○医療用医薬品の薬価基準収載等に係る取扱いについて
(令和4年2月9日)
(/医政発0209第1号/保発0209第2号/)
(地方厚生(支)局長・都道府県知事あて厚生労働省医政局長・厚生労働省保険局長通知)
(公印省略)
標記については、これまで「医療用医薬品の薬価基準収載等に係る取扱いについて」(令和2年2月7日医政発0207第2号、保発0207第2号。以下「旧通知」という。)により取り扱ってきたところであるが、令和4年度薬価改定に伴い、別添のとおり「医療用医薬品の薬価基準収載等に係る取扱いについて」が改正され、令和4年4月1日以降、これによることとしたので、その取扱いに遺漏のないよう、貴管下の保険医療機関、審査支払機関等に対して周知徹底を図られたく通知する。
なお、旧通知は、令和4年3月31日をもって廃止する。
(別添)
医療用医薬品の薬価基準収載等に係る取扱いについて
(令和4年2月9日)
(中央社会保険医療協議会了解)
1 新医薬品の薬価基準収載手続
新医薬品の薬価基準収載の手続は、次のとおりであること。
なお、「薬価算定の基準について」(令和5年2月15日保発0215第2号)第2章第3部4の新規収載品の薬価基準収載の手続並びに第3章第6節の条件・期限付承認を受けた再生医療等製品の特例の手続及び第8節2本文なお書の薬価改定の手続についても、これに準じて行うこと。
(1) 新医薬品の薬価基準収載希望書
① 新医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第14条の4第1項に掲げる新医薬品をいう。以下同じ。)の薬価基準への収載手続は、新医薬品の収載を希望する製造販売業者(以下「新薬収載希望者」という。)が、別紙様式1又は2に定める薬価基準収載希望書を提出することにより行われるものであること。
なお、当該希望書は、医薬品医療機器等法に基づく承認を受けた当該新医薬品について、承認後1週間を経過した日又は承認前の直近の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会又は医薬品第二部会(以下「医薬品部会」という。)終了後から3週間を経過した日のいずれか早い日(薬事・食品衛生審議会薬事分科会において審議される医療用医薬品又は緊急に薬価基準への収載を必要とする抗HIV薬等について、特別に期限を指定した場合には、当該期限内)までに提出すること。
ただし、当該新医薬品の迅速な供給が困難であることその他新薬収載希望者に特別の事情がある場合には、この限りでない。この場合、薬価基準収載希望書は、別に指定する期限までに提出すること。
② ①(又は③)により薬価基準収載希望書を提出する場合であって、「薬価算定の基準について」第1章22に規定する原価計算方式による算定を希望する場合及び原価計算方式による算定が妥当と判断される可能性が否定できない場合(厚生労働省より原価計算方式による算定を検討する必要があるとの指摘を受けた場合に限る。)には、当該新薬収載希望者が希望する係数を用いた薬価基準収載希望書及び当該算定に必要な資料を提出すること。なお、当該新医薬品が輸入医薬品である場合、新薬収載希望者は、薬価算定組織における輸入原価の妥当性の評価に資するため、輸入先国における価格(当該輸入医薬品が原体である場合の当該原体の輸入先国における価格を含む。)の状況、日本以外の国への輸出価格の状況等の輸入原価設定の根拠となる資料を提出すること。
なお、薬価算定組織が日本への輸入価格・製造原価を確認する必要があると認める場合には、薬価収載後も輸入価格・製造原価を証明する資料を提出すること。
③ 新薬収載希望者からの申し出により、薬価基準収載希望書の取り下げがあった場合には、再度、薬価基準収載希望書を提出することを妨げない。ただし、この場合、薬価基準収載希望書は、別に指定する期限までに提出すること。
(2) 新医薬品の薬価基準収載の時期等
新医薬品の薬価基準収載が施行されるまでの標準的な事務処理期間は、当該新医薬品の承認から原則として60日以内、遅くとも90日以内とする。
ただし、(1)による新医薬品の薬価基準収載希望書が指定された期限内に提出されない場合、(4)⑤又は(5)によって決定された薬価算定案等に不服がある場合、(1)①のただし書若しくは③に該当する場合、薬価基準収載希望書に係る不備の補正の指示に応じない場合、必要な資料が指定された期限内に提出されない場合には、この限りでない。
(3) 新薬収載希望者からの意見聴取等
① 新医薬品の薬価基準への収載に係る事務を円滑に進めるため、薬価基準収載希望書の提出期限前に、薬価基準収載希望書に添付して提出すべき書類について、別に定めるところにより事前提出を求めることができるものとする。
