本品は特異な芳香があり,味は苦く,僅かに刺激性である.
本品の切片を鏡検〈5.01〉するとき,油室は円く,径700~1350μmである.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール10mLを加えて2分間穏やかに煮沸した後,ろ過する.ろ液5mLにリボン状のマグネシウム0.1g及び塩酸0.3mLを加えて放置するとき,液は赤紫色~暗赤褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
精油含量〈5.01〉 本品の粉末50.0gをとり,試験を行うとき,その量は0.3mL以上である.ただし,あらかじめフラスコ内の試料上にシリコーン樹脂1mLを加えて試験を行う.
貯法 容器 密閉容器.
キンギンカ
Lonicera Flower
LONICERAE FLOS
金銀花
本品はスイカズラLonicera japonica Thunberg (Caprifoliaceae)のつぼみである.
生薬の性状 本品はやや湾曲したこん棒状を呈し,長さ1.5~3.0cm,外面は淡黄色~黄褐色で,ルーペ視するとき,淡褐色の毛を密生している.しばしば花を混じえる.花は唇形で,5本の雄ずいがある.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに渋くて甘い.
確認試験 本品の粉末0.5gにメタノール10mLを加えて5分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸混液(6:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.5付近に青白色の蛍光を発するスポットを認める(クロロゲン酸).
純度試験
(1) 茎葉 本品は,異物〈5.01〉に従い試験を行うとき,茎及び葉5.0%以上を含まない.
(2) 異物〈5.01〉 本品は茎葉以外の異物1.0%以上を含まない.
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 9.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 32.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
クコヨウ
Lycium Leaf
LYCII FOLIUM
枸杞葉
本品はクコLycium chinense Miller (Solanaceae)の葉である.
生薬の性状 本品はひ針形~倒卵形で,長さ3~10cm,幅1~2cm,先端は鋭形又は鈍形で,基部はくさび形を呈し,全縁で,葉柄は長さ0.5~1.5cmである.上面は緑褐色,下面は淡緑褐色である.
本品は僅かににおい及び味がある.
確認試験 本品の粉末1gに水20mLを加えて水浴上で5分間加熱した後,ろ過する.ろ液を分液漏斗にとり,ジエチルエーテル20mLを加えて振り混ぜた後,ジエチルエーテル層を除く.水層に酢酸エチル20mLを加え,よく振り混ぜた後,酢酸エチル層を分取し,蒸発乾固する.残留物にメタノール3mLを加えて溶かし,リボン状のマグネシウム0.1g及び塩酸1mLを加えて放置するとき,液は淡赤色を呈する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 3.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 18.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ケイガイ末
Powdered Schizonepeta Spike
SCHIZONEPETAE SPICA PULVERATA
荊芥穂末
本品は日局ケイガイを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は淡緑褐色~暗褐色を呈し,におい及び味は日局ケイガイの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,がく片の表皮細胞は波状に湾曲している.また,外果皮の厚壁細胞は多角形を呈し,湾曲し肥厚した内果皮の石細胞の破片を認める.さらに,頭部が8細胞からなる腺りんやその基部の破片,頭部が1又は2細胞からなる短い腺毛,1~6細胞からなる多細胞毛の破片が認められる.
確認試験 日局ケイガイの確認試験を準用する.
灰分〈5.01〉 日局ケイガイの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 日局ケイガイの酸不溶性灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 日局ケイガイのエキス含量を準用する.
貯法 容器 気密容器.
ケイシ
Cinnamon Twig
CINNAMOMI RAMULUS
桂枝
本品はCinnamomum cassia J. Presl (Lauraceae)の小枝である.
生薬の性状 本品は円柱形を呈し,長さ15~100cm,径0.3~1.5cmで,ときに分枝する.外面は暗赤褐色~紫褐色を呈し,葉柄の跡,芽の跡及び縦の稜がある.質は堅くてもろく,折りやすい.横切面をルーペ視するとき,木部は通例,円形~楕円形で,淡黄白色~褐色を呈する.
本品は特異な芳香があり,味は甘く,僅かに辛い.
確認試験 本品の粉末2.0gにジエチルエーテル10mLを加えて3分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル混液(2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき,Rf値0.4付近にスポットを認める.このスポットは,2,4―ジニトロフェニルヒドラジン試液を均等に噴霧するとき,黄橙色を呈する.
純度試験 総BHCの量及び総DDTの量〈5.01〉 各々0.2ppm以下.
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 4.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
精油含量〈5.01〉 本品の粉末50.0gをとり,試験を行うとき,その量は0.1mL以上である.ただし,あらかじめフラスコ内の試料上にシリコーン樹脂1mLを加えて試験を行う.
貯法 容器 密閉容器.
ゲンジン
Scrophularia Root
SCROPHULARIAE RADIX
玄参
本品はScrophularia ningpoensis Hemsley又はゴマノハグサScrophularia buergeriana Miquel (Scrophulariaceae)の根である.
生薬の性状 本品は不整に曲がった長円柱形~紡錘形を呈し,長さ4~15cm,径1~3cmである.外面は黄褐色~褐色を呈し,粗い縦じわがあり,横長の皮目とまばらに細根の跡を認める.質は堅いが,やや柔軟で折りにくく,折面は黒褐色を呈する.
本品は特異な弱いにおいがあり,味は僅かに甘く,後に僅かに苦い.
確認試験
(1) 本品の粉末0.5gに水20mLを加えて水浴上で2~3分間加熱した後,ろ過する.ろ液4mLにフェーリング試液2mLを加えて水浴中で加熱するとき,赤色の沈殿を生じる.
(2) 本品の粉末0.3gに無水酢酸5mLを加えて水浴上で時々振り混ぜながら2分間加温した後,ろ過する.ろ液に硫酸1mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 17.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 2.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
コウジン末
Powdered Red Ginseng
GINSENG RADIX RUBRA PULVERATA
紅参末
本品は日局コウジンを粉末としたものである.
本品の定量の規格は,日局コウジンの規格を準用する.
生薬の性状 本品は淡黄褐色~赤褐色を呈し,におい及び味は日局コウジンの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,糊化したでんぷんを含むほぼ円形~長方形の柔細胞からなる組織片,網紋道管の破片,径10~40μmの階紋道管及びらせん紋道管,黄色の光輝ある塊状の内容物を含む分泌細胞及び径5~60μmのシュウ酸カルシウムの集晶,径5~30μmのシュウ酸カルシウムの単晶を認める.その他,厚壁細胞,細胞壁の薄いコルク細胞を認めることもある.でんぷん粒は糊化している.
確認試験 日局コウジンの確認試験(2)を準用する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 日局コウジンの純度試験を準用する.
(2) ヒ素〈1.11〉 日局コウジンの純度試験を準用する.
(3) 総BHCの量及び総DDTの量〈5.01〉 日局コウジンの純度試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 日局コウジンの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 日局コウジンの灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 日局コウジンのエキス含量を準用する.
定量法 日局コウジンの定量法を準用する.
貯法 容器 気密容器.
コウジンエキス
Red Ginseng Extract
紅参エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,ギンセノシドRg1(C42H72O14:801.01)0.10%以上,ギンセノシドRb1(C54H92O23:1109.29)0.20%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局コウジンを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡黄白色~帯赤褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,酸味があり,後にやや苦い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.5gにメタノール10mLを加えて振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用ギンセノシドRg11mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μL及び標準溶液2μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水混液(14:5:4)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用バニリン・硫酸・エタノール試液を均等に噴霧し,105℃で10分間加熱するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 11.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分 〈5.01〉 9.0%以下(1g).
定量法
(1) ギンセノシドRg1 本品約0.15gを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)15mLを加えて15分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を分取する.残留物に薄めたメタノール(3→5)7.5mLを加え,同様に操作する.全上澄液を合わせ,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に25mLとする.この液10mLを正確にとり,希水酸化ナトリウム試液3mLを加えて30分間放置した後,0.1mol/L塩酸試液3mLを加え,更に薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に20mLとし,試料溶液とする.別にギンセノシドRg1標準品(別途10mgにつき,電量滴定法により水分〈2.48〉を測定しておく)約10mgを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)に溶かし正確に25mLとし,標準原液とする.この液2mLを正確に量り,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液20μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のギンセノシドRg1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRg1(C42H72O14)の量(mg)=MS×AT/AS×2/25
MS:脱水物に換算したギンセノシドRg1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:薄めたアセトニトリル混液(1→5)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:ギンセノシドRe1mgに標準原液4mLを加えて溶かし,薄めたメタノール(3→5)を加えて100mLとする.この液20μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRg1,ギンセノシドReの順に溶出し,その分離度は1.5以上である.
システムの再現性:標準溶液20μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRg1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
(2) ギンセノシドRb1 本品約0.15gを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)30mLを加えて15分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を分取する.残留物に薄めたメタノール(3→5)15mLを加え,同様に操作する.全上澄液を合わせ,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に50mLとする.この液10mLを正確にとり,希水酸化ナトリウム試液3mLを加えて30分間放置した後,0.1mol/L塩酸試液3mLを加え,更に水を加えて正確に20mLとする.この液5mLを正確に量り,カラム(55~105μmの前処理オクタデシルシリル化シリカゲル0.36gを内径約10mmのクロマトグラフィー管に注入し,使用直前にメタノールを流し,次に薄めたメタノール(3→10)を流して調製したもの)に入れて流出させる.薄めたメタノール(3→10)2mL,炭酸ナトリウム試液1mL,更に薄めたメタノール(3→10)10mLの順でカラムを洗い,次にメタノールで流出し,流出液を正確に5mLとし,試料溶液とする.別にギンセノシドRb1標準品(別途10mgにつき,電量滴定法により水分〈2.48〉を測定しておく)約10mgを精密に量り,メタノールに溶かし正確に50mLとする.この液4mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に20mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液20μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のギンセノシドRb1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRb1(C54H92O23)の量(mg)=MS×AT/AS×2/5
MS:脱水物に換算したギンセノシドRb1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用カルバモイル結合型シリカゲルを充填する.
カラム温度:60℃付近の一定温度
移動相:アセトニトリル/水/リン酸混液(400:100:1)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:標準溶液20μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRb1のピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液20μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRb1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
コウホン
Ligusticum Sinense Rhizome
LIGUSTICI RHIZOMA
藁本 唐藁本
本品はLigusticum sinense Oliver又はLigusticum jeholense Nakai et Kitagawa (Umbelliferae)の根茎及び根である.
生薬の性状 本品の根茎は不規則な結節状~円柱状を呈し,長さ1.5~9cm,径0.5~2cm,頂端には円形にくぼんだ茎の跡があるか,又は短い茎の残基を付け,外面は灰褐色~黒褐色を呈し,突出した結節及び根の跡がある.質は軽く折りやすいが,折面は,通例,やや繊維性である.本品の根は長さ1~10cm,径2~5mm,外面は灰黄褐色~暗黄褐色を呈し,縦じわ及び点状突起となった細根の跡があり,質はやや繊維性で,折りにくい.
本品は特異なにおいがあり,味は初め僅かに苦く,後やや麻痺性である.
確認試験 本品の粉末0.5gにヘキサン5mLを加えて時々振り混ぜながら15分間放置した後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル混液(4:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.6付近に淡黄褐色~黄褐色の主スポットを認める.
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ゴオウ末
Powdered Oriental Bezoar
BEZOAR BOVIS PULVERATUM
牛黄末
本品は日局ゴオウを粉末としたものである.
本品の定量の規格は,日局ゴオウの規格を準用する.
生薬の性状 本品は黄褐色~赤褐色を呈し,におい及び味は日局ゴオウの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,黄褐色~赤褐色又は無色のほぼ球形又は不定形の顆粒状の塊を認める.
確認試験 日局ゴオウの確認試験を準用する.
純度試験
(1) 合成色素 日局ゴオウの純度試験を準用する.
(2) でんぷん 日局ゴオウの純度試験を準用する.
(3) ショ糖 日局ゴオウの純度試験を準用する.
灰分〈5.01〉 日局ゴオウの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 2.0%以下.
定量法 日局ゴオウの定量法を準用する.
貯法 容器 気密容器.
コツサイホ
Drynaria Rhizome
DRYNARIAE RHIZOMA
骨砕補
本品はハカマウラボシDrynaria roosii Nakaike (Drynaria fortunei J. Smith) (Polypodiaceae)の根茎である.
生薬の性状 本品は湾曲した板状~扁平な円柱状を呈し,長さ5~15cm,幅0.5~2cm,厚さ0.2~0.8cmで,しばしば縦切されている.外面は褐色~黒褐色を呈し,表面あるいは縦切品の側面は毛状の鱗片で覆われるか又は鱗片が除かれている.表面に栄養葉の跡に由来する突起及び胞子葉の跡に由来する中央部が円形にへこんだ突出部又は葉柄の残基があり,まれに短いひげ根が残る.質は軽くて脆く,折れやすい.
本品は弱いにおいがあり,味はほとんどない.
確認試験 本品の粉末1.0gにメタノール5mLを加えて10分間超音波処理した後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用ナリンギン1mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液20μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸混液(8:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットとRf値が等しい.また,試料溶液から得たナリンギンに相当するスポットの移動距離を1とするとき,その相対距離0.8付近(ネオエリオシトリン)及び1.2付近(カフェー酸4―O―β―D―グルコシド)にスポットを認める.これに2,6―ジブロモ―N―クロロ―1,4―ベンゾキノンモノイミン試液を均等に噴霧し,アンモニアガス中に放置するとき,ナリンギンに相当するスポットの相対距離1.2付近のスポットは青色を呈する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品の粉末1.0gをとり,第3法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下).
