添付一覧
○「医薬品添加物規格2018」の一部改正について
(令和4年3月7日)
(薬生発0307第1号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
(公印省略)
医薬品添加物の規格については、「医薬品添加物規格2018について」(平成30年3月29日付薬生発0329第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)の別添「医薬品添加物規格2018」(以下「薬添規2018」という。)として示しているところです。
今般、薬添規2018の一部を別添のとおり改正することとしましたので通知します。
また、今般の薬添規2018の一部改正の概要を下記のとおり示しますので、別添と併せて御了知の上、貴管下関係業者に対し、周知方よろしく御配慮願います。
記
第1 薬添規2018の一部改正の要旨について
1 第十八改正日本薬局方の制定に伴い、薬添規2018の通則を改正したこと。
2 一般試験法の改正については、次のとおりであること。
(1) 次の項目を改めたこと。
1) 試薬・試液
2) 標準液
3 医薬品添加物各条の改正については、次のとおりであること。
(1) 次の品目の規格等を改めたこと。
1) アルファチオグリセリン
2) カルボキシビニルポリマー
3) 小麦胚芽油
4) 自己乳化型モノステアリン酸グリセリン
5) 親水ゲル化炭化水素
6) スクラロース
7) 中鎖脂肪酸トリグリセリド
8) トリアセチン
9) トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
10) 2,2',2''―ニトリロトリエタノール
11) ハードファット
12) フタル酸ジエチル
13) ペルーバルサム
14) ポリ塩化ビニル
15) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5
16) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10
17) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20
18) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40
19) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50
20) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60
21) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100
22) ポリオキシエチレンヒマシ油
23) ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸グリセリル(7E.O.)
24) ポリオキシル35ヒマシ油
25) マレイン化ロジングリセリンエステル
26) D―マンニトール・トウモロコシデンプン造粒物
27) メタクリル酸コポリマーLD
28) モノオレイン酸グリセリン
29) モノミリスチン酸グリセリン
第2 施行時期について
本通知は、令和4年3月7日から適用すること。ただし、令和5年9月30日までの間は、従前の例によることができるものとすること。
[別添]
「医薬品添加物規格2018について」(平成30年3月29日付け薬生発0329第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)の一部を次のように改正する。
通則の第2項中「第14項から第47項まで」を「第14項から第48項まで」に改める。
一般試験法の部(3)試薬・試液の項イノシトール,定量用の条を次のように改める。
イノシトール,定量用 「イノシトール」の性状,確認試験,融点,純度試験の(1)溶状,(2)塩化物,(3)硫酸塩,(4)重金属,(5)鉄,(6)カルシウム,(7)ヒ素,(8)糖類、乾燥減量及び強熱残分,並びに次の試験に適合するもの.
純度試験 類縁物質 本品0.2gを水20mLに溶かし,試料溶液とする.この液1mLを正確に量り,水を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液10μLにつき,次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行う.それぞれの液の各々のピーク面積を自動積分法により測定するとき,試料溶液のイノシトール以外のピークの合計面積は,標準溶液のイノシトールの面積より大きくない.
試験条件
面積測定範囲以外の試験条件は定量法の試験条件を準用する.
面積測定範囲:溶媒ピークの後ろからイノシトールの保持時間の約3倍の範囲
システム適合性
検出の確認:標準溶液1mLを正確に量り,水を加えて正確に10mLとする.この液10μLから得たイノシトールのピーク面積が標準溶液のイノシトールのピーク面積の7~13%となることを確認する.
システムの性能:1―プロパノールの水溶液(1→3200)5mL及び標準溶液5mLを混合した液の10μLにつき,上記の条件で操作するとき,イノシトール,1―プロパノールの順に溶出し,その分離度は2.0以上である.
システムの再現性:標準溶液10μLにつき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,イノシトールのピーク面積の相対標準偏差は1.0%以下である.
<イノシトール>
一般試験法の部(5)標準液の項マンガン標準液の条を次のように改める。
マンガン標準液 塩化マンガン(K8160,MnCl2・4H2O)3.60gを正確に量り,水50mL及び塩酸10mLを加えて溶かし,水を加えて正確に1000mLとする.この液10mLを正確に量り,水を加えて正確に1000mLとする.この液1mLはマンガン(Mn)0.01mgを含む.
<塩化鉄(Ⅲ)水和物>
医薬品添加物各条の部アルファチオグリセリンの条を次のように改める。
109280
アルファチオグリセリン
α‐Thioglycerol
α―チオグリセリン
C3H8O2S:108.16
本品は定量するとき,換算した脱水物に対し,アルファチオグリセリン(C3H8O2S)98.0%以上を含む.
性状 本品は無色~淡黄色澄明の粘性のある液で,特異なにおいがある.
本品は水又はエタノール(95)と混和し,ジエチルエーテルにほとんど溶けない.
確認試験 本品の水溶液(1→100)5mLに水酸化ナトリウム試液2mL及び酢酸鉛試液1mLを加え,水浴上で加熱するとき,黒色の沈殿を生じる.
屈折率 画像2 (11KB)
:1.521~1.526
pH 本品1.0gを水10mLに溶かした液のpHは3.5~7.0である.
比重 画像3 (8KB)
:1.241~1.250
純度試験
(1) 溶状 本品1.0gを水10mLに溶かすとき,液は無色澄明である.
(2) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(3) ヒ素 本品1.0gをとり,第1法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
水分 2.0%以下(0.5g,直接滴定,ただし,水分測定用メタノールの代わりに水分測定用メタノール30mLにN―エチルマレイミド10gを加えて溶かしたものを用いる).
強熱残分 0.10%以下(1g).
定量法 本品約0.4gを精密に量り,水50mLに溶かし,0.05mol/Lヨウ素液で滴定する(指示薬:デンプン試液3mL).
0.05mol/Lヨウ素液1mL=10.816mg C3H8O2S
貯法 容器 気密容器.
投与経路 静脈内注射,筋肉内注射,皮下注射.
