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○建築物環境衛生管理技術者の選任に関する質疑応答集(Q&A)について

(令和4年1月31日)

(薬生衛発0131第1号)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局生活衛生課長通知)

(公印省略)

建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第2号)における建築物環境衛生管理技術者の選任に関する規定の改正については、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行令の一部を改正する政令等の公布について」(令和3年12月27日付け生食発1227第1号。以下「公布通知」という。)の第2の2(2)においてお示しするとともに、公布通知の第4の2において、建築物環境衛生管理技術者の選任の取扱い等に係る詳細について追ってお示しする予定である旨お知らせしたところです。

今般、別添のとおり、建築物環境衛生管理技術者の選任に関する質疑応答集(Q&A)を取りまとめましたので、業務の参考にしていただくとともに、貴管内の特定建築物所有者等及び関係団体等に周知いただきますよう、お願いします。

[別添]

Q&A 一覧

Q1 管理技術者の選任に関する規定を改正するに至った背景はなにか。

Q2 管理技術者の業務とは、具体的にどういったものが該当するのか。

Q3 「業務の遂行に支障がない」とは、どういう状況をいうのか。

Q4 「業務の遂行に支障がない」と言うことができない事例を、具体的に示してほしい。

Q5 特定建築物所有者等が選任する管理技術者が複数の特定建築物の管理技術者を兼任することとなっても「業務の遂行に支障がないことを確認」する手順について、具体的に示してほしい。

Q6 「業務の遂行に支障がないことを確認」する主体はだれか。また、いつ確認する必要があるのか。

Q7 維持管理権原者の意見を聴く場合、どのような意見を聴取すればよいのかを具体的に示してほしい。

Q8 「業務の遂行に支障がないことを確認」した結果を記載した書面は、いつ作成が必要となり、どのような項目を記載すればよいか。またこの書面の保管方法と保存期限を示してほしい。

Q9 今回の制度改正以前から、二棟以上の特定建築物を兼任している管理技術者についても、「業務の遂行に支障がないことを確認」した書面を作成する必要があるのか。

Q10 一人の管理技術者が兼任できる特定建築物の棟数に上限はあるのか。

Q11 同時に二以上の特定建築物の管理技術者となっても業務の遂行に支障がないことについて、管理技術者を選任する時点で保健所による確認は行われるのか。

Q12 一人の管理技術者が複数の特定建築物を兼任した後、いずれかの特定建築物の維持管理状況に問題が発生した場合、どのような対応が必要になるのか。

【特定建築物所有者等向け】

Q1 管理技術者の選任に関する規定を改正するに至った背景はなにか。

A1 従前は、特定建築物の所有者(所有者以外に当該特定建築物の全部の管理について権原を有する者があるときは、当該権原を有する者)(以下「特定建築物所有者等」という。)は、建築物環境衛生管理技術者(以下「管理技術者」という。)の選任に当たって、原則として、一人の管理技術者は同時に二以上の特定建築物の管理技術者にならないようにしなければならないこととしていた。ただし、二以上の特定建築物について、相互の距離、それぞれの用途、構造設備、特定用途に供される部分の延べ面積、特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有するもの(以下「維持管理権原者」という。)が同一である場合など、一人の管理技術者が二以上の特定建築物の管理技術者となってもその職務の遂行に当たって特に支障がないときは、管理技術者を兼任することが認められていた。

今般、建築物衛生管理に関する検討会報告書(令和3年7月公表。以下「報告書」という。)において、「ICTの進展等により、特定建築物の相互の距離や空気調和設備等の類似性、維持管理権原者の同一性等は特定建築物の維持管理に大きな影響を与えないことが確認されたことから、現在の兼任の可否を判断する基準となっている、特定建築物の相互の距離、それぞれの用途、特定用途に供される部分の延べ面積、構造設備、維持管理権原者の同一性については、削除することが適当である」とされたことを踏まえ、