(3) タカサゴシノブ 本品の横切面をルーペ視するとき,中央付近に大型で三日月状の維管束を認めない.
乾燥減量〈5.01〉 16.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 8.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 8.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
サイコエキス
Bupleurum Root Extract
柴胡エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,サイコサポニンb20.10%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局サイコを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は灰黄褐色~暗赤褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は初めやや苦く,酸味があり,ときに収れん性である.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品1.0gに水10mLを加えて振り混ぜた後,1―ブタノール10mLを加えて振り混ぜ,遠心分離し,1―ブタノール層を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用サイコサポニンa1mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μL及び標準溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/エタノール(99.5)/水混液(8:2:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用4―ジメチルアミノベンズアルデヒド試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい(サイコサポニンa).また,試料溶液から得たサイコサポニンaに相当するスポットの移動距離を1とするとき,その相対距離0.7付近に灰褐色のスポットを認める(サイコサポニンc).
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 10.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 14.0%以下(1g).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,薄めたメタノール(1→2)50mLを正確に加えて15分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.また,定量用サイコサポニンb2標準試液を標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のサイコサポニンb2のピーク面積AT及びASを測定する.
サイコサポニンb2の量(mg)=CS×AT/AS×50
CS:定量用サイコサポニンb2標準試液中のサイコサポニンb2の濃度(mg/mL)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:254nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:0.05mol/Lリン酸二水素ナトリウム試液/アセトニトリル混液(5:3)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,サイコサポニンb2のピーク理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,サイコサポニンb2のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
サンシチニンジン
Panax Notoginseng Root
PANACIS NOTOGINSENG RADIX
三七人参 三七 田七 田三七
本品はPanax notoginseng Feng Hwai Chen (Araliaceae)の細根を除いた根である.
本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ギンセノシドRg1(C42H72O14:801.01)2.0%以上及びギンセノシドRb1(C54H92O23:1109.29)1.5%以上を含む.
生薬の性状 本品は円錘形,円柱形又は不規則な塊状を呈し,長さ1~6cm,径1~4cmである.外面は灰色~灰黒色又は灰黄色~灰褐色で,断続的な縦じわと横長の皮目様の模様があり,こぶ状小突起又は細根の跡も認められる.根頭部は根茎を付けることがある.質は密で堅い.破砕面は淡黄色~灰褐色,黄緑色~灰緑色又は黒褐色で,つやがあり,角質様である.
本品は僅かに特異なにおいがあり,味は苦く,僅かに甘い.
確認試験 本品の粉末0.5gに水10mL及び1―ブタノール10mLを加えて15分間振り混ぜた後,遠心分離し,1―ブタノール層を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用ノトギンセノシドR11mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液2μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸混液(4:1:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱した後,放冷するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 異物〈5.01〉 本品は地上茎及びその他の異物2.0%以上を含まない.
(2) 重金属〈1.07〉 本品の粉末1.0gをとり,第4法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(3) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下).
(4) 総BHCの量及び総DDTの量〈5.01〉 各々0.2ppm以下.
乾燥減量〈5.01〉 16.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 4.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 0.5%以下.
定量法
(1) ギンセノシドRg1 本品の粉末約0.5gを精密に量り,共栓遠心沈殿管に入れ,薄めたメタノール(3→5)30mLを加えて15分間振り混ぜ,遠心分離し,上澄液を分取する.残留物は更に薄めたメタノール(3→5)15mLを加えて同様に操作する.全上澄液を合わせ,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に50mLとし,試料溶液とする.別にギンセノシドRg1標準品(別途水分を測定しておく)約10mgを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)に溶かして正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液のギンセノシドRg1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRg1(C42H72O14)の量(mg)=MS×AT/AS×1/2
MS:脱水物に換算したギンセノシドRg1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(4:1)
流量:ギンセノシドRg1の保持時間が約25分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:ギンセノシドRg1の標準品及びギンセノシドRe1mgずつを薄めたメタノール(3→5)に溶かして10mLとする.この液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRg1,ギンセノシドReの順に溶出し,その分離度は1.5以上である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRg1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
(2) ギンセノシドRb1 (1)の試料溶液を試料溶液とする.別にギンセノシドRb1標準品(別途水分を測定しておく)約10mgを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)に溶かして正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液のギンセノシドRb1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRb1(C54H92O23)の量(mg)=MS×AT/AS×1/2
MS:脱水物に換算したギンセノシドRb1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(7:3)
流量:ギンセノシドRb1の保持時間が約20分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:ギンセノシドRb1の標準品及びギンセノシドRc1mgずつを薄めたメタノール(3→5)に溶かして10mLとする.この液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRb1,ギンセノシドRcの順に溶出し,その分離度は3以上である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRb1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 密閉容器.
ノトギンセノシドR1,薄層クロマトグラフィー用 C47H80O18 白色~淡黄褐色の結晶性の粉末又は粉末である.メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく,水に溶けにくい.
確認試験 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法〈2.25〉の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数3400cm-1,2930cm-1,1385cm-1及び1043cm-1付近に吸収を認める.
純度試験 類縁物質 本品1mgをメタノール1mLに溶かし,試料溶液とする.この液0.5mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に10mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液2μLにつき,局外生規サンシチニンジンの確認試験を準用し,試験を行うとき,試料溶液から得た主スポット以外のスポットは,標準溶液から得たスポットより濃くない.
サンシチニンジン末
Powdered Panax Notoginseng Root
PANACIS NOTOGINSENG RADIX PULVERATA
三七人参末 三七末 田七末 田三七末
本品は局外生規サンシチニンジンを粉末としたものである.
本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,ギンセノシドRg1(C42H72O14:801.01)2.0%以上及びギンセノシドRb1(C54H92O23:1109.29)1.5%以上を含む.
生薬の性状 本品は淡黄褐色~灰褐色を呈し,におい及び味は局外生規サンシチニンジンの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,主としてでんぷん粒を認める.でんぷん粒は類円形あるいは多面体の単粒又は複粒である.また黄色の樹脂の塊,網紋道管,階紋道管,でんぷん粒を含む柔細胞及びコルク細胞の破片を認める.その他まれにシュウ酸カルシウムの結晶を認める.
確認試験 局外生規サンシチニンジンの確認試験を準用する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 局外生規サンシチニンジンの純度試験を準用する.
(2) ヒ素〈1.11〉 局外生規サンシチニンジンの純度試験を準用する.
(3) 総BHCの量及び総DDTの量〈5.01〉 局外生規サンシチニンジンの純度試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 局外生規サンシチニンジンの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 局外生規サンシチニンジンの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 局外生規サンシチニンジンの酸不溶性灰分を準用する.
定量法
(1) ギンセノシドRg1 本品約0.5gを精密に量り,共栓遠心沈殿管に入れ,薄めたメタノール(3→5)30mLを加えて15分間振り混ぜ,遠心分離し,上澄液を分取する.残留物は更に薄めたメタノール(3→5)15mLを加えて同様に操作する.全上澄液を合わせ,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に50mLとし,試料溶液とする.別にギンセノシドRg1標準品(別途水分を測定しておく)約10mgを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)に溶かして正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液のギンセノシドRg1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRg1(C42H72O14)の量(mg)=MS×AT/AS×1/2
MS:脱水物に換算したギンセノシドRg1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(4:1)
流量:ギンセノシドRg1の保持時間が約25分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:ギンセノシドRg1の標準品及びギンセノシドRe1mgずつを薄めたメタノール(3→5)に溶かして10mLとする.この液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRg1,ギンセノシドReの順に溶出し,その分離度は1.5以上である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRg1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
(2) ギンセノシドRb1 (1)の試料溶液を試料溶液とする.別にギンセノシドRb1標準品(別途水分を測定しておく)約10mgを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)に溶かして正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液のギンセノシドRb1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRb1(C54H92O23)の量(mg)=MS×AT/AS×1/2
MS:脱水物に換算したギンセノシドRb1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:25℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル混液(7:3)
流量:ギンセノシドRb1の保持時間が約20分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:ギンセノシドRb1の標準品及びギンセノシドRc1mgずつを薄めたメタノール(3→5)に溶かして10mLとする.この液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRb1,ギンセノシドRcの順に溶出し,その分離度は3以上である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRb1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
サンシュユ末
Powdered Cornus Fruit
CORNI FRUCTUS PULVERATUS
山茱萸末
本品は日局サンシュユを粉末としたものである.
本品の定量の規格は,日局サンシュユの規格を準用する.
生薬の性状 本品は帯赤褐色~帯赤淡褐色を呈し,におい及び味は日局サンシュユの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,黄赤色の内容物を含む円形~楕円形で径50~160μmの柔細胞からなる組織片,厚いクチクラを有し黄赤色の内容物を含む表皮片,らせん紋道管,環紋道管及び網紋道管の破片を認め,道管の径は5~25μmである.その他,僅かの石細胞,繊維,径10~25μmのシュウ酸カルシウムの単晶,イヌリンの球晶及び極めてまれに単細胞毛を認める.
確認試験 日局サンシュユの確認試験を準用する.
純度試験 総BHCの量及び総DDTの量〈5.01〉 日局サンシュユの純度試験を準用する.
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 日局サンシュユのエキス含量を準用する.
定量法 日局サンシュユの定量法を準用する.
貯法 容器 気密容器.
サンズコン
Sophora Subprostrata Root
SOPHORAE SUBPROSTRATAE RADIX
山豆根
本品はSophora subprostrata Chun et T. Chen (Leguminosae)の根及び根茎である.
生薬の性状 本品の根は円柱状を呈し,長さ5~20cm,径0.5~2.0cm,外面は褐色~黒褐色で,著しい縦じわ及び横長の皮目がある.横切面をルーペ視するとき,皮部の厚さ約0.1cm,褐色を帯び,木部は淡黄褐色で明らかに区別される.根茎は不規則な結節状の塊である.頂端にまれに茎の残基がある.
本品は僅かににおいがあり,味は極めて苦く,残留性である.
確認試験 本品の粉末0.5gに希酢酸10mLを加えて時々振り混ぜながら3分間放置した後,ろ過する.ろ液1滴をろ紙上に滴下し,風乾後,噴霧用ドラーゲンドルフ試液を均等に噴霧して放置するとき,黄赤色を呈する.
灰分〈5.01〉 5.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 11.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ジオウ末
Powdered Rehmannia Root
REHMANNIAE RADIX PULVERATA
地黄末
本品は日局ジオウを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は暗灰褐色~暗褐色を呈し,におい及び味は日局ジオウの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,黒褐色の内容物を含む柔組織片,黄褐色で粒状の内容物を充満する分泌細胞,せん孔の明瞭な径30~50μmの網紋道管及び階紋道管,径約15μmの環紋道管,黒褐色のコルク細胞,柔組織片を認める.また,シュウ酸カルシウムの単晶を認めることがある.
確認試験 日局ジオウの確認試験1)乾ジオウ又は2)熟ジオウを準用する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 日局ジオウの純度試験を準用する.
(2) ヒ素〈1.11〉 日局ジオウの純度試験を準用する.
灰分〈5.01〉 日局ジオウの灰分を準用する.
ただし,確認試験2)熟ジオウを適用するものは,7.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 日局ジオウの酸不溶性灰分を準用する.
ただし,確認試験2)熟ジオウを適用するものは,3.0%以下.
貯法 容器 気密容器.
シオン
Aster Root
ASTERIS RADIX
紫画像12 (7KB)
紫苑
本品はシオンAster tataricus Linn画像13 (7KB)
filius (Compositae)の根及び根茎である.
生薬の性状 本品は短い根茎にそう生した多数の根からなる.根茎は塊状を呈し,長さ1~3cm,径1~2cm,頂端に茎及び葉柄の短い残基を付ける.根茎は,ときに走出枝を付ける.根は長さ6~15cm,径1~2mm,外面は淡褐色~暗紫褐色を呈し,細かい縦じわがある.根の質はやや柔軟で,折りやすい.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
確認試験
(1) 本品の粉末0.2gに水10mLを加えて激しく振り混ぜるとき,持続性の微細な泡を生じる.
(2) 本品の粉末0.2gに無水酢酸2mLを加えて水浴上で振り混ぜながら2分間加温した後,ろ過する.ろ液に硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 18.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 12.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 6.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 30.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
シソシ
Perilla Fruit
PERILLAE FRUCTUS
紫蘇子
本品はシソPerilla frutescens Britton var.crispa W. Deane (Labiatae)の果実である.
生薬の性状 本品は球形~やや偏平な球形の分果で,径1.0~1.5mm,表面は淡黄褐色~暗褐色を呈し,ルーペ視するとき,表面にやや隆起した網紋がある.本品100粒の質量は0.1~0.35gである.
本品はほとんどにおいがなく,かめば特異な香気があり,味は僅かに油様である.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール10mLを加えて水浴上で10分間加温した後,ろ過する.ろ液3mLに2,4―ジニトロフェニルヒドラジン試液1滴を加えて振り混ぜるとき,液は橙色を呈する.
灰分〈5.01〉 10.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 6.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
シテイ
Persimmon Calyx
KAKI CALYX
柿蒂
本品はカキノキDiospyros kaki Thunberg (Ebenaceae)の成熟した果実の宿存したがくである.
生薬の性状 本品はほぼ正方形で,しばしばがく片を欠き,皿状を呈し,径1.5~4.0cmである.がく片はほぼ三角形で,やや薄い.外面は灰褐色~褐色を呈し,内面の中央部は暗褐色~淡黄褐色,周囲は赤褐色~褐色を呈する.外面の中央部には円形にくぼんだ果柄の跡があるか,又はまれに果柄の残基を付ける.内面の中央部は円形に隆起し,周囲には褐色の伏した毛を密生する.
