添付一覧
○「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づく手続きの見直しについて」の一部改正について
(令和3年11月25日)
(薬生発1125第1号)
(各都道府県知事あて厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
(公印省略)
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号。以下「カルタヘナ法」という。)等の施行等については、これまで「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づく手続きの見直しについて」(平成28年7月14日付け薬生発0714第2号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知。以下「平成28年局長通知」という。)、「遺伝子組換え生物等含有医薬品等の第一種使用規程の承認申請に必要な生物多様性影響の評価を実施する際の留意事項について」(平成19年9月13日付け薬食発第0913005号厚生労働省医薬食品局長通知)等により示してきたところです。
これまで臨床研究の段階及び開発初期の臨床試験に用いる遺伝子組換え生物等であって、その製造について「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(平成16年1月29日文部科学省・環境省令第1号。以下「研究開発二種省令」という。)に定められた拡散防止措置又は研究開発を所管する文部科学大臣による第二種使用等の確認を受けた拡散防止措置を執ったものであっても、治験薬等の製造までに、改めて厚生労働大臣の第二種使用等の確認を受ける必要がありました。
今般、カルタヘナ法に関する手続きの効率化を図るべく、治験薬等について研究開発二種省令に定められた拡散防止措置又は文部科学大臣の確認を受けた拡散防止措置を執って製造することを可能とし、それらの拡散防止措置を変更して製造する場合は製造を開始する前までに厚生労働大臣の第二種使用等の確認を受けることとするべく、平成28年局長通知の一部を下記のとおり改正するので、御了知の上、貴管内関係者に対する周知方御配慮願います。
なお、改正後の平成28年局長通知について、別紙のとおり添付します。
記
1.平成28年局長通知中、記の第2の3中
「また、カルタヘナ法第6条第1項の規定に基づく変更事項の届出、カルタヘナ法第11条第1項の規定に基づく事故の状況及び執った措置の概要の届出等を主務大臣に提出する必要がある場合は、速やかに正本1通、副本2通を機構を経由して厚生労働大臣あて提出すること。その際、届出等の内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても提出すること。その他、カルタヘナ法に基づき主務大臣から必要な情報の提供等が求められた場合(機構から必要な情報の提供等が求められた場合を含む。)は、その指示等に従うこと。」を削除する。
2.平成28年局長通知中、記の第2の4を6に改め、新たに4,5を以下のとおり追加する。
「4.カルタヘナ法第6条第1項の規定に基づき、法第4条第2項第1号に規定する氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地。)に変更が生じた場合は、厚生労働大臣あて提出すること。その際、届出等の内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても提出すること。」
「5.カルタヘナ法第11条第1項の規定に基づき、事故の状況及び執った措置の概要の届出等を主務大臣に提出する必要がある場合は、速やかに正本1通、副本2通を機構を経由して厚生労働大臣あて提出すること。その際、届出等の内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても提出すること。その他、カルタヘナ法に基づき主務大臣から必要な情報の提供等が求められた場合(機構から必要な情報の提供等が求められた場合を含む。)は、その指示等に従うこと。」
3.平成28年局長通知中、記の第3の1を以下のとおり改める。
「医薬品等に用いるカルタヘナ法の対象となる遺伝子組換え生物等の第二種使用等(研究開発段階以外での第二種使用等に限る。)しようとする業者は、カルタヘナ法第13条に基づき、あらかじめ、厚生労働大臣による第二種使用等の確認を受けなければならないこと。ただし、「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令別表第一号に基づき厚生労働大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物」(平成16年厚生労働省告示第27号。以下「GILSP遺伝子組換え微生物告示」という。)により規定されたGILSP遺伝子組換え微生物を用い、「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(平成16年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号。以下「産業利用二種省令」という。)により定められている拡散防止措置を執って第二種使用等を行う場合はこの限りではないこと。」
