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○GCTP調査要領の改正について

(令和3年7月30日)

(薬生監麻発0730第3号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知)

(公印省略)

GCTP調査要領については、薬事法等の一部を改正する法律(平成25年法律第84号)により、再生医療等製品を新たに定義し、その製造販売等に関する要件等を定め、再生医療等製品の製造業と製造販売業の許可制度を基本とする新たな規制体系が適用されることとなったことを踏まえ、「GCTP調査要領について」(平成26年10月9日付け薬食監麻発1009第4号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知。以下「旧通知」という。)により、独立行政法人医薬品医療機器総合機構が、再生医療等製品の製造所における製造管理又は品質管理の方法(以下「GCTP」という。)の基準適合性に係る調査等を適切に実施できるよう、調査体制、業務の根拠及び業務の要領を示してきたところである。

今般、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)第2条(令和3年8月1日施行)による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)の規定を踏まえ、別添のとおり、調査要領を改正することとした。

ついては、貴管下関係業者に対し周知方よろしく願いたい。

なお、本通知による改正後の調査要領は令和3年8月1日から適用するものとするとともに、本通知の発出に伴い旧通知及び「再生医療等製品に係る「薬局等構造設備規則」、「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」及び「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」の取扱いについて」(平成26年10月9日付け薬食監麻発1009第1号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)の第3章の第4を廃止する。

GCTP調査要領

目次

第1.調査要領について

第2.GCTP調査の分類及び法的根拠

第3.品質マニュアル

第4.GCTP調査の実施に関する手順

別紙1 GCTP調査の事前資料

別紙2 調査報告書様式

別紙3 GCTP調査通知書様式

別紙4 指摘事項書様式

別紙5 改善結果報告書様式/改善計画書様式

別添1 調査員の要件

別添2 公的認定試験検査機関の要件

別添3 GCTP適合性評価基準

第1.調査要領について

本要領は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第23条の25第6項(同条第11項において準用する場合を含む。)、第23条の25第8項、第23条の25の2第1項、第23条の25第8項、第23条の32の2第3項及び第80条第3項に基づく再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準(以下「GCTP」という。)の基準適合性に係る調査並びに法第69条、法第75条の2の2及び第75条の4に規定されたGCTPの遵守状況の確認に係る立入検査等(以下これらを総称して「GCTP調査」という。)を独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「総合機構」という。)が適切に実施できるよう、総合機構の品質管理監督システムに関連する事項を定めたものである。

本要領は、GCTP調査の分類及び法的根拠等の説明、品質マニュアル並びにGCTP調査の実施に関する手順から構成される。

なお、この要領では、再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第93号。以下「GCTP省令」という。)への適合性を調査する実施主体である調査実施者(以下「調査権者」という。)のGCTP調査を担当する部局(総合機構)を「調査当局」と称する。また、この要領で使用される用語については、平成22年2月19日付け薬食審査発0219第1号・薬食監麻発0219第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長・厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長連名通知「医薬品品質システムに関するガイドラインについて」を参照のこと。

第2.GCTP調査の分類及び法的根拠

1.GCTP調査は、適合性調査・確認(製造販売承認(製造販売承認事項の一部変更承認を含む。)、基準確認証の交付、変更計画の確認及び輸出再生医療等製品の製造に関連して製造販売業者又は製造業者が申請して受けることと定められている調査)及び立入検査等(法第69条第1項若しくは第6項又は法第69条の2第1項の規定に基づく検査等(以下「69条調査」という。)及び第75条の2の2第1項第2号及び第3号、第75条の2の2第4項、第75条の4第1項第1号若しくは第2号又は第75条の4第3項において準用する第75条の2の2第4項の規定に基づく検査等)に分類される。

2.適合性調査・確認については、GCTP省令に定める基準に適合していると認められるかを確認するものであり、さらに製造販売承認前適合性調査、製造販売承認後等適合性調査、区分適合性調査、変更計画適合性確認及び輸出用再生医療等製品の製造に係る適合性調査に分類され、それぞれ根拠となる法の条項ごとに次のような調査から構成される。

(1) 製造販売承認前適合性調査

ア.製造販売承認申請に係る適合性調査(法第23条の25第6項)

イ.製造販売承認事項一部変更承認申請に係る適合性調査(法第23条の25第11項において準用する第23条の25第6項)

ウ.外国特例承認申請に係る適合性調査(法第23条の37第5項において準用する第23条の25第6項)

エ.外国特例承認事項一部変更承認申請に係る適合性調査(法第23条の37第5項において準用する第23条の25第11項において準用する第23条の25第6項)

(2) 製造販売承認後等適合性調査

ア.既存承認に係る定期適合性調査(法第23条の25第6項)

イ.既存承認に係る品目毎の適合性調査(法第23条の25第8項)

ウ.既存外国特例承認に係る定期適合性調査(法第23条の37第5項において準用する第23条の25第6項)

エ.既存外国特例承認に係る品目毎の適合性調査(法第23条の37第5項において準用する第23条の25第8項)

(3) 区分適合性調査(法第23条の25の2第1項において準用する第14条の2第2項)

(4) 変更計画に係る適合性確認(法第23条の32の2第3項)

(5) 輸出用再生医療等製品の製造に係る適合性調査(法第80条第3項)

3.立入検査等は、その目的等により次のように分類される。なお、69条調査について法第69条の2第4項の政令で定める資格を有する総合機構の職員が行うものであること。

(1) 通常調査

定期的にGCTP省令の規定を遵守していることを監視指導するもの。

(2) 特別調査

予見できない事情等により遵守状況を監視指導する必要がある場合において、以下の確認を行うものである。

ア.改善内容確認(適合性調査・確認として行うものを除く。)

イ.回収、検定不合格及び苦情等のあった品目(製品)に係る製造所におけるGCTP省令の遵守状況の確認

ウ.その他

第3.品質マニュアル

調査当局は、再生医療等製品のGCTP調査を適正かつ円滑に実施し、さらに、継続的に調査の品質を向上させることを目的とし、再生医療等製品のGCTP調査関連業務に対し令和3年7月28日付け薬生監麻発0728第5号厚生労働省医薬・生活衛生局監視指導・麻薬対策課長通知「GMP調査要領の制定について」に準ずる品質マニュアルを作成し、維持すること。