本品はにおいがなく,味は僅かに収れん性である.
確認試験 本品の粉末1.0gに水10mL及び酢酸エチル5mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,酢酸エチル層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン/メタノール/酢酸(100)混液(20:20:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.5付近に赤紫色のスポットを認める(ウルソール酸).
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 8.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 12.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
シャクヤクエキス
Peony Root Extract
芍薬エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,ペオニフロリン(C23H28O11:480.46)4.0%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局シャクヤクを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡黄褐色~褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後に渋くて苦い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.2gにメタノール10mLを加えて水浴上で5分間加温し,冷後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.別にペオニフロリン標準品又は薄層クロマトグラフィー用ペオニフロリン1mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液10μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にアセトン/酢酸エチル/酢酸(100)混液(10:10:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに4―メトキシベンズアルデヒド・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 8.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 9.0%以下(1g).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,薄めたメタノール(1→2)50mLを正確に加えて15分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.別にペオニフロリン標準品(別途10mgにつき,電量滴定法により水分〈2.48〉を測定しておく)約10mgを精密に量り,薄めたメタノール(1→2)に溶かして正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のペオニフロリンのピーク面積AT及びASを測定する.
ペオニフロリン(C23H28O11)の量(mg)=MS×AT/AS×1/2
MS:脱水物に換算したペオニフロリン標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:232nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:20℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/リン酸混液(850:150:1)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:ペオニフロリン標準品及びアルビフロリン1mgずつを薄めたメタノール(1→2)に溶かして10mLとする.この液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,アルビフロリン,ペオニフロリンの順に溶出し,その分離度は2.5以上である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ペオニフロリンのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
シャジン
Adenophora Root
ADENOPHORAE RADIX
沙参
本品はAdenophora tetraphylla Fischer,マルバノニンジンAdenophora stricta Miquel,Adenophora hunanensis Nannfeldt又はAdenophora triphylla A. De Candolle (Campanulaceae)の根である.
生薬の性状 本品は長円錐形~長円柱形を呈し,ときに分枝する.長さ7~20cm,根頭部の径は1~3cmである.外面は淡黄白色~淡灰褐色を呈する.根頭部には明らかな輪状の横じわがあり,その上部には円柱形の根茎を付ける.根頭部を除く根の大部分には粗い縦じわ及び皮目様の横線がある.質は軽く,切面は白色を呈し,多数の隙間がある.
本品は僅かに特異なにおいがあり,味は僅かに甘く,やや粘液性である.
確認試験 本品の粉末0.2gに無水酢酸2mLを加えて水浴上で2分間加温した後,ろ過する.ろ液1mLに硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 14.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 25.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ショウキョウエキス
Ginger Extract
生姜エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,[6]―ギンゲロール0.06%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局ショウキョウを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡灰黄褐色~褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は辛い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品1gに水10mLを加えて振り混ぜた後,ジエチルエーテル25mLを加えて振り混ぜる.ジエチルエーテル層を分取し,低圧(真空)で溶媒を留去した後,残留物にジエチルエーテル2mLを加えて試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用[6]―ギンゲロール1mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μL及び標準溶液2μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン混液(1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用4―ジメチルアミノベンズアルデヒド試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱した後,放冷するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 12.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 22.0%以下(1g).
定量法 本品約0.2gを精密に量り,薄めたメタノール(7→10)50mLを正確に加えて15分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.別に定量用[6]―ギンゲロール約10mgを精密に量り,メタノールに溶かして正確に100mLとする.この液5mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液の[6]―ギンゲロールのピーク面積AT及びASを測定する.
[6]―ギンゲロールの量(mg)=Ms×AT/AS×1/20
Ms:定量用[6]―ギンゲロールの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:282nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/リン酸混液(620:380:1)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,[6]―ギンゲロールのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,[6]―ギンゲロールのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
ショウバク
Wheat
TRITICI FRUCTUS
小麦
本品はコムギTriticum aestivum Linn画像14 (7KB)
(Gramineae)の果実である.
生薬の性状 本品は長卵形~楕円形を呈し,長さ5~8mm,幅2~4mmであり,ときに破片を含む.外面は淡黄緑色~淡褐色を呈する.腹面の中央に深い縦みぞがある.ルーペ視するとき,一端には胚が認められ,他端には密生する白毛を認めることがある.中央部の横切面はほぼ円形~腎臓形で,最外層の果皮は薄く,淡褐色を呈し,その内部は類白色である.質は堅い.
本品はにおい及び味がほとんどない.
確認試験 本品の粉末2gにメタノール10mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル/酢酸(100)混液(14:6:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用バニリン・硫酸・エタノール試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.4付近に赤橙色のスポットを認める(5―ヘンイコシルレゾルシノール).
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 2.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ショクショウ
Zanthoxylum Peel
ZANTHOXYLI PERICARPIUM
蜀椒 花椒 カショウ
本品はZanthoxylum bungeanum Maximowicz又はフユザンショウZanthoxylum armatum De Candolle var. subtrifoliatum Kitamura (Rutaceae)の成熟した果皮で,果皮から分離した種子をできるだけ除いたものである.
生薬の性状 本品は2又は3分果よりなるさく果の果皮である.各分果は球形~偏球形を呈し2片に開裂し,各片の径は4~6mmである.果皮の外面は淡赤褐色~暗赤褐色又は褐色で,油室による多数のいぼ状の突起があるか,又はほぼ平坦で一部いぼ状の突起が認められる.内面は淡黄白色~淡褐色である.
本品は特異な芳香があり,味は初め僅かに辛く,後に舌を麻痺させる.
確認試験 本品の粉末2gに水10mLを加えて5分間振り混ぜた後,ジエチルエーテル5mLを加えて振り混ぜ,遠心分離し,ジエチルエーテル層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン/メタノール/酢酸(100)混液(20:20:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに4―メトキシベンズアルデヒド・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.3付近に黒褐色のスポットを認める(ヒドロキシ―α―サンショオール,ヒドロキシ―β―サンショオール).
純度試験
(1) 種子 本品は,異物〈5.01〉に従い試験を行うとき,種子20.0%以上を含まない.
(2) 果柄及び枝 本品は,異物〈5.01〉に従い試験を行うとき,果柄及び枝5.0%以上を含まない.
(3) 異物〈5.01〉 本品は種子,果柄及び枝以外の異物1.0%以上を含まない.
灰分〈5.01〉 9.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
精油含量〈5.01〉 本品の粉末30.0gをとり,試験を行うとき,その量は0.6mL以上である.
貯法 容器 密閉容器.
ジョテイシ
Ligustrum Fruit
LIGUSTRI FRUCTUS
女貞子
本品はトウネズミモチLigustrum lucidum W. T. Aiton又はネズミモチLigustrum japonicum Thunberg (Oleaceae)の果実である.
生薬の性状 本品は卵形,長楕円形又は腎形で,長さ4~10mm,径3~6mm,外面は黒紫色~灰褐色を呈し,しわがあり,基部には小果柄の痕又は宿存したがく及び短い小果柄がある.外果皮は薄く中果皮は柔らかく,剥がれやすい.内果皮は硬く黄褐色~赤褐色で,縦じわがあり,長卵形~腎形の種子1又は2個を含む.
本品は僅かに特異なにおいがあり,味は僅かに甘くやや苦い.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール5mLを加えて15分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水混液(7:2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき,Rf値0.4付近にスポットを認める.このスポットは,1―ナフトール・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で3分間加熱するとき,赤褐色を呈する(ヌズヘニド).
乾燥減量〈5.01〉 12.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 6.5%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 20.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ジリュウ
Earthworm
LUMBRICUS
地竜
本品はPheretima aspergillum Perrier又はその他近縁動物(Megascolecidae)の内部を除いたものである.
生薬の性状 本品はリボン状の薄片で,長さ15~30cm,幅1~2cmである.外面の背面は黒褐色~紫褐色で,腹面は淡黄褐色で錦紋様を呈する.内面には全面に環紋があり,約2mm間隔の横じわとしてみられる.両端は環状を呈し,その一端は口節で,径約1mmの口がある.質は柔軟で,折りにくいが切れやすい.
本品は特異なにおいがあり,味は緩和である.
確認試験 本品の粉末1gに水10mLを加えて5分間超音波処理した後,遠心分離する.上澄液を分液漏斗にとり,1―ブタノール30mLを加えて振り混ぜた後,1―ブタノール層を分取し,低圧(真空)で溶媒を留去する.残留物をメタノール1mLに溶かし,試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液3μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/アセトン/水/酢酸(100)混液(10:6:3:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに4―メトキシベンズアルデヒド・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.4付近に青色のスポットを認める.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品の粉末0.5gをとり,第4法により検液を調製し試験を行う.比較液には鉛標準液2.5mLを加える(50ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.4gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 12.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 20.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 16.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 9.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ジンギョウ
Gentiana Macrophylla Root
GENTIANAE MACROPHYLLAE RADIX
本品はGentiana macrophylla Pallas,Gentiana straminea Maximowicz,Gentiana crassicaulis Duthie ex Burkill,Gentiana dahurica Fischer,Gentiana tibetica King ex Hooker filius,Gentiana dendrologi C. Marquand,Gentiana officinalis Harry Sm.又はそれらの種間雑種(Gentianaceae)の根である.
生薬の性状 本品はほぼ円錐形~円柱形で,通例,上部が太く,下部が細く,長さ6~30cm,径0.5~4cmである.根には縦じわがあり,多くはらせん状にねじれる.また,しばしば分枝することもあり,ときに内部が腐朽するものもある.外面は灰黄褐色~暗褐色を呈し,根頭部に僅かに葉鞘が残るものもある.根の中央部から先端部に細根の跡がある.横切面において木部はほぼ円形を呈するか,又は周皮が発達するものでは分断されて幾つかの部分に分かれる.皮部は淡褐色~暗褐色,木部は淡黄褐色~黄褐色を呈する.
本品は特異なにおいがあり,味は苦く,残留性である.
確認試験 本品の粉末0.5gにメタノール5mLを加えて20分間超音波処理した後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用ゲンチオピクロシド2mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液1μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/エタノール/水/酢酸(100)混液(50:10:5:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃,5分間加熱後,放冷し,紫外線(主波長365nm)を照射するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得た黄白色の蛍光を発するスポットとRf値が等しく,黄白色~褐色の蛍光を発する.そのスポットは,標準溶液から得たスポットより濃い.また,試料溶液から得たゲンチオピクロシドに相当するスポットの移動距離を1とするとき,その相対距離0.6付近に青紫色~紫色の蛍光を発するスポットを認める(ロガン酸).
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品の粉末3.0gをとり,第3法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液3.0mLを加える(10ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 15.5%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 8.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 3.5%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 25.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ジンコウ
Agarwood
AQUILARIAE RESINATUM LIGNUM
沈香
本品はAquilaria agallocha Roxburgh,Aquilaria crassna Pierre ex Lecomte,Aquilaria malaccensis Lamarck,Aquilaria sinensis Gilg又はAquilaria filaria Merrill (Thymelaeaceae)の材,特にその辺材の材質中に黒色の樹脂が沈着したものである.
生薬の性状 本品は灰褐色~黒褐色の不規則な形状の木片で,ところどころに穴や溝を有するものがある.樹脂に富む部分は光沢のある黒点を有する.質は堅く重い.
本品は,僅かな香気があり,薫べると芳香を発する.味はやや苦く僅かに刺激性である.
確認試験 本品の粉末0.3gにメタノール10mLを加えて10分間振り混ぜ,又は超音波処理した後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン混液(2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧した後,紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.25付近に青白色の蛍光を発するスポットを認める(6,7―ジメトキシ―2―(2―フェニルエチル)クロモン).
乾燥減量〈5.01〉 11.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 8.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 8.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ジンコウ末
Powdered Agarwood
AQUILARIAE RESINATUM LIGNUM PULVERATUM
沈香末
本品は局外生規ジンコウを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は灰褐色~黒褐色を呈し,におい及び味は局外生規ジンコウの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,淡黄色~黒褐色の樹脂の塊,それらが沈着した柔細胞,孔紋道管の破片及び維管束に長方形の細胞が直交した放射組織の破片を認める.
確認試験 局外生規ジンコウの確認試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 局外生規ジンコウの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 局外生規ジンコウの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 局外生規ジンコウの酸不溶性灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 局外生規ジンコウのエキス含量を準用する.
貯法 容器 気密容器.
スイギュウカク
Buffalo Horn
BUBALI CORNU
水牛角
本品はBubalus bubalis Linn画像16 (7KB)
(Bovidae)の角である.
生薬の性状 本品はやや扁平で湾曲した円錐形の角で,長さ30~75cm,先端はとがる.上部は縦に筋があり中実,中間部から下部は側面に数本の横方向に平行な溝及びくぼみがあり,中空である.基部は略三角形~長楕円形を呈し,短径3~10cm,長径5~15cmである.表面及び切面は黒褐色~灰黒色を呈し,ときに光沢がある.質は硬い.横切面を薄く削りルーペ視するとき,横方向の濃淡ある褐色の層を認める.
本品は特異なにおいがあり,味はほとんどない.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール20mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離する.上澄液を分取し,低圧(真空)で溶媒を留去した後,残留物にメタノール0.5mLを加えて溶かし,試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/酢酸(100)混液(8:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.5付近に赤紫色のスポットを認める.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品の粉末1.0gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 2.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
セイヒ
Immature Citrus Unshiu Peel
CITRI UNSHIU PERICARPIUM IMMATURUS
青皮
本品はウンシュウミカンCitrus unshiu Marcowicz又はCitrus reticulata Blanco (Rutaceae)の未熟果皮(四花セイヒ)又は未熟果実(個セイヒ)である.
