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○ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA―ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(周知依頼)

(令和4年2月18日)

(薬生安発0218第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)

(公印省略)

医療機器の安全対策については、平素から格別の御高配を賜り厚く御礼申し上げます。

ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等(以下「患者等」という。)に対する情報提供については、「ゲル充填人工乳房及び皮膚拡張器植込み患者等における乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA―ALCL)の発生及び植込み患者等に対する情報提供について(周知依頼)」(令和3年7月30日付け薬生安発0730第4号厚生労働省医薬・生活衛生局医薬安全対策課長通知)等により、一般社団法人 日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会、一般社団法人 日本形成外科学会、一般社団法人 日本乳癌学会及び一般社団法人 日本美容外科学会(JSAPS)(以下「4学会」という。)が公表した患者等に向けた情報提供資料(以下「情報提供文書」という。)について、幅広い周知へのご協力をお願いしてきたところです。

今般、別添1のとおり、4学会より、本邦3,4例目(両方とも未承認のゲル充填人工乳房を植込んだ患者)となる乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA―ALCL)の発生に係る公表がされ、公表に伴い、別添2のとおり、情報提供文書が改訂されました。情報提供文書等においては、定期診察・自己検診の重要性について再周知がされるとともに、インプラント埋入からBIA―ALCLの発症までの期間に係る情報、本邦において使用可能な製品に関する安全性情報等が更新されました。

つきましては、ゲル充填人工乳房による乳房再建を希望されている方、ゲル充填人工乳房による乳房再建を受けた方に対して、正確な情報を広く提供することが極めて重要であることから、情報提供文書の内容について、各地方自治体の広報誌への掲載、SNS(ソーシャルネットワークサービス)を利用した情報提供など、再度の幅広い周知にご協力をお願いいたします。

なお、最新の情報提供文書は、一般社団法人日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会ホームページから入手可能です。

URL:http://jopbs.umin.jp/general/

[別添1]

2022年2月18日

国内3,4例目のBIA―ALCL(乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫)発生について

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会(JOPBS)理事長

日本形成外科学会(JSPRS)理事長

日本乳癌学会(JBCS)理事長

日本美容外科学会(JSAPS)理事長

このたびJOPBS認定実施施設より国内3,4例目となるBIA―ALCL発生に関する報告があり、学会としても診断を確認しました。

3例目:術後8年

4例目:術後11年

いずれも当時の薬事未承認品であり、定期検診を受け、自己検診もされている中で、しこりの自覚から受診されました。その後、精査が行われ確定したものです。いずれの症例も乳房インプラントおよび被膜・腫瘤を摘出し、血液内科的治療について1例は施行中、1例は予定しています。

BIA―ALCLについては定期診察・自己検診が重要であることを改めてご理解ください。

担当医におかれましては、ガイドラインに準拠する乳房インプラントの登録と経過観察、そして疑い症例があった場合は、所属学会もしくはJOPBSに直接ご相談いただくようにお願いいたします。

[別添2]

2022年2月

乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を希望されている方へ

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会

日本形成外科学会

日本乳癌学会

日本美容外科学会(JSAPS)

乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated‐Anaplastic Large Cell Lymphoma(BIA―ALCL))という疾患があります。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。主に表面の性状がザラザラなインプラントを使用した症例で発生します。

2019年7月まで国内で使用されていたアラガン社の製品は、表面の性状がザラザラで、凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプに該当し、BIA―ALCLのリスクが他のタイプよりも高いため、出荷停止となっています。

これらの製品の代替品として、北米・欧州などで流通するスムーズタイプ(表面の性状がつるつる)、マイクロテクスチャードタイプ(表面の性状がザラザラで凸凹が浅く表面積が小さいタイプ)、欧州などで流通するスムーズシルク(スムーズタイプに分類され、表面の凸凹や表面積が極めて小さいタイプ)の下記の製品が認可されました。