医薬品添加物各条の部カルボキシビニルポリマーの条を次のように改める。
101243
カルボキシビニルポリマー
Carboxyvinyl Polymer
カルボキシポリメチレン
本品はアクリル酸の重合体である.
本品を乾燥したものは定量するとき,カルボキシル基(COOH:45.02)58.0~63.0%を含む.
性状 本品は白色の粉末で,においはないか,又は僅かに特異なにおいがあり,酸味がある.
本品はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
本品は水,エタノール(95)又はN,N―ジメチルホルムアミドを加えて分散させるとき,膨潤し澄明又は白濁した粘性の液となる.
確認試験
(1) 本品0.5gを水100mLに分散させ,ブロモチモールブルー試液2滴を加え,水酸化ナトリウム試液を液が青色を呈するまでかき混ぜながら加えるとき,粘性の強い液又はゲルとなる.
(2) (1)で得た液又はゲル約10mLに塩化カルシウム試液1mLを加え,かき混ぜるとき,直ちに白色の沈殿を生じる.
(3) (1)で得た液又はゲル約10mLに硫酸マグネシウム試液1mLを加え,かき混ぜるとき,直ちに白色の沈殿を生じる.
(4) 本品を乾燥し,赤外吸収スペクトル測定法の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数2960cm-1,1720cm-1,1455cm-1,1415cm-1,1250cm-1,1175cm-1及び800cm-1付近に吸収を認める.
粘度
(1) 装置 ブルックフィールド型回転粘度計を用いる.
A:同期電動機
B:変速歯車及びクラッチ
C:レバー
D:目盛板
E:ジョイント
F:指針
G:浸液マーク
H:ローター
I:4号ローター
J:6号ローター
(2) 操作法 本品を乾燥し,その0.40gをとり,あらかじめ水200mLを入れた200mLのビーカーに入れ,なるべく気泡が入らないように分散させる.この液をかき混ぜながら水酸化ナトリウム試液を加えてpH7.0~7.5とし,10時間以上放置して泡を除き,試料溶液とする.粘度の区分に従い,ローターI又はJをジョイントEに取り付け,気泡が付着しないように注意して浸液マークGまで試料溶液中にローターを浸せきし,ローターを毎分20回転の速度で回転させる.ただし,試料溶液の温度は20±0.1℃とする.30秒後に,レバーCを押して指針Fを固定した後,ローターの回転を止め,目盛Dを読みとり,粘度の区分で定めた換算乗数を乗ずる.測定は3個の試料溶液について行い,その平均値を求めるとき,1500~50000mPa・sである.
ブルックフィールド型回転粘度計
(数字はmmを示す)
粘度の区分
試料溶液の粘度 |
ローター |
換算乗数 |
10000mPa・s未満の場合 |
I(4号) |
100 |
10000mPa・s以上の場合 |
J(6号) |
500 |
pH 本品0.20gに新たに煮沸して冷却した水100mLを加えて分散させた液のpHは2.5~4.0である.
純度試験
(1) 重金属 本品2.0gを白金製,石英製又は磁製のるつぼにとり,硝酸マグネシウム六水和物のエタノール(95)溶液(1→20)20mLを加え,エタノールに点火して燃焼させた後,徐々に加熱して炭化する.冷後,硫酸1mLを加え,注意して加熱した後,500~600℃で強熱し,灰化する.もしこの方法で,なお炭化物が残るときは,少量の硫酸で潤し,再び強熱して灰化する.冷後,塩酸3mLを加えて溶かし,水浴上で蒸発乾固し,殘留物に水10mLを加え,加温して溶かす.次にフェノールフタレイン試液1滴を加え,アンモニア試液を液が微赤色となるまで滴加し,希酢酸2mLを加え,必要ならばろ過し,水10mLで洗い,ろ液及び洗液をネスラー管に入れ,水を加えて50mLとする.これを検液とし,試験を行う.比較液は硝酸マグネシウム六水和物のエタノール(95)溶液(1→20)20mLをとり,以下検液の調製法と同様に操作し,鉛標準液2.0mL及び水を加えて50mLとする(10ppm以下).
(2) ヒ素 本品2.5gをとり,硝酸20mLを徐々に加えた後,流動状になるまで弱く加熱する.冷後,硫酸5mLを加え,褐色の煙が出なくなるまで加熱する.更に時々,硝酸2~3mLずつを追加して液が無色~微黄色になるまで加熱を続ける.冷後,シュウ酸アンモニウム飽和溶液15mLを加え,白煙が発生するまで加熱する.冷後,水を加えて25mLとする.この液10mLを検液とし,試験を行う(2ppm以下).
(3) 遊離アクリル酸 本品約1.0gを精密に量り,ヨウ素瓶に入れ,水100mLを加え,時々振り混ぜ,約24時間放置して分散させる.この液に0.05mol/L臭素液10mLを正確に加え,更に薄めた塩酸(1→2)20mLを加え,直ちに密栓をしてよく振り混ぜ,暗所に20分間放置する.これにヨウ化カリウム試液20mLを注意して加え,直ちに密栓をしてよく振り混ぜ,遊離したヨウ素を0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定する(指示薬:デンプン試液1mL).同様の方法で空試験を行う.遊離アクリル酸の量は1.0%以下である.
ただし,
a:空試験における0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液の消費量(mL)
b:試料の試験における0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム液の消費量(mL)
乾燥減量 7.0%以下(2g,105℃,3時間).
強熱残分 2.5%以下(1g).
定量法 本品を乾燥し,その約0.1gを精密に量り,薄めたN,N―ジメチルホルムアミド(3→10)100mLを加えて分散させ,0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール液で滴定する(電位差滴定法).同様の方法で空試験を行い,補正する.
0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール液1mL=4.502mg COOH
貯法 容器 密閉容器.
投与経路 経口投与,一般外用剤,舌下適用,直腸膣尿道適用,眼科用剤,歯科外用及び口中用,耳鼻科用剤.