生薬の性状
1) 四花セイヒ 本品は長楕円形の通例4裂片からなる果皮片で,厚さ1~3mmである.外面は灰緑色~濃緑褐色で,油室による多数の小さなくぼみがある.内面は類白色~黄白色である.質はやや堅い.
本品は特異な芳香があり,味は苦い.
2) 個セイヒ 本品はほぼ球形で,径1~2cmである.外面は灰緑色~濃緑褐色で,油室による多数のくぼんだ小点がある.質は堅く,横切面は周辺が厚さ1~4mmの外果皮及び中果皮からなり,淡黄白色~黄褐色を呈する.中心部は放射状に通例8~10個の小室に分かれ,各室は淡褐色を呈し,くぼむ.
本品は特異な芳香があり,味は苦い.
確認試験 本品の粉末0.5gにメタノール10mLを加えて20分間振り混ぜ,又は超音波処理した後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用ヘスペリジン1mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液10μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/アセトン/水/酢酸(100)混液(10:6:3:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに塩化鉄(Ⅲ)・メタノール試液を均等に噴霧するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
乾燥減量〈5.01〉 16.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 9.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
セキショウコン
Acorus Gramineus Rhizome
ACORI GRAMINEI RHIZOMA
石菖根
本品はセキショウAcorus gramineus Solander ex Aiton又はAcorus tatarinowii Schott (Araceae)の根茎である.
生薬の性状 本品はやや偏平なひも状を呈し,長さ10~20cm,径0.3~1.0cm,僅かに湾曲して,しばしば分枝する.外面は淡黄褐色~黄赤色を呈し,多数の節があり,三角形の葉の跡が左右交互に配列する.節にはしばしば毛状となった鱗片葉の跡があり,節間には縦じわがある.下面には根の跡があり,ときには残存する短い根がある.質は堅く,折りやすい.折面は繊維性で,淡黄褐色~灰白色を呈する.
本品は特異な芳香があり,味は清涼で,やや辛く,僅かに麻痺性である.
確認試験 本品の粉末0.5gにジエチルエーテル10mLを加えて3分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン混液(1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき,Rf値0.5付近に主スポットを認める(アサロン).
灰分〈5.01〉 10.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
センタイ
Cicada Slough
CICADAE PERIOSTRACUM
画像17 (7KB)
退 蝉退 ゼンタイ
本品はスジアカクマゼミCryptotympana atrata Stal,Platylomia pieli Kato,ミンミンゼミOncotympana maculaticollis Distant,Tanna chekiangensis Ouchi,Graptopsaltria tienta Karsch,Lyristes pekinensis Haupt,Lyristes atrofasciatus Chou et Lei,コマゼミMeimuna mongolica Distant,ホソヒグラシLeptosemia sakaii Matsumura,ニイニイゼミPlatypleura kaempferi Butler又はそれらの同属動物(Cicadidae)の幼虫のぬけ殻である.
生薬の性状 本品は長楕円体,中空で,頭部,胸部,腹部からなり,長さ3~4cm,幅1.3~2cm,外面は淡黄褐色,半透明で光沢がある.頭部には前方に半球形の頭,楕円形の頭楯,それにつづく針形の口吻,両側に偏球形の透明な複眼がある.糸状の1対の触角があり,しばしば脱落している.胸部は背面が縦裂し,内部には白色の繊維状のものがあり,側面の両側の2対の羽は長さ約1.5cm及び約0.5cmである.腹面には3対の足があり,前脚は肥大した鎌状であり,中脚と後脚は細長い.腹部の背面は9環節からなり,腹面の中央部は長三角形で階段状の凹凸がある.質は軽く,膜質で破砕しやすい.
本品はにおい及び味がほとんどない.
灰分〈5.01〉 10.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 5.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
センナジツ
Senna Pods
SENNAE FRUCTUS
センナ実
本品はCassia angustifolia Vahl又はCassia acutifolia Delile (Leguminosae)の果実である.
本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,総センノシド〔センノシドA(C42H38O20:862.74)及びセンノシドB(C42H38O20:862.74)〕1.0%以上を含む.
生薬の性状 本品は腎形~長楕円形の偏平な豆果で,長さ3~6cm,幅1~2.5cm,外面の辺縁は緑褐色で,中央の種子を含む部分は褐色~黒褐色を呈する.内部に6~8個の種子がある.種子は扁平で三角形を呈し,ルーペ視するとき,網目状の模様を認める.
本品はにおい及び味がほとんどない.
確認試験 本品の粉末1gにテトラヒドロフラン/メタノール/希塩酸混液(16:4:1)20mLを加えて5分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.別にセンノシドA標準品又は薄層クロマトグラフィー用センノシドA1mgをテトラヒドロフラン/水混液(7:3)1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液5μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に1―プロパノール/酢酸エチル/水/酢酸(100)混液(40:40:30:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得た赤色~暗赤色の蛍光を発するスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験 異物〈5.01〉 本品は葉,果軸及びその他の異物1.0%以上を含まない.
乾燥減量〈5.01〉 10.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 8.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 2.0%以下.
定量法 日局センナの定量法を準用する.
貯法 容器 密閉容器.
センナジツ末
Powdered Senna Pods
SENNAE FRUCTUS PULVERATUS
センナ実末
本品は局外生規センナジツを粉末としたものである.
本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,総センノシド〔センノシドA(C42H38O20:862.74)及びセンノシドB(C42H38O20:862.74)〕1.0%以上を含む.
生薬の性状 本品は淡緑褐色~黒褐色を呈し,におい及び味は局外生規センナジツの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,柵状の外種皮の破片,果皮内面の結晶細胞列を伴う繊維束の破片,主としてらせん紋道管及び網紋道管の破片を認める.まれに,壁孔が明瞭な厚壁細胞,気孔を伴う果皮表皮の破片,でんぷん粒,シュウ酸カルシウムの単晶,及び表面にいぼ状の突起がある単細胞毛を認める.でんぷん粒は単粒又は複粒で,主に径10μm以下である.
確認試験 局外生規センナジツの確認試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 局外生規センナジツの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 局外生規センナジツの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 局外生規センナジツの酸不溶性灰分を準用する.
定量法 日局センナの定量法を準用する.
貯法 容器 気密容器.
センレンシ
Melia Fruit
MELIAE FRUCTUS
川棟子
本品はトウセンダンMelia toosendan Siebold et Zuccarini又はセンダンMelia azedarach Linn画像18 (7KB)
var. subtripinnata Miquel (Meliaceae)の果実である.
生薬の性状 本品はほぼ球形を呈し,径1~3cmである.一端はややくぼみ,他端に雌しべの花柱の跡が小さな点として認められる.外面は淡黄緑色~褐色又は淡黄色~赤褐色で光沢があり,ややくぼんでいるか,又はしわがある.濃褐色,黄褐色又は褐色の斑点がある.
本品は特異なにおいがあり,味は初め酸味があり,後に苦い.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール10mLを加えて10分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水混液(15:5:4)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.5付近(スコポリン)及び0.7付近(スコポレチン)に青色の蛍光を発するスポットを認める.
純度試験 異物〈5.01〉 本品は果柄及びその他の異物1.0%以上を含まない.
乾燥減量〈5.01〉 14.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 15.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ソウジシ
Cocklebur Fruit
XANTHII FRUCTUS
蒼耳子
本品はオナモミXanthium strumarium Linn画像19 (7KB)
subsp. sibiricum Greuter (Xanthium sibiricum Patrin ex Widder),マルバオナモミXanthium strumarium Linn画像20 (7KB)
,オオオナモミXanthium orientale Linn画像21 (7KB)
,イガオナモミXanthium orientale Linn画像22 (7KB)
subsp. italicum Greuter又はそれらの種間雑種(Compositae)の偽果である.
生薬の性状 本品は多数のとげを有する総苞に覆われたそう果である.紡錘形又は卵円形を呈し,とげを含めて長さは1~3cm,幅は0.4~2cmである.表面は黄褐色~褐色又は灰緑色で全体に多数の針状のとげがある.頂端には鳥のくちばし状に2個の太いとげがある.内部は隔膜により2室に分かれ,各々に1個のそう果がある.そう果はほぼ紡錘形で,花柱の基部の跡がやや突出する.果皮は灰黒色,種子は灰黄色~灰黄褐色で,表面に縦紋がある.
本品はほとんどにおいがなく,味は僅かに苦い.
確認試験 本品の粉末0.5gに無水酢酸5mLを加えてよく振り混ぜ,2分間放置した後,ろ過する.ろ液1mLに硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,接界面は赤褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 12.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.5%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 3.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ソウズク
Alpinia Katsumadai Seed
ALPINIAE KATSUMADAI SEMEN
本品はAlpinia katsumadai Hayata (Zingiberaceae)の種子の塊である.
生薬の性状 本品はほぼ球形を呈し,径1.3~3cm,外面は灰褐色~褐色を呈する.種子塊は薄い黄白色の膜で3部に分かれ,各部には仮種皮によって接合する25~110粒の種子がある.種子は卵状の多面体で,長さ3~5mm,径2.5~3mm,外面は淡褐色で膜質の仮種皮に覆われる.厚みのある一端に丸くくぼんだへそ,他端に僅かにくぼんだ合点があり,腹面及び背面にそれぞれ一本の縦溝がある.種子は堅く,断面は灰白色を呈する.
本品は砕くとき特異な芳香があり,味は辛くてやや苦い.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール5mLを加えて時々振り混ぜながら水浴上で5分間加熱し,冷後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン混液(1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに塩化鉄(Ⅲ)・メタノール試液を均等に噴霧するとき,Rf値0.4付近に淡黄褐色のスポット(カルダモニン)とRf値0.55付近に褐色のスポット(ピノセンブリン)を認める.
灰分〈5.01〉 5.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ダイフクヒ
Areca Pericarp
ARECAE PERICARPIUM
大腹皮
本品はビンロウAreca catechu Linn画像27 (7KB)
又はダイフクビンロウAreca dicksonii Roxburgh (Palmae)の果皮である.
生薬の性状 本品は紡錘形~長楕円体で,通例,縦割りされている.長さ3~6cm,径2.5~4cm,厚さ0.2~0.8cmである.外面は淡灰褐色~暗褐色を呈し,縦じわがあり,内面は黄褐色~暗褐色を呈し,ややつやがあり,通例,細かい縦じわがある.断面は著しく繊維性である.横切面は淡黄褐色を呈し,ルーペ視するとき,繊維群が淡褐色~暗褐色の点として認められる.
本品は僅かに特異なにおいがあり,味はほとんどない.
確認試験 本品の粉末2gに水30mL及び塩酸3滴を加えて水浴上で時々振り混ぜながら5分間加温した後,ろ過する.ろ液0.5mLに水酸化カルシウム試液2.5mLを加えるとき,液は黄赤色~橙黄色を呈し,放置するとき,黄赤色~橙黄色の綿状沈殿を生じる.
乾燥減量〈5.01〉 11.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 6.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
タラコンピ
Aralia Elata Root Bark
ARALIAE RADICIS CORTEX
タラ根皮
本品はタラノキAralia elata Seemann (Araliaceae)の根皮である.
生薬の性状 本品は管状~半管状の皮片で,厚さ1.0~2.5mmである.外面は淡褐色で,周皮は細かい鱗片状にはがれやすい.内面は淡褐色を呈する.質はもろく,折りやすい.
本品は弱いにおいがあり,味は僅かに収れん性である.
確認試験
(1) 本品の粉末0.1gに水10mLを加えて激しく振り混ぜるとき,持続性の微細な泡を生じる.
(2) 本品の粉末0.2gに無水酢酸2mLを加えて水浴上で2分間加温した後,ろ過する.ろ液に硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 9.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 2.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 17.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
チクジョ
Bamboo Culm
BAMBUSAE CAULIS
竹画像28 (7KB)
竹茹
本品はBambusa textilis McClure,Bambusa pervariabilis McClure,Bambusa beecheyana Munro,Bambusa tuldoides Munro,ハチクPhyllostachys nigra Munro var. henonis Stapf ex Rendle又はマダケPhyllostachys bambusoides Siebold et Zuccarini (Gramineae)の稈の内層である.
生薬の性状 本品は薄い帯状で,厚さ0.5~3mm,淡黄白色~灰白色又は淡緑褐色を呈する.しばしば球状又は束状に整形されている.質は軽く繊維性で,ときに外皮を残存する.
本品はにおいがなく,味はほとんどない.
確認試験
(1) 本品の粉末0.5gにアセトン10mLを加えて水浴上で振り混ぜながら2分間加温した後,ろ過する.ろ液を蒸発乾固し,残留物に無水酢酸0.5mLを加えて溶かし,硫酸1滴を加えるとき,液は暗緑褐色~褐色を呈する.
(2) 本品の粉末0.5gに水10mLを加えて水浴上で振り混ぜながら2分間加温した後,ろ過する.ろ液1mLにフェノール溶液(1→20)1mLを加えてよく振り混ぜた後,硫酸2mLを加えて振り混ぜるとき,液は淡褐色~赤褐色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 11.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 3.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
チクヨウ
Bamboo Leaf
PHYLLOSTACHYDIS FOLIUM
竹葉
本品はハチクPhyllostachys nigra Munro var. henonis Stapf ex Rendle,マダケPhyllostachys bambusoides Siebold et Zuccarini,Bambusa textilis McClure又はBambusa emeiensis L. C. Chia et H. L. Fung (Gramineae)の葉である.
生薬の性状 本品はひ針形で先端は鋭形,基部は鋭尖形で,長さ5~16cm,幅1~2cm,上面は青緑色~緑色で無毛,下面は淡緑白色で,ときに細毛を認める.平行脈があり,特に下面で顕著である.ときに葉柄及び小枝を付ける.