ただし、記録等の保管については下記のとおりであること。

調査当局は、文書及び記録について、作成の日(手順書等については使用しなくなった日)から少なくとも次に掲げる期間保存すること。

ア.指定再生医療等製品に係る調査に関するもの 35年間

イ.アに掲げるものを除く再生医療等製品に係る調査 15年間

ウ.教育訓練、自己点検等品質管理監督システムに係る文書及び記録 ア及びイに関わらず5年間

第4.GCTP調査の実施に関する手順

1.目的

本手順は、GCTP省令に関し、平成26年8月12日付け薬食発0812第11号厚生労働省医薬食品局長通知「再生医療等製品に係る「薬局等構造設備規則」、「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」及び「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」について」、平成26年10月9日付け薬食監麻発1009第1号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「再生医療等製品に係る「薬局等構造設備規則」、「再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」及び「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」の取扱いについて」(以下、「課長通知」という。)に示された運用等の方途に加え、より整合性のとれたGCTP調査の実施を確保することを目的として定めるものである。なお、製造業の許可及び外国製造業者の認定に係る法第23条の22第7項(同条第9項及び第23条の24において準用する場合を含む。)に係る調査はこの要領の直接の対象ではないが、GCTP調査とあわせて行う場合にはこの要領に沿って行うこととする。

2.調査の方法

2.1.調査にあたって

調査当局は、GCTP調査を、その目的、製造所の規模、品目(製品)数、製品形態、過去の調査実績等を考慮して適切に実施すること。なお、調査にあたっては製品品質及び製造工程の特性や品質リスクマネジメント等の科学的な知見及びリスク管理の観点に基づき検討すること。その結果、製造業者等の自らの手法において、許容できない品質又は保健衛生に対するリスクがあると判断される場合には、GCTP省令、関連通知、事務連絡及びQ&Aの事例等を踏まえた上で、必要な指導の一つとしてGMPに適用される通知、事務連絡及びQ&Aの事例等の適切な手法を参考にする等により、適宜指導すること。

2.2.実地調査の頻度

調査当局は、GCTP省令等関係法令の最新の要求事項について、認識不足による重大な不備が発生する可能性を考慮し、一製造業者の製造所につき、表1に掲げる事項を勘案したリスク評価に基づいた上で、1~3年毎に調査を行うようにすること。また、製造業許可の有効期間内に当該製造所の製造管理及び品質管理の主たる構成要素(サブシステム)一通りについて調査がなされていること(製造業許可の有効期間内に複数の部分調査を行うことでサブシステム一通りをカバーすることでも差し支えない。)を調査の頻度の標準とした上で、表1に掲げる事項を勘案し、柔軟に対応すること。

表1 調査の内容、頻度、手法及び期間の決定に当たって考慮すべき事項

考慮すべき事項

具体例

品目(製品)種類

製品形態、使用する生物由来原料の特徴、対象疾患・効能効果・性能、特殊な製造技術によるもの等

工程内容

遺伝子導入の有無、拡散防止措置の有無、製造期間の長さ、製造工程の複雑性、滅菌・無菌操作の有無、作業環境管理内容等

その他製造所の状況

職員数等

変更履歴

交叉汚染、混同等のリスクに影響を及ぼし得る次のような変更

・適合性調査を受ける必要がある製造販売承認事項一部変更

・製造所所有者(製造業者等)の変更

・製造所の変更(場所等)

・品質に影響を及ぼし得る構造設備の変更

・品質に影響を及ぼし得る責任者等の変更

・新たなカテゴリーの品目(製品)の追加

・新たな教育訓練を要する新しい設備器具の導入

・その他

製造所履歴

初回調査か否か、前回調査結果、前回調査以後の回収や品質情報等の有無及び内容、基準確認証の有無、他の調査当局等の調査結果、前回調査から経過した期間、外国等当局からの情報等

品目(製品)履歴

副作用報告又は不具合報告その他市販後に得られた情報、一斉監視指導結果、外国等当局からの情報等

2.3.実地調査期間

初回の調査については、全ての要求事項への適合状況を包括的に調査することとなることに鑑み、調査当局は、原則として調査期間を3日以上とすること。その他の調査については、表1に掲げる事項を勘案の上、調査当局がその責任において調査期間を決定すること。

2.4.実地調査と書面調査

申請を受けた調査当局は、表1に掲げる事項を勘案した上で、実地又は書面のいずれによって調査を行うかを決定し、申請者に伝えること。適合性調査・確認申請を受けた日から少なくとも過去3年の間に当該製造業者の製造所において実地のGCTP調査を実施していない場合においては、原則として実地調査を行うものとすること。ただし、上記にかかわらず、法の遵守状況、管理状況等を勘案し、実地調査を行うこととして差し支えないこと。

2.5.他の調査当局等の調査

調査当局は、その責任において、他の調査当局等の調査結果のうち利用可能なものを参考とすることができること。

2.6.調査の対象

調査の対象については、特定の品目(製品)とするか、製造所全体とするか等、その調査の目的を踏まえ、表2の分類を参考に決定すること。

表2 GCTP調査の対象のあり方

調査の分類

調査対象のあり方

適合性調査

承認前適合性調査

承認(製造販売承認事項一部変更承認)申請に係る品目(製品)。ただし、当該製造所として初回の調査である場合においては製造所全体

承認後等適合性調査

輸出用再生医療等製品

初回

適合性調査申請に係る品目(製品)。ただし、当該製造所として初回の調査である場合においては製造所全体

2回目以降

適合性調査申請に係る品目(製品)、又は適合性調査を受けなければならない品目(製品)をまとめての製造所全体、特に前回調査以降変更等のあった部分に重点

既存定期

初回

適合性調査申請に係る品目(製品)、又は適合性調査を受けなければならない品目(製品)をまとめての製造所全体

2回目以降

適合性調査申請に係る品目(製品)、又は適合性調査を受けなければならない品目(製品)をまとめての製造所全体、特に前回調査以降変更等のあった部分に重点

区分適合性調査

初回

適合性調査申請に係る製造工程の区分に含まれる全ての品目(製品)をまとめての製造所全体

2回目以降

適合性調査申請に係る製造工程の区分に含まれる全ての品目(製品)をまとめての製造所全体、特に前回調査以降変更等があった部分に重点

変更計画に係る適合性確認

変更計画に係る品目(製品)。ただし当該製造所として初回の調査である場合においては製造所全体

立入検査等

通常調査

初回

製造所全体

2回目以降

製造所全体、特に前回調査以降変更等のあった部分に重点

特別調査

調査目的による

(1) 製造所全体について調査を行うときは、各工程等において代表的な品目(製品)を選定し、また、確認すべき文書又は記録の適切な選択を行う等により、複数の品目(製品)を網羅するように調査を計画し、実施すること。

なお、区分適合性調査を行うときは、同一区分内であっても、品目(製品)や製造販売業者により製造管理・品質管理の方法が異なり得ることを考慮した上で実施すること。

(2) 前回の調査以降に変更等のあった部分に重点を置いて調査を行うときは、GCTP省令の規定に基づき変更、逸脱等が適切に管理されているかについて確認することとなる。例えば、逸脱の記録、品質部門による変更の承認の記録や変更後の工程管理の照査の記録、不合格品に係る記録、参考品の試験検査記録、回収処理記録等を重点的に調査し、変更がないとされた場合においても、製造方法、規格及び試験方法、品目(製品)仕様等が製造販売承認(届出)事項に適合していることを確認すること。さらに、構造・構成細胞又は導入遺伝子について変更がないとされているときにおいても、製造記録のほか、製品等の試験検査記録、設備器具の保守点検記録等を調査すること。また、変更がなされていた場合においての重大な不備として想定し得るものとしては、バリデーション・ベリフィケーションの未実施、製造販売業者に連絡せずに行った重大な変更等が挙げられること。