当該書類の事前提出があった場合においては、別に日時を定め、当該新薬収載希望者の意見を事前に聴取することができるものとする。
② 新薬収載希望者から新医薬品に係る薬価基準収載希望書の提出があった場合には、予め当該新薬収載希望者の意見を聴取する機会を設ける。
この際の意見聴取の時期及び場所は、原則として、意見聴取実施予定日の少なくとも1週間前に通知するものとする。
ただし、①による意見聴取が行われた場合においては、新薬収載希望者との合意により、薬価基準収載希望書の提出後の意見聴取を行わないことができるものとする。
(4) 薬価算定組織の関与と中医協の承認
薬価基準収載希望書の内容を審査のうえ、次の手順に従い、薬価基準への収載における取扱いを決定する。
① 薬価基準収載希望書の提出のあった新医薬品の薬価算定に関し、次の事項について薬価算定組織の専門的見地からの検討を経て薬価算定案等を策定する。
なお、薬価算定組織の検討にあたっては別に定める基本方針による。
ア 類似薬の有無(算定方式の妥当性)
イ 類似薬・最類似薬選定の妥当性
ウ 補正加算適用の妥当性(加算要件への適否、加算適用が妥当とする場合の加算率)
エ 製品製造原価及び係数(新薬収載希望者が希望する係数を含む。)の妥当性(原価計算方式の場合に限る。)
オ 新薬創出・適応外薬解消等促進加算の該当性
カ 費用対効果評価の指定基準の該当性
キ 薬価算定案等に対する新薬収載希望者の不服の妥当性
② 薬価基準収載希望書を提出した新薬収載希望者であって、薬価算定組織における意見陳述を希望するものは、予め定められた時間の範囲内で薬価算定組織に出席して直接の意見表明を行うことができる。
この際、当該新医薬品の開発における臨床試験に関与した者が新薬収載希望者に同行して意見を表明することができる。
③ 薬価算定組織の検討を経た薬価算定案等を、中医協総会での審議の前に、その理由を付して新薬収載希望者に通知する。
④ 通知した薬価算定案等について不服がある新薬収載希望者は、1回に限り、別紙様式3に定める薬価算定案等不服意見書を別に指定する期限までに提出することができる。この場合、通知された薬価算定案等が適当ではないと主張する理由について「薬価算定の基準について」に基づいて説明する資料を根拠とともに添付する。
⑤ 薬価算定案等不服意見書を提出した新薬収載希望者は、予め定められた時間の範囲内で薬価算定組織に出席して直接の意見表明を行うことができる。
この際、当該新医薬品の開発における臨床試験に関与した者が新薬収載希望者に同行して意見を表明することができる。
当該意見を踏まえ薬価算定組織において検討を行い、再度薬価算定案等を決定する。この薬価算定案等を予め新薬収載希望者に通知し、さらに不服がないことを確認する。
⑥ 新薬収載希望者の不服がないことが確認された新医薬品の薬価算定案等について中医協総会で審議し、その了承を求める。
(5) 中医協総会の審議結果の通知
中医協総会の審議結果について、その了承の有無及び了承され薬価収載が決定された新医薬品については、次の事項を新薬収載希望者に対し通知する。
① 品名、規格単位、決定された薬価
② 薬価収載予定日
③ 保険適用上の取扱い(特に必要な品目に限る。)
なお、中医協総会の審議において、当該新医薬品について薬価収載を行わないこととされた場合には、新薬収載希望者は、根拠となる資料を添えて書面で不服意見を提出することができる。
(6) 薬価基準収載品目の供給について
① 新薬収載希望者は、その製造販売する医療用医薬品が薬価基準に収載された場合は、特にやむを得ない正当な理由がある場合を除き、その収載された日から3ヶ月以内に製造販売して、当該医薬品の医療機関等への供給を開始するとともに、継続して供給するものとする。
② 新薬収載希望者は、薬価基準に収載された医薬品について、別紙様式4に定める供給開始報告書を提出すること。
2 報告品目、新キット製品又は後発医薬品の薬価基準収載手続
(1) 報告品目、新キット製品又は後発医薬品の薬価基準収載希望書
① 報告品目
報告品目(医薬品部会の報告品目及び審議品目であって新医薬品以外のもの(原則として、2月又は8月開催の医薬品部会において審議される医療用医薬品の承認日までに承認されたものに限る。)をいう。以下同じ。)の薬価基準への収載手続は、報告品目の収載を希望する製造販売業者(以下「報告品目収載希望者」という。)が、別紙様式1に定める薬価基準収載希望書を提出することにより行われるものであること。