本品はにおい及び味がほとんどない.
確認試験 本品の粉末2gに希塩酸30mLを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で20分間加熱し,冷後,ろ過する.ろ液にジエチルエーテル5mLを加えて5分間振り混ぜた後,遠心分離し,ジエチルエーテル層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン/酢酸(100)混液(20:20:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに4―メトキシベンズアルデヒド・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.4付近に赤紫色のスポットを認める(4―ヒドロキシケイ皮酸).
純度試験 タンチクヨウ 本品の粉末2gに希塩酸30mLを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で20分間加熱し,冷後,ろ過する.ろ液にジエチルエーテル5mLを加えて5分間振り混ぜた後,遠心分離し,ジエチルエーテル層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/水/ギ酸混液(10:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき,Rf値0.6~0.7にまとまったスポットを認めない((E)―アコニット酸).
乾燥減量〈5.01〉 13.5%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 15.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 11.5%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 9.5%以上.
貯法 容器 密閉容器.
チクレキ
Bamboo Sap
PHYLLOSTACHYDIS SUCCUS
竹瀝
本品はハチクPhyllostachys nigra Munro var. henonis Stapf ex Rendle又はマダケPhyllostachys bambusoides Siebold et Zuccarini (Gramineae)の稈を火であぶり,切り口から流れ出た液汁である.
生薬の性状 本品は淡青黄色~黄褐色の半透明な液体で,焦げたにおいがあり,僅かに味がある.
確認試験 本品10mLに水10mL及び1―ブタノール5mLを加えて振り混ぜた後,遠心分離し,1―ブタノール層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/アセトン/水/酢酸(100)混液(10:6:3:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用バニリン・硫酸・エタノール試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.3付近に青色のスポットを認める.
貯法 容器 気密容器.
チャヨウ
Green Tea Leaf
CAMELLIAE SINENSIS FOLIUM
茶葉 細茶
本品はチャノキCamellia sinensis Kuntze (Theaceae)の葉で,しばしば枝先を伴う.
生薬の性状 本品は巻き込んだ棒状又はしわがよって縮んだ葉及びその破片からなり,両面とも淡緑褐色~暗緑色を呈する.水に浸してしわを伸ばすと,葉身は長楕円状ひ針形で,先端は鈍形,長さ5~9cm,幅2~4cm,辺縁に鋸歯があり,基部は広いくさび状を呈し,長さ3~7mmの葉柄をつける.葉をルーペ視するとき,両面ともに伏毛を認めることがある.枝先の茎は円柱状を呈し,長さ0.5~3.5cm,径0.4~1.5mm,外面は黄緑色~緑色又は暗緑色である.
本品は特異なにおいがあり,味は渋く,苦い.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール10mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別にカフェイン水和物1mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液5μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/アセトン/ギ酸混液(10:2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.また,これに塩化鉄(Ⅲ)試液を均等に噴霧するとき,Rf値0.6付近に青紫色~暗紫色のスポットを認める(エピガロカテキン3―O―ガレート).
乾燥減量〈5.01〉 9.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 7.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 27.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
チョウトウコウエキス
Uncaria Hook Extract
釣藤鉤エキス 釣藤鈎エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,総アルカロイド(リンコフィリン及びヒルスチン)0.06%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局チョウトウコウを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は黄赤褐色~暗赤褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は僅かに甘く,渋く,やや苦い.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.1gにメタノール20mLを加え,還流冷却器を付けて5分間加熱した後,ろ過する.ろ液の溶媒を蒸発乾固し,残留物に希酢酸1mLを加え,水浴上で1分間加温し,冷後,ろ過する.ろ液1滴をろ紙上に滴下し,風乾後,噴霧用ドラーゲンドルフ試液を噴霧して放置するとき,黄赤色を呈する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 10.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 20.0%以下(1g).
定量法 本品約0.5gを精密に量り,メタノール/希酢酸混液(7:3)40mLを加えて30分間超音波処理した後,メタノール/希酢酸混液(7:3)を加えて正確に50mLとし,試料溶液とする.別に定量用リンコフィリンをデシケーター(シリカゲル)で24時間乾燥し,その約5mgを精密に量り,メタノール/希酢酸混液(7:3)に溶かして正確に100mLとし,標準原液(1)とする.別に定量用ヒルスチンをデシケーター(シリカゲル)で24時間乾燥し,その約5mgを精密に量り,メタノール/希酢酸混液(7:3)に溶かして正確に100mLとし,標準原液(2)とする.標準原液(1)10mL及び標準原液(2)10mLをそれぞれ正確に量り,混和した後,メタノール/希酢酸混液(7:3)を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液20μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のリンコフィリン及びヒルスチンのピーク面積ATR及びATH並びにASR及びASHを測定する.
総アルカロイド(リンコフィリン及びヒルスチン)の量(mg)=MSR×ATR/ASR×1/20+MSH×ATH/ASH×1/20
MSR:定量用リンコフィリンの秤取量(mg)
MSH:定量用ヒルスチンの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:245nm)
カラム:内径4.6mm,長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:酢酸アンモニウム3.85gを水200mLに溶かし,酢酸(100)10mLを加え,水を加えて1000mLとする.この液にアセトニトリル350mLを加える.
流量:リンコフィリンの保持時間が約17分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準原液(1)5mLにアンモニア水(28)1mLを加え,50℃で2時間加熱,又は還流冷却器を付けて10分間加熱する.冷後,反応液1mLを量り,メタノール/希酢酸混液(7:3)を加えて5mLとする.この液20μLにつき,上記の条件で操作するとき,リンコフィリン以外にイソリンコフィリンのピークを認め,リンコフィリンとイソリンコフィリンの分離度は1.5以上である.
システムの再現性:標準原液(1)10mLを正確に量り,メタノール/希酢酸混液(7:3)を加えて正確に100mLとする.この液20μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,リンコフィリンのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
チンピ末
Powdered Citrus Unshiu Peel
CITRI UNSHIU PERICARPIUM PULVERATUM
陳皮末
本品は日局チンピを粉末としたものである.
本品の定量の規格は,日局チンピの規格を準用する.
生薬の性状 本品は淡灰黄色~黄褐色を呈し,におい及び味は日局チンピの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,やや黄色を帯びた柔組織及び無色の柔組織の破片,多角形の表皮細胞からなる表皮の破片,径10~30μmのらせん紋道管,環紋道管,階紋道管,網紋道管及び孔紋道管の破片,丸みを帯びた黄色の塊状物,シュウ酸カルシウムの単晶を認める.シュウ酸カルシウムの単晶は,通例,径5~30μmで,まれに結晶細胞列となる.
確認試験 日局チンピの確認試験を準用する.
純度試験 総BHCの量及び総DDTの量〈5.01〉 日局チンピの純度試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 日局チンピの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 日局チンピの灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 日局チンピのエキス含量を準用する.
定量法 日局チンピの定量法を準用する.
貯法 容器 気密容器.
チンピエキス
Citrus Unshiu Peel Extract
陳皮エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,ヘスペリジン1.8~4.6%を含む.
製法 適切な大きさとした日局チンピを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡黄色~淡黄褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は甘く,後に僅かに苦く,粘着性があり,ときに刺激性がある.
本品は水に混濁して溶ける.
確認試験 定量法で得た試料溶液及び標準溶液10μLずつにつき,定量法の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行うとき,試料溶液から得た2本の主ピークのうち1本のピークの保持時間は,標準溶液から得たヘスペリジンの保持時間と等しく,もう1本のピークはヘスペリジンに対する相対保持時間が約0.7である(ナリルチン).
純度試験 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 10.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 6.2%以下(1g).
定量法 本品約0.1gを精密に量り,薄めたテトラヒドロフラン(1→4)50mLを正確に加えて30分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に定量用ヘスペリジンをデシケーター(シリカゲル)で24時間以上乾燥し,その約10mgを精密に量り,メタノールに溶かし,正確に100mLとする.この液10mLを正確に量り,薄めたテトラヒドロフラン(1→4)を加えて正確に20mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のヘスペリジンのピーク面積AT及びASを測定する.
ヘスペリジンの量(mg)=MS×AT/AS×1/4
MS:ヘスペリジンの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:285nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/酢酸(100)混液(82:18:1)
流量:ヘスペリジンの保持時間が約15分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:定量用ヘスペリジン及び薄層クロマトグラフィー用ナリンギン1mgをメタノールに溶かして10mLとする.この液5mLを量り,薄めたテトラヒドロフラン(1→4)を加えて10mLとする.この液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,ナリンギン,ヘスペリジンの順に溶出し,その分離度は1.5以上である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ヘスペリジンのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
テンナンショウ
Arisaema Tuber
ARISAEMATIS TUBER
天南星
本品はマイヅルテンナンショウArisaema heterophyllum Blume,Arisaema erubescens Schott,Arisaema amurense Maximowicz又はその他同属の近縁植物(Araceae)のコルク層を除いた塊茎である.
生薬の性状 本品はやや偏圧された球形~不定形を呈し,径0.7~3.5cm,高さ0.7~2cmである.外面は類白色又は淡灰褐色~淡褐色を呈し,上部には茎の跡がくぼみとなり,その周辺には根の跡がくぼんだ細点となっている.質は堅い.切面は類白色,粉性である.
本品はほとんどにおいがなく,味は初め緩和で,後にえぐい.
本品の横切片を鏡検〈5.01〉するとき,主としてでんぷん粒を充満した柔細胞からなり,粘液道及びシュウ酸カルシウムの束晶を含む粘液細胞を認める.
確認試験
(1) 本品の粉末0.5gに水10mLを加えて激しく振り混ぜるとき,持続性の微細な泡を生じる.
(2) 本品の粉末0.2gに無水酢酸2mLを加えて水浴上で2分間加温した後,ろ過する.ろ液に硫酸0.5mLを穏やかに加えるとき,境界面は淡褐色を呈する.
(3) 本品の切面に希ヨウ素試液を滴下するとき,暗青紫色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
トウシンソウ
Common Rush
JUNCI HERBA
灯心草 燈心草
本品はイJuncus effusus Linn画像29 (7KB)
(Juncaceae)の1)地上部で,ときに2)茎の髄だけのもの(トウシン)がある.
生薬の性状
1) 地上部 本品は,通例,茎を横切したもので細い円柱形を呈し,径1~3mmである.外面は淡黄緑色~褐色で,多数の縦線がある.茎の横切面をルーペ視するとき,ほぼ円形で,中央部は海綿状で白色を呈し,周辺部は繊維性で淡黄緑色~淡褐色を呈する.
本品は僅かににおいがあり,味はほとんどない.
本品の茎の横切片を鏡検〈5.01〉するとき,表皮細胞は1層でクチクラに覆われ,隆起部の表皮下のみに繊維束が発達し,それ以外は2又は3細胞層の柔組織からなる.多数の並立維管束が2又は3輪の環状に配列し,内側の維管束ほど大きい.師部及び木部の外側に繊維からなる維管束しょうが発達し,しばしば維管束を取り囲む.通例,維管束しょうの周辺に存在する柔細胞のみが残り,維管束間の架橋となる.髄は4~8方向に突出した星形状の柔細胞からなり,それらが連結して網状構造となる.細胞の接合部分では細胞壁が数珠状に肥厚する.
2) 茎の髄 本品は細い円柱形を呈し,径1~3mmである.外面は白色~黄白色で縦溝があり,柔らかく,引っ張ると容易に切れる.断面は白色~黄白色で,海綿状を呈する.
本品はにおい及び味がほとんどない.
本品の横切片を鏡検〈5.01〉するとき,4~8方向に突出した星形状の柔細胞からなり,それらが連結して網状構造となる.細胞の接合部分では細胞壁が数珠状に肥厚する.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール20mLを加えて10分間振り混ぜた後,ろ過する.ろ液の溶媒を低圧(真空)で留去し,残留物をメタノール1mLに溶かし,試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用ルテオリン1mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液10μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/2―ブタノン/水/ギ酸混液(25:3:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.4付近に青白色の蛍光を発するスポットを認める(ルテオリン3',5―ジメチルエーテル).また,塩化鉄(Ⅲ)・メタノール試液を均等に噴霧するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 7.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
トウドクカツ
Angelica Pubescens Root
ANGELICAE PUBESCENTIS RADIX
唐独活 トウドッカツ
本品はシシウドAngelica pubescens Maximowicz又はAngelica biserrata Shan et Yuan (Umbelliferae)の根である.
生薬の性状 本品は短い主根から長い根を分枝してほぼ紡錘状を呈し,長さ10~20cm,外面は褐色~暗褐色である.根頭部には密に隆起した輪節があり,また僅かに茎の残基及び葉鞘を残存するものがある.根には縦じわ及び横長に隆起した多数の細根の跡があり,質はやや柔軟である.横切面をルーペ視するとき,淡褐色~暗褐色を呈し,暗褐色の樹脂道がほぼ同心性に配列する.
本品は特異なにおいがあり,味は苦くて辛い.
確認試験 本品の粉末0.2gにエタノール(95)5mLを加えて時々振り混ぜながら5分間放置した後,ろ過する.ろ液に紫外線(主波長365nm)を照射するとき,液は青色~青紫色の蛍光を発する.
純度試験 本品の横切片を鏡検〈5.01〉するとき,コルク石細胞及びシュウ酸カルシウムの集晶を認めない.