2.7.承認前適合性調査

承認前適合性調査を行うときは、申請事項のうちGCTP省令に係る事項の確認も調査事項となる。調査権者は、承認審査に係る標準的事務処理期間等、承認前調査における留意事項を踏まえ、承認権者にも適宜連絡した上で適切に対処すること。

2.8.GCTP調査に係るサブシステム

製造所全体についてのGCTP調査においては、表3に示す製造管理及び品質管理の主たるサブシステムを踏まえて行うことにより、GCTP省令の個々の要求事項への適合性に加え、製造所の管理が効果的に機能しているかを総合的かつ効率的に評価すること。一調査において、品質サブシステムについては、必ずそのほか一以上のサブシステムを調査の対象とするようにすること。製造所全体を調査しようとする場合においては、少なくとも4つのサブシステムを調査するようにすること。サブシステムの調査においては表3に掲げる主な調査項目(必要に応じて他のサブシステムに掲げられている調査項目を含む。)のうち関連性のあるものを中心に調査し、調査の結果不備が見出されたサブシステムにおいては適宜重点的に調査を行うこと。

表3 GCTP調査に係るサブシステム

サブシステム

調査項目

1.品質

1組織

2:製品標準書

3:文書管理

4:出荷管理

5:変更管理

6:逸脱管理

7:品質情報・品質不良(苦情)

8:バリデーション・ベリフィケーション

9:自己点検

10:回収処理

11:GCTP教育訓練

12:製造販売業者との合意事項の遵守

13:製品品質の照査

14:品質リスクマネジメント

15:供給業者及び委託先管理

2.構造設備

1:手順書・記録書

2:図面管理

3:建屋・施設(作業室含む)及び設備と適格性確認(製造用水・製造設備・空調設備)

建物及び施設

4:設備・機器管理(メンテナンス)

5:コンピュータ管理

6:校正

7:製薬用水管理

8:空調管理

9:遮光管理

10:出入り口管理

11:構造躯体管理

12:衛生管理

13:防虫・防そ管理

3.製品原料資材保管等

1:手順書・記録書

2:受け入れ管理

3:区分保管管理

4:表示管理

5:出納管理

6:不合格品管理

7:施設及び設備の適格性確認

8:設備・機器管理

9:校正

10:衛生管理

11:環境管理

12:防虫・防そ管理

13:出荷作業

14:教育訓練

4.製造

1:手順書

2:製造指図書・記録書管理

3:作業前確認

4:工程管理

5:異物混入・汚染・交叉汚染防止・混同防止

6:設備・機器管理

7:校正

8:動線

9:ゾーニング(区分)

10:防虫・防そ管理

11:衛生管理

12:環境管理

13:バリデーション・ベリフィケーション

14:教育訓練

15:清浄化(サニタイズ)

16:滅菌管理

17:消毒剤等管理

18:原料入手・取り扱い管理・保管管理

19:ウイルス等の除去・不活化工程の製造管理

5.包装表示

1:手順書・記録書

2:表示材料管理

3:工程管理

4:汚染・混同防止

5:施設及び設備の適格性確認

6:設備・機器管理

7:校正

8:衛生管理

9:動線

10:ゾーニング(区分)

11:防虫・防そ管理

12:環境管理

13:バリデーション

14:教育訓練

6.試験検査

1:手順書・記録書

2:検体採取

3:施設及び設備の管理(試験検査設備・装置の適格性評価・校正並びに試験検査方法の適格性評価)

4:設備・機器管理

5:校正

6:試薬・試液・標準品管理

7:試験用水管理

8:試験動物管理

9:試験検査結果判定・逸脱管理

10:合格ラベル・情報管理(合格情報を保管管理担当者等に伝達する場合等)

11:参考品管理

12:衛生管理

13:安定性モニタリング

14:バリデーション(分析法バリデーション)

15:委託試験管理

16:教育訓練

17:試験室環境管理

18:微生物試験管理

19:無菌試験管理

2.9.調査資料

調査実施者が必要に応じて調査対象製造業者等から事前に入手できる資料としては別紙1に掲げるものが考えられる。調査内容や調査対象製造業者等の規模等により、適宜必要な資料を要求する等、当日の調査を効率的に進める観点から必要な資料を事前に得て準備を進めること。承認前適合性調査又は初回輸出用再生医療等製品の製造に係る適合性調査の場合においては、品目(製品)に重点を置き、品目(製品)の製造販売承認申請又は製造販売届出において引用される原薬等登録原簿等、必要な情報の収集に努めること。また、立入検査等の場合においてもこれに準じて必要な情報の事前入手に努めること。

3.GCTP調査の具体的手順

3.1.GCTP調査

GCTP調査は、事前準備、調査の実施、調査実施後の措置及び指導等、調査結果報告書(別紙2)の作成並びに報告書等の送付といった手順から構成される。具体的内容は以下のとおりであること。

3.2.基本方針の策定

調査当局は、調査の目的を明確にするほか、表1に掲げる事項及び別紙1の資料を踏まえ、調査の基本方針を決定すること。また、製造所の製品、製造工程の内容等から調査実施者の安全上懸念される事項がある場合においては、適切な措置(特定の薬剤に過敏症を有している者を当該薬剤が含まれるおそれのある製品に係る調査から外すこと、細菌やウイルス等に感染するおそれのある場所、有毒ガスの発生のおそれのある場所等を調査させるに当たり製造所の衛生管理基準を遵守すること等の注意徹底をすること等)を講じること。

3.3.チーム編成

調査当局は、原則として1名以上の調査当局に所属する調査員及び必要に応じて関係する分野の専門家等を確保し、調査チームを編成(調査実施者間の専門性・経験の相互補完、調査実施者の安全確保の観点からも2名以上の体制とすることが望ましい。)すること。また、調査チームの中から調査実施責任者を指名し、調査の実施全般のほか、講評、指摘事項の伝達、調査結果報告書の作成を行わせること。なお、調査チームには、調査ごとに別添1のリーダー調査員の要件を満たす者を1名確保すること。

また調査チームとは別途、外国調査当局の職員、関連機関の職員等、調査実施者ではない者が調査にオブザーバーとして参加することについては、調査を受ける製造所に係る製造業者等及び調査実施責任者が認める場合に限り可能であること。その際、調査当局は、オブザーバーに対し守秘義務の遵守等必要な事項を指示し、オブザーバーはこれに従うこと。