■ 乳房再建用ティッシュエキスパンダー

・ナトレル133S(アラガン社)

スムーズタイプ、アナトミカル型(しずく型)で、注入ポートが内包されています。ポートは磁性体を含むため、留置中はMRI撮影が禁止されています。

・MOTIVA FLORA(エスタブリッシュメントラブス社)

スムーズシルク、アナトミカル型で、注入ポートが内包されています。使用されているポートは磁性体を含まないため、留置中のMRI撮影が可能です。

■ 乳房インプラント

1.スムーズタイプのインプラント

全てラウンド型(おわん型)です。スムーズタイプのインプラントはBIA―ALCLのリスクは限りなく低くなります。

アラガン社のInspiraシリーズとシエントラ社のSientraブレストインプラントがあります。

日本人の一般的な乳房と形状が異なること、破損や被膜拘縮等の合併症に注意が必要です。

2.マイクロテクスチャードタイプのインプラント

シエントラ社のラウンド型(おわん型)とアナトミカル型(しずく型)のインプラントがあります。乳房の形態によっては、アナトミカル型の方が適合しやすい場合もありますが、種類が少ないことと、術後インプラント回転などの合併症の可能性があります。

BIA―ALCLの発生率は明らかになっていませんが、2020年8月までに報告されている733例のBIA―ALCL発症例のうち、シエントラ社(マイクロテクスチャードタイプ・国内承認品)の製品は10例と報告されています。

3.スムーズシルクのインプラント

2021年12月に新しくエスタブリッシュメントラブス社のラウンド型(おわん型)のインプラントが認可されました。使用例でのBIA―ALCL発症の報告はなく(2022年2月現在)、スムーズタイプと同様にBIA―ALCLのリスクは限りなく低くなります。

出荷停止となったアラガン社製品を使用した症例でのBIA―ALCL発症は、2020年8月までに620例(約2200―3300人に1人)、国内では4例(2022年2月現在)が報告されています。他の会社のインプラントを含めると、2021年1月までに、全世界で900例以上の発症が報告されています(アメリカ形成外科学会HP)。

BIA―ALCLは、インプラントを入れてから平均7―9年ほどで発症する可能性があり、症状としてはインプラント周囲に液体がたまって胸が大きく腫れることや、インプラント周囲のしこりなどがあります。BIA―ALCLを発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒するとされています。

本学会では、インプラントの破損や合併症の発見のために2年に1度の画像検査を推奨してまいりました。このBIA―ALCLにおいては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、引き続き一生涯の自己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じた場合にも受診をお願いいたします。

* 内容に関して不明点がありましたら,日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(e―mail:jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。

2022年2月

出荷停止となった乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)による乳房手術を受けた方へ

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会

日本形成外科学会

日本乳癌学会

日本美容外科学会(JSAPS)

乳房再建術や豊胸術後に生じるまれな合併症として、乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(Breast Implant Associated‐Anaplastic Large Cell Lymphoma(BIA―ALCL))という疾患があります。この疾患はT細胞性のリンパ腫と呼ばれるもので、乳がんとは異なる悪性腫瘍です。

わが国で認可され、乳房再建などを目的として臨床使用されてきたインプラントであるアラガン社のナトレル410,110,115,120は、Biocell(バイオセル)という表面構造を持ちます。これは、表面の性状がザラザラしていて凸凹が深く表面積が大きいマクロテクスチャードタイプで、この疾患のリスクが他のタイプよりも高いと報告されています。

このため、2019年7月24日(現地時間)に米国の厚生労働省にあたるFDAの指導の下、アラガン社が全世界を対象として同社のBiocellを用いた製品の自主回収(リコール)を決定いたしました。これに伴い、日本国内でも使用できなくなりました。