4.平成28年局長通知中、記の第3の2を以下のとおり改める。
「治験薬、治験機器及び治験製品に用いる遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(平成16年1月29日文部科学省・環境省令第1号)に定められた拡散防止措置又は文部科学大臣の確認を受けた拡散防止措置を執って第二種使用等する場合は別に厚生労働大臣による第二種使用等の確認は必要ないこと。ただし、それらの拡散防止措置を変更して治験薬等に用いる遺伝子組換え生物等を第二種使用等する場合は、第二種使用等を開始する前までに厚生労働大臣による第二種使用等の確認を受けなければならないこと。」
[別紙]
遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律に基づく手続きの見直しについて
(略)
記
第1 カルタヘナ法に基づく措置の概要について
1.カルタヘナ法の規制対象となる遺伝子組換え生物等
カルタヘナ法における「生物」は、カルタヘナ法第2条第1項及び「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律施行規則」(平成15年財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号。以下「施行規則」という。)第1条により規定されており、分化する能力を有するか又は分化した細胞等(個体及び配偶子を除く。)であって自然条件において個体に生育しないものは除外されている。したがって、動物培養細胞は、カルタヘナ法における生物の定義から除かれるものであること。
また、カルタヘナ法における「遺伝子組換え生物等」は、カルタヘナ法第2条第2項並びに施行規則第2条及び第3条により規定されており、遺伝子組換え生物等を得るために利用される技術から、同種の核酸のみを用いた場合(いわゆるセルフクローニング)、異種の核酸を用いた場合であっても自然条件で核酸を交換することが知られている種の核酸のみを用いた場合(いわゆるナチュラルオカレンス)は除かれるものであること。
2.遺伝子組換え生物等の使用形態に応じた措置
カルタヘナ法においては、遺伝子組換え生物等の使用等の形態を遺伝子組換え生物等の拡散を防止しないで行う使用等である第一種使用等と拡散を防止しつつ行う使用等である第二種使用等の2つに区分した上で、それぞれに応じた措置を執らなければならないとされていること。
第2 遺伝子組換え生物等の第一種使用等について
1.カルタヘナ法の対象となる遺伝子組換え生物等を含有し又は遺伝子組換え生物等から構成される医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品等」という。)の第一種使用等をしようとする者は、遺伝子組換え生物等の第一種使用等に関する規程(以下「第一種使用規程」という。)を定め、これについてカルタヘナ法第4条に基づき、厚生労働大臣及び環境大臣の承認を受けなければならないこと。なお、厚生労働省・環境省告示により公表された第一種使用規程に従って第一種使用等をする場合はこの限りではないこと。
2.上記1.の医薬品等の第一種使用等とは、研究開発段階以外での第一種使用等をいい、通常、治験(遺伝子組換え生物等の拡散を防止して行う治験は除く。)段階以降の第一種使用等をいうものであること。したがって、治験の依頼者又は自ら治験を実施しようとする者は、治験を開始する日までに、第一種使用規程の承認を受けなければならないこと。
3.カルタヘナ法第4条第2項の規定に基づく申請書等は、主務大臣(厚生労働大臣及び環境大臣)に提出することとされており、施行規則第41条の規定により環境大臣への申請書についても厚生労働大臣あて提出することとされている。その際、機構を経由して、厚生労働大臣あて正本1通、副本2通を提出すること。また、申請内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても提出すること。
4.カルタヘナ法第6条第1項の規定に基づき、法第4条第2項第1号に規定する氏名及び住所(法人にあっては、その名称、代表者の氏名及び主たる事務所の所在地。)に変更が生じた場合は、厚生労働大臣あて提出すること。その際、届出等の内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても提出すること。
