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○「JIS T9001に関する医療用マスク、一般用マスクの表示・広告ガイドライン」について

(令和3年10月26日)

(事務連絡)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課通知)

今般、一般社団法人日本衛生材料工業連合会より、別添を作成したとの報告がありましたので、参考までに情報提供いたします。

[別添]

JIS T9001に関する医療用マスク、一般用マスクの表示・広告ガイドライン

(一社)日本衛生材料工業連合会

制定 2021年7月2日

JIS T9001に関する医療用マスク、一般用マスクの表示・広告ガイドライン

1.目的

JIS T9001の運用に当たり、消費者への適切な理解と使用を確保することを目的とする。

2.定義

JIS T9001で定める医療用マスク、サージカルマスクおよび一般用マスクを言う。

2.1 医療用マスク、サージカルマスク

主に医療関係者の着用を想定し,ウイルスを含む飛まつ,バクテリアを含む飛まつ及び体液の体内への侵入を防御するとともに,バクテリアなどを含む飛まつの空気中への飛散を防止することを目的としたマスク

2.2 一般用マスク

ウイルスを含む飛まつ,バクテリアを含む飛まつ,花粉粒子,及び微粒子状物質(PM2.5など)などのうち,対象とする物質について,体内への侵入を防御するとともに,空気中への飛散を防止することを目的としたマスク。

3.JIS T9001に関する表示方法

JIS T9001記載の試験方法に基づく試験を実施し、その品質基準を満たす場合の表記方法について規定する。

3.1 医療用マスク、サージカルマスク

JIS T9001を用いた医療用マスク、サージカルマスクの品質基準を満たす商品として、以下の内容を表示する必要がある。また、「医療用」、「サージカル」等と表記可能な製品は、JISの医療用サージカル規格に適合するものだけとする。

1) JIS T9001に準じたマスクである表示をする

2) 医療用マスク、サージカルマスクであることを表示する

3) JIS T9001に準じた試験結果に基づくクラス(Ⅰ,Ⅱ、Ⅲ)の表示をする

4) 規格適合番号の表示をする。

医療用、サージカルと一般用の規格適合番号は併記できない。

5) 各試験項目と判定結果一覧を「5 5) JIS規格適合品の表示」に記載しているフォーマットに従い表示すること。実測値の記載は不可とする。

なお、圧力損失、遊離ホルムアルデヒド定量試験、特定アゾ色素試験、蛍光試験に関しては「安全衛生・通気性」とまとめて表記可能とする。

表示例―1:クラスⅠ

表示例―2:クラスⅡ

表示例―3:クラスⅢ

6) 機能性試験の正式な名称の記載をすること

PFE:微小粒子捕集効率

BFE:バクテリア飛まつ捕集効率

VFE:ウイルス飛まつ捕集効率

3.2 一般用マスク

JIS T9001を用いた一般用マスクの規格値を満足する商品として、以下の内容を表示する必要がある。

1) JIS T9001に準じたマスクであることを表示する

2) 一般用マスクであることを表示する

3) 規格適合番号の表示をする。

医療用、サージカルと一般用の規格適合番号は併記できない。

4) 各試験項目と判定結果一覧を「5 5)JIS規格適合品の表示」に記載しているフォーマットに従い表示すること。

実測値の記載は任意とする。記載する場合は花粉・VFE・BFE・PFEの数値表記はフォーマット内のみとし、それ以外は不可とする。記載する数値は実測平均値とし、小数点以下は切り捨て整数表記とする。なお実測平均値を記載する際は7ポイント以上、但し他の文字とのポイント差は1ポイント以内で記載すること。また、未実施の機能性試験については[―]を記載すること。

なお、圧力損失、遊離ホルムアルデヒド定量試験、特定アゾ色素試験、蛍光試験に関しては「安全衛生 通気」とまとめて表記可能とする。

表示例―4:実測平均値を記載する場合

表示例―5;実測平均値を記載しない場合

5) 機能性試験の正式な名称の記載をすること

花粉:花粉粒子捕集効率

PFE:微小粒子捕集効率

BFE:バクテリア飛まつ捕集効率

VFE:ウイルス飛まつ捕集効率

6) 捕集効率試験品質基準を満たした項目に関しては、下記記載をすることができる。

なお具体的なウイルス名(インフルエンザなど)、細菌名等の記載は不可とするマスクの性能との誤認を避けるため、表示内容全体として本表示が本体部の性能であって、マスク全体の性能でないことが消費者に明確に認識されるように表示すること。

