添付一覧
○再製造単回使用医療機器に係る事業者向けガイドライン及び質疑応答集(Q&A)について(その2)
(令和3年12月24日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課通知)
厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課では、再製造SUD基準策定等事業において、再製造単回使用医療機器に供する使用済み単回使用医療機器の洗浄及びその評価方法について検討し、その成果としてガイダンス等を取りまとめ、「再製造単回使用医療機器に係る事業者向け洗浄ガイドライン及び質疑応答集(Q&A)について」(令和元年6月17日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課事務連絡)及び「再製造単回使用医療機器に係る事業者向けガイドライン及び質疑応答集(Q&A)について」(令和2年12月2日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課事務連絡)として周知したところです。
今般、令和2年度における当該事業の検討結果を踏まえ、別添のとおり「再製造単回使用医療機器のリスクに応じた分類ガイダンス」及びこのガイダンスの質疑応答集(Q&A)をとりまとめましたので、情報提供いたします。ついては、貴管内関係業者において浸透が図られるよう、周知方御配慮願います。
なお、上記のガイダンスの他、令和2年度の当該事業の検討結果として、国立医薬品食品衛生研究所医療機器部が作成した報告書は、以下のホームページから入手可能であることを申し添えます。
URL:https://dmd.nihs.go.jp/rsud_public/index.html
[別添]
再製造単回使用医療機器のリスクに応じた分類ガイダンス
令和元年6月17日付けで発出された厚生労働省医薬・生活衛生局医療機器審査管理課事務連絡「再製造単回使用医療機器に係る事業者向け洗浄ガイドライン及び質疑応答集(Q&A)について」では、洗浄方法及び清浄性評価マーカの選定にあたり、再製造する原型医療機器の材質、構造の複雑性、生体適用部位との接触時間、並びに使用から洗浄までの経過時間及び環境条件等を考慮して個別に検討すべきとされている。本ガイダンスでは、この規定を実践する上で、再製造の対象とする単回使用医療機器(Single―use device:SUD)の侵襲性の程度に応じた分類を示すことにより、事業者が処理方法等を決定する際に実施するリスクマネジメントに役立つ考え方を取りまとめた。再製造の対象になり得るSUDは多岐に渡るため、事業者はそれぞれのリスクレベルに応じた取り扱い方法について検討した上で、対象を選定し、再製造の手順を確立すべきである。
1.SUDの分類と影響を与える要因
SUDの再製造を行い最終製品として出荷までの過程のうち、再生部品を対象とする部品再生プロセスでは、医療機関から収集した再生部品の汚染を除去し、再製造工程での清浄性を確保することが第一の課題となる。汚染のレベルは、再生部品となるSUDの使用目的や使用方法等に関連した侵襲性の程度に応じて異なる。本ガイダンスでは、再生部品の侵襲性の程度を以下のとおりに3分類し、それぞれの区分毎に対象とする再生部品の汚染に影響を与える要因を整理する。なお、最終製品では、原型医療機器と同等の清浄性を担保することが前提である。例えば、非侵襲又は低侵襲の機器であっても、原型医療機器が滅菌済みで提供されている場合は、再製造SUDにおいても滅菌品として提供することを考慮すべきである。平成29年7月31日付け厚生労働省告示第261号「再製造単回使用医療機器基準」の第4/2/(3)/イ項において、「再製造単回使用医療機器は、再製造によって生じ得る特性及び性能の低下等を考慮した上で、原型医療機器と同等の品質、有効性及び安全性を有するものでなければならない」と定められていることから、その清浄性も原型医療機器と同等であることが必要である。
・高侵襲:無菌の組織との接触又は血管系への挿入を意図して使用されるSUD
・中侵襲:粘膜及び損傷皮膚との接触を意図して使用されるSUD
・非侵襲又は低侵襲:患者接触のない又は健常皮膚との接触のみを意図するSUD
再生部品の清浄性については、表1に示す分類を踏まえ、原型医療機器の材料特性、構造の複雑性及び付着する汚染物の種類等を十分に考慮した上で洗浄方法や滅菌方法を選択する必要がある。分類にあたっては、表2に示す各種特性について考慮する。