医薬品添加物各条の部小麦胚芽油の条を次のように改める。
107647
小麦胚芽油
Wheat Germ Oil
本品はコムギ Triticum aestivum Linn画像6 (7KB)
(Gramdneae)の胚芽から得た脂肪油である.
性状 本品は淡黄色澄明の油で,僅かに特異なにおいがあり,味は緩和である.
本品はジエチルエーテル又はシクロヘキサンと混和し,エタノール(95)に溶けにくく,水にほとんど溶けない.
確認試験 本品0.5gに水酸化カリウム・エタノール試液10mLを加え,還流冷却器を付け,水浴上でしばしば振り混ぜて1時間穏やかに加熱する.冷後,希塩酸7mL,水40mL及びクロロホルム30mLを加え,激しく振り混ぜて抽出する.クロロホルム層を分取して,クロロホルムを留去した後,残留物にエタノール(95)0.5mLを加えて溶かし,試料溶液とする.試料溶液1滴に,塩化ヒドロキシルアンモニウムの飽和エタノール(95)溶液1滴及びN,N'―ジシクロヘキシルカルボジイミド・エタノール試液1滴を加え,1分間以上室温で放置した後,塩化鉄(Ⅲ)・メタノール試液/塩酸混液(1000:1)1滴を加えるとき,直ちに赤紫色を呈する.
比重 画像7 (8KB)
:0.912~0.932
酸価 1.0以下.
けん化価 182~194
不けん化物 6.0%以下.
ヨウ素価 125~140
純度試験
(1) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(2) ヒ素 本品1.0gを量り,磁製のるつぼにとる.これに硝酸マグネシウム六水和物のエタノール(99.5)溶液(1→10)10mLを加え,エタノールに点火して燃焼させた後,徐々に加熱して灰化する.冷後,残留物に希塩酸10mLを加え,水浴上で加温して溶かし,検液とし,試験を行う(2ppm以下).
強熱残分 0.10%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 経口投与.
医薬品添加物各条の部自己乳化型モノステアリン酸グリセリンの条を次のように改める。
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自己乳化型モノステアリン酸グリセリン
Glyceryl Monostearate, Self‐emulsifying Type
本品は主としてモノステアリン酸グリセリンに石けん又は親水性非イオン界面活性剤を添加し,親水性を増したものである.
性状 本品は白色~微黄色の塊又は薄片で,僅かに特異なにおいがある.
本品はクロロホルムには溶けやすいものから溶けにくいものまであり,エタノール(95)には極めて溶けにくいものからほとんど溶けないものまであり,水にほとんど溶けない.
確認試験
(1) 本品5gに水100mLを加え,試料が液状になるまで加熱した後,激しく振り混ぜて放置するとき,油層を分離しない.
(2) 本品0.1gにエタノール(95)2mLを加え,加温して溶かし,希硫酸5mLを加えて水浴上で30分間加熱した後,冷却するとき,黄白色の固体を析出する.この固体を分離し,ジエチルエーテル3mLを加えて振り混ぜるとき,溶ける.
融点 50~65℃(第2法).
酸価 20以下.
けん化価 90~160
純度試験
(1) グリセリン 本品約1gを精密に量り,クロロホルム20mLを加え,加温して溶かす.冷後,分液漏斗に移し,酢酸(100)溶液(2→25)25mLずつで3回抽出する.抽出液はヨウ素瓶に合わせる.これに過ヨウ素酸試液20mLを正確に加えて振り混ぜ,15分間放置した後,ヨウ化カリウム溶液(1→4)10mLを加え,直ちに0.2mol/Lチオ硫酸ナトリウム液で滴定するとき,10.0%以下である.同様の方法で空試験を行い,補正する(指示薬:デンプン試液3mL).
0.2mol/Lチオ硫酸ナトリウム液1mL=4.605mg C3H8O3
(2) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
水分 5.0%以下(1g,直接滴定).
強熱残分 4.0%以下(1g).
貯法
保存条件 遮光して保存する.
容器 気密容器.
投与経路 一般外用剤.
医薬品添加物各条の部親水ゲル化炭化水素の条を次のように改める。
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親水ゲル化炭化水素
Hydrophilic Hydrocarbon Gel
本品は「ゲル化炭化水素」にグリセリン脂肪酸エステルを加え,親水性を付与したものである.
性状 本品は白色~類白色半透明のワセリンようの物質で,においはないか,又は僅かに特異なにおいがある.
本品は水,エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
確認試験
(1) 本品を磁製皿にとり,強く加熱して点火するとき,明るい炎を出して燃え,パラフィン蒸気のにおいを発する.
(2) 本品10gにジエチルエーテル30mLを加えて振り混ぜた後,ろ過する.残留物をジエチルエーテル30mLずつで3回洗い,風乾し,その約0.2gをとり,キシレン3mLを加えて水浴上で加温して溶かす.この液を清浄なガラス板上に滴加し,水浴上で加温してキシレンを留去して薄膜を作り,赤外吸収スペクトル測定法の薄膜法により測定するとき,波数2920cm-1,2850cm-1,1464cm-1,1377cm-1及び719cm-1付近に吸収を認める.
(3) 本品10gにエタノール(95)50mLを加え,還流冷却器を付け,振り混ぜながら水浴上で30分間加温する.温時,エタノール層を分取し,水浴上でエタノールを蒸発して得た残留物にエタノール(95)2mLを加え,加温して溶かし,希硫酸5mLを加え,水浴中で30分間加熱した後,冷却するとき,油滴又は白色~黄白色の固体を析出する.
比重 画像8 (11KB)
:0.870~0.900(油脂試験法の比重の項を準用する).
酸価 0.3以下.
純度試験
(1) 酸又はアルカリ 本品10.0gに熱湯10mL及びフェノールフタレイン試液1滴を加え,水浴中で5分間加熱した後,激しく振り混ぜるとき,赤色を呈しない.また,これに0.02mol/L水酸化ナトリウム液0.20mLを加えて振り混ぜるとき,赤色を呈する.