尚、本体部とは、マスクの呼吸に係る本体(耳掛けゴムなどの附属除く)部である。

試験項目

表記

花粉粒子捕集効率

花粉に対する効果

微小粒子捕集効率

黄砂、PM2.5に対する効果

バクテリア飛まつ捕集効率

細菌飛まつに対する効果

ウイルス飛まつ捕集効率

ウイルス飛まつに対する効果

ウイルス飛まつ捕集効率及びバクテリア飛まつ捕集効率

かぜに対する効果

4.効能・効果の表現の範囲

4.1 マスク全体として、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品的な効能、効果および性能の標榜と消費者に誤認を与えるような以下の表示はしてはならない。

1) 「疾病の予防、治癒効果」「薬理効果」の表示。

2) 「具体的なウイルス、菌の名称」の表示。

3) 「物理的な性能」を記載する場合にあっても、「具体的なウイルスや菌の名称」の表示。

4.2 マスクの性能、品質、規格その他の内容について

JIS T9001に基づかない表示や、消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると誤認を与える表示はしてはならない。尚、本項の本体部とは、マスクの呼吸に係る本体(耳掛けゴムなどの附属除く)部である。

<医療用、サージカル、一般用共通>

1) 外からの微粒子の侵入を完全に防止することには限界があることから、次の表示をパッケージの前面に記載すること。

「マスクは感染(侵入)を完全に防ぐものではありません。」

(8ポイント以上で記載する)

なおフィルタ機能など捕集に関する強調表現がある場合は、その近傍に配置する。

2) 抗菌試験

JIS L1902に基づく抗菌試験結果が必要であるが、表示にあたっては当該性能がマスク全体性能を示すものでないことを消費者に明確に認識されるように表示すること。

素材の試験結果であることを記載し、一呼吸ごとの性能であるかの表記はしてはならない。

なお肌に触れない部位の表面の抗菌効果の記載に限られる。

3) 抗ウイルス試験

JIS L1922に基づきA型インフルエンザ・ネコカリシウイルス両方またはいずれかの抗ウイルス試験結果が必要であるが、表示にあたっては該当性能がマスク全体性能を示すものでないことを消費者が明確に認識されるように表示すること。

素材の試験結果であることを記載し、一呼吸ごとの性能であるかの表記はしてはならない。

なお肌に触れない部位の表面の抗ウイルス効果の記載に限られる。

4) その他試験

本JISに定めた試験項目や抗菌、抗ウイルス試験以外の試験を表記する場合において、JIS法、ISO法が存在する場合は、原則その試験法にて評価を実施すること、また素材の試験結果であることを記載し、一呼吸ごとの性能であるかの表記はしてはならない。なお、JIS規格以外の機能に関してはJIS規格と誤認されないように記載すること。

※花粉捕集効率、VFE、BFE、PFE、可燃性、通気抵抗、人工血液バリア性、各安全衛生項目

5) 国際機関の標章

国際機関(政府間の国際機関およびこれに準ずるものとして経済産業省令で定める国際機関をいう)と関係があると誤認させるような表示(ただし、この国際機関の許可を受けたときはこの限りでない)を最終製品の容器・被包または広告についてその標榜をしてはならない。

<洗えると標ぼうする一般用マスク>

1) 洗濯してくり返し使用することを想定したマスクは、JIS T9001で定められた品質基準数値を保持できる試験項目を示し、洗濯回数を表示すること。また、マスクの洗濯取り扱い方法を表示すること。