・ 一人の管理技術者が同時に他の特定建築物の管理技術者にならないという原則

・ 二以上の特定建築物の管理技術者を兼ねることができる場合を限定的に認める規定

について削除し、その代わりに、

・ 特定建築物所有者等は、選任しようとする者が同時に二以上の特定建築物の管理技術者を兼任することとなるとき、当該二以上の特定建築物の管理技術者となってもその業務の遂行に支障がないことを確認しなければならないこと

・ 特定建築物所有者等は、現に選任している管理技術者が、新たに他の特定建築物の管理技術者を兼ねようとするときについても同様に、当該二以上の特定建築物の管理技術者となってもその業務の遂行に支障がないことを確認しなければならないこと

を新たに規定したものである。

Q2 管理技術者の業務とは、具体的にどういったものが該当するのか。

A2 建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年法律第20号。以下「法」という。)第6条第1項において、特定建築物所有者等は、特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行われるように監督をさせるため、管理技術者を選任しなければならないと規定しており、その監督の範囲は、「管理基準に従って維持管理がなされているかどうかのほか、照明その他当該特定建築物の環境衛生上の維持管理に関することがらが含まれること。」(昭和46年3月11日環衛第44号厚生省環境衛生局長通知)とされている。

以上を踏まえ、管理技術者の業務を具体的に示すと、以下のとおりである。なお、これらの業務は代表的なものを列挙したものであり、特定建築物の用途等に応じて、追加の業務も考えられる。また、特定建築物所有者等は管理技術者に対し、これらの業務を行うために必要な権原を与えることが求められる。

① 管理計画の策定、立案への参画

・ 法令、技術的な根拠、特定建築物の特性、使用者・利用者の要望等も踏まえた上で、日常及び定期(週間・月間・年間など)の計画を策定する。

・ 保全管理業務部門が策定する中長期の改修・設備の更新計画立案に参画する。

② 業務実施の監督と実態の把握

・ 管理計画に基づいた業務の進行管理と監督、建築物環境の実態や特性などを把握する。

・ 設備管理業務や清掃・衛生管理業務等を専門業者に委託している場合は、当該専門業者との緊密な連絡・協力体制を構築する。

・ 保健所が実施する立入検査等に立ち会う。

③ 測定、検査、点検等による環境状況の把握と改善

・ 空気環境や飲料水の水質などの測定や検査、各種の設備点検結果について、法令で定める基準等を満たしているかの確認、判断及び評価を行い、問題が生じている場合、原因の特定を行う。

・ 原因が特定された場合は、改善策の企画立案を行い、必要に応じて、維持管理権原者等へ意見を申し出る。

・ 改善が終了した後は、改善確認の測定・検査を行い、問題点が改善したことを確認し、結果を維持管理権原者等に報告する。

④ 帳簿書類、設備に関する図面等の整備

・ 年間管理計画や定期的に実施する空気環境測定結果等の整理及び保存等を行う。

(参考)建築物環境衛生管理技術者の業務フロー

Q3 「業務の遂行に支障がない」とは、どういう状況をいうのか。

A3 管理技術者の業務はQ2のとおりであり、「業務の遂行に支障がない」とは、特定建築物所有者等から管理技術者に対し、これらの業務を行うために必要な権原が付与され、かつ管理技術者がこれらの業務を確実に遂行することにより、当該特定建築物が建築物環境衛生管理基準に従って適正に維持管理されている状況をいう。

なお、報告書において、「「職務の遂行に支障がない」とは、建築物環境衛生管理基準に従って特定建築物の維持管理をしていることを意味する。よって、例えば空気環境の調整が建築物環境衛生管理基準に従って適正に維持管理されていない特定建築物の管理技術者は、「職務の遂行に支障がない」とはいえず、同時に他の特定建築物を兼務することは適当ではない。」とされているので、参考とされたい。

Q4 「業務の遂行に支障がない」と言うことができない事例を、具体的に示してほしい。

A4 例えば、以下のような場合が想定されるが、これに限らず、Q3に記載した状況が確認できない場合は、「業務の遂行に支障がない」と言うことはできないと考えられる。

・ ある特定建築物の管理技術者に選任されようとする者が既に別の特定建築物の管理技術者に選任されている場合であって、当該者が、既に管理技術者に選任されている特定建築物が、建築物環境衛生管理基準に従って適正に維持管理されていない場合