3.4.調査計画の策定

調査当局は、調査実施責任者に調査に関する情報を十分に収集、分析させ、調査チーム内で調査の進め方につき入念に意思疎通を図らせるとともに、利用可能な資源と時間を勘案の上で下記の事項等を盛り込んだ調査計画を立てさせること。調査計画については、必要に応じて調査対象製造業者等に伝達し、合理的かつ的確な調査の実施に努めるようにすること。また、調査計画の内容は調査の現場での状況に柔軟に対応できるようなものとし、変更があった場合においては調査対象製造業者等の責任者にその旨伝達すること。

(1) 調査実施者の氏名及び職名並びに調査における役割

(2) 調査の目的

(3) 調査日時・場所(別途書面調査を行うときはそれについての事項を含む。)

(4) 調査対象製造所(当該製造所に関連する外部試験検査機関等を併せて調査する場合(適合性調査の場合においては申請書、GCTP調査指摘事項書、調査結果報告書のいずれも別になること。)においては併記しておくこと。調査対象製造所が複数の品質管理監督システムに関わっているときはいずれのシステムかを特定すること。)

(5) 調査において用いる言語(日本語とどの言語との通訳を手配するか)

(6) 調査の範囲①特定の品目(製品)の調査:調査対象サブシステム、それぞれにおける該当工程(必要に応じ作業所、区域、組織、文書・記録等を特定)②製造所全体の調査:調査対象サブシステム、それぞれにおける重要工程と代表製品

(7) 主たる調査事項ごとの所要予定時間(予定)

(8) 講評の予定時間(予定)

(9) 調査結果報告書の交付日(予定)

3.5.事前通知

調査当局は、GCTP調査を行うに当たり、原則として調査通知書(別紙3)の写しの他、必要な情報を調査対象製造業者等に提供することにより、事前通知を行うこと。製造販売業者からの申請に基づく適合性調査の場合においては、当該製造販売業者に対して事前通知を行うものとし、当該製造販売業者から調査対象製造業者へ伝達するよう指示すること。外国製造業者からの申請に基づく区分適合性調査において、国内代理人が選定されている場合においては、当該国内代理人に対して事前通知を行うものとし、当該国内代理人から調査対象製造業者等へ伝達するよう指示すること。また、立入検査等の場合においては、必要な文書及び記録の効率的な閲覧、必要な職員の出席等を調査の際に確保し、合理的かつ的確な調査の実施に資することを目的として原則1週間前までに通知すること。なお、69条調査を行うに当たっては、法第69条の2第5項の身分を示す証明書を携帯する職員以外の者が調査実施者として加わるときは予め調査対象製造業者等の同意を得ておくこと。

調査当局が事前通知を行っても上記目的を達成することが困難であるとき又はその他調査当局が不要と認めたときは、事前通知を行わないこともあり得る。また、事前通知は、調査当局がその責任において主体的に行うものであり、いわゆるアポイントをとるという趣旨のものではないこと(ただし合理的な内容であれば調査対象製造業者等からの相談に適宜応じること)。

3.6.調査の手順

実地調査は、原則として次のような手順で進行する。

(1) 実地で調査を行うことの理解確保

(2) 調査基本事項確認

(3) 調査実施

(4) 講評、調査指摘事項書の交付

(5) 改善計画書及び改善結果報告書の徴収、改善内容確認(調査)

(6) 調査結果報告書作成、写しの交付、台帳記録(薬事監視指導要領に定める処分台帳への記録を含む。)

3.7.実地で調査を行うことの理解確保

製造所に立ち入るに当たっては、調査通知書を提示し、調査対象製造業者等から立入りについての理解を得ること。

3.8.調査の基本確認事項

(1) 調査対象製造業者等の責任者に対し、各調査実施者の氏名、職名及び所属を自己紹介、調査実施者と調査対象製造業者等双方の連絡窓口の確認

(2) 調査通知書を手交し、調査の目的と調査事項の説明

(3) 調査手順の説明

(4) 上記について、調査実施者と、調査対象製造業者等の責任者との間で確認

(5) 調査実施者のための資源(打合せのための会議室等)の確認

(6) 講評のための段取りの確認

(7) 調査実施者の打合せ時間、各日の調査終了予定時刻の決定

(8) 初回の調査の場合においては、基本的な申請事項等(調査対象製造業者等の氏名及び住所等)の確認

(9) 組織図、製造管理及び品質管理の概要(必要に応じて、品質方針等の概要)、前回調査以後の変更、前回調査時において不備とされた事項の改善の内容等について、調査対象製造業者等の責任者から概要説明

3.9.調査の実施

(1) 調査当局は、調査期間中の調査実施者からの照会等の連絡に対応できるような体制を整備しておくこと。

(2) 調査実施者は、友好的な雰囲気の醸成に努めること。

(3) 調査チームは、チームとしての能力を最大限発揮できるようにし、調査実施者間のお互いの意思疎通を図り(適宜席を外して意見交換を行うこと、調査チームが二手以上に分かれて別の場所を調査するときに調査実施責任者から他の調査実施者に対し調査のポイントを指示すること等)、対応・見解の整合性を確保すること。

(4) 調査実施責任者は、調査が複数の日にわたる場合においては、各日(最終日を除く。)の調査終了時に調査対象製造業者等の責任者に対し、調査が未了であることを伝達すること。調査通知書の手交は初日の1回のみで差し支えないが、調査が当初の予定よりも長い時間を要することが予想される場合においては、調査対象製造業者等の責任者に対しその旨をあらかじめ伝達すること。

(5) 調査実施者は、調査中に不備をみつけたときは、遅滞なく調査対象製造業者等の責任者にその旨の伝達がなされるようにし、講評時になってはじめて同責任者が知るということのないようにすること。

(6) 製造記録、教育訓練記録等の調査においては、利用可能な資源と時間の範囲内において、文書又は記録のサンプリングがリスク又は統計学的に妥当なものとなるよう努めること。

(7) 調査が効率的に進行するよう、調査の手順を適切に組み立てること。例えば、倉庫等のツアーを先に行って不合格や逸脱の事例等サンプリングのための情報を当初に確認しておくこと、用意に手間を要する文書記録類について早い段階で提出を指示すること等が挙げられる。

(8) 69条調査の調査実施者は、法第69条の2第5項に基づき身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときはこれを提示しなければならないが、複写に応じてはならないこと。調査が拒まれ、妨げられ又は忌避され、調査に着手できない場合においては、そのような場合における法令の規定について説明すること。それでもなお調査に応じようとしない場合においては、調査通知書を手交してから調査対象製造所を離れ、直ちに調査権者に報告すること。調査の実施中に製造工程、情報等の一部についての調査が拒まれ、妨げられ又は忌避された場合においては、上記法令の規定を説明した上で調査を続行すること。