表1.再生部品の侵襲性の程度に応じた分類
分類 |
侵襲性の程度 |
再生部品の清浄性の担保に係る一般的な処理方法 |
該当するSUD(例示) |
高侵襲 |
・無菌組織又は血管系への挿入 |
洗浄+滅菌 |
・腹腔鏡用血管シーリングデバイス ・トロッカー ・超音波診断用カテーテル ・電極(EP)カテーテル ・電動手術器用ブレード(ドリル等) ・自動吻合・縫合器 ・結紮用クリップ ・バイオプシー鉗子 ・内視鏡用非能動処置具 ・電気メス用ハンドピース |
中侵襲 |
・粘膜及び損傷皮膚との接触 |
洗浄+高水準消毒*又は洗浄+中水準消毒* |
・気管チューブ ・エアウェイ ・マウスピース |
非侵襲又は低侵襲 |
・生体非接触 ・健常皮膚のみとの接触 |
洗浄+低水準消毒*又は洗浄・清拭 |
・麻酔用/人工呼吸用マスク ・人工呼吸器用回路(蛇管、コネクタ等) ・スキンステープラー用リムーバー ・パルスオキシメータ用センサー |
*公益社団法人日本臨床工学技士会「医療機器を介した感染予防のための指針(2016)」参照
表2.分類にあたり考慮すべき各種特性
分類 |
原材料、患者接触表面の状態、構造上の特性 |
付着する汚染物 |
使用による影響 |
洗浄抵抗性の要因 |
・高侵襲 ・中侵襲 ・非侵襲又は低侵襲 |
・原材料の特定 ・物理的特性(強度、耐熱性、耐衝撃性等) ・化学的特性(耐薬品性等) ・表面の状態(平滑、凹凸の有無等) ・内腔、接合部、ヒンジ、穿孔部の有無等 |
・患者への使用によって付着する可能性のある汚染物を全て特定する ・汚染物の種類や量については、使用される患者の多様性を考慮する ・汚染物の種類や量については、正常な使用状態のみならず、異常使用(逸脱やエラーを含む使用)も考慮する |
・患者への使用によって機器が受ける物理的影響や併用する薬剤等による化学的影響等を特定する ・再製造する回数を考慮しつつ、蓄積される劣化の程度、複数回にわたる洗浄・滅菌工程によって受ける物理的・化学的影響を考慮する ・使用による影響は、正常な使用状態のみならず、異常使用(逸脱やエラーを含む使用)も考慮する |
・患者に使用されてから収集されるまでの時間経過による付着物の変性、付着物の機器への侵入・浸潤等を考慮する ・患者に使用された機器の分別や保存については、起こり得るヒューマンエラー(取り決め事項からの逸脱等)を予め想定しておく |
(1) 分類
再生部品は、表1、表2及び別添に従って、「高侵襲」、「中侵襲」、「非侵襲又は低侵襲」に分類する。分類においては、再製造の対象とするSUDの使用目的(添付文書等に記載された通常の用途)、使用方法のほか、必要に応じて医療機関における実際の使用状況等を調査した上で、いずれの分類に該当するか判断する。例えば、非侵襲又は低侵襲に分類されるSUDであっても、使用中に偶発的に粘膜や損傷皮膚に接触する可能性がある場合は、当該機器の実際の使用環境、使用状況等を考慮して分類する。
(2) 原材料、患者接触表面の状態、構造上の特性
再製造の対象となるSUDの原材料、物理的特性(強度、耐熱性、耐衝撃性等)、化学的特性(耐薬品性等)を明らかにした上で、洗浄効果に影響を与える機器表面の状態(平滑、凹凸の有無等)や内腔、接合部、ヒンジ、穿孔部の有無等、構造上の特性を考慮する。これらの情報は、次項で述べる汚染物の付着の状態や機器への侵入・浸潤等の可能性を考慮する上で重要である。
(3) 付着する汚染物
再製造の対象となるSUDの侵襲性の程度に応じて、機器に付着する可能性のある全ての汚染物を特定し、選択すべき洗浄方法や清浄性評価マーカについて検討する。
・高侵襲に分類されるSUDについては、一般的に高度な洗浄と滅菌が必要になることから、上記の事務連絡に示された留意事項に沿って、適切な洗浄方法を選択すると共に、洗浄後の清浄性評価を実施すべきである。
・中侵襲に分類されるSUDの場合、付着する汚染物自体は限定されるが、真菌、細菌、ウィルス等の病原微生物を媒介する可能性があることを踏まえ、確実な洗浄と高水準の消毒の適用を前提として清浄性を評価すべきである。但し、滅菌工程を加えることを妨げるものではない。
・非侵襲又は低侵襲に分類されるSUDについては、生体非接触若しくは健常皮膚との接触に限定され、病原微生物の伝播を媒介する可能性が低いと考えられるため、機器によっては低水準の消毒若しくはアルコール清拭等の処置で清浄性を回復することも可能であると考えられる。