・ ある特定建築物の管理技術者に選任されようとする者が既に別の特定建築物の管理技術者に選任されている場合であって、当該者が、既に管理技術者として選任されている特定建築物の特定建築物所有者等から常駐を求められており、新たに別の特定建築物の管理技術者として従事する時間が確保できない場合

・ 管理技術者がビルメンテナンス会社と雇用契約を締結しており、既に選任されている特定建築物の特定建築物所有者等から常駐を求められていないものの、管理技術者以外の業務に従事する時間、当該管理技術者の所定労働時間等を勘案すると、新たに別の特定建築物の管理技術者として従事する時間が確保できないと考えられる場合

・ ある特定建築物の管理技術者として選任されている者が新たに他の特定建築物の管理技術者を兼任しようとしている場合であって、新たに当該者を管理技術者として選任しようとする特定建築物所有者等から既に当該者を管理技術者として選任している特定建築物所有者等に対し、管理技術者として従事する時間が妥当であると判断するために必要な情報(所在場所、用途、構造設備、延べ面積、建築物衛生管理に関するICT等の導入状況等)が示されない場合

Q5 特定建築物所有者等が選任する管理技術者が複数の特定建築物の管理技術者を兼任することとなっても「業務の遂行に支障がないことを確認」する手順について、具体的に示してほしい。

A5

・ 既に他の特定建築物の管理技術者に選任されている者を自らの特定建築物の管理技術者に選任しようとする場合など、選任しようとする者が同時に二棟以上の特定建築物の管理技術者となるとき

・ 既に選任している管理技術者が新たに他の特定建築物の管理技術者を兼任しようとするとき

は、それぞれの特定建築物所有者等において、それぞれの特定建築物の維持管理について「業務の遂行に支障がないことを確認」する必要があるが、具体的な確認方法としては、例えば、別紙1の手順に従うことが考えられる。

Q6 「業務の遂行に支障がないことを確認」する主体はだれか。また、いつ確認する必要があるのか。

A6 管理技術者を選任する義務を負う者は特定建築物所有者等であることから、「業務の遂行に支障がないことを確認」する主体は特定建築物所有者等である。また、「業務の遂行に支障がないこと」の確認は、

・ 新たに管理技術者として選任しようとする者が同時に二棟以上の特定建築物の管理技術者を兼任することとなるとき

・ 既に選任している管理技術者が、新たに他の特定建築物の管理技術者を兼任することとなるとき

のいずれの場合にも行う必要がある。このため、特定建築物所有者等は、管理技術者から兼任についての申し出を待つのではなく、管理技術者に対し、定期的に(例えば、管理技術者の契約期間の更新時期に合わせて実施する等)兼任状況に変更がない旨を確認することが望ましい。

Q7 維持管理権原者の意見を聴く場合、どのような意見を聴取すればよいのかを具体的に示してほしい。

A7 新たに選任されようとする特定建築物と現在選任されている特定建築物との相互の距離、それぞれの用途、構造設備、延べ面積、建築物衛生管理に関するICT等の導入状況、それぞれの特定建築物における管理技術者として従事する時間、現在選任されている特定建築物の直近の維持管理状況(保健所の指摘等の有無等)等を勘案し、二以上の特定建築物の管理技術者として、業務の遂行に支障がないか等について、維持管理権原者の意見を聴取することが考えられる。

Q8 「業務の遂行に支障がないことを確認」した結果を記載した書面は、いつ作成が必要となり、どのような項目を記載すればよいか。またこの書面の保管方法と保存期限を示してほしい。