(9) 調査実施者は、調査対象製造業者等から傷害の免責、企業秘密等の漏洩等について署名を求められた場合においては丁重に断ること。ただし、要請があったときはその旨を調査結果報告書その他に適切に記録しておくこと。

(10) 調査対象製造業者等から録音、録画等の許可を求められた場合においては、必ずしも拒否する必要はないが、調査実施者の記録の正確性を確保する観点から、調査実施者も録音を行う又は録音のコピー等の提出を求めることを調査対象製造業者等に伝えるものとすること。

(11) 調査の実施時に、調査実施者及び調査対象製造業者等の職員ではない外部の者が調査の場所に参加することは、原則として認められないこと。特段の事情により外部の者の参加を認める場合においても、当該外部の者は調査に何ら影響を及ぼすことはできず、調査の実施に不適切な影響を及ぼす場合においては退出を求めること。また、調査実施者が調査において入手した企業秘密等が当該外部の者に漏洩しないよう細心の注意を払うこと。なお、外部の者による企業秘密等の漏洩については、調査実施者は何ら責任を負わないものであることを調査対象製造業者等に伝達すること。

(12) 不注意な言動等による他の製造所等に係る機密の漏洩等、調査権者の信頼を失墜させることのないよう慎重に行動すること。外部試験検査機関、滅菌を担当する製造所等、同一品目(製品)に係る製造所に対してであっても機密である情報があり得ることに留意すること。

(13) 調査期間中に調査実施者が作成した記録、撮影した写真(写真機の持ち込み等について製品の品質に影響を及ぼさないか製造業者等に確認すること)等について、調査対象製造業者等から複写させて欲しい旨の希望があった場合においては、その場では複写に応じず、後日情報公開手続によるよう伝えること。

(14) 無菌操作を行う区域等に入る必要性がある場合においては、調査対象製造所における無菌管理の妥当性に十分留意の上、調査対象製造所の衛生管理基準の遵守等必要な措置を採ること。

(15) 69条調査においては、試験検査のために必要な最少分量に限り試料の収去を行うことがあるが、収去する際は原則として調査対象製造所等で実施された試験検査結果の信頼性に関し十分な検討を行うこと、また、収去した試料の試験検査の結果は調査対象製造業者所等に連絡されるものであること等を念頭において実施すること。

3.10.講評

(1) 調査実施責任者は、調査時点において、調査チームが不備と判断した事項(以下「講評事項」という。)について調査対象製造業者等の理解を深めるための会合(以下「講評」という。)を開催すること。講評の中で、調査の全体を概括するとともに、講評事項を伝達し、当該事項について調査対象製造業者等の責任者との意見交換を行うこと。講評は、調査期間中に調査実施者が観察した事項について、調査対象製造業者等の適正な認識及び理解を確保することを目的として行うものであり、調査において把握した客観的事実に基づき説明をし、説明に対する質問には誠意をもって対応し、調査対象製造業者等も納得するよう努めること。講評事項の伝達は、不備のあった事項に限定して、明確に行うことを旨とすること。異なる作業所、作業区域等において見出された不備であっても共通のものについては、改善をより容易にする観点から適宜まとめること。なお、重度の不備と疑われる事項については、調査実施者単独で法令違反か否かを断定することはせず、持ち帰りあらためて連絡する等により、調査権者の判断に委ねること。

(2) 講評事項の説明を行う調査実施者は、適合性調査・確認又は69条調査以外の立入検査等においては総合機構の職員、69条調査においては法第69条の2第5項の身分を示す証明書を携帯する職員であることを原則とすること。なお、調査通知書に記載した調査実施者(専門家を含む。)であって上記職員に該当しない者であっても、講評事項の内容について技術的説明を行うことはできるものであること。

(3) 講評事項のうち、調査対象製造業者等から調査期間中に是正した旨の報告があったときは、調査期間を不合理に延長させるものではない限りにおいて確認に応じることが望ましいこと。

(4) 講評の際に、調査対象製造業者等から改善の方法等について相談された場合においては、調査実施者は、自らの職務上責任をもって応じることができる場合を除き、対応することはせず、調査権者に対して別途照会するように指示すること。

3.11.不備事項の分類、GCTP調査指摘事項書の交付

(1) 当該調査において確認された各講評事項について、改めて調査チームで内容を精査し、GCTP適合性評価基準(別添3)に従って不備事項の分類を行うこと。

(2) 上記3.11(1)の不備事項の分類を基に、GCTP調査指摘事項書(別紙4)を作成し、調査対象製造業者等の責任者に対し調査対象製造業者等あてGCTP調査指摘事項書を調査終了日から原則として10業務日以内に交付するようにすること。この際、GCTP適合性評価基準に定められたGCTP調査指摘事項書の交付後、提出が必要となる文書、調査権者による適合状況の判定手順等について説明すること。

(3) 調査当局は、GCTP調査指摘事項書の写し等を、監視指導を行う部門等にも送付するなどして、回収の指示等の措置等に資するようにすること。指摘した不備がその他の製造販売業者にも関係する場合においては、薬事監視指導要領に定める手順に基づき当該製造販売業許可権者に適宜連絡をすること。

3.12.改善計画書、改善結果報告書の徴収、改善内容確認(調査)、適合状況の判定

(1) 調査実施責任者は、徴収した改善計画書又は改善結果報告書の提出を受けた場合は、速やかに内容を確認すること。

(2) 改善計画書又は改善結果報告書の内容が適切ではない場合においては、調査対象製造業者等に対し是正を指導し、なお是正されない場合においては、調査権者として薬事監視指導要領等に従い適切な措置を採るよう取り計らい、調査を終了すること。

(3) 改善内容確認(調査)を行った結果、改善が確認された場合においては、改善の契機となったGCTP調査指摘事項書をもとに監視指導措置等が採られていたときは速やかに当該措置を採った関係部門に連絡すること。

(4) 改善計画書、改善結果報告書の徴収の際において、他の部門等が受領すべき書類(製造販売承認事項一部変更承認申請書、軽微変更届出書等)を受領しないよう注意すること。

(5) 調査部門の長は、GCTP適合性評価基準に基づき適合状況の判定を行うこと。また、GCTP適合性評価基準に従い評価を行った結果、「不適合」である場合においては、薬事監視指導要領に従って措置を行うこと。

3.13.調査結果報告書作成、写しの交付、調査結果通知等の送付

(1) 調査当局は、GCTP調査を実施したときは、調査実施責任者に別紙2に示す様式により調査結果報告書を作成させること。

(2) 調査結果報告書の作成に当たっては、GCTP調査指摘事項書に記載した不備事項について、調査実施者が調査において実際に確認した事実(不備事項については、その具体的な内容を含む。)をもとに、その原因(当該不備に係る責任者を含む。)について適宜言及し、要点を明瞭かつ簡潔に記載すること。