なお、当該希望書は、医薬品医療機器等法に基づく承認を受けた当該報告品目について、それぞれ2月又は8月開催の医薬品部会において審議される医療用医薬品の承認日の前の直近の医薬品部会終了後から3週間以内又は承認日までに提出すること。
ただし、緊急に薬価基準への収載を必要とする抗HIV薬等について、特別に期限を指定した場合には、当該期限内に提出すること。
② 新キット製品
新キット製品(既存のキット製品がない医薬品について新たにキット製品として承認されたもの又は既承認のキット製品と機能・形態あるいは組み合わされた医薬品の組成が異なるものとして承認された医薬品(原則として、2月又は8月開催の医薬品部会において審議される医療用医薬品の承認日までに承認されたものに限る。)をいう。以下同じ。)の薬価基準への収載手続は、新キット製品の収載を希望する製造販売業者(以下「新キット収載希望者」という。)が、別紙様式1に定める薬価基準収載希望書を提出することにより行われるものであること。
なお、当該希望書は、医薬品医療機器等法に基づく承認を受けた当該新キット製品について、それぞれ2月又は8月開催の医薬品部会において審議される医療用医薬品の承認日の前の直近の医薬品部会終了後から3週間以内又は承認日までに提出すること。
ただし、緊急に薬価基準への収載を必要とする抗HIV薬等について、特別に期限を指定した場合には、当該期限内に提出すること。
③ 後発医薬品
後発医薬品(新医薬品、報告品目及び新キット製品以外の医療用医薬品をいう。以下同じ。)の薬価基準への収載手続は、後発医薬品の収載を希望する製造販売業者(以下「後発医薬品収載希望者」という。)が、別紙様式1に定める薬価基準収載希望書を提出することにより行われるものであること。
なお、当該希望書は、原則として、2月15日及び8月15日(当該日が土曜日又は日曜日に該当するときは、その日後においてその日に最も近い平日とする。)までに医薬品医療機器等法に基づく承認を受けた当該後発医薬品について、それぞれ当該年の3月10日及び9月10日までの指定する日までに提出すること。
④ 報告品目収載希望者、新キット収載希望者又は後発医薬品収載希望者からの申し出により、薬価基準収載希望書の取り下げがあった場合には、再度、薬価基準収載希望書を提出することを妨げない。ただし、この場合、薬価収載希望書は、別に指定する期限までに提出すること。
(2) 薬価基準収載の時期等
① 報告品目及び新キット製品
5月及び11月を標準とする。
② 後発医薬品
6月及び12月を標準とする。
(3) 報告品目収載希望者、新キット製品収載希望者又は後発医薬品収載希望者からの意見聴取
① 報告品目収載希望者又は新キット製品収載希望者からそれぞれ報告品目又は新キット製品に係る薬価基準収載希望書の提出があった場合には、予め当該報告品目収載希望者又は新キット製品収載希望者の意見を聴取する機会を設ける。
この際の意見聴取の時期及び場所は、原則として、意見聴取実施予定日の少なくとも1週間前に通知するものとすること。
② 後発医薬品収載希望者から後発医薬品に係る薬価基準収載希望書の提出があった場合には、必要に応じ当該収載希望者から意見を聴取する機会を設けることができる。
(4) 薬価収載の決定の通知
薬価基準収載希望書の提出があった場合には、当該希望書の内容を審査のうえ、薬価基準収載日から3ヶ月以内の供給開始及びその後の継続した安定供給に支障がないことが確認された場合に限り、予め次の事項を報告品目収載希望者、新キット収載希望者又は後発医薬品収載希望者に対し通知したうえで、薬価基準に収載する。
① 品名、規格単位、決定された薬価
② 薬価収載予定日
③ 保険適用上の取扱い(特に必要な品目に限る。)
(5) 薬価基準収載品目の供給について
① 報告品目収載希望者、新キット収載希望者又は後発医薬品収載希望者は、その製造販売する医療用医薬品が薬価基準に収載された場合は、特にやむを得ない正当な理由がある場合を除き、その収載された日から3ヶ月以内に製造販売して、当該医薬品の医療機関等への供給を開始するとともに、継続して供給するものとする。
② 報告品目収載希望者、新キット収載希望者又は後発医薬品収載希望者は、薬価基準に収載された医薬品について、別紙様式4に定める供給開始報告書を提出すること。
3 再算定手続
薬価基準既収載品のうち、薬価改定の際に、「薬価算定の基準について」に規定する市場拡大、効能変化又は用法用量変化に基づく再算定により薬価を改定することとなる品目については、次の手順により再算定要件への該当性を検討し、再算定品目を決定する。