A8 Q6のとおり、特定建築物所有者等は、

・ 新たに管理技術者として選任しようとする者が同時に二棟以上の特定建築物の管理技術者を兼任することとなるとき、

・ 既に選任している管理技術者が、新たに他の特定建築物の管理技術者を兼任することとなるとき

のそれぞれのタイミングにおいて、「業務の遂行に支障がないことを確認」した結果を記載した書面(以下「確認書」という。)を作成・保存する必要があり、確認書には以下(1)から(7)の項目を記載することが望ましい(別紙2の様式例を参照)。なお、確認書は、当該管理技術者が同時に二棟以上の特定建築物の管理技術者を兼任している間は保管する必要があり、また、他の帳簿書類と同様、紙媒体に限らず電磁的記録に保存することも差し支えない。また、確認書を保管する際には、Q5において、当該管理技術者を選任している(選任しようとする)他の特定建築物所有者等から提供される書面を添付したうえで保管することが望ましい。

(1) 特定建築物所有者等の氏名

(2) 確認書を作成した年月日

(3) 管理技術者の氏名、住所及び免状番号

(4) 選任される特定建築物の名称、所在場所、選任される年月日

(5) 選任される特定建築物ごとの管理技術者として従事する時間(当該特定建築物への移動時間も含む。)

(※ 当該時間は、それぞれの特定建築物の用途、構造設備、延べ面積、建築物衛生管理に関するICT等の導入状況等を勘案して妥当であるかを判断すること。)

(6) 管理技術者以外の業務がある場合は当該業務に従事する時間

(7) 特定建築物所有者等以外に維持管理権原者がある場合は、当該維持管理権原者の氏名及び意見を聴取した年月日

(※維持管理権原者の意見を確認書とは別に作成した場合は、必ず確認書と一緒に保存すること。)

Q9 今回の制度改正以前から、二棟以上の特定建築物を兼任している管理技術者についても、確認書を作成する必要があるのか。

A9 今回の制度改正以前においては、二棟以上の特定建築物について、相互の距離、それぞれの用途、構造設備、特定用途に供される部分の延べ面積、維持管理権原者が同一である場合など、一人の管理技術者が二棟以上の特定建築物の管理技術者となってもその職務の遂行に当たって特に支障がないときは、管理技術者を兼任することが認められていたものであることから、今回の改正に伴って確認書を改めて作成する必要はないが、選任している管理技術者が新たに他の特定建築物の管理技術者を兼ねようとする場合には、確認書を作成することとなる。

Q10 一人の管理技術者が兼任できる特定建築物の棟数に上限はあるのか。

A10 当該管理技術者を選任している(選任しようとする)特定建築物所有者等が、それぞれの特定建築物の維持管理について当該管理技術者が「業務の遂行に支障がないことを確認」できる場合は、一人の管理技術者が兼任できる特定建築物の棟数の制限はないが、Q3に記載した状況を担保できる棟数を超える特定建築物の管理技術者を兼任することは適当ではない。特定建築物所有者等(特定建築物所有者等以外に維持管理権原者がある場合は、当該維持管理権原者)は、法第4条第1項において、建築物環境衛生管理基準に従って特定建築物の維持管理をしなければならないこととされていることを踏まえ、一人の管理技術者がQ3に記載した状況を担保できる棟数を超過して兼任することのないよう、注意する必要がある。

Q11 同時に二以上の特定建築物の管理技術者となっても業務の遂行に支障がないことについて、管理技術者を選任する時点で保健所による確認は行われるのか。

A11 Q6のとおり、管理技術者が同時に二以上の特定建築物の管理技術者を兼任しても業務の遂行に支障がないことを確認する主体は特定建築物所有者等であるが、特定建築物所有者等は、法第5条第1号又は第3号に基づく都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては市長又は区長。以下同じ。)への届出において、当該特定建築物の管理技術者が他の特定建築物を兼任している場合は、当該特定建築物の名称及び所在地について届け出る必要がある。

また、Q8のとおり、特定建築物所有者等は、管理技術者が同時に二以上の特定建築物の管理技術者を兼任する場合、確認書を備えておくことが必要となり、都道府県知事は、特定建築物への立入検査等を行う場合には、確認書のほか、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃並びにねずみ等の防除の状況(測定又は検査の結果並びに当該措置に関する設備の点検及び整備の状況を含む。)を記載した帳簿書類等も確認したうえで、当該特定建築物について環境衛生上必要な指導等を行うこととなる。