(3) 調査した部分(サブシステムを含む。)を記載すること。

(4) 可能な限り調査対象製造業者等にとって改善のための有用な情報となる記載とするよう努めること。個人的感想や自明の事項は極力記載しないようにすること(製造販売承認申請書、製造販売承認書又は製造販売届出書、引用された原薬等登録原簿等に記載された事項等については、番号等を引用することで足りる。)。調査実施責任者は、調査当局から措置の承認を得ることを前提に記載(例:調査当局の責任において行う監視指導上の措置を断定しないこと等)すること。調査そのものには関係しないが調査において得られた情報は、必要に応じ別途のメモ等により必要な部門等に連絡すること。

(5) 調査実施者は、不備とした事項の証拠が調査対象製造所の外部にあって証拠隠滅のおそれがあると認めるときは、迅速に調査当局に連絡すること。連絡を受けた調査当局は、製造販売業許可権者への連絡等必要な措置を採ること。

(6) 調査当局は、調査結果報告書が総合判定として適合か不適合かについて明確に結論づけられていることを確実にすること。不適合とする場合においては、それに基づき採られる不利益処分において調査結果報告書が重要な証拠となることを十分に認識し、その記載に遺漏なきようにすること。

(7) 調査結果報告書においては、原則として、不利益処分、報告命令、告発等の法的措置の勧告等は行わないものとすること。

(8) 調査結果報告書の作成については、改善計画書又は改善結果報告書を受理し、その内容を確認後速やかに行うこと。

(9) 調査結果報告書の写しを、開示可能性に十分留意して、調査対象製造業者等に交付すること。

(10) 調査当局は課長通知に基づき、調査した品目の製造販売業許可権者、製造販売承認権者及び製造販売業者又は製造業者に調査結果を通知すること(ただし、申請に基づく適合性調査・確認(区分適合性調査は除く。)に限る。)。

(11) 調査当局は、区分適合性調査を行った場合、課長通知に基づき、製造工程の区分ごとに、基準確認証を、調査対象となった製造所に係る製造業者に交付すること。

(12) GCTP調査の実施状況については、一元管理の観点から、実施日、製造所名称、品目、適否等の内容について、厚生労働省に定期的に報告すること。

(了)

別紙1(GCTP調査の事前資料)

製造所から調査前に入手する資料リスト

1.製造所についての一般的情報

1.1製造業者等及び製造所の情報/連絡先(名称、所在地、連絡先等)

1.2許可又は認定の区分

1.3再生医療等製品の製造以外で実施している活動

2.製造所の品質マネジメントシステム

2.1当該製造所の品質マネジメントシステムの概要

2.2製品の出荷(出荷判定含む。)に関する手順

2.3供給者及び委託者の管理に関する事項(調査対象品目に係るサプライチェーンの概要及びそれらの管理に関する簡潔な記述、生物由来原料基準への対応状況の説明)

2.4品質リスクマネジメントに関する事項

2.5製品品質照査に関する事項

2.6変更管理及び逸脱管理に関する概要

3.人員(組織図、各部門の人数、各GCTP責任者の一覧)

4.施設及び機器

4.1施設に関して、動線、清浄度管理等を記入した製造区域の配置図

4.1.1空調システムの簡潔な記述

4.1.2製薬用水システムの簡潔な記述

4.1.3他の関連するユーティリティ、例えば蒸気、圧搾空気、窒素等の簡潔な記述

4.2機器に関して

4.2.1主要な製造及びラボ用機器のリスト

4.2.2洗浄および滅菌・消毒の概要(定置洗浄/定置滅菌の利用状況等)

4.2.3GCTP上の重要なコンピュータ化システムの概要

5.文書化システムの概要(紙媒体の記録又は電磁的記録の区別)、文書体系図、文書リスト等

6.製造に関する事項

6.1製造品目の一覧(全ての品目のリストと実施する工程、高生理活性物質等に該当するもののリスト、専用設備で製造する製品のリスト等)

6.2バリデーション・ベリフィケーションの全体的な方針、再加工・再処理に関する方針

6.3交叉汚染防止、混同防止の概要

6.4原材料管理(ヒト由来の原材料の採取等の取扱いを含む)及び倉庫管理の概要(供給業者との取決めの概要等)

7.品質管理の概要(実施している物理的、化学的及び微生物/生物学的試験の概要)

8.配送、品質情報処理、品質不良及び回収

8.1配送(製造業者の責任下にある部分)の概要

当該製造所の出荷先の業者の種別(輸送業者、製造販売業者、製造業者等)と場所(外国等)、当該製造所の製品が不法なサプライチェーンに入ることを防ぐためにとられている方策

8.2品質情報処理及び回収処理に係るシステムの概要

9.自己点検に係るシステムの概要

10.サイトマスターファイル

(了)

別紙2(調査結果報告書様式)

画像2 (25KB)別ウィンドウが開きます

画像3 (23KB)別ウィンドウが開きます

画像4 (12KB)別ウィンドウが開きます

画像5 (49KB)別ウィンドウが開きます

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別紙3(GCTP調査通知書様式)

別紙4(指摘事項書様式)

画像9 (32KB)別ウィンドウが開きます

別紙5(改善結果報告書/改善計画書様式)

別添1(調査員の要件)


調査員

リーダー調査員

シニア調査員

適格性基準

調査員として必要な知識が習得できていること。

①品目の特性に応じた調査計画の立案、指摘事項の評価、報告書の作成等が可能であること。

②観察事項に応じて柔軟に調査計画の変更ができること。

①品目の特性に応じた知識及びその調査手法が習得できていること。

②リーダー調査員を含めた調査員に対し、指導・教育訓練ができること。

評価方法(注1)

調査当局の調査品質管理責任者により適格性が評価されること。

①リーダー調査員の要件の取得は再生医療等製品の分野について、適格性が評価されること。

②調査当局の調査品質管理責任者により適格性が評価されること。

①調査当局の調査品質管理責任者により適格性が評価されること。

認定要件

資質

①理系大学卒業相当以上の知識、技能を身に付けるために教育を受けていること。

②ISO19011に示される個人的資質を有すること。

①調査員としての要件を満たすこと。

②観察力、適応力、決断力が優れていること。

③認定を受ける分野での専門的な知識があること。

①リーダー調査員としての要件を満たすこと。

②実務能力があり、専門性があること。

③自立的、外交的な特質に秀でていること。

④認定を受ける分野での専門的な知識があること。

研修(注2,3)

以下の項目について、40時間以上(現場教育含む。)の教育訓練を受けること。

①国内法規に関する教育(例:医薬品医療機器等法、日本薬局方、薬局等構造設備規則、GCTP省令、バリデーション基準、PIC/Sガイドライン、通知等)