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 9.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
トウヒ末
Powdered Bitter Orange Peel
AURANTII PERICARPIUM PULVERATUM
橙皮末
本品は日局トウヒを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は淡黄褐色~黄褐色を呈し,におい及び味は日局トウヒの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,やや黄色を帯びた柔組織及び無色の柔組織の破片,多角形の表皮細胞からなる表皮の破片,径10~30μmのらせん紋道管,環紋道管,階紋道管,網紋道管及び孔紋道管の破片,シュウ酸カルシウムの単晶を認める.シュウ酸カルシウムの単晶は,通例,径5~30μmで,まれに結晶細胞列となる.
確認試験 日局トウヒの確認試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 日局トウヒの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 日局トウヒの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 日局トウヒの酸不溶性灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 25.0%以上.
貯法 容器 気密容器.
ドベッコウ
Soft Shell Turtle Carapace
AMYDAE TESTUDO
土別甲
本品はスッポンAmyda japonica Temmink et Schlegel又はシナスッポンAmyda sinensis Wiegmann (Trionychidae)の背甲である.
生薬の性状 本品は不整な皿状に湾曲した広楕円形~卵円形で,長さ10~20cm,幅7~15cm,厚さ1.5~3mm,外面は黒褐色~黒緑色で,中央部は僅かに骨節が隆起し,両側に肋骨様の線紋と細かいしわがある.内面は類白色で中央に隆起した脊椎骨があり,肋骨は8対で,左右に突出する.角質で堅く,折りやすい.
本品は特異なにおいがあり,味はほとんどない.
貯法 容器 密閉容器.
ナンテンジツ
Nandina Fruit
NANDINAE FRUCTUS
南天実 天竺子
本品はシロミナンテン(シロナンテン)Nandina domestica Thunberg forma leucocarpa Makino又はナンテンNandina domestica Thunberg (Berberidaceae)の果実である.
生薬の性状 本品は球形で,径7~9mm,外面は淡黄色~淡灰褐色又は帯赤褐色を呈する.上部には突起状の花柱の残基があり,下部には点状の果柄の跡がある.果皮は薄く破砕しやすく,内部には2又は3個の堅い種子がある.
本品はほとんどにおいがなく,味はやや苦い.
確認試験 本品の粉末1gに希酢酸10mLを加えて水浴上で5分間加熱した後,冷後,ろ過する.ろ液1滴をろ紙上に滴下し,風乾後,噴霧用ドラーゲンドルフ試液を均等に噴霧して放置するとき,黄赤色を呈する.
純度試験 異物〈5.01〉 本品は果柄及びその他の異物1.0%以上を含まない.
灰分〈5.01〉 5.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ニクズク末
Powdered Nutmeg
MYRISTICAE SEMEN PULVERATUM
末 肉豆画像31 (7KB)
末 肉豆画像32 (7KB)
末 肉豆画像33 (7KB)
末
本品は日局ニクズクを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は淡褐色~赤褐色を呈し,におい及び味は日局ニクズクの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,赤褐色~暗赤褐色の内容物を含む柔組織,単粒又は複粒のでんぷん粒,アリューロン粒及びシュウ酸カルシウムの結晶を認める.まれに,らせん紋道管を認めることがある.
確認試験 日局ニクズクの確認試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 日局ニクズクの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 日局ニクズクの灰分を準用する.
精油含量〈5.01〉 本品10.0gをとり,試験を行うとき,その量は0.3mL以上である.
貯法 容器 気密容器.
ニンジンエキス
Ginseng Extract
人参エキス
本品は単味生薬エキス製剤の製造原料として用いる.
本品は定量するとき,ギンセノシドRg1(C42H72O14:801.01)0.10%以上,ギンセノシドRb1(C54H92O23:1109.29)0.20%以上を含む.
製法 適切な大きさとした日局ニンジンを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡灰黄色~淡褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後にやや苦く,ときに酸味がある.
本品は水に僅かに混濁して溶ける.
確認試験 本品0.5gにメタノール10mLを加えて振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.別に薄層クロマトグラフィー用ギンセノシドRg11mgをメタノール1mLに溶かし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μL及び標準溶液2μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水混液(14:5:4)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用バニリン・硫酸・エタノール試液を均等に噴霧し,105℃で10分間加熱するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち1個のスポットは,標準溶液から得たスポットと色調及びRf値が等しい.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品0.67gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(3ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 11.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 9.0%以下(1g).
定量法
(1) ギンセノシドRg1 本品約0.15gを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)15mLを加えて15分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を分取する.残留物に薄めたメタノール(3→5)7.5mLを加え,同様に操作する.全上澄液を合わせ,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に25mLとする.この液10mLを正確にとり,希水酸化ナトリウム試液3mLを加えて30分間放置した後,0.1mol/L塩酸試液3mLを加え,更に薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に20mLとし,試料溶液とする.別にギンセノシドRg1標準品(別途10mgにつき,電量滴定法により水分〈2.48〉を測定しておく)約10mgを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)に溶かし正確に25mLとし,標準原液とする.この液2mLを正確に量り,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に50mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液20μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のギンセノシドRg1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRg1(C42H72O14)の量(mg)=MS×AT/AS×2/25
MS:脱水物に換算したギンセノシドRg1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に3μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:30℃付近の一定温度
移動相:薄めたアセトニトリル混液(1→5)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:ギンセノシドRe1mgに標準原液4mLを加えて溶かし,薄めたメタノール(3→5)を加えて100mLとする.この液20μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRg1,ギンセノシドReの順に溶出し,その分離度は1.5以上である.
システムの再現性:標準溶液20μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRg1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
(2) ギンセノシドRb1 本品約0.15gを精密に量り,薄めたメタノール(3→5)30mLを加えて15分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を分取する.残留物に薄めたメタノール(3→5)15mLを加え,同様に操作する.全上澄液を合わせ,薄めたメタノール(3→5)を加えて正確に50mLとする.この液10mLを正確にとり,希水酸化ナトリウム試液3mLを加えて30分間放置した後,0.1mol/L塩酸試液3mLを加え,更に水を加えて正確に20mLとする.この液5mLを正確に量り,カラム(55~105μmの前処理オクタデシルシリル化シリカゲル0.36gを内径約10mmのクロマトグラフィー管に注入し,使用直前にメタノールを流し,次に薄めたメタノール(3→10)を流して調製したもの)に入れて流出させる.薄めたメタノール(3→10)2mL,炭酸ナトリウム試液1mL,更に薄めたメタノール(3→10)10mLの順でカラムを洗い,次にメタノールで流出し,流出液を正確に5mLとし,試料溶液とする.別にギンセノシドRb1標準品(別途10mgにつき,電量滴定法により水分〈2.48〉を測定しておく)約10mgを精密に量り,メタノールに溶かし正確に50mLとする.この液4mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に20mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液20μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のギンセノシドRb1のピーク面積AT及びASを測定する.
ギンセノシドRb1(C54H92O23)の量(mg)=MS×AT/AS×2/5
MS:脱水物に換算したギンセノシドRb1標準品の秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:203nm)
カラム:内径4.6mm,長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用カルバモイル結合型シリカゲルを充填する.
カラム温度:60℃付近の一定温度
移動相:アセトニトリル/水/リン酸混液(400:100:1)
流量:毎分1.0mL
システム適合性
システムの性能:標準溶液20μLにつき,上記の条件で操作するとき,ギンセノシドRb1のピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液20μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,ギンセノシドRb1のピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
バイモ末
Powdered Fritillaria Bulb
FRITILLARIAE BULBUS PULVERATUS
貝母末
本品は日局バイモを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は白色~淡黄褐色を呈し,におい及び味は日局バイモの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,でんぷん粒及びシュウ酸カルシウムの単晶を含む柔細胞並びにそれらの破片,径10~40μmの主にらせん紋道管の破片を認める.でんぷん粒は主に単粒で,径5~60μm,層紋が明瞭で,長卵形~卵形又は三角状卵形,まれに2又は3個からなる複粒もある.シュウ酸カルシウムの単晶は径2~30μmである.
確認試験 日局バイモの確認試験を準用する.
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 日局バイモの純度試験を準用する.
(2) ヒ素〈1.11〉 日局バイモの純度試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 日局バイモの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 日局バイモの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 日局バイモの酸不溶性灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 日局バイモのエキス含量を準用する.
貯法 容器 気密容器.
ハトムギ
Coix Fruit with Involucre
COICIS FRUCTUS CUM INVOLUCRIS
本品はハトムギCoix lacryma‐jobi Linn画像34 (7KB)
var. mayuen Stapf (Gramineae)の果実及び苞鞘である.
生薬の性状 本品はほぼ卵球形を呈し,長さ7~14mm,幅5~9mm,厚さ4~8mmである.外面は黒褐色~灰褐色を呈し,つやがあり,細かい縦じまを認める.上端はややとがり,その付近に1個の斜めの孔があり,他端には果柄の跡がある.苞鞘は爪で破砕することができる.中に雄性小穂の花柄,膜質の鱗片,2個の退化した小穂及び淡灰褐色~淡黄色でつやのある膜質の5枚の頴に包まれた1個の果実がある.果実は淡褐色~赤褐色で,質は堅い.
本品はほとんどにおいがなく,苞鞘は味がないが,果実は僅かに甘く,かめば歯間に粘着する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,苞鞘の横切片では,背軸側最外層は表皮からなり,その内側に厚壁組織が認められる.厚壁組織中の内側の部分には繊維束を伴う維管束が散在する.厚壁組織に続いて内側に横走する繊維が認められ,向軸側最外層は表皮からなる.果実中央部の横切片では,表面最外部には,薄壁性の果皮及び種皮が認められる.くぼみのある腹面に沿って胚盤があり,中央に幼芽鞘又は胚軸が見られる.背面側には胚盤を包む形で胚乳があり,胚乳の柔細胞にはでんぷん粒が含まれる.
純度試験 本品20個について,横切し,薄めたヨウ素試液(1→10)に5秒間浸積した後,取出し,余分な試液を拭き取り,切面を観察するとき,暗赤褐色を呈し,青紫色を呈するものが6個以内である.青紫色を呈するものが7個又は8個の場合,更に40個の試料について同様に試験を行い,青紫色を呈するものが12個以内の場合,適合とする.
乾燥減量〈5.01〉 14.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 8.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ハンピ
Hampi
GLOYDII MUSCULUS ET OS
反鼻
本品は1)ニホンマムシGloydius blomhoffii H. Boie,Gloydius brevicaudus Stejneger又はその他同属動物(Viperidae)の皮及び内臓を除いたもの(ハンピ1)又は2)Ptyas dhumnades Cantor又はその他同属動物(Colubridae)の皮及び内臓を除いたもの(ハンピ2)である.
生薬の性状
1) ハンピ1 本品は,頭部,胴部及び尾部よりなり,細長くほぼ半管状を呈し,長さ30~100cm,幅1.5~3cmである.頭部はほぼ卵形でうろこに覆われ,褐色~黒色を呈し,目と鼻腔の間が陥没している.口は深く亀裂し,中に歯牙が並び,上顎の前端に2本の長い管牙がある.胴部は肋骨が弧状に対生し,これが多数連なって長い半管状を呈し,筋肉に覆われて,淡黄褐色~褐色を呈する.尾部はほぼ円柱状で徐々に先が細くなる.
本品は,特異なにおいがあり,味はほとんどない.
2) ハンピ2 本品は,頭部,胴部及び尾部よりなり,細長くほぼ半管状を呈し,長さ50~250cm,幅0.6~3.5cmである.頭部はほぼ卵形でうろこに覆われ,褐色~黒色を呈し,目と鼻腔の間は陥没せず,目が大きくくぼんでいる.口は深く亀裂し,中に歯牙が並んでいる.胴部は,肋骨が弧状に対生し,背骨の突出が顕著で,これが多数連なって長い半管状を呈し,筋肉に覆われて,淡黄褐色~褐色を呈する.尾部はほぼ円柱状で徐々に先が細くなる.
本品は,特異なにおいがあり,味はほとんどない.
確認試験 本品の粉末2gにメタノール20mLを加えて5分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液20μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に水/エタノール(99.5)/酢酸エチル混液(1:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これにニンヒドリン試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.7付近に1個又は2個の赤紫色のスポットを認める.
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 40.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 8.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ヒシノミ
Water Chestnut
TRAPAE FRUCTUS
菱実
本品はヒシTrapa japonica Flerow,ヒメビシTrapa incisa Siebold et Zuccarini又はメビシTrapa japonica Flerow var. rubeola Ohwi (Trapaceae)の果実である.
生薬の性状 本品はやや偏平な倒三角形の核果で,長さ3~6cm,2又は4個の鋭いとげ状の突起がある.外面は黒褐色を呈する.果皮は堅く,内部に1個の種子がある.
本品はほとんどにおいがなく,砕くとき,内部は僅かに特異な味がある.
確認試験 本品の粉末0.5gに無水酢酸2mLを加えてよく振り混ぜて2分間放置した後,ろ過する.ろ液に硫酸1mLを穏やかに加えるとき,境界面は赤褐色を呈し,上層は青緑色~緑色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 4.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ビャッキョウサン
Stiff Silkworm
BOMBYX BATRYTICATUS
白画像35 (7KB)
蚕 白彊蚕 白姜蚕 白僵蚕
本品はビャッキョウ菌Beauveria bassiana Vuillemin (Cordycepitaceae)に感染して硬直したカイコガBombyx mori Linn画像36 (7KB)
(Bombycidae)の幼虫である.
生薬の性状 本品は円柱形でところどころにくびれがあり,湾曲するものもある.長さ2~5cm,径0.3~1.0cmである.外面は類白色~黄白色の粉で覆われており,折りやすく,中央部の折面は,光沢のある黒緑色~黒褐色を呈する.
本品は特異なにおいがあり,味はやや塩辛い.
確認試験 本品の粉末0.5gにメタノール10mLを加えて10分間振り混ぜ,又は超音波処理した後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル混液(7:3)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.45付近に青白色の蛍光を発するスポットを認める.