なお、SUDに付着する可能性がある汚染物の種類や量については、当該機器が使用される患者の多様性を考慮すると共に、患者への接触があり得る部位の表面の状態や構造上の特性を踏まえ、汚染物の付着の程度や機器への浸潤、浸透等の可能性について十分に考慮する必要がある。
これらの考察においては、常に「最悪の条件(ワーストケース)に基づく汚染」を想定することが肝要である。同時に、リスクマネジメント(JIS T 14971:2020)の基本として、当該機器の正常使用(取扱説明書に準拠した落ち度のない方法や手順による使用)のほか、使用エラー(使用中の誤認、行為の失敗、過失的な手順の省略等により、意図する結果が得られない使用)や、異常使用(意識的若しくは意図的に通常とは異なる方法や手順を用いた使用)の可能性も十分に考慮し、再製造の対象となるSUDを選定した上で、当該機器が使用される様々な環境、使用者や患者の多様性、起こり得る人為的・偶発的エラー等を勘案して汚染に係るワーストケースを決定することが適切である。
(4) 患者への使用による機器への影響
再製造の対象となるSUDについて、患者への使用によって生じる物理的影響(曲げ、引っ張り、加圧、摩擦、温度変化等による劣化)や併用する薬剤等による化学的影響(変質や劣化)、並びに水分との接触による膨潤や腐食等に繋がる要因を特定すると共に、再製造における運搬、洗浄、滅菌等の各工程において受ける物理的・化学的影響も勘案し、再製造SUDのライフサイクル全般を通して蓄積される製品の劣化の程度を明らかにする。
再製造サイクルにおける劣化の程度は、可能な限り模擬的試験によって検証し、ライフサイクル全体を通して臨床使用に支障が生じないことを明らかにした上で、再製造回数の設定根拠とすべきである。上記(3)項と同様、これらの検証においては、常にワーストケースに基づく製品の劣化を想定することが肝要であり、当該機器の使用環境、使用者及び患者の多様性、起こり得る人為的・偶発的エラー等も勘案し、再製造の対象となるSUDを選定した上で、劣化に係るワーストケースを決定することが適切である。
(5) 洗浄抵抗性の要因
高侵襲、中侵襲、非侵襲又は低侵襲の分類を問わず、再製造の対象となるSUDに付着した汚染物が時間の経過や温湿度等の保管環境によって変性、固化、浸透、浸潤等することが想定されるため、汚染される可能性がある部位の状態や構造上の特性と、付着する可能性がある汚染物の特性を明確化した上で、保管時における汚染状況の変化を予め把握しておく。
臨床使用から、医療機関内での保管、輸送を経て洗浄工程へ至るまでの時間は、洗浄バリデーションの重要な要素になることから、想定される最長の時間や保管環境の変化等についてワーストケースを設定した上でバリデーションを実施する。実際の再製造において、設定したワーストケースを超過する事例が発生した場合は、再生部品として使用しない等のルールを予め定めておく必要もある。
再生部品となり得るSUDの分別・保管等については、予め医療機関との取り決めによって方法や手順を定めておく必要があり、人為的なエラーの発生を可能な限り防止するための措置として、明確な識別表示や、チェックリストの活用等によるリスクの低減策等も事前に講じておくことが望ましい。また、再製造が禁止されている感染症に罹患した患者の治療に使用した機器や、使用中に破損した機器が保管容器に投入される等、取り決め事項から逸脱する事例が発生した際の取り扱いについても事前に定めておくことが望ましい。その場合、容器内容物の全廃棄若しくは許容レベルの設定等、想定される具体的な事例毎に判断基準を定めておくことが望ましい。
2.再製造の対象となるSUDの汚染及び劣化に関するワーストケースの考え方
再製造の対象となるSUDに付着する可能性がある汚染物の種類や量、並びに患者への使用によって生じる物理的影響や併用する薬剤等による化学的影響等に関するワーストケースを選定する際の留意事項を以下に例示する。
(1) 付着する可能性がある汚染物の種類及び付着の程度