Q12 一人の管理技術者が複数の特定建築物を兼任した後、いずれかの特定建築物の維持管理状況に問題が発生した場合、どのような対応が必要になるのか。

A12 管理技術者が二棟以上の特定建築物の管理技術者を兼任することとなった後、当該管理技術者が選任されている特定建築物において環境衛生上の問題が発生した場合は、当該管理技術者の業務の遂行に支障が生じている可能性があるため、

・Q2で示した管理技術者の業務フローが適切に実施されているか

・特定建築物所有者等が、管理技術者に「特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行われるように監督」するために必要な権原を与えているか

・維持管理権原者は管理技術者の意見を尊重しているか

等を勘案し、引き続き二棟以上の特定建築物の管理技術者を兼任するかも含め、保健所の指摘等に適切に御対応いただくことになる。

Q13 兼任しているそれぞれの特定建築物において、建築物環境衛生管理基準で定める基準値等が遵守されていることのみをもって、「業務の遂行に支障がない」と判断してよいか。

A13 兼任しているそれぞれの特定建築物において、建築物環境衛生管理基準で定める基準値等が遵守されていても、例えば、

・二棟以上の特定建築物の管理技術者として選任されている者が、当該特定建築物の年間管理計画を策定していない、管理技術者が作成すべき帳簿書類を作成していない等、当該特定建築物の管理技術者としての業務を行っていない実態が確認された場合

・選任されている特定建築物において、人の健康をそこない、又はそこなうおそれのある事態その他環境衛生上著しく不適当な事態が発生した場合等を想定し、当該管理技術者が速やかにその事態を把握し、必要な対策を講じる体制が整備されていない場合には、「業務の遂行に支障がない」と言うことはできないと考えられる。

Q14 特定建築物所有者等が作成した確認書について、保健所から写しを提出することや報告を求められることはあるか。

A14 都道府県知事において、特定建築物所有者等が「業務の遂行に支障がない」ことを確認したかどうかを確認するために、

・立入検査時に確認書を検査すること

・特定建築物所有者等が法第5条第1項又は第3項の規定による届出を行う際に、業務の遂行に支障がないことの確認を行ったかについて、報告を求めること

・特定建築物所有者等が法5条第1項又は第3項の規定による届出を行う際に、規則第1条第1項又は第4項の届書の提出とあわせて、確認書の添付を求めること

などを行うことが考えられるが、いずれにせよ、所轄の保健所の求めに従っていただきたい。

Q15 国又は地方公共団体の公用又は公共の用に供する特定建築物については立入検査が行われることはないが、確認書が備え付けられているかについて、どのように確認されるのか。

A15 法第13条第1項の規定により、国又は地方公共団体の公用又は公共の用に供する特定建築物については法第11条の規定は適用されないものの、法第13条第2項の規定により、都道府県知事は必要な説明又は資料の提出を求めることができることとされていることから、これらを行うことで確認書の備付けの状況が確認されることとなる。

Q16 確認書を作成した後、特定建築物所有者等に変更があった場合、確認書を再度作成する必要があるか。

A16 業務の遂行に支障がないことの確認を行うタイミングはQ6に示したとおりであり、確認書を作成するタイミングも同様である。このため、確認書を作成した後、特定建築物所有者等の変更があった場合については、確認書を再度作成する必要はない。

Q17 どのようなICTを導入すれば、管理技術者として従事する時間がどの程度軽減されるのか。またICTを導入していない特定建築物は、一人の管理技術者が二棟以上兼任することは認められないのか。

A17 建築物衛生管理に関するICTは様々であり、「どういったICTが導入されていれば、管理技術者として従事する時間がどの程度軽減される」といった基準を示すことは困難である。報告書において「導入されているICTにより、管理技術者のどの業務が、どの程度軽減されるのか等について、特定建築物維持管理権原者と管理技術者の双方で確認し、兼任の可能性について検討することが重要である。」とされているとおり、兼任しようとする特定建築物の実態等に応じて、それぞれの特定建築物にどの程度従事する必要があるのかを判断いただくことになる。なお、ICTを導入していない建築物であっても、管理技術者の業務の遂行に支障がないと判断できる場合は兼任することは可能である。