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 8.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 18.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ボウイ末
Powdered Sinomenium Stem and Rhizome
SINOMENI CAULIS ET RHIZOMA PULVERATUM
防已末
本品は日局ボウイを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は淡褐色~暗褐色を呈し,におい及び味は日局ボウイの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,通例,円形~多角形を呈する著しく細胞壁の厚い石細胞,でんぷん粒及びシュウ酸カルシウムの小針晶,柔細胞並びにそれらの破片,径20~160μmの網紋道管及び孔紋道管の破片,径5~40μmの繊維又は繊維束の破片を認める.でんぷん粒は主に単粒で,径3~20μmである.シュウ酸カルシウムの小針晶は長さ3~30μmである.
確認試験 日局ボウイの確認試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 11.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 日局ボウイの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 日局ボウイの酸不溶性灰分を準用する.
貯法 容器 気密容器.
ホップ
Hop Strobile
LUPULI STROBILUS
本品はホップHumulus lupulus Linn画像37 (7KB)
(Moraceae)の成熟した球果状の果穂である.
生薬の性状 本品は広卵形~球形で,長さ2~5cm,径2~3cm,黄緑色又は緑褐色を呈する.中央に穂状花序の軸があり,小花柄ごとに苞葉と小苞が付き,それらが重なって松かさ状を呈する.苞葉と小苞は花序の軸から脱落しやすい.苞葉は卵形,長さ0.8~3cm,幅0.5~1cm,膜質で,向軸面の脈が明瞭である.小苞は苞葉の内側にあり,卵形で,苞葉よりやや小さく,薄く,その基部でそう果を包む.苞葉,小苞の基部及びそう果に橙黄色~褐色の腺体が多数付着する.
本品は特異な芳香があり,味は苦い.
本品の苞葉と小苞の表面を鏡検〈5.01〉するとき,表皮細胞の細胞壁は波状を呈し,腺体及び単細胞毛が認められ,柔組織中に径30μm以下のシュウ酸カルシウムの集晶が認められる.腺体は多細胞性で,頭部は杯状又は球状で径100~250μm,分泌物を充満する.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール10mLを加えて20分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン/酢酸(100)混液(7:7:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに水酸化カリウム・エタノール試液を均等に噴霧するとき,Rf値0.4付近に黄色のスポットを認める(キサントフモール).
純度試験 異物〈5.01〉 本品は茎,葉及びその他の異物2.0%以上を含まない.
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 14.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 5.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 20.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
マオウ末
Powdered Ephedra Herb
EPHEDRAE HERBA PULVERATA
麻黄末
本品は日局マオウを粉末としたものである.
本品の定量の規格は,日局マオウの規格を準用する.
生薬の性状 本品は淡灰緑色~暗褐色を呈し,におい及び味は日局マオウの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,褐色及び無色の柔組織の破片,長方形の表皮細胞からなる表皮の破片,繊維,繊維群,通例径5~25μmのらせん紋道管及び孔紋道管,ときに仮道管の破片を認める.また,シュウ酸カルシウムの単晶及び砂晶を認める.
確認試験 日局マオウの確認試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 日局マオウの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 日局マオウの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 日局マオウの酸不溶性灰分を準用する.
定量法 日局マオウの定量法を準用する.
貯法 容器 気密容器.
マンケイシ
Shrub Chaste Tree Fruit
VITICIS FRUCTUS
蔓画像38 (7KB)
子 蔓荊子
本品はハマゴウVitex rotundifolia Linn画像39 (7KB)
filius又はミツバハマゴウVitex trifolia Linn画像40 (7KB)
(Verbenaceae)の果実である.
生薬の性状 本品は球形~倒卵球形で,径3~7mm,外面は灰黒色~灰褐色を呈する.通例,下半は灰白色の薄いがくで覆われ,短い果柄を残存することがある.果実の内部は4室に分かれ,各室に1個の種子がある.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに辛い.
確認試験 本品の粉末0.5gにメタノール10mLを加えてよく振り混ぜた後,ろ過する.ろ液5mLにリボン状のマグネシウム0.1g及び塩酸0.3mLを加えて放置するとき,液は淡赤色~赤紫色を呈する.
純度試験
(1) 果柄及び葉 本品は,異物〈5.01〉に従い試験を行うとき,果柄及び葉4.0%以上を含まない.
(2) 異物〈5.01〉 本品は果柄及び葉以外の異物1.0%以上を含まない.
乾燥減量〈5.01〉 12.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 9.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 3.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
メリロート
Melilot
MELILOTI HERBA
セイヨウエビラハギ
本品はセイヨウエビラハギMelilotus officinalis Lamarck (Leguminosae)の地上部である.
本品は定量するとき,換算した生薬の乾燥物に対し,クマリン0.3%以上を含む.
生薬の性状 本品は主に茎及び花柄からなり,通例,切断され,葉はほとんど脱落している.茎は円柱形を呈し,長さ4~30cm,径1~3mmで,しばしば分枝する.外面は緑色~黄褐色で,細い稜がある.葉は三出複葉で,葉柄をつけ,小葉の辺縁に鋸歯がある.総状花序は約5cm,蝶形花は長さ2~7mm,がく片は有毛である.果実は楕円形,黄褐色~褐色で先端がとがり,表面に網目状のしわがあり,1個の種子を含む.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
確認試験 本品の粉末1gに薄めたエタノール(7→10)10mLを加えて10分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン混液(1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに水酸化カリウム・エタノール試液を均等に噴霧し,10分間放置した後,紫外線(主波長365nm)を照射するとき,Rf値0.55付近に青緑色の蛍光を発するスポットを認める(クマリン).
純度試験 異物〈5.01〉 本品は異物2.0%以上を含まない.
乾燥減量〈5.01〉 12.0%以下(2時間).
灰分〈5.01〉 10.0%以下.
定量法 本品の粉末約2.0gを精密に量り,メタノール50mLを加え,還流冷却器を付けて30分間加熱し,冷後ろ過する.残留物にメタノール30mLを加えて同様に操作する.全ろ液を合わせ,メタノールを加えて正確に100mLとし,試料溶液とする.別に定量用クマリン約10mgを精密に量り,メタノールに溶かして正確に100mLとする.この液10mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に20mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のクマリンのピーク面積AT及びASを測定する.
クマリンの量(mg)=MS×AT/AS×1/2
Ms:定量用クマリンの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:273nm)
カラム:内径4~6mm,長さ15~25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/酢酸(100)混液(750:250:1)
流量:クマリンの保持時間が約12分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,クマリンのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,クマリンのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 密閉容器.
クマリン,定量用 C9H6O2 無色又は白色~微褐色の結晶で,特異な芳香がある.メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けやすく,水にほとんど溶けない.
吸光度〈2.24〉 画像41 (11KB)
(273nm):735~760(5mg,メタノール,1000mL).
確認試験 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法〈2.25〉の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数1705cm-1,1604cm-1,1487cm-1及び1259cm-1付近に吸収を認める.
純度試験 類縁物質 本品5mgをメタノール50mLに溶かし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行う.それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,溶媒ピークの面積を除いた試料溶液のクマリン以外のピークの合計面積は,標準溶液のクマリンのピーク面積より大きくない.
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長273nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/酢酸(100)混液(750:250:1)
流量:クマリンの保持時間が約12分になるように調整する.
面積測定範囲:溶媒のピークの後からクマリンの保持時間の約3倍の範囲
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,クマリンのピークの理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
メリロートエキス
Melilot Extract
本品は定量するとき,クマリン0.3~0.9%を含む.
製法 適切な大きさとした局外生規メリロートを,30vol%エタノールを浸出剤として,日局製剤総則エキス剤の製法により軟エキスとして製する.
性状 本品は褐色~暗褐色の軟エキスで,特異な芳香があり,味は僅かに苦い.
本品は水に混濁して溶ける.
確認試験 本品0.1gに薄めたエタノール(7→10)5mLを加えて攪拌後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.以下,局外生規メリロートの確認試験を準用する.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 28.0%以下(2g,105℃,6時間).
灰分〈5.01〉 15.0%以下(2g).
定量法 本品の約1.0gを精密に量り,水/メタノール混液(1:1)を加えて溶かし,更に水/メタノール混液(1:1)を加えて正確に100mLとする.この液10mLを正確に量り,水/メタノール混液(1:1)を加えて正確に100mLとし,試料溶液とする.別に定量用クマリン約15mgを精密に量り,水/メタノール混液(1:1)に溶かし,正確に100mLとする.この液10mLを正確に量り,水/メタノール混液(1:1)を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィー〈2.01〉により試験を行い,それぞれの液のクマリンのピーク面積AT及びASを測定する.
クマリンの量(mg)=MS×AT/AS
MS:定量用クマリンの秤取量(mg)
試験条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:273nm)
カラム:内径4~6mm,長さ15~25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:水/アセトニトリル/酢酸(100)混液(750:250:1)
流量:クマリンの保持時間が約12分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準溶液10μLにつき,上記の条件で操作するとき,クマリンのピーク理論段数及びシンメトリー係数は,それぞれ5000段以上,1.5以下である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,クマリンのピーク面積の相対標準偏差は1.5%以下である.
貯法 容器 気密容器.
モッカ
Chaenomeles Fruit
CHAENOMELIS FRUCTUS
木瓜
本品は1)カリンChaenomeles sinensis Koehneの偽果(光皮モッカ)又は2)ボケChaenomeles speciosa Nakai (Rosaceae)の偽果(皺皮モッカ)である.
生薬の性状
1) 光皮モッカ 本品は楕円体~卵形体を,通例,縦割りした形を呈し,長さ6.5~10cm,幅3.5~5.0cm,しばしば横切したものもある.外面は赤褐色~暗褐色を呈し,果肉の断面は赤褐色~黄褐色で顆粒状の斑点がある.果肉の厚さは1~2cmで,内部には隔壁があり,これに多数の種子が付くか,又はしばしば脱落して中空となる.種子は扁平なほぼしずく形で,長さ0.5~1.0cm,幅0.2~0.5cm,堅く,暗褐色を呈する.
本品は特異なにおいがあり,酸味があり収れん性である.
本品の横切片を鏡検〈5.01〉するとき,最外層はクチクラで覆われた表皮からなる.果肉には多数の石細胞があり,外辺部から中層部では単独又は不定形の石細胞群をなし,内辺部では更に大きな群となる.
2) 皺皮モッカ 本品は楕円体~卵形体を,通例,縦割りした形を呈し,長さ4~9cm,幅2~5cm,しばしば横切したものもある.外面は赤紫色~赤橙色を呈し,不規則な深いしわがある.果肉の断面は赤褐色~黄褐色で辺縁が縮んで内側に巻く.内部には隔壁があり,これに多数の種子が付くか,又はしばしば脱落して中空となる.種子は扁平な三角形で,長さ0.5~1.0cm,幅0.2~0.5cm,堅く,暗褐色を呈する.
本品は特異なにおいがあり,酸味があり収れん性である.
本品の横切片を鏡検〈5.01〉するとき,最外層は厚いクチクラで覆われた表皮からなる.果肉の外辺部には不定形の石細胞があり,内辺部には通例大きな石細胞群が見られるが,果肉の中層部には石細胞は認められない.
確認試験 本品の粉末1gに水10mLを加えて水浴上で時々振り混ぜながら10分間加熱した後,ろ過する.ろ液に塩化鉄(Ⅲ)試液1滴を加えるとき,液は汚緑色を呈する.
乾燥減量〈5.01〉 12.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 5.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 18.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ヤカン
Blackberry‐lily Rhizome
IRIDIS DOMESTICAE RHIZOMA
射干
本品はヒオウギIris domestica Goldblatt et Mabberley (Belamcanda chinensis De Candolle) (Iridaceae)の根茎である.
生薬の性状 本品は不規則な結節状で,長さ3~10cm,径1~2cmである.外面は黄褐色~暗褐色で,表面は縮んでしわがあり,通例、密に詰まった環紋が認められる.上部に円盤状にくぼんだ茎の跡があり,ときに茎の残基を認める.下部に斑点状の根の跡が多数あり,細根が残存するものもある.質は硬く,切面は淡黄色~橙色又は淡黄褐色~淡褐色である.
本品は僅かににおいがあり,味は僅かに苦い.
確認試験 本品の粉末1.0gにメタノール10mLを加えて20分間超音波処理した後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水混液(10:2:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これにヨウ素試液を均等に噴霧するとき,Rf値0.7付近に黄褐色のスポットを認める(イリスフロレンチン).
純度試験
(1) 重金属〈1.07〉 本品の粉末3.0gをとり,第3法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液3.0mLを加える(10ppm以下).
(2) ヒ素〈1.11〉 本品の粉末0.40gをとり,第4法により検液を調製し,試験を行う(5ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 13.5%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 7.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 18.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ヨウバイヒ
Myrica Rubra Bark
MYRICAE CORTEX
楊梅皮
本品はヤマモモMyrica rubra Siebold et Zuccarini (Myricaceae)の樹皮である.
生薬の性状 本品は巻き込んだ管状,半管状又は板状の皮片で,厚さ1~5mmである.外面は灰褐色を呈し,浅い縦の裂け目と縦列する小さな皮目があり,内面は暗褐色を呈し,滑らかである.折りやすく,折面は赤褐色で粒状である.
本品はほとんどにおいがなく,味は渋くて苦い.
本品の横切片を鏡検〈5.01〉するとき,コルク層は多層のU字状に厚壁化したコルク細胞からなり,二次皮層には繊維群が散在し,外側に多数の石細胞が散在する.柔細胞中にでんぷん粒及び黒褐色~褐色の内容物を含む.また,皮層には,しばしば黄赤色のタンニン様物質を認める.しばしば繊維群に隣接して,シュウ酸カルシウムの単晶を含む細胞が認められ,縦切片では結晶細胞列となる.