(2) 重金属 本品2.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(10ppm以下).
(3) ポリオキシエチレン 本品10gに水50mLを加えて煮沸し,冷後,ろ過し,ろ液にチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト(Ⅱ)試液10mLを加え,よく振り混ぜた後,クロロホルム10mLを加え,再び振り混ぜて放置するとき,クロロホルム層は青色を呈しない.
(4) 遊離流動パラフィン 本品を内径45mm及び高さ40mmの質量既知の円筒容器に空気を入れないようにへらで均一に詰め,表面を平らにし,三角定規を用い,その頂角を90°の部分が容器の中心付近になるように侵入させ,ゆっくり回転させて容器の上部を底面として頂点を90°になるようにくりぬき,逆円すい形を作り,その質量を精密に量る.次に蓋をして45℃で15時間放置し,逆円すい形の頂部に溜まった流動パラフィンを温時,吸引採取し,その質量を正確に量るとき,その量は0.2%以下である.
強熱残分 0.5%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 一般外用剤.
医薬品添加物各条の部スクラロースの条を次のように改める。
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スクラロース
Sucralose
トリクロロガラクトスクロース
C12H19Cl3O8:397.63
本品は定量するとき,換算した脱水物に対し,スクラロース(C12H19Cl3O8)98.0~102.0%を含む.
性状 本品は白~淡灰白色の結晶性の粉末で,においはなく,味は極めて甘い.
本品は,水又はメタノールに溶けやすく,エタノール(99.5)にやや溶けやすい.
確認試験
(1) 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法の臭化カリウム錠剤法により測定し,本品のスペクトルと本品の参照スペクトルを比較するとき,両者のスペクトルは同一波数のところに同様の強度の吸収を認める.
(2) 本品2.5gをメタノール10mLに溶かし,試料溶液とする.この液につき,薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.試料溶液2μLを薄層クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に塩化ナトリウム溶液(1→20)/アセトニトリル混液(7:3)を展開溶媒として約15cm展開した後,薄層板を風乾する.これに薄めた硫酸(3→20)を均等に噴霧し,125℃で10分間加熱するときRf値0.4~0.6付近に黒色のスポットを認める.
旋光度 画像10 (11KB)
:+84.0~+87.5°(脱水物に換算したもの,1g,水,10mL,100mm).
純度試験
(1) 溶状 本品1.0gを水10mLに溶かすとき,液は無色澄明である.
(2) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液1.0mLを加える(10ppm以下).
(3) 類縁物質
(i) 他の塩化二糖類 本品2.5gをメタノール10mLに溶かし,試料溶液とする.この液0.5mLを正確に量り,メタノールを加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.これらの液につき,薄層クロマトグラフィーにより試験を行う.試料溶液及び標準溶液2μLずつを薄層クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次に塩化ナトリウム溶液(1→20)/アセトニトリル混液(7:3)を展開溶媒として約15cm展開した後,薄層板を風乾する.これに薄めた硫酸(3→20)を均等に噴霧し,125℃で10分間加熱するとき,試料溶液から得た主スポット以外のスポットは,標準溶液から得たスポットより濃くない(0.5%以下).
(ii) 塩化単糖類 本品2.5gを正確に量り,メタノール10mLを正確に加えて溶かし,試料溶液とする.別にD―マンニトール10.0gを量り,水に溶かし,正確に100mLとし,標準溶液(1)とする.別にD―マンニトール10.0g及び果糖40.0mgを量り,水に溶かし,正確に100mLとし,標準溶液(2)とする.試料溶液,標準溶液(1)及び標準溶液(2)5μLずつを薄層クロマトグラフィー用シリカゲルを用いて調製した薄層板にスポットする.次にp―アニシジン・フタル酸試液を均等に噴霧し,98~102℃で約10分間加熱する.加熱後直ちに黒色の背景で観察するとき,試料溶液のスポットの色は標準溶液(2)のそれよりも濃くない.ただし,標準溶液(1)のスポットが黒色となった場合は,加熱時間を短くし,試験を再度行う(果糖として0.16%以下).
(4) トリフェニルホスフィンオキシド 本品約0.1gを精密に量り,移動相に溶かして正確に10mLとし,試料溶液とする.別にトリフェニルホスフィンオキシド約0.1gを精密に量り,移動相に溶かして正確に10mLとする.この液1mLを正確に量り,移動相を加えて正確に100mLとする.更に,この液1mLを正確に量り,移動相を加えて正確に100mLとし,標準溶液とする.試料溶液及び標準溶液25μLずつを正確にとり,次の条件で液体クロマトグラフィーにより試験を行う.それぞれの液のトリフェニルホスフィンオキシドのピーク面積AT及びASを求める.次式によりトリフェニルホスフィンオキシドの量を求めるとき,150ppm以下である.
トリフェニルホスフィンオキシド(C18H15OP)の量(ppm)=MS/MT×AT/AS×100
MS:トリフェニルホスフィンオキシドの秤取量(g)
MT:本品の秤取量(g)
操作条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:220nm)
カラム:内径4.6mm,長さ15cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラフィー用オクタデシルシリル化シリカゲルを充填する.
カラム温度:40℃付近の一定温度
移動相:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル/水混液(67:33)
流量:トリフェニルホスフィンオキシドの保持時間が約2分になるように調整する.
(5) メタノール メタノール約0.25gを精密に量り,水を加えて正確に100mLとし,標準原液とする.別にt―ブチルアルコール約0.25gを精密に量り,水を加えて溶かして正確に100mLとし,内標準原液とする.また内標準原液2mLを正確に量り,水を加えて正確に250mLとし,内標準溶液とする.更に標準原液10mLを正確に量り,内標準原液を正確に2mL加え,水を加えて正確に250mLとし,標準溶液とする.標準溶液10mLを正確に量り,ヘッドスペース用バイアルに入れる.同様に,別のヘッドスペース用バイアルに本品約1.0gを精密に量り,内標準溶液10mLを正確に加え,検液とする.標準溶液と検液につき,次の試験条件でガスクロマトグラフィーのヘッドスペース法により試験を行い,t―ブチルアルコールのピーク面積に対するそれぞれメタノールのピーク面積の比QS及びQTを求める.次式によりメタノールの量を求めるとき,0.1%以下である.