Q18 例えば、三棟の特定建築物の管理技術者に選任されている者について、三棟のうち一棟の管理技術者ではなくなった場合、確認書の作成は必要になるのか。また、保健所への届出についてはどうか。

A18 確認書を作成するタイミングはQ6・Q16のとおりであり、管理技術者が兼任している特定建築物の棟数が減る場合は必ずしも確認書の作成は求められないが、確認書に選任が解除された特定建築物の情報を追記するなど、当該管理技術者の最新の業務の状況が確認できるようにしておくことが望ましい。なお、管理技術者が兼任している特定建築物に変更があった場合、法第5条第3項の規定により、その旨を都道府県知事に届け出る必要がある。

Q19 同時に二棟以上の特定建築物の管理技術者として選任しようとする場合、どちらの特定建築物についても現在の維持管理状況が確認できないが、「業務遂行に支障がない」ことをどのように確認すればよいか。

A19 過去に管理技術者として業務に従事した経験がある者を選任しようとする場合は、その際の維持管理状況を把握することや、当該管理技術者に選任しようとする者がビルメンテナンス会社に所属している場合は、当該ビルメンテナンス会社に業務遂行能力等をヒアリングすること等が考えられる。

Q20 一棟の特定建築物に、管理技術者として従事すべき最低限の時間の目安はあるか。

A20 特定建築物の規模、用途、設備の状況等により、特定建築物の維持管理が環境衛生上適正に行われるように監督するために必要な時間は様々であり、一律に示すことは困難である。

Q21 現在二以上の特定建築物の管理技術者を兼ねている者が別の特定建築物の管理技術者となる場合、新たに確認書を作成することになるが、以前の確認書は廃棄してよいか。また、管理技術者が二以上の特定建築物の管理技術者を兼任しなくなった場合、同様に確認書を廃棄してよいか。

A21 いずれの場合も廃棄して差し支えない。

Q22 建築物における衛生的環境の確保に関する事業登録について、清掃作業監督者等(以下「監督者等」という。)が管理技術者の免状を受けている場合、この者が営業所の監督者等と特定建築物における管理技術者を兼務することはできないこととされているが、今回の管理技術者の選任方法の見直しに伴い、この取扱いに変更はあるか。

A22 本取扱いに変更はなく、監督者等と管理技術者を兼務することはできない。

【自治体向け】

Q23 立入検査等において、確認書が作成されていない、確認書の内容が実態と異なる、管理技術者として従事する時間が明らかに実現不可能である等の状況が確認された場合、当該管理技術者の兼任の取り扱いはどうなるのか。

A23 これらの状況が確認される場合、当該特定建築物の所有者等は法第16条第3号の「法第10条の規定に違反して帳簿書類を備えず、又はこれに記載をせず、若しくは虚偽の記載をした者」に該当する可能性がある。まずは、特定建築物所有者等に規則第5条第2項の規定による確認を行わせ、その結果、特定建築物所有者等が、当該管理技術者が二以上の特定建築物を兼任することについて業務の遂行に支障がないと判断できなかった場合は、当該管理技術者は、二棟以上の特定建築物の管理技術者を兼ねることは認められないこととなる。

Q24 報告徴収又は立入検査等により、①維持管理状況に問題があると把握している特定建築物に選任されている管理技術者について、新たに別の特定建築物の管理技術者として選任する旨の届出書が出された場合、又は②維持管理状況に問題があると把握している特定建築物の管理技術者として、他の特定建築物の管理技術者に既に選任されている者を選任する旨の届出書が出された場合について、その取り扱いはどうなるのか。

A24 まずは特定建築物所有者等から、現在の特定建築物の維持管理状況、管理技術者が同時に二棟以上の特定建築物の管理技術者を兼ねても業務遂行に支障がないと判断した理由等について聴取し、必要に応じて届出事項の修正を求めることや、環境衛生上必要な相談対応・指導を行うこと等が考えられる。

[別紙1]

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別紙2