世界的には、このインプラントが挿入されている方のうち約2200―3300人に1人(0.030―0.045%)にこのリンパ腫が発生すると報告されています。日本でも4人の発症が報告されました。他の会社のインプラント含めると、2021年1月までに、全世界で900以上の発症が報告されています(アメリカ形成外科学会HP)。インプラントを入れてから平均7―9年ほどで発症する可能性があり、症状としてはインプラント周囲に液体がたまって胸が大きく腫れることや、インプラント周囲のしこりなどがあります。

BIA―ALCLを発症しても、多くの場合はインプラントとその周囲の組織を切除することで治癒するとされています。一方で、発見が遅れた場合や切除しきれない場合には化学療法や分子標的薬、放射線治療等の追加治療が必要となり、死亡した例(2020年8月までに報告された世界での発症733例のうち36例・4.9%)も報告されています。

該当の乳房インプラントが挿入されている方については、発症リスクは0.030―0.045%と低く、摘出手術に伴う出血等のリスクが上回ると考えられるため、症状のない方に対する予防的なインプラントの摘出は必要ありません。腫れやしこりがないかをご自身でチェックするとともに、医療機関での定期受診をお願いします。FDAやそれよりも前に流通停止を決定していたEU、カナダにおいても同様の見解です。

本学会では、インプラントの破損や合併症の発見のために2年に1度の画像検査を推奨してまいりました。このBIA―ALCLにおいては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、引き続き一生涯の自己検診と医療機関での定期検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じた場合にも受診をお願いいたします。

* 内容に関して不明点がありましたら日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(e―mail:jopbs-office01@shunkosha.com)までお問い合わせください。

2022年2月

乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(BIA―ALCL)についてよくあるご質問

日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会

日本形成外科学会

日本乳癌学会

日本美容外科学会(JSAPS)

Q1:乳房インプラント関連未分化大細胞型リンパ腫(以下BIA―ALCLと略示)とは何ですか?

A:BIA―ALCLは、乳房再建術または乳房増大(豊胸)術で乳房インプラント(ゲル充填人工乳房)を挿入された方に発症する可能性がある発症頻度の低いT細胞性非ホジキンリンパ腫の型の一つです。乳腺組織から発生する癌(乳腺悪性腫瘍)とは異なるもので、インプラント周囲に形成される被膜組織から発生する増殖性の腫瘍です。ALCLは、他の人工物(整形外科用インプラント、歯科インプラント、注入ポート等)埋入症例でも報告されています。多くの場合、手術後に一定期間経過したにもかかわらずインプラント周囲に増生する貯留液や被膜の腫瘤形成などにより乳房が腫大する兆候がみられます。他のALCLと異なり緩徐に進行し、手術後の適切な定期健診において確認された場合においては、外科的治療などにより十分治癒が見込めます。しかし、治療開始が遅延したことで化学療法や放射線治療が必要となる場合や、非常に稀ではありますが死亡に至った症例も報告されています。

Q2:BIA―ALCLが疑われる場合、どのような症状がみられますか?

A:一般的には、乳房インプラントを挿入してから一定期間(平均7―9年)経過してから乳房が腫大する(乳房が大きくなる)兆候がみられます。その他、乳房や脇にしこりを触知する、乳房の変形や潰瘍形成がみられる、痛みを自覚するといった症状がみられることもあります。ほとんどの場合、画像検査でインプラント周囲に持続的な液体貯留が確認されます。

Q3:BIA―ALCLが発症しやすくなる要因はありますか?

A:インプラントの表面性状が発症リスクに関与している可能性があります。これまでのところ、インプラント外殻の性状がテクスチャード(表面がざらざらした性状)タイプの使用例での発症が報告されている一方で、スムーズタイプ(表面がつるつるした性状)のインプラントしか埋入したことのない症例での報告はありません。しかしながら、これまでの情報だけではスムーズタイプでの発症を完全には否定できるわけではありません。現時点で、免疫反応、遺伝的要因、インプラントを取り囲む生体膜への細菌感染の関与も疑われていますが、はっきりとしたことは分かっておりません。

Q4:BIA―ALCLは知っておくべき情報ですか?