メタノールの量(%)=MS/MT×QT/QS×2/5
MS:メタノールの秤取量(g)
MT:本品の秤取量(g)
ヘッドスペースサンプラーの操作条件
バイアル内平衡温度 60℃
バイアル内平衡時間 20分
トランスファーライン温度:180℃
シリンジ温度:100℃
加圧:115kPa,加圧時間:1分,注入時間:0.05分(試験方法の基準を満たす場合,機器メーカーの推奨値に従う.適切な感度が得られる場合,注入量の差異は許容される.)
試験条件
検出器:水素炎イオン化検出器
カラム:内径0.53mm,長さ60mフューズドシリカ管の内面に,ガスクロマトグラフィー用6%シアノプロピルフェニル―94%ジメチルシリコーンポリマーを厚さ3.0μmに被覆する.
カラム温度:40℃を1分間保持した後,毎分5℃で60℃まで昇温し,60℃に到達後,毎分40℃で240℃まで昇温し,240℃を5分間保持する.
キャリヤーガス:ヘリウム
注入口温度:180℃付近の一定温度
検出器温度:250℃付近の一定温度
スプリット比:スプリットレス
流量:メタノールの保持時間が約2分になるように調整する.
システム適合性
システムの性能:標準溶液につき,上記の条件で操作するとき,メタノール,t―ブチルアルコールの順に流出し,その分離度は5以上である.
システムの再現性:標準溶液につき,上記の条件で試験を6回繰り返すとき,t―ブチルアルコールのピーク面積に対するメタノールのピーク面積の比の相対標準偏差は2.0%以下である.
水分 2.0%以下(1g,容量滴定法,直接滴定).
強熱残分 0.7%以下(1g).
定量法 本品の換算した脱水物約1gに対応する量を精密に量り,水に溶かし,正確に100mLとする.この液10mLを正確に量り,水酸化ナトリウム溶液(1→10)10mLを加え,還流冷却器を付けて,30分間穏やかに煮沸する.冷後,希硝酸で中和し,0.1mol/L硝酸銀液で滴定する(電位差滴定法).同様の方法で空試験を行い,補正する.
0.1mol/L硝酸銀液1mL=13.25mg C12H19Cl3O8
貯法
保存条件 冷所(1~20℃)で保存する.
容器 密閉容器.
投与経路 経口投与.
参照赤外吸収スペクトル
スクラロース
医薬品添加物各条の部中鎖脂肪酸トリグリセリドの条を次のように改める。
109201
中鎖脂肪酸トリグリセリド
Medium Chain Fatty Acid Triglyceride
本品は主として飽和脂肪酸(CH3(CH2)nCOOH,nは4~10)のトリグリセリドよりなる.
性状 本品は無色~微黄色の澄明の液で,においはないか,又は僅かに特異なにおいがあり,味は緩和である.
本品はエタノール(95),ジエチルエーテル,シクロヘキサン又は石油エーテルと混和し,水と混和しない.
確認試験 本品0.1gにエタノール(95)2mLを加えて混和し,希硫酸5mLを加え,水浴中で30分間加熱した後,冷却するとき,低級脂肪酸の特異なにおいを発する.
酸価 0.5以下.
けん化価 320~385
水酸基価 10以下.
不けん化物 1.0%以下.
ヨウ素価 1.0以下.
純度試験
(1) アルカリ 本品2.0gに水10mLを加え,水浴中で加温し,激しく振り混ぜる.冷後,分離した水層にフェノールフタレイン試液1滴を加えるとき,液は無色である.
(2) 重金属 本品2.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(10ppm以下).
(3) ヒ素 本品1.0gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
水分 0.20%以下(2g,直接滴定).
強熱残分 0.10%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 経口投与,一般外用剤,舌下適用.
医薬品添加物各条の部トリアセチンの条を次のように改める。
004408
トリアセチン
Triacetine
C9H14O6:218.20
本品は定量するとき,トリアセチン(C9H14O6)99.0%以上を含む.
性状 本品は無色の僅かに粘性のある液で,においはなく,味は苦い.
本品はエタノール(95)と混和し,水にやや溶けやすい.
沸点:257~260℃
確認試験 本品数滴に少量のエタノール(95)及び硫酸を加えて加熱するとき,酢酸エチルのにおいを発する.
屈折率 画像13 (11KB)
:1.430~1.432
比重 画像14 (11KB)
:1.158~1.164
純度試験
(1) 酸 本品40.0gに中和エタノール40mLを加えて振り混ぜ,0.1mol/L水酸化カリウム・エタノール液0.20mL及びフェノールフタレイン試液3滴を加えるとき,液の色は赤色である.
(2) 重金属 本品4.0gをとり,エタノール(95)10mLに溶かし,第1法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(5ppm以下).
(3) ヒ素 本品1.0gをとり,第1法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
水分 0.15%以下(5g,直接滴定).
定量法 本品約1gを精密に量り,0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール液40mLを正確に加え,これに還流冷却器を付け,60~65℃の水浴中でしばしば振り混ぜ,1.5~2時間穏やかに加熱する.冷後,直ちに過量の水酸化カリウムを0.25mol/L硫酸で滴定する(指示薬:フェノールフタレイン試液3滴).
ただし,濁りを生じたときは,加温して溶かした後,滴定する.同様の方法で空試験を行う.
0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール液1mL=36.367mg C9H14O6
貯法 容器 気密容器.
投与経路 経口投与,一般外用剤,歯科外用及び口中用.