確認試験 本品の粉末0.1gにメタノール10mLを加えて水浴上で時々振り混ぜながら5分間加温し,冷後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲル(蛍光剤入り)を用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水/ギ酸混液(12:2:1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに紫外線(主波長254nm)を照射するとき,Rf値0.55付近に主スポットを認める(ミリシトリン).
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 4.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 35.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ヨウバイヒ末
Powdered Myrica Rubra Bark
MYRICAE CORTEX PULVERATUS
楊梅皮末
本品は局外生規ヨウバイヒを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は灰赤褐色を呈し,ほとんどにおいがないが,鼻粘膜を刺激する.味は局外生規ヨウバイヒの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,石細胞,繊維,柔細胞,U字状に厚壁化したコルク細胞,シュウ酸カルシウムの単晶及びでんぷん粒を認める.石細胞は,不整の多角形~円形で,長径50~200μm,細胞壁の厚さ3~25μmで,孔紋及び層紋が明瞭である.柔細胞中にでんぷん粒を含む.でんぷん粒は,径4~7μmの単粒又は2若しくは3個の複粒である.また,柔細胞及び石細胞中には,しばしば黄赤色のタンニン様物質を認める.繊維は,細胞壁の厚さ5~6μmで孔紋のあるものと細胞壁の厚さ約2μmで斜めの壁孔の明らかなものとがあり,前者はしばしばシュウ酸カルシウムの単晶を含む結晶細胞列を伴う.シュウ酸カルシウムの単晶は,径10~30μmである.
確認試験 局外生規ヨウバイヒの確認試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 局外生規ヨウバイヒの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 局外生規ヨウバイヒの灰分を準用する.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 局外生規ヨウバイヒのエキス含量を準用する.
貯法 容器 気密容器.
ヨクイニンエキス
Coix Seed Extract
画像42 (7KB)
苡仁エキス
製法 適切な大きさとした日局ヨクイニンを,日局常水,日局精製水又は日局精製水(容器入り)を浸出剤とし,日局製剤総則エキス剤の製法により乾燥エキスとして製する.
性状 本品は淡黄白色~淡黄褐色の粉末で,特異なにおいがあり,味は僅かに甘い.
本品は水に混濁して溶ける.
確認試験
(1) 本品0.1gに水50mLを加えて水浴中で5分間振り混ぜながら加熱する.冷後,この液にヨウ素試液5滴を加えて振り混ぜるとき,液は暗赤紫色を呈する.
(2) 本品2gにメタノール40mLを加えて20分間超音波処理した後,ろ過する.ろ液の溶媒を低圧(真空)で留去し,得られた残留物にメタノール2mLを加えて試料溶液とする.別に日局ヨクイニンの粉末0.5gにメタノール40mLを加えて20分間超音波処理した後,遠心分離し,上澄液を取る.上澄液の溶媒を低圧(真空)で留去し,得られた残留物にメタノール5mLを加えて標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液及び標準溶液10μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル/酢酸(100)混液(80:20:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに4―メトキシベンズアルデヒド・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱した後,放冷するとき,試料溶液から得た数個のスポットのうち2個のスポットは,標準溶液から得た青紫色~青緑色のスポット(Rf値0.3付近及びRf値0.6付近)と色調及びRf値が等しい.
純度試験 重金属〈1.07〉 本品1.0gをとり,日局製剤総則エキス剤(4)に従い検液を調製し,試験を行う(30ppm以下).
乾燥減量〈2.41〉 8.0%以下(1g,105℃,5時間).
灰分〈5.01〉 5.0%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
ランオウ末
Dried Egg Yolk Powder
VITELLUS
卵黄末 鶏子黄末
本品はニワトリGallus gallus Brisson subsp. domesticus Brisson (Phasianidae)の卵黄を乾燥して粉末としたものである.
生薬の性状 本品は,黄色~黄橙色の粉末で,特異なにおい及び味がある.
確認試験 本品1gにメタノール20mLを加えて20分間振り混ぜた後,遠心分離し,上澄液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液2μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン混液(3:2)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに4―メトキシベンズアルデヒド・硫酸試液を均等に噴霧し,105℃で2分間加熱するとき,Rf値0.5付近に暗青色のスポットを認める.
乾燥減量〈5.01〉 4.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 7.0%以下.
貯法 容器 気密容器.
リヒ
Plum Bark
PRUNI SALICINAE CORTEX
李皮 李根皮 李根白皮 リコンピ リコンハクヒ
本品はスモモ Prunus salicina Lindley (Rosaceae)の樹皮又は根皮である.
生薬の性状 本品は板状又は半管状の皮片で,厚さ2~5mmである.外面は灰褐色~黒褐色を呈し,粗雑である.ときに周皮が脱落し赤褐色を呈することもある.内面は平滑で,淡黄白色~赤褐色を呈する.折面は淡黄白色~淡褐色を呈し,繊維性である.
本品は弱いにおいがあり,味は苦く,渋い.
確認試験 本品の粉末1gに希塩酸10mLを加えて振り混ぜ,沸騰水浴中で10分間加熱し,冷後,ジエチルエーテル5mLを加えて10分間振り混ぜた後,遠心分離し,ジエチルエーテル層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン/酢酸(100)混液(20:20:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用バニリン・硫酸・エタノール試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.5付近に橙色のスポットを認める(2,6―ジヒドロキシ―4―メトキシアセトフェノン).
乾燥減量〈5.01〉 13.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 9.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
レンギョウ末
Powdered Forsythia Fruit
FORSYTHIAE FRUCTUS PULVERATUS
連翹末 連堯末
本品は日局レンギョウを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は,淡黄褐色~暗褐色を呈し,においは日局レンギョウの規格を準用し,味は僅かに苦く,収れん性である.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,褐色及び無色の柔組織の破片,石細胞,繊維及び繊維束の破片,主としてらせん紋道管及び網紋道管の破片,表皮の破片を認める.ときに径15~35μmのでんぷん粒,径10~30μmのシュウ酸カルシウムの集晶を認めることがある.
確認試験 日局レンギョウの確認試験を準用する.
灰分〈5.01〉 日局レンギョウの灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 日局レンギョウのエキス含量を準用する.
貯法 容器 気密容器.
ロクジョウ
Antler Velvet
CERVI CORNU PANTOTRICHUM
鹿茸
本品はCervus nippon Temminck,Cervus elaphus Linn画像43 (7KB)
,Cervus canadensis Erxleben又はその他同属動物(Cervidae)の雄鹿の角化していない幼角をそのまま又は横切したものである.
生薬の性状 本品は毛皮を被った幼角で,枝角は1~4本,頂端は鈍円である.全長15~100cmで,全体に黄褐色~青褐色の短毛が密生する.又は,径1~15cm,厚さ約0.2cmの円形~長円形の扁平な薄片で,皮質部は薄くやや光沢があり,髄質部は細孔が多数あり灰黄色~暗赤褐色を呈する.本品の横切面をルーペ視するとき,赤褐色~暗赤褐色のものでは細孔内に同じ色調の内容物を認める.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに塩味がある.
本品の皮部の切片又は粉末を鏡検〈5.01〉するとき,保護毛を認め,毛髄質の隔壁は,通例,はしご状を呈し,うろこ状のものはないか又はごく僅かである.
確認試験 本品の粉末0.5gにメタノール10mLを加えて15分間超音波処理した後,ろ過する.ろ液を低圧(真空)で溶媒を留去した後,残留物にメタノール1mLを加えて試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/ヘキサン混液(1:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で2分間加熱するとき,Rf値0.5付近に赤紫色のスポットを認める(コレステロール).
純度試験 重金属〈1.07〉 本品の粉末2.0gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う.比較液には鉛標準液4.0mLを加える(20ppm以下).
乾燥減量〈5.01〉 15.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 50.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 2.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.
ロクジョウ末
Powdered Antler Velvet
CERVI CORNU PANTOTRICHUM PULVERATUM
鹿茸末
本品は局外生規ロクジョウを粉末としたものである.
生薬の性状 本品は灰白色~灰褐色又は赤褐色~暗褐色を呈し,におい及び味は局外生規ロクジョウの規格を準用する.
本品を鏡検〈5.01〉するとき,円形,三角形及び紡錘形の骨小腔が無数に点在する無色の骨組織の破片を認める.赤褐色の粉末では,赤褐色の内容物が,単独又は骨組織に付随して多量に認められる.表皮,真皮及び骨膜の破片が認められ,直角に交叉した偏光板又は偏光プリズム間では,骨膜に顆粒状に光輝する内容物が認められることがある.皮部組織に内包された又は皮部組織に付着した保護毛の基部の破片を認めることがあり,毛髄質の隔壁は,通例、はしご状を呈し,うろこ状のものはないか又はごく僅かである.
確認試験 局外生規ロクジョウの確認試験を準用する.
純度試験 重金属〈1.07〉 局外生規ロクジョウの純度試験を準用する.
乾燥減量〈5.01〉 局外生規ロクジョウの乾燥減量を準用する.
灰分〈5.01〉 局外生規ロクジョウの灰分を準用する.
エキス含量〈5.01〉 局外生規ロクジョウのエキス含量を準用する.
貯法 容器 気密容器.
ワキョウカツ
Aralia Root
ARALIAE CORDATAE RADIX
和羌活 和画像44 (7KB)
活
本品はウドAralia cordata Thunberg (Araliaceae)の根である.
生薬の性状 本品はやや湾曲した円柱形~長円錐形を呈し,しばしば周皮を除いたものがあり,長さ5~15cm,径0.5~1.5cmである.外面は灰褐色を呈し,多数の縦じわがあり,皮目及び細根の跡が散在する.周皮を除いたものは,外面は灰白色を呈する.質は軽くやや柔軟で折りやすく,折面はやや繊維性である.横切面をルーペ視するとき,形成層付近は褐色,皮部は淡褐色を呈し,皮部には油道による褐色の細点を認める.
本品は特異なにおいがあり,味は僅かに苦い.
確認試験 本品の粉末1gにメタノール10mLを加えて5分間振り混ぜた後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル/酢酸(100)混液(30:10:1)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに噴霧用バニリン・硫酸・エタノール試液を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.5付近に紫色のスポットを認める.
灰分〈5.01〉 7.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.0%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ワコウホン
Osmorhiza Rhizome
OSMORHIZAE RHIZOMA
和藁本
本品はヤブニンジンOsmorhiza aristata Makino et Yabe (Umbelliferae)の根茎である.
生薬の性状 本品は仮軸分枝した根茎からなり,全長2~8cm,各分枝は円柱形を呈し,径0.5~1.5cm,各先端には円形にへこんだ茎の跡があるか,又は短い茎の残基を付ける.外面は灰褐色~褐色を呈し,輪節及び縦じわがあり,こぶ状の根の残基が多数ある.また,径2~5mmの短い根を僅かに付ける場合もある.質は軽く,やや折りやすい.
本品は特異なにおいがあり,味は初め僅かに甘く,後にやや辛い.
確認試験 本品の粉末0.5gにヘキサン5mLを加えて時々振り混ぜながら15分間放置した後,ろ過し,ろ液を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液10μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にヘキサン/酢酸エチル混液(4:1)を展開溶媒として約10cm展開した後,薄層板を風乾する.これに希硫酸を均等に噴霧し,105℃で5分間加熱するとき,Rf値0.5付近に赤色~赤紫色のスポット及び,通例,その上辺部に重なった淡青色のスポットを認める.
灰分〈5.01〉 6.5%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 1.5%以下.
貯法 容器 密閉容器.
ワニクジュヨウ
Boschniakia Herb
BOSCHNIAKIAE HERBA
蓉 和肉画像46 (7KB)
蓉
本品はオニクBoschniakia rossica B. Fedtschenko (Orobanchaceae)の全草である.
生薬の性状 本品は偏平な円柱形で,長さ3~30cm,径2~8cmである.根茎は太い塊状である.外面は黄褐色~黒褐色を呈し,三角形の鱗片葉に密に覆われる.茎の先端には卵形ないし円柱形の花穂が付く.質はもろい.横切面は黄褐色~黒褐色,維管束が輪状に並び,不連続な環状を呈する.
本品はにおいがなく,味は僅かに甘く,後に僅かに苦い.
本品の中央部横切片を鏡検〈5.01〉するとき,最外層はクチクラで覆われた表皮からなる.表皮細胞は1層からなる.皮層は柔組織からなり,細胞間に空隙がみられる.皮層の内側には維管束しょうに囲まれた楕円形~長楕円形の並立維管束が不連続な環状に配列する.髄は柔組織からなり,細胞間に空隙がみられる.
確認試験 本品の粉末1gに水5mL及び1―ブタノール5mLを加えて15分間振り混ぜた後,遠心分離し,1―ブタノール層を試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィー〈2.03〉により試験を行う.試料溶液5μLを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に酢酸エチル/メタノール/水混液(20:3:2)を展開溶媒として約7cm展開した後,薄層板を風乾する.これに2,6―ジブロモ―N―クロロ―1,4―ベンゾキノンモノイミン試液を均等に噴霧し,アンモニアガス中に放置するとき,Rf値0.2付近に灰緑色のスポット(ロシカシドB),Rf値0.3付近に青色のスポット(ボシュナロシド)を認める.
乾燥減量〈5.01〉 23.0%以下(6時間).
灰分〈5.01〉 11.0%以下.
酸不溶性灰分〈5.01〉 2.0%以下.
エキス含量〈5.01〉 希エタノールエキス 35.0%以上.
貯法 容器 密閉容器.