① 高侵襲に分類されるSUDは、体内(組織、臓器、血管内等)に直接接触する機器であり、付着する可能性のある物質(血液、体液、組織片、脂肪組織等)も多岐に渡るため、特段の制限を設けることなく、i)当該機器の用途において付着する可能性のある全ての汚染物を特定し、ii)強度に汚染される機器の部位(体内や術者等に接触する可能性のある部位)、iii)当該部位の表面の状態や構造特性に基づく付着の程度(内腔への浸透や浸潤等の可能性を含む)、iv)それぞれの汚染物毎の時間経過による変性や乾燥による変質等を明らかにした上で、再製造プロセスにおいて洗浄に必要な条件を検討する。
② 中侵襲に分類されるSUDは、粘膜及び損傷皮膚に接触するものであり、適用する人体の部位によって付着する可能性のある物質も異なることから、上記同様にi)~iv)を特定した上で、洗浄・消毒の条件を検討する。
③ 非侵襲又は低侵襲に分類されるSUDは、生体と接触しない若しくは健常皮膚への接触を意図したものであり、付着する可能性のある物質は皮膚(落屑)、皮脂、汗等に限定されることから、当該リスクに応じた範囲でi)~iv)を特定し、洗浄、消毒、清拭等の条件を検討する。但し、非侵襲又は低侵襲に分類されるSUDであっても、意図的又は偶発的を問わず、皮膚炎や潰瘍を生じた部位等の健常皮膚以外への接触があり得る場合には、再製造の清浄化処理において中侵襲の機器と同等の取り扱いとすることも考慮すべきである。
④ 上記①~③については、以下に示した実際の使用環境、使用状況等を考慮して、再製造の対象となるSUDを選定した上で、ワーストケースを選定する必要がある。
・単一用途(手技、術式、処置等)として使用されるSUDの場合、汚染物の範囲は一定であると考えられるが、複数用途で使用されるSUDは適用部位毎に汚染物の種類が異なることを考慮する。
・製品に残留する併用薬剤についても考慮する。
・患者の疾病の程度や偶発的要因等によって治療や処置の時間が延伸し、接触時間が延びる可能性があることを考慮する。
・機器の添付文書に記載された標準的な使用方法(正常使用)のほか、使用エラーや異常使用の発生が否定できない場合は、それに伴う汚染状況の差異の有無を明確化する。
⑤ 汚染の状況は、患者や術者に接触し得るSUDの表面の状態や構造上の特性に依存するが、使用中における機器の表面状態の変化又は物理的劣化等によって汚染物の付着に影響を生じる場合は、それらについても考慮する。
⑥ ワーストケースの選定においては、再製造製品のライフサイクルの最大数を考慮した上で、再製造の回数毎に汚染程度の変化の有無についても把握しておく。
(2) 患者への使用による機器の劣化
① 患者への使用による機器の劣化を調査する場合は、臨床使用において物理的及び化学的負荷を受ける部位、負荷の種類と程度等を事前に明らかにすると共に、再製造SUDを構成する部品毎の劣化特性を把握し、ワーストケースを考慮した上で、再製造工程における部品交換等の要否についても判断する。
② 同一のSUDであっても、複数用途で使用される場合は、用途毎に使用中に生じる物理的・化学的影響等(1/(4)項参照)の程度が異なることを考慮し、最も大きい影響を受ける使用事例に基づいてワーストケースを選定する。
③ 同一用途で使用されるSUDであっても、併用機器や使用者の手技レベル等が異なることによって、機器が受ける物理的影響等に差異が生じ得ることを考慮する。また、適用される患者の特性によって機器が受ける負荷も異なる場合がある。例えば、血管内で使用する機器の場合、老化等による血管の硬化や蛇行を有する患者への使用においては、通常よりも大きい力で操作する必要性が生じることもある。患者の疾病の程度や偶発的要因等によって治療や処置の時間が延伸する場合、あるいは使用中のエラーや異常使用が起こり得る場合は、機器が受ける負荷が変動し得ることを考慮する。
④ ワーストケースの選定については、原型医療機器の初回使用による影響等を含め、再製造SUDのライフサイクルの最大回数において、物理的・化学的影響等の蓄積による劣化の程度を明らかにした上で、臨床使用における有効性・安全性に変化が生じないことを証明する。
3.再製造SUDにおける最大再製造回数(再製造の上限回数)の考え方
(1) 再製造における最大再製造回数の設定に関しては、上記2/(1)項及び2/(2)項を踏まえ、「(最大汚染量+最大負荷量+清浄性を保証し得る洗浄・滅菌工程)×目標とする再製造回数」によって検証し、当該回数の再製造工程を経ても原型医療機器と同等の有効性・安全性を有することを保証する。