A:すべての乳房インプラント手術を受ける前に正しい情報を知っておくことが必要です。BIA―ALCLを発症することは稀ですが、正しい情報を知らなかったために、治療が遅延してしまう可能性があります。これにより、負担の大きい治療が必要となるケースや、場合によっては重篤な結果に至ることも考えられます。BIA―ALCLを疑う典型的な症状や手術後の定期診察の重要性を理解することは不可欠といえます。

Q5:インプラントの性状の違いが発症率に影響しますか?

A:BIA―ALCLは、マクロテクスチャード(表面構造の凹凸や表面積が大きい)タイプのインプラントで発生しやすいようです。2019年7月まで日本の保険診療内で使用されていた乳房インプラントはこれに含まれますが、現在は販売中止となっており使用できません。現在は、発症例が世界で10例の比較的安全なテクスチャード・インプラント(アナトミカル・タイプもあり)の使用は認められています。

現在使用できるアラガン社のスムーズ(表面構造の凹凸や表面積が非常に小さい)タイプのインプラントについては、これ単独の使用例での発症の報告はないとされています。しかし、これを完全には否定できるわけではなく、これまで1例につき、スムーズタイプのみでの発症の可能性があるとしてFDA(アメリカ食品医薬品局:Food and Drug Administration)によって調査が行われています。またスムーズタイプに分類される表面性状を持つエスタブリッシュメントラブス社のインプラント(現在のところラウンド・タイプのみ)も承認されました。こちらについても、これまでBIA―ALCLの発症例の報告はありませんが、今後発症の報告が出てくる可能性が否定できないことに変わりありません。

Q6:どのような患者においてリスクが高くなりますか?

A:公表されたデータおよび研究に基づくBIA―ALCLの現在の危険因子は以下のように考えられております。

1.インプラントの表面タイプ

テクスチャードタイプのインプラントに発症しやすい傾向がみられます。

2.遺伝的素因

人種間で発症率が異なることが示唆されています。

3.炎症、感染、アレルギー反応

何らかの理由によって炎症、感染、アレルギー反応を生じやすい方に関与しやすいという見方がありますが、これについては確かなことはほとんど分かっておりません。

4.経過時間

BIA―ALCLは多くの場合、インプラントの留置から一定期間(平均7―9年間)経てから発生することが分かっています。

Q7:BIA―ALCLの発生頻度を教えてください

A:現在発表されている海外におけるBIA―ALCLの発生頻度は、テクスチャードタイプ全体では約2,200―86,000人に1人の割合とされています。米国における生涯罹患リスクは1/30,000と推察され、オーストラリアおよびニュージーランドからは、1/1,000―1/10,000と報告されております。今回問題となったアラガン社のテクスチャードタイプ製品に関しては約2,200―3,300人に1人の割合とされています。これまでにアジアでの報告は日本の4例を含めた10例のみ(2022年2月現在)で、この違いは、地理的・遺伝的要因に由来している可能性が示唆されています。

Q8:BIA―ALCLの可能性が疑われた場合、どのような検査や処置が必要ですか?

A:BIA―ALCLであることを否定するために以下の流れで画像検査や穿刺細胞診、あるいは外科処置を行うことが勧められます。まずはインプラント周囲の貯留液と被膜の腫瘤形成の有無を超音波検査(もしくはその他の画像診断)で検索します。貯留液が確認されたら、医療用針を用いてこれを採取し、含有細胞の特殊検査を行います。腫瘤形成がみられた場合は、特殊な針を用いるか、外科的にその組織を採取し病理組織診断を行います。万が一BIA―ALCLと診断された場合は、病気の広がりを検索する画像検査を行ったうえで、被膜を含むインプラントの外科的全切除、あるいはその他の補助療法を用いて治療を行います。