医薬品添加物各条の部トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルの条を次のように改める。
502095
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
Polyoxyethylene Glyceryl Triisostearate
PEG‐5 Glyceryl Triisostearate
本品は主としてイソステアリン酸とポリオキシエチレングリセリンのトリエステルからなる.
性状 本品は淡黄色油状~淡黄白色ろうようの物質で,僅かに特異なにおいがあり,味はやや苦い.
本品はエタノール(95)に溶けやすく,水に溶けにくい.
確認試験
(1) 本品0.5gに水10mL及びチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト(Ⅱ)試液5mLを加えてよく振り混ぜ,更にクロロホルム5mLを加え,振り混ぜて放置するとき,クロロホルム層は青色を呈する.
(2) 本品0.5gに水10mL及び水酸化カリウム試液10mLを加え,5分間煮沸した後,希塩酸を加えて酸性にするとき,微黄色の油分を分離する.
(3) 本品0.5gに水10mLを加えて振り混ぜ,臭素試液5滴を加えるとき,試液の色は消えない.
酸価 15以下.
純度試験
(1) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(2) ヒ素 本品1.0gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
乾燥減量 3.0%以下(1g,105℃,1時間).
強熱残分 1.0%以下(3g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 一般外用剤.
医薬品添加物各条の部2,2',2''―ニトリロトリエタノールの条を次のように改める。
523388
2,2',2''―ニトリロトリエタノール
2,2',2''‐Nitrilotriethanol
トリエタノールアミン
C6H15NO3:149.19
本品は主として2,2',2''―ニトリロトリエタノールからなり,通例ジエタノールアミン及びモノエタノールアミンを含む.
本品は定量するとき,換算した脱水物に対し,2,2',2''―ニトリロトリエタノール(C6H15NO3)として99.0~105.0%を含む.
性状 本品は無色~淡黄色の粘性の液で,僅かにアンモニアようのにおいがある.
本品は水又はエタノール(95)と混和する.
確認試験
(1) 本品1mLに硫酸銅(Ⅱ)試液0.1mLを加えるとき,液は青色を呈する.この液に水酸化ナトリウム試液5mLを加え,加熱濃縮して2mLとするとき,液の色は変化しない.
(2) 本品の水溶液(1→10)5mLにチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト(Ⅱ)試液1mL,水5mL及び塩化ナトリウム飽和溶液5mLを加えて振り混ぜるとき,液は赤色を呈する.これにイソアミルアルコール10mLを加えて振り混ぜるとき,イソアミルアルコール層は,ほとんど着色しない.
(3) 本品1mLを穏やかに加熱するとき,発生するガスは潤した赤色リトマス紙を青変する.
(4) 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法の液膜法により測定するとき,波数3370cm-1,2950cm-1,1455cm-1,1360cm-1,1283cm-1,1154cm-1,1038cm-1及び884cm-1付近に吸収を認める.
屈折率 画像16 (11KB)
:1.481~1.486
比重 画像17 (8KB)
:1.120~1.128
pH 本品1.0gを水10mLに混和した液のpHは10.5~11.5である.
純度試験
(1) 溶状 本品5mLを水15mLに混和するとき,液は澄明である.
(2) 重金属 本品1.0gをとり,第1法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(3) 鉄 本品2.0gに水10mL及び塩酸3mLを加えて溶かし,ペルオキソ二硫酸アンモニウム0.03g及び1―ブタノール性チオシアン酸カリウム試液10mLを加え,30秒間強く振り混ぜるとき,液の色は次の比較液より濃くない.
比較液:鉄標準液1.0mLをとり,以下同様に操作する(5ppm以下).
(4) ヒ素 本品1.0gをとり,第1法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
水分 0.5%以下(2g,直接滴定,ただし,水分測定用メタノールの代わりに水分測定用メタノール30mLにサリチル酸5gを加えて溶かしたものを用いる).
強熱残分 0.05%以下(2g).
定量法 本品約2gを精密に量り,水75mLを加えて振り混ぜた後,1mol/L塩酸で滴定する(指示薬:メチルレッド試液2滴).
1mol/L塩酸1mL=149.2mg C6H15NO3
貯法
保存条件 遮光して保存する.
容器 気密容器.
投与経路 静脈内注射,一般外用剤,舌下適用,殺虫剤.
医薬品添加物各条の部ハードファットの条を次のように改める。
[各条改正案]
108544
ハードファット
Hard Fat
本品は主として飽和脂肪酸〔CH3(CH2)nCOOH,nは6~16〕のトリグリセリドよりなる.
性状 本品は白色~微黄色のろう状固体で,においはないか,又は僅かに特異なにおいがあり,味はない.
本品を加温して融解するとき,無色~淡黄色の液体となる.
本品はジエチルエーテルと混和し,エタノール(95)に溶けにくく,水にほとんど溶けない.
確認試験 本品0.1gにエタノール(95)2mLを加え,加温して溶かし,希硫酸5mLを加え,水浴中で30分間加熱した後,冷却するとき,白色~黄白色の固体を析出する.これを分取し,ジエチルエーテル3mLを加えて振り混ぜるとき,固体は溶ける.
融点 30~45℃
酸価 2.0以下.
けん化価 210~255
水酸基価 70以下.
不けん化物 3.0%以下.
ヨウ素価 3.0以下.ただし,シクロヘキサンの代わりに酢酸(100)/シクロヘキサン混液(1:1)10mLを用いる.
純度試験
(1) 水分及び着色度 本品5.0gを水浴上で加熱して融解するとき,液は澄明で,水を分離析出しない.また,この液を10mmの層として観察するとき,無色~微黄色である.
(2) アルカリ 本品2.0gに水10mLを加え,水浴上で加温して融解し,激しく振り混ぜる.冷後,分離した水層にフェノールフタレイン試液1滴を加えるとき,液は無色である.
(3) 重金属 本品2.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(10ppm以下).
(4) ヒ素 本品1.0gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
強熱残分 0.10%以下(1g).
貯法 容器 密閉容器.