(2) 再製造SUDの耐久性については、部品毎に強度基準値等を定め、物理試験等によって個々に基準値の充足性を確認する方法もあるが、製品全体として臨床使用に耐え得ることを検証することが重要である。再製造の対象とするSUDが使用される環境や患者の多様性、通常とは異なる使用方法・操作手順、使用中に発生する偶発的なエラー等を考慮した上で、原型医療機器と同等の取り扱いが可能であり、意図する用途に関する性能、機能、臨床上の効果等も同等であることを保証する。
(3) 上記の事務連絡に基づく清浄性評価や各種の物理試験等による耐久性評価は、再製造工程に係る設計検証として位置付けられる。様々な使用環境を考慮した製品としての妥当性は、使用者の価値観に基づいて評価されるべき側面がある。広範囲な適応の可否については、複数の専門家に使用模擬試験等を依頼し、使用感も含めた意見を収集する等の手続きも必要になることに留意すべきである。
(4) ワーストケースの選定や最大再製造回数の決定については、リスクマネジメント規格(JIS T 14971:2020)の手順に準拠して一連の評価・検証活動を行い、最終的に「全体的な残留リスクの評価(全ての残留リスクの組み合わせによる影響の評価)」を通じて再製造SUDの安全性を担保する必要がある。
4.再製造SUDにおける最大再製造回数の表示について
最大再製造回数に達した製品は、臨床使用後に誤って収集容器に投入されることなく確実に廃棄される必要がある。そのためには、再製造SUDの使用者が確実に識別できるように必要な情報を機器本体に表示することが適切である。当該情報提供に関する基本的な考え方を以下に示す。
(1) 再製造SUDの機器本体への表示については、トレーサビリティ確保のためのシリアル番号(GS1標準バーコード)等の表示、並びに原型医療機器との混同を防ぐための「再製造」の表示が求められている(平成29年7月31日付け薬生機審発0731第8号/薬生安発0731第5号/薬生監麻発0731第1号「再製造単回使用医療機器に係る留意事項について」)。これらの表示に加え、再製造回数の上限に達した製品については、「再製造の対象にならない製品であり、使用後は収集容器に入れず、必ず廃棄すること」を使用者に明確に伝達できる表示を行う。具体的な記載内容、記載方法は製造販売業者の工夫と判断に依存するが、使用者のエラーを誘発しない確実な伝達効力を有する表示であることが望ましい。
(2) 例えば再製造SUDの本体表示として、出荷する製品の再製造回数と再製造の上限数を「1/4」、「2/4」(最大再製造回数4回中、1回目又は2回目の再製造品)等と記載することも可能である。しかし、「4/4」と表示された製品については、使用者が誤りなく廃棄できるように、リスクマネジメントの観点から確実なリスク低減を期待できる表示とすることを考慮すべきである。その意味では、使用者や収集・廃棄担当者が確実に判別できる視認性の高い表示であると共に、具体的な行為を明示する記載であることが望ましい。
(3) 再製造回数の上限に達した製品が、使用後に誤って収集容器に投入された場合でも、製造販売業者側はトレーサビリティの規定に基づくシリアル番号等の確認によって再製造に使用できないものであることを容易に識別できるものと考えられる。しかし、製造販売業者が当該収集品の廃棄処理を行った場合は、本来医療廃棄物としての処理が義務付けられている医療機関側の業務を代行したことになる。その行為が利益供与と見なされた場合は、公正取引法に抵触し得ることに留意する必要がある。
以上
質疑応答集(Q&A)
Q1 本ガイダンスでは、再製造の対象とするSUDの侵襲性の程度に応じて処理方法を決定することとされているが、例えば健常な皮膚への接触のみを意図し、一般的に粘膜や損傷皮膚と接触する可能性がないパルスオキシメータ用センサー等の場合、その処理方法は具体的にどのように考えればよいか。また、清浄化処理を行った場合、その効果(清浄性)を定量的に評価することは必要であるか。 |
A1
健常皮膚への接触のみを意図する低侵襲の機器の場合、付着する可能性のある物質は皮膚(落屑)、皮脂、汗等に限定されることから、塩化ベンザルコニウム等による低水準消毒や次亜塩素酸ナトリウム、アルコール等による中水準消毒等の処理を選択することが考えられる。また、接触の程度が極めて低い機器の場合は、清拭等の処理で差し支えない事例もあると考えられる。
なお、上記の処理を施した結果について清浄性を定量的に評価することは不要であるが、再生部品の処理方法等の手順については、作業の条件等を具体的に規定し、常に同じ結果が得られるよう処理工程を標準化しておくことが必要である。