②GCTPの概念とその実現方法

③調査手順に関する教育(例:調査要領、GCTP調査、立入調査、収去の手順等)

以下の項目について、計画的に教育訓練を受けること。ただし、②~④については必要に応じ教育訓練の対象とすること。

①調査の技術に関する教育訓練(計画立案、指摘事項の評価及び報告書の作成方法(現場教育含む。))

②国際的動向に関する教育(例:ISO9000等の品質保証システムに関する理解、MRA及びその他の協定に関する知識、海外の規制状況の理解(EDQM、ICH、PIC/S、WHO))

③品目に応じた技術的知識(例:細胞、ウイルス及び遺伝子を用いる製造技術、製造及び支援設備の特性、バリデーション等の手法、分析技術、微生物学的知識)

④最新のGCTP、GMP等の知識及び概念(例:医薬品開発、リスクマネジメント、医薬品品質システム等のICHガイドラインの理解、コンピュータ化システムの知識)

以下の項目について、教育訓練を受けること。

①教育訓練者としての知識及び技能教育訓練

②国際的な規制動向を含めより高度で最新のGCTP、GMP等に関連する知識及び概念

継続評価(注2,3)

年間計画に基づく教育訓練(個人学習、セミナー、勉強会、会議、現場教育等を含む年間10日間以上)を受けること。

①年間計画に基づく教育訓練(個人学習、セミナー、勉強会、会議・学会、現場教育等を含む年間10日間以上)を受ける。

②リーダー調査員としての実地調査経験、適格性が評価されること。

①年間計画に基づく教育訓練(個人学習、セミナー、勉強会、会議・学会、現場教育等を含む年間10日間以上)を受けること。

②シニア調査員及び講師等における経験、適格性が評価されること。

離職後の復帰要件

離職の間に変更のあった法令、ガイドライン及び手順書等の知識を習得すること。

①離職の間に変更のあった法令、ガイドライン及び手順書等の知識を習得すること。

②離職の間に変更のあった分野ごとの知識及び調査の遂行に必要な知識を習得すること。

①離職の間に変更のあった法令、ガイドライン及び手順書等の知識を習得すること。

②離職の間に変更のあった分野ごとの知識及び調査の遂行に必要な知識を習得すること。

留意点

注1:過去にGCTP調査の経験を有する者において、教育訓練の記録が残されていない場合、必要となる教育訓練を再度実施し、適格性基準を満たすことが確認できれば該当の要件の取得が可能であること。

注2:製造業者等の実態に応じ、リーダー調査員の要件を満たせるよう教育訓練プログラムを計画すること。

注3:個人ごとの教育訓練記録を作成し、管理すること。

(了)

別添2(公的認定試験検査機関の要件)

再生医療等製品の試験検査を実施する公的認定試験検査機関に求められる要件について

1.適用範囲

本規程では再生医療等製品の試験検査を行う公的認定試験検査機関に対し、この公的認定試験検査機関が適切に管理され、かつ提出される試験検査結果の妥当性を確保するための要件を定めるものである。

2.定義

一 公的認定試験検査機関とは、GCTP調査権者から再生医療等製品の試験検査を受託する機関として、国(PMDAを含む。以下同じ。)が本規程に基づいて認定した機関をいう。

二 試験に供される再生医療等製品(以下「検体等」という。以下同じ。)とは、国が採取及び入手した検体又は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)第69条第6項及び同法第69条の2第1項の規定により国が収去した検体をいう。

三 委託者とは、再生医療等製品の試験検査を委託する者(国の試験機関であれば厚生労働省及びPMDA)をいう。

3.組織

公的認定試験検査機関の長は、試験検査データの信頼性を確保するため、試験検査業務を担当する組織から独立した信頼性保証業務を担当する者又は部門(「信頼性保証業務を担当する組織」という。以下同じ。)を設置しなければならない。

4.職員

公的認定試験検査機関の長は、試験検査業務や信頼性保証業務を適正かつ円滑に実施しうるよう、試験検査業務や信頼性保証業務を担当する組織ごとにそれぞれ責任者を置かなければならない。

5.構造設備

公的認定試験検査機関は、受託する試験検査を実施するために必要な試験検査施設、試験検査設備及び関連する用役設備を有すること。

6.手順書等

公的認定試験検査機関の長は、試験所ごとに試験検査が適切に実施されるよう、次に掲げる手順に関する文書(以下「手順書等」という。)を作成し、これを保管しなければならない。

一 試験検査を受託する契約に関する取り決め事項

二 検体等の受け入れに関する手順

三 試験検査に係る手順(衛生管理、校正、バリデーション等を含む)

四 試験成績書の発行に関する手順

五 試験検査結果の妥当性に関する情報及び不良等の処理に関する手順

六 変更の管理に関する手順

七 逸脱の管理に関する手順

八 自己点検に関する手順

九 教育訓練に関する手順

十 文書及び記録の管理に関する手順

十一 マネジメントレビューの実施に関する手順

十二 利益相反の確認等に関する手順

十三 その他試験検査を適正かつ円滑に実施するための手順

7.取り決め

公的認定試験検査機関の長は、検体等の試験検査の受託に関し委託者の長と取り決め(例えば、文書の保管、委託者による立入検査、業務改善等の指示等)を作成し、保管しなければならない。

8.試験検査

一 試験検査部門は、手順書等に基づき、検体等の試験検査に係る業務を計画的かつ適切に行わなければならない。

二 試験検査に係る検体採取、保管、試薬調製、試験検査作業、試験データの計算等について、その記録を作成し、これを保管しなければならない。

三 試験検査に関する設備及び器具を定期的に点検整備するとともに、その記録を作成し、これを保管しなければならない。また、試験検査に関する計器の校正を適切に行うとともに、その記録を作成し、これを保管しなければならない。

9.試験検査の成績書の発行

一 公的認定試験検査機関は、試験検査の結果を記載した試験検査成績書を作成し、委託者に交付するものとする。

二 公的認定試験検査機関の長は、試験検査成績書を交付するにあたっては、あらかじめ定めた部門に、手順書等に基づき、試験検査の結果を適切に評価し、試験検査成績書を作成させる業務を行わせなければならない。

10.試験方法の妥当性確認

公的認定試験検査機関の長は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 次に掲げる場合においては、試験方法の妥当性を確認すること。

イ 試験検査を新たに開始する場合

ロ 試験検査手順が大きな変更があった場合

二 定期的に試験方法の妥当性を確認すること。

11.変更の管理

公的認定試験検査機関の長は、試験検査手順等について、試験検査データに影響を及ぼすおそれのある変更を行う場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 当該変更が試験検査データに与える影響を評価し、その評価結果をもとに、当該変更を行うことについて信頼性保証業務を担当する組織の承認を受けるとともに、その記録を作成し、これを保管すること。