Q9:BIA―ALCLの治療と予後について教えてください。

A:多くの場合は、挿入されているインプラントを、インプラント周囲に形成される被膜組織とともに切除します。周囲にしこりがあれば一緒に切除します。BIA―ALCLの予後は腫瘍のステージによって変わります。ステージとは腫瘍の進行度を分類したもので、以下のようにⅠからⅣに分かれます。

ステージⅠ 腫瘍が被膜内にとどまるもの

ステージⅡ 被膜を超えて広がる、またはリンパ節転移を認めるもの

ステージⅢ 被膜を超えて広がり、かつリンパ節転移を認めるもの

ステージⅣ 遠隔転移を認めるもの

ステージⅠで腫瘍が完全切除された場合、再発は少なく、治癒が期待できます。一方完全切除できなかった場合やステージⅡ以上では、化学療法や放射線治療が必要になり、この場合の予後は進行度に応じて不良となります。全ステージを含めた5年生存率は91%と報告されています。

Q10:BIA―ALCLに関する国内外の動向を教えてください。

A:世界で多くの症例で使用されてきたマクロテクスチャード(表面の凹凸や表面積が大きい)タイプのインプラントがBIA―ALCLの発症に関与していることが明らかになってきました。日本で使用しているアラガン社のマクロテクスチャードタイプのインプラントおよびティッシュエキスパンダーもこれにもれず、他社の製品と比較してBIA―ALCLの発生リスクが6倍になるなどのFDA(アメリカ食品薬品局)の情報から、2019年7月25日未明にFDAの要請により自主回収、販売停止となりました。このため日本においても同社の該当製品は使用できない状況となっております。ただしスムーズ(表面がつるつるした)タイプのインプラントについてはBIA―ALCL発症との関与を疑うような証拠は見つかっておらず、現在これを使用できます。またシエントラ社のスムーズタイプとマイクロテクスチャード(スムーズタイプより表面の凹凸や表面積も大きいが、マクロテクスチャードより小さい)タイプのインプラントも使用できるようになりました。これまで、このマイクロテクスチャードタイプのインプラント使用例での10例のBIA―ALCL発症が報告されておりますが、死亡例はありません。さらにエスタブリッシュメントラブス社のスムーズタイプに分類される表面構造を持つ(表面の凹凸や表面積が極めて小さい:国際規格ISO―14607:2018参照)インプラントも使用できます。このインプラントについても、現在までBIA―ALCL発症の報告はありません。

Q11:BIA―ALCLによる死亡例はありますか?

A:2020年1月5日時点においてFDAは、世界で733例のBIA―ALCL発症が疑われ、そのうち死亡例が36例あったと公表しています。日本では死亡例はありません。

Q12:乳房インプラントによる乳房再建を受けましたが、インプラントを予防的に除去すべきですか?

A:症状のない患者さんに対するインプラントの予防的除去は現時点では必要ありません。世界的にみても、症状のない方に対する予防的なインプラントの摘出を現時点で推奨している国はありません。

Q13:乳房インプラントによる乳房再建を受けましたが、BIA―ALCLの検査を受けるべきですか?

A:症状のない患者さんでは、BIA―ALCLを発見するための確立された検査方法はありません。手術を受けた医療機関で定期的に診察を受けてください。一方、症状、特に乳房の腫れやしこりがある患者さんはすぐに主治医に相談してください。

Q14:乳房インプラントによる乳房再建を受けましたが、どのような間隔で医療機関に行けばいいですか?

A:手術を受けた医療機関で主治医の指示に従ってください。学会では、インプラントの破損や合併症の発見のために2年に1度の画像検査を推奨してまいりました。このBIA―ALCLにおいては、まれな疾患ですが早期発見が重要となりますので、引き続き一生涯の定期検診と自己検診の継続をお願いいたします。また、異常を感じた場合にも受診をお願いいたします。

内容に関するお問い合わせは日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会事務局(e―mail:jopbs-office01@shunkosha.com)までご連絡ください。