Q2 口腔粘膜や鼻腔粘膜に接触する経口エアウェイや経鼻エアウェイ等の中侵襲の機器については、具体的にどのような処理が必要になると考えられるか。また、このような中侵襲の機器について、「再製造単回使用医療機器に係る事業者向け洗浄ガイドライン」に基づく清浄性評価は必要であるか。 |
A2
粘膜や損傷皮膚との接触を意図する中侵襲の機器の場合、真菌、細菌、ウィルス等の病原微生物を媒介する可能性があることから、洗浄に加えてグルタラール、フタラール、過酢酸等による高水準消毒を用いることが望ましいが、対象機器の接触時間や侵襲性の程度に応じて、高水準消毒に換えて滅菌工程を採用することも選択肢の一つとなる。また、洗浄+次亜塩素酸ナトリウム、アルコール等による中水準消毒を用いることとして良い場合もあるものと考えられる。
なお、中侵襲の機器については、「再製造単回使用医療機器に係る事業者向け洗浄ガイドライン」に基づく清浄性評価は必ずしも必要ではないが、A1同様、原型医療機器と同等の清浄性を担保することを前提として、常にバラツキのない結果が得られるよう処理工程を標準化しておく必要がある。
なお、滅菌工程を採用する場合には滅菌バリデーションが必要になることにも留意する必要がある。
Q3 内視鏡手術で用いるトロカール等の高侵襲の機器の場合、洗浄及び滅菌による処理が必須であり、「再製造単回使用医療機器に係る事業者向け洗浄ガイドライン」に基づく清浄性評価が必ず求められるものと考えてよいか。 |
A3
そのとおり。
Q4 本ガイダンスの2/(1)/③項によれば、意図する用途として非侵襲又は低侵襲に分類される機器であっても、使用中に損傷皮膚等への接触による汚染が発生し得る場合、再製造工程における清浄化処理は中侵襲の機器として取り扱うよう示されているが、汚染の可能性が極めて低い場合でも、全て中侵襲の機器として取り扱う必要があるか。 また、非侵襲又は低侵襲に分類される機器であっても、医療機関から回収する再生部品に血液・体液等による汚染があり得る場合は、全て高侵襲の機器として取り扱う必要があるか。 |
A4
再製造の対象として医療機関から収集する再生部品について、再製造SUDの製造販売業者が血液・体液等によって汚染されたものまで全て含めて再製造に使用することを意図する場合は、高侵襲の機器と同等の清浄化処理を行うことを検討すべきであるが、A1に示したとおり、達成されるべき清浄性は原型医療機器と同等であることが求められている。例えば、原型医療機器が非侵襲又は低侵襲の機器であって未滅菌の状態で市場に提供されている場合は、再製造SUDも同様に未滅菌品として出荷して差し支えないと考えられる。
なお、血液・体液等による汚染の発生確率が極めて低い等の理由により、再製造SUDの製造販売業者が「損傷皮膚等への接触による汚染や血液・体液等によって汚染された再生部品は再製造に使用しない」ことを明示して承認を受ける場合は、非侵襲又は低侵襲の機器として清浄化処理を行うことで差し支えない。
なお、この場合は、再生部品の収集先である医療機関との契約等において損傷皮膚等への接触による汚染や血液・体液等によって汚染された再生部品は収集対象としないことを明示し、誤って収集されることがないよう必要な措置を講じることが求められることに留意されたい。
Q5 高侵襲の機器に分類される再生部品の清浄性は「再製造単回使用医療機器に係る事業者向け洗浄ガイドライン」に記載されている評価項目と基準値を参考にして評価すれば良いと考えられるが、中侵襲と非侵襲又は低侵襲に分類される機器の清浄性はどのように評価すれば良いか。 |
A5
再生部品として再製造に使用する中侵襲の機器、非侵襲又は低侵襲の機器に対して、低水準消毒、中水準消毒、高水準消毒等を行う場合、その効果は消毒液の濃度、処理温度及び時間の3因子、並びに機器表面への消毒剤の接触を妨げる要因の有無によって大きな影響を受けることから、消毒の手順や条件を予め詳細に定めておくことが肝要である。
その上で、清浄性の確認方法としては、拭取り培養法やスタンプ培養法等による細菌試験の結果から、消毒効果を評価すること等が考えられる。また、これらの培養試験と合わせ、アデノシン三リン酸(ATP)測定等による清浄度検査を併用することも選択肢として挙げられる。
いずれの場合においても、対象とする再生部品の形状、原材料等の特性を踏まえ、適切な評価方法を選択することが望ましい。
[別添]