二 前号の規定により信頼性保証業務を担当する組織の承認を受けて変更を行うときは、関連する文書の改訂、職員の教育訓練その他所要の措置を講ずること。

12.逸脱の管理

公的認定試験検査機関の長は、試験手順等や試験検査データの規格からの逸脱が生じた場合においては、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 逸脱の内容を記録すること。

二 重大な逸脱が生じた場合においては、次に掲げる業務を行うこと。

イ 逸脱におる試験検査データへの影響を評価し、所要の措置を採ること。

ロ イに規定する評価の結果及び措置について記録を作成し、保管するとともに、信頼性保証業務を担当する組織に対して文書により報告すること。

ハ ロの規定により報告された評価の結果及び措置について、信頼性保証業務を担当する組織の確認を受けること。

13.試験検査結果等の妥当性に関する情報及び不良等の処理

公的認定試験検査機関の長は、発行した試験検査成績書に関する苦情等を受けた場合、あらかじめ指定した者に手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 当該苦情等に係る事項の原因を究明し、試験検査作業等に関して改善が必要な場合においては、所要の措置を講ずること。

二 当該苦情等の内容、原因究明の結果及び改善措置を記載した記録を作成し、保管するとともに、信頼性保証業務を担当する組織に対して文書により速やかに報告し、確認を得ること。

14.自己点検

公的認定試験検査機関の長は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 当該公的認定試験検査機関の試験検査業務全般について定期的に自己点検を実施すること。

二 自己点検の結果の記録を作成し、これを保管すること。

15.教育訓練

公的認定試験検査機関の長は、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる業務を行わせなければならない。

一 信頼性保証や試験検査業務に従事する職員に対して、必要な教育訓練を計画的に実施すること。

二 教育訓練の実施の記録を作成し、これを保管すること。

16.文書及び記録の管理

公的認定試験検査機関の長は、この規定で示した文書及び記録についてあらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる事項を行わせなければならない。

一 文書を作成し、又は改訂する場合においては、手順書等に基づき、承認、配布、保管等を行うこと。

二 手順書等を作成し、又は改訂するときは、当該手順書等の日付を記載するとともに、それ以前の改訂に係る履歴を保管すること。

三 この規定で示した文書及び記録は、取り決めに従い、保管すること。

17.マネジメントレビュー

公的認定試験検査機関の長は、手順書等に基づき、原則毎年度ごとにマネジメントレビューを実施し、品質管理監督システムが維持されていることを確認するとともに、生じた問題に対して、改善を図らなければならない。

18.利益相反の確認等

公的試験検査機関の長は、試験検査データの信頼性を確保するために、あらかじめ指定した者に、手順書等に基づき、次に掲げる事項を行わせなければならない。

一 職員等に、各公的試験検査機関に規定されている倫理規定等を遵守させるとともに、利益相反に該当していないか原則毎年度ごとに確認を行うこと。

二 利益相反に該当する試験検査業務を担当させないよう配慮すること。

19.監督

公的認定試験検査機関は、毎年度ごとに、委託者に対し、本要件に適合していることの確認を求めなければならない。

20.医薬品等の試験検査を実施する公的認定試験検査機関の認定を取得している機関は、再生医療等製品の公的認定試験検査機関の認定を取得しているものとみなす。

(了)

別添3 GCTP適合性評価基準

1.GCTP省令への適合状況については、製造所ごと、品目ごと又は製造工程の区分ごとに評価を行うこと。なお、品目又は製造工程の区分にかかわらず必要とされている事項についても、品目又は製造工程の区分に係る事項とみなして評価を行うこと。

2.不備事項の分類

評価に当たっては、調査により判明した事項ごとに、GCTP省令に規定されている条項に抵触する事項又は製造管理・品質管理の運用上、完全を期すため、より適切な運用への改善が必要な事項(以下「不備事項」という。)であるかを判断し、以下に示す基本的な考え方に従って分類する。なお、関連する事項を包括的に取り扱い、一つの不備事項として分類することは差し支えない。

(1) 重度(critical)の不備事項

認められた不備事項が、GCTP省令に規定されている条項に抵触しており、以下のいずれかに該当する場合

・患者に有害な製品を製造した、あるいは有害な製品の製造につながる明白なリスクとなる場合

・製品あるいは記録について、製造業者による欺罔、虚偽の報告あるいは改竄が認められた場合

(2) 中程度(major)の不備事項

認められた不備事項が、GCTP省令に規定されている条項に抵触しており、「重度の不備事項」に該当しない場合

(3) 軽度(other)の不備事項

認められた不備事項が、GCTP省令に規定されている条項に抵触することが明らかとまでは言えないが、製造管理・品質管理の運用上、完全を期すため、より適切な運用への改善が必要な事項である場合

3.適合状況の判定

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第23条の2の5第2項第4号(法第23条の37第5項において準用する場合並びに第80条第3項及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第137条の58において引用する場合を含む。以下同じ。)に対する該当性については、上記2.の要領により行った各事項の評価結果を用いて、以下に示す基本的な考え方に従って判定する。

(1) 不備事項が認められなかった場合

製造所の製造管理及び品質管理の方法は、第23条の2の5第2項第4号に該当しないものであり、「適合」と評価して差し支えない。

(2) 認められた不備事項が「軽度の不備事項」のみの場合

製造所の製造管理及び品質管理の方法は、第23条の2の5第2項第4号に該当しないものであり、「適合」と評価して差し支えないが、各不備事項について、調査対象製造業者等に対してGCTP調査指摘事項書により不備を指摘し、改善結果報告書又は改善計画書の提出を求めること。この場合、次回の定期調査等の際に、改善状況について確認を行うこと。

(3) 認められた不備事項に「中程度の不備事項」がある場合

「中程度の不備事項」に関して、GCTP調査指摘事項書の交付日から30業務日以内に調査対象製造業者等から、①詳細な改善結果報告書又は②具体的な改善計画書を提出させること。その内容を速やかに確認し、妥当と判断できない限りは、原則として適合状況を「不適合」として評価すること。①②の内容が妥当と判断できた場合には、適合状況を「適合」として評価して差し支えないが、②の提出をもって「適合」と評価した場合は、改善が完了した後、すみやかに改善結果報告書を提出させ、改善状況について確認を行うこと。また、「軽度の不備事項」については、(2)に準じて取り扱うこと。

(4) 認められた不備事項に「重度の不備事項」がある場合

「重度の不備事項」に関して、GCTP調査指摘事項の交付日から15業務日以内に、調査当局が妥当と判断する改善を完了しない限りは、原則として適合状況を「不適合」として評価すること。また、「中程度の不備事項」及び「軽度の不備事項」については、(2)及び(3)に準じて取り扱うこと。なお、不備事項に係る品目(製品)の自主回収に着手していたことをもって「重度の不備事項」の改善が認められるものではない。

(了)