投与経路 一般外用剤,経皮,直腸膣尿道適用.
医薬品添加物各条の部フタル酸ジエチルの条を次のように改める。
101815
フタル酸ジエチル
Diethyl Phthalate
C12H14O4:222.24
本品は定量するとき,換算した脱水物に対し,フタル酸ジエチル(C12H14O4)99.0%以上を含む.
性状 本品は無色澄明の液で,においはないか,又は僅かに特異なにおいがある.
本品はエタノール(95)又はジエチルエーテルと混和し,水に極めて溶けにくい.
確認試験 本品につき,赤外吸収スペクトル測定法の液膜法により測定するとき,波数1729cm-1,1600cm-1,1285cm-1,1124cm-1及び745cm-1付近に吸収を認める.
屈折率 画像19 (11KB)
:1.499~1.504
比重 画像20 (11KB)
:1.118~1.125
酸価 0.1以下.
純度試験
(1) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(2) ヒ素 本品1.0gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
水分 0.5g/dL以下(1mL,電量滴定).
強熱残分 0.10%以下(5g).
定量法 本品約1gを精密に量り,0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール液50mLを正確に加え,還流冷却器を付け,水浴上で2時間加熱し,冷後,0.5mol/L塩酸で滴定する(指示薬:フェノールフタレイン試液1mL).同様の方法で空試験を行う.
0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール液1mL=55.56mg C12H14O4
貯法 容器 気密容器.
投与経路 経口投与.
医薬品添加物各条の部ペルーバルサムの条を次のように改める。
105114
ペルーバルサム
Peru Balsam
本品はペルーバルサムMyroxylon pereirae Klotzsch(Leguminosae)の皮部から得たバルサムである.
性状 本品は暗褐色の液で,バニラようのにおいがある.
本品はエタノール(95)に溶けやすく,ジエチルエーテル又は石油ベンジンに一部溶け,水にほとんど溶けない.
本品は層が薄いときは澄明で,空気中に放置しても固まらない.
確認試験 本品0.2mLにクロロホルム1mLを加えてよく振り混ぜた後,その1~2滴を窓板上に薄く広げ,熱風でクロロホルムを留去して得られた薄膜につき,赤外吸収スペクトル測定法の薄膜法により測定するとき,波数1717cm-1,1636cm-1,1450cm-1,1271cm-1,1026cm-1及び712cm-1付近に吸収を認める.
比重 画像21 (11KB)
:1.150~1.170
酸価 42~76 ただし,本品約1gを精密に量り,終点は電位差滴定法による.
けん化価 230~250 本品約3gを精密に量り,水酸化ナトリウム試液30mL及びジエチルエーテル60mLを加え,2~3分間振り混ぜた後,放置する.液が完全に分離した後,ジエチルエーテル層を速やかにろ過し,水浴上でジエチルエーテルを留去し,残留物を100℃で30分間乾燥する.この残留物(シンナメイン)の質量を量るとき,その量は本品の採取量の42~60%である.残留物をエタノール(95)25mLに溶かし,200mLのフラスコに入れ,正確に0.5mol/L水酸化カリウム・エタノール液25mLを加え,これに小還流冷却器又は長さ750mm,直径6mmの空気冷却器を付け,水浴中でしばしば振り混ぜて1時間穏やかに加熱する.冷後,フェノールフタレイン試液1mLを加え,直ちに0.5mol/L塩酸で過量の水酸化ナトリウムを滴定する.ただし,冷時濁りを生じるときは,温時滴定する.別にエタノール(95)25mLを空試験液として,同様の方法で空試験を行う.次式によりけん化価を求める.
けん化価=(a-b)×28.05/M
M:残留物(シンナメイン)の質量(g)
a:空試験における0.5mol/L塩酸の消費量(mL)
b:残留物を用いたときの0.5mol/L塩酸の消費量(mL)
純度試験
(1) 異物 本品5滴を試験管にとり,石油ベンジン6mLを加えて振り混ぜるとき,のり状の不溶物が管壁に付く以外,粉状の残留物を認めない.
(2) 脂肪油 本品1.0gは抱水クロラール3gを水2mLに溶かした液に,澄明に溶ける.
(3) ロジン (4)で得たろ液4mLに酢酸銅(Ⅱ)一水和物溶液(1→200)10mLを加えて振り混ぜるとき,石油ベンジン層は緑色~青紫色を呈しない.
(4) テレビン油及びその他のバルサム 本品2.0gに石油ベンジン10mLを加えて激しく振り混ぜてろ過し,ろ液4mLを60℃以下で蒸発するとき,残留物はベンズアルデヒド又はテレビン油のにおいを発しない.また,その残留物3滴を無水酢酸10滴に溶かし,硫酸2滴を加えるとき,液は紫赤色~紫青色を呈しない.
貯法
保存条件 遮光して保存する.
容器 気密容器.
投与経路 直腸膣尿道適用,一般外用剤.
医薬品添加物各条の部ポリ塩化ビニルの条を次のように改める。
111794
ポリ塩化ビニル
Polyvinyl Chloride
本品は塩化ビニル(CH2=CHCl)を懸濁重合により製した直鎖重合物で,平均重合度は800~1500である.
性状 本品は白色の粉末で,におい及び味はない.
本品はテトラヒドロフランに溶けやすく,水,エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
確認試験 本品を乾繰し,赤外吸収スペクトル測定法の臭化カリウム錠剤法により測定するとき,波数2950cm-1,1420cm-1,1240cm-1,1070cm-1,960cm-1及び700cm-1付近に吸収を認める.
純度試験 塩化ビニル 本品1.0gをとり,20mLのメスフラスコに入れる.これにガスクロマトグラフィー用テトラヒドロフラン約10mLを加え,冷所で時々振り混ぜて溶かした後,冷却しながら,あらかじめ冷却したガスクロマトグラフィー用テトラヒドロフランを加えて20mLとし,試料溶液とする.試料溶液及び塩化ビニル標準液2μLにつき,次の条件でガスクロマトグラフィーにより試験を行う.それぞれの液の塩化ビニルのピーク高さHT及びHSを測定するとき,HTはHSより大きくない.