表示例:実測平均値を記載しない場合

洗濯可能回数 5回

2) 洗濯可能なマスク本体に洗濯不可の取替フィルタや取外しフィルタなどを組み合せたマスクは、「フィルタを挿入したマスク」にて試験を実施し表示をする。

尚、フィルタのみを販売する場合は、組み合わせて使用するマスクの指定を行うこと。また、繰り返し使える部分はマスクのみであることを明記すること。

5.その他最終製品の容器・被包に表示すべき事項

1) 品名

2) 入数

3) 販売者の名称、住所および電話番号

「販売者」とは消費者に対し製造・製品(表示含む)の全責任を負う企業を指す。製造委託をしており「販売者」が製造していない場合でも、「販売者」が消費者に対する全責任を負う。

4) 使用方法

適切にマスクを装着できるよう、イラストや文言で装着方法または使用方法を明記すること。

5) JIS規格適合品の表示

JIS規格に適合した製品にはJIS規格適合の表示を表示例―1~5のフォーマットに従い記載すること。フォーマットサイズは最低6cm×2cm(タテ20mm×ヨコ60mm以上であること)、最大で表示するパッケージ面の面積の四分の一以下とすること。文字は8ポイント以上とし、一般用マスクに実測平均値を記載する場合は7ポイント以上、但し他の文字とのポイント差は1ポイント以内で記載すること。合わせて3.2 4)を参照すること。

6) 注意書き等その他表示事項

(1) 使用上の注意事項

①有害な粉塵やガス等が発生する場所やそれを防ぐ目的での使用を禁止する旨

②肌の異常時および肌に合わない場合は使用を中止する旨

③臭いで気分が悪くなった場合は、使用を中止する旨

④乳幼児の手の届かない所への保管を喚起する旨

⑤その他の製品特性による必要な注意事項(火気のそばでの使用を避ける旨、抗菌剤の種類または加工部位についての使用上必要な注意事項等)

(2) 原産国表示(本体の成型工程または縫製工程を行った国)

* 取替えフィルタなどの取替え部分を組み合わせるものにあっては、マスクの原産国を表示するとともに、取替え部分の生産国を表示することができる。なお、取替え部分の生産国の表示は、原産国表示と間違われないよう注意する。

例) 原産国:中国フィルタ:日本

(3) 製造番号または製造記号

(4) 包装材の材質・リサイクルマーク

6.記載不可表現の事例

以下の記載は不可とする事例。

記載不可表現

理由

感染対策用、防塵用、N95相当

4.2のJIS T9001に基づかない表示に該当するため記載できない。

かぜやインフルエンザ、感染症、花粉症などの予防効果

「うつらない」「うつさない」

鼻づまりの改善や改良

のどの痛みの緩和、改善、解消

3.2 6)や4.1に記載している「疾病の予防、治癒効果・具体的なウイルス、菌、インフルエンザの名称を記載してはならない」という項目に該当するため

強調、断定表現の禁止

完全にカット、完全にブロック、完全に阻止、完全に防御、100%ガード、100%阻止、世界一

4.2に記載している「消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると誤認を与える表示はしてはならない。」という項目に該当するため

不活化、不活性化、不活動化

ウイルスや菌の破壊、分解、滅菌、殺菌、除菌

具体的な菌、ウイルス名およびインフルエンザ、試験で使用した菌名、ウイルス名の記載

抗菌マスク、抗菌作用マスク、花粉カットマスク、ウイルス飛沫カットマスク、抗ウイルスマスク、抗ウイルス作用マスク

4.1に記載している「治癒効果・具体的なウイルス、菌、インフルエンザの名称を記載してはならない」という項目に該当するため。

4.2に記載している「消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると誤認を与える表示はしてはならない。」

4.2.2)―4「マスク全体性能を示すものでないことを消費者に明確に認識されるように表示すること」「素材の試験結果であることを記載し、一呼吸ごとの性能であるかの表記はしてはならない。」に該当するため。

WHO推奨、FDA推奨、国際機関のロゴ、標章

4.2 5)に記載している「国際機関と関係があると誤認させるような表示を標榜してはならない」に該当するため。

○○病院、○○医師、○○医療機関採用または推奨

景品表示法に抵触する表現

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に抵触する表現

事実無根、科学的根拠がない表現

4.1 4.2に記載している項目に該当するため

制定 2021年7月2日

以上