5.カルタヘナ法第11条第1項の規定に基づき、事故の状況及び執った措置の概要の届出等を主務大臣に提出する必要がある場合は、速やかに正本1通、副本2通を機構を経由して厚生労働大臣あて提出すること。その際、届出等の内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても提出すること。その他、カルタヘナ法に基づき主務大臣から必要な情報の提供等が求められた場合(機構から必要な情報の提供等が求められた場合を含む。)は、その指示等に従うこと。
6.遺伝子治療用製品等の取扱いについて
(1) カルタヘナ法の対象となる遺伝子治療用製品及び遺伝子組換え生ワクチンについては、カルタヘナ法に基づく第一種使用規程の承認申請を行うこと。
(2) カルタヘナ法の対象となる遺伝子治療用製品及び遺伝子組換え生ワクチンの製造を行う場合には、第二種使用等に該当し、本通知第3の1による第二種使用等に係る確認申請が別途必要となること。
第3 遺伝子組換え生物等の第二種使用等について
1.医薬品等に用いるカルタヘナ法の対象となる遺伝子組換え生物等を第二種使用等(研究開発段階以外での第二種使用等に限る。)しようとする業者は、カルタヘナ法第13条に基づき、あらかじめ、厚生労働大臣による第二種使用等の確認を受けなければならないこと。ただし、「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令別表第一号に基づき厚生労働大臣が定めるGILSP遺伝子組換え微生物」(平成16年厚生労働省告示第27号。以下「GILSP遺伝子組換え微生物告示」という。)により規定されたGILSP遺伝子組換え微生物を用い、「遺伝子組換え生物等の第二種使用等のうち産業上の使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(平成16年財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・環境省令第1号。以下「産業利用二種省令」という。)により定められている拡散防止措置を執って第二種使用等を行う場合はこの限りではないこと。
2.治験薬、治験機器及び治験製品に用いる遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって、「研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の第二種使用等に当たって執るべき拡散防止措置等を定める省令」(平成16年1月29日文部科学省・環境省令第1号)に定められた拡散防止措置又は文部科学大臣の確認を受けた拡散防止措置を執って第二種使用等する場合は別に厚生労働大臣による第二種使用等の確認は必要ないこと。ただし、それらの拡散防止措置を変更して治験薬等に用いる遺伝子組換え生物等を第二種使用等する場合は、第二種使用等を開始する前までに厚生労働大臣による第二種使用等の確認を受けなければならないこと。
3.カルタヘナ法第13条第2項の規定に基づく申請書は、正本1通、副本2通を機構を経由して厚生労働大臣あて提出すること。その際、申請内容を記録した電磁的記録があれば、当該電磁的記録についても提出すること。
4.GILSP遺伝子組換え微生物告示関係
(1) 本告示は、製造指針に基づいたGILSP確認の実績及び学識経験者の意見等を踏まえて作成したものであること。
(2) 本告示の別表に収載されているものであっても、宿主によっては糖鎖付加等の翻訳後修飾を生起する場合があるため、安全性を損なう恐れを生じさせるような宿主と挿入DNAの組み合わせを用いる場合は、カルタヘナ法第13条に基づく大臣確認が必要となること。
(3) 当該別表に収載されているものであっても、科学的知見の充実によって、ウイルス、感染性のウイルス様粒子を生じる可能性のある因子、高等生物に伝播する可能性のある因子、水平伝播を引き起こす可能性のある因子を宿主に導入する場合等、生物多様性影響が生ずる恐れが認められた場合には、カルタヘナ法第13条に基づく大臣確認が必要となること。
5.産業利用二種省令関係
本省令に基づく具体的な拡散防止措置及び運営上の遵守事項等については、「遺伝子組換え微生物の使用等による医薬品等の製造における拡散防止措置等について」(平成16年2月19日薬食発第0219011号厚生労働省医薬食品局長通知)により定められているので、参照すること。
第4 その他
1.カルタヘナ法第4条に基づく承認申請及びカルタヘナ法第13条に基づく確認申請の標準的事務処理期間は、それぞれ6ヶ月及び3ヶ月とすること。
2.施行規則第40条により、カルタヘナ法第4条に基づく承認及びカルタヘナ法第13条に基づく確認に関する主務大臣が規定されているところであるが、医薬品等の製造に関して申請する主務大臣が不明の場合は、あらかじめ医薬・生活衛生局医薬品審査管理課又は医療機器審査管理課に相談すること。
3.研究開発等に係る遺伝子組換え生物等の使用等に関しては、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」の施行等について(平成16年2月18日15文科振第945号文部科学省研究振興局長通知)を参照すること。