(1) 薬価改定年の前年の薬価調査月の末日時点において市場拡大、効能変化又は用法用量変化に基づく再算定の要件に該当すると考えられる品目については、当該品目の製造販売業者から必要に応じ予め意見を聴取するとともに、別紙様式5に定める再算定候補品目要件該当性検討資料(以下「再算定要件該当性資料」という。)の提出を求める。
(2) 提出された再算定要件該当性資料に基づき、薬価算定組織の検討を経て再算定の要件への該当性を検討し、再算定品目として適切と認められるものについては、中医協総会での審議の前に、意見を付して予め当該品目の製造販売業者に通知する。
(3) 通知された再算定品目案について不服がある当該品目の製造販売業者は、別紙様式6に定める再算定品目案不服意見書を別に指定する期限までに提出することができる。この場合、通知された再算定品目案が適当ではないと主張する理由について「薬価算定の基準について」に基づいて説明する資料を根拠とともに添付する。
(4) 再算定品目案不服意見書を提出した製造販売業者は、予め定められた時間の範囲内で薬価算定組織に出席して直接の意見表明を行うことができる。
この際、当該再算定候補品目の臨床試験に関与した者が当該製造販売業者に同行して意見を表明することができる。
当該意見を踏まえ薬価算定組織において検討を行い、再度再算定品目案を決定する。この再算定品目案を予め当該品目の製造販売業者に通知し、不服の有無について確認する。
(5) 通知された再算定品目案について、当該品目の製造販売業者に不服がないことが確認された品目及び製造販売業者の不服があっても算定組織の検討を経て最終的に再算定が適切と考えられる品目については、その品目案をもって中医協総会で審議する。
(6) 中医協総会で審議し了承を得られたものについては、再算定の対象とする。
(7) 中医協総会で了承された再算定品目については、当該品目の製造販売業者にその旨を通知した上で、その直後の薬価改定時に再算定により薬価を改定する。
なお、市場拡大再算定の対象候補品目として再算定要件該当性資料の提出が求められた日以降に市場規模の拡大、効能変化又は用法用量変化があった品目については、当該薬価改定時以降の薬価改定時に再算定対象品目の該当性を検討する。
(8) 薬価改定の際以外の再算定に該当する品目については、上記の手順に準じて再算定手続を行う。
4 既収載品の費用対効果評価の手続
薬価基準既収載品のうち、「医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価に関する取扱いについて」(令和4年2月9日医政発0209第5号、保発0209第6号)に規定する費用対効果評価の対象となる可能性のある品目については、次の手順により指定基準の該当性を検討する。なお、厚生労働省は、対象品目案の検討に当たって、必要に応じ薬価算定組織の意見を聴くことができる。
(1) 費用対効果評価の指定基準を満たす可能性のある品目については、当該品目の製造販売業者から必要に応じ予め意見を聴取するとともに、別紙様式7に定める費用対効果評価指定基準該当性検討資料の提出を求める。
(2) 当該資料に基づき、指定基準の該当性を検討し、費用対効果評価の対象とすることが適当と認められるものについては、中医協総会での審議の前に、意見を付して予め当該品目の製造販売業者に通知する。
(3) 通知された費用対効果評価の対象品目案について不服がある当該品目の製造販売業者は、別紙様式8に定める費用対効果評価の対象品目案不服意見書を別に指定する期限までに提出することができる。この場合、通知された費用対効果評価の対象品目案が適当ではないと主張する理由について「医薬品、医療機器及び再生医療等製品の費用対効果評価に関する取扱いについて」に基づいて説明する資料を根拠とともに添付する。不服がない場合は、当該品目案について中医協で審議する。
(4) 費用対効果評価の対象品目案不服意見書を提出した製造販売業者は、予め定められた時間の範囲内で薬価算定組織に出席して、直接の意見表明を行うことができる。
当該意見を踏まえ厚生労働省において検討を行い、再度対象品目案を決定する。この対象品目案を予め当該品目の製造販売業者に通知し、不服の有無について確認する。
(5) 通知された対象品目案について、当該品目の製造販売業者に不服がないことが確認された品目及び製造販売業者の不服があっても厚生労働省の検討を経て最終的に費用対効果評価が適切と考えられる品目については、その品目案をもって中医協総会で審議する。
(6) 中医協総会で審議し了承を得られたものについては、費用対効果評価の対象とする。
別紙様式1
別紙様式2
別紙様式3
別紙様式4
別紙様式5
別紙様式6
別紙様式7
別紙様式8