操作条件
検出器:水素炎イオン化検出器
カラム:内径約3mm,長さ2~3mの管にガスクロマトグラフィー用ポリプロピレングリコールを150~180μmのガスクロマトグラフィー用ケイソウ土に10~15%の割合で被覆したものを充填する.
カラム温度:60~70℃の一定温度
キャリヤーガス:窒素
流量:塩化ビニルの保持時間が約1.5分になるように調整する.
カラムの選定:塩化ビニル標準液2μLにつき,上記の条件で操作するとき,塩化ビニル,エタノールの順に流出し,それぞれのピークが完全に分離するものを用いる.
検出感度:塩化ビニル標準液2μLから得た塩化ビニルのピーク高さが50~70mmになるように調整する.
乾燥減量 1.0%以下(1g,105℃,2時間).
強熱残分 0.5%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 一般外用剤.
医薬品添加物各条の部ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5の条を次のように改める。
108489
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5
Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 5
ポリオキシエチレングリセリントリオキシステアリン酸5
本品はヒマシ油に水素を添加して得た硬化油に,酸化エチレンを付加重合させて得た非イオン界面活性剤で,酸化エチレンの平均付加モル数は約5である.
性状 本品は無色~微黄色の液で,僅かに特異なにおいがある.
本品はエタノール(95)又はクロロホルムと混和し,水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
確認試験
(1) 本品0.5gに水10mL及びチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト(Ⅱ)試液5mLを加えてよく振り混ぜ,更にクロロホルム5mLを加え,振り混ぜて放置するとき,クロロホルム層は青色を呈する.
(2) 本品0.5gに水10mLを加えて振り混ぜ,臭素試液5滴を加えるとき,試液の色は消えない.
酸価 3.0以下.
けん化価 140~150
水酸基価 123~133
純度試験 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
水分 3.0%以下(1g,直接滴定).
強熱残分 0.10%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 一般外用剤.
医薬品添加物各条の部ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10の条を次のように改める。
109891
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10
Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 10
ポリオキシエチレングリセリントリオキシステアリン酸10
本品はヒマシ油に水素を添加して得た硬化油に,酸化エチレンを付加重合させて得た非イオン界面活性剤で,酸化エチレンの平均付加モル数は約10である.
性状 本品は無色~微黄色の液で,僅かに特異なにおいがあり,味はやや苦い.
本品はエタノール(95),酢酸エチル又はクロロホルムと混和し,水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
確認試験
(1) 本品0.5gに水10mL及びチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト(Ⅱ)試液5mLを加えてよく振り混ぜ,更にクロロホルム5mLを加え.振り混ぜて放置するとき,クロロホルム層は青色を呈する.
(2) 本品0.5gに水10mLを加えて振り混ぜ,臭素試液5滴を加えるとき,試液の色は消えない.
酸価 1.0以下.
けん化価 113~127
水酸基価 98~118
純度試験
(1) 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
(2) ヒ素 本品1.0gをとり,第3法により検液を調製し,試験を行う(2ppm以下).
水分 2.0%以下(1g,直接滴定).
強熱残分 0.10%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 一般外用剤.
医薬品添加物各条の部ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20の条を次のように改める。
110371
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20
Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 20
ポリオキシエチレングリセリントリオキシステアリン酸20
本品はヒマシ油に水素を添加して得た硬化油に,酸化エチレンを付加重合させて得た非イオン界面活性剤で,酸化エチレンの平均付加モル数は約20である.
性状 本品は無色~微黄色の粘性の液又は白色~微黄色のワセリンようの物質で,僅かに特異なにおいがある.
本品はエタノール(95)又は酢酸エチルと混和し,水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない.
確認試験
(1) 本品0.5gに水10mL及びチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト(Ⅱ)試液5mLを加えてよく振り混ぜ,更に1―ブタノール5mLを加え,振り混ぜて放置するとき,1―ブタノール層は青色を呈する.
(2) 本品0.5gに水10mLを加えて振り混ぜ,臭素試液5滴を加えるとき,試液の色は消えない.
pH 本品1.0gに水20mLを加え,加温して振り混ぜた液のpHは4.5~8.0である.
酸価 1.0以下.
けん化価 87~97
水酸基価 76~90
純度試験 重金属 本品1.0gをとり,第2法により操作し,試験を行う.比較液には鉛標準液2.0mLを加える(20ppm以下).
水分 2.0%以下(1g,直接滴定).
強熱残分 0.10%以下(1g).
貯法 容器 気密容器.
投与経路 一般外用剤.
医薬品添加物各条の部ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40の条を次のように改める。
105361
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40
Polyoxyethylene Hydrogenated Castor Oil 40
ポリオキシエチレングリセリントリオキシステアリン酸40
本品はヒマシ油に水素を添加して得た硬化油に,酸化エチレンを付加重合させて得た非イオン界面活性剤で,酸化エチレンの平均付加モル数は約40である.
性状 本品は無色~微黄色の粘性の液又は白色~微黄色のワセリンようの物質で,僅かに特異なにおいがあり,味はやや苦い.
本品は酢酸エチル又はクロロホルムに極めて溶けやすく,エタノール(95)に溶けやすく,水に溶けにくく,ジエチルエーテルにほとんど溶けない.
確認試験
(1) 本品0.5gに水10mL及びチオシアン酸アンモニウム・硝酸コバルト(Ⅱ)試液5mLを加えてよく振り混ぜ,更にクロロホルム5mLを加え,振り混ぜて放置するとき,クロロホルム層は青色を呈する.
(2) 本品0.5gに水10mLを加えて振り混ぜ,臭素試液5滴を加えるとき,試液の色は消えない.
凝固点 19~23℃
pH 本品1.0gに水20mLを加え,加温して溶かした液のpHは4.5~8.0である.